JP3947411B2 - 回収紙パックのリサイクル法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済の牛乳パック等の回収紙パックをリサイクルするための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
環境問題が取り立たされている近年において、表裏面にコーティング加工、例えばポリエチレンフィルムが施された牛乳パック等の紙パックが使用されており、この使用済の紙パックは廃品回収、ボランティア活動により大量に回収されている。
【0003】
この回収された紙パックの一部は、大手製紙工場にて表裏面のコーティング部を取除き、完全な紙(パルプ)だけに分離した後、他の古紙と混合して抄紙し、加工する工程を経て、トイレットペーパー、ティシュペーパーとして、あるいは回収された紙パックをそのまま粉砕した後、抄紙し、加工する工程を経て、葉書、封筒、名刺、紙袋として、リサイクルされている。
【0004】
また、回収された紙パックの大部分(70〜80%)は、リサイクルされることなく、焼却、埋立処分されている。
【0005】
また、紙パックは、年間20万トン程生産されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、年間20万トン程生産されている牛乳パック等の紙パックは、回収されるもののその大部分が焼却、埋立処分され、リサイクルされていないのが現状である。
【0007】
また、回収された紙パックの一部は、トイレットペーパー、封筒等にリサイクルされているが、その設備も非常に大型となり、また生産工程においても紙質の点で他の古紙との混合が必要不可欠であり、その混合率も5〜10%程度しか回収紙パックを消費することができないばかりか、新しい(バージンパルプ)製品に比べ、品質、コストの面で劣るものであった。
【0008】
また、トイレットペーパー、ティシュペーパーとしてリサイクルされる場合、回収紙パックを紙とポリエチレンフィルム等のコーティング材とに分離した後、紙は生産工程へと進むが、コーティング材はゴミとして廃棄または焼却処分されていた。
【0009】
また、葉書、封筒、紙袋としてリサイクルされる場合には、回収紙パックの表面のコーティング部のみならず、厚みの中間部の紙繊維(紙質)まで粉砕されてしまうため、微細紙繊維が発生し、各紙繊維間の交絡性、歩留りが悪く、その結果製品厚さが不均一となり、部分的に非常に薄肉となり、強度が低下することが問題となっていた。
【0010】
この現状を踏まえて、焼却、埋立処分されている使用済の牛乳パック等の回収紙パックを大量に再生して新たな製品としてリサイクルすることが強く要望されてきている。
【0011】
本発明は、このような要望に対処し、使用済の牛乳パック等の紙パックを、容易、かつ安価に湿式パルプモールド製品とすることができる回収紙パックのリサイクル法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、使用済の牛乳パック等の回収紙パックのコーティング加工が施された表面または/および裏面全域に切り筋を施した後、この切り筋を施した回収紙パックを水に溶解させ、水分調整して得られたモールド原液に、成形型を浸漬し、モールド原液を吸引することにより、成形型の表面にモールド原液を積層吸着させた後、この成形型をモールド原液中から引上げ、この成形型の表面に積層吸着させた吸着体を、成形型に対応した取出型により吸引して取出し、離型することにより、モールド中間体とし、このモールド中間体を乾燥させ、湿式パルプモールド製品を成形することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る使用済の牛乳パック等の回収紙パックのリサイクル法を、図1〜図3に基づいて、以下に詳述する。
【0014】
まず、回収紙パック12の表面および裏面全域に切り筋14を縦横方向に施す。
【0015】
この際、切り筋14は、回収紙パック12の表面および裏面のコーティング加工部分、コーティング用フィルムが貼着された部分のみに施し、回収紙パック12の厚みの中間部の紙質(紙繊維)をそのまま利用する。
【0016】
このため、製品として成形した際、各紙繊維間の交絡性、歩留りが良く、厚肉、かつ均一に成形することができ、強度が低下することがない。
【0017】
本例において、切り筋14は、回転刃を多数備えた筋切り装置16により、回収紙パック12の表面および裏面全域の縦横方向(斜め方向)に施し、切り筋14の幅を微細とすることが望ましい。
【0018】
次に、この切り筋14を施した回収紙パック12を、水18が充填されたパルパー(溶解機)20内で離解させながら混合する。
【0019】
次に、離解して生成された回収紙パック12と水18とからなるモールド原液22を、水分調整して成形槽24内に充填させる。
【0020】
次に、この成形槽24内に、表面に金網を装着させた成形型26を浸漬し、モールド原液22を吸引することにより、成形型26の表面にモールド原液22を積層吸着させる。
【0021】
次に、表面にモールド原液22を積層吸着させた成形型26を成形槽24から引上げ、成形型26に積層吸着させた吸着体を、成形型26に対応した取出型28により吸引して取出す。
【0022】
本例において、成形型26は垂直方向に180度回転させることにより、成形槽24へ浸漬、引上げを行う構造のものであり、成形型26を成形槽24に浸漬させる前に、成形型26を洗浄する機構(図示略)を付設させることが望ましい。
【0023】
次に、取出型28により取出した吸着体を、乾燥機30側へ移送させ、取出型28から離型させてモールド中間体30とする。
【0024】
このモールド中間体30を乾燥機32内で乾燥させる。
【0025】
本例において、乾燥機32は内部に製品を搬送するコンベア34が配設され、入口側から出口側に向けて約200度〜約150度へ徐々に低温となるように乾燥温度を設定してある。
【0026】
また、乾燥機32によるモールド中間体30の乾燥時間は、製品の大きさに応じて約15分から約30分程度である。
【0027】
前記工程により、湿式パルプモールド製品36を成形する。
【0028】
本例において、湿式パルプモールド製品36は植木鉢である。
【0029】
このようにして製造された湿式パルプモールド製品は、使用済の牛乳パック等の回収紙パック12の厚みの中間部の紙質(紙繊維)をそのまま利用して製品とするため、各紙繊維間の交絡性、歩留りが良く、その結果製品を厚肉、かつ均一に成形することができ、強度が低下することがない。
【0030】
また、従来行っていた回収紙パックの表裏面のコーティング部を取除き、完全な紙だけに分離する工程、回収紙パックを微細に粉砕する工程、他の古紙との混合工程、を省略し、焼却、埋立処分していた回収紙パックのみを使用して新たな製品を、極めて簡易、かつ安価に成形することができ、リサイクル性に優れている。
【0031】
また、トイレットペーパー等にリサイクルする場合に廃棄していたポリエチレンフィルム等のコーティング部材をも紙(質)の中に繋ぎとして完全に混込み、このコーティング部材が製品に多種多様な色彩、模様等を織成し、極めて有効である。
【0032】
なお、図1中38は水分調整機構、40は取出型32の移送機構、42は筋切り装置16の送り機構、44は筋切り装置16の回転刃を示す。
【0033】
また、本例において、切り筋14は回収紙パック12の表裏面の縦横方向(斜め方向)に施すものであるが、回収紙パック12の表裏面の一方にのみコーティング加工が施されている場合には、その一方にのみ切り筋14を縦方向または/および横方向に施すことは自明である。
【0034】
また、筋切り装置は回転刃を多数備えたものであるが、表面に線状の刀体を多数配したもの、その他の回収紙パック12の表面に切り筋14を形成できる機構を採用することは自明である。
【0035】
また、湿式パルプモールド製品が量産品である場合には、製品を一度に複数成形させるため、成形型26および取出型28を大型化し、モールド中間体30を乾燥させて製品とした後、裁断機(図示略)を介して製品を裁断する工程が付加されることは自明である。
【0036】
また、湿式パルプモールド製品36は植木鉢であるが、他の製品とすることは自由である。
【0037】
また、成形する製品の紙質に応じて、新聞紙、段ボール、普通紙等の使用済の古紙を混入させることは自明である。
【0038】
また、本発明の製法に使用する装置は本例に限定されることはない。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る回収紙パックのリサイクル法によれば、使用済の牛乳パック等の回収紙パックの表面または/および裏面全域に切り筋を施し、回収紙パックの厚みの中間部の紙質(紙繊維)をそのまま利用して湿式パルプモールド製品とするため、各紙繊維間の交絡性、歩留りが良く、その結果製品を厚肉、かつ均一に成形することができ、強度が低下することがない。
【0040】
また、従来行っていた回収紙パックの表裏面のコーティング部を取除き、完全な紙だけに分離する工程、回収紙パックを微細に粉砕する工程、他の古紙の混入工程、を省略し、焼却、埋立処分していた回収紙パックのみを使用して新たな製品を、極めて簡易、かつ安価に成形することができ、リサイクル性に優れている。
【0041】
また、回収紙パックに施されたポリエチレンフィルム等のコーティング部材をも紙(質)の中に繋ぎとして完全に混込み、このコーティング部材が製品に多種多様な色彩、模様等を織成し、極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回収紙パックのリサイクルの工程を示す略線正面図。
【図2】本発明に係る切り筋を施した回収紙パックの平面図。
【図3】同、成形した製品を示す斜視図。
【符号の説明】
12 回収紙パック
14 切り筋
16 筋切り装置
18 水
22 モールド原液
26 成形型
28 取出型
30 モールド中間体
36 湿式パルプモールド製品

Claims (1)

  1. 使用済の牛乳パック等の回収紙パック(12)のコーティング加工が施された表面または/および裏面全域に切り筋(14)を施した後、
    この切り筋(14)を施した回収紙パック(12)を水(18)に溶解させ、水分調整して得られたモールド原液(22)に、成形型(26)を浸漬し、モールド原液(22)を吸引することにより、成形型(26)の表面にモールド原液(22)を積層吸着させた後、
    この成形型(26)をモールド原液(22)中から引上げ、この成形型(26)の表面に積層吸着させた吸着体を、成形型(26)に対応した取出型(28)により吸引して取出し、離型することにより、モールド中間体(30)とし、
    このモールド中間体(30)を乾燥させ、湿式パルプモールド製品(36)を成形することを特徴とする回収紙パックのリサイクル法。
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