JP3947191B2 - 予測係数生成装置及び予測係数生成方法 - Google Patents

予測係数生成装置及び予測係数生成方法 Download PDF

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Description

本発明は、レートコンバータやPCM(Pulse Code Modulation)復号装置等に用いて好適な予測係数生成装置及び予測係数生成方法に関する。
従来より、ディジタルオーディオ信号をディジタル/アナログ(D/A)コンバータに入力する前に、サンプリング周波数を元の値の数倍に変換するオーバーサンプリング処理を行っている。これにより、上記D/Aコンバータから出力されたディジタルオーディオ信号はアナログ・アンチ・エイリアス・フィルタの位相特性によって可聴周波数高域で一定に保たれ、また、サンプリングに伴うディジタル系のイメージ雑音の影響が排除されるようになっている。上記オーバーサンプリング処理では、通常、線形一次(直線)補間方式のディジタルフィルタが用いられている。このようなディジタルフィルタは、サンプリングレートが変わったりデータが欠落した場合等に、複数の既存データの平均値を求めて直線的な補間データを生成するものである。
特開平6−178277号公報
しかし、オーバーサンプリング処理後のディジタルオーディオ信号は、線形一次補間によって時間軸方向に対してデータ量が数倍に緻密になっているものの、オーバーサンプリング処理後のディジタルオーディオ信号の周波数帯域は変換前とあまり変わらず、音質そのものは向上していない。さらに、補間されたデータは必ずしもA/D変換前のアナログオーディオ信号の波形に基づいて生成されたのではないため、波形再現性もほとんど向上していない。
また、サンプリング周波数の異なるディジタルオーディオ信号をダビングする場合において、サンプリング・レート・コンバータを用いて周波数を変換しているが、かかる場合でも線形一次ディジタルフィルタによって直線的なデータの補間しか行うことができず、音質や波形再現性を向上することができなかった。さらに、ディジタルオーディオ信号のデータサンプルが欠落した場合において同様である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、オーディオ信号の波形再現性及び音質の向上を図ることのできる予測係数生成装置、予測係数生成方法及び予測係数格納媒体を提供することを目的とする。
本発明に係る予測係数生成装置は、ディジタルオーディオ信号をより高品質に変換する際に利用される予測係数を生成する予測係数生成装置において、ディジタルオーディオ信号をより高品質に変換する際の変換処理の程度を考慮して、学習用のディジタルオーディオ信号を間引く間引き処理手段と、上記間引き処理手段により間引かれたディジタルオーディオ信号に基づいてデータパターンを生成するパターン生成手段と、上記データパターンに基づいて、予測係数を算出する予測係数算出手段と、上記算出された予測係数を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る予測係数生成方法は、ディジタルオーディオ信号をより高品質に変換する際に利用される予測係数を生成する予測係数生成方法において、ディジタルオーディオ信号をより高品質に変換する際の変換処理の程度を考慮して、学習用のディジタルオーディオ信号を間引く間引き処理工程と上記間引き工程にて間引かれたディジタルオーディオ信号に基づいてデータパターンを生成するパターン生成工程と、上記データパターンに基づいて予測係数を算出するパターン算出工程と、上記算出された予測係数を記憶する記憶工程とを備えることを特徴とする。
以上詳細に説明したように、本発明に係る予測係数生成装置及び予測係数生成方法によれば、間引き処理手段の間引き処理に応じて、オーディオデータのサンプル数を変えるための予測係数や、また、サンプル数を変えなくても真値に極めて近いオーディオデータを再現するための予測係数を生成することができる。
また、本発明に係る予測係数格納媒体は、予測係数を提供して、この予測係数と入力されたディジタルオーディオ信号に基づいて、高音質で波形再現性のよいディジタルオーディオ信号を生成することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、ディジタルオーディオ信号(以下、オーディオデータという。)のサンプリングレートを上げたり、オーディオデータにエラーが生じたときに、欠落しているオーディオデータを補間したものであって真値に最も近いオーディオデータ(以下、オーディオ補間データという)を生成するものである。
本発明は、具体的には図1に示すオーディオ信号変換装置に適用することができる。上記オーディオ信号変換装置1は、オーディオデータを所定時間毎に切り出す時間軸領域切出回路11と、切り出されたオーディオデータを圧縮して圧縮データパターンを生成するADRC(Adaptive Dynamic Range Coding )回路12と、切り出されたオーディオデータの属するクラスコードを発生するクラスコード発生回路13と、推定式の予測係数がクラスコード毎に、記憶されているメモリテーブル14と、予測係数と上記切り出されたオーディオデータに基づいて推定演算する推定演算回路15とを備える。
時間軸領域切出回路11は、入力端子より供給された図2(A)に示すオーディオデータを所定時間毎の領域に分割する。なお、ここでは、時間軸領域分割回路11は、オーディオデータを6サンプル毎に分割するものとする。時間軸領域切出回路11は、分割してブロック化したオーディオデータをADRC回路12及び推定演算回路15に供給する。
ADRC回路12は、上述のように各時間軸領域のオーディオデータを、例えば8ビットから2ビットに圧縮するような演算を行うことによりパターン圧縮データを形成し、このパターン圧縮データをクラスコード発生回路13へ供給する。
ADRC回路12は、通常、VTR(Video Tape Recorder)向け高能率符号化用に開発された適応的量子化を行うものである。ここでは、信号レベルの局所的なパターンを短い語長で効率的に表現できるので、信号パターンのクラス分類のコード発生に使用されている。
具体的には、6つの8ビットのオーディオデータをクラス分類しようとする場合では、248という膨大な数のクラスに分類しなければならない。信号波形の特徴を把握する意味では理想的であるが、回路上の負担が多く、実用的ではない。そこで、ADRC回路12で生成されるパターン圧縮データに基づいてクラス分類を行っている。例えば、6つのオーディオデータに対して1ビットの量子化を実行すると、6つのオーディオデータを6ビットで表すことができ、2=64クラスに分類することが可能である。
ここで、ADRC回路12は、領域内のダイナミックレンジをDR、ビット割当をn、領域内画素のデータレベルをL、量子化コードをQとすると、以下の式(1)に従って、領域内の最大値MAXと最小値MINとの間を指定されたビット長で均等に分割して量子化を行う。
Figure 0003947191
ADRC回路12は、時間軸領域切出回路11で切り出された各オーディオデータを各2ビットに圧縮する。なお、圧縮されたオーディオデータをそれぞれq1〜q6 とする。
クラスコード発生回路13は、ADRC回路12から供給されるパターン圧縮データに基づいて以下の式(2)の演算を行って、そのブロックが属するクラスを検出し、そのクラスを示すクラスコードclass をメモリテーブル14へ供給する。このクラスコードclass は、メモリテーブル14からの読み出しアドレスを示す。
Figure 0003947191
ここでは、n=6、P=2である。
メモリテーブル14には、補間前後のオーディオデータのパターンの関係を学習することにより、補間前のオーディオデータに対応するオーディオ補間データを算出するための線形推定式の予測係数が各クラスコード毎に、記憶されている。なお、メモリテーブル14に記憶されている予測係数の作成方法については後述する。メモリテーブル14からは、クラスコードclass で示されるアドレスから、そのクラスの予測係数であるwn (class )(n =1〜6)が読み出される。この予測係数は、推定演算回路15へ供給される。
推定演算回路15は、時間軸領域切出回路11から供給されるオーディオデータ、およびメモリテーブル14から供給される予測係数であるwn (n =1〜6)に基づいて、入力されたオーディオデータに対応するオーディオ補間データを算出する。
より具体的には、推定演算回路15は、時間軸領域切出回路11より供給されたオーディオデータとメモリテーブル14から供給された予測係数により、予測係数であるwn (n =1〜6)に基づいて、それぞれ以下の式(3)に示す演算を行うことにより、オーディオ補間データを算出する。
Figure 0003947191
図2(B)に示す算出されたオーディオ補間データは、出力端子を介して出力される。
以上のように、上記オーディオ信号変換措置は、オーディオ補間データを推定するための予測係数をメモリテーブル14に記憶しておき、入力されるオーディオデータ、およびメモリテーブル14から読み出された予測係数に基づいて推定演算を行うことによって、オーディオ補間データを出力することができる。すなわち、上記オーディオ信号変換装置は、入力されるオーディオデータを単に線形補間処理したのとは異なり、実際のオーディオデータから後述の学習により求められた予測係数に基づいて推定演算するので、より実際に近い波形を再現して高音質のオーディオデータを出力することができる。
なお、本実施の形態では、データを補間するハードウェアに、予測係数が既に記憶されているメモリテーブル1が設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、光ディスク等の記録媒体に通常のオーディオデータとともに予測係数を記憶させておき、上述のオーディオ信号変換装置を光ディスク再生装置に適用してもよい。
このとき、上記光ディスク再生装置は、光ディスクに記憶されたオーディオデータの読み出しを開始する前に上記予測係数を読み出して、この予測係数を上記メモリテーブル1に記憶させる。これにより、上記光ディスク再生装置は、いかなるオーディオデータであっても、メモリテーブル1を取り替えることなく、波形再現性のよい高音質のオーディオデータを得ることができる。
つぎに、メモリテーブル14に格納される予測係数を作成(学習)するための予測係数生成装置について図3を用いて説明する。上記予測係数生成装置は、再現すべき高音質オーディオデータを用いることによって、メモリテーブル14に予測係数を記憶させるものである。
上記予測係数生成装置2は、図3に示すように、高音質オーディオデータを間引く間引き処理回路21と、オーディオデータを所定時間毎に切り出す時間軸領域切出回路22と、切り出されたオーディオデータを圧縮して圧縮データパターンを生成するADRC回路23と、上記圧縮データパターンに基づいてクラスコードを発生するクラスコード発生回路24と、クラスコード毎に正規方程式をたてる正規方程式回路25と、上記クラスコード毎に予測係数を決定する予測係数決定回路26と、決定された予測係数を記憶するメモリテーブル27とを備える。
予測係数を学習によって得るためには、まず、既に知られている高音質オーディオデータから所定サンプル間引いた通常のオーディオデータを形成する必要がある。
具体的には、間引き処理回路21は、入力端子を介して供給される高音質オーディオデータに対して所定時間毎に間引き処理を行って通常のオーディオデータを生成して、これを時間軸領域切出回路22に供給する。なお、この間引き処理回路21での間引きの程度によって、生成される予測係数が異なり、さらには上述のオーディオ信号変換装置1で再現されるオーディオデータも異なる。例えば、上述のオーディオ信号変換装置1がサンプリング周波数を大きくしたオーディオデータを出力するようにするためには、これに対応して、サンプリング周波数を減らす間引き処理が必要である。また、上記オーディオ信号変換装置1が欠落したデータサンプルを補ってオーディオデータを出力するようにするためには、これに応じて、データサンプルを欠落させる間引き処理が必要である。
時間軸領域切出回路22は、間引き処理回路21から供給されたオーディオデータを複数の領域に分割する。具体的には、時間軸領域切出回路22は、先に説明した時間軸領域切出回路11と同一の働きをするものである。時間軸領域切出回路22は、所定時間毎のオーディオデータをADRC回路23、および正規方程式回路25に供給する。
ADRC回路23は、上述のように各領域の全てのデータ、あるいは一部のデータを、例えば8ビットのオーディオデータから2ビットのオーディオデータに圧縮する演算を行ってパターン圧縮データを形成し、このパターン圧縮データをクラスコード発生回路24に供給する。なお、ADRC回路23は、先に説明したADRC回路12と同一のものである。
クラスコード発生回路24は、先に説明したクラスコード発生回路13と同一のものであり、ADRC回路23から供給されるパターン圧縮データに基づいて、上述の式(2)の演算を行う。これにより、上記クラスコード発生回路24は、そのブロックの属するクラスを検出して、そのクラスを示すクラスコードを正規方程式回路25に供給する。
正規方程式回路25は、クラスコード発生回路24から供給された各クラスコードclass 、各クラスコードclass 毎に時間軸領域切出回路22より供給されたオーディオデータx1,x2,‥‥,xn、入力端子より供給された高音質オーディオデータyを用いて、後述する正規方程式を立てる。
ここで、正規方程式回路25の説明のために、複数個の高音質オーディオデータから通常のオーディオデータへの変換式の学習とその予測式を用いた信号変換について述べる。以下に、説明のために学習をより一般化してnサンプルによる予測を行う場合について説明する。オーディオデータのレベルをそれぞれx1,x2,‥‥,xnとして、それぞれにpビットのADRCを行った結果の量子化データをq1、‥‥、qnとする。
このとき、この領域のクラスコードclass を式(2)のように定義する。上述のようにオーディオデータのレベルをそれぞれ、x1,x2,‥‥,xnとし、高音質オーディオデータのレベルをyとしたとき、クラスコード毎に、予測係数w1,w2,‥‥,wnによるnタップの線形推定式を設定する。これを式(4)に示す。学習前は、wnが未定係数である。
Figure 0003947191
学習は、クラスコード毎に、複数のオーディオデータに対して行う。データサンプル数がmの場合、式(4)にしたがって、以下に示す式(5)が設定される。
Figure 0003947191
m>nの場合、予測係数w1、‥‥wnは、一意的に決まらないので、誤差ベクトルeの要素を以下の式(6)で定義して、式(7)を最小にする予測係数を求める。いわゆる、最小自乗法による解法である。
Figure 0003947191
Figure 0003947191
ここで、式(7)のwnによる偏微分係数を求める。それは以下の式(8)を”0”にするように、各wn(n=1〜6)を求めればよい。
Figure 0003947191
以下、式(9)、式(10)のようにXij、Yを定義すると、式(8)は、行列を用いて式(11)へ書き換えられる。
Figure 0003947191
Figure 0003947191
Figure 0003947191
この方程式は、一般に正規方程式と呼ばれている。なお、ここでは、n=6である。
全ての学習用のデータの入力が終了した後、正規方程式回路25は、各クラスコードclass に、式(11)に示す正規方程式を立てて、このデータを予測係数決定回路30に供給する。
予測係数決定回路30は、正規方程式を掃き出し法等の一般的な行列解法を用いて、各wnについて解き、各クラスコード毎に、予測係数を算出する。換言すると、上記式(11)を式(12)のように書き換え、
X・W=Y ・・・・・・・・・・(12)
掃き出し法等の行列解法により式(13)が求められ、クラスコード毎に予測係数の行列式Wが算出される。
W=X−1・Y ・・・・・・・・・(13)
そして、予測係数決定回路30は、算出された予測係数をメモリテーブル31に書き込む。
このような学習を行った結果、メモリテーブル31には、量子化データq1 、‥‥、q6 で規定されるパターン毎に、高音質オーディオデータyを推定するための統計的に最も真値に近い推定が出来る予測係数が各クラスコード毎に、格納される。このメモリテーブル31は、本発明のオーディオ信号変換装置において使用されるメモリテーブル14である。かかる処理により、線形推定式に従って通常のオーディオデータから高音質オーディオデータを作成するための予測係数の学習が終了する。
以上のように、上記予測係数生成装置2は、オーディオ信号変換装置1で補間処理を行う程度を考慮して、間引き処理回路21で高音質のオーディオデータの間引き処理を行うことによって、かかる補間処理をための予測係数を生成することができる。換言すると、上記予測係数生成装置2は、間引き処理回路21の処理に応じて、オーディオデータのサンプル数を変えるための予測係数や、また、サンプル数を変えなくても真値に極めて近いオーディオデータを再現するための予測係数を生成することができる。
なお、本実施の形態の説明では、圧縮データパターンを生成するパターン生成手段として、ADRC回路12,23を設けることにしたが、これはほんの一例であり、信号波形のパターンを少ないクラスで表現できるような情報圧縮手段であれば何を設けるかは自由であり、例えば、DPCM(予測符号化)、VQ(ベクトル量子化)等の圧縮手段を用いても良いのは勿論である。
つぎに、上記オーディオ信号変換装置を用いたレートコンバータについて図4を参照しながら説明する。レートコンバータは、例えばサンプリング周波数の異なるディジタルオーディオ装置間でダビングをする際のサンプリング周波数の変換に用いられる。
例えば、サンプリング周波数32kHz(=fs )のBS放送Aモード音声をサンプリング周波数44.1kHz(=fs’)のミニディスク(MD)にディジタル録音する場合を考える。従来では、BS放送Aモード音声のサンプリング周波数を44.1kHzに変換するときに線形1次補間ディジタルフィルタを用いて不足データを補間していた。しかし、上記レートコンバータは、サンプリング周波数44.1kHzの正規のオーディオデータから生成された正規方程式の予測係数に基づいて、32kHzのオーディオデータから44.1kHzのオーディオデータの値を推定して補間するため、従来よりも波形再現性のよい高音質なオーディオデータを得ることができる。
つぎに、上記オーディオ信号変換装置を用いたオーバーサンプリング処理装置について説明する。なお、上述した装置及び回路等と同じものについては同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。上記オーバーサンプリング処理装置は、図5に示すように、オーディオ信号変換部1と、D/Aコンバータ3と、アナログ・ポスト・フィルタ4とを備える。
オーディオ信号変換部1は、上述したオーディオ信号処理1と同じものであり、入力端子から入力されるオーディオデータのサンプリング周波数fs をサンプリング周波数(N×fs )にするものである(N:自然数)。
このオーディオ信号変換部1のメモリテーブル13には、オーディオデータのサンプリング周波数fs を(N×fs )に変換するための正規方程式の予測係数が記憶されている。上記予測係数は、図3に示す上記予測係数生成装置2の入力端子に正規のサンプリング周波数(N×fs )のオーディオデータを供給し、かつ、間引き処理回路21で間引き処理を行ってサンプリング周波数をfs にすることによって生成される。すなわち、この予測係数をメモリテーブル13に記憶させることにより、オーディオ信号変換部1は上述のサンプリング周波数を変換することができる。
D/Aコンバータ3は、オーディオ信号変換部1からのオーディオデータをアナログ化して、オーディオ信号をアナログ・ポスト・フィルタ4に供給する。アナログ・ポスト・フィルタ4は、オーディオ信号の位相特性を配慮した緩やかな帯域制限処理を施して高音質のオーディオ信号を出力する。
以上のように、上記オーバーサンプリング処理装置は、単にオーディオデータのサンプリング周波数をN倍に上げて線形補間処理をしたものをディジタル/アナログ変換するのではなく、本来のサンプリング周波数(N×fs )のオーディオデータを推定演算してからディジタル/アナログ変換することによって、正規のものに最も近いオーディオデータを生成してアナログ化することができ、線形補間した場合に比べてより高音質なオーディオ信号を得ることができる。
また、オーバーサンプリング処理を上記オーディオ信号変換部1のみだけで行う必要はない。例えば、8倍のオーバーサンプリング処理を行う場合、2倍のオーバーサンプリング処理を上記オーディオ信号変換部1で行い、かかる処理後、4倍のオーバーサンプリング処理を線形補間によって行うことも可能である。
つぎに、オーディオ信号変換装置を用いたPCM(Pulse Code Modulation)エラー修正装置について説明する。BS放送やCS放送で利用されているPCMディジタル音声は、伝送時のエラーに対してブロック符号化とビットインターリーブ処理が行われ、伝送エラーの検出とその訂正がビット単位で行われている。しかし、長時間にわたるバーストエラー発生時には、そのエラー訂正能力を超えるため、線形1次補間又は前値保持によって失われたデータを1サンプル単位で補っている。
従来では、1サンプルの欠落については線形1次補間で行って、それ以上の欠落に対しては前値保持で補っていた。これに対して、上記PCMエラー修正装置は、1サンプル以上のエラーが生じてもエラーの修正を行うことができる。
上記PCMエラー修正装置は、図6に示すように、符号化されたPCMビットストリームの復号を行うPCM復号部5と、欠落したデータの補間を行うオーディオ信号変換部1とを備える。
PCM復号部5は、PCMビットストリームのデインターリーブ処理を行うビット・デインターリーブ回路51と、データの欠落の有無を検出するエラー検出訂正回路52とを有する。このエラー検出訂正回路52は、データの欠落があったときにデータ補間指示信号を出力する。
オーディオ信号変換部1は、このデータ補間指示信号が供給されると、欠落した部分のオーディオデータの補間処理を開始する。このオーディオデータの補間処理は、メモリテーブル13に記憶されている正規方程式の予測係数に基づいて行われる。この予測係数は、図3に示す予測係数生成装置2にエラーのないオーディオデータを入力端子に供給して、間引き処理回路21でエラーが生じたような間引き処理を行うことによって生成される。
以上のように、上記PCMエラー修正装置は、1サンプルから数サンプルのデータが欠落した場合であっても、正規のオーディオデータの値を推定演算して欠落したデータを補間することができる。すなわち、上記PCMエラー修正装置は、単に線形1次補間した場合に比べて、データが欠落する前のオーディオデータの波形の再現性を向上させることができる。
つぎに、オーディオ信号変換装置を用いた狭帯域音声信号の高音質化装置について説明する。上記高音質化装置は、図7に示すように、A/Dコンバータ6と、オーディオ信号変換部1と、D/Aコンバータ3とを備える。ここで、上記オーディオ信号変換部1は、例えばAMラジオ放送のような狭帯域音声信号のサンプリング周波数を上げて、高音質のオーディオデータを得るために用いる。
これにより、A/Dコンバータ6に入力された通常のAM放送の音声信号は、上記オーディオ信号変換部1を介して、D/Aコンバータ3から高音質化されて出力される。
以上のように、上記高音質化装置は、AMラジオ放送のような狭帯域の音声信号を受信する受信機に使用することによって、低品質な音声信号から高周波成分の波形を再現してより聞き取り易い音声を出力することができる。なお、同軸ケーブル等の狭帯域伝送媒体により音声信号が送信される電話機に上記高音質化装置を適用することも可能である。
本発明を適用したディジタルオーディオ信号変換装置の構成を示すブロック図である。 補間前後のオーディオデータを示す図である。 本発明に係る予測係数生成装置の具体的な構成を示すブロック図である。 レートコンバータの構成を示すブロック図である。 オーバーサンプリング処理装置の構成を示すブロック図である。 PCMエラー修正装置の構成を示すブロック図である。 狭帯域音声信号の高音質化装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
11,22 時間軸領域切出回路、12,23 ADRC回路、13,24 クラスコード発生回路、14,27 メモリテーブル、15 推定演算回路、21 間引き処理回路、25 正規方程式回路、26 予測係数決定回路

Claims (5)

  1. ディジタルオーディオ信号をより高品質に変換する際に利用される予測係数を生成する予測係数生成装置において、
    ディジタルオーディオ信号をより高品質に変換する際の変換処理の程度を考慮して、学習用のディジタルオーディオ信号を間引く間引き処理手段と、
    上記間引き処理手段により間引かれたディジタルオーディオ信号に基づいてデータパターンを生成するパターン生成手段と、
    上記データパターンに基づいて、予測係数を算出する予測係数算出手段と、
    上記算出された予測係数を記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする予測係数生成装置。
  2. 上記間引き処理手段は、ディジタルオーディオ信号のサンプリング周波数を小さくするように間引くことを特徴とする請求項1記載の予測係数生成装置。
  3. 上記間引き処理手段は、上記ディジタルオーディオ信号のデータサンプルを欠落させることを特徴とする請求項1記載の予測係数生成装置。
  4. 上記パターン生成手段は、
    上記間引き処理手段により間引かれたディジタルオーディオ信号を所定時間毎に切り出す信号切出手段と、
    上記信号切出手段により切り出されたディジタルオーディオ信号を圧縮し、圧縮データパターンを出力するデータパターン圧縮手段と、
    上記データパターン圧縮手段により出力された圧縮データパターンに基づいて、上記切り出されたディジタルオーディオ信号の属するクラスコードを発生するクラスコード発生手段とを備え、
    上記予測係数算出手段は、圧縮データパターンを上記データパターンとして、上記予測係数をクラスコード毎に算出することを特徴とする請求項1記載の予測係数生成装置。
  5. ディジタルオーディオ信号をより高品質に変換する際に利用される予測係数を生成する予測係数生成方法において、
    ディジタルオーディオ信号をより高品質に変換する際の変換処理の程度を考慮して、学習用のディジタルオーディオ信号を間引く間引き処理工程と、
    上記間引き工程にて間引かれたディジタルオーディオ信号に基づいてデータパターンを生成するパターン生成工程と、
    上記データパターンに基づいて予測係数を算出するパターン算出工程と、
    上記算出された予測係数を記憶する記憶工程とを備えることを特徴とする予測係数生成方法。
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