JP3947085B2 - パルス幅調整回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有限の立上り時間および立下り時間を有するデジタル信号(以下、台形波信号と記す)の出力信号波形のパルス幅を調整するパルス幅調整回路に関する。特に、上記パルス幅調整の機能が求められる光通信に使用されるレーザダイオード駆動回路や電界吸収型半導体変調器駆動回路に適用されるパルス幅調整回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超ギガビットの直接変調方式の光通信で使用される半導体レーザダイオードの発光出力の変調は、レーザダイオード駆動回路により、レーザダイオードを駆動するバイアス電流に変調電流を重畳することで実現する。また、外部変調方式の光通信で使用される電界吸収型半導体変調器は、電界吸収型半導体変調器駆動回路により出力される変調電圧により、光吸収量が変調電圧に従って変化するため、電界吸収型半導体変調器を通過する光信号に変調を施すことができる。
【0003】
通常、光通信には信号のオン時もオフ時も等しいパルス幅を有する台形波信号が用いられる。しかし、長距離伝送等の場合には、受信側でより良好な受信感度を得るために、変調された光送信波形において信号のオン時とオフ時のパルス幅を異なる値とするような調整が行われている。このため、レーザダイオード駆動回路や電界吸収型半導体変調器駆動回路には、出力波形のパルス幅を調整する機能が必要になっている。
【0004】
このような目的の従来のパルス幅調整回路を図10に示す(特許文献1)。
従来回路は、入力部にR3,R4,T8,T9,T10からなる前段の差動増幅器、T1,T3およびT2,T4からなる二つのレベルシフト回路、出力部にR1,R2,T5,T6,T7からなる後段の差動増幅器を備えている。
【0005】
このパルス幅調整回路は、VINとVINBへの相補信号を入力して得られる前段の差動増幅器出力をレベルシフトする際にT2とT4からなる一方のレベルシフト回路のレベルシフト量をPWC端子への印加電圧により可変して後段差動増幅器のT5とT6への入力レベルを調整することによりVINとVINBへの入力信号とはパルス幅の異なる出力信号がOUT1及びOUT2から出力するように動作する。
【0006】
T1,T3から構成されるレベルシフト回路においては、T3のドレイン電流が、そのゲート−ソース電圧(VCS−VSS)に応じて制御されてT1を流れることでT1のゲート−ソース電圧が自動的に決まり、この結果、T1のゲート電位に対し、そのゲート−ソース電圧だけレベルシフトした電圧がT5のゲート電位とされる。T2,T4から構成されるレベルシフト回路も同様に動作し、T2のゲート電位(PWC信号レベル)に対し、そのゲート−ソース電圧だけレベルシフトした電圧がT4のゲート電位とされる。
【0007】
後段の差動増幅器において共通接続されたT5及びT6のソース電位は、T7のゲート−ソース電圧(VCS−VSS)およびT5とT6のゲート入力電位の関係によって定まる。T5のゲート電位がT6のゲート電位よりも高い(低い)ときはT5がオン(オフ),T6がオフ(オン)し、T7のゲート−ソース電圧(VCS−VSS)に応じて制御されるT7のドレイン電流がT5(T6)を流れることでT5(T6)のゲート−ソース電圧が自動的に設定され、共通接続されたソース電位が決まる。
【0008】
ここで、PWC端子への印加電圧の制御に伴うT4のゲート−ソース電圧(PWC−VSS)の変化に応じてT6のゲート入力電位のレベルシフト量を変化させ、T5,T6のゲートに入力する差動信号の電圧レベルに差を与えることで、VOUT1,VOUT2からの出力信号のパルス幅を調整することができる。
【0009】
このように従来のパルス幅調整回路では、PWC端子に印加する電圧を制御することにより、T5,T6のゲートに入力される差動信号に相対的な電圧レベル差を生じさせてパルス幅調整を行っている。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−136104号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のパルス幅調整回路(図10)では、差動信号の電圧レベル差が大きければ大きいほどVOUT1,VOUT2に出力される信号のパルス幅の調整範囲を大きくできるが、PWC端子で制御されるレベルシフト量が制限されているために調整範囲が制限されるという課題がある。以下、この理由を説明する。
【0012】
差動増幅回路の縦列接続構成においては通常、後段(T5,T6)のゲートへの入力信号の電圧振幅がT5,T6のゲート−ソース電圧より大きくなるように設計することで、ローレベル時にT5,T6を充分にオフさせて高電圧利得を得ている。
【0013】
一方、超高速(例えば10Gb/s超)の回路にFETを使用して良好な周波数特性を得るには、最も高い相互コンダクタンスが示されるゲート−ソース電圧でFETを動作させる必要がある。
【0014】
従来回路においてT4,T7をこのようなゲート−ソース電圧で動作させた場合、レベルシフトの変化量は最大でT5,T6のゲート−ソース電圧までであり、T5,T6のゲートに入力される電圧振幅よりも小さい。よって、パルス幅調整範囲を大きくとることができない。
【0015】
さらに、PWC端子への印加電圧によりレベルシフト回路のレベルシフト量を減少方向に可変すると、高周波特性が劣化するという別の問題がある。以下、この理由を説明する。
【0016】
レベルシフト回路のT1(T2)のゲート入力電圧は、T8(T9)がオフのとき、抵抗R3(R4)にドレイン電流が流れないためVDDなるハイレベルとなる。前段の差動増幅器出力は、T3(T4)により設定されたT1(T2)のゲート−ソース電圧分だけレベルシフトされてT5(T6)のゲートに入力される。シフト量が減少されるとT5(T6)のゲート電位は減少分だけ上昇する。
【0017】
よって、T6がオン時のT6のソース電位は、ゲート電位からT7により設定されたゲート−ソース電圧分だけ降下した電位となる。一方、ドレイン電位は、ドレイン電流によるR2の電圧降下分だけVDDより低い電位となる。
【0018】
PWC端子への印加電圧をVSSとした場合、T2のレベルシフト量がゼロとなるため、T6のゲート電位はT2入力のハイレベルVDDまで上昇する。ソース電位は、このゲート電位からT7により設定されたゲート−ソース電圧分だけ低い電位となるため、T6のドレイン−ソース電圧が極端に低下して非飽和領域(VDS−IDS特性におけるknee電圧以下の領域)で動作することになる。
【0019】
このように、従来回路においてレベルシフト量を一定レベル以下に減少させるとFETの高速動作に必要な飽和領域での動作が行なわれないため増幅利得及び高周波特性が著しく劣化する。このため、出力波形の劣化などの課題が生じ、パルス幅制御範囲が制限される。この課題は、特にFETの高周波性能における余裕が少なくなる10Gb/sを超える超高速領域において顕著である。
【0020】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、超高速領域においてもパルス幅の調整範囲を広くとることのできるパルス幅調整回路を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明では、相補なパルス信号が入力される第1の差動対トランジスタを有する第1の差動増幅器と、該第1の差動増幅器からの差動出力信号をレベルシフトさせるレベルシフト回路と、第2の差動対トランジスタにシフトされた前記差動出力信号を入力して増幅する第2の差動増幅器とを備え、前記第1の差動対トランジスタに入力される差動パルス信号のパルス幅を制御信号に応じて可変して前記第2の差動増幅器より出力するパルス幅調整回路において、記制御信号により駆動されて夫々の電流値を可変される第1および第2のトランジスタを含む定電流源を備え、該第1のトランジスタは、前記第1の差動対トランジスタの一方の出力負荷を介して電源の一端から他端に電流を流すように、該出力負荷と前記レベルシフト回路の共通接続点と前記一端または前記他端との間に接続され、前記第2のトランジスタは、前記第1の差動対トランジスタの他方の出力負荷を介して前記電源の前記一端から前記他端に電流を流すように、該出力負荷と前記レベルシフト回路の共通接続点と前記一端または前記他端との間に接続される形態のパルス幅調整回路を実施した。
【0022】
ここで、前記定電流源は、前記第1および前記第2のトランジスタが差動接続されてなる第3の差動対トランジスタと、該差動対トランジスタの共通接続端子と前記一端または前記他端との間に接続される別の定電流源とからなる形態とすることが好ましい。
【0023】
さらに本発明では、相補なパルス信号が入力される第1の差動対トランジスタを有する第1の差動増幅器と、該第1の差動増幅器からの差動出力信号をレベルシフトさせるレベルシフト回路と、第2の差動対トランジスタにシフトされた前記差動出力信号を入力して増幅する第2の差動増幅器とを備え、前記第1の差動対トランジスタに入力される差動パルス信号のパルス幅を制御信号に応じて可変して前記第2の差動増幅器より出力するパルス幅調整回路において、前記第1の差動対トランジスタの両方の出力負荷と前記レベルシフト回路の共通接続点と電源の一端または他端との間に接続される第1および第2の定電流源と、該第1の定電流源の電流値を可変する手段であって、前記一端または前記他端との間に接続される第1の分圧手段による分圧比を可変して該第1の定電流源に入力することで該電流値を可変する第1の可変分圧手段と、前記第2の定電流源の電流値を可変する手段であって、前記一端または前記他端との間に接続される第2の分圧手段による分圧比を可変し前記第2の定電流源に入力することで該電流値を可変する第2の可変分圧手段とを備える形態のパルス幅調整回路を実施した。
【0024】
ここで、前記定電流源は、前記第1の差動対トランジスタの両方の出力負荷と前記レベルシフト回路の共通接続点と前記一端または前記他端との間に接続される第1および第2の定電流源と、該第1の定電流源の電流値を可変する手段であって、前記一端または前記他端との間に接続される第1の分圧手段による分圧比を可変して該第1の定電流源に入力することで該電流値を可変する第1の可変分圧手段と、前記第2の定電流源の電流値を可変する手段であって、前記一端または前記他端との間に接続される第2の分圧手段による分圧比を可変し前記第2の定電流源に入力することで該電流値を可変する第2の可変分圧手段とからなる形態とすることが好ましい。
【0025】
ここで、前記第1および第2の差動対トランジスタはそれぞれFETであり、さらに、前記定電流源、前記別の定電流源、および前記第1および第2の定電流源はそれぞれFETである形態とすることが好ましい。
【0026】
ここで、前記第1の差動増幅器の入力部に別のレベルシフト回路をさらに備え、該別のレベルシフト回路を介して前記相補なパルス信号を入力する形態とすることが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明のパルス幅調整回路の実施形態1の回路図である。
本実施形態のパルス幅調整回路は、増幅回路1と増幅回路2から成り、外部端子として入力端子11,12と、出力端子17,18と、制御素子13を備えている。増幅回路1と増幅回路2においてはその増幅手段に差動増幅器が用いられ、さらに端子15,16に現れる増幅回路1の差動出力は、レベルシフト回路を介して後段の差動増幅器に入力するようになっている。なお、図1では増幅回路2を2つのレベルシフト回路を含めた形で定義している。
【0028】
本実施形態における最も大きな特徴としては、増幅回路1の電源のVSS端子と差動出力端の一方の端子61との間に制御端子13への印加電圧によって電流値を可変できる電流源52を設け、これにより、出力端子17,18に現れる信号のパルス幅を可変可能な構成としている。すなわち、この構成によれば、電源のVDD端子から抵抗31および端子61を経由してVSS端子に至る電流経路が形成されるので、抵抗31に流れる電流によって電圧降下が生じ、この電圧が出力電圧信号に重畳することになる。この電圧降下は制御端子13で制御される電流源52の電流値によって可変であるから、制御端子13に印加する電圧によって端子61における出力信号レベルを調整することが可能となる。
【0029】
そして、端子15にはレベル可変の正相信号が、端子16には逆相信号が出力されて、さらに各々レベルシフト回路においてFET23、FET24のゲート−ソース電圧分だけレベルが低下し、これらが増幅器2の差動増幅回路のFET対25,26のゲートに入力されることとなる。
【0030】
以下、図2を参照して本実施形態のパルス幅調整回路によるパルス幅調整動作を説明する。
有限の立上り時間および立下り時間を有する台形波信号(正相信号)が端子11に入力され、この信号と相補関係にある逆相信号が端子12に入力される。また、このときの端子11,12への入力信号のパルス幅をT1,T2とすると両者は等しい(T1=T2)。
【0031】
図2(a)は、端子17,18から出力される信号のパルス幅をt1=t2(デューティ比50パーセント)に調整する場合の動作原理を例示する波形図である。
【0032】
この場合、増幅回路1の電流源52に流れる電流値は、端子15,16における両信号の電圧レベルが等しくなるように、端子13の電圧制御によって設定されている。端子15,16の信号は、増幅回路2によりパルス幅がt1=t2に保たれたまま増幅され、端子17,18から出力される。
【0033】
図2(b)は、出力波形のパルス幅をt1>t2に調整する場合の動作原理を例示する波形図である。
この場合、増幅回路1の電流源52に流れる電流値は、上記t1=t2の場合よりも減少するように端子13の電圧制御によって設定されている。これにより、端子15における信号の電圧レベルは上昇し、端子16における信号との電圧レベルに差が生じ、同図に示した通りt1>t2となるように設定することができる。そして端子15,16における信号は、増幅回路2によりパルス幅がt1>t2に保たれたまま増幅され、端子17,18から出力される。
【0034】
図2(c)は、出力波形のパルス幅をt1<t2に調整する場合の動作原理を例示する波形図である。
この場合、増幅回路1の電流源52に流れる電流値は、上記t1=t2の場合よりも増加するように端子13の電圧制御によって設定されている。これにより、端子15における信号の電圧レベルは下降し、端子16における信号との電圧レベルに差が生じ、同図に示した通りt1<t2となるように設定することができる。そして端子15,16における信号は、増幅回路2によりパルス幅がt1<t2に保たれたまま増幅され、端子17,18から出力される。
【0035】
本実施形態によれば、端子61における電圧振幅は、電流源51の電流量と抵抗31の抵抗値で決定される。したがって、(電流源51の電流量)×(抵抗31の抵抗値)で得られる電圧振幅をFET25のゲート−ソース電圧よりも大きくなるように設定しておけば、歩留まり等の劣化を抑えることができる。
【0036】
さらに、端子61におけるレベル可変量は電流源52の電流量と抵抗31の抵抗値で設定することができる。したがって、(電流源52の電流量)×(抵抗31の抵抗値)で得られるレベル可変量を端子15,16の電圧振幅よりも大きくなるよう設定することで、広範囲にわたるパルス幅調整が可能になる。すなわち、パルス幅調整範囲を任意に設定できるため、広範囲なパルス幅調整を可能にし、従来例の課題であったパルス幅調整範囲が狭いという課題を解決することができる。
【0037】
さらに、FET23、電流源53およびFET24,電流源54からなる2つのレベルシフト回路のレベルシフト量を減少させないため、FET25,26には十分なドレイン−ソース電圧が保たれる。すなわち、差動増幅器のFETを飽和領域で使用することができるため、高速信号の出力波形を損なわないパルス幅調整回路を実現することができ、従来例の課題を解決することができる。
【0038】
なお、レベルシフト量の調整のため、必要に応じて、増幅回路2に備わるレベルシフト回路のFET23のソースと電流源53の間、およびFET24のソースと電流源54間にレベルシフトダイオードを挿入することができる。この場合、レベルシフト回路の出力端子は、挿入された2つのダイオードと電流源53および電流源54の共通接続点となり、2つのレベルシフトダイオードのカソード端子が後段の差動増幅器入力にそれぞれ接続される。
【0039】
この構成におけるレベルシフト量は、電流源53により決定される電流により自動設定されたFET23のゲート−ソース電圧にレベルシフトダイオードによるレベルシフト電圧(順方向降下電圧)を加えたものとなる。FET24,電流源54のレベルシフト回路においても、レベルシフト量は同様にレベルシフトダイオードの順方向降下電圧を加えた値となる。
【0040】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2の回路図である。本実施形態のパルス幅調整回路は、増幅回路1の差動出力端のもう一方の端子に電流値可変回路な電流源522とその電流値を制御する制御端子14が更に設けられている点で図1と異なっている。
【0041】
図1記載の実施形態では、t1>t2からt1<t2といった幅広いパルス幅可変範囲に対応する場合には、電流源521ある一定値の電流を流した状態でt1=t2となるように回路を設計するが、この場合、端子15,16における電圧振幅を揃えることが難しく、設計が困難である。
【0042】
そこで、本実施形態では図3に示した構成を採用したので、電流源521,522の電流値が同じ値の場合にt1=t2となるよう回路を設計することで、前述した本発明の特長に加え、回路設計において端子15,16における電圧振幅を容易に揃えることができるようになる。
【0043】
この場合、t1<t2とするには、端子13を制御して電流源521の電流値を増加させるか、あるいは、端子14を制御して電流源522の電流値を減少させればよい。また、t1>t2とするには、端子13を制御して電流源521の電流値を減少させるか、端子14を制御して電流源522の電流値を増加させればよい。
【0044】
特に、図3に示したように構成し、電流源521,522の電流値がいずれも0の場合にt1=t2となるよう回路を設計すれば、t1<t2とするには、端子13を制御し電流源521の電流値を増加させればよく、またt1>t2とするには、端子14を制御し電流源522の電流値を増加させればよい。このように本実施形態によれば、回路設計および制御が非常に簡易に行えるという特長がある。
【0045】
(実施形態3)
図4は、本発明の実施形態3の回路図である。本実施形態は、電流値可変可能な図3における電流源521,522の具体的手段として、EFTを用いたものを提供するものである。
【0046】
すなわち、本実施形態における電流値可変可能な電流源は、端子61に接続されるドレインと電源電圧VSSに接続されるソースと制御端子13であるゲート(13)を有するFET27と、さらに端子62にも同様な接続構成のFET28を備えて実現される。
【0047】
本実施形態のパルス幅調整回路でも、図3で示したパルス幅調整回路と同様の動作が可能である。
【0048】
(実施形態4)
図5は、本発明の実施形態4の回路図である。本実施形態は、電流値可変可能な図3における電流源521,522の他の具体的手段として、別の構成を提供するものである。
【0049】
本実施形態のパルス幅調整回路は、図4で示したパルス幅調整回路に比べさらに、端子61からFET272のドレインを見たときのインピーダンスおよび端子62からFET282のドレインを見たときのインピーダンスを高くすることができる。すなわち、端子61,62に付随する高周波的な負荷を軽減することができる。
【0050】
本実施形態のパルス幅調整回路でも、図3で示したパルス幅調整回路と同様の動作が可能である。
【0051】
(実施形態5)
図6は、本発明の実施形態5の回路図である。本実施形態は、図3における電流値可変可能な電流源521,522を、差動FET対を用いた構成としたものである。
【0052】
すなわち、本実施形態における電流値可変可能な電流源は、差動出力端子61と62にそれぞれのドレインが接続される差動FET対273,283と、差動FET対273,283の共通ソースと電源電圧VSSとの間に共通に設けられる一つの定電流源523と、差動FET対273,283の各ゲートにそれぞれ接続される制御端子13,14とで構成されている。
【0053】
本実施形態のパルス幅調整回路は図3で示したパルス幅調整回路と同様の動作が可能であるが、特に電流値可変可能な図3の電流源521,522を差動構成とし、端子13あるいは端子14のいずれかの電圧を所定の値に固定し、固定されない側の端子電圧を制御するのみで端子15,16における信号の電圧レベルを互いに逆方向へ変化させることができる。この結果、1端子の制御のみで広い範囲にわたりパルス幅制御が可能になるという大きな特徴がある。
【0054】
(実施形態6)
本実施形態によるパルス幅調整回路を図7に示す。本実施形態では、図6の電流源523に、温度変化に対する回路特性の変動やデバイスバラツキを補償するためのカレントミラー回路を備えている。
【0055】
温度変化に対する回路特性の変動やデバイスバラツキを補償するためのカレントミラー回路が電流源523に備わっていることが本実施形態の特徴であり、端子13,14は通常の高入力インピーダンスのゲート電流が少なくてすむFETのゲート電圧制御で良いため、抵抗分割等の手法で制御する場合の消費電力が小さくでき、外部からの制御性を良好なものにできるメリットがある。
【0056】
(実施形態7)
図8は、本発明の実施形態7の回路図である。本実施形態では、図3における電流源521および電流源522の調整端子13および14に、2つの抵抗371,381および372,382で分圧された電圧を印加するものとし、かつ2つの抵抗の一方、例えば抵抗381,382を可変抵抗とすることによって、調整端子13,14への印加電圧を可変とするものである。
【0057】
この構成により、電圧源VDDおよびVSSの電圧印加時に制御端子13および14に所定の電圧が同時に印加され、パルス幅の調整値の初期値を定めることができる。また、制御端子13,14に外部から印加電圧を与えなくとも抵抗381,382の抵抗値を可変することにより、パルス幅を調整できるという利点がある。
【0058】
なお、本実施形態で用いる抵抗可変による方法は、図4,5,6における制御端子13,14への電圧印加手段として適用することができる。
【0059】
(実施形態8)
図9は、本発明の実施形態8の回路図である。本実施形態におけるパルス幅調整回路は、これまでに説明した各実施形態のパルス幅調整回路(図1,図3,図4,図5,図6,図8)の前段に更にレベルシフト回路3を設けたものである。
【0060】
本実施形態のレベルシフト回路3は、FET29(30)、ダイオード43(44)、定電流源56(57)から成り、上記図1などにおいて増幅回路2で用いるレベルシフト回路に順方向降下電圧分シフトさせるダイオード43,43を追加した構成であり、〔実施の形態1〕の「なお、レベルシフト量の調整」以下で説明した構成である。
【0061】
実施形態によれば、電圧源VDDおよびVSSを用いた差動増幅回路等で構成される前置増幅器あるいは緩衝増幅器等(図示せず)を本発明のパルス幅調整回路の入力側に接続した場合において、本パルス幅調整回路への入力レベル設定を不要とすることが可能となる。
【0062】
(他の変形例)
なお、以上の各実施形態において説明したパルス幅調整回路において、FETをバイポーラトランジスタに置き換えることが可能である。また、電源電圧はVSS<VDDであればよいので、何れかの端子を接地することができる。すなわち、VDD端子を正電圧としてVSS端子を接地し、またVSS端子を負電圧としてVDD端子を接地することができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明に係るパルス幅調整回路によれば、高速領域においてもパルス幅の調整範囲が広いパルス幅調整回路を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパルス幅調整回路の実施形態1の回路図である。
【図2】実施形態1の動作原理を説明するための信号波形図である。
【図3】本発明に係るパルス幅調整回路の実施形態2の回路図である。
【図4】本発明に係るパルス幅調整回路の実施形態3の回路図である。
【図5】本発明に係るパルス幅調整回路の実施形態4の回路図である。
【図6】本発明に係るパルス幅調整回路の実施形態5の回路図である。
【図7】本発明に係るパルス幅調整回路の実施形態6の回路図である。
【図8】本発明に係るパルス幅調整回路の実施形態7の回路図である。
【図9】本発明に係るパルス幅調整回路の実施形態8の回路図である。
【図10】従来技術の回路図である。
【符号の説明】
1,2 増幅回路
3 レベルシフト回路
11〜18,61,62,111,112,VIN,VINB,VREF,VOUT1,VOUT2,VCS,PWC 端子
21〜30,271〜273,281〜283,T1〜T7 FET(電界効果トランジスタ)
31〜34,351,352,361,362,371,372,R1,R2抵抗器
381,382 可変抵抗器
43,44 ダイオード
51〜57,521〜523,CS 電流源

Claims (6)

  1. 相補なパルス信号が入力される第1の差動対トランジスタを有する第1の差動増幅器と、該第1の差動増幅器からの差動出力信号をレベルシフトさせるレベルシフト回路と、第2の差動対トランジスタにシフトされた前記差動出力信号を入力して増幅する第2の差動増幅器とを備え、前記第1の差動対トランジスタに入力される差動パルス信号のパルス幅を制御信号に応じて可変して前記第2の差動増幅器より出力するパルス幅調整回路において、
    記制御信号により駆動されて夫々の電流値を可変される第1および第2のトランジスタを含む定電流源を備え
    該第1のトランジスタは、前記第1の差動対トランジスタの一方の出力負荷を介して電源の一端から他端に電流を流すように、該出力負荷と前記レベルシフト回路の共通接続点と前記一端または前記他端との間に接続され、
    前記第2のトランジスタは、前記第1の差動対トランジスタの他方の出力負荷を介して前記電源の前記一端から前記他端に電流を流すように、該出力負荷と前記レベルシフト回路の共通接続点と前記一端または前記他端との間に接続される、
    ことを特徴とするパルス幅調整回路。
  2. 請求項1に記載のパルス幅調整回路において、
    前記定電流源は、
    前記第1および前記第2のトランジスタが差動接続されてなる第3の差動対トランジスタと、
    該差動対トランジスタの共通接続端子と前記一端または前記他端との間に接続される別の定電流源と
    からなることを特徴とするパルス幅調整回路。
  3. 請求項2に記載のパルス幅調整回路において、
    前記別の定電流源は、前記共通接続端子と前記一端または前記他端との間に接続されるトランジスタと、該トランジスタとカレントミラー対をなす別のトランジスタを含んでなることを特徴とするパルス幅調整回路。
  4. 相補なパルス信号が入力される第1の差動対トランジスタを有する第1の差動増幅器と、該第1の差動増幅器からの差動出力信号をレベルシフトさせるレベルシフト回路と、第2の差動対トランジスタにシフトされた前記差動出力信号を入力して増幅する第2の差動増幅器とを備え、前記第1の差動対トランジスタに入力される差動パルス信号のパルス幅を制御信号に応じて可変して前記第2の差動増幅器より出力するパルス幅調整回路において
    前記第1の差動対トランジスタの両方の出力負荷と前記レベルシフト回路の共通接続点と電源の一端または他端との間に接続される第1および第2の定電流源と、
    該第1の定電流源の電流値を可変する手段であって、前記一端または前記他端との間に接続される第1の分圧手段による分圧比を可変して該第1の定電流源に入力することで該電流値を可変する第1の可変分圧手段と、
    前記第2の定電流源の電流値を可変する手段であって、前記一端または前記他端との間に接続される第2の分圧手段による分圧比を可変し前記第2の定電流源に入力することで該電流値を可変する第2の可変分圧手段と
    を備えることを特徴とするパルス幅調整回路。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のパルス幅調整回路において、
    前記第1および第2の差動対トランジスタはそれぞれFETであり、さらに、前記定電流源、前記別の定電流源、および前記第1および第2の定電流源はそれぞれFETであることを特徴とするパルス幅調整回路。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のパルス幅調整回路において、
    前記第1の差動増幅器の入力部に別のレベルシフト回路をさらに備え、該別のレベルシフト回路を介して前記相補なパルス信号を入力することを特徴とするパルス幅調整回路。
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