JP3945201B2 - 過マンガン酸塩水溶液の精製方法並びに土壌及び/又は地下水の浄化方法 - Google Patents

過マンガン酸塩水溶液の精製方法並びに土壌及び/又は地下水の浄化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過マンガン酸塩の水溶液を精製して含有量の極めて少ない過マンガン酸塩水溶液を得る過マンガン酸塩水溶液の精製方法と、この方法により精製された過マンガン酸塩の水溶液を用いて有機塩素化合物や水銀で汚染された土壌及び/又は地下水を効果的に浄化する土壌及び/又は地下水の浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び先行技術】
トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の有機塩素化合物により汚染された土壌の浄化方法として、この汚染土壌に酸化剤を注入することにより土壌中の有機塩素化合物を分解処理する方法があり、例えば、次のような方法が提案されている。
(i) 有機塩素化合物で汚染された土壌に水を加え、オゾンを通気する
(ii) 難分解性汚染土壌に過酸化水素を注入する
(iii) 塩化ベンジル汚染土壌に次亜塩素酸を添加する
【0003】
しかし、上記いずれの方法でも、土壌に添加した酸化剤の安定性が低く、酸化剤の自己分解等が生じる結果、特に、浄化対象区域が広い場合、酸化剤を全域に行き渡らせることが困難であった。そこで比較的安定な酸化剤として過マンガン酸塩を注入する方法が提案された(特開2000−210683,特開2001−9437,特願2000−91187,特願2000−318117,特願2001−106080)。
【0004】
過マンガン酸塩は比較的安定で、汚染土壌や地下水の浄化に利用しやすい物質である。従って、例えば汚染された帯水層土壌を浄化する場合、注入井戸と揚水井戸とを設け、注入井戸から過マンガン酸塩水溶液を注入し、揚水井戸から地下水を汲み上げ、帯水層内の地下水に自然条件以上の流速を与えることにより、広い汚染範囲を効率的に浄化することが可能である。
【0005】
一方、重金属類で汚染された土壌の処理方法としては次のような方法が知られている。
(1) 土壌を水で洗浄し、土壌中の重金属類を除去する方法。
(2) 土壌を酸で洗浄し、土壌中の重金属類を除去する方法。
(3) キレート剤水溶液を添加して土壌中の重金属類を溶出除去する方法。
(4) 土壌を加熱し、重金属類を気化させて除去する方法。
(5) 土壌に電気を通じ、土壌中の重金属類を電極近傍に移動させて除去する方法。
【0006】
しかしながら、上記(1)(5)の方法では、除去率が低い(特に(1)の方法);土壌の中和等の後処理に時間と手間がかかる(特に(2)の方法);処理費用が高い(特に(4)(5)の方法);難分解性の薬剤を使用するため、処理後の環境への影響が懸念される(特に(3)の方法);煩雑な装置や操作を必要とする(特に、(4)(5)の方法。(4)の加熱気化による方法では、気化させた重金属の除去のための複雑な装置や煩雑な操作が必要となる。);原位置での処理が困難である(特に(1)(2)(3)の方法)などの問題点があった。
【0007】
このため、重金属類で汚染された土壌を複雑な装置や煩雑な操作を必要とすることなく、高度に浄化することができ、処理費用が低廉で原位置での処理も可能であり、しかも環境に対する影響も少ない汚染土壌の浄化方法として、重金属類で汚染された土壌に、過マンガン酸塩等の酸化剤溶液を接触させて浄化する方法が提案されている(特願2000−287294)。
【0008】
ところで、一般に工業用として提供される過マンガン酸塩、例えば過マンガン酸カリウムは、通常次のような方法で製造されている。
(1) 粉末マンガン鉱と水酸化カリウム水溶液をよく混合して酸化焙焼炉に入れ、加熱酸化してマンガン酸カリウムよりなる焙焼物を得る。
(2) (1)の焙焼物を水で浸出してマンガン酸カリウム水溶液を得、更にこれを電解酸化することにより過マンガン酸カリウム水溶液を得る。
(3) (2)の過マンガン酸カリウム水溶液を冷却して過マンガン酸カリウムの粗結晶を得、更に再結晶により精製する。
【0009】
また、環境省の定める特定地下浸透水基準があり、土壌及び/又は地下水の浄化方法に用いられる過マンガン酸塩等の薬品においても、この特定地下浸透水基準を満たす薬品を用いることが、環境への影響等の点から好ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)〜(3)の方法で製造された工業用過マンガン酸塩には、原料鉱石に由来する鉛等の重金属類が微量ではあるが含有されており、このために過マンガン酸塩の用途が限定される場合があった。例えば、このような過マンガン酸塩の水溶液を前述の汚染土壌や地下水の浄化に使用すると、環境省の定める特定地下浸透水基準を超過すること、並びに過マンガン酸塩中の重金属類による二次汚染の問題が懸念される。
【0011】
過マンガン酸塩の再結晶を繰り返すことにより、重金属類含有量の少ない高純度品を得ることはできるが、再結晶は煩雑な操作を必要とし、また処理に要する時間も長く、処理コストが高くつき、これを繰り返すことは経済性の面で問題がある。特に、汚染土壌や地下水の浄化には、大量の過マンガン酸塩が必要となるため、再結晶による精製は、経済性を著しく損なうものである。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、過マンガン酸塩の水溶液を簡易な操作で処理してを殆ど含まない過マンガン酸塩水溶液を得る精製方法と、この方法で精製された過マンガン酸塩水溶液を用いて有機塩素化合物や水銀で汚染された土壌及び/又は地下水を効果的に浄化する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の過マンガン酸塩水溶液の精製方法は、土壌及び/又は地下水の浄化に用いられる過マンガン酸塩水溶液を精製する方法であって、を含有する工業用過マンガン酸塩を水に溶解して調製した過マンガン酸塩の水溶液を濾材充填塔又は膜分離手段に通水することによりを除去することを特徴とする。
【0014】
過マンガン酸塩水溶液中の重金属類の一部は溶存イオンとして存在するが、主に過マンガン酸塩の還元生成物として極微量分散している不溶性の二酸化マンガンに吸着された形態、即ち固形物として存在する。従って、過マンガン酸塩の水溶液を濾材充填塔又は膜分離手段に通水することにより、これらを効率的に除去することができる。なお、過マンガン酸塩は通常水溶液として使用される場合が多く、過マンガン酸塩を固体としてではなく、水溶液として精製して精製過マンガン酸塩水溶液を得ることは、過マンガン酸塩の用途を制限するものではない。
【0015】
本発明において、濾材充填塔の濾材としては、砂、ヒドロキシアパタイト、リン鉱石、及びゼオライトよりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、特に濾材としてヒドロキシアパタイト又はリン鉱石を使用することにより、二酸化マンガンに吸着された固形物の重金属類のみならず、溶存イオンとして存在する重金属類をもイオン交換作用により除去することができ、好ましい。
【0016】
また、過マンガン酸塩水溶液は無機凝集剤を添加した後、濾材充填塔又は膜分離手段に通水しても良く、これにより、より一層効率的な重金属類の除去を行える。
【0017】
本発明の土壌及び/又は地下水の浄化方法は、有機塩素化合物及び/又は水銀で汚染された土壌及び/又は地下水を浄化する方法において、このような本発明の方法で精製された過マンガン酸塩水溶液を該土壌及び/又は地下水と接触させることを特徴とするものであり、簡易な操作で安価に精製処理された過マンガン酸塩水溶液を用いて、土壌及び/又は地下水を効果的に浄化することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の過マンガン酸塩水溶液の精製方法と、土壌及び/又は地下水の浄化方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
本発明においては、まず、工業用過マンガン酸塩を水に溶解して過マンガン酸塩水溶液を調製する。この過マンガン酸塩の溶解に用いる水に要求される純度は必ずしも高いものではないが、過マンガン酸塩を精製して重金属類を除去することから、重金属類を含まない水であることが好適であり、蒸留水、純水、超純水等が好適に用いられる。
【0020】
調製する過マンガン酸塩水溶液の過マンガン酸塩濃度は、低過ぎると大量の過マンガン酸塩水溶液を濾材充填塔又は膜分離手段に通水する必要があり、処理に長時間を要し効率が悪く、高過ぎると析出し易いことから、0.1〜10重量%程度が好適である。例えば、有機塩素化合物で汚染された土壌及び/又は地下水の浄化に用いる過マンガン酸カリウム水溶液であれば、1〜5重量%程度とするのが好ましい。
【0021】
過マンガン酸塩水溶液を通水する濾材充填塔の濾材としては、砂、ヒドロキシアパタイト、リン鉱石、ゼオライト等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、特にヒドロキシアパタイト、リン鉱石であれば、前述の如く、イオン交換作用でより効率的な精製を行える。
【0022】
このような濾材の粒子径は、取り扱い性、過マンガン酸塩水溶液との接触効率等の面から0.1〜2mm、特に0.5〜1mmの範囲であることが好ましい。
【0023】
濾材充填塔への過マンガン酸塩水溶液の通水条件は、処理効率、接触効率の面から空間速度1〜20hr−1程度、空塔線速度0.1〜10m/hr程度とするのが実用的である。
【0024】
濾材充填塔への通水方式は上向流、下向流のいずれであっても良い。
【0025】
また、膜分離手段に使用する膜の孔径は、過度に小さいと圧力損失が高く、濾過効率が悪くなり、過度に大きいと重金属類を十分に除去し得ないことから、0.1〜20μm程度であることが好ましい。この膜及び膜分離手段の他の接液部の材質は過マンガン酸塩水溶液に耐性があることが必要であり、膜としては、例えば無機セラミック膜、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂膜、ポリプロピレン膜などが挙げられる。
【0026】
膜分離手段への通水条件には特に制限はなく、用いた膜分離手段の通常の通水条件を採用することができる。
【0027】
本発明においては、過マンガン酸塩水溶液を濾材充填塔又は膜分離手段に通水するに先立ち、過マンガン酸塩水溶液に無機凝集剤を添加し、重金属類の固形物を凝集させた状態で通水しても良く、このようにすることで、微粒子状の重金属類吸着固形物を予め凝集させて、濾材充填塔又は膜分離手段によりこれらを高度に除去することが可能となる。また、孔径の比較的大きな膜分離手段を用いても重金属類を高度に除去することが可能となる。
【0028】
この場合、無機凝集剤としては、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等を用いることができ、その添加量は、過マンガン酸塩水溶液中の微粒子量等によっても異なるが、通常の場合1〜100mg/L程度である。
【0029】
なお、精製対象とする過マンガン酸塩としては、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】
本発明の過マンガン酸塩水溶液の精製方法では、このようにして過マンガン酸塩水溶液を濾材充填塔又は膜分離手段に通水することで、例えば鉛含有量が0.005mg/L未満にまで除去された高清浄の過マンガン酸塩水溶液を得ることができる。
【0031】
本発明の土壌及び/又は地下水の浄化方法は、このような本発明の方法で精製された過マンガン酸塩水溶液を用いて、有機塩素化合物及び/又は水銀で汚染された土壌及び/又は地下水を浄化するものである。
【0032】
過マンガン酸塩水溶液を用いて水銀で汚染された土壌を浄化する場合には、例えば、次のようにして汚染土壌と過マンガン酸塩水溶液とを接触させれば良い。
(1) 土壌中の汚染された部分を特定し、この部分を矢板等の遮水壁で囲い、その内側に注入井戸と揚水井戸を掘孔する。注入井戸から過マンガン酸塩水溶液を注入して、汚染土壌と過マンガン酸塩水溶液とを接触させ、その後、揚水井戸から揚水して水銀が溶出した水を回収する。
(2) 掘削した汚染土壌をカラム内に入れ、このカラムに過マンガン酸塩水溶液を上向流又は下向流で通液して汚染土壌と過マンガン酸塩水溶液とを接触させ、カラムから流出した水銀溶出水を回収する。或いは、掘削した汚染土壌と過マンガン酸塩水溶液とをタンク内に入れ、必要に応じて撹拌して汚染土壌と過マンガン酸塩水溶液とを接触させ、その後固液分離し、水銀が溶出した水を回収する。この場合、固液分離後、再び過マンガン酸塩水溶液と撹拌混合する処理を繰り返し行っても良い。浄化した土壌は埋め戻す。
【0033】
ここで用いる過マンガン酸塩水溶液の過マンガン酸塩濃度は、重金属類の溶出効率の面からは高い方が好ましいが、過度に高濃度の溶液を用いることは薬剤コスト、溶液の取り扱い作業等の面で好ましくない。この過マンガン酸塩水溶液の過マンガン酸塩濃度は、用いる過マンガン酸塩の種類や土壌との接触方法によっても異なるが、一般的には土壌、地下水と接触している時に0.2〜100.0mg/L程度になるような濃度のものを用いるのが好ましい。
【0034】
なお、汚染土壌中の溶出除去対象重金属としては、総水銀(T−Hg)、ヒ素(As)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr(III)とCr(VI))等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
【0035】
また、過マンガン酸塩水溶液により有機塩素化合物で汚染された土壌及び/又は地下水を浄化する場合にも、前記水銀で汚染された土壌の浄化方法と同様に、垂直井戸を汚染物質が存在する深度まで形成し、過マンガン酸塩水溶液を加圧注入する方法;この操作の前にさらにハイドロフラクチャリング等の技術を用いて土壌中に隙間を作ってから過マンガン酸塩水溶液を加圧注入する方法;帯水層の深度にスクリーンを持つ井戸を形成して過マンガン酸塩水溶液を井戸内に注入し、スクリーンから拡散させる方法;更には水平井戸を用いて上記と同様の操作を実施する方法等を採用することができる。また掘削した土壌と過マンガン酸塩水溶液とを混合した後、処理土壌を埋め戻すことも可能である。
【0036】
この場合であっても、前述の如く土壌中の汚染された部分を特定して、この部分を矢板等の遮水壁で囲い、その内側に注入井戸と揚水井戸を掘孔し、注入井戸から過マンガン酸塩水溶液を注入して、汚染土壌と過マンガン酸塩水溶液とを接触させ、その後、揚水井戸から揚水して水を回収する方法により、原位置にて効率的な処理を行える。
【0037】
なお、用いる過マンガン酸塩水溶液の過マンガン酸塩濃度は0.1〜5重量%程度であることが好ましく、処理対象となる有機塩素化合物としては、ジクロロエチレン(DCE)、トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)等の塩素化エチレン類等が挙げられる。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0039】
実施例1〜4
工業用過マンガン酸カリウムを純水に溶解して濃度3重量%の過マンガン酸カリウム水溶液を調製した。この過マンガン酸カリウム水溶液の鉛含有量は0.015mg/Lであった。なお、用いた純水中の鉛濃度を測定したところ0.005mg/L未満であり、過マンガン酸カリウム水溶液の鉛は工業用過マンガン酸カリウム由来のものであると判断された。
【0040】
粒子径0.5〜1.0mmに篩い分けした表1に示す濾材を直径15mmのガラスカラムに充填高さが20mmとなるように充填した。このカラムに上記過マンガン酸カリウム水溶液を流量20mL/hr(空間速度5.7hr−1,空塔線速度0.1m/hr)の条件で下向流で10日間通水した。
【0041】
この通水期間中、所定時間経過毎に、カラムの流出液を採取して鉛濃度を測定し、結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
Figure 0003945201
【0043】
表1より、濾材充填塔に通水することにより、過マンガン酸カリウムを効率的に精製してを殆ど含まない過マンガン酸カリウム水溶液を得ることができることがわかる。
【0044】
実施例5〜10
実施例1と同様にして調製した過マンガン酸カリウム水溶液を表2に示す孔径のフッ素樹脂製のメンブレンフィルターで濾過し、濾液の鉛濃度を測定し、結果を表2に示した。
【0045】
【表2】
Figure 0003945201
【0046】
表2より、膜分離手段に通水することにより、過マンガン酸カリウムを効率的に精製してを殆ど含まない過マンガン酸カリウム水溶液を得ることができることがわかる。
【0047】
実施例11
実施例10において、過マンガン酸カリウム水溶液に無機凝集剤として塩化第二鉄を10mg/L添加した後、フッ素樹脂製メンブレンフィルターで濾過したところ、得られた濾液の鉛濃度は0.005mg/L未満であった。
【0048】
実施例12
総水銀1mg/kg−土壌で汚染された土壌1kgをガラスカラムに充填し、実施例1と同様にして過マンガン酸カリウムを純水に溶解させ、実施例1と同様の方法で精製した濃度0.1重量%の過マンガン酸カリウム水溶液5.0Lをカラムの上部から通水し、流出液中の総水銀(T−Hg)、過マンガン酸カリウム(KMnO)及び鉛(Pb)濃度を調べ、結果を表3に示した。
【0049】
また、処理後の土壌について、総水銀(T−Hg)、鉛(Pb)濃度を調べ、結果を表3に示した。
【0050】
【表3】
Figure 0003945201
【0051】
表3により、本発明の方法で精製した過マンガン酸カリウム水溶液を用いることにより、汚染土壌を効果的に浄化することができることがわかる。
【0052】
なお、人工的に汚染されていない天然土壌には、一般にPbが10〜20mg/kg−土壌程度含まれており、表3中の土壌中のPb含有量は土壌由来のものと考えられる。
【0053】
なお、実施例2〜11と同様の方法で各々精製した過マンガン酸カリウム水溶液を用いて実施例12と同様にして汚染土壌の処理を行ったところ、いずれも実施例12と同様の結果が得られ、効果的に汚染土壌を浄化することができることが確認された。
【0054】
実施例13
トリクロロエチレン(TCE)10mg/kg−土壌で汚染された土壌100gをバイアル瓶に入れ、実施例1と同様にして過マンガン酸カリウムを純水に溶解させ、実施例1と同様の方法で精製した濃度1.0重量%の過マンガン酸カリウム水溶液100mLを注入して密栓した。3日経過後に土壌中のTCE濃度と鉛(Pb)濃度を調べ結果を表4に示した。
【0055】
【表4】
Figure 0003945201
【0056】
表4より、本発明の方法で精製した過マンガン酸カリウム水溶液を用いることにより、汚染土壌を効果的に浄化することができることがわかる。
【0057】
なお、実施例2〜11と同様の方法で各々精製した過マンガン酸カリウム水溶液を用いて実施例13と同様にして汚染土壌の処理を行ったところ、いずれも実施例13と同様の結果が得られ、効果的に汚染土壌を浄化することができることが確認された。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の過マンガン酸塩水溶液の精製方法によれば、簡易な操作で安価に過マンガン酸塩を精製し、含有量が極めて少ない過マンガン酸塩水溶液を得ることができる。
また、本発明の土壌及び/又は地下水の浄化方法によれば、このようにして精製された不純物含有量の極めて少ない過マンガン酸塩水溶液を用いて、有機塩素化合物や水銀で汚染された土壌及び/又は地下水を効果的に浄化することができる。

Claims (5)

  1. 土壌及び/又は地下水の浄化に用いられる過マンガン酸塩水溶液を精製する方法であって、を含有する工業用過マンガン酸塩を水に溶解して調製した過マンガン酸塩の水溶液を濾材充填塔又は膜分離手段に通水することによりを除去することを特徴とする過マンガン酸塩水溶液の精製方法。
  2. 請求項1において、該濾材充填塔の濾材が、砂、ヒドロキシアパタイト、リン鉱石、及びゼオライトよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする過マンガン酸塩水溶液の精製方法。
  3. 請求項1又は2において、該過マンガン酸塩の水溶液に無機凝集剤を添加した後、濾材充填塔又は膜分離手段に通水することを特徴とする過マンガン酸塩水溶液の精製方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記濾材充填塔又は膜分離手段に通水することにより、鉛含有量が0.005mg/L未満にまで除去された過マンガン酸塩水溶液を得ることを特徴とする過マンガン酸塩水溶液の精製方法。
  5. 有機塩素化合物及び/又は水銀で汚染された土壌及び/又は地下水を浄化する方法において、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法で精製された過マンガン酸塩水溶液を、該土壌及び/又は地下水と接触させることを特徴とする土壌及び/又は地下水の浄化方法。
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