JP3944659B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベクトル制御により誘導電動機の回転速度を制御する誘導電動機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、誘導電動機を速度を制御する技術として、インバータを用いた可変電圧可変周波数による速度制御が知られている。さらに、近年では、より高精度に誘導電動機の速度を制御するべく、誘導電動機に供給される1次電流を、トルクに直接関与する励磁電流(磁束を発生させる電流)とトルク電流(トルクを発生させる電流)とでそれぞれ独立に制御することにより、直流電動機と同様にトルク制御可能なベクトル制御が実用化されている。従って、ベクトル制御においては、励磁電流指令及びトルク電流指令どおりに実電流が流れることが必須である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術のベクトル制御による誘導電動機の制御では、電力変換器の出力電圧が飽和する領域では、励磁電流指令及びトルク電流指令どおりの実電流が得られなくなるため、電流制御が不安定になり、よって正確な速度制御ができ難いという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて成されたもので、電力変換器の出力電圧が飽和する領域でも、誘導電動機の速度を確実に制御することができる誘導電動機の制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、電力変換器の出力電圧が飽和する領域で電流制御のゲインを可変調整することにより、飽和領域で発生する電流制御の不安定を回避したものである。
【0006】
このために、請求項1記載の本発明は、誘導電動機の制御装置に係り、直流を任意の周波数と電圧の交流に変換して誘導電動機に1次周波数と1次電圧として供給する電力変換器1と、前記誘導電動機で磁束を発生させる励磁電流指令値及びトルクを発生させるトルク電流指令値を出力する電流ベクトル制御回路2と、前記誘導電動機に供給される1次電流を励磁電流帰還値とトルク電流帰還値に変換して出力する座標変換回路3と、前記励磁電流指令値と前記励磁電流帰還値とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路5と、前記トルク電流指令値と前記トルク電流帰還値とが一致するようにトルク電流方向電圧を制御するトルク電流制御回路6と、前記誘導電動機の漏れインダクタンスと1次抵抗による逆起電力の励磁電流方向成分の電圧を前記励磁電流制御回路からの出力で補正して励磁電流方向電圧指令値を生成し出力する励磁電流方向成分電圧補償回路7と、前記誘導電動機の磁束で発生し誘起電圧係数による誘起電圧と1次抵抗による逆起電力のトルク電流方向成分の電圧とを前記トルク電流制御回路からの出力で補正してトルク電流方向電圧指令値を生成し出力するトルク電流方向成分電圧補償回路8と、前記励磁電流方向電圧指令値及び前記トルク電流方向電圧指令値に基づいて出力電圧指令値を演算する出力電圧指令演算回路9と、前記励磁電流方向電圧指令値及び前記トルク電流方向電圧指令値並びに前記励磁電流指令値及び前記トルク電流指令値から求められる1次角周波数に基づいて位相角指令値を演算する出力電圧位相角指令演算回路10と、前記出力電圧指令値及び前記位相角指令値に基づいて前記電力変換器を通じて前記誘導電動機へ供給する1次電圧を生成する空間座標変換回路11とから成る誘導電動機の制御装置において、前記出力電圧指令演算回路で得られた出力電圧指令値を監視し、前記電力変換器の出力電圧が飽和することを判別し、前記励磁電流制御回路及び前記トルク電流制御回路の各電流制御のゲインをそれぞれ飽和量に応じて高くするための電流制御ゲイン調整回路12を備えるものである。
【0008】
上記構成の誘導電動機の制御装置によれば、電力変換器の出力電圧が飽和する領域、例えば、その飽和の開始時点から電流制御のゲインを、電流制御動作の不安定を避けるための上限の完全飽和までの間に、その飽和量に応じて高くなるように調整される。この結果、電流制御の応答が一定に保持され、飽和領域を含めた安定な電流制御が行われる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の誘導電動機の制御装置の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施の形態の誘導電動機の制御装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は図1中の要部の処理機能を示すブロック図である。図1において、この誘導電動機の制御装置は、3相交流電源からの交流を直流化したのち、PWM制御方式によるインバータで任意の周波数と電圧の交流に再度変換し、この1次周波数及び1次電圧を誘導電動機IMに供給する電力変換器1が設けられている。
【0011】
さらに、この誘導電動機の制御装置は、外部から入力される速度指令値ωrrefが入力され、かつ、以降で説明する電流座標変換回路3が出力する励磁電流帰還値idfb 及びトルク電流帰還値iqfb から速度推定値ωr を求める電流ベクトル制御回路2を有している。さらに、誘導電動機IMへの1次電流(u相電流iu ,v相電流iv )を検出して座標変換を行った励磁電流帰還値idfb 及びトルク電流帰還値iqfb を送出する電流座標変換回路3が設けられている。
【0012】
また、この誘導電動機の制御装置は、電流ベクトル制御回路2からの励磁電流指令値idref及びトルク電流指令値iqrefに基づいて速度推定値ωr を演算して求め、さらに、この速度推定値ωr から1次角周波数ω1 を演算して出力する1次角周波数演算回路4を有している。また、励磁電流指令値idrefと電流座標変換回路3からの励磁電流帰還値idfb とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路5が設けられている。
【0013】
さらに、この誘導電動機の制御装置には、電流ベクトル制御回路2が出力するトルク電流指令値iqrefと電流座標変換回路3が出力するトルク電流帰還値iqfb とが一致するように制御するためのトルク電流制御回路6が設けられている。また、誘導電動機IMの漏れインダクタンスや1次抵抗による逆起電力の励磁電流方向成分の電圧を励磁電流制御回路5からの出力で補正した励磁電流方向電圧指令値Vdrefを生成して出力する励磁電流方向成分電圧補償回路7を有している。なお、励磁電流制御回路5及びトルク電流制御回路6は電流制御器56を構成している。
【0014】
また、この誘導電動機の制御装置は、誘導電動機IMの磁束で発生し誘導起電力係数による誘起電圧と1次抵抗による逆起電力のトルク電流方向成分の電圧をトルク電流制御回路6からの出力で補正したトルク電流方向電圧指令値Vqrefを生成して出力するトルク電流方向成分電圧補償回路8を有している。さらに、励磁電流方向成分電圧補償回路7からの励磁電流方向電圧指令値Vdrefとトルク電流方向成分電圧補償回路8からのトルク電流方向電圧指令値Vqrefとから求めた出力電圧指令値Vref を出力する出力電圧指令演算回路9が設けられている。
【0015】
さらに、この誘導電動機の制御装置には、励磁電流方向成分電圧補償回路7が出力する励磁電流方向電圧指令値Vdrefとトルク電流方向成分電圧補償回路8が出力するトルク電流方向電圧指令値Vqrefとの位相角を求め、かつ、1次角周波数演算回路4からの1次角周波数ω1 の積分値とから位相角指令値θref を出力する出力電圧位相角指令演算回路10を有し、また、出力電圧指令演算回路9が出力する出力電圧(1次電圧)指令値Vref と出力電圧位相角指令演算回路10が出力する位相角指令値θref からPWM信号を生成して出力する空間座標変換回路11を有している。
【0016】
なお、この誘導電動機の制御装置には、出力電圧指令演算回路9からの出力電圧指令値Vref を監視して、電流制御器56(励磁電流制御回路5、トルク電流制御回路6)での電流制御のゲインGa を調整するための電流制御ゲイン調整回路12が設けられている。
【0017】
次に、第1実施形態の動作について説明する。
3相交流電源からの交流を電力変換器1における図示しない電力変換素子で直流化する。この後、PWM制御方式のインバータで任意の周波数と電圧の交流に再度変換し、この1次周波数及び1次電圧を誘導電動機IMに供給する。
誘導電動機IMへの1次電流(u相電流iu ,v相電流iv )が電流座標変換回路3で検出され、ここで座標変換した励磁電流帰還値idfb 及びトルク電流帰還値iqfb を電流ベクトル制御回路2へ出力する。電流ベクトル制御回路2では電流座標変換回路3からの励磁電流帰還値idfb 及びトルク電流帰還値iqfb に基づいて速度推定値ωr を求める。
【0018】
この速度推定値ωr と外部から入力される速度指令値ωrrefとが一致するように励磁電流指令値idref及びトルク電流指令値iqrefが演算され、この励磁電流指令値idrefが1次角周波数演算回路4、励磁電流制御回路5及び励磁電流方向成分電圧補償回路7に入力される、また、トルク電流指令値iqrefが1次角周波数演算回路4、トルク電流制御回路6、励磁電流方向成分電圧補償回路7及びトルク電流方向成分電圧補償回路8へ入力される。
【0019】
なお、速度推定値ωr は、速度検出器が設けられている場合、この速度検出器からの速度検出値が用いられる。
次に、電流ベクトル制御回路2からの励磁電流指令値idrefが入力される励磁電流制御回路5では、励磁電流指令値idrefと電流座標変換回路3からの励磁電流帰還値idfb とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する。また、電流ベクトル制御回路2からのトルク電流指令値iqrefが入力されるトルク電流制御回路6では、このトルク電流指令値iqrefと電流座標変換回路3からのトルク電流帰還値iqfb とが一致するように、その制御が行われる。
【0020】
励磁電流方向成分電圧補償回路7は誘導電動機IMの漏れインダクタンスと1次抵抗とによる逆起電力の励磁電流方向成分の電圧を、励磁電流制御回路5からの出力で補正した励磁電流方向電圧指令値Vdrefを生成して出力電圧指令演算回路9及び出力電圧位相角指令演算回路10に出力する。トルク電流方向成分電圧補償回路8は、誘導電動機IMの磁束で発生し誘導起電力係数による誘起電圧と1次抵抗による逆起電力のトルク電流方向成分の電圧をトルク電流制御回路6からの出力で補正したトルク電流方向電圧指令値Vqrefを生成して出力電圧指令演算回路9及び出力電圧位相角指令演算回路10に出力する。
【0021】
出力電圧指令演算回路9では励磁電流方向成分電圧補償回路7からの励磁電流方向電圧指令値Vdrefとトルク電流方向成分電圧補償回路8からのトルク電流方向電圧指令値Vqrefとから出力電圧指令値Vref を次式(1)で求め、この出力電圧指令値Vref が空間座標変換回路11及び電流制御ゲイン調整回路12へ出力される。
【0022】
Vref =√(Vdref2 +Vqref2 ) …(1)
【0023】
出力電圧位相角指令演算回路10では励磁電流方向成分電圧補償回路7が出力する励磁電流方向電圧指令値Vdrefとトルク電流方向成分電圧補償回路8が出力するトルク電流方向電圧指令値Vqrefとの位相角を次式(2)で求め、かつ、1次角周波数演算回路4が出力する1次角周波数ω1の積分値とを合成した位相角指令値θref を空間座標変換回路11に出力する。
【0024】
θL =tan-1(Vqref/Vdref) …(2)
【0025】
空間座標変換回路11は、出力電圧指令演算回路9からの出力電圧指令値Vref と、出力電圧位相角指令演算回路10からの位相角指令値θref からPWM信号を生成して電力変換器1における図示しないインバータを駆動する。また、電流制御ゲイン調整回路12は出力電圧指令演算回路9からの出力電圧指令値Vref を監視して、電流制御器56のゲインGa (励磁電流制御回路5の励磁電流制御ゲインACRd 、トルク電流制御回路6のトルク電流制御ゲインACRq )を制御する。
【0026】
以下、この第1実施形態の電流制御ゲイン調整回路12及び電流制御器56での電流制御のゲインGa を飽和量に応じて高く可変して、電流制御を安定に行うための制御について説明する。
図3は出力電圧指令値Vref に対する電流制御器56のゲインGa の特性図であり、図4は出力電圧指令値Vref の絶対値がPWM搬送波の波高値の絶対値以下の場合の電流制御器56のゲインGa を説明するための図である。また、図5は出力電圧指令値Vref の絶対値がPWM搬送波の波高値の絶対値以上の場合の電流制御器56のゲインGa を説明すのための図である。
【0027】
図1から図5において、電流制御ゲイン調整回路12は出力電圧指令演算回路9からの出力電圧指令値Vref を監視して、電流制御器56のゲインGa (励磁電流制御回路5の励磁電流制御ゲインACRd 、トルク電流制御回路6のトルク電流制御ゲインACRq )を調整する。図3に示すように、このゲインGa 特性にあっては、出力電圧指令値Vref の値が100%以下ではゲインGa が一定である。すなわち、図4に示す出力電圧指令値Vref の絶対値がPWM搬送波の波高値の絶対値以下の場合にゲインGa は一定である。
【0028】
図3に示すゲインGa 特性では出力電圧指令値Vref の値が100%以上になると、この電力変換器1の出力電圧の飽和の開始時点から電流制御器56のゲインGa が出力電圧指令値Vref の(a)点まで高くなるように電流制御ゲイン調整回路12によって調整される。その後、完全飽和の領域では電流制御器56のゲインGa が一定になるように電流制御ゲイン調整回路12によって調整される。
【0029】
すなわち、図5に示すように出力電圧指令値Vref の絶対値がPWM搬送波の波高値の絶対値以上の電力変換器1の出力電圧の飽和の開始時点から、その飽和の増加に対応して電流制御器56のゲインGa が高くなるように電流制御ゲイン調整回路12によって調整される。なお、さらにゲインGa を増加させると電流制御動作が不安定になるため、そのゲインGa は上限を設けて一定になるようにしている。
【0030】
このように、この第1実施形態では、電力変換器1の出力電圧が飽和する領域での電流制御のゲインGa を飽和量に応じて高く調整する。換言すれば、電力変換器1の出力電圧が飽和する領域での電流制御の応答を一定に保持して、その電流制御が安定に行われる。
【0031】
次に第2実施形態ついて説明する。
この第2の実施形態の構成は第1実施形態と同様である。さらに、電力変換器1から電流制御ゲイン調整回路12までの基本的な動作も同様である。以下、前記の図1から図5を重複して用いて第2実施形態に対応した電流制御のゲインGa を低下させる動作について説明する。
【0032】
図6は出力電圧指令値Vref に対する電流制御器56のゲインGa の特性図であり、図1から図6において、電流制御ゲイン調整回路12は出力電圧指令値Vref を監視し、電流制御器56のゲインGa (励磁電流制御回路5の励磁電流制御ゲインACRd 、トルク電流制御回路6のトルク電流制御ゲインACRq )を調整する。図5及び図6に示すように、この第2実施形態のゲインGa 特性では出力電圧指令値Vref の値が100%以上になると電流制御器56のゲインGa が、出力電圧指令値Vref の(b)点まで低下するように電流制御ゲイン調整回路12によって調整される。
【0033】
すなわち、図4に示すように出力電圧指令値Vref の絶対値がPWM搬送波の波高値の絶対値以下の場合にゲインGa は一定である。
また、図5及び図6に示すように、このゲインGa 特性では出力電圧指令値Vref の値が100%以上では電流制御器56のゲインGa が低下するように電流制御ゲイン調整回路12によって調整される。すなわち、図5及び図6に示すように出力電圧指令値Vref の絶対値がPWM搬送波の波高値の絶対値以上の飽和開始の時点からゲインGa が低下して零になる。なお、出力電圧指令値Vref の値が100%以上の飽和開始の時点で電流制御器56のゲインGa が、零になるように電流制御ゲイン調整回路12で電流制御器56を調整するようにしても良い。
【0034】
このように、この第2実施形態では、電力変換器1の出力電圧が飽和する領域での電流制御のゲインGa を低下させ、又は零に調整している。この結果、電力変換器1の出力電圧が飽和する領域で、次第に電流制御器56の依存性が低くなり、この結果、閉ループの電流源駆動から電圧源駆動に制御動作が切り替わることになり、その電流制御が安定に行われるようになる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の誘導電動機の制御装置によれば、電力変換器の出力電圧が飽和する領域での電流制御のゲインを高くなるように調整した場合は、その電流制御の応答が一定に保持できるようになるため、飽和領域でも誘導電動機の速度を確実に制御することができる。
【0036】
また、電力変換器の出力電圧が飽和する領域での電流制御のゲインが低下するように調整した場合、又は、飽和開始の時点で電流制御のゲインを零に調整した場合は、しだいに電流源駆動から電圧源駆動に制御動作が切り替わるため、飽和領域で発生する電流制御の不安定が回避され、よって、飽和領域でも誘導電動機の速度を確実に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の誘導電動機の制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の要部の処理機能を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態での出力電圧指令値に対する電流制御器のゲイン特性図である。
【図4】第1実施形態にあって出力電圧指令値がPWM搬送波の波高値以下の場合の電流制御器のゲインを説明すのための図である。
【図5】第1実施形態にあって出力電圧指令値がPWM搬送波の波高値以上の場合の電流制御器のゲインを説明すのための図である。
【図6】第2実施形態での出力電圧指令値に対する電流制御器のゲイン特性図である。
【符号の説明】
1 電力変換器
2 電流ベクトル制御回路
3 電流座標変換回路
4 1次角周波数演算回路
5 励磁電流制御回路
6 トルク電流制御回路
7 励磁電流方向成分電圧補償回路
8 トルク電流方向成分電圧補償回路
9 出力電圧指令演算回路
10 出力電圧位相角指令演算回路
11 空間座標変換回路
12 電流制御ゲイン調整回路
56 電流制御器
Claims (1)
- 直流を任意の周波数と電圧の交流に変換して誘導電動機に1次周波数と1次電圧として供給する電力変換器1と、
前記誘導電動機で磁束を発生させる励磁電流指令値及びトルクを発生させるトルク電流指令値を出力する電流ベクトル制御回路2と、
前記誘導電動機に供給される1次電流を励磁電流帰還値とトルク電流帰還値に変換して出力する座標変換回路3と、
前記励磁電流指令値と前記励磁電流帰還値とが一致するように励磁電流方向電圧を制御する励磁電流制御回路5と、
前記トルク電流指令値と前記トルク電流帰還値とが一致するようにトルク電流方向電圧を制御するトルク電流制御回路6と、
前記誘導電動機の漏れインダクタンスと1次抵抗による逆起電力の励磁電流方向成分の電圧を前記励磁電流制御回路からの出力で補正して励磁電流方向電圧指令値を生成し出力する励磁電流方向成分電圧補償回路7と、
前記誘導電動機の磁束で発生し誘起電圧係数による誘起電圧と1次抵抗による逆起電力のトルク電流方向成分の電圧とを前記トルク電流制御回路からの出力で補正してトルク電流方向電圧指令値を生成し出力するトルク電流方向成分電圧補償回路8と、
前記励磁電流方向電圧指令値及び前記トルク電流方向電圧指令値に基づいて出力電圧指令値を演算する出力電圧指令演算回路9と、
前記励磁電流方向電圧指令値及び前記トルク電流方向電圧指令値並びに前記励磁電流指令値及び前記トルク電流指令値から求められる1次角周波数に基づいて位相角指令値を演算する出力電圧位相角指令演算回路10と、
前記出力電圧指令値及び前記位相角指令値に基づいて前記電力変換器を通じて前記誘導電動機へ供給する1次電圧を生成する空間座標変換回路11とから成る誘導電動機の制御装置において、
前記出力電圧指令演算回路で得られた出力電圧指令値を監視し、前記電力変換器の出力電圧が飽和することを判別し、前記励磁電流制御回路及び前記トルク電流制御回路の各電流制御のゲインをそれぞれ飽和量に応じて高くするための電流制御ゲイン調整回路12を備えることを特徴とする誘導電動機の制御装置。
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