JP3944457B2 - 防振手袋の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防振手袋の製造方法に関する。本発明の製造方法によって得られる防振手袋は、振動を伴う作業、特に草刈り機や振動ドリル、サンダー、チェーンソー等手持ち振動工具を使用する作業の他、幅広い作業に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
農業、林業、土木建設業、製造業等の各分野において、草刈り機、電動ドリル、サンダーあるいはチェーンソー等の、振動を伴う手持ち工具が長年用いられている。これらの工具を使用する作業者は、手の汚れ、傷害の防止、あるいは保温といった目的の他に、前記工具から作業者の手に伝わる振動による末梢循環障害、末梢神経障害、あるいは骨・関節障害等の症状を呈する振動障害を防止するためにも、汎用の軍手や革製手袋、作業用手袋、各種防振手袋等を着用して作業に従事している。
【0003】
しかしながら、軍手を着用しての作業は滑りやすく、振動減衰効果が乏しい。革手袋の使用も柔軟性に欠ける上に滑りやすく、やはり振動減衰効果には乏しい。またゴム引き手袋等、一般的な作業用手袋を使用することにより滑りにくくはなるが、この場合も振動減衰効果が乏しい。従って前記問題を解決するため、手袋の掌側全面に防振用弾性部材を貼り付けた防振手袋や、掌側に空気室を設け、空気の圧力により振動を減衰させる防振手袋、掌側布地を二重にしてゴムホース状の樹脂を挿入した防振手袋等、各種の防振部材を複合させた防振手袋が提案されている。
【0004】
特開昭60−246803号公報(特許文献1)には、繊維製の手袋本体の掌に当たる部分の表面に設けられた発泡性樹脂組成物層の加熱発泡により手袋本体に固着されてなる防振層を有する防振手袋が記載されている。当該防振手袋は、優れた防振性能を有するとともに、工具のにぎり作業性にも優れているとされている。また、防振層の耐摩耗性を向上させるために、樹脂層をコーティングしても良いことが記載されている。
【0005】
特開2001−207314号公報(特許文献2)には、発泡剤を含有する合成ゴムラテックス中に手袋型を浸漬してゴム皮膜を形成し、さらにその上にもう一層のゴム皮膜を形成してから加熱して、加硫、発泡させてから手袋型から外す、ゴム手袋の製造方法が記載されている。また、特公平6−21365号公報(特許文献3)には、布手袋に凝固剤を含浸させてから、起泡したゴムラテックスに浸漬して布手袋外面に発泡ゴムラテックスの凝固層を形成した後、通常のゴムラテックスに浸漬して外面に固状ゴム皮膜を形成する、布つき防水性ゴム手袋の製造方法が記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−246803号公報(特許請求の範囲、第2〜3頁)
【特許文献2】
特開2001−207314号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特公平6−21365号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような各種の防振部材を複合させた防振手袋は、いずれも防振構造部分が肉厚であるために手の感覚が鈍り、しかも屈曲しにくいために作業性が悪く、スイッチの操作や治具交換などの細かい作業には不向きであった。また、このような防振手袋は防振部材を複合させるために製造工程が複雑となるので、高価になってしまう問題も有していた。
【0008】
特開昭60−246803号公報に記載された防振手袋では、発泡性樹脂組成物の樹脂成分は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の変性物、あるいはこれらの混合物からなる樹脂を使用するとされており、ゴム弾性を有する高分子素材を積極的に使用することについては記載されていない。加熱発泡させる温度は110〜180℃が好適であると記載されている。ゴム弾性を有する高分子素材を使用する場合には、発泡効果も併せて更なる振動減衰効果が期待されるものの、発泡剤の熱分解温度以上の加熱工程が必須となるために、加熱工程において、素材の表面酸化や熱老化による物性低下、粘着の発生等の障害を引き起こすおそれがあった。また、高温に加熱するためのエネルギーも要していた。
【0009】
特開2001−207314号公報には、発泡剤を含有する合成ゴムラテックスを使用する方法が記載されている。しかしながら、ここで使用する発泡剤は加熱によって発泡させるものであるため、やはり加熱工程において、素材の表面酸化や熱老化による物性低下、粘着の発生等の障害を引き起こすおそれがあった。また、高温に加熱するためのエネルギーも要していた。しかも、当該公報に記載されているのは、衛生的で脱着性に優れた、全体がゴム製の手袋であり、防振性に関する記載はない。また、特公平6−21365号公報には、布手袋を起泡したゴムラテックスに浸漬することが記載されている。しかしながら、ラテックスを起泡させるには、機械設備が必要であるし、泡沫の形態が不安定となりやすく、発泡倍率のコントロールも容易ではない。また、起泡剤や泡安定剤などを添加する必要もあり配合組成が複雑になりやすい。さらに当該公報に記載されているのは防水手袋であって、防振性に関する記載はない。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、防振性、作業性及び着用感に優れた防振手袋の製造方法を提供することを目的とするものである。本製造方法によれば、発泡体からなる防振突起を簡便な操作で形成することが可能であり、しかも発泡操作に際して高温に加熱する必要がないから、ゴムや樹脂の劣化も防止でき、消費エネルギーの節減も可能である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、水の存在により気体を発生する発泡剤を高分子化合物エマルジョンに配合して、該エマルジョンを予め発泡させてから、粘度が50〜500dPa・sの発泡エマルジョンを手袋の掌側に不連続に塗布し、乾燥させることによって防振突起を形成することを特徴とする防振手袋の製造方法を提供することによって解決される。このとき、塗布した後、60〜110℃の温度条件下で乾燥することが好ましい。また、乾燥した後に、発泡剤を含有しない高分子化合物エマルジョンで掌全体の表面をコーティングし、再度乾燥させることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の防振手袋において、防振突起が形成される手袋の素材は特に限定されず、用途に応じて各種の素材の手袋を使用することができる。軍手や編織布で構成される手袋等、各種の布製手袋のみならず、皮製手袋、プラスチック製手袋あるいはゴム製手袋などを使用することができる。中でも、作業性が良好で、着用感に優れる点から、布製手袋が好適に使用される。特に本発明においては、発泡したエマルジョンを塗布する際に、繊維の隙間に発泡エマルジョンが入り込んで投錨効果が発生し、強力な接着力が得られる点からも布製であることが好ましい。布製手袋の場合、綿、アクリル、ナイロン、ポリエステル等の繊維によって構成されていればどのような形状の手袋でも良く、必要に応じて生地の厚み等を自由に設定することができる。
【0013】
本発明の高分子化合物エマルジョンは、高分子化合物の微粒子が水中に分散したものであればよい。高分子化合物の種類は特に限定されないが、凝固することにより振動を吸収しやすい弾性体となることが容易なエマルジョンを採用することが好ましく、ゴムラテックスやゴム弾性を持つ水分散型樹脂エマルジョン、またはそれらの混合物等から広く選定される。ゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックスの他、スチレンブタジエンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリルブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス等が挙げられる。また水分散型樹脂エマルジョンとしては、塩化ビニル樹脂ラテックスの他、ポリウレタン樹脂水分散体、ポリアクリル酸エステル水分散エマルジョン、アクリル樹脂水分散エマルジョン、エチレンプロピレン非共役ジエン共重合体ラテックス等が挙げられる。なかでも好ましく採用されるのがゴムラテックスであり、耐摩耗性や滑り止め効果に優れることから、天然ゴムラテックスが特に好ましく使用される。エマルジョン中の高分子化合物の含有量は特に限定されるものではないが、通常20〜80重量%である。
【0014】
また、ゴムラテックスを使用する場合には、ラテックスの状態で個々のゴム粒子の内部が架橋されている、前加硫型ゴムラテックスを使用することが好ましい。本発明の製造方法によれば、比較的低温で乾燥するだけで発泡した防振突起を形成することが可能であり、後に加硫可能な温度まで上昇させる必要がないことから、予め加硫されたラテックスを使用することが、防振突起を強靭なものにするために望ましい。また、ポリウレタン樹脂水分散体も、同様に強靭な防振突起を形成することができて好ましい。このような原料を使用する場合、加硫工程や熱硬化工程等の高温加熱処理を省略しても強靭な防振突起を形成することができるから、特にゴムラテックスを原料とする場合に、素材の表面酸化や熱老化による物性低下、粘着発生等の障害を回避することが可能となる。
【0015】
高分子化合物エマルジョンに配合される発泡剤は、水の存在により気体を発生するものである。使用される発泡剤としては、水と反応して窒素ガスを発生するアゾ化合物、酸と水の存在下で炭酸ガスを発生する炭酸塩、加水分解して炭酸ガスを発生するイソシアネート及び酸素を発生する次亜塩素酸塩などが挙げられ、エマルジョンの種類、製造条件、防振手袋の用途などに対応して選択される。中でも、比較的低温で加水分解されて窒素や炭酸ガスを発生するアゾ化合物であるアゾジカルボンアミド(ADCA)や、炭酸塩とカルボン酸を組み合わせて使用する場合などが好適なものとして例示される。このとき、本発明の趣旨を阻害しない範囲内であれば、加熱によって発泡する発泡剤を併用しても構わない。
【0016】
前記発泡剤の添加量は、エマルジョン中に含まれる高分子化合物100重量部に対し、0.1〜20重量部であることが好ましい。0.1重量部未満の場合には発泡倍率が不十分になって振動減衰性能が低下するおそれがあり、より好適には0.5重量部以上である。一方、20重量部を超える場合には、発泡倍率が高くなりすぎ、防振突起の強度や耐摩耗性が低下するおそれがあり、より好適には10重量部以下である。
【0017】
また、発泡構造を安定に維持して、手袋への塗工性を良好にするために、エマルジョンに増粘剤を添加することが好ましい。増粘剤の種類は特に限定されず、各種の水溶性高分子化合物や水分散性高分子化合物などが好適に使用される。例えばポリアクリル酸などのカルボキシル基含有重合体やポリビニルアルコールなどの水酸基含有重合体などが好適に使用される。
【0018】
エマルジョンの中に、必要に応じてその他の各種薬品を配合することもできる。例えば、充填剤、可塑剤、界面活性剤(乳化安定剤)、老化防止剤、染顔料などを配合することができる。本発明の趣旨を阻害しない範囲内であれば、低温で架橋することの可能な加硫剤や加硫促進剤を配合しても構わない。
【0019】
これらの原料を均一に混合してからエマルジョンを発泡させる。発泡させる条件は、発泡剤の種類などによって適宜調整される。温度は、エマルジョン中の高分子化合物が劣化しにくく、しかも加熱エネルギーを抑制するためには、あまり高くないほうが好ましく、通常80℃以下、好適には50℃以下である。一方、低温すぎると発泡が不十分になるおそれがあり、通常0℃以上、好適には10℃以上である。最も好適には、エネルギーを要さない室温で発泡させる。発泡時間は、あまり短すぎると発泡が均一でなくなるおそれがあり、逆にあまり長すぎると作業効率が低下するので、通常1時間から1週間程度である。発泡時に適宜撹拌しても構わないが、通常、容器内に静置することによって発泡させることができる。
【0020】
塗布時の発泡エマルジョンの発泡倍率は、1.5〜5倍であることが好ましい。発泡倍率が1.5倍未満の場合には、振動減衰効果が低下するおそれがあり、より好適には2倍以上である。一方、発泡倍率が5倍を超えると、強度や耐摩耗性が低下するおそれがあり、より好適には3.5倍以下である。なお、ここで発泡倍率とは、未発泡のものの倍率を1倍とした時の見かけ体積を示した値である。このときの発泡エマルジョンの粘度は50〜500dPa・sであることが好ましい。粘度が50dPa・s未満の場合には、泡構造を保持することや、一定以上の高さの突起形状を維持することが困難になる場合があり、より好適には100dPa・s以上である。一方、粘度が500dPa・sを超える場合には、塗布作業が困難になる場合があり、より好適には400dPa・s以下である。また、上記粘度範囲に設定することによって、布製手袋に塗布する場合の染み込みの程度が適当になる。
【0021】
こうして得られた発泡エマルジョンを手袋の掌側に塗布する。塗布する方法は特に限定されないが、マスキング法が好適に採用される。マスキング法では、発泡エマルジョンを手袋基布の上へ不連続に点在するように塗布する。手袋の掌側の表面を不連続な開口部を有するマスキング板で覆い、これに対して適当な粘度を有する発泡エマルジョンをスキージで刷り込むことにより塗布される。この方法によれば、手袋基布を構成する繊維の隙間に発泡エマルジョンが入り込んで投錨効果が発生し、強力な接着力を得ることができる。防振突起を不連続に配置することによって、手の屈曲の障害になりにくく、作業性に優れた防振手袋を提供することができる。防振突起の配置は、屈曲性、柔軟性を保つため、手の屈曲を考慮に入れて関節部分等の箇所をできるだけ外すようにして配置する。また、発泡エマルジョン層の厚みは、必要に応じて自由に設定することができるが、後に行う乾燥工程の際に、気泡の体積が膨張することを考慮に入れると、塗布時の厚みは1.5〜8mmであることが好ましい。この厚みは、前記マスキング板の厚みにより容易に調整可能である。
【0022】
塗布後に乾燥する。乾燥時の温度は60〜110℃であることが好ましい。乾燥温度が60℃以下である場合には、乾燥時間が長くなりすぎるおそれがあり、より好適には70℃以上である。一方、乾燥温度が110℃を超える場合には均質な泡構造を保ったままで乾燥させることが困難になるおそれがあり、より好適には100℃以下である。乾燥時間は、乾燥温度等を考慮して適宜調整されるが、通常10分から5時間程度であり、好適には20〜90分である。
【0023】
このように乾燥することで、発泡体からなる防振突起が形成される。突起の高さは2〜10mmであることが好ましい。突起が2mm未満の場合には振動減衰性能が不十分になりやすく、より好適には3mm以上である。一方、突起が10mmを超えると、手の動きの障害になって作業性が低下するおそれがあり、より好適には8mm以下である。
【0024】
こうして防振突起が形成された防振手袋の掌側もしくは全面に、防振突起を覆うようにして、高分子化合物エマルジョンをコーティングして表面コート層を設けることが好ましい。こうすることによって、手袋基布の保護、手袋基布および防振突起の耐摩耗性の向上、滑り止め効果の向上などの効果を得ることができる。表面コート層を形成する高分子化合物エマルジョンに含まれる高分子化合物は、防振突起を形成する高分子化合物エマルジョンに含まれるものと同一種類のものであることが好ましい。それによって、防振突起と表面コート層との密着性が良好になる。
【0025】
耐摩耗性の観点からは、表面コート層を形成するエマルジョンには発泡剤が含まれていないほうが好ましい。また、粘度は1〜8dPa・s程度であることが好ましい。この範囲の粘度であることによって、布製手袋を浸漬した際に、内部にまで染み込まないで、全体を均一に塗膜で覆うことができる。表面コート層を塗布した後の乾燥条件は、防振突起を塗布した後の乾燥条件と同じような条件が採用できる。乾燥後に形成される表面コート層の好適な厚みは0.2〜1mm程度である。また、表面コート層を形成するに際しては、凝固剤を使用して塗膜を形成する方法である、凝着浸漬法を採用することもできる。
【0026】
こうして得られた防振手袋は、防振性、作業性及び着用感に優れており、振動を伴う作業、特に草刈り機や振動ドリル、サンダー、チェーンソー等手持ち振動工具を使用する作業に適したものである。そして、このような振動を伴う作業での使用はもちろん、一般的な作業用手袋と同じように農作業、運搬、土木作業等の幅広い用途にも使用できるものである。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。図1は、発泡エマルジョンを手袋に塗布する方法を示した図である。図2は実施例1で得られた防振手袋を掌側から見た図であり、図3はそのA−A端面図である。図4は実施例2で得られた防振手袋を掌側から見た図であり、図5は手の甲側から見た図であり、図6はそのB−B端面図である。
【0028】
実施例1
原料の詳細とその配合比は以下のとおりである。
・天然ゴムラテックス
167重量部(固形分として100重量部)
低引張応力型前加硫高アンモニア天然ゴムラテックス
Revertex社製「LR REVULTEX」
・安定化剤 1重量部
ポリオキシエチレンラウリルエーテル
花王株式会社製「エマルゲンLS−106」
・発泡剤 5重量部
アゾジカルボンアミド(ADCA)
三協化成株式会社製「セルマイクCAP」
・充填剤 15重量部
炭酸カルシウム
白石工業株式会社製「白艶華PX」
・老化防止剤 1重量部
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)
精工化学株式会社製「ノンフレックスMBP」
・分散剤 0.1重量部
β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩
花王株式会社製「デモールN」
・増粘剤 8重量部
カルボン酸含有アクリル系共重合体エマルジョン
東亞合成株式会社製「アロンA−7070」
・水 35.5重量部
【0029】
上記原料を使用し、以下の手順に従って配合した。
(1)まず、「LR REVULTEX」167kgをタンクに投入した。
(2)「エマルゲンLS−106」1.0kgを水4.0kgで希釈し、それを「セルマイクCAP」5.0kgに添加してよく撹拌した。次に「白艶華PX」15.0kgと水6.0kgを添加してさらによく撹拌した。こうしてスラリー状にしたものを上記タンクに投入して撹拌した。
(3)「ノンフレックスMBP」1.0kgを、「デモールN」0.1kg及び水1.5kgと共にボールミルへ投入し、24時間以上粉砕したものを上記タンクに投入してよく撹拌した。
(4)「アロンA−7070」8.0kgを水24.0kgで希釈し、それを上記タンクに投入して十分に分散するよう、よく撹拌した。
(5)得られたエマルジョン組成物を25℃にて3日間静置して熟成した。このとき同時に「セルマイクCAP」を加水分解させて発泡させた。
得られた発泡エマルジョンの発泡倍率は2.5倍であり、粘度は300dPa・sであった。
【0030】
図1に示すように、綿製編地からなる手袋1の内部に手型2を挿入し、掌側が上になるようにしてから、その上にマスキング板3を載置して、上述のようにして得られた発泡エマルジョンをスキージを用いて刷り込むようにして塗布した。マスキング板3には、楕円形の開口部4が設けられており、その厚みは5mmである。マスキング板3を外すことによって、手袋1の掌側に厚み5mmの発泡エマルジョン層が不連続に形成された。このとき、手袋1内部へのエマルジョンの浸透は認められなかった。これを85℃の熱風乾燥炉中に40分間投入して乾燥凝固させた。
【0031】
図2及び図3に示されるように得られた防振手袋5の表面には防振突起6が形成されており、その高さは6mmであった。得られた防振突起6は、手袋1に強固に接着しており、十分な強度を有していた。そして、防振突起6の存在によって、汎用の軍手や皮製手袋に比べて作業時に滑りにくくなっていた。また、防振突起6が不連続に形成されているために、屈曲性に富み、手の動きの妨げにはならなかった。
【0032】
得られた防振手袋の振動減衰効果について、JIS T−8114に記載されている方法により振動減衰率測定試験を行ったところ、表1に示す通りであり、防振手袋としての基準を十分満たしていることがわかった。
【0033】
実施例2
本実施例は、防振手袋の掌面全体に、さらに表面コート層を形成したものである。表面コート層を形成するためのエマルジョンは、以下の配合比で配合した。
・天然ゴムラテックス
167重量部(固形分として100重量部)
Revertex社製「LR REVULTEX」
・安定化剤 1重量部
花王株式会社製「エマルゲンLS−106」
・充填剤 15重量部
白石工業株式会社製「白艶華PX」
・老化防止剤 1重量部
精工化学株式会社製「ノンフレックスMBP」
・分散剤 0.1重量部
花王株式会社製「デモールN」
・増粘剤 2重量部
アクリル系共重合体ナトリウム塩水溶液
東亞合成株式会社製「アロンA−7150」
・水 11.5重量部
【0034】
発泡剤を使用せず、また、増粘剤を希釈する水を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、表面コート用エマルジョンを調製した。得られたエマルジョンの粘度は2.0dPa・sであった。
【0035】
実施例1と同様にして、手袋1の表面に防振突起6を形成した。上述のようにして得られた表面コート用エマルジョン中に、防振突起6が形成された手袋を掌側を下にして浸漬し、掌全面と指先部分をエマルジョンに浸して5秒間保持してから引き上げ、自然流下にて5分間たれ切りしてから、85℃の熱風乾燥炉中に40分間投入して乾燥凝固させた。これによって、厚さ0.5mmの表面コート層7を形成した。
【0036】
表面コート層7は、手袋1の布地と防振突起6の双方に強力に接着しており、手袋基布の保護、手袋基布および防振突起の耐摩耗性、滑り止め効果を向上させることができた。しかも柔軟で薄いことから、作業性も良好である。振動減衰率測定試験を行ったところ、表1に示す通りであり、表面コート層を形成しても防振性能はほとんど変化しなかった。
【0037】
【表1】
Figure 0003944457
【0038】
【発明の効果】
本発明の製造法によって得られた防振手袋は、振動減衰性能、作業性及び着用感に優れている。また、表面コート層を形成した場合には、それに加えてさらに耐摩耗性や滑り止め効果を向上させることができる。本製造方法によれば、発泡体からなる防振突起を簡便な操作で形成することが可能であり、製造工程において複雑な手作業を必要とせず、機械化、自動化が容易である。しかも発泡操作に際して高温に加熱する必要がないから、ゴムや樹脂の劣化も防止でき、消費エネルギーの節減も可能である。したがって、生産コストを抑えることが可能であり、結果的に安価な防振手袋を消費者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発泡エマルジョンを手袋に塗布する方法を示した図である。
【図2】実施例1で得られた防振手袋を掌側から見た図である。
【図3】実施例1で得られた防振手袋のA−A端面図である。
【図4】実施例2で得られた防振手袋を掌側から見た図である。
【図5】実施例2で得られた防振手袋を手の甲側から見た図である。
【図6】実施例2で得られた防振手袋のB−B端面図である。
【符号の説明】
1 手袋
2 手型
3 マスキング板
4 開口部
5 防振手袋
6 防振突起
7 表面コート層

Claims (3)

  1. 水の存在により気体を発生する発泡剤を高分子化合物エマルジョンに配合して、該エマルジョンを予め発泡させてから、粘度が50〜500dPa・sの発泡エマルジョンを手袋の掌側に不連続に塗布し、乾燥させることによって防振突起を形成することを特徴とする防振手袋の製造方法。
  2. 発泡倍率が1.5〜5倍である前記発泡エマルジョンを1.5〜8mmの厚さに塗布した後、60〜110℃の温度条件下で乾燥し、高さが2〜10mmの防振突起を形成する請求項1記載の防振手袋の製造方法。
  3. 乾燥した後に、発泡剤を含有しない高分子化合物エマルジョンで掌全体の表面をコーティングし、再度乾燥させる請求項1又は2記載の防振手袋の製造方法。
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