JP3944010B2 - 屋根材及び屋根施工構造及び屋根施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根材及び屋根施工構造及び屋根施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の屋根を葺く屋根材として、金属製(鋼板等)の瓦本体とこの瓦本体の裏面に重合状に設けられた所定肉厚のベース材(発泡スチロール等)とを有したものが知られている。
この種の屋根材では、瓦本体の前縁部で裏側へ向け突出する掛止縁と瓦本体の後縁寄りで表側へ向け突出する係止突起とを互いに係止させつつ屋根流れ方向の下から上へ葺き上げ施工する(例えば、特許第2834366号公報等参照)。
【0003】
ところで、この屋根材を屋根下地材上に幅方向(水平方向)へ並べながら張り付けてゆく過程では、図5に示すように、隅棟部などの屋根端部100で屋根材101の納まりをよくするために、この屋根材101を隅棟部100の角度に合わせて切断するということを行っている。
この場合、この切断されたうち使用する方の屋根材(符号103で示したもの)があまりにも小さくなりすぎると、釘固定が不能になり、これによって接着剤の使用が余儀なくされるので、このようなことは避けたいという施工現場からの要請がある。
【0004】
そこで、屋根材100をその幅方向で半分程度に切断することにより寸法調整用屋根材104を準備しておくものとして、この寸法調整用屋根材104につき、その使用の有無や切断長さの調整などを行って、上記した切断屋根材(103)が小さくなりすぎることのないようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
寸法調整用屋根材104の準備は現場加工、又は、略半分の調整用屋根材として用意する場合が多いが、現場加工の場合、切断機として丸鋸式やサンダー式のものを用いると、その周辺に切削屑を大量に発生させることになる。
なお、場合によっては、このような寸法調整用屋根材104の加工準備(切断作業)を屋根上で行わなければならないこともある。
そのため、これを原因として、寸法調整用屋根材104のみならず他の屋根材に対してもスリ傷(歩行傷)の発生やもらい錆びの発生等の悪影響を与えるということがあった。
【0006】
勿論、寸法調整用屋根材104の加工準備そのものが面倒であるといった問題や、この寸法調整用屋根材104によって発生する破材ロスが不経済となる問題等もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、わざわざ寸法調整用屋根材を用いなくても屋根端部での屋根材の納まりをよくすることができ、もって寸法調整用屋根材を準備するうえで生じていた各種の不具合を解消できるようにした屋根材及び屋根施工構造及び屋根施工方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
すなわち、本発明に係る屋根材1は、金属製瓦本体2とこの瓦本体2の裏面に重合状に設けられた所定肉厚のベース材3とを有したものであって、
瓦本体2は、後縁部に表側へ向け突出する係止突起6を備えると共に、前縁部に裏側へ向けて突出して係止突起6に係合可能な掛止縁5を備え、
前記掛止縁5は、一方の端部側の掛止縁5Yが他方の端部側の掛止縁5Xよりも後退寸法Lを有して形成されると共に、該他方の端部側の掛止縁5Xの内側に前記一方の端部側の掛止縁5Yを嵌め込み可能に形成されており、
前記係止突起6は、前記一方の端部側の掛止縁5Yに対応する部位を切除可能とされていると共に、前記ベース板3は、前記一方の端部側の掛止縁5Yに重なり合う部位を切除可能とされている。
【0008】
このような構成であると、この屋根材1を屋根下地材12上で幅方向(水平方向)へ張り付けてゆく過程で、隣接するもの(屋根材1)同士を嵌合させることができるようになる。
なお、この場合、嵌合させることができるのは瓦本体2である。従って、嵌合関係において外嵌側(外方へ被せる側)とする屋根材1では、ベース材3と、瓦本体の後縁寄りで表側へ向け突出する係止突起をその幅方向端部側から必要量だけ取り除いておく必要がある。
【0009】
このような屋根材1を使用して屋根を施工すれば、寸法調整用屋根材104は不要となるので、この寸法調整用屋根材104を加工準備(切断作業)する必要がなくなり、もって、この寸法調整用屋根材104を準備するうえで生じていた不具合も解消できる。
ここにおいて、「瓦本体2における幅方向の一端側が、他端側に対して所定長さ分の嵌合を許容する形状」としていること(即ち、外嵌可能な形状としていること)を補足すると、瓦本体2の幅方向両端部のうち、嵌合を可能にするために従来とは異なる形状とさせる端部は、外嵌側とする方の端部でも内嵌側とする方の端部でも、或いは両方の端部でもよい。
【0010】
すなわち、外嵌側端部と内嵌側端部との間で嵌合を可能にさせる構造は、相対的なものであるから、外嵌側を基準(従来と同じ形状)として内嵌側をそれより小さくしても、内嵌側を基準(従来と同じ形状)として外嵌側をそれより大きくしてもよいのである。
また、前記瓦本体2の掛止縁5は、前記瓦本体2の幅方向中途部を境として前記一方の端部側の掛止縁5Yと他方の端部側の掛止縁5Xとに二分されていることが好ましい。
【0011】
また、前記他方の端部側の掛止縁5Xが角張ったヤジリ形に折り曲げられて形成されると共に、前記一方の端部側の掛止縁5Yが前記ヤジリ形をカーブ形成して形成されていることが好ましい。
本発明に係る屋根施工構造は、このような本発明の屋根材1を建物の屋根下地材12上に幅方向へ並べて張り付けられていると共に、そのうち少なくとも一つの屋根材1は外嵌可能側とされる前記他方の端部寄りのベース材3の一部を取り除いた状態で隣接の屋根材1の内嵌可能側として係止突起6の一部を取り除いた前記一方の端部に重合した状態で外嵌されており、このときできる嵌合代によって屋根端部への納まりに応じた差し渡し長さに調整されている、というものである。
【0012】
また、本発明に係る屋根施工方法は、このような本発明の屋根材1を建物の屋根下地材12上に幅方向へ並べて張り付けてゆき、そのうち少なくとも一つの屋根材1では外嵌可能側とされる前記他方の端部寄りのベース材3の一部を取り除いたうえで隣接の屋根材1の内嵌可能側として係止突起6の一部を取り除いた前記一方の端部に重合した状態で外嵌するものとし、このときできる嵌合代によって屋根端部への納まりに応じた差し渡し長さを調節する、というものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1及び図2は、本発明に係る屋根材1の一実施形態を示している。
この屋根材1は、瓦本体2と、この瓦本体2の裏面に重合状に設けられた所定肉厚のベース材3とを有している。
瓦本体2は、鋼板をはじめ、アルミやステンレス等により形成された金属製のものとなっている。
【0014】
ベース材3は、例えば発泡スチロール等の軽量樹脂材により形成されている。
本実施形態で示した屋根材1の瓦本体2では、その前縁部で裏側へ向け突出する掛止縁5(5X及び5Yとして表記)が設けられていると共に、後縁寄りで表側へ向け突出する係止突起6が設けられたものとなっている。
そのためこの屋根材1は、図4に示すように瓦本体2の掛止縁5と係止突起6とを互いに係止させるようにしつつ、野地板10及びその上に敷かれたアスファルトルーフィン等の防水シート11等により形成された屋根下地材12上に、屋根流れ方向の下から上へ葺き上げ施工されるものとなっている。
【0015】
この屋根材1において、瓦本体2に設けられた掛止縁5は、瓦本体2の幅方向中途部を境としてその両側で断面形状が異なっている。
すなわち、図4中のA部を拡大して示した図3から明らかなように、一方の掛止縁5Xが角張ったヤジリ形に折り曲げられているのに対し、他方の掛止縁5Yは、このヤジリ形から外観上、顕著な違いがでない範囲でカーブ形成されたものとなっている。
具体的な一例を挙げれば、角張った方の掛止縁5Xとカーブした方の掛止縁5Yとの間に約3mm程度の後退寸法Lを生じさせるだけでもよい。
【0016】
これら両掛止縁5X,5Yの断面形状的な違いは、その断面形状そのものに意味があるのではなく、角張った方の掛止縁5Xの内側にカーブした方の掛止縁5Yが嵌め込まれるようになっている点、即ち、掛止縁5X,5Y間が互いに嵌合可能な関係になっていること、更に言えば、瓦本体2の幅方向の一端側が、他端側に対して所定長さ分の嵌合を許容する形状(外嵌可能な形状)に形成されていることに重要性がある。
このようなことから、本発明に係る屋根材1は、屋根下地材12上へその幅方向(水平方向)へ張り付けてゆく過程にあって、図2に二点鎖線で示すように、互いに隣接する屋根材1同士を所定量嵌合させることにより、それらの全体としての差し渡し寸法(幅方向の長さ寸法)を調節できることになる。
【0017】
なお、このように隣接する屋根材1同士を嵌合させる場合には、外嵌側(外方へ被せる側)とする方の屋根材1につき、そのベース材3と係止突起6を嵌合代に応じて幅方向端部側から取り除いておく必要があるが、ベース材3はそもそも発泡スチロール等の樹脂であることが多いので、簡単に取り除きができる。係止突起6は、現場加工にて切断する。
結果として、このような屋根材1を使用して屋根を施工すれば、従来は必要としていた寸法調整用屋根材104(図5参照)は不要となる。
【0018】
そのため、この本発明の屋根材1を用いて施工した屋根施工構造としての特徴は、従来の寸法調整用屋根材104を用いていないにも拘わらず、屋根端部での屋根材(図5中で符号103で示したもの)が小さくなりすぎるということを防止でき、もってわざわざ接着剤等を用いなくても、その納まりを良好にできるというものである。
従って当然に、この屋根施工構造を施工する方法として、寸法調整用屋根材104を加工準備(切断作業)は少なくなり、その面倒が解消されるのみならず、この寸法調整用屋根材104を準備するうえで生じていた、スリ傷の発生やもらい錆びの発生、切断後に出る破材のロス等といった不具合も解消できるものである。
【0019】
なお、掛止縁5X,5Yの断面形状をそれぞれどのようなものにするか、とか、瓦本体2の幅方向において掛止縁5X,5Yをそれぞれどの長さで形成させるか、とかについては、何ら限定されるものではない。
ただ、掛止縁5X,5Yが外観的な顕著な違いを呈するようになるのは、屋根全体としての外観性にも影響がでるので、できれば避けるのが好ましい。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0020】
例えば、上記実施形態では、掛止縁5X,5Yのみについて互いに嵌合関係を持たせるようにしたが、瓦本体2の断面形状全体として、このような嵌合関係を持たせるようなこともできる。
係止突起6の形状や掛止縁5X,5Yとの係合関係、及びそれ自体の有無などに関しては何ら限定されるものではない。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る屋根材及び屋根施工構造及び屋根施工方法では、わざわざ寸法調整用屋根材を用いなくても屋根端部での屋根材の納まりをよくすることができ、もって寸法調整用屋根材を準備するうえで生じていた不具合を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る屋根材の一実施形態を示した斜視図である。
【図2】 図1に示した屋根材の平面図である。
【図3】 図4のA部拡大図である。
【図4】 図1の屋根材を用いて施工した屋根(本発明に係る屋根施工構造)の側断面図である。
【図5】 従来の屋根施工構造及びその施工状況を説明した斜視図である。
【符号の説明】
1 屋根材
2 瓦本体
3 ベース材
5X,5Y 掛止縁
12 屋根下地材
Claims (5)
- 金属製瓦本体(2)とこの瓦本体(2)の裏面に重合状に設けられた所定肉厚のベース材(3)とを有する屋根材において、
瓦本体(2)は、後縁部に表側へ向け突出する係止突起(6)を備えると共に、前縁部に裏側へ向けて突出して係止突起(6)に係合可能な掛止縁(5)を備え、
前記掛止縁(5)は、一方の端部側の掛止縁(5Y)が他方の端部側の掛止縁(5X)よりも後退寸法(L)を有して形成されると共に、該他方の端部側の掛止縁(5X)の内側に前記一方の端部側の掛止縁(5Y)を嵌め込み可能に形成されており、
前記係止突起(6)は、前記一方の端部側の掛止縁(5Y)に対応する部位を切除可能とされていると共に、前記ベース板(3)は、前記一方の端部側の掛止縁(5Y)に重なり合う部位を切除可能とされていることを特徴とする屋根材。 - 前記瓦本体(2)の掛止縁(5)は、前記瓦本体(2)の幅方向中途部を境として前記一方の端部側の掛止縁(5Y)と他方の端部側の掛止縁(5X)とに二分されていることを特徴とする請求項1記載の屋根材。
- 前記他方の端部側の掛止縁(5X)が角張ったヤジリ形に折り曲げられて形成されると共に、前記一方の端部側の掛止縁(5Y)が前記ヤジリ形をカーブ形成して形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の屋根材。
- 建物の屋根下地材(12)上に請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の屋根材(1)が幅方向へ並べて張り付けられていると共に、そのうち少なくとも一つの屋根材(1)は外嵌可能側とされる前記他方の端部寄りのベース材(3)の一部を取り除いた状態で隣接の屋根材(1)の内嵌可能側として係止突起(6)の一部を取り除いた前記一方の端部に重合した状態で外嵌されており、このときできる嵌合代によって屋根端部への納まりに応じた差し渡し長さに調整されていることを特徴とする屋根施工構造。
- 建物の屋根下地材(12)上に、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の屋根材(1)を幅方向へ並べて張り付けてゆき、そのうち少なくとも一つの屋根材(1)では外嵌可能側とされる前記他方の端部寄りのベース材(3)の一部を取り除いたうえで隣接の屋根材(1)の内嵌可能側として係止突起(6)の一部を取り除いた前記一方の端部に重合した状態で外嵌するものとし、このときできる嵌合代によって屋根端部への納まりに応じた差し渡し長さを調節することを特徴とする屋根施工方法。
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