JP3942602B2 - 基板熱処理方法およびその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、塗布液が塗布された半導体ウエハやガラス基板などの基板に熱処理を行なうことにより、層間絶縁膜や保護膜などの所定の膜を形成する基板熱処理方法及びその装置に関する。
近年、半導体ウエハに形成される回路パターンが微細化、多層配線化しており、特に、層間絶縁膜上にアルミニウム等の配線パターンを形成する場合には、この層間絶縁膜の平坦性や絶縁性等が問題となっている。このような層間絶縁膜は、SOG(Spin on glass coating) や、ポリイミド塗布などによって形成されている。
例えば、ポリイミド塗布によって形成される層間絶縁膜は、次のように形成される。まず、スピンコータ装置などによって、半導体ウエハ上にポリイミド塗布液を均一に塗布する。ポリイミド塗布液が塗布された半導体ウエハは、熱処理を行なうためのチャンバに搬入される。このとき、その半導体ウエハは、チャンバ内に備える所定温度に加熱された基板加熱プレート上に載置される。チャンバ内に半導体ウエハが搬入されると、チャンバ内に不活性ガスが導入され、チャンバ内は低酸素濃度雰囲気になる。この低酸素濃度雰囲気において、その半導体ウエハがポリイミド塗布液の反応臨界温度以上に加熱されると、半導体ウエハ上のポリイミド塗布液が化学反応を起こして、誘電率が比較的低く平坦性の高い層間絶縁膜が形成される。
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
層間絶縁膜の誘電率を下げるために、ポリイミドやSOG等の塗布液が塗布された半導体ウエハは、低酸素濃度の雰囲気で加熱する必要があるが、従来、半導体ウエハがチャンバ内に搬入された直後に、チャンバ内に大気雰囲気が残った状態で半導体ウエハが所定温度に加熱されてしまい、層間絶縁膜の誘電率が上がるという問題がある。
具体的には、ポリイミドやSOG等の塗布液が塗布された半導体ウエハがチャンバ内に搬入されると、チャンバ内に不活性ガスが導入され、チャンバ内は低酸素濃度雰囲気になる。しかし、半導体ウエハがチャンバ内に搬入された直後から低酸素濃度雰囲気になるまでの間に、その半導体ウエハは、半導体ウエハに塗布された塗布液が化学反応を起こす反応臨界温度以上に加熱されてしまう。その結果、酸素濃度の比較的高い雰囲気で、化学反応が起こり層間絶縁膜内に酸素分子が取り込まれ、誘電率の高い層間絶縁膜が形成されてしまうという難点がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、誘電率の低い所定の膜を形成することができる基板熱処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。第1の発明は、
塗布液が塗布された基板を大気雰囲気よりも比較的酸素濃度の低い低酸素濃度雰囲気で熱処理することにより、前記基板上に所定の膜を形成する基板熱処理方法において、基板をチャンバ内に搬入する工程と、チャンバ内の基板を加熱処理する前に、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にする工程と、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にした後に基板を加熱処理する工程と、チャンバ内の低酸素濃度雰囲気で基板を加熱処理した後、基板を冷却プレートに近接させてチャンバ内で基板を冷却する工程とを備えたことを特徴とするものである。
[作用・効果]第1の発明によれば、基板をチャンバ内に搬入した後、基板を加熱処理する前に、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にし、この低酸素濃度雰囲気で基板を加熱処理するので、基板上に形成される所定の膜の誘電率を比較的低く抑えることができる。また、
基板を加熱処理した後、基板を冷却プレートに近接させてチャンバ内で基板を冷却する。
第2の発明は、塗布液が塗布された基板を大気雰囲気よりも比較的酸素濃度の低い低酸素濃度雰囲気で熱処理することにより、前記基板上に所定の膜を形成する基板熱処理方法において、基板をチャンバ内に搬入する工程と、チャンバ内の基板を加熱処理する前に、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にする工程と、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にした後に基板を加熱プレート上に載置して加熱処理する工程と、チャンバ内の低酸素濃度雰囲気で基板を加熱処理した後、基板を加熱プレートから離れた上方の離間位置に移動させて、チャンバ内で基板を冷却する工程とを備えたことを特徴とするものである。
[作用・効果]第2の発明によれば、基板をチャンバ内に搬入した後、基板を加熱処理する前に、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にし、この低酸素濃度雰囲気で基板を加熱処理するので、基板上に形成される所定の膜の誘電率を比較的低く抑えることができる。また、
基板を加熱処理した後、基板を加熱プレートから離れた上方の離間位置に移動させて、チャンバ内で基板を冷却する。
第3の発明は、塗布液が塗布された基板を大気雰囲気よりも比較的酸素濃度の低い低酸素濃度雰囲気で熱処理することにより、前記基板上に所定の膜を形成する基板熱処理装置において、チャンバと、チャンバ内に搬入された基板を加熱する基板加熱手段と、チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入手段と、チャンバ内で基板を冷却する冷却プレートとを備え、基板加熱手段は、ガス導入手段によりチャンバ内が低酸素濃度雰囲気になった後に基板を加熱し、冷却プレートは、加熱処理を受けた基板が近接されてチャンバ内で基板を冷却することを特徴とするものである。
第4の発明は、塗布液が塗布された基板を大気雰囲気よりも比較的酸素濃度の低い低酸素濃度雰囲気で熱処理することにより、前記基板上に所定の膜を形成する基板熱処理装置において、チャンバと、チャンバ内に搬入された基板を加熱する加熱プレートと、チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入手段と、チャンバ内で基板を加熱プレート上の位置と加熱プレートから離れた上方の離間位置との間で昇降させる基板昇降機構とを備え、基板昇降機構は、ガス導入手段によりチャンバ内が低酸素濃度雰囲気になった後に、離間位置から加熱プレート上に基板を移動させて基板に加熱処理を施し、基板に加熱処理を施した後は、基板を加熱プレートから離れた上方の離間位置に移動させてチャンバ内で基板を冷却させることを特徴とするものである。
本発明において、好ましくは、チャンバ内を不活性ガスで置換することにより、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にする。
さらに、本発明において、好ましくは、チャンバ内で基板を冷却した後に、チャンバを開放してチャンバ内を大気中の酸素雰囲気にする。このように構成すれば、基板の加熱処理によって比較的高温になっている基板を酸素雰囲気にさらすことを防止することができる。その結果、基板に形成される所定の膜の誘電率を比較的低く抑えることができる。具体的には、基板の加熱処理の後、所定の冷却時間が経過した後にチャンバを開放する。
チャンバを開放する開放手段は、例えば、予め設定された時間が経過した後に、チャンバを開放するタイマー開放機構で構成される。
本発明によれば、処理空間を低酸素濃度雰囲気にした後に基板を加熱処理するので、基板上に形成される所定の膜の誘電率を比較的低く抑えることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
本実施例では、BCB(ベンゾシクロブテン)などのいわゆるポリマー系塗布液や、HSQ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)などのいわゆるガラス系塗布液などの塗布液が塗布された例えば半導体ウエハなどの基板を低酸素濃度雰囲気において熱処理することにより、前述したポリマー系塗布液やガラス系塗布液内で重合反応などの化学反応を起こさせて、基板上に誘電率の比較的低い層間絶縁膜を形成する基板熱処理装置について説明する。
図1は、実施例に係る基板熱処理装置を示す概略縦断面図である。この基板熱処理装置は、半導体ウエハなどの基板Wを低酸素雰囲気で熱処理を行なうための処理空間1aを形成するチャンバ1と、チャンバ1を開閉するチャンバ開閉機構11と、チャンバ1内の底部に配備された、基板Wを加熱する加熱プレート4と、加熱プレート4の加熱温度を調節する温度調節部10と、加熱プレート4に対向する位置に配備された冷却プレート5と、冷却プレート5を冷却する冷却部9と、冷却プレート5と加熱プレート4との間で基板Wを昇降させる基板昇降機構6と、チャンバ1の開放や、基板Wの昇降などの制御をする制御部7と、制御部7の制御によって所定時間をカウントするタイマー部8とを備えて構成されている。なお、加熱プレート4は本発明における基板加熱手段に、冷却プレート5は本発明における冷却手段に、基板昇降機構6は本発明における基板移動手段に、制御部7は本発明における制御手段および開放手段に、それぞれ相当する。
チャンバ1は、略円柱形状の筐体が上下に分割されるように構成されており、その上部側であるチャンバ蓋2と、その下部側であるチャンバ基台3とを備えている。また、このチャンバ1には、チャンバ1を開閉するためのチャンバ開閉機構11が取り付けられている。このチャンバ開閉機構11は、チャンバ1を開放する(チャンバ蓋2とチャンバ基台3とを上下に分離する)ことで、チャンバ1内への基板Wの搬入・搬出を可能にしたり、チャンバ1を閉じる(チャンバ蓋2とチャンバ基台3との開口同士を突き合わせる)ことで、その内部には密閉された空間である処理空間1aを形成したりするものである。
チャンバ基台3には、処理空間1a内に不活性ガスとして例えば窒素ガス(N2 )を導入するガス導入口3aがその側壁の複数箇所に設けられている。各ガス導入口3aは、図示しない窒素ガス供給源に連通接続されていて、この窒素ガス供給源から送られてくる窒素ガスを処理空間1a内に導入する。また、チャンバ基台3の内側には、チャンバ1内に搬入されてきた基板Wを載置するとともに、その基板Wを加熱する加熱プレート4が配備されている。なお、ガス導入口3aは、本発明におけるガス導入手段に相当する。
チャンバ蓋2は、処理空間1a内の気体を排気する排気口2aがその天井面に設けられている。この排気口2aは、図示しない排気機構に連通接続されている。上述したガス導入口3aから処理空間1a内に窒素ガスが導入される際に、排気口2aから処理空間1a内の気体を排気することにより、処理空間1a内の雰囲気を、大気雰囲気から低酸素濃度雰囲気である窒素雰囲気に置換する。また、チャンバ蓋2の内側には、チャンバ基台3に配備された加熱プレート4に対向する位置に冷却プレート5が配備されている。
チャンバ開閉機構11は、チャンバ蓋2に連結接続されたチャンバ保持アーム11aを介してエアシリンダ11bに接続されて構成されている。エアシリンダ11bを駆動することで、エアシンダ11bのロッドを伸長してチャンバ保持アーム11aに連結接続されたチャンバ蓋2を上昇させる。このチャンバ蓋2の上昇によって、チャンバ蓋2とチャンバ基台3とを分離させてチャンバ1を開放する。一方、チャンバ蓋2を下降させることにより、チャンバ蓋2とチャンバ基台3とを突き合わせてチャンバ1を閉じる。
加熱プレート4は、チャンバ1内に搬入されてきた基板Wを載置する載置面4aを備え、この載置面4aに載置された基板Wを加熱するために、その載置面4aを加熱する例えば電熱線4bが埋設されている。この電熱線4bは、温度調節部10に接続されている。この温度調整部10は、電熱線4bに通電する電流を調節して、載置面4aを所定温度に保つものである。なお、加熱プレート4およびチャンバ基台3には、基板Wを支持する基板支持ピン64が貫通する3つの貫通孔が平面視で正三角形の配置になるように穿たれている。
冷却プレート5は、いわゆる水冷機構で構成されていて、その内部に形成される流路内で冷水を流通させることにより、その下面である冷却面5aを冷却するものである。この冷却プレート5は、冷却部9に接続されている。この冷却部9は、冷水を冷却プレート5に送るとともに、冷却プレート5から戻ってきた温められた水を冷却して、さらに冷却プレート5に送るものである。
基板昇降機構6は、チャンバ基台3および加熱プレート4を上下に貫く3本の基板支持ピン64と、これら基板支持ピン64が平面視で正三角形状に配置されるように連結支持するピン連結部材63と、ピン連結部材63を昇降するエアシリンダ61とを備えて構成されている。エアシリンダ61を駆動させることにより、ピン支持部材63と一体に、各基板支持ピン64を昇降させる。これにより、各基板支持ピン64は、加熱プレート4の載置面4aから突出して基板Wを所定位置である離間位置にまで持ち上げる一方、各基板支持ピン64が下降して加熱プレート4内に没入すると、基板Wが加熱プレート4の載置面4aに載置される。
制御部7は、RAM、ROM、CPUなどで構成される、いわゆるマイクロコンピータである。制御部7は、上述したチャンバ開閉機構11にチャンバ1を開閉するタイミングを制御したり、基板昇降機構6に基板Wの上昇・下降のタイミングを制御したりするものである。また、制御部7は、そのタイミングをとるために、タイマー部8に所定時間をカウントさせた後、その指示を送る。タイマー部8は、処理空間1a内を窒素ガスで置換する置換時間、基板Wを加熱する加熱時間および基板Wを冷却する冷却時間などの所定時間を管理するものである。例えば、タイマー部8は、制御部7から置換時間のカウント開始の指示があると、この置換時間をカウントした後、置換時間が経過したことを制御部7に指示する。なお、制御部7とタイマー部8との構成は、本発明におけるタイマー管理機構およびタイマー開放機構に相当する。
以下、図2に示すフローチャートと、図3および図4に示す動作説明図を参照しながら、本実施例の基板熱処理装置で行なわれる処理について説明する。
ステップS1(チャンバに基板を搬入)
基板熱処理装置を初期状態にするために、制御部7は、チャンバ開閉機構11にチャンバ蓋2の上昇を指示するとともに、基板昇降機構6に基板支持ピン64の上昇を指示する。チャンバ開閉機構11は、制御部7からの指示によって、エアシリンダ11bのロッドを伸長させて、チャンバ蓋2を上昇させる。基板昇降機構6は、制御部7からの指示によって、エアシリンダ61のロッドを伸長させて、3本の基板支持ピン64を上昇させる。なお、このとき、最上限まで上昇した基板支持ピン64の先端部の位置は、本発明における離間位置に相当する。また、このとき加熱プレート4は、すでに加熱されており、例えば100〜500°C内の任意の温度で維持された状態である。
図3(a)に示すように、基板熱処理装置が初期状態になると、前工程でポリマー系塗布液またはガラス系塗布液が塗布された基板Wが、図示しない基板搬送機構によってチャンバ1内に搬入される。チャンバ1内に搬入された基板Wは、3本の基板支持ピン63の先端部上(離間位置)に置かれる。離間位置に置かれた基板Wは、加熱プレート4から離間しており、加熱プレート4からの熱の影響を直接に受けないので、上述した塗布液が化学反応を起こす反応臨界温度以下の温度で維持される。
ステップS2(チャンバを閉じる)
制御部7は、基板支持ピン63の先端部上に基板Wが置かれると、チャンバ開閉機構11にチャンバ蓋2の下降を指示する。図3(b)に示すように、チャンバ開閉機構11は、エアシリンダ11bのロッドを短縮させて、チャンバ蓋2を下降させてチャンバ1を閉じる。チャンバ1が閉じられることによって、処理空間1aが形成される。また、チャンバ1が閉じられると、チャンバ蓋2側に配備された冷却プレート5がチャンバ蓋2とともに下降して、離間位置で保持されている基板Wに近接する位置にまで下降する。
一方、制御部7は、冷却部9に冷却水の循環を指示して、冷却プレート5を冷却する。冷却プレート5が冷却されると、その冷却面5aが冷却される。さらに、冷却面5aに近接する基板Wは、その冷却面5aによって冷却される。つまり、チャンバ1が閉じられて形成された処理空間1a内の雰囲気は、加熱プレート4の熱によって加熱される。その加熱された処理空間1a内の雰囲気によって、基板Wが反応臨界温度以上に上昇することを抑制するために、冷却プレート5によって基板Wを冷却する。したがって、ステップS2では、ステップS1と同様に基板Wの温度は、反応臨界温度以下で維持されている。なお、離間位置に保持される基板Wが、冷却プレート5によって冷却しなくても反応臨界温度以上に上昇しない場合には、ここでの冷却はしなくてもよい。
ステップS3(窒素ガスを導入)
制御部7は、チャンバ1を閉じると、図示しない窒素ガス供給源からガス導入口3aを通じて処理空間1a内に窒素ガスを送るとともに、処理空間1a内の大気雰囲気を窒素雰囲気に置換するために、チャンバ蓋2の排気口2aから処理空間1a内の気体を排気する。一方、制御部7は、窒素ガスの導入とともにタイマー部8に置換時間のカウントの開始を指示する。
ステップS4(基板を加熱位置に移動)
タイマー部8は、置換時間のカウントを開始する。置換時間は、例えば処理空間1a内の容積と、窒素ガスの単位時間当たりの導入量や処理空間1a内の気体の排気量などから算出したり、酸素濃度計などによって処理空間1a内が窒素ガスで置換される実際の時間を予め測定したりすることによって、適宜設定することができる。
タイマー部8は、置換時間のカウントが終了(置換時間が経過)すると、制御部7に置換時間が経過したことを指示する。この指示によって、制御部7は、基板昇降機構6に基板支持ピン64の下降を指示する。図3(c)に示すように、基板昇降機構6は、エアシリンダ61のロッドを短縮させて、基板支持ピン64を下降させて加熱プレート4の載置面4aに没入させる。3本の基板支持ピン64上で保持されていた基板Wは、基板支持ピン64の下降とともに移動されて、加熱プレート4の載置面4a上に載置される。制御部7は、基板Wが載置面4aに載置されると、タイマー部8に加熱時間のカウントの開始を支持する。一方、制御部7は、冷却部9に冷却水の循環の停止を指示する。冷却水の循環が停止すると、冷却プレート5は冷却されないので、処理空間1a内の雰囲気の温度を低下させない。つまり、処理空間1a内の気体を冷却しないので、載置面4aに載置された後述する基板Wを効率良く均一に加熱することができる。
基板Wが載置面4aに載置されることによって、基板Wは加熱プレート4によって反応臨界温度以上に加熱される。このとき、処理空間1a内の雰囲気は、窒素ガスで置換された低酸素濃度雰囲気である窒素雰囲気になっており、基板W上に塗布された塗布液は、この低酸素濃度雰囲気において反応臨界温度以上に加熱されて化学反応を起こす。その結果、塗布液は、酸素分子を不必要に取り込むことなく、誘電率の低い層間絶縁膜を基板W上に形成する。なお、この載置面4a上の基板Wの位置は、本発明における加熱位置に相当する。ステップS4は、本発明における制御手段の機能に相当する。
ステップS5(基板を離間位置に移動)
タイマー部8は、加熱時間のカウントを開始する。加熱時間は、例えば基板Wに塗布された塗布液の焼成時間などによって適宜設定されるものである。
タイマー部8は、加熱時間のカウントが終了(加熱時間が経過)すると、制御部7に加熱時間が経過したことを指示する。この指示によって、制御部7は、基板昇降機構6に基板支持ピン64の上昇を指示する。図4(a)に示すように、基板昇降機構6は、エアシリンダ61のロッドを伸長させて、基板支持ピン64を上昇させる。基板支持ピン64は、載置面4a上である加熱位置から基板Wを上昇させて、離間位置にまで移動させる。
ステップS6(基板を冷却)
基板指示ピン64の上昇が終了すると、制御部7は、冷却部9に冷却水の循環を指示する。冷却部9は、冷却水を冷却プレート5に送って冷却プレート5を冷却する。離間位置で保持される基板Wは、冷却プレート5の冷却面5aに近接しているので、処理空間1a内の雰囲気の温度にかかわらず冷却プレート5によって冷却される。一方、制御部7は、基板Wが離間位置にまで移動すると、タイマー部8に冷却時間のカウントの開始を指示する。
ステップS7(チャンバの開放)
タイマー部8は、冷却時間のカウントを開始する。冷却時間は、所定温度に加熱した基板Wを、処理空間1a内で反応臨界温度以下になるまで冷却するのに費やされる時間によって適宜設定されるものである。
タイマー部8は、冷却時間のカウントが終了(冷却時間が経過)すると、制御部7に冷却時間が経過したことを指示する。この指示によって、制御部7は、チャンバ開放機構11にチャンバ1の開放を指示する。図4(b)に示すように、チャンバ開放機構11は、エアシリンダ11aのロッドを伸長させて、チャンバ蓋2を上昇させて、チャンバ1を開放する。このとき、大気中の酸素雰囲気がチャンバ1内に進入してくるが、基板Wはすでに反応臨界温度以下に冷却されているので、基板W上の層間絶縁膜が酸素分子を取り込んで誘電率を上昇させることはない。なお、ステップS7は、本発明における開放手段の機能に相当する。
ステップS8(チャンバから基板を搬出)
チャンバ1が開放すると、図示しない基板搬送機構は、チャンバ1内から基板Wを搬出して、その基板Wを次工程に搬送する。このとき、制御部7は、冷却水の循環、窒素ガスの導入および処理空間1a内の排気を停止して、基板熱処理装置の初期状態になり、基板搬送機構によって新たな熱処理前の基板Wが搬入されてくると、基板熱処理装置はステップS2〜S8を繰り返し行なう。
上述したように、チャンバ1内に搬入された基板Wを離間位置で保持した状態で処理空間1a内を低酸素濃度雰囲気にした後に基板Wを加熱するとともに、基板Wの加熱が終了すると、基板を離間位置に上昇させて冷却した後にチャンバ1から搬出しているので、基板W上に形成される層間絶縁膜の誘電率を常に低く保つことができる。その結果、特性の安定した製品を製造することができ、歩留りを向上させることも可能になる。
本発明は、次のように変形実施することも可能である。
(1)上述した実施例の基板熱処理装置では、処理空間1a内を窒素ガスで置換する時間をタイマー部8によって管理したが、例えば処理空間1a内の酸素濃度を測定することで、処理空間1a内の置換状態を管理することもできる。この場合、酸素濃度計と制御部7との組合せは、本発明における酸素濃度計管理機構に相当する。
具体的には、チャンバ1のチャンバ蓋2に形成された排気口2a付近に酸素濃度を検出する検出素子を取り付け、この検出素子の出力を酸素濃度計に接続する。この酸素濃度計の計測値を制御部7で常に監視できるように、制御部7に酸素濃度計を接続する。上述したステップS3〜S4において、制御部7は、処理空間1a内の酸素濃度を監視する。制御部7は、酸素濃度計の計測値が低酸素濃度である例えば酸素濃度100PPM以下になると、処理空間1a内が窒素雰囲気になったものと判断して、基板Wを加熱位置に移動させる。このように処理空間1a内の酸素濃度を計測することで、基板Wの加熱を低酸素濃度雰囲気でより確実に行なうことができる。
(2)上述した実施例の基板熱処理装置では、ステップS6において基板Wを冷却する際に、基板Wを離間位置に保持させた状態で、冷却プレート5によって冷却したが、例えば、離間位置に保持される基板Wと、加熱プレート4との間に、加熱プレート4からの熱を遮蔽する遮蔽部材を介在させるように構成することもできる。
図5に示すように、チャンバ1のチャンバ蓋2には、遮蔽部材50を処理空間1a内に挿入するための遮蔽部材挿入口2cが設けられており、その遮蔽部材挿入口2cには、この遮蔽部材挿入口2cの開口を塞ぐ挿入口蓋2bがチャンバ蓋2の内側に取り付けられている。遮蔽部材50が挿入されていない場合には、挿入口蓋2bは、処理空間1a内に大気の進入を防止するために遮蔽部材挿入口2cを塞いでおり、遮蔽部材50が挿入される場合には、挿入口蓋2bは、その挿入される遮蔽部材50に押されて、処理空間1aの内側に開くように構成されている。
遮蔽部材50は、加熱プレート4側から見て、基板Wを覆い隠す程度の面積を持った板状部材で形成されている。この遮蔽部材50には、遮蔽部材50が処理空間1a内に挿入される際に、3本の基板支持ピン64と干渉する部分にスリットが穿たれている。この遮蔽部材50の基端部側は、断面形状で「T」の字形状をしており、遮蔽部材50が処理空間1a内に完全に挿入された際に、遮蔽部材挿入口2cの開口を塞ぎ、処理空間1a内に大気雰囲気が進入してくるのを防止するように構成されている。さらに、遮蔽部材50に基端部側には、この遮蔽部材50を進退可能にする図示しない遮蔽部材駆動機構が設けられている。
ステップS5〜S6において、基板Wは、加熱位置から離間位置にまで移動される。離間位置に移動した基板Wは、冷却プレート5によって冷却される。このとき、遮蔽部材駆動機構は、遮蔽部材50を前進駆動させて、遮蔽部材50を遮蔽部材挿入口2cを塞ぐ挿入口蓋2bに押し当てる。さらに、遮蔽部材50を前進させて、処理空間1a内に遮蔽部材50を挿入する。遮蔽部材50が処理空間1a内に完全に挿入されると、遮蔽部材50は、加熱プレート4からの輻射熱などの熱を遮蔽する。これにより、基板Wは冷却プレート5によって、効率良く冷却される。基板Wの冷却が終了すると、遮蔽部材駆動機構は、遮蔽部材50を後退させて、処理空間1aから遮蔽部材50を引き出す。その後、ステップS7以降の処理を行なう。なお、遮蔽部材50が挿入される際には、大気雰囲気が処理空間1a内に流れ込むのを防止するために、ガス導入口3aからの窒素ガスの導入量を増やして、処理空間1a内を比較的高めの陽圧にしてもよい。
上述したように、基板Wを冷却する際に、遮蔽部材50を基板Wと加熱プレート4との間に介在させることで、基板Wが加熱プレートからの輻射熱によって加熱されることがないので、基板Wを効率良く冷却することができる。その結果、処理時間を短縮することができる。
(3)上述した実施例の基板熱処理装置では、冷却手段を用いて基板Wを冷却したが、例えば、処理空間1a内に冷却手段を設けずに、離間位置で保持された基板Wを自然に冷却するようにしてもよい。
(4)上述した実施例の基板熱処理装置では、冷却手段として冷却水によって冷却する水冷形式の冷却プレート4を用いたが、例えば、冷却した気体によって冷却プレート4を冷却する空冷形式の冷却手段で構成することもできる。
(5)上述した実施例の基板熱処理装置では、冷却手段として冷却水によって冷却する水冷形式の冷却プレート4を用いたが、例えば、冷却プレート4内の気体を断熱膨張させることにより、冷却プレート4内の気体自身を冷却させて冷却プレート4を冷却するように構成することもできる。
(6)上述した実施例の基板熱処理装置では、冷却プレート4を冷却水で冷却したが、例えば、液体窒素などの低温媒体によって冷却プレート4を冷却することもできる。
(7)上述した実施例の基板熱処理装置では、冷却手段として水冷形式の冷却プレート4を用いたが、その代わりに、ペルチェ素子を用いて基板Wを冷却するように構成することもできる。
(8)上述した実施例の基板熱処理装置では、処理空間1a内に窒素ガスを導入して、低酸素濃度雰囲気を達成したが、本発明はこれに限られず、例えばアルゴンガスやヘリュウムガスなどでもよい。
(9)上述した実施例の基板熱処理装置では、チャンバ1の開放時には窒素ガスの導入を停止したが、本発明はこれに限られず、チャンバ1の開放時にも窒素ガスを導入するようにしてもよい。
実施例の基板熱処理装置を示す概略縦断面図である。 基板熱処理装置で行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。 基板熱処理装置における基板の冷却までの動作を示す動作説明図である。 基板熱処理装置における基板の搬出までの動作を示す動作説明図である。 変形例の基板熱処理装置を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1 … チャンバ
2 … チャンバ蓋
2a… 排気口
3 … チャンバ基台
3a… ガス導入口
4 … 加熱プレート
5 … 冷却プレート
6 … 基板昇降機構
7 … 制御部
8 … タイマー部
9 … 冷却部
10 … 温度調節部
11 … チャンバ開閉機構
50 … 遮蔽部材
W … 基板

Claims (11)

  1. 塗布液が塗布された基板を大気雰囲気よりも比較的酸素濃度の低い低酸素濃度雰囲気で熱処理することにより、前記基板上に所定の膜を形成する基板熱処理方法において、
    基板をチャンバ内に搬入する工程と、
    チャンバ内の基板を加熱処理する前に、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にする工程と、
    チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にした後に基板を加熱処理する工程と、
    チャンバ内の低酸素濃度雰囲気で基板を加熱処理した後、基板を冷却プレートに近接させてチャンバ内で基板を冷却する工程と
    を備えたことを特徴とする基板処理方法。
  2. 塗布液が塗布された基板を大気雰囲気よりも比較的酸素濃度の低い低酸素濃度雰囲気で熱処理することにより、前記基板上に所定の膜を形成する基板熱処理方法において、
    基板をチャンバ内に搬入する工程と、
    チャンバ内の基板を加熱処理する前に、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にする工程と、
    チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にした後に基板を加熱プレート上に載置して加熱処理する工程と、
    チャンバ内の低酸素濃度雰囲気で基板を加熱処理した後、基板を加熱プレートから離れた上方の離間位置に移動させて、チャンバ内で基板を冷却する工程と
    を備えたことを特徴とする基板処理方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の基板熱処理方法において、
    チャンバ内を不活性ガスで置換することにより、チャンバ内を低酸素濃度雰囲気にする基板処理方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板処理方法において、
    前記方法は、さらに、
    チャンバ内で基板を冷却した後に、チャンバを開放してチャンバ内を大気中の酸素雰囲気にする基板処理方法。
  5. 請求項4記載の基板処理方法において、
    基板の加熱処理の後、所定の冷却時間が経過した後にチャンバを開放する基板処理方法。
  6. 塗布液が塗布された基板を大気雰囲気よりも比較的酸素濃度の低い低酸素濃度雰囲気で熱処理することにより、前記基板上に所定の膜を形成する基板熱処理装置において、
    チャンバと、
    チャンバ内に搬入された基板を加熱する基板加熱手段と、
    チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入手段と、
    チャンバ内で基板を冷却する冷却プレートとを備え、
    基板加熱手段は、ガス導入手段によりチャンバ内が低酸素濃度雰囲気になった後に基板を加熱し、
    冷却プレートは、加熱処理を受けた基板が近接されてチャンバ内で基板を冷却することを特徴とする基板熱処理装置。
  7. 塗布液が塗布された基板を大気雰囲気よりも比較的酸素濃度の低い低酸素濃度雰囲気で熱処理することにより、前記基板上に所定の膜を形成する基板熱処理装置において、
    チャンバと、
    チャンバ内に搬入された基板を加熱する加熱プレートと、
    チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入手段と、
    チャンバ内で基板を加熱プレート上の位置と加熱プレートから離れた上方の離間位置との間で昇降させる基板昇降機構とを備え、
    基板昇降機構は、ガス導入手段によりチャンバ内が低酸素濃度雰囲気になった後に、離間位置から加熱プレート上に基板を移動させて基板に加熱処理を施し、基板に加熱処理を施した後は、基板を加熱プレートから離れた上方の離間位置に移動させてチャンバ内で基板を冷却させることを特徴とする基板熱処理装置。
  8. 請求項6に記載の基板処理装置において、
    基板加熱手段と冷却プレートは、単一のチャンバで形成される処理空間内に配設されている基板処理装置。
  9. 請求項7に記載の基板処理装置において、
    前記装置は、さらに、加熱プレートから離れた上方の離間位置にある基板に対して近接する冷却プレートを備える基板処理装置。
  10. 請求項6から請求項9のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記装置は、さらに、基板を冷却した後に、チャンバを開放する開放手段を備える基板熱処理装置。
  11. 請求項10に記載の基板熱処理装置において、
    開放手段は、予め設定された時間が経過した後に、チャンバを開放するタイマー開放機構である基板処理装置。
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