JP3942345B2 - スクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、汚泥を搬送するスクリューコンベヤにおいて、軸部の軸周壁に汚泥が付着するのを防止するスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、汚水処理やし尿処理などで生じる脱水汚泥や乾燥汚泥(以下、「汚泥」という。)を搬送するスクリューコンベヤにおいて、その軸部の軸周壁に汚泥が付着するのを防止する装置として、図4に示されるものが採用されている。図4(a)には、従来のスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置に係るスクリューコンベヤの概略構成図が示されており、図4(b)には、同装置の部分拡大図が示されている。図4(a)(b)を参照しつつ従来のスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置について説明する。
【0003】
従来のスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置に係るスクリューコンベヤ50は、一端に汚泥の投入口52が設けられ他端にその汚泥の排出口53が設けられたトラフ51の中で軸部54を回転させ汚泥に軸方向の推進力を与えて投入口52から排出口53へ汚泥を搬送するように構成されている。
【0004】
このように構成されるスクリューコンベヤ50において、従来のスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置は、図4(b)に示されるようにチェーン57の一端に例えば平板材やアングル材で形成される掻取り用チップ56と他端に連結用金具58(例えばシャックル)とを設けてなるスクレーパ55が軸部54の軸線に沿ってその上方に複数吊下され、それぞれの掻取り用チップ56を軸部54の軸周壁にその自重により当接させるように構成されている。なお、このスクレーパ55は、図4(a)に示されるように軸部54の軸線上方でも特に投入口52近傍排出口側および排出口53の上方位置において量的に密になるように、またそれらの中間部においては量的に疎になるようにそれぞれ垂設されている。
【0005】
このように構成される従来のスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置においては、掻取り用チップ56が軸部54の軸周壁に当接するように吊下されているため、その軸周壁に付着した汚泥は、軸部54が回転することにより、掻取り用チップ56で掻き落される。
【0006】
一方、スクリューコンベヤ用汚泥付着防止手段の他の例として、軸部54の軸周壁にフッ素樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルムをライニングするようにしたものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置においては次のような問題点がある。すなわち、掻取り用チップ56を用いるものでは、この掻取り用チップ56が軸部54に当接されてはいるものの押し付け力が弱いので、付着性の弱い汚泥を掻き取らせることはできても付着性の強い汚泥(例えば高分子系汚泥や含水率の低い石灰系汚泥、更に付着性の強いこれらの乾燥汚泥)を十分に掻き取らせることができない。このため、付着した汚泥が成長し、搬送量低下ひいては搬送不能の事態に至ることもある。さらに、汚泥が投入される投入口52部直下の軸部54の軸周壁には特に汚泥が付着、成長しやすため、投入口52に連設されるシュート(図示されていない)が閉塞する可能性がある。この閉塞状態に至ると、シュートの分解作業や汚泥の掻出し作業などの復旧作業が必要となり、また復旧作業時の臭気の漏洩などの不具合も生じる。
【0008】
一方、軸部54の軸周壁にフッ素樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルムをライニングするようにしたものでは、ライニングを施した当初の期間は汚泥付着防止効果を発揮するものの、このスクリューコンベヤを繰り返し使用するに伴いフィルム表面が摩耗してその付着防止効果を減じ、結局、前述と同様の問題が発生する。
【0009】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、軸部の軸周壁に汚泥が付着するのを防止し、それによって汚泥の付着、成長に起因する搬送量低下や搬送不能、シュートの閉塞といった事態を回避することができるスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、第1発明によるスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置は、
一端に汚泥の投入口が設けられ他端にその汚泥の排出口が設けられたトラフの中で、軸部を回転させ螺旋状の回転羽根により汚泥に軸方向の推進力を与えて前記投入口から前記排出口へ汚泥を搬送するスクリューコンベヤにおいて、
前記軸部の軸周壁に、前記回転羽根の1ピッチ当たり1本または複数本のチェーンを少なくとも両端部を前記軸部に締結して揺動可能に懸架することを特徴とするものである。
【0011】
本発明においては、回転羽根の1ピッチ当たり1本または複数本のチェーンが軸部の軸周壁に揺動可能に懸架されるので、前記軸部の回転により、前記チェーンが前記軸部の軸周縁を揺動しつつ軸部と一体に廻される。このため、前記軸部の軸周壁に付着しようとする汚泥は、前記チェーンに付着して振り落とされ、またその軸周壁に付着しても前記チェーンを介して付着するので、その付着力が著しく減じられ、前記チェーンの揺動により剥がされ、振り落とされる。
【0012】
本発明によれば、前記軸部の軸周壁に付着しようとする汚泥は、前記チェーンによって振り落とされるため、その軸周壁に汚泥が付着するのを防止することができる。したがって、汚泥の付着、成長に起因する搬送量低下や搬送不能、シュートの閉塞といった事態を回避でき、当然その復旧作業(分解作業、汚泥の掻出し作業等)や復旧作業時の臭気の漏洩などの不具合をも回避することができる。
【0013】
本発明において、前記チェーンは、前記投入口近傍および前記排出口近傍において密に配されるのが好ましい(第2発明)。このようにすることで、前記トラフ内の汚泥が量的に密状態である前記投入口近傍および前記排出口近傍において第1発明の作用効果をより確実に発揮させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1には、本発明の一実施例に係るスクリューコンベヤの概略構成図が示され、図2(a)(b)には、同スクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置の概略構成図が示され、図3(a)(b)には、同スクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置のショートリンクチェーン(短鎖環)の取付説明図が示されている。
【0016】
本実施例のスクリューコンベヤ1は、一端に汚泥の投入口3が設けられ他端にその汚泥の排出口4が設けられたトラフ2の中で軸部5を回転させ汚泥に軸方向の推進力を与えて投入口3から排出口4へ汚泥を搬送するように構成されている。
【0017】
軸部5の軸周壁には、図2(a)に示されるように、ショートリンクチェーン(短鎖環)6がいわゆる平行懸架方式で懸架される。すなわち、ショートリンクチェーン(短鎖環)6の両端被締結部間の略中幅部(図ではA部)が垂れ下がるように、かつそれぞれの締結部を結ぶ線が軸部5の軸線と平行になるようにその両端をそれぞれ締結具7,7(例えば着脱容易なボルト)で締結され懸架される。こうすることで、ショートリンクチェーン(短鎖環)6は軸部5に揺動可能に懸架される。
【0018】
ここで、図3(a)(b)に示されるように、ショートリンクチェーン(短鎖環)6,6''の最下垂位置と軸周壁との距離で表される垂下量δは、トラフ2の内底と接触しない最大値を上限に、適宜量とるようにする。これまでの知見では、垂下量δが50mm以上であれば、所望の作用効果を得ることができる。
【0019】
次に、リンクチェーン(短鎖環)の選定および取付け上の留意点について以下に述べる。軸部の羽根ピッチは使用回転数や搬送物の比重等によって異なり、例えば環境保全分野では羽根ピッチ200〜400mmのものが多く用いられる。この場合には、呼び径6または7のリンクチェーン(短鎖環)を選択するのが好ましく、軸への締結も両端の2箇所でよい。一方、羽根ピッチが400mmを越える場合には、例えば図3(b)に示されるようにリンクチェーン(短鎖環)6''の両端を軸に締結するとともにその略中間位置も締結するのが好ましく、要するに羽根ピッチが大きくなるに伴って垂下量δを適宜量とりつつ連架されるように適宜位置で軸に締結すればよい。
【0020】
さらに、リンクチェーン(短鎖環)6の懸架本数として、羽根1ピッチあたり1または複数本懸架される。具体的に述べると、投入口3直下および排出口4近傍に位置する軸部5の軸周壁には、その軸周壁の全周に汚泥付着防止効果を得るために複数本(例えば4本)懸架し、それ以外では、投入口3と排出口4との中間に近づくに伴い漸次本数を減らし、その中間位置近傍で例えば1本程度懸架すればよい。これは、投入口3直下および排出口4近傍のトラフ2内では汚泥が量的に密状態であり、軸周壁全体がしばしば汚泥で覆われるからである。これに対し、投入口3と排出口4との略中間部のトラフ2内では、被搬送汚泥がトラフ2の内底からおよそ軸部の中心までを占めるに過ぎず、また順次排出口4側に押送されるためである。
【0021】
このように構成されるスクリューコンベヤ1において、例えば最も汚泥付着防止効果を必要とする投入口3直下での本実施例の作用効果を以下に説明する。まず、図示されないシュートを通じて落下された汚泥が投入口3から投入されると、投入口3の直下に位置する軸部の軸周壁はその汚泥で覆われてしまう。ところが、本実施例によればショートリンクチェーン(短鎖環)6を介して覆われるので、その軸周壁に付着しようとする汚泥の付着力は著しく減じられる。しかも、ショートリンクチェーン(短鎖環)6は軸部5が回転することにより揺動されつつその軸とともにその周縁を廻るため、その付着しようとする汚泥等を剥ぎ取り、振り落とすことができる。
【0022】
本実施例によれば、軸部5の軸周壁に付着しようとする汚泥はショートリンクチェーン(短鎖環)6により振り落とされるので、軸部5の軸周壁に汚泥が付着するのを防止することができる。したがって、汚泥の付着、成長に起因する搬送量低下や搬送不能、シュートの閉塞といった事態を回避でき、当然その復旧作業(分解作業、汚泥の掻出し作業等)や復旧作業時の臭気の漏洩などの不具合をも回避することができる。
【0023】
さらに、本実施例においては、専用の駆動装置を設ける必要がなく、また簡易な構成であるので、この汚泥付着防止装置を既設・新設のスクリューコンベヤに容易かつ低コストで設けることができる。
【0024】
ここで、本実施例においては、軸部として軸に板状羽根をつる巻状に連続して巻き付けたものが示されているが、この羽根形状に限られるものではなく、また羽根が断続しているものでも適用される。さらに、付着性物質の撹拌用として回転軸に羽根もしくは棒が設けられたものでも適用可能である。
【0025】
また、前述の説明では、環境保全分野で付着性のある汚泥を搬送するスクリューコンベヤに適用する実施例について述べたが、これに限られず、上水道分野、食品・薬品製造分野等において付着性のある搬送物を搬送するスクリューコンベヤについても適用可能である。
【0026】
さらに、本実施例においては、平行懸架方式の場合について述べたが、この平行懸架方式を、図2(b)に示されるように、いわゆる螺旋巻懸架方式としてもよい。すなわち、軸部5にショートリンクチェーン(短鎖環)6'をその両端被締結部間に垂下部が形成されるようにつる巻き状、言い換えれば螺旋状に巻きつけ、その両端をそれぞれ締結具7,7(例えば着脱容易なボルト)で締結されるものである。こうすることで、ショートリンクチェーン(短鎖環)6'は軸部5に揺動可能に懸架される。そして、螺旋巻懸架方式は、平行懸架方式の場合とその基本的な作用効果を同じくして、更にショートリンクチェーン(短鎖環)6'がより立体的に揺動されるという効果を奏するものである。
【0027】
また、リンクチェーン(短鎖環)の垂下量δ、選定、取付け上の留意点、懸架本数などは、基本的に平行懸架方式と同様である。
【0028】
なお、前述した平行懸架方式および螺旋巻懸架方式は、それぞれ単独で使用されてもよく、組み合わせて使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るスクリューコンベヤの概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例に係るスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置の概略構成図で、平行懸架方式を示す図(a)および螺旋巻懸架方式を示す図(b)である。
【図3】図3(a)(b)は、スクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置のショートリンクチェーン(短鎖環)の取付説明図である。
【図4】図4は、従来のスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置に係るスクリューコンベヤの概略構成図(a)および同装置の部分拡大図(b)である。
【符号の説明】
1 スクリューコンベヤ
2 トラフ
3 投入口
4 排出口
5 軸部
6,6',6'' ショートリンクチェーン(短鎖環)
7 締結具(ボルト)
Claims (2)
- 一端に汚泥の投入口が設けられ他端にその汚泥の排出口が設けられたトラフの中で、軸部を回転させ螺旋状の回転羽根により汚泥に軸方向の推進力を与えて前記投入口から前記排出口へ汚泥を搬送するスクリューコンベヤにおいて、
前記軸部の軸周壁に、前記回転羽根の1ピッチ当たり1本または複数本のチェーンを少なくとも両端部を前記軸部に締結して揺動可能に懸架することを特徴とするスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置。 - 前記チェーンは、前記投入口近傍および前記排出口近傍において密に配される請求項1に記載のスクリューコンベヤ用汚泥付着防止装置。
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