JP3942233B2 - 車輪旋盤 - Google Patents

車輪旋盤 Download PDF

Info

Publication number
JP3942233B2
JP3942233B2 JP13180997A JP13180997A JP3942233B2 JP 3942233 B2 JP3942233 B2 JP 3942233B2 JP 13180997 A JP13180997 A JP 13180997A JP 13180997 A JP13180997 A JP 13180997A JP 3942233 B2 JP3942233 B2 JP 3942233B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
support member
wheel support
main shaft
driving
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP13180997A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10315003A (ja
Inventor
富士雄 町井
勝彦 渡辺
Original Assignee
森精機興産株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 森精機興産株式会社 filed Critical 森精機興産株式会社
Priority to JP13180997A priority Critical patent/JP3942233B2/ja
Publication of JPH10315003A publication Critical patent/JPH10315003A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3942233B2 publication Critical patent/JP3942233B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Turning (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電車および機関車、客貨車などの車輌において、走行により摩耗,変形した車輪の削正または成形切削する車輪旋盤にかかり、特に、輪軸の両側に設けられた車輪部にブレーキディスクを一体に有する車輪の切削加工を行う車輪旋盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
電車および機関車、客貨車などの車輌において、走行により摩耗した車輪の削正または新タイヤの成形を切削加工する車輪旋盤がある。この種の車輪旋盤は、車輪を機械正面(または背面)に敷設した搬送レールより搬入し、対向して設けられた主軸台の回転自在な主軸の前端に設けられたセンタにより車輪を両側より芯出して支持するとともに、回転力伝達手段を車輪に係合させて前記主軸の回転を前記車輪に伝達し、輪軸の両端に設けられた車輪部を一対の刃物台に装着した工具で加工を行い、加工後は支持を解除して機械背面(または正面)に搬出される構造になっている。車輪の加工は、予め設定されたNCプログラムや倣いモデル等に基づいて行われる。また、前述の構成に加えて車輪を支持する際、各前記車輪部を搬送レールより所定量高い位置に持ち上げるようなリフターを設けている。
【0003】
ところで、車輪の中には、輪軸の両側に設けられた車輪部の両側面にブレーキディスクが一体に形成されたものがある。しかしながら、従来、このような車輪の前記ブレーキディスクを一台の車輪旋盤で切削加工しようとしても、刃物台や工具等と主軸台や回転力伝達手段等が干渉して加工ができないという問題があった。そこで、従来、ブレーキディスクが車輪部に一体に形成された車輪の前記ブレーキディスクを切削加工するには、車輪旋盤で踏面やフランジ面等の切削加工を行った後、車輪を車輪旋盤から取り外して、別工程でNC旋盤等の工作機械により行っていた。そのため、車輪旋盤、NC旋盤等の工作機械への車輪の着脱および車輪の搬送に多大な時間と労力とを要しており、作業効率が悪いという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、一台の車輪旋盤で車輪部の踏面やフランジ面を切削加工することができるだけでなく、踏面やフランジ面の切削加工を終えた車輪を車輪旋盤から取り外すことなく車輪部の側面に一体に形成されたブレーキディスクを切削加工することのできる車輪旋盤を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明の車輪旋盤は以下の構成からなる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、鉄道車両用の車輪の輪軸の両側に設けられた一対の車輪部と、この車輪部の少なくとも一方に一体的に形成されたブレーキディスクを切削加工する車輪旋盤であって、ベッド(19)上に対向して配置され、軸線を同一線上に有する主軸(3,3)を各々回転自在に支持するとともに、この主軸の軸線方向に進退移動自在な二つの主軸台(1,1)と、前記主軸の各々に進退移動自在に設けられ、前記主軸より突出して前記輪軸の端部を両側より支持する車輪支持部材(2,2,21,21,…)と、この車輪支持部材を前記主軸に対して進退移動させる車輪支持部材駆動手段(60,60,61,61,38,38,…)と、前記主軸の各々に設けられ、前記車輪支持部材によって支持された前記車輪と係合して前記主軸の回転を前記車輪に伝達する回転力伝達手段(4,4)と、前記二つの主軸台に対して各々一つまたは複数設けられ、前記主軸の軸線方向およびこの主軸軸線方向と直交する方向に移動自在であるとともに、前記車輪部および前記ブレーキディスクを切削加工する工具が装着された刃物台(8,8)と、前記二つの主軸台の少なくともどちらか一方と前記ベッドとのあいだに設けられ、前記主軸台を、前記回転力伝達手段と前記車輪とが係合可能な第1の位置と、この第1の位置よりも前記車輪から離間し、前記ブレーキディスクを加工する際、前記回転力伝達手段と前記ブレーキディスクとのあいだに、前記ブレーキディスクを切削加工するための工具が侵入可能な第2の位置のあいだで進退移動させる主軸台駆動手段(13,13)と、を有する車輪旋盤において、
前記主軸台と前記車輪支持部材のあいだに各々設けられ、前記車輪支持部材駆動手段の駆動によって前記車輪支持部材を前記車輪側に移動させ、前記車輪支持部材が前記輪軸の端部に当接した状態になったときに第1の検知信号を出力する第1の検知手段(32a)と、この第1の検知手段より検知信号が出力されたとき、この第1の検知信号を出力した側の前記車輪支持部材駆動手段による駆動を停止させ、両方の前記第1の検知手段より前記第1の検知信号が出力され、前記車輪支持部材駆動手段が停止した状態より前記車輪支持部材駆動手段を同時に再始動させる制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする車輪旋盤である
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車輪旋盤において、前記主軸台と前記車輪支持部材のあいだに各々設けられ、前記車輪支持部材駆動手段の駆動によって前記車輪支持部材を前記車輪の輪軸側に移動させ、前記車輪支持部材が前記車輪を支持して加工可能な状態になったときに第2の検知信号を出力する第2の検知手段(32b)を有し、前記制御手段は、前記第2の検知手段より前記第2の検知信号が出力されたとき、この第2の検知信号を出力した側の前記車輪支持部材駆動手段による駆動を停止させるように制御するものであることを特徴とする車輪旋盤である
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は本発明の車輪旋盤の全体構成図、図2および図3は本発明の車輪旋盤の主軸の構成図にかかり、図2は主軸先端側、図3は主軸後端側を示すもの、図4は本発明の要部の拡大図である。
【0007】
[車輪旋盤の全体構成の説明]
まず、図1に従って本発明の車輪旋盤の全体構成を概説する。この実施形態における車輪旋盤は門形構造のもので、車輪旋盤の前方または後方に敷設された搬入レールから車輪旋盤の中央の加工領域に搬入された車輪Wは、この加工領域内で所定の加工が施され、車輪旋盤の後方または前方に敷設された搬出レールを介して搬出される。この車輪旋盤により加工される車輪Wは、輪軸Waの両側に二つの車輪部Wb,Wbを有し、車輪部Wb,Wbの各々の両側面にブレーキディスクWc,Wcが一体的に形成されたものである。
車輪旋盤のベッド19の上には、門形のコラム12が立設されるとともに、一対の主軸台1,1が対向して設けられている。主軸台1,1の間には車輪Wが加工される加工領域Sが形成されている。また、主軸台1,1は、ベッド19の図示しないガイドに沿って後述する主軸3,3の軸線方向に加工領域Sに対して進退移動自在で、車輪旋盤の両側に配置された主軸台駆動手段としての第1の主軸台用シリンダ13,13の駆動によって相接近する方向または相離間する方向に進退移動する。すなわち、後述する回転力伝達手段が車輪に係合可能な第1の位置Aと、この第1の位置よりも車輪より離間して車輪の回転力伝達手段側端面を加工可能な第2の位置Bとに進退移動する。また、第2の主軸台用シリンダ13a,13aによって、車輪の搬出入位置と、加工領域に位置する加工位置とに進退移動する。これら、第1の主軸台用シリンダ13、第2の主軸台用シリンダ13aによる主軸台1の移動は、図示しないリミットスイッチ、近接スイッチと図示しない被検知部材等で確認されている。
【0008】
主軸台1,1には、同一軸線上(Z軸軸線上)にそれぞれ主軸3,3が回転自在に支持されている。主軸3,3の先端のテーパ穴または穴にはセンタ2,2が装着されたクイル21,21が主軸軸線上で主軸3,3に対して進退移動自在に設けられている。このクイル21およびセンタ2等で車輪支持部材が構成されている。そして、この車輪支持手段が主軸3,3の先端から車輪W側へ前進して車輪Wの輪軸Waの両端に形成された図示しないセンタ穴とセンタ2,2の前端テーパ部とが係合し、輪軸Waを両側から一定の力でセンタ支持することにより、車輪Wを加工領域Sで芯出しして支持する。
また、主軸3,3の先端には円盤状の面板3a,3aが取り付けられ、この面板3a,3aに車輪Wと係合して主軸3,3の回転とともに車輪Wを回転させる回転力伝達手段4が設けられている。この回転力伝達手段4は、同一円周上に均等間隔で複数(この実施形態では3個)設けられたジョーボディ4bと、このジョーボディ4bに圧力流体(この実施形態では圧力)の供給により進退移動自在に設けられ、圧力流体の供給方向を切換え弁(図示せず)によって切換えることにより車輪W側に突出して車輪Wと係合するジョー4aとから構成されている。
【0009】
コラム12には水平方向にクロスレール5,5が設けられ、このクロスレール5,5に沿ってZ軸方向(主軸3の軸線方向)に移動自在なサドル6,6が設けられている。サドル6,6には、Z軸方向に直交するX軸方向にクロススライド7,7が設けられている。複数の工具が装着され、割出し動作により所定位置に所定の工具を割り出すことのできる刃物台8は、このクロススライド7,7に設けられている。符号5a,5aは左右(図面の左右)のサドル6,6を各々Z軸方向に移動させる駆動体であるZ軸サーボモータ、符号11は刃物台8,8をクロススライド7,7に沿ったX軸方向に移動させる駆動体であるX軸サーボモータであり、ボールねじ(図示せず)を介して、サドル6,6、刃物台8,8を移動させる。
刃物台8,8は、Z軸方向およびX軸方向の所定位置に移動する刃物台本体14,14と、この刃物台本体14,14の対向する側に設けられ、車輪Wの踏面やフランジ面の切削加工を行う複数本の工具および後述のタッチセンサ等が放射状に取り付けられるとともに、所定の工具を所定の位置に割り出すことのできるタレットヘッド15,15と、このタレットヘッド15,15に設けられたディスク面切削装置16,16とを備えている。
【0010】
ディスク面切削装置16,16は、図示しないシリンダ等の駆動体を有していて、ブレーキディスクWc,Wcを切削加工するディスク切削工具Ta,Taを、タレットヘッド15,15の径方向にタレットヘッド15,15から車輪W側に突出した切削位置と、タレットヘッド15,15に収納されタレットヘッド15の旋回時にスプラッシュカバー(図示せず)、クロスレール5等と干渉しない退避位置との間で進退移動させる。また、ディスク面切削装置16,16にはディスク面計測装置17,17が設けられている。このディスク面計測装置17,17は、ブレーキディスクWc,Wcの位置(摩耗量)を計測するための計測ヘッドTb,Tbを有しているとともに、図示しないシリンダ等の駆動体を有していて、タレットヘッド15,15の径方向であってかつディスク切削工具Ta,Taの突出方向とは反対の方向に突出する。
【0011】
そして、計測ヘッドTb,Tbはタレットヘッド15,15から突出し、車輪WのブレーキディスクWc,Wcと当接可能な計測位置と、タレットヘッド15,15に収納されタレットヘッド15の旋回時にサドル6、スプラッシュカバー(図示せず)等と干渉しない退避位置との間で進退移動する。なお、計測ヘッドTb,Tbは、ブレーキディスクWc,Wcに接触子が接触したときに信号を出力するようになっている。そして、この信号を受信した図示しないNC装置は、左右の刃物台8,8の前記信号の出力時の移動データから、ブレーキディスクWc,Wcのディスク面の最大径と最小径の間の複数箇所(例えば4か所)の端面位置を読み取って摩耗量のデータとし、この摩耗量のデータから切り込み量のデータを作成する。両方のディスク面切削装置16,16は、前記摩耗量から作成された切り込み量(例えば摩耗量+α)に基づいて、ディスク切削工具Ta,Taにより両方のブレーキディスクWc,Wcを同時にまたはほぼ同時に切削加工することになる。
なお、図1において符号9は、加工領域Sの下方に設けられ、搬送レール9aを介して車輪旋盤に搬入されてきた車輪Wを所定高さ位置まで上昇させるリフターである。
【0012】
この車輪旋盤には、主軸台1,1の回転力伝達手段4,4が加工領域Sでセンタ2,2により支持された車輪Wの車輪部Wb,Wbと係合可能な第1の位置Aまたは、この第1の位置Aよりも車輪Wから離間し、ブレーキディスクWc,Wcの加工を行う際に刃物台8,8やディスク切削工具Ta,Taが主軸台1,1や回転力伝達手段4,4と干渉しない第2の位置Bで主軸台1,1を位置決めする位置決め手段が設けられている。この実施形態において前記位置決め手段は、ベッド19の加工領域S寄りに設けられた位置決めシリンダ55A,55Aと、この位置決めシリンダ55A,55Aよりも加工領域Sから遠い位置に設けられた位置決めシリンダ55B,55Bと、主軸台1,1に形成され、位置決めシリンダ55A,55Bによりベッド19から出没する係合部56A,56Bと係合する係合穴57,57とから構成されている。
【0013】
位置決めシリンダ55Aが駆動して係合部56Aを備えたピストンロッドを上昇させ、係合穴57に係合させると、主軸台1は加工領域S寄りの位置、つまり、第1の位置Aで位置決めされ、位置決めシリンダ55Bが駆動して係合部56Bを備えたピストンロッドを上昇させ、係合穴57に係合させると、主軸台1は加工領域Sより遠い位置、つまり、第2の位置Bで位置決めされる。位置決めされた主軸台1,1は図示しない固定手段によりベッド19に固定される。
また、位置決めシリンダ55A,55Bによる係合部の進退動作は、図示しないリミットスイッチ、近接スイッチ等で確認がされている。
なお、主軸台1,1を第1の位置Aまたは第2の位置Bで位置決めすることができるものであれば、上記位置決めシリンダ55A,55B等に限らず他の手段であってもよい。また、上記位置決めシリンダ55A,55Bを主軸台1,1側に設け、係合穴57,57をベッド19側に形成するものとしてもよい。更に、位置決めと固定とを兼ねるようなシリンダを主軸台1,1とベッド19との間に設けてもよい。
【0014】
[主軸3の説明]
次に、この車輪旋盤の主軸3の構成を図2および図3に従って説明する。なお、主軸3,3は対称な同一の構成を有しているので、一方の主軸3(図1において左側の主軸台1の主軸3)についてのみ図示および説明をし、他方の主軸3については図示および詳しい説明は省略する。また、以下の説明において「前」というときには図2および図3の右側を指し、「後」というときには同左側を指すものとする。
図2および図3に示すように、主軸3は主軸台1の後端側から前端側まで挿通していて、前端側と後端側を軸受18a,18bによって主軸台1に回転自在に支持されている。この主軸3は、駆動体である主軸用モータ10(図1参照)の駆動により回転される。すなわち、図1に示すように、主軸用モータ10の駆動軸と主軸3とはベルト10aにより連結されていて、主軸用モータ10の駆動により図示しない歯車列を介して主軸歯車3aが回転され、主軸3が回転される。
【0015】
[クイルの説明]
主軸3には主軸軸線に沿って貫通穴3bが形成されている。この貫通穴3bは、前端側の大径部3b1 と後端側の小径部3b2 とから構成されている。大径部3b1 の前端側には、大径部3b1 より所定量小径のクイル摺動穴部3b3 が形成されている。
貫通穴3bのクイル摺動穴部3b3 には、前端側からクイル21が挿入されている。このクイル21は、外周面がクイル摺動穴部3b3 と摺接して、主軸3に対して図示しない回転規制部材によって回転が規制されているとともに、主軸軸線方向に進退移動自在に支持されている。クイル21の前端の第1のテーパ穴21bにはセンタ保持部材22が嵌着され、このセンタ保持部材22の第2のテーパ穴22aにセンタ2が装着され主軸軸線上で保持されている。また、クイル21の後端には、主軸軸線上にねじ穴23aを有するナット部材23がボルト23bで取り付けられている。
【0016】
[ねじ軸24の説明]
貫通穴3bには、小径部3b2 から大径部3b1 まで挿通するねじ軸24が主軸軸線上に設けられている。このねじ軸24は、前端側のねじ部24aと後端側の軸部24bと、ねじ部24aと軸部24bの間に形成されたフランジ部24cとから構成されている。ねじ部24aは前端側からナット部材23のねじ穴23aに螺入されている。また、軸部24bは、後述するスライド部材30の円筒部30bの前端にボルトで取り付けられた係合部材27に保持された軸受29aによって、主軸3に対して回転自在に支持されている。また、係合部材27とフランジ部24cとの間にはスラスト軸受28が介在していて、係合部材27に対してフランジ部24cが相対回転できるようになっている。符号50は軸部24bのねじ部に螺着されたナットで、軸受29aが抜け出さないように規制しているとともに、軸受29a,係合部材27,軸受28をフランジ部24cとの間に固定している。
【0017】
[軸体25およびばね保持部材34の説明]
貫通穴3bの小径部3b2 には、後端側から軸体25が挿入されている。この軸体25は、ねじ軸24の軸部24bが嵌め込まれる嵌合穴25aを有する大径の前端部25cを有し、主軸軸線上に回転自在に設けられている。ねじ軸24は、滑りキー26を介して軸部24bが嵌合穴25aに嵌入されることにより、軸体25と一体に回転するとともに、軸体25に対して前後に進退移動自在である。勿論、前記滑りキー26に代えてねじ軸24の軸部24bをスプライン軸とし嵌合穴25aをスプライン穴として形成してもよい。また、軸体25には、フランジ部34aを有する円筒状のばね保持部材34が外嵌されている。
【0018】
軸体25は、ばね保持部材34の貫通穴34cに嵌入された軸受29b,29cによってばね保持部材34に対して回転自在に支持されている。図3において符号54は、ばね保持部材34の後端に取り付けられ、軸受29cが貫通穴34cから抜け出さないように規制する押え部材である。軸体25の移動は、前端部25c、軸受29b、ばね保持部材34の本体部34b、軸受29c、押え部材54により規制される。
また、軸体25の後端にはスプロケット38がキー38aを介して取り付けられている。このスプロケット38は車輪支持部材駆動手段であるクイル駆動用モータ60に固定されたスプロケット60aとチェーン61(図1参照)によって連結され、前記クイル駆動用モータの駆動によって回転する。クイル駆動用モータ60は主軸台1に取付部材を介して固定されている。スプロケット38の回転は軸体25を介してねじ軸24に伝達され、ねじ軸24を回転させる。前記したクイル駆動用モータ60は、図示しないNC装置の指令信号等によって他方の主軸台1のクイル駆動用モータと同時に回転可能なモータである。
【0019】
[スライド部材の説明]
主軸3の後端にはスライド部材30が前後方向に移動可能に設けられている。このスライド部材30は、主軸3の貫通穴3bに嵌入された筒状の円筒部30bと、この円筒部30bの後端の外周部側に形成された複数本(この実施形態では2本)の係合凸部30aとから構成されている。スライド部材30の円筒部30bの前端には、係合部材27がボルトによって取り付けられている。前述のように、係合部材27は、ねじ軸24を回転自在に支持する軸受29aとスラスト軸受28とで挟持されているから、スライド部材30はねじ軸24と一体になって主軸軸線に沿った前後方向に進退移動する。係合凸部30aは、取付部材48に形成された凹部48a内を進退移動する。
【0020】
[ばね受け部材の説明]
ばね保持部材34の円筒部34bにはセンタ付勢手段である圧縮コイルばね37(以下、ばね37と記載)が嵌装されている。このばね37の後端はフランジ部34aに受け止められ、前端はばね保持部材34の前端側から外嵌されたばね受け部材35によって受け止められている。フランジ部35bの外周側のスライド部材30と対向する部分は、凸部35dとなっており、係合凸部30aと同様に、取付部材48の凹部48a内を進退移動する。
ばね受け部材35は、スライド部材30の円筒部30bの貫通穴内に挿入された円筒状の本体35aと、この本体35aの後端に形成されたフランジ部35bとからなり、フランジ部35bの後面は傾斜状の当接面35cとして形成されている。ばね受け部材35は、本体35aがばね保持部材34の本体34bに外嵌された後、ばね保持部材34の本体34bの前端側に螺着した二つのナット36,36によってばね保持部材34から抜け出さないように位置固定されている。つまり、センタ2,2間に車輪Wを保持していない状態においては、ばね受け部材35は、ばね37の付勢力により常時ナット36,36に押し付けられているわけである。
図において符号33はばね受け部材35の本体35aとスライド部材30の円筒部30bとの間に設けられた滑りキーで、スライド部材30に対するばね受け部材35の相対回転を規制するとともに、スライド部材30に対するばね受け部材35の主軸軸線方向に沿った相対移動を可能にしている。勿論、滑りキー33に代えて、ばね受け部材35とスライド部材30とをスプライン結合として形成してもよい。
【0021】
[ストッパの説明]
ばね保持部材34には、外周方向に均等間隔で複数(この実施形態では2個)のストッパ47が設けられている。このストッパ47は、主軸3の径方向から主軸3の中心、つまり主軸軸線側に移動してばね受け部材35の当接面35cと当接し、ばね受け部材35が所定量以上後退しないように規制するものである。
ストッパ47は、ばね保持部材34の外周上に均等間隔で配置された2個のシリンダ45によって進退移動される。すなわち、図示するように、ばね保持部材34にはばね37の外側に円筒状の取付部材48が外嵌され、この取付部材48の外周面上にシリンダ45であるシリンダ本体とシリンダカバーとが突出してボルトで固定されている。シリンダ45のシリンダ室45a内にはピストン46が主軸3の径方向に進退移動自在に設けられ、このピストン46から突出するピストンロッド46aの先端にストッパ47が取り付けられている。ばね受け部材35の当接面35cと対向するストッパ47の一面は、当接面35cと同一傾斜の傾斜面として形成されている。そして、図示しない圧力流体供給部からロータリジョイントを経てシリンダ室45aの一方の側45b、または他方の側45cに供給された圧力流体によってピストン46が主軸3の径方向に進退移動し、ストッパ47を進退移動させる。
【0022】
ばね受け部材35とスライド部材30との間には隙間Lが設けられている。そして、この隙間Lにある皿ばね43が主軸軸線と平行方向に複数個重ね合わせて設けられている。すなわち、皿ばね43を、複数個(この実施形態では8個)縦列に並べ、中央の穴を挿通するガイドピン42によって支持させるとともに、このガイドピン42をスライド部材30に取り付けている。スライド部材30のフランジ部30aおよびばね受け部材35のフランジ部35aにはそれぞればね受け用の穴41a,41bに形成され、皿ばね43はこの穴41a,41bに嵌装されている。なお、ばね受け部材35側の穴41aの底部にはガイドピン42が挿入される穴42aが形成され、スライド部材30がばね受け部材35に対して相対移動する際に、ガイドピン42がばね受け部材35に干渉しないようになっている。上記した複数個の皿ばね43からなる付勢手段は、ばね受け部材35とスライド部材30との間に円周方向に沿って均等間隔で複数箇所(例えば2箇所)に設けられるが、前記付勢手段による付勢力は、センタ2が主軸3から突出して輪軸Waの端部に当接する際に、ねじ部材24およびセンタ2を介して輪軸Waに付与される。
【0023】
ところで、この実施形態においては、両主軸台1,1を車輪Wの輪軸Waの端部からの距離が異なる二つの位置(第1の位置Aおよび第2の位置B)で位置決めして停止させているため、第1の位置Aで位置決めされている一方の主軸台1のセンタ2が、他方の主軸台1のセンタ2よりも早く輪軸Waの端部に達する。そのため、輪軸Waの端部に先に当接したセンタ2によって車輪Wが押されて、車輪Wがリフター装置9から移動することがないように、前記付勢力は十分小さくする必要がある。例えば、車輪Wの重量が1500kgfである場合に、車輪Wとリフター装置9との摩擦係数μが0.3であるときは、輪軸Waの端部から450kgの付勢力を加えることにより車輪Wは移動を始めるから、この値を考慮して前記付勢力を約100kgf程度とすれば問題がない。
【0024】
固定部である主軸台1の後端には、ブラケット32cを介して検知手段である近接スイッチ32aが取り付けられている。また、スライド部材30には、径方向に突出して円環状の被検知部材31が取り付けられている。近接スイッチ32aは、スライド部材30が皿ばね43の付勢力により主軸3の後端に押し付けられた位置(図3または図4に示す位置)から皿ばね43の付勢力に抗して若干量後退した位置、すなわち皿ばね43の付勢力で約100kgfの付勢力でセンタ2が輪軸Waの端部を押圧している位置(図4において二点鎖線で示す位置)まで移動したときに、被検知部材31を検出して検知信号を出力するように、スライド部材30の前後方向の移動にともなう被検知部材31の移動経路に対向して設けられている。
なお、この実施形態では、図3に示すように、スライド部材30がばね受け部材35に当接した後、所定量移動した位置、すなわち、ばね37の付勢力でセンタ2が輪軸Waを支持して加工が可能な押圧力で押圧している位置に移動したときに被検知部材31を検知して検知信号を出力する検知手段としての近接スイッチ32bが、ブラケット32cの近接スイッチ32aと干渉しない位置に設けられている。この近接スイッチ32bは、ばね37による付勢力を略一定にするもので、この付勢力を超える過大な付勢力がセンタ2に付与されるのを防止するためのもので、近接スイッチ32bの検知信号を受信したNC装置はただちに前記クイル駆動用モータ60の駆動を停止させる。
【0025】
なお、上記したばね保持部材34のフランジ部34a,取付部材48には、円周方向に均等間隔で後端側から前端側まで貫通するボルト穴51が形成されている。ばね保持部材34,取付部材48は、ボルト穴51を挿通して主軸3の後端面のねじ穴53に螺入されたボルト52によって主軸3の後端に取り付けられている。すなわち、ばね保持部材34,取付部材48は主軸3と一体となって回転する。
【0026】
また、図2において符号39は、ばね保持部材34,取付部材48,ばね受け部材35および主軸3を挿通して、主軸3の貫通穴3bの大径部3b1 に突出する検知バーである。ばね保持部材34の後端から突出する検知バー39の後端には被検知部材39aが取り付けられ、この被検知部材39aの移動経路に対向して検知手段である近接スイッチ39bがブラケット32cに取り付けられている。この検知バー39は、クイル21が原点位置に後退移動したことを確認するものである。検知バー39はばね39cによって常時前方に付勢されている。すなわち、ナット部材23が所定位置まで後退すると、検知バー39を押圧し検知バー39を後方に移動させ、被検知部材39aを後退させ、所定位置に移動したことを近接スイッチ39bで検知している。また、近接スイッチ32aは、スライド部材30が後退して、皿ばね43よりセンタ2に付与される荷重が車軸を移動させない所定の荷重(例えば100kgf)になったことを検知するものであり、近接スイッチ32bはスライド部材30がさらに後退してスライド部材30とばね受け部材35が当接し、ばね37によりセンタ2に付与される付勢力が車輪Wの支持に必要な一定の付勢力(例えば2t)になったことを検知するものである。つまり、センタ2が車輪Wの輪軸Waを両側から挟み込んで支持する際には、センタ2の後退とともにスライド部材30が後退してばね受け部材35に当接し、ばね37の付勢力に抗してばね受け部材35を所定量後退させる。所定量後退したところで、近接スイッチ32bが被検知部材31を検知して検知信号を出力し、これを受信した制御装置がクイル駆動用モータ60の駆動を停止させる。
【0027】
なお、上記の説明では、隙間Lに設ける付勢手段として皿ばね43を例に挙げて説明したが、スライド部材30を一定の付勢力で前方側に付勢することができるものであれば他のばねやゴム,あるいはエアシリンダであってもよい。
また、検知手段として近接スイッチを例に挙げて説明したが、スライド部材30が所定位置まで後退したことを検知することができるものであれば、リミットスイッチや光電スイッチ等であってもよい。また、検知手段はこれらスイッチ類に限定されるものではない。さらに、クイル駆動用モータ60のトルク(電流値)等を検出して検知するものであってもよい。
さらに、上記の説明では、ディスク面切削装置16,16およびディスク面計測装置17,17は刃物台8,8のタレットヘッド15,15の対向する面に設けられているとして説明したが、ディスク面切削装置16,16やディスク面計測装置17,17を設ける位置は前記したタレットヘッド15,15に限られず、また、刃物台8,8とは別体の刃物台に設けるものとしてもよい。
【0028】
[車輪旋盤の作用および方法の発明の説明]
次に本発明の車輪旋盤における車輪の切削加工方法を、上記の車輪旋盤の作用ととともに説明する。なお、図5および図6は本発明の車輪旋盤における車輪の加工方法の説明図で、図5(a) は主軸台間に車輪が搬入され、リフター装置に載置され踏面等の加工を行うときの状態を示す図、図5(b) はリフター装置が上昇するとともに、両方の主軸台が第1の位置に移動位置決めされた後、両方の車輪支持部材を前進させ、両方のセンタが車輪に当接したときの状態を示す図、図5(c) は踏面等の加工を行うときの状態を示す図である。図6(a) はリフター装置が上昇し、一方の主軸台が第1の位置に、他方の主軸台が第2の位置に位置決めされた後、両方の車輪支持部材を前進させ、第1の位置にある主軸台側のセンタが車輪に当接した状態を示す図、図6(b) は車輪が車輪支持部材にセンタ支持されるとともに、一方の主軸台の回転力伝達手段が車輪に係合した状態を示す図、図6(c) は車輪を回転させてブレーキディスクの切削加工を行う状態を示す図である。
【0029】
車輪Wは搬送レール9a上を転動して加工領域Sに搬入され、リフター装置9上に載置される。このとき、主軸台1,1はセンタ2,2や回転力伝達手段4,4等が車輪Wと干渉しない車輪搬出入位置(車輪部Wbより距離L3の位置)まで第2の主軸台用シリンダ13aによって後退して待機している(図5(a) で示す状態)。また、車輪支持部材は原点位置に位置している。
リフター装置9のサーボモータ等の図示しない駆動体が駆動することにより、輪軸Waの軸線が主軸軸線と一致または略一致する高さまで車輪Wが持ち上げられる。このリフター装置9の上昇動作と同期して下降する刃物台8(図1参照)には、図示しないタッチセンサが装着され、このタッチセンサが車輪Wに当接することによりタッチ信号が出力される。このタッチ信号が出力されると、リフター装置9を上昇させる駆動体の駆動が停止される。
【0030】
リフター装置9により輪軸Waの軸線が主軸軸線と一致または略一致する高さ位置まで持ち上げられると、車輪Wは当該高さ位置で保持される。また、第2の主軸台用シリンダ13a,13a(図1参照)が駆動してピストンロッド13b,13bを伸長させ、主軸台1,1を車輪W側の加工位置に移動させる。主軸台1,1は第2のシリンダ13,13によって車輪Wに近い第1の位置Aに位置し、位置決めシリンダ55Aが駆動して係合部56Aが係合穴57に係合することにより位置決めされ、固定手段により固定される。次いで、クイル駆動用モータ60が駆動してねじ軸24が正面視して(センタ2側から見て)反時計回り方向に回転する。クイル21は回転が規制されているため、ねじ軸24の反時計回り方向の回転によって、クイル21,21が各々車輪側に原点位置より前進することになる。クイル21,21の前進動作はほぼ同時に、かつ、ほぼ同速度で行われる。輪軸Waの端面に形成されたセンタ穴にセンタ2が当接することによりセンタ2およびクイル21の前進が規制される。
【0031】
すなわち、輪軸Waにセンタ2が当接することにより、センタ2に付与される輪軸Waからの反力が、ねじ軸24とともにスライド部材30を後退させる。このとき、輪軸Waには皿ばね43の付勢力が付与されるが、前述のようにこの付勢力は、車輪Wの自重に対して十分に小さいものであるので、車輪Wを移動させるということはない。
スライド部材30が、ばね受け部材35に当接しない一定距離だけ後退すると、近接スイッチ32aがスライド部材30に取り付けられた被検知部材31を検知して検知信号を出力し、前記ねじ軸回転用モータの駆動を停止させる。このとき、輪軸Waには皿ばね43より、移動しない程度の荷重(例えば100kgf)が付与されている(図5(b) 参照)。
【0032】
両方の主軸台1の近接スイッチ32aが検知信号を出力すると、この状態より両方のねじ軸回転用モータを同時に始動させてスプロケット38を回転させる。前記ねじ軸回転用モータの駆動によって両方のスライド部材30はほぼ同時にばね受け部材35,35に当接し、ほぼ同じタイミングでばね受け部材35を後退させる。従って、ばね37,37によりセンタ2,2に付与される付勢力は、常にほぼ同じである。ばね37,37によりセンタ2,2に付与される付勢力が一定(例えば2000kgf)になると、被検知部材31を近接スイッチ32bが検知して検知信号が出力され、クイル駆動用モータの駆動を停止させる。
【0033】
同時に、シリンダ45が駆動してストッパ47を主軸軸線側に移動させ、ばね受け部材35の当接面35cに押し当ててばね受け部材35の後退を規制する。従って、車輪Wを両側からセンタ2,2で支持した状態で、両センタ2,2に付勢されるばね37の付勢力が一定(例えば2000kgf)に保持されるとともに、例えば切削加工の途中において主軸軸線方向に切削分力等が作用しても、センタ2,2が後方へ移動するということがない。また、シリンダ45の駆動とほぼ同時に回転力伝達手段4のジョー4aがジョーボディ4bから突出して車輪Wと係合する。これにより、車輪Wは主軸3とともに回転が可能になる。センタ2,2が車輪Wを両側から支持した後は、リフター装置9は下降する。
次に、車輪Wの車輪部Wbの踏面やフランジ面等の計測が行われる。例えば、刃物台8,8の下部に装着されたタッチセンサ(図示せず)等により、前記踏面の直径やフランジ部厚および振れ等を自動的に計測する。
NC装置は、こうして計測されたデータに基づいて、切り込み量をそれぞれ作成する。
【0034】
次に、両方のタレットヘッド15,15を回転して必要な工具(例えば、踏面切削用バイト)を加工位置に順次割り出す。そして、左右の主軸駆動用の主軸用モータ10,10(図1参照)を駆動して両主軸3,3を同期して回転させ、所定の回転数で車輪Wを回転させる。主軸3および車輪Wの回転とともに、センタ2,2,クイル21,21,ねじ軸24,軸体25,スライド部材30,ばね保持部材34,ばね受け部材35,スプロケット38,シリンダ45等は一体となって回転する。このとき、クイル駆動用モータは電源を遮断した状態にしてあるので、いわゆる空転するフリーの状態になっていて、スプロケット38等の回転を妨げないようになっている。
さらに、Z軸サーボモータ5a,5aを駆動して、両サドル6,6をZ軸方向に、X軸サーボモータ11,11を駆動してクロススライド7,7をサドル6,6に対してX軸方向に移動させることにより車輪を所望の形状に加工する。
こうして、刃物台8,8をX軸,Z軸方向の所要位置に移動させることにより、車輪Wの車輪部Wbを切削加工する(図5(c) 参照)。
車輪部Wbの切削作業が終了すると、主軸用モータ10,10を停止して車輪Wの回転を止め、前記タッチセンサにより車輪部Wbの踏面等の切削後計測して高精度な切削加工がなされたことを確認する。
【0035】
次に、リフター装置9を上昇させる。ジョー4aをジョーボディ4b側に後退させるとともにシリンダ45のピストン46を後退させる。車輪支持部材をクイル駆動用モータ60,60により、原点位置に後退させ、車輪のセンタ穴よりセンタ2,2を離脱させる。原点位置に達すると、近接スイッチ39bより検知信号が出力され、クイル駆動用モータ60,60は停止する。車輪はリフター装置上に受け渡され載置された状態となる。
【0036】
一方の側(例えば、図1の左側)の主軸台1を第1の主軸台用シリンダ13によって第2の位置に移動させる。すなわち、一方の側の主軸台1の固定を解除し、位置決めシリンダ55Aを係合穴57より離脱するように後退させ、係合穴57より係合部56Aが離脱した状態で、第1の主軸台用シリンダ13で第1の位置より第2の位置に移動させる。位置決めシリンダ55Bを前進させて係合穴57に係合部56Bを係合させて位置決めし、主軸台1を固定手段で固定する。
両方の車輪支持部材をクイル駆動用モータ60,60によって原点位置より車輪側にほぼ同一の速度で前進移動させる。
【0037】
一方の主軸台1は車輪の車輪部WbよりL1離れた第1の位置に位置し、他方の主軸台1は車輪の車輪部WbよりL2離れた第2の位置に位置しているので、他方の主軸台1のセンタ2のほうが車輪の輪軸Waのセンタ穴に先に当接する。そして、近接スイッチ32aが被検知部材31の所定位置への移動を検知して検知信号を制御装置に出力するので、制御装置は他方のクイル駆動用モータ60の駆動を停止させる(図6(a) 参照)。
遅れて、一方の主軸台1のセンタ2が車輪の輪軸Waのセンタ穴に当接する。そして、近接スイッチ32aが被検知部材31の移動を検知して検知信号を出力するので、制御装置は一方のクイル駆動用モータ60の駆動を停止させる。
【0038】
次に、制御装置は、この状態より、同時に両方のクイル駆動用モータを同時に始動させる。さらに、ほぼ同一の移動速度で車輪支持部材を前進移動させる。両方のスライド部材30,30が皿ばね43,43の付勢力に抗して、ばね受け部材35,35側に後退してスライド部材30,30がばね受け部材35,35に当接する。ばね37,37の付勢力に抗して、ばね受け部材35,35、スライド部材30,30が一体となって後退移動する。近接スイッチ32bが被検知部材31が所定の位置に移動したことを検知して、クイル駆動用モータ60,60の駆動を停止させる。すなわち、ばね37,37の付勢力(約2000kgf)の力で車輪を両側より支持した状態となる。シリンダ45のピストン46を前進させて、ストッパ47をばね受け部材35に当接させる。
リフター装置9を下降させて車輪を車輪支持部材に受け渡す。ジョー4aをジョーボディ4bより突出させて、他方の側のジョー4aが車輪と係合する(図6(b) 参照)。
【0039】
次に、タレットヘッド15,15を回転させて、ディスク面計測装置17を加工位置、すなわち車輪W,W側に割り出す。そして、図示しないシリンダを駆動して、計測ヘッドTb,Tbをタレットヘッド15,15の径方向に突出させ、X軸サーボモータ11,11およびZ軸サーボモータ5a,5aの駆動により両計測ヘッドTb,Tbを両ブレーキディスクWc,Wcの一側表面に当接させて同時に計測を行う。
例えば、先端の計測ヘッドTb,Tbの接触子をブレーキディスクWc,Wcの一側(図面右側)の表面の複数箇所(例えば4か所)に当接させ、接触信号を出力した位置データ(Z軸方向のデータ)の最大差を算出することにより、ブレーキディスクWc,Wcの摩耗量を計測する。なお、このとき、図示するように第2の位置Bで位置決めされている他方の主軸台1および回転力伝達手段4と車輪部Wbとの間には十分な隙間が形成されているので、ディスク面計測装置17の計測ヘッドTbはブレーキディスクWcと回転力伝達手段4との間に侵入することが可能である。
NC装置は、こうして計測されたブレーキディスクWc,Wcの摩耗量から、切り込み量を作成する。
【0040】
次に、計測ヘッドTb,Tbを退避位置まで退避させた後、タレットヘッド15,15を回転してディス面切削装置16,16を加工位置、すなわち車輪W,W側に割り出す。
次いで、主軸3,3用の主軸用モータ10,10を駆動して主軸3,3とともに車輪Wを一定回転数で回転させる。そして、ディスク切削工具Ta,Taをタレットヘッド15,15の径方向に突出させ、X軸サーボモータ11,11およびZ軸サーボモータ5a,5aの駆動により両ディスク切削工具Ta,Taを移動させて両ブレーキディスクWc,Wcの一側面の切削加工を同時に行う(図6(c) 参照)。なお、このときも、図示するように第2の位置Bで位置決めされている他方の主軸台1の回転力伝達手段4とブレーキディスクWcとの間には十分な隙間が形成されているので、ディスク切削工具Taは侵入することが可能となっている。
【0041】
ブレーキディスクWc,Wcの一側面の加工を終了した後は、ディスク切削工具Ta,Taを退避させるとともに刃物台8,8を退避させ、リフター装置9を上昇させる。そして、リフター装置9に車輪Wを載置した状態でジョー4a,4aを後退させるとともに、前記とは逆の方向に前記クイル駆動用モータ60,60を駆動させてセンタ2,2を原点位置に後退させる。なお、この場合は、両方のセンタ2,2がほぼ同時に後退するので、一方のセンタ2を所定の位置で待機させる必要はない。センタ2,2の後退により、車輪Wの支持が解除されて車輪Wがリフター装置9に受け渡される。そして、シリンダ45のピストン46を後退させる。
次に、ブレーキディスクWc,Wcの他側面の計測および加工を行う。近接スイッチ39bが被検知部材39aが所定位置まで後退したことを検知した原点位置まで戻した状態で、一方の主軸台1を第2の位置Bに位置決めし、他方の主軸台1を第1の位置Aに位置決めする。この後、図6(a) 〜図6(c) に示す手順を上記と同様に繰り返してブレーキディスクWc,Wcの他側面の計測および加工を行う。
ブレーキディスクWc,Wcの両側面の切削加工を終了した後は、リフター装置9に車輪Wを受け渡す。リフター装置9は下降して車輪Wを搬送レール9a上に降ろす。そして、車輪Wは搬送レール9a上を転動することにより、車輪旋盤より搬出される。
【0042】
[車輪旋盤の他の実施形態]
本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態により何ら限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態では、一方のセンタ2が輪軸Waの端部に当接したときにねじ軸回転用のモータの駆動を停止させ、他方のセンタ2が輪軸Waの端部に当接したときに両センタ2,2のねじ軸回転用モータを同時に始動させて回転させるものとして説明したが、本発明は上記の実施形態により何ら限定されるものではない。要は、異なる二位置(第1の位置Aと第2の位置B)に位置決めした主軸台1,1からセンタ2,2をそれぞれ突出させて車輪Wを支持させる際に、車輪Wの両側から支持のための付勢力を同期して付与することができればよいのである。そのためには、例えば、主軸台1,1をまず同じ位置(例えば第1の位置A)で位置決めして停止させ、両センタ2,2を同期して突出させて車輪Wを両側から均等に付勢し、所定の付勢力(例えば前記した2t)になったところで、一方のセンタ2の付勢力を維持したままで主軸台1を進退移動させる駆動体を駆動させ、第2の位置Bまで移動させるものとしてもよい。この場合は、ねじ軸回転用モータの駆動と主軸台1を進退移動させる前記駆動体の駆動とを同期させる必要がある。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、一台の車輪旋盤で車輪部の踏面等の切削加工に引き続いて、車輪部に一体に形成されたブレーキディスクの切削加工を行うことができ、車輪旋盤から車輪を取り外して別工程でブレーキディスクの切削加工を行う必要がなくなる。従って、車輪の切削加工工程を集約することができ、工程間の車輪の搬送や別の工作機械への車輪の着脱等の作業が不要になり、作業効率を向上させることができる。
また、踏面等からブレーキディスクまでの一連の切削加工を自動により行うことができるので、長時間の連続無人運転も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車輪旋盤の全体構成図である。
【図2】本発明の車輪旋盤の主軸の構成図にかかり、主軸先端側を示す一部を省略した断面図である。
【図3】本発明の車輪旋盤の主軸の構成図にかかり、主軸後端側を示す断面図である。
【図4】本発明の要部の部分拡大断面図である。
【図5】本発明の車輪旋盤における車輪の切削加工方法の説明図で、(a)は主軸台間に車輪が搬入され、リフター装置に載置されたときの状態を示す図、(b)はリフター装置が上昇するとともに、両方の主軸台が第1の位置に位置決めされた後、両方の車輪支持部材を前進させ、両方のセンタが車輪に当接したときの状態を示す図、(c)は踏面等の加工を行うときの状態を示す図である。
【図6】本発明の車輪旋盤における車輪の切削加工方法の説明図で、(a)はリフター装置が上昇し、一方の主軸台が第1の位置に、他方の主軸台が第2の位置に位置決めされた後、両方の車輪支持部材を前進させ、第1の位置にある主軸台側のセンタが車輪に当接した状態を示す図、(b)は車輪が車輪支持部材にセンタ支持されるとともに、一方の主軸台の回転力伝達手段が車輪に係合した状態を示す図、(c)は車輪を回転させてブレーキディスクの切削加工を行う状態を示す図である。
【符号の説明】
W 車輪
Wa 輪軸
Wb 車輪部
Wc ブレーキディスク
Ta ディスク切削工具
Tb 計測ヘッド
S 加工領域
A 第1の位置
B 第2の位置
1 主軸台
2 センタ
3 主軸
4 回転力伝達手段
4a ジョー
4b ジョーボディ
8 刃物台
9 リフター装置
13 第1の主軸台用シリンダ
13a 第2の主軸台用シリンダ
16 ディスク面切削装置
17 ディスク面計測装置
19 ベッド
21 クイル
23 ナット部材
24 ねじ軸
25 軸体
27 係合部材
30 スライド部材
31 被検知部材
32a 近接スイッチ(第1の検知手段)
32b 近接スイッチ(第2の検知手段)
35 ばね受け部材
37 ばね
38 スプロケット
43 皿ばね
55A,55B 位置決めシリンダ
56A,56B 係合部
57 係合穴
60 クイル駆動用モータ

Claims (2)

  1. 鉄道車両用の車輪の輪軸の両側に設けられた一対の車輪部と、この車輪部の少なくとも一方に一体的に形成されたブレーキディスクを切削加工する車輪旋盤であって、
    ベッド(19)上に対向して配置され、軸線を同一線上に有する主軸(3,3)を各々回転自在に支持するとともに、この主軸の軸線方向に進退移動自在な二つの主軸台(1,1)と、前記主軸の各々に進退移動自在に設けられ、前記主軸より突出して前記輪軸の端部を両側より支持する車輪支持部材(2,2,21,21,…)と、この車輪支持部材を前記主軸に対して進退移動させる車輪支持部材駆動手段(60,60,61,61,38,38,…)と、前記主軸の各々に設けられ、前記車輪支持部材によって支持された前記車輪と係合して前記主軸の回転を前記車輪に伝達する回転力伝達手段(4,4)と、前記二つの主軸台に対して各々一つまたは複数設けられ、前記主軸の軸線方向およびこの主軸軸線方向と直交する方向に移動自在であるとともに、前記車輪部および前記ブレーキディスクを切削加工する工具が装着された刃物台(8,8)と、前記二つの主軸台の少なくともどちらか一方と前記ベッドとのあいだに設けられ、前記主軸台を、前記回転力伝達手段と前記車輪とが係合可能な第1の位置と、この第1の位置よりも前記車輪から離間し、前記ブレーキディスクを加工する際、前記回転力伝達手段と前記ブレーキディスクとのあいだに、前記ブレーキディスクを切削加工するための工具が侵入可能な第2の位置のあいだで進退移動させる主軸台駆動手段(13,13)と、を有する車輪旋盤において、
    前記主軸台と前記車輪支持部材のあいだに各々設けられ、前記車輪支持部材駆動手段の駆動によって前記車輪支持部材を前記車輪側に移動させ、前記車輪支持部材が前記輪軸の端部に当接した状態になったときに第1の検知信号を出力する第1の検知手段(32a)と、
    この第1の検知手段より検知信号が出力されたとき、この第1の検知信号を出力した側の前記車輪支持部材駆動手段による駆動を停止させ、両方の前記第1の検知手段より前記第1の検知信号が出力され、前記車輪支持部材駆動手段が停止した状態より前記車輪支持部材駆動手段を同時に再始動させる制御を行う制御手段と、
    を有することを特徴とする車輪旋盤。
  2. 前記主軸台と前記車輪支持部材のあいだに各々設けられ、前記車輪支持部材駆動手段の駆動によって前記車輪支持部材を前記車輪の輪軸側に移動させ、前記車輪支持部材が前記車輪を支持して加工可能な状態になったときに第2の検知信号を出力する第2の検知手段(32b)を有し、
    前記制御手段は、前記第2の検知手段より前記第2の検知信号が出力されたとき、この第2の検知信号を出力した側の前記車輪支持部材駆動手段による駆動を停止させるように制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の車輪旋盤
JP13180997A 1997-05-22 1997-05-22 車輪旋盤 Expired - Fee Related JP3942233B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13180997A JP3942233B2 (ja) 1997-05-22 1997-05-22 車輪旋盤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13180997A JP3942233B2 (ja) 1997-05-22 1997-05-22 車輪旋盤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10315003A JPH10315003A (ja) 1998-12-02
JP3942233B2 true JP3942233B2 (ja) 2007-07-11

Family

ID=15066625

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13180997A Expired - Fee Related JP3942233B2 (ja) 1997-05-22 1997-05-22 車輪旋盤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3942233B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101469499B1 (ko) * 2013-09-23 2014-12-05 광주광역시도시철도공사 전동차 대차의 제동디스크 삭정장치
CN107346121B (zh) * 2016-05-07 2019-05-21 珠海启世机械设备股份有限公司 一种数控不落轮镟床控制系统及其使用方法
CN113664255A (zh) * 2021-09-02 2021-11-19 湖北文特斯智能科技有限公司 一种深孔钻镗床的深孔加工装置及其使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10315003A (ja) 1998-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8715036B2 (en) Grinding center and method for the simultaneous grinding of multiple crankshaft bearings
US20130167609A1 (en) Machine for deep-rolling axles
EP1439928B9 (en) Coupling device particularly for vehicle wheels undergoing surface finishing
CN114473566B (zh) 车前轴加工系统和加工方法
CA1074543A (en) Pulley splitting machine
JP3942233B2 (ja) 車輪旋盤
US3731566A (en) Rest apparatus for preventing bending of a workpiece
US4304034A (en) Method of making a wheel and wheel made thereby
US20060168814A1 (en) Method and machine tool for machining a tire of a train wheel set
JPH0244641B2 (ja)
US4054081A (en) Machining method
US4288180A (en) Apparatus for truing bolting surfaces of wheels and the like
JP3681215B2 (ja) 車輪旋盤
CN114161100A (zh) 一种曲柄加工系统及加工方法
JP3321699B2 (ja) 車輪旋盤のサブリフター装置
JP4107708B2 (ja) 車輪旋盤における鉄道車両用車輪の心出し方法およびその装置
JP2646817B2 (ja) 溶接装置
CA2477137C (en) Apparatus for machining a hub bearing unit for a wheel of a motor vehicle
JP2001239401A (ja) 車輪旋盤における車輪支持方法および車輪旋盤
KR101469499B1 (ko) 전동차 대차의 제동디스크 삭정장치
US4391120A (en) Radial deformation means for cylindrical objects such as wheels
KR100509926B1 (ko) 머시닝 센터의 선삭 작업을 위한 턴테이블 구조
JP3614921B2 (ja) 車輪旋盤の検芯方法およびその装置
JPS6236589Y2 (ja)
JP2000052193A (ja) 工作物の切削加工方法及び該方法を達成する櫛刃形旋盤における刃物台装置

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20040511

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061220

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees