JP3941942B2 - メッセージ相関システム、メッセージ相関方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はメッセージ相関システム、メッセージ相関方法に関し、特に故障等の障害が発生した際に、1つの事象を原因として複数のメッセージが送出される場合に用いられるメッセージ相関システム、メッセージ相関方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信網において、オペレーション業務の効率化、及び迅速な回復措置を実現するためには、ネットワークの構成要素(Network Element;以下NEと称する)から出力される故障メッセージを一元的に管理・分析して、回復措置を自動的に決定・実行できるようなネットワーク統合システムの実現が望まれている。
【0003】
NEで故障が発生した場合、故障情報は、警報として通知されるが、その情報のみでは、サービス影響度の把握は困難である。そこで、保守者が、知識、経験、措置マニュアル等に基づき、他のNEの警報情報を収集したり、前後のトラヒック情報を収集したりすることにより、サービス影響度を把握し、故障措置を実施する。この故障措置において、オペレーションミスや、スキル不足による故障の長期化を回避し、迅速かつ適正に故障を回復することが必要である。
【0004】
ここで、このような故障措置を行うための従来技術として、非特許文献1に記載されているものがある。非特許文献1においては、各装置より出力されるメッセージをある一カ所にて集中的に受信し、メッセージの出力順を意識して関連するメッセージを待ち受けて相関を取る方法である。
また、障害を通知するかどうか判断するためのテーブルを用意しておき、障害情報を受信したとき、同時発生の他の関連ある障害情報との関係を考慮した通報の要否を判定し、障害の発生を通報先に自動的に通報する技術が知られている(特許文献1参照)。この従来技術においては、通報の要否を障害の種類毎に定めておき、発生した障害について通報を行うかどうか判断している。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−154981号公報(要約、図5)
【非特許文献1】
CD−ROM「電子情報通信学会2002年ソサイエティ大会講演論文集」、社団法人電子情報通信学会、平成14年8月20日、講演番号:B−6−76、「通信移動網オペレーションにおける故障措置自動化の検討」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術においては、メッセージ待ち受け部にて受信する全てのメッセージの相関関係を調べるため、すべてのメッセージに関する関連付けの情報をメッセージ出力順も考慮して作成しなければならず、対象メッセージ数が増加するに従い、事前に準備する関連付け情報の数が莫大になるという欠点があった。
【0007】
本発明は上述した従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、その目的は待ち受け処理を行わず、受信したメッセージ個々に過去に送出されたメッセージの履歴を元に分析を行い、事象の原因であるか否かを判断することによって、より少ない関連付け情報にてメッセージ相関処理を行うことのできるメッセージ相関システム、メッセージ相関方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によるメッセージ相関システムは、ネットワークを構成する複数の装置のいずれかの装置に障害が生じた場合に該ネットワークを構成する装置から送られてくるメッセージについて処理を行うメッセージ相関システムであって、各メッセージについての関連するメッセージを示すデータベースと、障害発生時に送られてくるメッセージについて、前記データベースに基づいて該メッセージに関連するメッセージを検索する検索手段と、前記検索手段による検索結果に基づいて、前記送られてくるメッセージに関連するメッセージの有無を判断する関連メッセージ有無判断手段と、前記障害発生の主原因によるメッセージであるか否かを判断する主原因判断手段と、前記関連メッセージ有無判断手段の判断の結果、関連するメッセージがない場合、及び、前記関連メッセージ有無判断手段及び前記主原因判断手段の判断の結果、関連メッセージがあり、かつ、前記障害の主原因によるものである場合、そのメッセージを告知する告知手段とを含み、前記主原因判断手段によって主原因によるメッセージではないと判断された場合は以降に続く処理をキャンセルすることを特徴とする。相関関係にあるメッセージの中から主となる原因をよく表すメッセージであるかを相関関係のデータベースに従って判断し、主原因によるメッセージと判断されれば出力し、主原因によるものではないと判断されれば以降に続く処理をキャンセルして相関処理から除外することにより、障害の回復に必要な、主原因によるメッセージのみを告知することができる。
【0009】
本発明の請求項2によるメッセージ相関システムは、請求項1において、前記データベースは、発生した障害が、メッセージが送られてきたことの主原因であるかどうかを示す主原因フラグ情報を更に有することを特徴とする。この主原因フラグ情報の内容を参照することにより、障害の主原因によるものであるかどうかの判断が容易になる。
【0010】
本発明の請求項3によるメッセージ相関システムは、請求項1又は2において、前記ネットワークを構成する各装置の接続関係を示す構成情報が保存されている構成情報保存手段を更に含み、前記検索手段は、前記構成情報保存手段に保存されている構成情報をも参照して前記検索を行うことを特徴とする。こうすることにより、ネットワークを構成する各装置の接続関係をも考慮した関連付けを行うことができる。
【0011】
本発明の請求項4によるメッセージ相関方法は、ネットワークを構成する複数の装置のいずれかの装置に障害が生じた場合に該ネットワークを構成する装置から送られてくるメッセージについて処理を行うためのメッセージ相関方法であって、前記各メッセージについての関連するメッセージを示すデータベースを作成するデータベース作成ステップ(後述するステップS801に相当)と、送られてくる前記メッセージを保存するメッセージ保存ステップ(後述するステップS802に相当)と、前記メッセージ保存ステップにおいて保存されたメッセージについて、前記データベース作成ステップにおいて作成されたデータベースに基づいて該メッセージに関連するメッセージを検索する検索ステップ(後述するステップS803に相当)と、前記検索ステップにおける検索結果に基づいて、送られてくる前記メッセージに関連するメッセージの有無を判断する関連メッセージ有無判断ステップ(後述するステップS804に相当)と、前記障害発生の主原因によるメッセージであるか否かを判断する主原因判断ステップ(後述するステップS805に相当)と、前記関連メッセージ有無判断ステップにおける判断の結果、関連するメッセージがない場合、及び、前記関連メッセージ有無判断ステップ及び前記主原因判断ステップにおける判断の結果、関連メッセージがあり、かつ、前記障害の主原因である場合、そのメッセージを告知する告知ステップ(後述するステップS806に相当)とを含み、前記主原因判断ステップにおいて主原因によるメッセージではないと判断された場合は以降に続く処理をキャンセルする(後述するステップS807に相当)ことを特徴とする。相関関係にあるメッセージの中から主となる原因をよく表すメッセージであるかを相関関係のデータベースに従って判断し、主原因によるメッセージと判断されれば出力し、主原因によるものではないと判断されれば以降に続く処理をキャンセルして相関処理から除外することにより、障害の回復に必要な、主原因によるメッセージのみを告知することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明によるメッセージ相関システムの実施の一形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図においては、他の図と同等部分に同一符号が付されている。
(システム全体の構成)
図1は本システムの実施の一形態を示すブロック図であり、通信ネットワークを管理する、汎用計算機からなるオペレーションシステムに本システムを適用した例である。
【0013】
同図に示されているように、本実施形態によるメッセージ相関システムは、通信媒体を介して通信ネットワーク100に接続され、各通信装置N1〜N4の監視を行うオペレーションシステムO1と、オペレーションシステムO1に接続され、オペレーションシステムO1において受信したメッセージの関連性を調査するオペレーションマネジメントシステムM1と、オペレーションマネジメントシステムM1に接続され、オペレーションマネジメントシステムM1において調査したメッセージ間の関連性の結果を運用者に表示して告知するための表示出力装置D1と、を含んで構成されている。
【0014】
通信ネットワーク100は、本例では、4つの通信装置N1〜N4と、これら通信装置N1〜N4それぞれに接続されている4つの通信端末T1〜T4とから構成されている。
オペレーションシステムO1は、通信装置N1〜N4からのメッセージを受信する。
【0015】
オペレーションマネジメントシステムM1は、通信装置N1〜N4から送信されるメッセージの関連性を調査する。
表示出力装置D1は、オペレーションマネジメントシステムM1によって関連づけが行われたメッセージを表示するための装置である。
(オペレーンョンマネジメントシステムの構成)
図2は、図1中のオペレーンョンマネジメントシステムM1の構成例を示すブロック図である。同図において、オペレーションマネジメントシステムM1は、オペレーションシステムO1からメッセージを受信するメッセージ受信部M11と、受信したメッセージを一定期間保存するメモリ部M12と、メッセージ関連情報保存部M14や通信ネットワーク上にある通信装置の構成情報保存部M15に基づいて、受信メッセージとメモリ部のメッセージの関連性を調査するメッセージ相関実行部M13と、メッセージの関連性の結果を画面に表示させるメッセージ表示部M16とを含んで構成されている。
【0016】
メッセージ相関実行部M13は、メモリ部M12に保存されている受信メッセージについて検索を行う検索機能M13−1と、メッセージ関連情報保存部M14及び構成情報保存部M15に保存されている情報とに基づいて、メモリ部M12に保存されている受信メッセージに関連するメッセージがあるか否か判断する関連メッセージ有無判断機能M13−2と、関連メッセージ有無判断機能M13−2によって関連するメッセージ発見された場合に、メッセージ関連情報保存部M14に保存されている情報に基づき主原因の判断を行う主原因判断機能M13−3と、関連メッセージ有無判断機能M13−2及び主原因判断機能M13−3による判断の結果に基づき、告知すべきメッセージをメッセージ表示部M16に通知する通知機能M13−4と、を有している。
【0017】
このような構成において、通信装置N1、N2、N3、N4から送出されたメッセージは、メッセージ受信部M11で受信され、メモリ部M12に保存される。すなわち、通信装置N4で通信断を検出すると、それに伴いメッセージがオペレーションシステムM1を経由してメッセージ受信部M11に送られ、このメッセージがメモリ部M12に送られて保存される。保存されたメッセージは、一定時間後にメッセージ相関実行部M13に送られる。
【0018】
メッセージ相関実行部M13は、受信用のメッセージ関連情報保存部M14の情報と、構成情報保存部M15の情報とに基づき、メモリ部M12に関連するメッセージがないか検索する。
この検索は、例えば以下のように行う。すなわち、まず、受信したメッセージに含まれる対向装置(あるいは対向装置を特定できるインタフェース)と、データベースから得られる関連するメッセージとを、一時記憶に保存する。この場合、メッセージ番号を保存すれば良い。
【0019】
次に、メモリ部M12に保存されている受信メッセージ一覧全体を検索機能M13−1により走査して検索する。この検索の際には、一時記憶に保存されている対向装置より発信されており、かつ、データベースから得られる関連メッセージを抽出する。
上記の検索の結果、関連するメッセージが発見された場合は主原因判断機能M13−3により、メッセージ関連情報保存部M14に従い、障害の主原因によるメッセージであるかの判断を行う。障害の主原因によるものと判断される、または関連する発見されない場合は、その受信メッセージを通知機能M13−4によりメッセージ表示部M16に通知し、表示出力装置D1へ送出される。メッセージ相関実行部M13の主原因判断機能M13−3により、主原因によるものではないと判断されたメッセージは、自らの処理プロセスを消滅させることにより後段に続く処理をキャンセルする。つまり、以後の処理が行われない。
【0020】
(システム全体の動作)
以上のような構成からなるオペレーンョンマネジメントシステムは、以下のように動作する。
まず、メッセージ受信部M11は、各装置から送出されたメッセージを受信し、メッセージ毎にプロセスを生成する。メモリ部M12は、受信したメッセージを一定期間保存する。
【0021】
メッセージ関連情報保存部M14は、メッセージ同士の関連性に関する情報を保存している。メッセージ相関実行部M13は、メッセージ関連情報保存部M14に保存されているメッセージと関連するメッセージがメモリ部M12に存在するか検索を行うとともに主原因によるものであるか判断し、後段の処理の有無を決定する。メッセージ表示部M16は、主たる原因となるメッセージのみを表示する。これらが協働する結果、受信したメッセージから相関関係にあるメッセージを導き出し、障害の主原因に直接関連するメッセージを表示することが可能となる。
【0022】
(メッセージの構成例)
ここで、図3を参照し、メッセージの構成例について説明する。本例では、図1中の通信装置N1において対N4用の通信インタフェースに異常Kが発生し、通信装置N1〜N4において通信が途絶えた場合について説明する。
上記のような異常が発生した場合において、オペレーションマネジメントシステムM1内のメッセージ受信部M11が受信するメッセージの構成例が図3に示されている。同図に示されているメッセージでは、メッセージ送信元の通信装置名が「N4」、メッセージ番号が「1001」、メッセージの内容が「通信断IF−No.401」である。したがって、このメッセージは図1中の通信装置N4から送られてきたメッセージであり、その内容は「No.401」のインタフェースが通信断になった、というものである。
【0023】
なお、メッセージ内の対向装置の識別は、メッセージのフォーマット(形式)が決まっていれば、対向装置情報が記載されている部分を直接読出し、フォーマットが決まっていなければメッセージ内容から文字列を頼りに、対向装置情報を読出す。例えば、図3においては、「IF−No.」を頼りに、対向装置情報を読出す。
【0024】
(各情報の構成例)
図4〜図7を参照し、メッセージや各部に保存される情報の例について説明する。本例においても、上記と同様に、図1中の通信装置N1において対N4用の通信インタフェースに異常Kが発生し、通信装置N1〜N4において通信が途絶えた場合について説明する。
【0025】
また、オペレーションマネジメントシステムM1内のメモリ部M12に保存されている情報の構成例が図4に示されている。同図においては、通信装置名が「N1」でメッセージ番号が「0900」のメッセージの内容が「通信インタフェース部異常IF−No.104」、通信装置名が「N1」でメッセージ番号が「1001」のメッセージの内容が「通信断IF−No.104」、通信装置名が「N4」、メッセージ番号が「2010」のメッセージの内容が「処理輻輳」である。
【0026】
さらに、オペレーションマネジメントシステムM1内のメッセージ関連情報保存部M14で管理される情報の構成例が図5に示されている。同図において、メッセージ関連情報保存部M14で管理される情報は、各メッセージに対応して設けられたデータベースの構成をなしている。
なお、このデータベースは、過去の保守経験に基づき、以下の手順で作成しておく。この場合、自動的に作成されるのではなく、全て端末操作者による手入力となる。
【0027】
すなわち、ある事象Zに対し、必ず発生するメッセージA、B、C…を抽出する。メッセージAが検出されたときに参照されるデータベースLAに、メッセージBを受信しかつメッセージCを受信した場合の事象の説明と、その場合にメッセージAが障害の主原因によるものであるか判別するためのフラグとを記述する。
【0028】
例えば、事象Yの時にはA、Bだけ受信、事象Xの時にはA、Cだけ受信、事象Wの時にはA、B、C、Dを受信、というように、メッセージの組合せが異なるのであればそれらは別の事象として記述する。ここでは、A、B、Cの中からAが主原因によるものであることとして、フラグを立てる。
同様にして、メッセージBが検出されたときに参照されるデータベースLBにメッセージA、C受信時に関する記述を、メッセージCが検出されたときに参照されるデータベースLCにメッセージB、Cを受信時に関する記述をする。
【0029】
同図において、メッセージ番号「1001」のメッセージは、関連メッセージ番号が「0900」の場合に、主原因メッセージは「通信インタフェース部異常」であり、これは主原因によるものである。一方、メッセージ番号「0900」のメッセージは、関連メッセージ番号が「1001」の場合に、主原因メッセージは同じく「通信インタフェース部異常」であるが、これは主原因によるものではない。
【0030】
また、同図において、メッセージ番号「1001」のメッセージは、関連メッセージ番号が「3001」の場合に、主原因メッセージは「プロセッサ異常」であり、これは主原因によるものではない。同じく、関連メッセージ番号が「6001」及び「7000」の場合に、主原因メッセージは「APL(通信機能)異常」であり、これらも主原因によるものではない。
【0031】
さらに、メッセージ番号「0900」のメッセージは、関連メッセージ番号が「8080」の場合に、主原因メッセージは「中継装置異常」であるが、これは主原因によるものではない。
さらに、構成情報保存部M15で管理される情報の構成例が図6に示されている。同図において、構成情報は、通信装置名と、インタフェース番号(IF−No.)と、接続先装置名との対応関係を示す情報である。この情報はネットワークを構成する各装置の接続関係を示している。
【0032】
通信装置名「N1」については、インタフェース番号(IF−No.)「102」の接続先装置が「N2」、同じく「103」の接続先装置が「N3」、同じく「104」の接続先装置が「N4」である。
通信装置名「N2」については、インタフェース番号(IF−No.)「201」の接続先装置が「N1」である。
【0033】
通信装置名「N4」については、インタフェース番号(IF−No.)「401」の接続先装置が「N1」、同じく「402」の接続先装置が「N2」、同じく「403」の接続先装置が「N3」である。
以上のように、ネットワークを構成する各装置のインタフェース番号とその接続先を特定するための情報、すなわちネットワーク構成情報部が図1中の構成情報保存部M15である。
【0034】
図3及び図4に示されているメッセージを全て受信しメッセージ相関処理を行った結果が図7に示されている。
まず、図4中のメッセージ番号「0900」のメッセージは、図5を参照すると、関連メッセージ番号が「1001」であり、関連メッセージが存在する。一方、主原因フラグ情報は「−」になっているので主原因によるものではない。
【0035】
これに対し、図4中のメッセージ番号「1001」のメッセージは、図5を参照すると、関連メッセージ番号が「0900」であり、関連メッセージが存在する。一方、主原因フラグ情報が「○」になっているので主原因によるものである。
したがって、通信装置「N1」についてメッセージ番号「0900」のメッセージの内容である「通信インタフェース部異常 IF−No.104」を主原因メッセージとし、「通信断 IF−No.104」及び「通信断 IF−No.401」を関連メッセージとする情報が、メッセージ表示部M16に送られて表示される。
【0036】
次に、図4中のメッセージ番号「2010」のメッセージは、図5を参照すると、関連メッセージは存在しない。したがって、通信装置「N3」についてメッセージ番号「2010」のメッセージの内容である「処理輻輳」を主原因メッセージとし、関連メッセージのない情報が、メッセージ表示部M16に送られて表示される。
【0037】
以上のように本例では、通信装置から送出された複数のメッセージについて関連づけを行い、障害の主原因によるメッセージと関連して発生したメッセージとの相関関係の分析結果が表示出力装置D1に表示される。
以上説明した本システムにおいては、以下の点が特許文献1とは異なる。すなわち、メッセージに含まれる、対向装置に関する情報を識別することにより、メッセージそのものだけでなく、ネットワーク構成も考慮に入れた関連づけを行う点が異なる。また、受信メッセージ単独における出力要否と他メッセージとの関連による出力要否を1つのデータベースによって実現している点が異なる。
【0038】
(メッセージ相関方法)
上述したメッセージ相関システムによって実現されるメッセージ相関方法について、図8を参照して説明する。
同図において、最初に、上述したデータベース(図5参照)を予め作成しておく(ステップS801)。通信装置から送出されたメッセージを受信し、その受信したメッセージを保存する(ステップS802)。
受信メッセージ用のメッセージ間関連情報保存部の情報と構成情報保存部の情報とに基づき、保存したメッセージに関連するメッセージがないか検索する(ステップS803)。そして、検索の結果、関連メッセージがあるか判断する(ステップS804)。
【0039】
ステップS804の判断の結果、関連メッセージがない場合は、そのメッセージを通知する(ステップS804→S806)。
一方、ステップS804の判断の結果、関連メッセージがある場合は、さらに主原因によるものであるか判断する(ステップS804→S805)。ステップS805の判断の結果、主原因によるものである場合は、そのメッセージを通知する(ステップS805→S806)。
【0040】
一方、ステップS805の判断の結果、主原因によるものではない場合は、以後の処理を行わず、そのメッセージを通知しない(ステップS805→S807)。要するに、関連メッセージがあり、かつ、主原因によるものではない場合に、以後の処理を行わない。
以上のように処理することにより、相関処理から除外するので、主原因によるメッセージのみを出力装置に表示できる。つまり、メッセージを待ち受けることなくメッセージ個々それぞれについてメッセージの相関関係を判断することにより、障害の主原因によるメッセージのみを出力装置に表示できる。
【0041】
(まとめ)
以上説明したように本発明では、相関関係にある障害メッセージのデータベースを保存しておき、各装置から発出される障害メッセージと関連性あるものが、保存されている過去のメッセージにあるか検索し、さらに主となる原因を表すメッセージであるか判断し、そのように判断されれば出力し、そうでなければ以降の処理をキャンセルしている。
【0042】
すなわち、まず装置から発生されるメッセージについて、メッセージ毎に相関関係にあるメッセージのデータベースを作成しておく。この作成したデータベースは、システム内に保存しておく。
障害が発生した装置からメッセージが送出され、本システムにて受信すると、メッセージの受信履歴を一時的にメモリ部に保存する。それとともに、相関関係のデータベースに従い、メモリ部に保存されている過去のメッセージから関連性のあるメッセージがないか検索する。
【0043】
さらに、相関関係にあるメッセージの中から主となる原因をよく表すメッセージであるかを相関関係のデータベースに従って判断し、主原因によるメッセージと判断されれば出力装置へ出力し、主原因によるものではないと判断されれば以降に続く処理をキャンセルする。
以上のように処理することにより、相関処理から除外する処理を行う。本発明が従来の技術と異なる点は、メッセージを待ち受けることなくメッセージ個々がそれぞれメッセージの相関関係を判断し、主原因によるメッセージのみを出力装置に表示できる点である。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、メッセージの出力順を意識しない相関関係情報により、メッセージ間の相関を取ることができる。例えば、メッセージが5種類あった場合、従来の方法では、メッセージの受信順序も考慮して相関関係情報を作成するため最大325通りの情報を作成しなければならなかった。すなわち、従来技術によると、受信メッセージの組合せの他に、メッセージの受信順序を考慮する必要がある。このため、
メッセージ1個の組合せ:5通り
メッセージ2個の組合せ:5×4=20通り
メッセージ3個の組合せ:5×4×3=60通り
メッセージ4個の組合せ:5×4×3×2=120通り
メッセージ5個の組合せ:5×4×3×2×1=120通り
であるため、合計は5+20+60+120+120=325通りとなる。
【0045】
一方、本発明では、受信順序を考慮しなくても良いため、最大でも80通りの情報作成をすれば良いこととなる。このことについて以下説明する。本発明では、メッセージの種類ごとにデータベースが存在している。例えば、メッセージの種類が5種類であれば、5つのデータベースが存在する。そして、各データベースの中に残りのメッセージによる組合せ(受信順序は関係しない純粋な組合せ)は、以下のようになる。すなわち、1つのデータベースの中に記載されるメッセージの組合せは、
メッセージ0個の組合せ:1通り
メッセージ1個の組合せ:4通り
メッセージ2個の組合せ:(4×3)/(2×1)=6通り
メッセージ3個の組合せ:(4×3×2)/(3×2×1)=4通り
メッセージ4個の組合せ:(4×3×2×1)/(4×3×2×1)=4通り
であるため、合計は1+4+6+4+1=16通りである。そして、データベースが5つあるので、16×5=80通りとなる。
したがって、本発明によれば、従来技術に比して、相関関係情報の作成、保守が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるメッセージ相関システムの実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】図1中のオペレーションマネジメントシステムの構成例を示すブロック図である。
【図3】図2中のメッセージ受信部に通知されるメッセージの構成例である。
【図4】図2中のメモリ部で管理されるデータの構成例である。
【図5】図2中のメッセージ間関連情報保存部において管理されるデータの構成例である。
【図6】図2中の構成情報保存部において管理されるデータの構成例である。
【図7】図3及び図4に示されているメッセージを全て受信した場合における相関処理結果を示す図である。
【図8】本発明によるメッセージ相関方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
D1 表示出力装置
M1 オペレーションマネジメントシステム
M11 メッセージ受信部
M12 メモリ部
M13 メッセージ相関実行部
M13−1 検索機能
M13−2 関連メッセージ有無判断機能
M13−3 主原因判断機能
M13−4 通知機能
M14 メッセージ関連情報保存部
M15 構成情報保存部
M16 メッセージ表示部
N1〜N4 通信装置
O1 オペレーションシステム
T1〜T4 通信端末
Claims (4)
- ネットワークを構成する複数の装置のいずれかの装置に障害が生じた場合に該ネットワークを構成する装置から送られてくるメッセージについて処理を行うメッセージ相関システムであって、各メッセージについての関連するメッセージを示すデータベースと、障害発生時に送られてくるメッセージについて、前記データベースに基づいて該メッセージに関連するメッセージを検索する検索手段と、前記検索手段による検索結果に基づいて、前記送られてくるメッセージに関連するメッセージの有無を判断する関連メッセージ有無判断手段と、前記障害発生の主原因によるメッセージであるか否かを判断する主原因判断手段と、前記関連メッセージ有無判断手段の判断の結果、関連するメッセージがない場合、及び、前記関連メッセージ有無判断手段及び前記主原因判断手段の判断の結果、関連メッセージがあり、かつ、前記障害の主原因によるものである場合、そのメッセージを告知する告知手段とを含み、前記主原因判断手段によって主原因によるメッセージではないと判断された場合は以降に続く処理をキャンセルすることを特徴とするメッセージ相関システム。
- 前記データベースは、発生した障害が、メッセージが送られてきたことの主原因であるかどうかを示す主原因フラグ情報を更に有することを特徴とする請求項1記載のメッセージ相関システム。
- 前記ネットワークを構成する各装置の接続関係を示す構成情報が保存されている構成情報保存手段を更に含み、前記検索手段は、前記構成情報保存手段に保存されている構成情報をも参照して前記検索を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のメッセージ相関システム。
- ネットワークを構成する複数の装置のいずれかの装置に障害が生じた場合に該ネットワークを構成する装置から送られてくるメッセージについて処理を行うためのメッセージ相関方法であって、前記各メッセージについての関連するメッセージを示すデータベースを作成するデータベース作成ステップと、送られてくる前記メッセージを保存するメッセージ保存ステップと、前記メッセージ保存ステップにおいて保存されたメッセージについて、前記データベース作成ステップにおいて作成されたデータベースに基づいて該メッセージに関連するメッセージを検索する検索ステップと、前記検索ステップにおける検索結果に基づいて、送られてくる前記メッセージに関連するメッセージの有無を判断する関連メッセージ有無判断ステップと、前記障害発生の主原因によるメッセージであるか否かを判断する主原因判断ステップと、前記関連メッセージ有無判断ステップにおける判断の結果、関連するメッセージがない場合、及び、前記関連メッセージ有無判断ステップ及び前記主原因判断ステップにおける判断の結果、関連メッセージがあり、かつ、前記障害の主原因である場合、そのメッセージを告知する告知ステップとを含み、前記主原因判断ステップにおいて主原因によるメッセージではないと判断された場合は以降に続く処理をキャンセルすることを特徴とするメッセージ相関方法。
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