JP3941574B2 - 高周波平面回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波を伝送する伝送線路、例えば0.8〜10GHzの高周波信号を伝送するコプレーナ伝送線路およびこの伝送線路上を横断するスペーサによって保持されるブリッジ導体を備えた高周波平面回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロ波を用いた通信分野において、平面アンテナを設けた平面回路にFET(電界効果トランジスタ)等の能動素子を実装し、供給された電力信号を増幅して平面アンテナから電波として放射する能動集積アンテナが提案されている。そして、この能動集積アンテナを実用的に用いることが望まれている。
【0003】
例えば、比誘電率が6.0〜7.5のガラスから成る自動車用ガラス板上に伝送線路および平面アンテナを設けた能動集積アンテナを作製し、自動料金収受システム(ETCシステム)における送信装置として用いられることが考えられる。
この場合、能動集積アンテナにおける信号の伝送には、回路の構成を簡素化するために、コプレーナ伝送線路が好適に用いられ、例えば、接地導体間の距離を略0.5〜数mmとしてコプレーナ伝送線路が構成される。
【0004】
一方、今日マイクロ波を使った通信技術が進歩し、特に、スパッタリング、ドライエッチングまたウェットエッチング等の半導体プロセス技術を用いて、GaAs(ガリウム・ヒ素)やアルミナ等の誘電体基板に能動素子や受動素子を設けたモノリシック集積回路(MMIC)を微細に作り込む技術が種々提案されている。
例えば特開平11−346105号公報は、誘電体基板上の中心導体とこの中心導体を両側から離間して挟むように設けた接地導体とを有するコプレーナ伝送線路にエアーブリッジを設けたマイクロ波平面回路を開示している。すなわち、当該公報は、コプレーナ伝送線路の中心導体とエアーブリッジとの間の容量が増加することによって生じる特性インピーダンスの低下を補償するように、エアーブリッジの構成およびこのエアーブリッジが横断するコプレーナ伝送線路の対応部分の構成を具体的な寸法とともに開示している。
【0005】
エアーブリッジとは、回路基板に設けられているコプレーナ伝送線路の上方で、コプレーナ伝送線路の中心導体を横断し、この中心導体の両側に離間して隣接する接地導体の電位を等しくするように両側の接地導体を電気的に接続するブリッジ状の導体である。特に、コプレーナ伝送線路の屈曲部分、T字分岐部分およびクロス分岐等の不連続部分には高次モードが生じるため、エアーブリッジを設けて両側の接地導体を同電位にする必要がある。
【0006】
また、‘Theoretical and Experimental Study of Various Types of Compensated Dielectric Bridges for Millimeter-Wave Coplanar Application’(Eric Rius etal. , IEEE Trans. Microwave Theory Tech.,vol.48, No.1, pp.152-156 , Jan.2000)は、誘電体に保持されたブリッジ導体とコプレーナ伝送線路の間に厚さが20μmの誘電体層からなるスペーサを設け、ブリッジ導体の高さを20μmとした高周波回路を開示している。
また、‘Three-Dimensional High-Frequency Distribution Networks−Part 1:Optimization of CPW Discontinuities’(Thomas M.Weller etal. , IEEE Trans. Microwave Theory Tech.,vol.48, No.10, pp.1635-1642 , Oct.2000)は、コプレーナ伝送線路に対するブリッジ導体の高さを3μmとした高周波回路を開示している。
これらは、いずれもブリッジ導体とコプレーナ伝送線路の中心導体とが近接することによって発生する特性インピーダンスの低下およびこれによって生じるコプレーナ伝送線路の伝送特性の悪化を補償するために、コプレーナ伝送線路は、ブリッジ導体の横断する中心導体の対応部分に中心導体の幅が狭くなったくびれ部を有する構成となっている。
【0007】
一方、特開2001−144177号公報は、感光性レジストを用いたドライエッチング処理およびウェットエッチング処理の半導体集積回路のプロセス技術を用いて、上述のエアーブリッジとコプレーナ伝送線路を備えた回路を製造する方法を開示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のMMICにおけるコプレーナ伝送線路は、半導体製造プロセス技術を用いて作製されたものであり、比誘電率が12.9のGaAsからなる誘電体基板または比誘電率が9.6のアルミナからなる誘電体基板を微細加工することにより作製されたもので、エアーブリッジの高さはいずれも20μm以下であり、接地導体間の距離はいずれも260μm(0.26mm)以下となっている。これに対して、上述の能動集積アンテナの場合、例えば、誘電率が6.0〜7.5のガラス板に接地導体間の距離が略0.5〜数mmといった接地導体間の距離の長いコプレーナ伝送線路を作製する。
一方、コプレーナ伝送線路の特性インピーダンスは、接地導体間の距離によって変化するため、上述の略0.5〜数mmといった接地導体間の距離を持つコプレーナ伝送線路は、GHz帯域の高周波信号にとって、上述のMMICの技術を用いて作製された接地導体間の距離の短いコプレーナ伝送線路とは全く異なったものであるといえる。
【0009】
従って、接地導体間の距離が広いコプレーナ伝送線路において、ブリッジ導体の高さ等について上述の従来技術で開示した値をそのまま用いたのでは、特性インピーダンスを適正にすることができず伝送特性の悪化を補償することはできない。しかも、放射効率の高い能動集積アンテナを得るには、特性インピーダンスの数値を正確に調整しなければならない。特に、通信技術の分野で利用が増大する0.8〜10GHzの電波の周波数帯域に対応して0.8〜10GHzの高周波信号の伝送特性を補償した高周波平面回路を提供することは重要である。
【0010】
また、上述の従来技術で開示するコプレーナ伝送線路の寸法とエアーブリッジ又はブリッジ導体の寸法との組み合わせは、1つの実施例あるいは、数個の実施例を示しているだけであり、コプレーナ伝送線路の寸法に対するエアーブリッジ又はブリッジ導体の寸法の調整方法を開示しているものでもない。そのため、比誘電率を6.0〜7.5とし接地導体間の距離が従来に比べて長いコプレーナ伝送線路に安定した伝送特性を持たせるように高周波平面回路を設計することはできない。
【0011】
これに対して、コプレーナ伝送線路の構成とエアーブリッジ又はブリッジ導体の構成を種々変えながら、伝送特性の良いコプレーナ伝送線路の構成とエアーブリッジ又はブリッジ導体の構成との組み合わせを見つけ出すことも考えられる。しかし、コプレーナ伝送線路の構成を設定する場合、例えば、接地導体間の距離、中心導体の幅、エアーブリッジ又はブリッジ導体が横断する中心導体のくびれ部の幅およびくびれ部の長さを定める必要がある他、エアーブリッジ又はブリッジ導体の導体幅およびエアーブリッジ又はブリッジ導体の高さ、ブリッジ導体を保持する誘電体からなるスペーサを設ける場合には、このスペーサの比誘電率およびこのスペーサの幅を定める必要がある。
このように、伝送効率の良いコプレーナ伝送線路の構成とエアーブリッジ又はブリッジ導体の構成との組み合わせは無限にあるため、この中から所定の周波数の高周波信号に対して良好かつ安定した伝送特性を持つコプレーナ伝送線路およびエアーブリッジ又はブリッジ導体の構成を見出すことは極めて難しい。
【0012】
また、このような能動集積アンテナを、自動車用ガラス板を基板として構成する場合、大量生産に適した方法で作製することが必要であるが、半導体デバイスに用いる基板等に比べて極めて大面積の自動車用ガラス板を基板とするので、上述の公報(特開2001−144177号公報)のような半導体プロセス技術を用いて、大面積の自動車用ガラス板にコプレーナ伝送線路等を備えた小面積の高周波平面回路を実用的に作製することはできない。
【0013】
そこで、本発明は、上述の問題を解決すべく、自動車用ガラス板等の比誘電率が6.0〜7.5の誘電体基板と、この誘電体基板上の中心導体の両側に接地導体を設け、接地導体間の幅がMMICで作製されるものに比べて比較的大きな寸法を持つ伝送線路と、この伝送線路の中心導体を横断し、両側の接地導体間を接続した導体からなるブリッジ導体とを備えた高周波平面回路において、伝送特性の悪化を補償するとともに、半導体プロセス技術を用いることなく容易に製造できる高周波平面回路、特に0.8〜10GHzや0.8〜6GHzの周波数帯域の高周波信号を効率よく伝送する高周波平面回路を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明者らは種々の検討を行った結果、高周波平面回路における伝送線路において伝送特性を良好とする構成に一定の好適な範囲があることを見出して、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、比誘電率が6.0〜7.5の誘電体基板と、この誘電体基板上に設けられた中心導体およびこの中心導体を離間して挟むようにこの中心導体の両側に隣接する前記誘電体基板上に設けられた接地導体を有し、前記中心導体の幅が部分的に狭くなったくびれ部を持つ伝送線路と、前記くびれ部上に設けられた誘電体からなるスペーサと、このスペーサによって保持され、前記くびれ部の上方で前記中心導体を横断し、前記中心導体の両側の前記接地導体間を接続した導体からなるブリッジ導体を備えた高周波平面回路であって、前記接地導体、前記中心導体、前記スペーサ及び前記ブリッジ導体は、スクリーン印刷法を用いて前記誘電体基板上に所定の温度で焼成されたものであり、前記くびれ部の長さが前記ブリッジ導体の横断幅に比べて長く、前記伝送線路の前記接地導体間の距離が0.8〜3.8mmかつ前記くびれ部以外の前記中心導体の幅が0.6〜2.4mmであり、さらに前記スペーサの比誘電率が4〜17で厚さが21〜40μmであり、前記ブリッジ導体を設けたことによる前記伝送線路の容量特性に関する容量特性パラメータをαとし、前記くびれ部を設けたことによる前記伝送線路の誘導性に関する誘導特性パラメータをβとし、前記容量特性パラメータαを横軸に、前記誘導性パラメータβを縦軸に持つα−β座標平面を定めたとき、前記容量性パラメータαおよび前記誘導性パラメータβが、下記式(1)〜(4)で表される直線で囲まれた範囲に存在するように、前記伝送線路および前記ブリッジ導体を構成したことを特徴とする高周波平面回路を提供する。
α = 4 (1)
α = 5.5/L7 1/2+15.77 (2)
β = 0.32・α + 0.71・L7 − 2.05 (3)
β = 0.32・α + 0.29・L7 + 1.25 (4)
但し、前記容量特性パラメータαは、α=εr・L3・L4/L2
前記誘導特性パラメータβは、β=L5・loge(L7/L4)であり、
7は前記接地導体間の距離(mm)、
εrは前記スペーサの比誘電率、
2は前記ブリッジ導体の高さ(mm)、
3は前記ブリッジ導体の幅(mm)、
4は前記くびれ部の前記中心導体の幅(mm)、
およびL5は前記くびれ部の長さ(mm)である。
【0015】
上記式(1)〜(4)に基づいて行われる前記容量特性パラメータαおよび前記誘導特性パラメータβの設定は、前記伝送線路に0.8〜6GHzの高周波信号を伝送させる際に用いるのが好ましい。
【0016】
また、前記α−β座標平面において、前記式(1)および(4)と下記式(5)および(6)で表される直線で囲まれる領域の範囲に、前記容量性パラメータαおよび前記誘導性パラメータβが位置するように、前記伝送線路および前記ブリッジ導体を構成するのが好ましい。
α = 10.6/L7 1/2+0.92 (5)
β = 0.32・α + 0.58・L7 − 1.2 (6)
上記式(1),(4)(5)および(6)に基づいて行われる前記容量特性パラメータαおよび前記誘導特性パラメータβの設定は、前記伝送線路に0.8〜10GHzの高周波信号を伝送させる際に用いるのが好ましい。
また、前記誘電体基板は、例えば厚さが1〜10mmの自動車用ガラス板であることが好ましい。
【0017】
また、前記スペーサの厚さが25〜35μmであるのがより好ましい。
前記誘電体基板上の前記伝送線路の端には、例えば、平面アンテナが設けられ、前記誘電体基板上に、さらに、能動素子が設けられる。
また、前記誘電体基板は、例えば、透明性を有するガラスである。
このような高周波平面回路は、例えば、前記接地導体、前記中心導体、前記スペーサおよび前記ブリッジ導体となる各構成部材を転写用フィルム上にスクリーン印刷で積層して所定のパターンを形成した後、前記誘電体基板に転写して作製する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高周波平面回路を、添付の図面に示される好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の高周波平面回路の一例である高周波平面回路10の一部分を切り出した斜視図である。図2は、図1に示すA−B切断線に沿って切断した高周波平面回路10の断面図であり、図3は、図1に示すX−Y切断線に沿って切断した高周波平面回路10の断面図である。図4は、図1に示す高周波平面回路10の平面図である。
【0020】
高周波平面回路10は、誘電体基板11と、この誘電体基板11上に設けられた中心導体12を離間して挟むように中心導体12の両側に接地導体13(13a,13b)が隣接し、中心導体12の幅が部分的に狭くなったくびれ部14を持つコプレーナ伝送線路15と、このくびれ部14の中心導体16を誘電体基板11の上方で横断し、中心導体12の両側の接地導体13の間を電気的に接続した導体からなるブリッジ導体17と、くびれ部14上に設けられ、ブリッジ導体17を保持するスペーサ18とを備えている。
スペーサ18は、ブリッジ導体17を保持するための誘電体からなる部材で、図3に示すようにくびれ部16の上方に接触して設けられる。図1ではくびれ部16を隠すため、スペーサ18を点線で示している。
【0021】
誘電体基板11は、比誘電率が6.0〜7.5であり、厚さが例えば1〜10mm、より好ましくは2〜6mmの板状の誘電体であり、この誘電体基板11の基板面にコプレーナ伝送線路が設けられる。誘電体基板11としては、例えば自動車用ガラス板が挙げられる。また、合わせガラスまたは複層ガラスであってもよい。この場合、合わせガラス板または複層ガラス板のいずれのガラス面を誘電体基板11の基板面としてもよい。
【0022】
コプレーナ伝送線路15は、誘電体基板11上に設けた中心導体12と、この中心導体12の両側に一定の間隔をあけて隣接する接地導体13a,13bとの間に作られるスロット部19に沿って高周波信号が伝送する公知の伝送線路である。
中心導体12の両側に設けられる接地導体13a,13bの間の距離は、0.8〜3.8mmである。一方、中心導体12の幅は0.6〜2.4mm、スロット部19の幅は0.2〜0.6mmであり、中心導体12の両側に等しい幅のスロット部19が設けられている。
なお、コプレーナ伝送線路15の一方の端は、例えば、誘電体基板11上に実装されたFET(電界効果型トランジスタ)のドレイン端子と接続され、他方の端は、例えば、誘電体基板11上に設けられた平面アンテナと接続され、FETで増幅された高周波信号を電波として放射するように構成される。
【0023】
コプレーナ伝送線路15は、接地導体13a,13b間を接続するブリッジ導体17の横断する部分に対応して、中心導体12が部分的に細くなったくびれ部14を有する。ブリッジ導体17が設けられることによって伝送線路の容量が増加し、この増加によってコプレーナ伝送線路15の特性インピーダンスが低下するが、このくびれ部14は、この特性インピーダンスの低下を補償すべく、中心導体12の幅に対して狭くして特性インピーダンスを増大させる機能を有する。また、くびれ部14の長さは、後述するブリッジ導体17の幅よりも長く、くびれ部14の一部分をブリッジ導体17が横断するようにくびれ部14の中心導体16の長さが設定されている。
くびれ部14は、例えば、中心導体16の幅が0.2〜0.8mmで、中心導体16の長さが少なくともブリッジ導体17の幅よりも長く、6.0mm以下である。
なお、接地導体13a,13bおよび中心導体12,16は、金、銀等の導体材料が用いられ、導体材料は特に制限されない。
【0024】
ブリッジ導体17は、接地導体13a、13bを接続する導体であり、スペーサ18で保持されてくびれ部14の中心導体16を横断する。ブリッジ導体17は、金、銀等の導体材料が用いられ、導体材料は特に制限されない。
スペーサ18は、比誘電率εrを4〜17、高さを21〜40μmとする誘電体である。スペーサ18の誘電体材料は特に制限されないが、例えば、B23−SiO2−PbO系ガラスが用いられる。
【0025】
このような高周波平面回路10は、例えば、特開2000−151080号公報に記載される転写式印刷パターン形成方法を用いて作製される。
すなわち、基材紙と基材紙上に形成される易剥離層とを備えた転写紙等のフィルム上に、ブリッジ導体17となる導体材料のペーストを、その上にスペーサ18となる誘電体材料のペーストを所定の位置に積層した後、図1に示すような接地導体13(13a,13b)、中心導体12,16の導体となる導体材料のペーストを積層して回路パターンを形成し、転写すべき回路パターンを作製する。各種ペーストの積層は、フィルム上の易剥離層の上に公知のスクリーン印刷法によって行う。
一方、誘電体基板11の表面に接着材を公知のスクリーン印刷によって積層する。この後、フィルムに積層した回路パターンを誘電体基板11となる基板にプレス板を用いて所定の圧力で加圧し、さらに加熱した後、基材紙のみを剥離することによって回路パターンを誘電体基板11に転写する。さらに、回路パターンの転写された誘電体基板11を所定の温度で焼成する。
こうして高周波平面回路10を作製することができる。
【0026】
なお、スペーサ18をガラスで構成する場合、スペーサ18の誘電体材料のペーストには、例えば、軟化点が520〜580℃のB2 3 −SiO2 −PbO系ガラスフリットを用いる。誘電体基板11がガラス板である場合、このガラス板の焼成する条件で十分に軟化流動するガラスフリットを用いるとよい。また、スペーサ18の熱膨張率の抑制、また強度の向上のためにAl2 3 またはZrO2 等のフィラー材料を上述の軟化流動を妨げない範囲で添加してもよい。
【0027】
このように高周波平面回路10は、誘電体基板11の比誘電率が6.0〜7.5の範囲にあり、接地導体13a,13bの間の距離が0.8〜3.8mmかつ中心導体12の幅が0.6〜2.4mmの範囲でコプレーナ伝送線路15が構成され、比誘電率εrが4〜17かつ厚さが21〜40μmの範囲でスペーサ18が構成されている。
このような構成において、くびれ部14の長さをブリッジ導体17の横断幅に比べて長く設定し、くびれ部14の長さ(図4におけるL5)を設定することができるので、以降で示すように、特性インピーダンスを効率よく調整することができ、高周波平面回路における伝送特性が良好となる。しかも、所定の周波数帯域において安定した伝送特性を得ることができる。
なお、図1および図3における高周波平面回路10の構成において、ブリッジ導体17またはスペーサ18の理解を容易にするために、高さ方向を拡大して表している。
【0028】
ところで、高周波信号を伝送するコプレーナ伝送線路等の伝送線路は、特性インピーダンスが一定値、例えば50Ωになるように構成される。
この特性インピーダンスは、周知のように、抵抗による損失を考慮しない場合、伝送線路の容量特性(キャパシタンス)と誘導特性(インダクダンス)とを用いて特徴付けられる。
高周波平面回路10では、ブリッジ導体17を設けてもコプレーナ伝送線路15の伝送特性が悪化することがないように、容量特性パラメータαと誘導特性パラメータβとが定められて、コプレーナ伝送線路15、ブリッジ導体17およびスペーサ18が構成されている。
すなわち、本願発明者らは、下記に示す容量特性パラメータαおよび誘導特性パラメータβを用いた場合、0.8〜6GHzの周波数帯域、また0.8〜10GHzの周波数帯域で、伝送特性が良好となる容量特性パラメータαおよび誘導特性パラメータβの領域を見出して本発明に至っている。
【0029】
ここで、容量特性パラメータαおよび誘導特性パラメータβは、
α=εr・L3・L4/L2
β=L5・loge(L7/L4)と定義する。
図3および4に示すように、
7は接地導体13a,13b間の距離(mm)、
εrはスペーサ18の比誘電率、
2ブリッジ導体17の高さ(mm)、
3ブリッジ導体17の幅(mm)、
4はくびれ部14の中心導体16の幅(mm)、
およびL5はくびれ部14の長さ(mm)である。
【0030】
ここで、高周波平面回路10における容量性パラメータαおよび誘導特性パラメータβは、容量特性パラメータαを横軸に、誘導性パラメータβを縦軸に持つα−β座標平面を定めた場合、0.8〜6GHzの高周波信号に対して、下記式(1)〜(4)で表される直線によって囲まれた範囲に存在するのが好ましい。
α = 4 (1)
α = 5.5/L7 1/2+15.77 (2)
β = 0.32・α + 0.71・L7 − 2.05 (3)
β = 0.32・α + 0.29・L7 + 1.25 (4)
【0031】
このような容量性パラメータαおよび誘導特性パラメータβを持つコプレーナ伝送線路15、ブリッジ導体17およびスペーサ18を構成することで、0.8〜6GHzの高周波信号に対して、リターンロスを−20dB以下とすることができる。
上述したようにブリッジ導体17を設けることによってコプレーナ伝送線路15の特性インピーダンスが変化し、一部の高周波信号が反射するが、リターンロスとは、この特性インピーダンスの変化によって生じる反射信号の、入射される高周波信号に対する電力の比率をいう。従って、−20dB以下とは、入力された高周波信号の電力に対する反射信号の電力が1%以下になることをいい、良好な伝送特性であることを示す。特に、入射した高周波信号の電力に対する反射信号の電力の比率を用いて伝送特性の良否を判断する−20dBという数値は、伝送特性が良好であると判断する際の基準となる値であり、当業者に一般的に用いられる値である。
【0032】
例えば、εr=12.5,L2=0.03(mm),L3=0.2(mm),L4=0.2(mm),L5=2.8(mm)およびL7=1.6(mm)において、容量特性パラメータα=16.67(mm),誘導特性パラメータβ=5.822(mm)となり、α−β座標平面において式(1)〜(4)で表される直線によって囲まれた範囲に存在する。
このように、高周波平面回路10は、0.8〜6GHzの高周波信号に対して、容量特性パラメータα,誘導特性パラメータβが上記式(1)〜(4)で表される直線によって囲まれた範囲に位置するようにコプレーナ伝送線路15の構成、ブリッジ導体17の構成およびスペーサ18の構成を定める。これにより、0.8〜6GHzの高周波信号に対して、リターンロスを−20dB以下とすることができ、安定した伝送特性を得ることができる。リターンロスが−20dB以下となる点については後述する。
【0033】
さらに、高周波平面回路10における容量性パラメータαおよび誘導特性パラメータβは、0.8〜10GHzの高周波信号に対して、α−β座標平面において上記式(1)、上記式(4)、下記式(5)および下記式(6)で表される直線によって囲まれた範囲に存在するのが好ましい。
α = 10.6/L7 1/2+0.92 (5)
β = 0.32・α + 0.58・L7 − 1.2 (6)
【0034】
例えば、εr=4,L2=0.03(mm),L3=0.2(mm),L4=0.2(mm),L5=1.1(mm)およびL7=1.6(mm)において、容量特性パラメータαは5.33(mm)、誘導特性パラメータβは2.29(mm)となり、α−β座標平面において式(1)、(4)、(5)および(6)で表される直線によって囲まれた範囲に存在する。このように、0.8〜10GHzの高周波信号の場合、容量特性パラメータαおよび誘導特性パラメータβが、α−β座標平面において、上記式(1)、(4)、(5)および(6)で表される直線によって囲まれた範囲に位置するように、コプレーナ伝送線路15の構成、ブリッジ導体17の構成およびスペーサ18の構成を定める。これにより、0.8〜10GHzの高周波信号におけるリターンロスを−20dB以下とすることができ、安定した伝送特性を得ることができる。リターンロスが−20dB以下となる点については後述する。
【0035】
このように、誘電体基板11の比誘電率が6.0〜7.5の範囲にあり、接地導体13a,13bの間の距離が0.8〜3.8mmかつ中心導体12の幅が0.6〜2.4mmの範囲でコプレーナ伝送線路15が構成され、比誘電率εr が4〜17かつ厚さが21〜40μmの範囲でスペーサ18が構成されている場合、リターンロスが−20dB以下となる条件が容量性パラメータαおよび誘導特性パラメータβを用いて定められることを、実際の挙動を定量的にしかも正確にシミュレートする公知のFDTD(Finite Difference Time Domain )法を用いて確かめることができる。
【0036】
FDTD法とは、電磁波の過渡的な挙動を、電子計算機を用いて数値シミュレーションによって解析する方法の1つである。この方法は、例えば、解析対象とする回路およびこの回路を取り巻く空間を所望のセルで分割し、各セル毎に支配方程式であるマクスウェルの方程式またはマクスウェルの方程式を積分形式で表した方程式を用いて、各セルおよび各時間ステップにおける電界と磁界に関する差分スキームを作成し、この差分スキームを用いて電磁波の過渡的な挙動を計算する方法である。詳細については、例えば、「FDTD法による電磁界およびアンテナ解析」(宇野 享著、株式会社コロナ社出版)に記載されている。
【0037】
図5は、幅20mm、長さ10mmの基板面を備える高周波平面回路10の回路モデル20を幅20mm、長さ10mm、高さ20mmの直方体の解析空間22の中に解析モデルを配した斜視図である。この解析モデルは、この後、直方体形状にメッシュ分割されて800000セルに分割される。
【0038】
図6(a)は、メッシュ分割された解析モデルのうち、回路モデル20の基板面に沿って切断した切断面の一部分を示した断面図である。この断面図は、幅8mm、長さ10mmの基板面上の一部分の領域の解析モデルの様子を示している。図6(a)には、接地導体13a,13bに対応して解析モデルの接地導体13a’,13b’が、中心導体12に対応して解析モデルの中心導体12’が、くびれ部14に対応して解析モデルのくびれ部14’が、コプレーナ伝送線路15に対応して解析モデルのコプレーナ伝送線路15’が示されている。
【0039】
図6(b)は、図6(a)中のU−V線に沿って解析モデルを切断したときの断面図であり、くびれ部14’を中心として拡大したものである。図6(b)には、誘電体基板11に対応して解析モデルの誘電体基板11’が、くびれ部14の中心導体16に対応して解析モデルのくびれ部14’の中心導体16’が、ブリッジ導体17に対応して解析モデルのブリッジ導体17’が、スペーサ18に対応して解析モデルのスペーサ18’が示されている。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
このような解析モデルについて、下記表1((その1)〜(その5))に示すように、中心導体12の幅L6 =1、接地導体13a’,13b’の間の距離をL7 =1.6mm、スリット部19の幅を0.3mmに固定して、図3および図4に示す寸法L2 、L3 、L4 、L5 、L8 を種々変化させて解析モデルを132個(M111 〜M301 )を作成し、解析モデルにおけるリターンロスS11を算出した。算出したリターンロスS11は、0.8〜2GHz、0.8〜4GHz、0.8〜6GHz、0.8〜8GHz、0.8〜10GHzの各周波数帯域のリターンロスS11が−20dB以下であるか否かを判別して6種類に分類した、それと同時に、各解析モデルにおける容量特性パラメータαおよび誘導特性パラメータβを算出した。
【0041】
【表1】
Figure 0003941574
【表2】
Figure 0003941574
【表3】
Figure 0003941574
【表4】
Figure 0003941574
【表5】
Figure 0003941574
【0042】
ここで、リターンロスS11は解析空間22(図5参照)に入力された電力に対する反射した電力の比率である。コプレーナ伝送線路15’の一方の端と接する解析空間22の一端面においてコプレーナ伝送線路15’の伝送モードの中で最も支配的な1次モードを計算し、この1次モードの電磁波を入力波源信号として解析モデルに入力し、FDTD法により解析空間22の電磁場を解析する。この解析から、コプレーナ伝送線路15’の入力波源信号を入力した解析空間22の、同じ一端面に戻ってきた、反射されて来た信号を算出することによりリターンロスS11を算出する。リターンロスS11が0dBであるとは、入力された高周波信号が完全に反射して伝送されない状態をいい、リターンロスS11が小さくなるほど入力された高周波信号の電力が損失することなく伝送されることをいう。
【0043】
図7は、M111 〜M301 の計132個の解析モデルにおけるリターンロスS11の結果を所定の分類毎に分けてプロットした散布図である。すなわち、図7は、容量特性パラメータαを横軸、誘導特性パラメータβを縦軸に持つα−β座標平面上でM111 〜M301 の解析モデルのリターンロスS11の分類結果に基づいて、「▲」、「■」、「●」、「△」、「○」および「×」でプロットしたものである。
【0044】
図7中の「▲」は、0.8〜10GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下であることを示す。「■」は、0.8〜10GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下の条件を満たさず、0.8〜8GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下であることを示す。「●」は、0.8〜8GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下の条件を満たさず、0.8〜6GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下であることを示す。「△」は、0.8〜6GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下の条件を満たさず、0.8〜4GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下であることを示す。「○」は、0.8〜4GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下の条件を満たさず、0.8〜2GHzの周波数帯域でリターンロスS11が−20dB以下であることを示す。「×」は、0.8〜2GHzの周波数帯域でもリターンロスS11が−20dB以下の条件を満たさないことを示す。
【0045】
図8は、図7にプロットされている解析モデルM133 、M154 およびM252 の周波数に対するリターンロスS11の変化を示している。解析モデルM133 は0.8〜10GHzにおいて−20dB以下のリターンロスS11を有する。従って、解析モデルM133 は、図7において「▲」でプロットされている。
一方、解析モデルM154 は0.8〜6GHzにおいて−20dB以下のリターンロスS11を有するが、7GHz〜10GHzにおいて−20dBより大きなリターンロスS11を有する。従って、解析モデルM154 は、図7において「●」でプロットされている。
また、解析モデルM252 は0.8〜2GHzにおいて−20dBを越えるリターンロスS11を有する。従って、解析モデルM252 は、図7において「×」でプロットされている。
【0046】
また、図7におけるT11、T13、T14およびT16はそれぞれ下記に示す式で表された直線であって、L7 =1.6mmとしたときの上述の式(1)〜(4)で表された直線に対応する。また、図7におけるT12およびT15もそれぞれ下記に示す式で表された直線であって、L7 =1.6mmとしたときの上述の式(5)および(6)で表された直線に対応する。
11 :α = 4
13 :α = 20.12
14 :β = 0.32・α − 0.91
16 :β = 0.32・α + 1.71
12 :α = 8.30
15 :β = 0.32・α − 0.27
【0047】
これより、リターンロスS11が0.8〜6GHzの周波数帯域で−20dB以下となる範囲は、点P11,P13,P14,P15を頂点とする四角形で囲まれた範囲にあり、この範囲は上述の式(1)〜(4)で表された直線(L7 =1.6mm)で囲まれた範囲である。
同様に、リターンロスS11が0.8〜10GHzの周波数帯域で−20dB以下となる範囲は点P11,P12,P16,P17を頂点とする四角形で囲まれた範囲にあり、上述の式(1),(4),(5)および(6)で表された直線(L7 =1.6mm)で囲まれた範囲である。
【0048】
(実施例2)
さらに、下記表2((その1)および(その2))に示すように、中心導体12の幅L6 =0.6mm、接地導体13a’,13b’の間の距離をL7 =1mm、スリット部19の幅を0.2mmに固定して、図3および図4に示す寸法L2 、L3 、L4 、L5 およびL8 を種々変化させて解析モデルを53個(M511 〜M619 )を作成し、解析モデルにおけるリターンロスS11を計算した。
【0049】
【表6】
Figure 0003941574
【表7】
Figure 0003941574
【0050】
図9は、M511 〜M619 の計53個の解析モデルにおけるリターンロスS11の結果を、図7と同様に6種類の分類毎に分け、「▲」、「■」、「●」、「△」、「○」および「×」でプロットした散布図である。すなわち、0.8〜2GHz、0.8〜4GHz、0.8〜6GHz、0.8〜8GHz、0.8〜10GHzの各周波数帯域のリターンロスS11が−20dB以下であるか否かを判別して6種類に分類するとともに、各解析モデルにおける容量特性パラメータαと誘導特性パラメータβとを算出し、α−β座標平面上でM511 〜M619 の解析モデルのリターンロスS11を6分類の分類別に分けてプロットしている。
【0051】
図9におけるT51、T53、T54およびT56はそれぞれ下記に示す式で表された直線であって、L7 =1mmとしたときの上述の式(1)〜(4)で表された直線に対応する。また、図9におけるT52およびT55もそれぞれ下記に示す式で表された直線であって、L7 =1mmとしたときの上述の式(5)および(6)で表された直線に対応する。
51 :α = 4
53 :α = 21.27
54 :β = 0.32・α − 1.34
56 :β = 0.32・α + 1.54
52 :α = 11.52
55 :β = 0.32・α − 0.62
【0052】
これより、リターンロスS11が0.8〜6GHzの周波数帯域で−20dB以下となる範囲は点P51,P53,P54,P55を頂点とする四角形で囲まれた範囲にあり、上述の式(1)〜(4)で表された直線(L7 =1mm)で囲まれた範囲に対応する。
同様に、リターンロスS11が0.8〜10GHzの周波数帯域で−20dB以下となる範囲は点P51,P52,P56,P57を頂点とする四角形で囲まれた範囲にあり、この範囲は上述の式(1),(4),(5)および(6)で表された直線(L7 =1mm)で囲まれた範囲に対応する。
【0053】
(実施例3)
さらに、下記表3((その1)および(その2))に示すように、中心導体12の幅L6 =2.4mm、接地導体13a’,13b’の間の距離をL7 =3.6mm、スリット部19の幅を0.6mmに固定して、図3および図4に示す寸法L2 、L3 、L4 、L5 およびL8 を種々変化させて解析モデルを34個(M711 〜M821 )を作成し、解析モデルにおけるリターンロスS11を計算した。
【0054】
【表8】
Figure 0003941574
【表9】
Figure 0003941574
【0055】
図10は、M711 〜M821 の計34個の解析モデルにおけるリターンロスS11の結果を、図7と同様に6種類の分類毎に分け、「▲」、「■」、「●」、「△」、「○」および「×」でプロットした散布図である。すなわち、0.8〜2GHz、0.8〜4GHz、0.8〜6GHz、0.8〜8GHz、0.8〜10GHzの各周波数帯域のリターンロスS11が−20dB以下であるか否かを判別して6種類に分類するとともに、各解析モデルにおける容量特性パラメータαと誘導特性パラメータβとを算出し、α−β座標平面上でM511 〜M619 の解析モデルのリターンロスS11を6分類の分類別に分けてプロットしている。
【0056】
図10におけるT71、T73、T74およびT76はそれぞれ下記に示す式で表された直線であって、L7 =3.6mmとしたときの上述の式(1)〜(4)で表された直線に対応する。また、図10におけるT72およびT75もそれぞれ下記に示す式で表された直線であって、L7 =3.6mmとしたときの上述の式(5)および(6)で表された直線に対応する。
71 :α = 4
73 :α = 18.67
74 :β = 0.32・α + 0.51
76 :β = 0.32・α + 2.29
72 :α = 6.51
75 :β = 0.32・α + 0.89
【0057】
これより、リターンロスS11が0.8〜6GHzの周波数帯域で−20dB以下となる範囲は、ほぼ、点P71,P73,P74,P75を頂点とする四角形で囲まれた範囲にあり、この範囲は上述の式(1)〜(4)で表された直線(L7 =3.6mm)で囲まれた範囲に対応する。
同様に、リターンロスS11が0.8〜10GHzの周波数帯域で−20dB以下となる範囲は、点P71,P72,P76,P77を頂点とする四角形で囲まれた範囲にあり、上述の式(1),(4),(5)および(6)で表された直線(L7 =3.6mm)で囲まれた範囲に対応する。
【0058】
(実施例4)
さらに、表1に示す解析モデルM133 、M154 、M252 のそれぞれにおいて誘電体基板11の比誘電率を変化させたときのリターンロスS11の変化を調べた。誘電体基板11の比誘電率を6.0,6.5,7.0,7.5と4水準に振って、リターンロスS11を算出した。
図11(a)〜(c)は、その結果を示している。いずれの場合においても、リターンロスS11の0.8〜6GHzで−20dB以下となる分類結果、および0.8〜10GHzで−20dB以下となる分類結果に変化がないことがわかった。
また、誘電体基板11の厚さを2〜6mmの範囲で変えても、0.8〜6GHzで−20dB以下となる分類結果、および0.8〜10GHzで−20dB以下となる分類結果に変化がないことがわかった。
【0059】
このように高周波平面回路10は、くびれ部14の長さが、ブリッジ導体17の横断幅に比べて長く設けられるとともに、誘電体基板11の比誘電率が6.0〜7.5の範囲にあり、接地導体13a,13bの間の距離が0.8〜3.8mmかつ中心導体12の幅が0.6〜2.4mmの範囲でコプレーナ伝送線路15が構成され、比誘電率εrが4〜17かつ厚さが21〜40μmの範囲でスペーサ18が構成されているので、特性インピーダンスを効率よく調整することができ、安定した伝送特性を有する高周波平面回路を提供することができる。
【0060】
以上、本発明の高周波平面回路について詳細に説明したが、本発明は上記実施例や実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0061】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、高周波平面回路は、くびれ部の長さが、ブリッジ導体の横断幅に比べて長く設けられるとともに、誘電体基板の比誘電率が6.0〜7.5の範囲にあり、接地導体の間の距離が0.8〜3.8mmかつ中心導体12の幅が0.6〜2.4mmの範囲で伝送線路が構成され、比誘電率が4〜17かつ厚さが21〜40μmの範囲でスペーサが構成されているので、特性インピーダンスを効率よく調整することができ安定した伝送特性を有する高周波平面回路を提供することができる。特に、自動車用ガラス板に好適に用いることができ、公知の転写式印刷パターン形成方法を用いて容易にしかも大量に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高周波平面回路の一例を示す斜視図である。
【図2】 図1に示すA−B切断線に沿って切断した高周波平面回路の断面図である。
【図3】 図1に示すX−Y切断線に沿って切断した高周波平面回路の断面図である。
【図4】 図1に示す高周波平面回路の平面図である。
【図5】 図1に示す高周波平面回路の解析モデルを説明する図である。
【図6】 (a)および(b)は、図5に示すメッシュ分割された解析モデルの断面図である。
【図7】 図5に示す解析モデルを用いて算出されたリターンロスの結果の一例を示す散布図である。
【図8】 図5に示す解析モデルを用いて算出されたリターンロスの周波数特性の一例を示す図である。
【図9】 図5に示す解析モデルを用いて算出されたリターンロスの結果の他の例を示す散布図である。
【図10】 図5に示す解析モデルを用いて算出されたリターンロスの結果の他の例を示す散布図である。
【図11】 (a)〜(c)は、図5に示す解析モデルを用いて算出されたリターンロスの周波数特性の他の例を示す図である。
【符号の説明】
10 高周波平面回路
11 誘電体基板
12,16 中心導体
13 接地導体
14 くびれ部
15 コプレーナ伝送線路
17 ブリッジ導体
18 スペーサ
19 スロット部
20 回路モデル
22 解析空間

Claims (3)

  1. 比誘電率が6.0〜7.5の誘電体基板と、
    この誘電体基板上に設けられた中心導体およびこの中心導体を離間して挟むようにこの中心導体の両側に隣接する前記誘電体基板上に設けられた接地導体を有し、前記中心導体の幅が部分的に狭くなったくびれ部を持つ伝送線路と、
    前記くびれ部上に設けられた誘電体からなるスペーサと、
    このスペーサによって保持され、前記くびれ部の上方で前記中心導体を横断し、前記中心導体の両側の前記接地導体間を接続した導体からなるブリッジ導体と、を備えた高周波平面回路であって、
    前記接地導体、前記中心導体、前記スペーサ及び前記ブリッジ導体は、スクリーン印刷法を用いて前記誘電体基板上に所定の温度で焼成されたものであり、
    前記くびれ部の長さが前記ブリッジ導体の横断幅に比べて長く、
    前記伝送線路の前記接地導体間の距離が0.8〜3.8mmかつ前記くびれ部以外の前記中心導体の幅が0.6〜2.4mmであり、
    さらに前記スペーサの比誘電率が4〜17で厚さが21〜40μmであり、
    前記ブリッジ導体を設けたことによる前記伝送線路の容量特性に関する容量特性パラメータをαとし、前記くびれ部を設けたことによる前記伝送線路の誘導性に関する誘導特性パラメータをβとし、前記容量特性パラメータαを横軸に、前記誘導性パラメータβを縦軸に持つα−β座標平面を定めたとき、前記容量性パラメータαおよび前記誘導性パラメータβが、下記式(1)〜(4)で表される直線で囲まれた範囲に存在するように、前記伝送線路および前記ブリッジ導体を構成したことを特徴とする高周波平面回路。
    α = 4 (1)
    α = 5.5/L7 1/2+15.77 (2)
    β = 0.32・α + 0.71・L7 − 2.05 (3)
    β = 0.32・α + 0.29・L7 + 1.25 (4)
    但し、前記容量特性パラメータαは、α=εr・L3・L4/L2
    前記誘導特性パラメータβは、β=L5・loge(L7/L4)であり、
    7は前記接地導体間の距離(mm)、
    εrは前記スペーサの比誘電率、
    2は前記ブリッジ導体の高さ(mm)、
    3は前記ブリッジ導体の幅(mm)、
    4は前記くびれ部の前記中心導体の幅(mm)、
    およびL5は前記くびれ部の長さ(mm)である。
  2. 前記α−β座標平面において、前記式(1)および(4)と下記式(5)および(6)で表される直線で囲まれる領域の範囲に、前記容量性パラメータαおよび前記誘導性パラメータβが存在するように、前記伝送線路および前記ブリッジ導体を構成した請求項1に記載の高周波平面回路。
    α = 10.6/L7 1/2+0.92 (5)
    β = 0.32・α + 0.58・L7 − 1.2 (6)
  3. 前記誘電体基板は、厚さが1〜10mmの自動車用ガラス板である請求項1又は2に記載の高周波平面回路。
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