JP3941360B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電灯、特に蛍光灯の寿命末期などでの現象を検出して回路を保護する機能を備える放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図14に従来の放電灯点灯装置の構成図を示す(例えば、特表平11−503266号など参照)。図14において、放電灯点灯装置は、基本構成として、直流電源Eの両端に直列に接続される一対のスイッチング素子Q1,Q2により成るインバータ回路INVと、カプリング用のコンデンサC0と、このコンデンサC0を介してスイッチング素子Q2の両端に接続される負荷回路Zとを備えている。この負荷回路Zは、コンデンサC0と直列に接続される共振用のチョークコイルLと、一対のフィラメントを有し、コンデンサC0およびチョークコイルLを介してスイッチング素子Q2の両端に接続される放電灯Laと、この放電灯Laの両フィラメントの非電源側に接続される共振およびフィラメント予熱通電用のコンデンサC1とを含んでいる。そして、スイッチング素子Q1,Q2を交互にオン/オフする図略の制御回路が設けられる。このように構成される放電灯点灯装置によれば、スイッチング素子Q1,Q2のオン/オフと共振とにより、直流電源Eの電力が高周波電力に変換されて放電灯Laに供給され、放電灯Laの両フィラメントが予熱された後、放電灯Laが始動して点灯に至る。
【0003】
ところで、上記構成の放電灯点灯装置では、放電灯Laとして蛍光灯が使用されるが、一般に蛍光灯の場合、寿命末期などでフィラメントの電子放出物質(エミッタという)が消耗して、片側のフィラメントだけの電子放出物質が消耗したいわゆる片側エミレスに起因して半波放電の現象が発生することがあり、また両側のフィラメントの電子放出物質が消耗したいわゆる両側エミレスに起因して管電圧が上昇する現象が発生することがある。
【0004】
このため、上記放電灯点灯装置では、抵抗R1,R2およびコンデンサC2で構成され、放電灯Laの寿命末期において片側エミレス状態で発生する半波放電を検出するためのランプ電圧直流成分検出回路が設けられ、コンデンサC3、ダイオードD1,D2、抵抗R3,R4で構成され、ランプ寿命末期において両側エミレス状態で発生する管電圧の上昇を検出するための管電圧ビーク検出回路が設けられるのである。そして、これら両回路の出力は、ダイオードD3,D4を介して合成され、放電灯Laの正常時に発生する電圧を超え、その寿命末期に発生する電圧未満の所定値で、放電灯Laの寿命末期などで発生する現象が起きたか否かの判別が行われる。これにより、放電灯の寿命末期などでの現象を検出して放電灯点灯装置を保護することができ、その信頼性をより一層向上させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の放電灯点灯装置では、昨今の多種多様な放電灯に対応できない問題があった。すなわち、定格ランプ電流がほぼ同じでワット数の異なる複数種の放電灯を、同一の放電灯点灯装置で点灯可能とするような提案がなされている。その種の放電灯群として、例えばFHT(JIS C 7601)24W,32W,42Wがあるが、管電圧を検出して保護する上記方法では、寿命末期に不都合が生じ、それら放電灯のいずれをも使用可能にすることができない。FHT24Wの片側または両側エミレス時の管電圧が、FHT42Wの正常時の管電圧とあまり変わらないレベルにあり、FHT24Wで寿命末期の現象を検出して回路(放電灯含む)を保護をしようとすれば、FHT42Wを使用することができなくなるからである。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、定格ランプ電流がほぼ同じで点灯時の管電圧が大きく異なる複数種の放電灯のいずれをも使用可能とし、放電灯の寿命末期の現象を簡単な構成で確実に検出して回路を保護する放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1記載の発明の放電灯点灯装置は、放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、放電灯の管電圧を抵抗分圧した電圧と前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧との和電圧を検出する管電圧検出手段と、前記管電圧検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、放電灯の電圧または電流の直流成分を検出して放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値以上を判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明の放電灯点灯装置は、放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧と放電灯の電圧または電流の直流成分との和電圧を検出する直流検出手段と、前記直流検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、放電灯の管電圧を検出して放電灯の正常時の値を超える値に設定した所定値以上を判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明の放電灯点灯装置は、放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧を含めて放電灯の管電圧を検出する管電圧検出手段と、前記フィラメント電圧と放電灯の電圧または電流の直流成分との和電圧を検出する直流検出手段と、前記管電圧検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、前記直流検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、管電圧検出手段は、管電圧の正または負のサイクルの電圧を検出するためのダイオードを含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る第1実施形態の放電灯点灯装置の概略構成図、図2,図3は図1の放電灯点灯装置の具体構成例を示す図であり、これらの図を用いて以下に第1実施形態の説明を行う。
【0012】
まず、第1実施形態の説明の前に、図4から図7を用いてこれらから述べる各実施形態に関連する動作原理について説明すると、図4に示すように、放電灯LaのフィラメントFは一種の抵抗体であるから、フィラメントFの両端電圧Vfは、以下の3つの要素で決定される。
【0013】
1つ目の要素としては、図5(a)に示すように、コンデンサC1(フィラメント予熱通電用インピーダンス)を介してフィラメントFに流れる電流IcによるフィラメントFにおける電圧降下であり、この電圧降下は、コンデンサC1が放電灯Laの両端に接続される関係でランプ電圧に比例する。
【0014】
2つ目の要素としては、図5(b)に示すように、放電灯Laの管内を移動する電子e(ランプ電流Il)によるフィラメントFにおける電圧降下である。この場合、ランプ電流IlがフィラメントFのある一点に集中して流れるので、フィラメントF上にスポットが形成されるが、フィラメントFの全体に十分なエミッタが存在しているとき、最も電源に近い側(コンデンサC1から遠い方)に上記スポットが形成されるから、2つ目の要素としての電圧降下は最小となる。つまり、エミッタの消耗は、フィラメントの電源に近い方から進行し、スポットがコンデンサC1側にずれていくに従って、フィラメントFにおける電圧降下が大きくなっていくのである。
【0015】
3つ目の要素としては、フィラメントFの温度に起因したフィラメントFにおける電圧降下の変動成分である。これは、図5(c)に示すように、フィラメントFにおける上記スポットの部分が局部的に高温となり、そのスポットの温度がフィラメントF全体の温度に影響を及ぼすから、フィラメントFの抵抗値が影響されてフィラメントFにおける電圧降下が変動することによる。
【0016】
このように、上記3つの要素で決定されるフィラメントFの両端電圧Vfは、放電灯Laの正常時と寿命末期時とで図3の例に示すように変化する。ここで、図3は、放電灯La内部の電位傾度を、高周波の半サイクルを想定して模式的に示したものであり、Aが正常(点灯)時、Bが寿命末期時を示している。また、La1は陰極暗部を示し、La2は陽光柱を示し、La3は陽極暗部を示している。
【0017】
放電灯Laにおける一方のフィラメントF近傍の陰極暗部La1での降下電圧が、寿命末期でエミッタの消耗に従って上昇すると(VA→VB)、放電灯Laの管電圧(両フィラメントF間の電圧)が上昇し、これによりフィラメントFに飛び込む電子eが加速されてスポットの温度が上昇する。つまり、管電圧が上昇することで、図5(a)に示した電流Icが増加して、フィラメントFの両端電圧Vfが高くなる。また、スポットの位置がコンデンサC1側にずれることで、ランプ電流Ilによる電圧降下が増大してフィラメントFの両端電圧Vfがより高くなる。さらに、図5(c)で示したようにスポットの温度が上昇してフィラメントFの抵抗値が増大し、電流Icおよびランプ電流IlによるフィラメントFにおける電圧降下をより一層増大させる。
【0018】
従って、図7に示すように、放電灯Laの正常時の両端電圧VfAは寿命末期時の両端電圧VfBよりも低いレベル側に分布するから、換言すると、寿命末期時の両端電圧VfBは正常時の両端電圧VfAよりも高いレベル側に分布するから、それら両者の分布間ABを定めれば、両端電圧Vfで放電灯Laの寿命判定が可能となり、放電灯の寿命末期の現象を確実に検出することができる。また、フィラメントFの両端電圧Vfは、フィラメントFの設計によって異なるが、定格ランプ電流がほぼ等しい場合、フィラメントFの設計が同様となる可能性が高いため、ワット数の異なる放電灯間でほぼ等しくなるから、定格ランプ電流がほぼ同じで点灯時の管電圧が大きく異なる複数種の放電灯のいずれをも使用可能とすることができる。
【0019】
次に、第1実施形態について説明すると、図1に示す放電灯点灯装置は、インバータ回路INVと、コンデンサC0と、負荷回路Zとを図14に示した従来の放電灯点灯装置と同様に備えているほか、この従来の放電灯点灯装置との相違点として、放電灯Laの高圧側と回路グランドとの間に放電灯Laの低圧側のフィラメントをも含めた構成で設けられ、その低圧側のフィラメントの両端電圧をも含めて放電灯Laの管電圧を検出する管電圧検出部1と、放電灯Laの片側エミレス時に半波放電により生じる各部電圧・電流の非対称成分を検出する非対称成分検出部2と、管電圧検出部1の出力と非対称成分検出部2の出力とを論理和してインバータ回路INVの出力を低減ないし停止させるための信号を生成して図略の制御回路(図2,図3の制御回路4参照)に出力するOR部3とを備えている。ただし、管電圧検出部1のしきい値は、正常時の管電圧が最も高い放電灯の管電圧を超える値であって、最も低いワット数の放電灯が両側エミレスに至った場合のフィラメントの両端電圧を加えた値未満に設定される。
【0020】
これら管電圧検出部1、非対称成分検出部2およびOR部3などの具体回路の一例を説明する。図2の例において、管電圧検出部1としては、管電圧に比例した電圧源としてのチョークコイルLの2次巻線として設けられ、一端が回路グランドに接続されるインダクタL11と、このインダクタL11の他端にアノードが接続されるダイオードD11と、このダイオードD11のカソードに一端が接続される抵抗R11と、この抵抗R11の他端と回路グランドに一端が接続された低圧側のフィラメントの他端との間に接続されるコンデンサC11と、抵抗R11の他端にカソードが接続されるツェナーダイオードZD11とにより構成される。ここで、ツェナーダイオードZD11のツェナー電圧は、最大ワットの放電灯の正常点灯時は導通せず、最も低ワットの放電灯の両側エミレス時に導通するようなレベルに設定される。
【0021】
非対称成分検出部2としては、コンデンサC0およびチョークコイルLの接続点と回路グランドとの間に直列に接続される抵抗R21,R22と、回路グランド側の抵抗R22と並列に接続されるコンデンサC21と、抵抗R21,R22の接続点にアノードが接続されるツェナーダイオードZD21と、このツェナーダイオードZD21のカソードにベースが接続されるPNP型のトランジスタQ21とにより構成される。ただし、トランジスタQ21のエミッタと回路グランドとの間には直流電源E’が接続されている。
【0022】
OR部3としては、ツェナーダイオードZD11のアノードにアノードが接続されるダイオードD31と、抵抗R21,R22の接続点にアノードが接続されるダイオードD32と、これらダイオードD31,D32の両カソードにカソードが接続されトランジスタQ21のコレクタにアノードが接続されるダイオードD33と、ダイオードD31,D32,D33のカソードと回路グランドとの間に接続されるコンデンサC31と、このコンデンサC31と並列に接続される抵抗R31と、ダイオードD31,D32,D33のカソードに非反転端子が接続され基準電圧Vrefが反転端子に印加されるコンパレータ31とにより構成される。ここで、放電灯Laが半波放電した場合にのみコンデンサC21に発生する正または負の電圧(半波放電の方向により異なる)は、正のときダイオードD32を介して、負のときツェナーダイオードZD21およびトランジスタQ21を介してコンパレータ31の非反転端子に伝達される。
【0023】
そして、上記の如く、放電灯Laの寿命末期などでの現象を検出する機能を備えた放電灯点灯装置は、図2の例に示す出力制御部41、発信器42およびドライブ回路43により成る制御回路4が、出力制御部41で放電灯Laの寿命末期に現れるコンパレータ31の出力を受け、この出力に応じてインバータ回路INVの出力低減または発振動作停止を、発信器42およびドライブ回路43を通じて行うように構成される。
【0024】
次に、本実施形態における管電圧検出部1、非対称成分検出部2およびOR部3などの具体回路のを説明する。図3の例に示す放電灯点灯装置では、非対称成分検出部2、OR部3および制御回路4は図2の放電灯点灯装置と同様に構成され、管電圧検出部1の回路構成が相違している。すなわち、図3の管電圧検出部1には、図2のインダクタL11およびダイオードD11に代えて、チョークコイルLと放電灯Laのフィラメントとの接続点にアノードが接続されカソードが抵抗R11の一端に接続されるダイオードD11aと、抵抗R11の他端と回路グランドとの間に接続される抵抗R12とが図2の管電圧検出部1との相違点として設けられている。抵抗R12はコンデンサC11の放電用である。
【0025】
以上のような構成の放電灯点灯装置によれば、最も大きいワット数の放電灯の正常点灯時でも誤動作せず、最も小さいワット数の放電灯がエミレス状態になったことを簡単な構成で確実に検出して回路を保護することができる。
【0026】
図8は本発明に係る第2実施形態の放電灯点灯装置の概略構成図、図9,図10は図8の放電灯点灯装置の具体構成例を示す図であり、これらの図を用いて以下に第2実施形態の説明を行う。なお、図9,図10には図2,図3と同様の制御回路4が設けられている。
【0027】
図8に示す放電灯点灯装置は、インバータ回路INVと、コンデンサC0と、負荷回路Zと、OR部3とを第1実施形態と同様に備えているほか、第1実施形態との相違点として、放電灯Laが両側エミレスに至ったことを検出すべく、放電灯Laの管電圧を検出する管電圧検出部1aと、放電灯Laの高圧側と回路グランドとの間に放電灯Laの低圧側のフィラメントをも含めた構成で設けられ、各部電圧・電流の非対称成分を検出する非対称成分検出部2aとを備えている。ただし、管電圧検出部1aのしきい値は、最もワット数の大きい放電灯の正常点灯時に誤動作しないレベルに設定される。また、非対称成分検出部2aのしきい値は、正常時のフィラメント電圧を超える値であって、最も低ワットの放電灯が両側エミレスに至った場合のフィラメントの両端電圧を加えた値未満に設定される。
【0028】
第1実施形態と相違する管電圧検出部1aおよび非対称成分検出部2aの具体回路の一例を説明する。図9の管電圧検出部1aには、図2のコンデンサ11に代えて、抵抗R11の他端と回路グランドとの間に接続されるコンデンサC11aが図2の管電圧検出部1との相違点として設けられている。つまり、管電圧検出部1aは、低圧側のフィラメントの両端電圧を含めずに管電圧を検出する構成になっている。ただし、ツェナーダイオードZD11のツェナー電圧は、最もワット数の大きい放電灯の正常点灯時に誤動作しないレベルに設定される。
【0029】
図9の非対称成分検出部2aには、図2の抵抗R21,R22に代えて、コンデンサC0およびチョークコイルLの接続点と回路グランドに一端が接続された低圧側のフィラメントの他端との間に直列に接続される抵抗R21a,R22aと、抵抗R21a,R22aの接続点とダイオードD32のアノードとの間に介設され抵抗R21a,R22aの接続点にカソードが接続されるツェナーダイオードZD22とが図2の非対称成分検出部2との相違点として設けられている。ここで、コンデンサC21は低圧側の抵抗R22aと並列に接続される。すなわち、非対称成分検出部2aは、コンデンサC21の両端電圧と放電灯Laの低圧側のフィラメントの両端電圧との和電圧をコンパレータ31の非反転端子側に出力する構成になっている。さらに詳述すると、片側エミレス時には正または負の直流電圧にフィラメントの両端電圧(高周波)が重畳した信号が、両側エミレス時には上昇したフィラメントの両端電圧(高周波)がコンパレータ31の非反転端子側に現れる。そして、正の電圧はツェナーダイオードZD22およびダイオードD32を介して、負の電圧はツェナーダイオードZD21およびトランジスタQ21を介してコンパレータ31の非反転端子に伝達される。
【0030】
次に、管電圧検出部1aおよび非対称成分検出部2aの具体回路の別例を説明する。図10の例に示す放電灯点灯装置では、管電圧検出部1aの回路構成が図9のそれと相違している。すなわち、図10の管電圧検出部1aには、図3のコンデンサC11に代えて、抵抗R11の他端と回路グランドとの間に接続されるコンデンサC11aが図3の管電圧検出部1との相違点として設けられ、図10の管電圧検出部1aは、低圧側のフィラメントの両端電圧を含めずに管電圧を検出する構成になっている。ただし、ツェナーダイオードZD11は、最大ワットの放電灯の正常点灯時には導通しないレベルに設定される。
【0031】
以上のような構成の放電灯点灯装置によれば、最も大きいワット数の放電灯の正常点灯時でも誤動作せず、最も小さいワット数の放電灯がエミレス状態になったことを簡単な構成で確実に検出して回路を保護することができる。
【0032】
図11は本発明に係る第3実施形態の放電灯点灯装置の概略構成図であり、この図を用いて以下に第3実施形態について説明すると、図11に示す放電灯点灯装置は、インバータ回路INVと、コンデンサC0と、負荷回路Zと、OR部3とを第1,第2実施形態と同様に備えているほか、図1と同様の管電圧検出部1と、図8と同様の非対称成分検出部2aとを備えている。
【0033】
これら管電圧検出部1および非対称成分検出部2aの具体構成例は既に説明した通りであるが、図12に図11の放電灯点灯装置の具体構成例をさらに示す。図12の例において、管電圧に応じた信号源のチョークコイルLの2次巻線としてインダクタL12が設けられ、この中点は回路グランドに接続されている。インダクタL12の一端にはダイオードD11のアノードが接続され、他端にはダイオードD11’のアノードが接続されている。ダイオードD11のカソードと回路グランドに一端が接続された低圧側のフィラメントの他端との間にはコンデンサC11が接続され、ダイオードD11’のカソードと低圧側のフィラメントの他端との間にはコンデンサC11’が接続されている。
【0034】
ダイオードD11,D11’のカソードには、コンパレータ30aの非反転端子,反転端子がそれぞれ接続され、またコンパレータ30bの反転端子,非反転端子がそれぞれ接続され、さらにダイオードD10,D10’がそれぞれ接続されている。
【0035】
そして、基準電圧Vrefが反転端子に印加するコンパレータ30cの非反転端子に、ダイオードD10,D10’の両カソードが接続され、コンパレータ30a,30b,30cの各出力が3入力のOR回路3’に接続されている。ただし、基準電圧Vrefは、最もワット数の大きい放電灯の通常点灯時にコンパレータ30cの非反転端子に印加する電圧を超える値に設定される。
【0036】
上記構成の放電灯点灯装置では、コンデンサC11および低圧側フィラメント間の電圧とコンデンサC11’および低圧側フィラメント間の電圧とが、コンパレータ30a,30bで互いに比較され、またそれらの和電圧がコンパレータ30cで基準電圧Vrefと比較される。そして、コンパレータ30a,30b,30cの各出力がOR回路3’に入力され、論理和処理される。つまり、コンパレータ30a,30bは、片側エミレスの状態を検出し、コンパレータ30cは両側エミレスの状態を検出するのである。
【0037】
以上のような構成の放電灯点灯装置によれば、最も大きいワット数の放電灯の正常点灯時でも誤動作せず、最も小さいワット数の放電灯がエミレス状態になったことを簡単な構成で確実に検出して回路を保護することができる。
【0038】
なお、上記各実施形態では、直流電源Eの両端に直列に接続されたスイッチング素子Q1,Q2により構成されるインバータ回路が使用されるが、本発明の放電灯点灯装置では、例えば、図13に示すように一石式のインバータ回路を使用する構成でもよい。この構成でも同様な効果が得られる。なお、図13中、Qはスイッチング素子、L’はインダクタそしてC5はコンデンサである。
【0039】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1記載の発明によれば、放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、放電灯の管電圧を抵抗分圧した電圧と前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧との和電圧を検出する管電圧検出手段と、前記管電圧検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、放電灯の電圧または電流の直流成分を検出して放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値以上を判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えるので、定格ランプ電流がほぼ同じで点灯時の管電圧が大きく異なる複数種の放電灯のいずれをも使用可能とし、放電灯の寿命末期の現象を簡単な構成で確実に検出して回路を保護することができる。つまり、放電灯の正常時と寿命末期でフィラメント電圧が大きく変化することに着目し、管電圧検出機能または非対称成分検出機能と組み合わせることによって、簡単な構成で寿命末期に出現する現象の確実な検出を図るのである。
【0040】
請求項2記載の発明によれば、放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧と放電灯の電圧または電流の直流成分との和電圧を検出する直流検出手段と、前記直流検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、放電灯の管電圧を検出して放電灯の正常時の値を超える値に設定した所定値以上を判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えるので、定格ランプ電流がほぼ同じで点灯時の管電圧が大きく異なる複数種の放電灯のいずれをも使用可能とし、放電灯の寿命末期の現象を簡単な構成で確実に検出して回路を保護することができる。
【0041】
請求項3記載の発明によれば、放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧を含めて放電灯の管電圧を検出する管電圧検出手段と、前記フィラメント電圧と放電灯の電圧または電流の直流成分との和電圧を検出する直流検出手段と、前記管電圧検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、前記直流検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えるので、定格ランプ電流がほぼ同じで点灯時の管電圧が大きく異なる複数種の放電灯のいずれをも使用可能とし、放電灯の寿命末期の現象を簡単な構成で確実に検出して回路を保護することができる。
【0042】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、管電圧検出手段は、管電圧の正または負のサイクルの電圧を検出するためのダイオードを含むので、定格ランプ電流がほぼ同じで点灯時の管電圧が大きく異なる複数種の放電灯のいずれをも使用可能とし、放電灯の寿命末期の現象を簡単な構成で確実に検出して回路を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1実施形態の放電灯点灯装置の概略構成図である。
【図2】 図1の放電灯点灯装置の具体構成例を示す図である。
【図3】 図1の放電灯点灯装置の具体構成例を示す図である。
【図4】 放電灯のフィラメント部分の拡大図である。
【図5】 フィラメントの両端電圧を決定する3つの要素の説明図である。
【図6】 放電灯内部の電位傾度を、高周波の半サイクルを想定して模式的に示した図である。
【図7】 放電灯の正常時および寿命末期時におけるフィラメントの両端電圧のばらつきの様子を示す分布図である。
【図8】 本発明に係る第2実施形態の放電灯点灯装置の概略構成図である。
【図9】 図8の放電灯点灯装置の具体構成例を示す図である。
【図10】 図8の放電灯点灯装置の具体構成例を示す図である。
【図11】 本発明に係る第3実施形態の放電灯点灯装置の概略構成図である。
【図12】 図11の放電灯点灯装置の具体構成例を示す図である。
【図13】 インバータ回路の別例を示す図である。
【図14】 従来の放電灯点灯装置の構成図である。
【符号の説明】
INV インバータ回路
C0 コンデンサ
Z 負荷回路
1,1a 管電圧検出部
2,2a 非対称成分検出部
3 OR部

Claims (4)

  1. 放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、放電灯の管電圧を抵抗分圧した電圧と前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧との和電圧を検出する管電圧検出手段と、前記管電圧検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、放電灯の電圧または電流の直流成分を検出して放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値以上を判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えることを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧と放電灯の電圧または電流の直流成分との和電圧を検出する直流検出手段と、前記直流検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、放電灯の管電圧を検出して放電灯の正常時の値を超える値に設定した所定値以上を判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えることを特徴とする放電灯点灯装置。
  3. 放電灯の一対のフィラメントの非電源側端子間にフィラメント予熱通電用インピーダンスを有し高周波電力にて放電灯を点灯させる放電灯点灯手段と、前記一つのフィラメントの両端電圧であるフィラメント電圧を含めて放電灯の管電圧を検出する管電圧検出手段と、前記フィラメント電圧と放電灯の電圧または電流の直流成分との和電圧を検出する直流検出手段と、前記管電圧検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第1の検出・判別手段と、前記直流検出手段の出力を放電灯の正常時の値を超え寿命末期の値未満に設定した所定値と比較判別する第2の検出・判別手段と、前記第1の検出・判別手段と第2の検出・判別手段の何れかの信号が発生した場合に、放電灯点灯手段から放電灯への出力を少なくとも低下させる制御手段とを備えることを特徴とする放電灯点灯装置。
  4. 管電圧検出手段は、管電圧の正または負のサイクルの電圧を検出するためのダイオードを含むことを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
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