JP3940950B2 - 移動式ガス充填装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の燃料として実用化されつつある水素ガス、天然ガス等の高圧ガス用の移動式ガス充填装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油の枯渇及び公害問題から、自動車の燃料として水素ガス、天然ガス等が実用化されつつある。これらのガスはガス供給タンクに貯められ、ガス充填装置の圧縮機により高圧に加圧されて自動車の燃料タンクへ供給するようになっている。このガス充填装置は引火性が高いガスを取り扱うので、圧縮機等の機器が高価であり、設置工事費も嵩むものであるが、ガスを燃料とする自動車の普及台数は、現段階では少ない。そのために、ガス充填装置を設けたスタンドの数が少なく、ガス欠となった車に対応することが困難である。そこで、本出願人は、ガスを蓄圧したボンベと、ボンベ内のガスを自動車へ充填する充填機構をトラックに搭載した移動式ガス充填装置を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この提案は有効であるが、ボンベ内のガスを充填機構を介して自動車へ充填するだけであるので、充填によりボンベ内の圧力が低くなると流量が少なくなり、充填時間が長く掛かる不都合がある。また、ボンベ内の圧力が自動車の燃料タンク内と同じになると充填ができなくなるので、ボンベ内のガスの残量が多く、効率が悪い不都合もある。
【0004】
【特許文献1】
特願2003−29784号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、路上でガス欠となった自動車へガスを充填するガス充填装置で、ボンベ内のガスを可及的に短時間に、且つ可及的に残らず自動車の燃料タンクへ充填できる移動式ガス充填装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の移動式ガス充填装置は、ガスを蓄圧した複数の1次ボンベ(4)と、それらの1次ボンベ(4)に第1のパイプ(8)を介して接続された昇圧装置(5)と、その昇圧装置(5)にそれぞれ第1の開閉弁(10a、10b)を介装した第2のパイプ(9a、9b)で接続された2本の2次ボンベ(6a、6b)とを備え、それらの2次ボンベ(6a、6b)にそれぞれ第1の圧力センサ(18a、18b)が設けられ、それらの2次ボンベ(6a、6b)に第2の開閉弁(13a、13b)を介装した第3のパイプ(12a、12b)により接続された充填装置(7)を設け、その充填装置(7)は第3の開閉弁(14)を介装した第4のパイプ(15)を介して前記昇圧装置(5)に接続され、その充填装置(7)に接続された充填ホース(16)には充填ノズル(17)が設けられ、前記充填装置(7)には充填側の圧力を検知する第2の圧力センサ(21)とプリセット量を入力するプリセット量入力手段(23)と制御部(19)とが設けられ、前記1次ボンベ(4)と昇圧装置(5)と2次ボンベ(6)と充填装置(7)とがトラック(2)に搭載されており、そして充填装置(7)の制御部(19)は充填開始信号に基づき第2の開閉弁(13a)を開いて1番目の2次ボンベ(6a)内のガスを充填装置(7)の充填ノズル(17)を介して自動車(M)に充填し、該2次ボンベ(6a)の第1の圧力センサ(18a)と充填装置(7)の第2の圧力センサ(21)との圧力信号が均衡すると、2番目の2次ボンベ(6b)から前記1番目の2次ボンベ(6a)と同様にガスを充填装置(7)に充填し、2番目の2次ボンベの第1の圧力センサ(18b)と第2の圧力センサ(21)との圧力信号が均衡すると、1次ボンベ(4)から昇圧装置(5)を介して充填装置(7)にガスを充填し、前記充填中において充填量がプリセット量または満タンに達すると充填ノズル(17)から自動車(M)に充填されたガスの充填量を演算して表示器(31)に表示し、前記充填装置(7)への充填中に前記圧力が均衡して充填を中止した2次ボンベ(6a、6b)に、第1の開閉弁(10a、10b)を開き昇圧装置(5)を駆動して1次ボンベ(4)内のガスを加圧して補充蓄圧する機能を有している。
【0008】
また前記第1、第2、第3および第4のパイプ(8、9、12a、12b、15)はいずれもフレキシブルパイプであるので、移動中の振動等によりパイプが緩んだり破損することがなくなり、ガス洩れが生ずる危険性が少ない。
【0010】
そして、前記充填装置(7)には充填量をプリセットするテンキー(23)及び貨幣投入口(29)が設けられているので、充填操作及び精算が容易となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の移動式ガス充填装置の実施の形態を、水素ガスを充填する例で説明する。
【0012】
図1は移動式ガス充填装置の側面図で、図2はそのブロック図で、図3は充填装置の正面図である。
【0013】
図1に示すように、移動式ガス充填装置1のトラック2の荷台3には、水素ガスを蓄圧する多数本の1次ボンベ4a、4b・・・(以下代表する場合は、符号4と記す)と、1次ボンベ4内の水素ガスを加圧する昇圧装置5と、昇圧装置5で加圧された水素ガスを蓄圧する複数本の2次ボンベ6a、6b(以下代表する場合は、符号6と記す)と、水素ガスを自動車Mへ充填する充填装置7が搭載されている。
【0014】
1次ボンベ4と昇圧装置5とはパイプ8により接続され、昇圧装置5と2次ボンベ6a、6bとはパイプ9a、9b(以下代表する場合は、符号9と記す)で接続され、パイプ9a、9bには開閉弁10a、10b(以下代表する場合は、符号10と記す)が介装され、2次ボンベ6a、6bと充填装置7の計測部11とはパイプ12a、12b(以下代表する場合は、符号12と記す)で接続され、パイプ12a、12bには開閉弁13a、13b(以下代表する場合は、符号13と記す)が介装されている。また、昇圧装置5と計測部11とは開閉弁14が介装されたパイプ15で接続され、計測部11に接続された充填ホース16の先端には、ガスを自動車Mへ充填する充填ノズル17が設けられている。
【0015】
なお、パイプ8、9、12、15はフレキシブルパイプが使用され、移動中の振動により接続部が緩んだり破損してガス洩れが生じないようになっている。
【0016】
1次ボンベ4は20Mp(メガパスカル)程度の比較的に低圧の水素ガスを蓄圧したもので、交換自在の水素ガスボンベである。そして、充填により空となった1次ボンベ4はパイプ8から外され、水素ガスが充填されたボンベと交換される。なお、1次ボンベ4とパイプ8とは、クイックカップリング等により容易に着脱交換できるようになっている。
【0017】
昇圧装置5は、1次ボンベ4内の比較的に低圧(20Mp)の水素ガスを40Mp程度の高圧に高めるものである。そして、昇圧装置5で加圧された水素ガスは、パイプ9を介して2次ボンベ6へ、又はパイプ15を介して計測部11へ送られる。
【0018】
2次ボンベ6は、昇圧装置5で高圧(40Mp)に加圧された水素ガスを蓄圧するものである。2次ボンベ6a、6bには圧力センサ18a、18b(以下代表する場合は、符号18と記す)が設けられ、圧力センサ18の圧力信号は充填装置7の制御部19へ送られるようになっている。なお、2次ボンベ6には安全弁20が設けられ、異常高圧時に安全弁20が開いて2次ボンベ6の高圧破損を防止している。
【0019】
充填装置7の計測部11は、充填ノズル17から充填される水素ガスの量を計測するものである。そして、計測部11には充填側の圧力を検知する圧力センサ21が設けられ、この圧力センサ21の圧力信号は制御部19へ送られるようになっている。
【0020】
図3に示すように、充填装置7の操作盤22には、テンキー23、操作表示器24、スタートスイッチ25、停止スイッチ26、緊急停止スイッチ27、報知器28、貨幣投入口29、貨幣排出口29a、プリンター30、表示器31等が設けられている。
【0021】
上述した各機器はトラック2の荷台3に設けられたケース32内に設けられ、ケース32の上端にはガスセンサ33及び通気管34が設けられている。そして、各機器から水素ガスが洩れ出た場合には、ガスセンサ33のガス検知信号は制御部19へ伝えられて報知器28が作動し、通気管34から水素ガスを大気中へ放出し、移動式ガス充填装置1の安全を確保している。
【0022】
図4に示すように、上述した各機器と制御部19とは信号線で接続され、制御信号が授受されている。また、トラック2のサイドブレーキ35の掛け信号及びイグニッションキー36のオフ信号も制御部19に入力され、サイドブレーキを掛けてエンジンを停止したときに充填ができるようにし、移動式ガス充填装置1の安全を確保している。
【0023】
次に図5の充填動作を示すフロー図に基づいて、移動式ガス充填装置1の充填動作を説明する。
【0024】
水素ガスを充填する自動車Mの近くにトラック2を停車し、充填装置7の充填ノズル17を自動車Mの燃料ボンベの充填口へ接続する。そして、必要に応じて操作盤22のテンキー23からプリセット量を入力し、又は貨幣投入口29へ所望の金額を投入し、スタートスイッチ25を押すと(ST1)、充填開始信号が制御部19に入力し、開閉弁13aを開く(ST2)。
【0025】
開閉弁13aが開くことにより、2次ボンベ6a内の水素ガスはパイプ12a、計測部11、及び充填ホース16を介して充填ノズル17から自動車Mへ充填される。そして、計測部11で計量された充填量は制御部19で演算され、表示器31に表示される。
【0026】
計測部11の圧力センサ21と2次ボンベ6aの圧力センサ18aの圧力信号は制御部19で比較され、両圧力信号が均衡した場合は(ST3)、充填不能と判断して開閉弁13aを閉じて開閉弁13bを開き(ST4)、2次ボンベ6bからの充填へ移行する。
【0027】
そして、上述した2次ボンベ6aと同様に、2次ボンベ6b内の水素ガスはパイプ12b、計測部11、及び充填ホース16を介して充填ノズル17から自動車Mへ充填される。充填により、圧力センサ21と圧力センサ18bの圧力信号が均衡した場合は(ST5)、開閉弁13bを閉じ、開閉弁14を開いて昇圧装置5を駆動し(ST6)、1次ボンベ4からの充填へ移行する。
【0028】
そして、プリセット量まで充填されるか(ST7)、圧力センサ21の圧力信号が最高圧力、即ち自動車Mの燃料ボンベが満タンになると(ST8)、開閉弁14を閉じて昇圧装置5を停止し(ST9)、報知器28から充填終了を報知する(ST10)。
【0029】
報知器28で充填終了を知った作業員は、充填ノズル17を外して充填装置7へ掛け、操作盤22の停止スイッチ26を押すと(ST11)、プリンター30から充填伝票が発行される(ST12)。そして、伝票に基づき充填料金を精算して充填作業を終了する。
【0030】
ステップST3において、圧力センサ21と圧力センサ18aの圧力信号が均衡する前にプリセット量に達した場合(ST13)、又はプリセット量に達する前に圧力センサ21の圧力信号が最高圧力になった場合は(ST14)、開閉弁13aを閉じ(ST15)、ステップST10へ移行して報知器28から充填終了が報知される。
【0031】
同様に、ステップST5において、圧力センサ21と圧力センサ18bの圧力信号が均衡する前にプリセット量に達した場合(ST16)、又はプリセット量に達する前に圧力センサ21からの圧力信号が最高圧力になった場合は(ST17)、開閉弁13bを閉じ(ST18)、ステップST10へ移行して報知器28が作動する。
【0032】
上述したように、2次ボンベ6を複数個、この実施の形態では2個設けられ、最初に2次ボンベ6aから充填し、2次ボンベ6a内のガスだけでは充填が終わらない場合に2次ボンベ6bから充填をする。そして、2次ボンベ6b内のガスでも充填が終わらない場合に、1次ボンベ4から充填をするようになっている。このように高圧に蓄圧された2次ボンベ内のガスを充填するので、可及的に短時間で充填することができる。また、1次ボンベ4内のガスは昇圧装置5で加圧して2次ボンベ6に蓄圧しているので、1次ボンベ4内の残ガスを可及的に少なくすることができる。
【0033】
図6は2次ボンベ6へ水素ガスを補充蓄圧するフローを示すもので、圧力センサ18の圧力信号が一定以下となり(ST21)、開閉弁13が閉じている場合(ST22)、即ち2次ボンベ6内の水素ガスが少なくなり、充填作業が行なわれていない場合は、開閉弁10を開いて昇圧装置5を駆動し(ST23)、1次ボンベ4内の水素ガスを加圧して2次ボンベ6へ蓄圧する。そして、圧力センサ18の圧力信号が所定圧力になったら(ST24)、開閉弁10を閉じて昇圧装置5を停止し(ST25)、2次ボンベ6への水素ガスの補充蓄圧を終了する。
【0034】
このように2次ボンベ6は複数個も設けられ、非充填時に蓄圧するので、蓄圧に時間を掛けても不都合がなくなり、容量が小さな昇圧装置5でよく、コストを低く押さえることができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の移動式ガス充填装置の効果を、以下に列挙する。
(1) 昇圧装置で加圧された2次ボンベ内のガスを充填するので、可及的に短時間で充填することができる。
(2) 1次ボンベ内のガスを昇圧装置で加圧して2次ボンベに蓄圧するので、1次ボンベ内の残ガスを可及的に少なくできる。
(3) 1次ボンベ内のガスを昇圧装置で加圧して充填装置から直接充填できるので、1次ボンベ内の残ガスを可及的に少なくでき、効率がよくなる。
(4) 2次ボンベを2個設けて充填と蓄圧を交互にしているので、蓄圧に時間を掛けることができ、容量が小さい昇圧装置でよくなり、コストを下げることができる。
(5) フレキシブルパイプを使用しているので、振動等によりパイプが緩んだり破損することがなくなり、ガス洩れが生ずる危険性が少なくなる。
(6) 2次ボンベに設けた圧力センサの圧力信号に基づいて昇圧装置を制御しているので、過蓄圧することがなくなり、2次ボンベが過圧される危険を防止できる。
(7) 充填量をプリセットできるので、充填操作及び精算が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動式ガス充填装置の側面図。
【図2】移動式ガス充填装置のブロック図。
【図3】移動式ガス充填装置の充填装置の正面図。
【図4】移動式ガス充填装置の制御部を中心としたブロック図。
【図5】自動車へガスを充填する制御の態様を示すフロー図。
【図6】2次ボンベ内へガスを補充蓄圧する制御の態様を示すフロー図。
【符号の説明】
1・・・移動式ガス充填装置
2・・・トラック
3・・・荷台
4・・・1次ボンベ
5・・・昇圧装置
6・・・2次ボンベ
7・・・充填装置
8、9、12、15・・・パイプ
10、13、14・・・開閉弁
11・・・計測部
16・・・充填ホース
17・・・充填ノズル
18、21・・・圧力センサ
19・・・制御部
20・・・安全弁
22・・・操作盤
23・・・テンキー
24・・・操作表示器
25・・・スタートスイッチ
26・・・停止スイッチ
27・・・緊急停止スイッチ
28・・・報知器
29・・・貨幣投入口
30・・・プリンター
31・・・表示器
32・・・ケース
33・・・ガスセンサ
34・・・通気管
35・・・サイドブレーキ
36・・・イグニッションスイッチ

Claims (2)

  1. ガスを蓄圧した複数の1次ボンベ(4)と、それらの1次ボンベ(4)に第1のパイプ(8)を介して接続された昇圧装置(5)と、その昇圧装置(5)にそれぞれ第1の開閉弁(10a、10b)を介装した第2のパイプ(9a、9b)で接続された2本の2次ボンベ(6a、6b)とを備え、それらの2次ボンベ(6a、6b)にそれぞれ第1の圧力センサ(18a、18b)が設けられ、それらの2次ボンベ(6a、6b)に第2の開閉弁(13a、13b)を介装した第3のパイプ(12a、12b)により接続された充填装置(7)を設け、その充填装置(7)は第3の開閉弁(14)を介装した第4のパイプ(15)を介して前記昇圧装置(5)に接続され、その充填装置(7)に接続された充填ホース(16)には充填ノズル(17)が設けられ、前記充填装置(7)には充填側の圧力を検知する第2の圧力センサ(21)とプリセット量を入力するプリセット量入力手段(23)と制御部(19)とが設けられ、前記1次ボンベ(4)と昇圧装置(5)と2次ボンベ(6)と充填装置(7)とがトラック(2)に搭載されており、そして充填装置(7)の制御部(19)は充填開始信号に基づき第2の開閉弁(13a)を開いて1番目の2次ボンベ(6a)内のガスを充填装置(7)の充填ノズル(17)を介して自動車(M)に充填し、該2次ボンベ(6a)の第1の圧力センサ(18a)と充填装置(7)の第2の圧力センサ(21)との圧力信号が均衡すると、2番目の2次ボンベ(6b)から前記1番目の2次ボンベ(6a)と同様にガスを充填装置(7)に充填し、2番目の2次ボンベの第1の圧力センサ(18b)と第2の圧力センサ(21)との圧力信号が均衡すると、1次ボンベ(4)から昇圧装置(5)を介して充填装置(7)にガスを充填し、前記充填中において充填量がプリセット量または満タンに達すると充填ノズル(17)から自動車(M)に充填されたガスの充填量を演算して表示器(31)に表示し、前記充填装置(7)への充填中に前記圧力が均衡して充填を中止した2次ボンベ(6a、6b)に、第1の開閉弁(10a、10b)を開き昇圧装置(5)を駆動して1次ボンベ(4)内のガスを加圧して補充蓄圧する機能を有することを特徴とする移動式ガス充填装置。
  2. 前記第1のパイプ(8)と第2のパイプ(9)と第3のパイプ(12a、12b)と第4のパイプ(15)とはいずれもフレキシブルパイプである請求項1に記載の移動式ガス充填装置。
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