JP3940180B2 - 分配型燃料噴射ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関用の分配型燃料噴射ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の分配型燃料噴射ポンプは、内燃機関(以下、「エンジン」という)の駆動軸に連動したロータがシリンダ内を摺接しながら回転し、ロータに形成される分配ポートがシリンダの分配通路に連通したときプランジャによる加圧燃料が分配ポートから分配通路を経由してデリバリバルブよりエンジンに圧送されるようになっている。エンジンクランク角度に対する燃料噴射位置は、油圧式タイマによりロータの回転角度に対する圧送タイミングを進角あるいは遅角させて調節する。このような分配型燃料噴射ポンプとして、インナカム式分配型燃料噴射ポンプなどがあることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図13(A)、(B)に示すように、分配型燃料噴射ポンプにおいてシリンダ606の分配通路616に圧送される燃料の量は、分配通路616の開口部の中心を通りロータ613の回転軸を含む平面でロータ613を切断したときの分配ポート626の断面の面積S0 に依存する。以下、「分配通路の開口部の中心を通りロータの回転軸を含む平面でロータを切断したときの分配ポートの断面」を「吐出断面」といい、その面積を「吐出通路面積」という。一般に、従来の分配型燃料噴射ポンプでは、底面が平面状でありロータ613の周方向に一定の幅W0 で延びる溝661をロータ613の外周に設けることにより分配ポート626を形成している。
【0004】
しかし、タイマ位置の変動によりロータ613の回転角度に対する燃料の圧送タイミングを進角あるいは遅角させるとき、分配ポート626と分配通路616との連通タイミングは変化しないので、分配ポート626の周方向長さのうち圧送期間中に分配通路616と連通する部分はタイマ位置により異なる。このため、分配ポート626の周方向の中央部が分配通路616と連通した図14(A)に示す状態における吐出通路面積をS4 、分配ポート626の中央部からロータ613の回転方向および反回転方向に離れた部分が分配通路616と連通した図14(B)および図14(C)に示す状態における吐出通路面積をそれぞれS5 およびS6 とすると、S4 >S5 、S4 >S6 となっている。
【0005】
ロータ613の回転角度に対するタイマ位置、プランジャ圧送リフト量、圧送期間および吐出通路面積の関係を図15に示す。図15のプランジャ圧送リフト量のグラフにおいて、実線はタイマが中央位置にある場合、破線はタイマが進角位置にある場合、一点鎖線はタイマが遅角位置にある場合を示す。
ロータ613の角度がd点のとき、図16(A)に示すように、分配ポート626と分配通路616とはまだ完全に連通してはいない。ロータ613の角度がe点のとき、分配ポート626と分配通路616とは完全に連通している。しかし、前述のように分配ポート626を形成するロータ613の溝661の底面が平面状であり幅W0 が一定であるため、分配通路616が分配ポート626の中心部と連通したロータ613の角度のf点に比べて、分配通路616が分配ポート626の中心部から離れた部分と連通しているe点の吐出通路面積は小さい。ロータ613の角度がe点およびf点のときの分配通路616と分配ポート626との位置関係を図16(B)および図16(C)にそれぞれ示す。
【0006】
このように、従来の形状のロータを有する分配型燃料噴射ポンプでは、一定の安定した吐出通路面積の得られるロータ角度の範囲が狭いため、図15に示すように、特にタイマ進角時には圧送期間中に吐出通路面積が変動して燃料噴射圧が変化し、この結果タイマ位置により燃料噴射量が変化するという問題があった。タイマ位置による燃料噴射量の変化を抑えるために、ロータの周方向に対する分配ポートの長さを大きくして一定の安定した吐出通路面積の得られるロータ角度の範囲を広くすることも考えられるが、圧送された高圧燃料のリークを抑えるために分配ポートと隣の分配通路との間にはある程度のシール長を確保する必要があるので、特に六気筒エンジンに用いられる分配噴射型燃料噴射ポンプの場合には分配ポートの周方向長さを大きくすることは困難である。
【0007】
本発明の目的は、より一定で安定した燃料噴射量の得られる分配型燃料噴射ポンプを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載の分配型燃料噴射ポンプは、カム機構を介して駆動軸の回転が伝達されてプランジャを往復運動させ、前記プランジャにより燃料を加圧して圧送する加圧圧送部と、
前記駆動軸と同期して回転し、エンジンの各気筒に連通する複数の分配通路に前記加圧圧送部によって加圧された燃料を分配する分配部材と、
前記カム機構のカム角度位置を変化させることにより、前記駆動軸と前記加圧圧送部との間の伝達位相を変化させて燃料噴射時期を変更する噴射時期変更部材とを備えた分配型燃料噴射ポンプであって、
前記分配部材の外周には前記分配部材の周方向に延びる溝により形成され前記分配部材の回転により前記分配通路のそれぞれと順次連通する分配ポートが設けられ、前記分配部材の回転により前記分配ポートと前記分配通路との連通が開始してから終了するまでの期間において前記分配ポートの吐出通路面積が一様になるように前記分配ポートが形成され、
前記分配部材には吸入通路に連通する吸入ポートが形成され、
前記プランジャが前記加圧圧送部の燃料を加圧すると、前記吸入ポートと前記吸入通路とが遮断される一方、前記分配ポートがいずれかの前記分配通路に連通し、前記プランジャにて加圧された燃料が前記分配ポート、前記分配通路を経て内燃機関の各気筒に供給され
前記溝の底面は平面状であり、前記分配部材の周方向の中心部における前記溝の幅は前記分配通路の直径および前記分配部材の周方向の両端部における前記溝の幅よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2記載の分配型燃料噴射ポンプは、カム機構を介して駆動軸の回転が伝達されてプランジャを往復運動させ、前記プランジャにより燃料を加圧して圧送する加圧圧送部と、
前記駆動軸と同期して回転し、内燃機関の各気筒に連通する複数の分配通路に前記加圧圧送部によって加圧された燃料を分配する分配部材と、
前記カム機構のカム角度位置を変化させることにより、前記駆動軸と前記加圧圧送部との間の伝達位相を変化させて燃料噴射時期を変更する噴射時期変更部材とを備えた分配型燃料噴射ポンプであって、
前記分配部材には吸入部材に連通する吸入ポートが形成され、
前記分配部材の外周には前記分配部材の周方向に一定の幅で延びる溝により形成され前記分配部材の回転により前記分配通路のそれぞれと順次連通する分配ポートが設けられ、前記分配部材の回転により前記分配ポートと前記分配通路との連通が開始してから終了するまでの期間において前記分配通路の開口部の中心を通り前記分配部材の回転軸を含む平面で前記分配部材を切断したときの前記分配ポートの断面積が近似的に一定であり、
前記プランジャが前記加圧圧送部の燃料を加圧すると、前記吸入ポートと前記吸入通路とが遮断される一方、前記分配ポートがいずれかの前記分配通路に連通し、前記プランジャにて加圧された燃料が前記分配ポート、前記分配通路を経て内燃機関の各気筒に供給されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2記載の分配噴射型燃料噴射ポンプでは、前記溝の底面は、前記分配部材の軸上に中心を有する円弧状に形成されていることを特徴としている。
【0011】
【作用および発明の効果】
本発明の請求項1記載の分配型燃料噴射ポンプによると、分配通路と分配ポートとが連通している間、分配ポートの吐出通路面積が一様になるように分配ポートが形成されているので、燃料の圧送期間中の吐出通路面積の変動をより少なくして、燃料圧送時に分配通路からエンジン側へ均一な燃料量を供給することができる。
【0012】
また、本発明の請求項1記載の分配型燃料噴射ポンプによると、分配ポートを形成する溝の幅が分配部材の周方向の中心部においては分配通路の直径および分配部材の周方向の両端部における溝の幅よりも小さいので、溝の底面が平面状であっても分配通路と分配ポートとが完全に連通している間の吐出面積の変動をより少なくして一定で安定した燃料噴射量を得ることができる。
発明の請求項2記載の分型燃料噴射ポンプによると、分配通路と分配ポートとが連通している間、分配通路の開口部の中心を通り分配部材の回転軸を含む平面で分配部材を切断したときの分配ポートの断面積としての吐出通路面積が近似的に一定であるので、燃料の圧送期間中の吐出通路面積の変動をより少なくして、燃料圧送時に分配通路からエンジン側へ均一な燃料量を供給することができる。
【0013】
また、本発明の請求項2記載の分配噴射型燃料噴射ポンプによると、分配ポートを形成する溝の底面が円弧状であるので、分配通路と分配ポートとが完全に連通している間の吐出面積の変動をより少なくして一定で安定した燃料噴射量が得られる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による分配型燃料噴射ポンプを図1〜図7に示す。第1実施例に示す分配型燃料噴射ポンプは、四気筒エンジンに用いられるものである。
【0015】
図2に示すように、図示しないエンジンにより駆動される噴射ポンプ10の駆動軸1はベアリング2を介してポンプハウジング3に回転可能に支持されている。ベーン式フィードポンプ4は駆動軸1と一体に回転し、図示しない燃料タンクから燃料を吸入して加圧し、フィードポンプフィード圧室4aを介し外部配管200を通して吸入ギャラリ14に燃料を送出している。吸入ギャラリ14は、ポンプハウジング3に固定された分配ヘッド5の内壁に環状に形成されている。
【0016】
分配ヘッド5の内壁にシリンダ6が固定され、このシリンダ6の内壁に分配ロータ13が回転可能に支持されている。分配ロータ13は駆動軸1と軸方向に連結され、駆動軸1と一体に回転する。
シリンダ6には吸入ギャラリ14に連通する複数の吸入通路15、エンジンの各気筒に燃料を供給するための複数の分配通路16および一つの溢流通路17が形成されており、各分配通路16は分配ヘッド5に設けた分配通路18を介してエンジンの各気筒に燃料を供給するためのデリバリバルブ19に接続されている。
【0017】
分配ロータ13には互いに直交する一対の摺動孔13aが形成され、各摺動孔13aを形成する分配ロータ13の内壁にそれぞれ一対のプランジャ20が油密状態で摺動可能に支持されており、各プランジャ20の内端面と各摺動孔13aを形成する内壁により燃料加圧室としてのプランジャ室21が画成されている。各プランジャ20の外側端部にはシュー22が配設され、各シュー22にローラ23が回転自在に保持されている。ローラ23の外側には内周面に複数のカム山を有するカム面の形成されたインナーカムリング24が配置されており、分配ロータ13の回転に基づいてローラ23がインナーカムリング24内周面のカム面に摺動することにより、ローラ23はカム面に沿ってインナーカムリング24の半径方向に図3に示す圧送リフト量Pだけ往復動し、この往復動がシュー22を介して前記プランジャ20に伝達される。そしてプランジャ20が分配ロータ13の半径方向外側に移動する行程が吸入行程であり、半径方向内側に移動する行程が分配行程となる。
【0018】
分配ロータ13にはプランジャ室21に連通する吸入ポート25、分配ポート26および溢流ポート27が形成されており、吸入ポート25および分配ポート26は、分配ロータ13の回転に基づきそれぞれ各吸入通路15および各分配通路16に連通するようになっている。また、分配ロータ13の外周には環状の凹部28が形成されており、この凹部28により溢流ポート27と溢流通路17とは常に連通している。
【0019】
分配ポート26の形状について、図4および図5を用いてさらに詳細に説明する。図4に示すように、分配ロータ13の外周には、分配ロータ13の周方向に一定の幅で延びる第一の溝261により分配ポート26が形成されている。また、分配ロータ13の外周には分配ロータ13の軸方向に一定の幅で延びる第二の溝262が形成され、第二の溝262の一方の端部は第一の溝261の周方向長さの中央部に連結されている。第二の溝262により、凹部28と分配ポート26とを常に連通する連通路29が形成されている。
【0020】
図5に示すように、第一の溝261は、底面261aが分配ロータ13の軸上に中心点を有する円弧状になるように加工される。これにより、分配ポート26の中央部が分配通路16と連通した図1(A)に示す状態における吐出通路面積をS1 、分配ポート26の中央からロータ13の回転方向および反回転方向に離れた部分が分配通路16と連通した図1(B)および図1(C)に示す状態における吐出通路面積をそれぞれS2 およびS3 とすると、S1 ≒S2 ≒S3 となる。すなわち、分配ポート26の中央からロータ13の回転方向および反回転方向に離れた部分が分配通路16と連通しているときにも、分配ポート26の中央部が分配通路16と連通しているときとほぼ同等の吐出通路面積が得られる。第一の溝261の加工はNC旋盤により行われる。第1実施例では、底面261aの円弧の中心角は60°である。
【0021】
溢流弁30は溢流通路17の先端に配設され、バルブボディ51と弁体53と弁体53を開方向に付勢する圧縮コイルスプリング52と励磁コイル等からなる励磁部54とからなる。溢流弁30は、燃料の分配行程時において溢流通路17と吸入ギャラリ14との連通または遮断を行なって加圧された燃料を溢流させ、噴射量を制御するようになっている。励磁部54への通電がオフされると弁体53が圧縮コイルスプリング52の付勢力により図2で上方にもち上がり弁を開く。弁を開いたときの燃料の経路は、溢流通路17、環状ギャラリ56、ギャラリ57、溢流通路58、吸入ギャラリ14である。このため、溢流弁30を経て溢流した燃料は溢流通路58を経て吸入ギャラリ14に再吸入可能になっている。ギャラリ57に連通する通路60は、オーバーフローバルブ63内の通路に接続されている。
【0022】
アキュムレータ70は、ハウジング80と、このハウジング80の内部に固定されるストッパ81と、圧縮コイルスプリング82と、この圧縮コイルスプリング82により付勢されるピストン83と、このピストン83の外周部にピストン83と精密嵌合しピストン83と摺動自在な相対関係にあるシリンダ84と、ピストン83の端面側に設けられるアキュムレータキャップ85とからなる。ハウジング80内のスプリング収容室86には、ほぼ大気圧のリーク燃料が充満している。
【0023】
ピストン83は、図2で示す状態ではもっとも左側にある状態であり、可変容積室87の容積は最小である。この状態から可変容積室87の圧力が上昇すると、一定圧力以上になったときピストン83が圧縮コイルスプリング82の付勢力に抗して図2で次第に右方向に移動し、ある圧力値に達した時点でピストン83がストッパ81で止まり、それ以上ピストン83は図2で右方向には移動しない。その位置にあるとき可変容積室87の容積は最大である。
【0024】
タイマ部40は、ローラ23に接するインナーカムリング24を回動させることによりエンジンクランク角度に対する燃料噴射位置を調節する。
タイマ部40の作動について、図1および図3に基づいて説明する。
図3に示すように、インナーカムリング24に連動するタイマピストンピン41を駆動するタイマピストン42がタイマシリンダ43に摺動可能に収納されており、フィードポンプフィード圧室4aの圧力が図示しない油圧供給通路を介してこのタイマピストン42の一端側のタイマ高圧室44に導かれ、他端側のタイマ低圧室45にタイマピストン42を遅角側(高圧室側)に付勢するリターンスプリング46が介装されている。これにより、燃料噴射時期を調節するタイマピストン42の位置は、タイマ高圧室44の圧力によりタイマピストン42が受ける力とタイマ低圧室の圧力によりタイマピストン42が受ける力およびリターンスプリング46の付勢力とのバランスにより決定される。
【0025】
フィードポンプフィード圧室4aの圧力が増加するとタイマピストン42が図3で右方向に移動し、インナーカムリング24が図3で反時計回りに回転する。このとき、分配ロータ13の回転角度に対してプランジャ21のリフト時期が進角側に移動して燃料噴射時期が進められる。フィードポンプフィード圧室4aの圧力が減少すると、タイマ低圧室の圧力によりタイマピストン42が受ける力およびリターンスプリング46の付勢力によりタイマピストン42が図3で左方向に移動し、インナーカムリング24が図3で時計回りに回転する。このとき、分配ロータ13の回転角度に対してプランジャ21のリフト時期が遅角側に移動して燃料噴射時期を遅らせる。
【0026】
以下、第1実施例の分配型燃料噴射ポンプについて、燃料噴射終了から次の燃料噴射終了までの燃料噴射工程の1サイクルを説明する。
(1) 駆動軸1の回転に伴い分配ロータ13が回転し、インナーカムリング24のカム山とローラ23とが係合すると、各プランジャ20が分配ロータ13の半径方向内側に移動することによりプランジャ室21の容積が減少するのでプランジャ室21の圧力が増大する。ここで、吸入ポート25と吸入通路15とが遮断される一方、分配ロータ13の分配ポート26がいずれかの分配通路16に連通するとともに、プランジャ室21で加圧された燃料が一定圧以上になると、分配ポート26、分配通路16、分配通路18を経てデリバリバルブ19からエンジンの各気筒に高圧燃料が供給される。このとき、吸入ポート15と吸入通路25とは遮断されているため、ベーン式フィードポンプ4により加圧された燃料が外部配管200を通して吸入ギャラリ14に送出されるとともに、燃料噴射終了時に溢流弁30から溢流通路58を介して吸入ギャラリ14に燃料が還流されるため、吸入ギャラリ14の圧力は急激に増加しようとする。このとき、吸入ギャラリ14と連通している可変容積室87の圧力も増加するので、アキュムレータ70のピストン83は圧縮コイルスプリング82の付勢力に抗して図2の右方向に移動し、可変容積室87の容積が増加する。このため、吸入ギャラリ14の容積は可変容積室87の容積を合わせた容積となり、次噴射に備えて十分量の燃料を充填しておける。
【0027】
(2) インナーカムリング24のカム山とローラ23とが係合していない状態では、各プランジャ20が分配ロータ13の半径方向外側に移動することによりプランジャ室21の容積が増大するのでプランジャ室21の圧力が低下する。ここで、分配ロータ13の吸入ポート25がいずれかの吸入通路15に連通すると、次噴射に備えて吸入ギャラリ14に充填されていた燃料がプランジャ室21内に吸入される。すると、吸入ギャラリ14の圧力が低下しようとする。このとき、吸入ギャラリ14と連通している可変容積室87の圧力も下降するので、アキュムレータ70のピストン83は、圧縮コイルスプリング82の付勢力により図2の左方向に移動し、可変容積室87の容積が減少する。このため、下降しようとした吸入ギャラリ14の圧力は、下降率および下降量が小さくなるので吸入ギャラリ14の燃料がプランジャ室21に十分量充填され続ける。
【0028】
上記(1)(2)のように燃料噴射工程が行われるときの、分配ロータ13の角度に対する溢流弁作動、タイマ位置、プランジャ圧送リフト量、圧送期間および吐出通路面積の関係を図6に示す。図6の溢流弁作動およびプランジャ圧送リフト量のグラフにおいて、実線はタイマが中央位置にある場合を、破線はタイマが進角位置にある場合を、一点鎖線はタイマが遅角位置にある場合を示す。
【0029】
分配ロータ13の角度がa点のとき、図7(A)に示すように、分配ポート26と分配通路16とはまだ完全に連通してはいない。ここで、「完全に連通」とは、分配通路16の開口部の中心を通り分配ロータ13の軸に垂直な断面において、図7(B)に示すように分配通路16の一端から他端までが分配ポート26と連通している状態をいう。分配ロータ13の角度がb点のとき、分配ポート26の中心部から離れた部分と分配通路16とが完全に連通している。第1実施例では、前述のように分配ロータ13の軸上に中心点を有する円弧状に第一の溝261の底面261aが形成されている。このため、分配通路16が分配ポート26の中心部に連通している分配ロータ13の角度のc点における吐出通路面積とほぼ同等の吐出通路面積がb点において得られる。分配ロータ13の角度がb点およびc点のときの分配ロータ13とシリンダ6との位置関係を図7(B)および図7(C)にそれぞれ示す。
【0030】
本発明の第1実施例によると、分配ロータ13の軸上にの中心点を有する円弧状の底面261aを有する第一の溝261により分配ポート26を形成することにより、図6に示すように、一定の安定した吐出通路面積の得られる分配ロータ13の角度範囲が広くなる。このため、タイマ位置にかかわらず圧送期間中の吐出通路面積をほぼ一定に保つことができるので一定の安定した燃料噴射量が得られる。
【0031】
なお、第1実施例では四気筒エンジンに用いられる分配型燃料噴射ポンプについて説明したので第一の溝261の底面261aを形成する円弧の中心角を60°としたが、本発明を六気筒エンジンに適用することもできる。この場合、第一の溝の底面を形成する円弧の中心角は、例えば50°程度とする。
(第2実施例)
本発明の第2実施例を図8および図9に示す。この第2実施例は、第一の溝の形状が第1実施例とは異なる例である。
【0032】
図8に示すように、分配ロータ313の外周には、分配ロータ313の周方向に延びる第一の溝361により分配ポート360が形成されている。分配ロータ313の外周からみると、直線部361aの両端に円形部361bが連結された形状に第一の溝361が形成されている。直線部361aの幅は、円形部361bの直径および分配通路の直径に比べて小さい。また、図9に示すように、分配ロータ313の横断面において、第一の溝361の底面は平面状である。この他の部分の構成は第1実施例と実質的に同様である。
【0033】
第2実施例によると、吐出断面の形状は次のように変化する。
分配ロータ313の径方向に対する吐出断面の長さは、分配ポート360の中央部に比べて両端部の方が大きくなる。これは、直線部361aの幅が円形部361bの直径および分配通路の直径に比べて小さいためである。一方、分配ロータ313の軸方向に対する吐出断面の長さは、分配ポート360の中央部に比べて両端部の方が小さくなる。これは、第一の溝361の底面が平面状であるためである。分配ロータ313と分配通路16との連通位置が分配ポート326の周方向の一端から中心部を通って他端まで移動する間に、吐出断面の分配ロータ313の径方向長と分配ロータ313の軸方向長とが互いに逆方向に変化するため互いに打ち消し合い、結果的にほぼ一定の安定した吐出通路面積が得られる。
【0034】
(第3実施例)
本発明の第3実施例を図10および図11に示す。この第3実施例は、第一の溝の形状が第1実施例とは異なる他の例である。
図10に示すように、分配ロータ413の外周には、分配ロータ413の周方向に一定の幅で延びる第一の溝461により分配ポート460が形成されている。図11に示すように、第一の溝461の底面は、長さ方向の中央部に平面部461aが形成され、平面部461aの両端にはV溝461bが形成されている。
【0035】
第3実施例によると、平面部461aの両端にV溝461bが形成されているので、第一の溝461の底面を近似的に円弧状とみなすことができる。このため、分配ロータ413の回転に対し、第一の溝の底面が単なる平面状である場合に比べてより一定の安定した吐出通路面積が得られる。
(第4実施例)
本発明の第4実施例を図12に示す。この第4実施例は、第一の溝の形状が第一実施例とは異なるさらに他の例である。
【0036】
図12に示すように、分配ロータ513の外周には、分配ロータ513の周方向に一定の幅で延びる第一の溝561により分配ポート560が形成されている。第一の溝561の底面561aは、分配ロータ513の横断面の中心と同一中心をもつ円弧状に加工される。そして、第一の溝561の両端部における側面561bは、分配ロータ613の回転につれて分配通路16と分配ポート560とが完全に連通した最初の瞬間および最後の瞬間に分配通路が延びる方向と平行になるように加工されている。図12は、分配通路16と分配ポート560とが完全に連通した最後の瞬間を示す。また、第1実施例による第一の溝261の形状を二点鎖線で示す。この他の部分の構成は第1実施例と実質的に同様である。
【0037】
本発明の第4実施例によると、分配通路16と分配ポート560とが完全に連通した最初の瞬間および最後の瞬間に分配通路が延びる方向と平行になるように第一の溝561の両端部における側面561bが加工されている。このため、分配ロータ613のさらに広い回転角度範囲において一定の安定した吐出通路面積が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(C)は、本発明の第1実施例による分配型燃料噴射ポンプの分配ロータとシリンダとの位置関係を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例による分配型燃料噴射ポンプを示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施例による分配型燃料噴射ポンプのタイマ部の作動を示すもので、図2のIII −III 線断面図である。
【図4】本発明の第1実施例による分配型燃料噴射ポンプの分配ロータを示す平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本発明の第1実施例における分配型燃料噴射ポンプの燃料圧送期間と吐出通路面積との関係を示す特性図である。
【図7】(A)〜(C)は、本発明の第1実施例による分配型燃料噴射ポンプの分配ロータとシリンダとの位置関係を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施例による分配型燃料噴射ポンプの分配ロータを示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】本発明の第3実施例による分配型燃料噴射ポンプの分配ロータを示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の第4実施例による分配型燃料噴射ポンプの分配ロータを示す断面図である。
【図13】吐出通路面積の定義を示す説明図であり、(A)は従来の分配型燃料噴射ポンプの分配ロータおよびシリンダの断面図、(B)はそのXIII−XIII線断面図である。る。
【図14】(A)〜(C)は、従来の分配型燃料噴射ポンプの分配ロータとシリンダとの位置関係を示す断面図である。
【図15】従来の分配型燃料噴射ポンプの燃料圧送期間と吐出通路面積との関係を示す特性図である。
【図16】(A)〜(C)は、従来の分配型燃料噴射ポンプのロータとシリンダとの位置関係を示す断面図である。
【符号の説明】
1 駆動軸
4 ベーン式フィードポンプ
6 シリンダ
10 噴射ポンプ(分配型燃料噴射ポンプ)
13 分配ロータ(分配部材)
13a 摺動孔
14 吸入ギャラリ
15 吸入通路
16 分配通路
20 プランジャ(加圧圧送部)
21 プランジャ室(加圧圧送部)
23 ローラ(加圧圧送部)
24 インナーカムリング(加圧圧送部)
25 吸入ポート
26 分配ポート
27 溢流ポート
28 凹溝
29 連通路
30 溢流弁
40 タイマ部(噴射時期変更部材)
57 ギャラリ
58 溢流通路
70 アキュムレータ
85 アキュムレータキャップ
87 可変容積室
261 第一の溝(溝)
261a 底面
262 第二の溝
360 分配ポート
361 第一の溝(溝)
460 分配ポート
461 第一の溝(溝)
560 分配ポート
561 第一の溝(溝)

Claims (2)

  1. カム機構を介して駆動軸の回転が伝達されてプランジャを往復運動させ、前記プランジャにより燃料を加圧して圧送する加圧圧送部と、
    前記駆動軸と同期して回転し、内燃機関の各気筒に連通する複数の分配通路に前記加圧圧送部によって加圧された燃料を分配する分配部材と、
    前記カム機構のカム角度位置を変化させることにより、前記駆動軸と前記加圧圧送部との間の伝達位相を変化させて燃料噴射時期を変更する噴射時期変更部材とを備えた分配型燃料噴射ポンプであって、
    前記分配部材の外周には前記分配部材の周方向に延びる溝により形成され前記分配部材の回転により前記分配通路のそれぞれと順次連通する分配ポートが設けられ、前記分配部材の回転により前記分配ポートと前記分配通路との連通が開始してから終了するまでの期間において前記分配ポートの吐出通路面積が一様になるように前記分配ポートが形成され、
    前記分配部材には吸入通路に連通する吸入ポートが形成され、
    前記プランジャが前記加圧圧送部の燃料を加圧すると、前記吸入ポートと前記吸入通路とが遮断される一方、前記分配ポートがいずれかの前記分配通路に連通し、前記プランジャにて加圧された燃料が前記分配ポート、前記分配通路を経て内燃機関の各気筒に供給され
    前記溝の底面は平面状であり、前記分配部材の周方向の中心部における前記溝の幅は前記分配通路の直径および前記分配部材の周方向の両端部における前記溝の幅よりも小さいことを特徴とする分配型燃料噴射ポンプ。
  2. カム機構を介して駆動軸の回転が伝達されてプランジャを往復運動させ、前記プランジャにより燃料を加圧して圧送する加圧圧送部と、
    前記駆動軸と同期して回転し、内燃機関の各気筒に連通する複数の分配通路に前記加圧圧送部によって加圧された燃料を分配する分配部材と、
    前記カム機構のカム角度位置を変化させることにより、前記駆動軸と前記加圧圧送部との間の伝達位相を変化させて燃料噴射時期を変更する噴射時期変更部材とを備えた分配型燃料噴射ポンプであって、
    前記分配部材には吸入部材に連通する吸入ポートが形成され、
    前記分配部材の外周には前記分配部材の周方向に一定の幅で延びる溝により形成され前記分配部材の回転により前記分配通路のそれぞれと順次連通する分配ポートが設けられ、前記分配部材の回転により前記分配ポートと前記分配通路との連通が開始してから終了するまでの期間において前記分配通路の開口部の中心を通り前記分配部材の回転軸を含む平面で前記分配部材を切断したときの前記分配ポートの断面積が近似的に一定であり、
    前記プランジャが前記加圧圧送部の燃料を加圧すると、前記吸入ポートと前記吸入通路とが遮断される一方、前記分配ポートがいずれかの前記分配通路に連通し、前記プランジャにて加圧された燃料が前記分配ポート、前記分配通路を経て内燃機関の各気筒に供給され
    前記溝の底面は、前記分配部材の軸上に中心を有する円弧状に形成されていることを特徴とする分配型燃料噴射ポンプ。
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