JP3939872B2 - 食品用刃物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パン、菓子類のスライサー用刃物、乾物類のカット用刃物、野菜類のカット用刃物等の食品用刃物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の食品用刃にあっては、炭素工具鋼(SK材)を焼き入れした材料、ステンレス鋼、超硬鋼の材料を用いて刃物形状に加工して製作されており、刃物の寿命を延ばすために、刃先又は刃物全体に硬質クロムメッキを施したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の食品用刃にあっては、刃物としての寿命が短く食品の種類によっては、食品が刃物にくっついてしまうという問題点があった。すなわち、パン、菓子類のスライサー用刃物にあっては、相手材がパン、カステラ等であるから、刃先の摩耗はないが、糖分、油脂のこびり付きによって切断面の肌が荒れてしまう、また、作業中断時に錆が発生するという問題点があった。また、乾物類の、超硬鋼を材料にしたカット用刃物にあっては、実験の結果、約30時間で刃先が摩耗して使用不可能になり、再研磨する必要があり、研磨回数10〜15回で刃先が消耗してしまうという問題点があった。また、野菜類のカット用刃物にあっては、葱切りの場合、葱粘液が刃物に付着して切れ味を著しく阻害され、毎日作業終了後、熱湯に4〜5分浸し、布でよく拭き取る作業が必要になるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであって、その第1の目的とするところは、刃物本体の少なくとも刃先の表面の摩耗を低減させ、刃物寿命を延ばすことができるばかりか、切断された被切断体が付着したり、引っ掛かったりすることがなく、また、クリーニングが容易で、錆の発生がない食品用刃物を提供することにある。
【0005】
また、本発明の第2の目的とするところは、容易に且つ確実に食品用刃物の表面に、チタン、クロム、シリコン、ゲルマニウムのうちの少なくとも1つの被膜を形成し、且つ被膜の表面にカーボン硬質被膜を形成することができる食品用刃物の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明に係る食品用刃物は、超硬鋼、ステンレス鋼、工具鋼、セラミックのいずれか1つを材料とする刃物本体に刃先を形成してなるパン、菓子類のスライサー用刃物、野菜類のカット用刃物、乾物類のカット用刃物等の食品用刃物において、前記刃物本体の少なくとも刃先の表面にカーボン硬質被膜を形成する際、前記刃先の表面と前記カーボン硬質被膜との間に、2層からなる中間層を設け、前記中間層は、第1の層がTiまたはCr、第1の上層の第2の層がSiまたはGeであることを特徴とする。
【0007】
かかる構成により、カーボン硬質被膜が備える優れた耐摩耗性のため、切断された被切断体と擦れ合う食品用刃物の刃物本体の少なくとも刃先の表面の摩耗を低減させ、食品用刃物の寿命を延ばすことができる。
【0008】
また、カーボン硬質被膜が備える摩擦係数の低さや平面の平滑性の高さにより、切断された被切断体が食品用刃物に付着したり、引っ掛かったりすることがなく、また、クリーニングが容易になる。また、錆の発生がなくなる。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、請求項2の発明に係る食品用刃物は、請求項1に記載の食品用刃物において、前記中間層が、第1の層が0.1〜0.2μmの厚みで形成され、第2の層が0.2〜0.3μmの厚みで形成されたことを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、請求項3の発明に係る食品用刃物は、請求項1に記載の食品用刃物において、前記カーボン硬質被膜が、およそ1μmの厚みで形成されたことを特徴とする。
【0019】
また、上記の目的を達成するために、請求項の発明に係る食品用刃物は、請求項1記載の食品用刃物において、前記刃物本体に複数の貫通孔を形成し、これらの貫通孔の内面にも前記カーボン硬質被膜を設けたことを特徴とする。
【0020】
かかる構成により、上記した請求項1の発明の作用効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、刃物本体に複数の貫通孔があることと、これらの貫通孔の内面にもカーボン硬質被膜が設けてあることにより、被切断体の切断性を高めることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
本発明に係る食品用刃物の第1の実施の形態を図1乃至図7に示す。
図1は、本発明に係る食品用刃物の第1の実施の形態としてのパン、菓子類の家庭用スライサー用刃物の平面図、図2は、同スライサー用刃物の被覆部分の拡大断面図、図3は、イオンボンバード/スパッタリング処理装置の構成説明図、図4は、カーボン硬質被膜形成装置の構成説明図、図5は、同実施例に於ける業務用スライサー用装置の斜視図、図6は、同装置に使用する糸鋸タイプのスライサー用刃物の平面図、図7は、同装置に使用する円盤タイプのスライサー用刃物の平面図である。
【0028】
本発明に係る食品用刃物の第1の実施の形態としてのパン、菓子類のスライサー用刃物である食品用刃物1は、刃物本体2の一側縁部に波状の刃先3を形成したものである。この食品用刃物1には、その刃先3の形状及び刃先3の山部3aのピッチを変えたものが10種類程度ある。
【0029】
そして、食品用刃物1は工具鋼(SK材)の基材4を備えている。そして、この食品用刃物1の刃先3の両面に、第1の層であるチタン(Ti)被膜5および第2の層であるシリコン(Si)被膜6よりなる中間層7を介してカーボン硬質被膜8が被覆してある。
【0030】
食品用刃物1の刃先3にのみに選択的にカーボン硬質被膜8を形成する手段は、従来法に準じればよい。例えば、食品用刃物1の刃先3以外の部分を機械的なマスク手段、あるいは、被覆後に剥離溶液で剥離可能なマスク剤を塗布しておく化学的なマスク手段などが考えられる。
【0031】
その成膜方法は、以下の通りである。
まず、イオンボンバード/スパッタリング処理法を用いて、食品用刃物1の刃先3の両面にチタン(Ti)被膜5を形成した。このチタン(Ti)被膜は、0.1〜0.2μmの厚みで被覆すれば、良好な密着力を得るに充分である。また、チタン(Ti)被膜5は、クロム(Cr)被膜5−1に代換えるすることもできる。
【0032】
次に、イオンボンバード/スパッタリング処理法を用いて、チタン(Ti)被膜5の上に上層としてシリコン(Si)被膜6を形成した。このシリコン(Si)被膜6は、0.2〜0.3μmの厚みで被覆すれば、良好な密着力を得るに充分である。また、シリコン(Si)被膜6は、ゲルマニウム(Ge)被膜6−1に代換えるすることもできる。
【0033】
イオンボンバード/スパッタリング処理法は、図3に示すように真空槽9内に品物(食品用刃物1の刃先3)10を配置した後、真空槽9内を3×10- 5 torr以下まで排気し、アルゴン(Ar)ガスを導入し3×10- 4 torrになるように調節する。品物10を回転させながら、直流電源11で500Vの負の電位を印加してイオンボンバードを、例えば5分間行い、品物10の表面を清浄化する。イオンボンバード終了後、同一槽内においてチタン(Ti)側スパッタリング装置12によりチタン(Ti)を微粒子として飛散させて品物10である食品用刃物1の刃先3に衝突させ、チタン(Ti)被膜5を生成する。
【0034】
また、チタン(Ti)被膜5の上に上層としてシリコン(Si)被膜6を形成するには、同じイオンボンバード/スパッタリング処理法で、イオンボンバード終了後、同一槽内においてシリコン(Si)側スパッタリング装置13によりシリコン(Si)を微粒子として飛散させて品物10である食品用刃物1の刃先3のチタン(Ti)被膜5に衝突させ、シリコン(Si)被膜6を生成する。
【0035】
次に、シリコン(Si)被膜6の上に上層としてカーボン硬質被膜8を約1μmの厚みで形成した。すなわち、乾式メッキ法、例えば、RFP−CVD法を用いて、シリコン(Si)被膜6の上に上層としてカーボン硬質被膜8を形成した。
【0036】
RFP−CVD法は図4に示すように、ガス導入口14を有する真空槽15内に品物(チタン(Ti)被膜5とシリコン(Si)被膜6とを形成した、品物(食品用刃物1の刃先3)16を配置し、真空槽15内を3×10- 5 torr以下まで排気した後、ガス導入口14から炭素を含むガスとしてメタン(CH4 )ガスを導入し、0.1torrになるように調節する。そして、品物16にマッチング回路17を介して13.56MHzの発信周波数を有する高周波電源18から400Wの高周波電圧を印加し、約1μmの厚さのカーボン硬質被膜8を形成した。このカーボン硬質被膜8はDLC(ダイヤモンド ライク カーボン)被膜あるいはアモルファス・カーボンとも言われる硬質の炭素被膜である。
【0037】
上記した第1の実施の形態にあっては、カーボン硬質被膜8が備える優れた耐摩耗性のため、切断された被切断体と擦れ合う食品用刃物1の刃物本体2の少なくとも刃先3の表面の摩耗を低減させ、食品用刃物1の寿命を延ばすことができる。
【0038】
また、カーボン硬質被膜8が備える摩擦係数の低さや平面の平滑性の高さにより、切断された被切断体が食品用刃物1に付着したり、引っ掛かったりすることがなく、また、クリーニングが容易になる。また、錆の発生がなくなる。
【0039】
また、前記刃物本体2の少なくとも刃先3の表面とカーボン硬質被膜8との間に、第1の層であるチタン(Ti)被膜5および第2の層であるシリコン(Si)被膜6よりなる中間層7を介在させたことにより、刃先3の表面に対するカーボン硬質被膜8の密着性を高めることができる。特に、シリコンまたはゲルマニウムの層(被膜)はカーボン硬質被膜8との密着性に優れる。
【0040】
また、中間層7であるチタン(Ti)被膜やクロム(Cr)被膜は、刃物本体2の基材に対して高い密着力を有する。シリコン(Si)被膜やゲルマニウム(G)被膜は、カーボン硬質被膜8との密着性に優れる。これは、シリコン(Si)やゲルマニウム(G)がカーボン硬質被膜8を構成する炭素(C)と同じく周期律IVであり、共有結合するためである。
【0041】
また、カーボン硬質被膜8は、刃物本体2の刃先3の片面に設けてもよい。また、刃物本体2に複数の貫通孔(図示せず)を形成し、これらの貫通孔の内面にもカーボン硬質被膜8を設けてもよい。この場合、被切断体の切断性を高めることができる。また本実施例は、図5乃至図7に示すようにパン屋、工場等多量にスライスする業務用スライサー用装置Sに使用する糸鋸タイプの食品用刃物1−2及び円盤タイプの食品用刃物1−3に適用することにより、その効果がより顕著に現れ、食品用刃物1−2(1−3)の磨耗による交換が大幅に低下し、コストダウンが可能となった。
【0042】
また、食品用刃物1の製造方法は、上記したように食品用刃物1を洗浄する洗浄工程と、食品用刃物1を真空槽9内にセットして排気する排気工程と、真空槽9内にアルゴンガスを導入し食品用刃物1の表面をイオンボンバードするイオンボンバード工程と、食品用刃物1の表面に、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(G)のうちの少なくとも1つの金属または金属間化合物の被膜からなる中間層7を形成する被膜形成工程と、アルゴンガスを排気し真空槽9内に炭素を含むガスを導入するガス導入工程と、被膜の表面にカーボン硬質被膜8を形成するカーボン硬質被膜形成工程とを備えている。また、上記した食品用刃物1の中間層7の金属間化合物の被膜形成は、炭素、窒素、酸素の中の1つを含むガスを真空槽9内に導入して行う。
【0043】
したがって、食品用刃物1を洗浄し、この食品用刃物1を真空槽9内にセットして排気して真空にして、真空槽9内にアルゴンガスを導入し食品用刃物1の表面をイオンボンバードし、食品用刃物1の表面に、チタン、クロム、シリコン、ゲルマニウムのうちの少なくとも1つの被膜を形成し、アルゴンガスを排気し、真空槽内に炭素を含むガスを導入して、被膜の表面にカーボン硬質被膜8を形成するように、容易に且つ確実に食品用刃物1の表面に、チタン、クロム、シリコン、ゲルマニウムのうちの少なくとも1つの被膜を形成し、且つ被膜の表面にカーボン硬質被膜8を形成することができる。
尚、上記実施の形態で使用した装置は、イオンボンバード/スパッタリング処理機能とカーボン硬質被膜形成機能とを持ったものである。(イオンボンバード/スパッタリング処理装置とカーボン硬質被膜形成装置をそれぞれ使用しても良い。)また、刃物本体2の刃先3の表面のみにカーボン硬質被膜8を形成したが、刃物本体2すべてにカーボン硬質被膜8を形成しても良い。
【0044】
上記した食品用刃物1の摩耗試験において、食パン20000本以上の切断の使用に耐えることが判明した。従来のスライサー用刃物にあっては食パン5000〜6000本の切断の使用が限度であった。
【0045】
(第2の実施の形態)
本発明に係る食品用刃物の第2の実施の形態を図8乃至図12に示す。図8は本発明に係る食品用刃物の第2の実施の形態としてのカンナ刃の斜視図、図9は同カンナ刃の刃先における被覆部分の拡大断面図、図10はカンナ刃の刃先にのみに選択的にカーボン硬質被膜を形成する手段の説明図である。
【0046】
本発明に係る食品用刃物の第2の実施の形態としてのカンナ刃(長さ80mm、幅70mm、厚さ3mm)20は、カンナ刃物本体21の先部に刃先22を形成したものである。このカンナ刃20は超硬鋼材の基材23よりなる。このカンナ刃20の刃先22の両面に金属間化合物としての炭化ケイ素(SiC)被膜24よりなる中間層25を介してカーボン硬質被膜26を被覆した。
【0047】
このカンナ刃20の刃先22にのみに選択的にカーボン硬質被膜26を形成する手段は、図10に示すように複数枚のカンナ刃20を、その平面部を互いに密着させて積層し、且つ刃先22を除く部分を成膜治具27に当接させて保持し、この状態で成膜雰囲気中に配置して行うことが好ましい。
【0048】
その成膜方法は、以下の通りである。
まず、イオンボンバード/スパッタリング処理法を用いて、第1の実施の形態と同様に、真空槽9内に品物を配置した後、イオンボンバードで品物10の表面を清浄化する。次に、品物10であるカンナ刃20の刃先22に炭化ケイ素(SiC)被膜24を形成した。この時、真空槽9内には炭素を含むガス例えば、炭化水素ガスのエチレンガスが導入された成膜雰囲気中で処理が行われている。この炭化ケイ素(SiC)被膜24は、0.1〜0.2μmの厚みで被覆すれば、良好な密着力を得るに充分である。また、炭化ケイ素(SiC)被膜24は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)および鉄(Fe)の炭化物、窒化物または酸化物もしくはケイ素(Si)の炭化物、窒化物からなる金属間化合物に代換えるすることもできる。これらの金属の炭化物、窒化物または酸化物を中間層25として使用する理由は、シリコンがアルカリに弱いためで、カーボン硬質被膜26を形成した食品用刃物1をアルカリ溶液で洗浄等の必要のあるものについて行う。
【0049】
次に、炭化ケイ素(SiC)被膜24の上に上層としてカーボン硬質被膜26を約1μmの厚みで形成した。このカーボン硬質被膜26の形成には、第1の実施の形態の場合と同様に乾式メッキ法、例えば、RFP−CVD法を用いた。尚、被膜形成条件等は、第1の実施の形態と同様であるので省略する。
【0050】
上記したカンナ刃20の摩耗試験において、運転時間として90時間以上の切断の使用に耐えることが判明した。従来のカンナ刃20にあっては運転時間として30時間が限度であった。
【0051】
(第3の実施の形態)
本発明に係る食品用刃物の第3の実施の形態を図11及び図12に示す。図11は本発明に係る食品用刃物の第3の実施の形態としての葱切り刃の平面図、図12は同葱切り刃の被覆部分の拡大断面図である。
【0052】
本発明に係る食品用刃物の第3の実施の形態としての葱切り刃(直径120mm)30は、S字形状の刃物本体31の側縁部に刃先32を形成したものである。この葱切り刃30はステンレス鋼材の基材33よりなる。そして、この葱切り刃30の刃先32にクロム(Cr)被膜34およびゲルマニウム(G)被膜35よりなる中間層被膜36を介してカーボン硬質被膜37を被覆した。
【0053】
葱切り刃30の刃先32にのみに選択的に被膜を形成する手段は、上記した本発明の第1の実施の形態の場合と同様にして行われる。
【0054】
その成膜方法は、以下の通りである。
まず、イオンボンバード/スパッタリング処理法を用いて、第1の実施の形態と同様に、真空槽9内に品物10を配設した後、イオンボンバードで品物10を清浄化する。次に、品物10である葱切り刃30の刃先32の両面にクロム(Cr)被膜34を形成した。このクロム(Cr)被膜34は、0.1〜0.2μmの厚みで被覆すれば、良好な密着力を得るに充分である。
【0055】
次に、イオンボンバード/スパッタリング処理法を用いて、クロム(Cr)被膜34の上に上層としてゲルマニウム(G)被膜35を形成した。このゲルマニウム(G)35は、0.2〜0.3μmの厚みで被覆すれば、良好な密着力を得るに充分である。
【0056】
イオンボンバード/スパッタリング処理法は、上記した本発明の第1の実施の形態の場合と同様にして行われる。
【0057】
次に、ゲルマニウム(G)被膜35の上に上層としてカーボン硬質被膜37を約1μmの厚みで形成した。このカーボン硬質被膜25の形成には、第1の実施の形態の場合と同様に乾式メッキ法、例えば、RFP−CVD法を用いた。
【0058】
上記した葱切り刃30の摩耗試験において、運転時間として80時間以上の切断の使用に耐えることが判明した。従来の葱切り刃にあっては運転時間として8時間が限度であった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る食品用刃物によれば、超硬鋼、ステンレス鋼、工具鋼、セラミックのいずれか1つを材料とする刃物本体に刃先を形成してなるパン、菓子類のスライサー用刃物、野菜類のカット用刃物、乾物類のカット用刃物等の食品用刃物において、刃物本体の少なくとも刃先の表面にカーボン硬質被膜を形成したことにより、このカーボン硬質被膜が備える優れた耐摩耗性のため、切断された被切断体と擦れ合う食品用刃物の刃物本体の少なくとも刃先の表面の摩耗を低減させ、食品用刃物の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0060】
また、カーボン硬質被膜が備える摩擦係数の低さや平面の平滑性の高さにより、切断された被切断体が食品用刃物に付着したり、引っ掛かったりすることがなく、また、クリーニングが容易になる。また、錆の発生がなくなる。
【0061】
また、本発明に係る食品用刃物の製造方法によれば、食品用刃物を洗浄し、この食品用刃物を真空槽内にセットして排気して真空にして、真空槽内にアルゴンガスを導入し食品用刃物の表面をイオンボンバードし、食品用刃物の表面に、チタン、クロム、シリコン、ゲルマニウムのうちの少なくとも1つの被膜を形成し、アルゴンガスを排気し、真空槽内に炭素を含むガスを導入して、被膜の表面にカーボン硬質被膜を形成するように、容易に且つ確実に食品用刃物の表面に、チタン、クロム、シリコン、ゲルマニウムのうちの少なくとも1つの被膜を形成し、且つ被膜の表面にカーボン硬質被膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る食品用刃物の第1の実施の形態としてのパン、菓子類の家庭用スライサー用刃物の平面図である。
【図2】同スライサー用刃物の被覆部分の拡大断面図である。
【図3】イオンボンバード/スパッタリング処理装置の構成説明図である。
【図4】カーボン硬質被膜形成装置の構成説明図である。
【図5】同実施例に於ける業務用スライサー用装置の斜視図である。
【図6】同装置に使用する糸鋸タイプのスライサー用刃物の平面図である。
【図7】同装置に使用する円盤タイプのスライサー用刃物の斜視図である。
【図8】本発明に係る食品用刃物の第2の実施の形態としてのカンナ刃の斜視図である。
【図9】同カンナ刃の刃先における被覆部分の拡大断面図である。
【図10】カンナ刃の刃先にのみに選択的にカーボン硬質被膜を形成する手段の説明図である。
【図11】本発明に係る食品用刃物の第3の実施の形態としての葱切り刃の平面図である。
【図12】同葱切り刃の被覆部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1、1−2、1−3 食品用刃物
2、21、31 刃物本体
3、22、32 刃先
4、23、33 基材
5 チタン(Ti)被膜
6 シリコン(Si)被膜
7、25、36 中間層
8、26、37 カーボン硬質被膜
9、15 真空槽
10、16 品物
11 直流電源
12 チタン(Ti)側スパッタリング装置
13 シリコン(Si)側スパッタリング装置
14 ガス導入口
17 マッチング回路
18 高周波電源
20 カンナ刃
24 炭化ケイ素(SiC)被膜
30 葱切り刃
34 クロム(Cr)被膜
35 ゲルマニウム(Gr)被膜

Claims (4)

  1. 超硬鋼、ステンレス鋼、工具鋼、セラミックのいずれか1つを材料とする刃物本体に刃先を形成してなるパン、菓子類のスライサー用刃物、野菜類のカット用刃物、乾物類のカット用刃物等の食品用刃物において、
    前記刃物本体の少なくとも刃先の表面にカーボン硬質被膜を形成する際、
    前記刃先の表面と前記カーボン硬質被膜との間に、2層からなる中間層を設け、
    前記中間層は、第1の層がTiまたはCr、第1の上層の第2の層がSiまたはGeであることを特徴とする食品用刃物。
  2. 前記中間層は、第1の層が0.1〜0.2μmの厚みで形成され、第2の層が0.2〜0.3μmの厚みで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の食品用刃物。
  3. 前記カーボン硬質被膜は、およそ1μmの厚みで形成されたことを特徴とする請求項に記載の食品用刃物。
  4. 前記刃物本体に複数の貫通孔を形成し、これらの貫通孔の内面にも前記カーボン硬質被膜を設けたことを特徴とする請求項に記載の食品用刃物。
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