JP3939799B2 - 光学薄膜製造システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学薄膜製造システムに関し、特に、エキスパートシステムを利用した光学薄膜製造システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりガラスや金属に光学薄膜を所定の厚さで蒸着させる装置が知られている。光学薄膜は、例えば特定の波長の光の反射率や透過率を所望の値に設定するために用いられる。
【0003】
このような光学薄膜を製造する場合、対象となる光の波長範囲と、その波長範囲の光に対してどのような反射率あるいは透過率が要求されるかに応じて、薄膜の層の数や材料、厚み等を設計している。薄膜の設計は、しかし、極めて複雑な計算を必要とし、しかも設計者の知識、経験などにより、設計に要する時間が著しく異なる。通常、薄膜の設計にはコンピュータが用いられるが、層の材料、数、厚み自体は設計者が決定し、コンピュータは設計者の定めた値に基づいてどのような薄膜が形成されるのかをシミュレーションする役割を果たしているだけであり、設計自体は依然として設計者の技量に頼っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、設計者の技量に依存して薄膜を設計する従来の方法では、設計者により設計に要する時間が大きく異なる。更に、設計者毎に結果が異なるため、設計された薄膜の品質にばらつきが出てしまうという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑み、常に安定した品質の薄膜を、設計し、製造することが可能な光学薄膜製造システムを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の光学薄膜製造システムは、薄膜の蒸着条件に従って光学薄膜を蒸着するための光学薄膜製造システムであって、薄膜設計知識ベースと薄膜設計データベースと薄膜設計推論エンジンを備え、前記薄膜設計推論エンジンが、光学薄膜の設計仕様に基づいて前記薄膜設計知識ベースおよび前記薄膜設計データベースの内容を参照して前記設計仕様を満たす最適な薄膜構成を自動設計するよう構成された薄膜設計エキスパートシステムと、薄膜製造知識ベースと薄膜製造データベースと薄膜製造推論エンジンを備え、前記薄膜設計エキスパートシステムより出力された前記薄膜構成に基づき、前記薄膜製造推論エンジンが、前記薄膜製造知識ベースおよび前記薄膜製造データベースの内容を参照して前記薄膜製造装置における薄膜製造時の最適な蒸着条件を決定する薄膜製造エキスパートシステムと、前記薄膜設計エキスパートシステムにより設計された薄膜構成を、前記薄膜製造エキスパートシステムにより決定された蒸着条件のもとで製造する薄膜製造装置と、前記薄膜製造装置により蒸着された前記薄膜の光学性能を評価する薄膜評価システムとを有し、少なくとも前記薄膜設計エキスパートシステムと前記薄膜製造エキスパートシステムのいずれか一方は、前記評価システムによる評価結果を参照して前記薄膜構成あるいは前記蒸着条件を決定すること、を特徴としている。
【0006】
また、請求項2に記載の光学薄膜製造システムによれば、前記評価システムは、前記薄膜製造装置により成膜された前記薄膜の分光カーブを測定し、前記設計仕様に基づく分光カーブと比較する構成とすることができる。
【0007】
請求項3に記載の光学薄膜製造システムによれば、前記評価システムは、前記薄膜設計エキスパートシステムにより決定された薄膜構成において、各薄膜の膜厚を変えて分光カーブを再計算し、再計算された分光カーブが前記成膜された前記薄膜の分光カーブとマッチする場合には、変更された膜厚を補正データとして前記薄膜設計エキスパートシステムまたは前記薄膜製造エキスパートシステムの知識ベースもしくはデータベースに格納する構成とすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態である光学薄膜製造システム1のシステム構成を説明するためのブロック図である。光学薄膜製造システム1は、薄膜設計エキスパートシステム100、薄膜製造エキスパートシステム200、薄膜製造システム制御部300、薄膜計測システム400、薄膜製造装置制御部500、薄膜製造装置600からなる。
【0009】
薄膜製造システム制御部300は、光学薄膜製造システム1の動作全体を司る部分である。薄膜製造システム制御部300は処理装置としてMPU(Micro Processing Unit)301を有し、インターフェース302を介して、薄膜設計エキスパートシステム(薄膜設計ESと略す)100、薄膜製造エキスパートシステム(薄膜製造ESと略す)200、薄膜計測システム400、薄膜装置制御部500、そしてキーボード304およびディスプレイ303が接続されている。キーボード304からは、光学薄膜製造システム1の各部の動作を指示するコマンドや、形成しようとする薄膜の設計仕様データ(対象とする波長範囲、反射率や透過率など)を入力することができる。
【0010】
薄膜設計ES100は、インターフェース105を介して入力される薄膜製造システム制御部300からの指令に基づき、キーボード304から入力された仕様を満たす薄膜を設計するシステムである。薄膜設計ES100は、知識ベース101およびデータベース102に格納されているデータを用いて仕様を満たす薄膜構成を決定する推論エンジン103を有する。推論エンジン103の動作は推論管理部104により制御される。薄膜設計ES100においては、仕様を満たす薄膜構成を決定するために、種々の構成についてシミュレーションを行い、その結果を評価して、仕様を満たす最適な薄膜構成を決定する。
【0011】
薄膜製造ES200は、インターフェース205を介して薄膜製造システム制御部300から、動作指令および、薄膜設計ES100により決定された薄膜構成のデータを受け取る。推論エンジン203は、知識ベース201およびデータベース202に格納されているデータを用いて、薄膜設計ES100により決定された薄膜構成を実現するための蒸着条件を決定する。蒸着条件は、薄膜を形成する基板の材質によって、また、薄膜の材質によって異なるため、知識ベース201およびデータベース202に、各材質毎に蒸着条件を決定するために必要なデータが格納されている。なお、推論エンジン203の動作は推論管理部204により制御される。
【0012】
薄膜製造装置制御部500は、薄膜製造装置制御部500全体の動作を制御するMPU501を有する。MPU501は、インターフェース504を介して、膜製造システム制御部300より、薄膜設計ES100で設計された薄膜構成のデータと、薄膜製造ES200により決定された蒸着条件のデータとを受け取り、RAM(Random Access Memory)502に格納する。ROM(Read Only Memory)503にはMPU501の実行プログラムや薄膜製造装置600を制御するために必要となる各種のパラメータが格納されている。MPU501は、RAM502に格納した薄膜構成データと薄膜製造データ、およびROM503に格納されているパラメータ等に基づき、I/Oポート505を介して入力される薄膜製造装置600の真空計601、温度計602、膜厚センサ604の測定データをモニタしつつ、I/Oポート505を介して薄膜製造装置600の電子銃603、排気系605、チャンバ機構606を制御して薄膜製造装置600による薄膜の形成を実行する。
【0013】
なお薄膜製造装置制御部500および薄膜製造装置600としては、例えば、真空機械工業株式会社の自動蒸着システムMDC−2001が知られており、詳細については省略する。
【0014】
薄膜計測システム400は、薄膜製造装置600により製造された薄膜を評価するためのシステムである。薄膜計測システム400は、MPU401を有し、MPU401には、インターフェース403を介してデータベース402、キーボード407、ディスプレイ406、および制御コンピュータ404と計測部405が接続されている。
【0015】
薄膜製造装置600により薄膜が形成された材料は計測部405に移され、制御コンピュータ404の制御のもとで計測部405により分光光度特性(分光反射率もしくは分光透過率)が計測される。計測結果はグラフとしてディスプレイ406に表示されると共に、分光カーブデータとしてデータベース402に格納される。
【0016】
薄膜設計ES100および薄膜製造ES200により決定されたデータに基づいて薄膜製造装置600により実際に形成された薄膜の分光カーブが設計仕様に合致しない場合がある。このため、薄膜製造システム制御部300のMPU301は、データベース402に格納されている分光カーブデータ(計測データ)と、目的とする仕様性能(設計仕様性能)との差に基づいて補正データを生成して、その時の蒸着条件と共に薄膜製造ES200のデータベース202に格納する。
【0017】
データベース202に格納された補正データは、次に同種の光学的な特性を有する薄膜を形成する場合に、蒸着された薄膜が目的の光学特性を持つように、蒸着条件を決定する際に参照される。
【0018】
上記補正データおよび蒸着データは、薄膜製造が行われるにつれて蓄積されていくため、薄膜製造ES200は次第に、短時間で好適な蒸着条件を決定できるようになっていく。言い換えれば、薄膜製造ES200は学習機能を有し、薄膜製造システム1を利用すればするほど、設計仕様に対して好適な薄膜を形成することができるようになる。
【0019】
図2は薄膜設計ES100の推論エンジン103により実行される設計処理を説明するための流れ図である。図2の処理は、本薄膜製造システム1の利用者により薄膜の仕様が入力された後の設計処理を示すものである。薄膜の仕様として入力されるのは、入射媒質、薄膜が形成される基板の材質、光の入射角度、対象となる光の波長範囲、反射率(あるいは透過率など)である。以下の記載においては、反射防止膜の形成を例にとって本実施の形態の薄膜製造システム1の動作について説明する。入力される仕様としては、例えば、入射媒質:BK7、基板材料:AIR(空気)、入射角度:20度±5度、波長域:520 nm〜570 nm、反射率:S偏光の反射率が1%未満、というデータが、キーボード304から入力される。
【0020】
図2において、まず、S1では、タイプ0で仕様が実現可能か否かを判定する。タイプ0とは、薄膜が無い状態である。即ち、基板材料のみで仕様が満たされているか否かが判定される。基板材料のデータはデータベース102に格納されている。S2において、基板材料のみで仕様が満たされると判定した場合には、以下の処理は行わず、ディスプレイ303に膜構成を表示し、膜構成データをインターフェース104を介して薄膜製造システム制御部500に出力する。なお、この場合、薄膜を形成する必要は無いため、薄膜製造の処理は行われない。
【0021】
S2において、タイプ0で仕様を満たすことができないと判定した場合には、S3においてタイプAで仕様を満たすことができるか否かを判定する。タイプAとはλ/4膜厚条件式に基づいて決定される単層の薄膜構成である。単層の薄膜となりうる材料はデータベース102に蓄積されている。また、基板の材質および製造行程に応じて、薄膜の材料には優先順位がつけられ、優先順位の順に仕様を満たすことができるか否かが判定される。この優先順位のデータは知識ベース101に格納されている。
【0022】
S4においてタイプAで仕様を満たすことができると判定した場合には、以下の処理は行わず、ディスプレイ303に膜構成を表示し、膜構成データをインターフェース104を介して薄膜製造システム制御部500に出力する。(以下、図2の流れずにおいては、判定で仕様を満たす膜構成が決定された場合には、同様にしてそれ以降の処理は行わず、ディスプレイ303に膜構成を表示し、膜構成データをインターフェース104を介して薄膜製造システム制御部500に出力する。)
【0023】
S4において、タイプAで仕様を満たすことができないと判定した場合には、S5においてタイプBでの薄膜構成について判定を行う。タイプBとは、完全2層V型条件式に基づいて決定される薄膜構成であり、2物質からなる薄膜を形成するものである。タイプAの場合と同様、薄膜の材料となる物質は、基板の材質やその組合せにおいて優先順位がある。薄膜の材料となる物質のデータはデータベース102に格納され、優先順位のデータは知識ベース101に格納されている。
【0024】
S6では、タイプBで仕様を実現することが可能かどうかを判定する。タイプBで仕様の実現が不可能な場合には、タイプCでの判定を行う。なお、タイプC以降タイプFまでの判定においては、数学的モデルを用いて理論上の薄膜構成を決定した後に、理論上の薄膜構成を実現可能な材料の組合せに置き換える処理を行っている。
【0025】
S7ではタイプCの数学モデルを用いて、仕様を満たす理論上の薄膜構成(初期膜)を演算する。ここでタイプCとは、QH(λ/4、λ/2)型の膜構成である。
【0026】
S71では、理論上の2層の薄膜をそれぞれ、同等の振幅反射率を有する実現可能な材料で置換する。S72において、もしも仕様を満たしていないと判定した場合には、置換したそれぞれの薄膜の膜厚を所定の範囲で順次変化させて仕様を満たす薄膜構成が得られるかどうかを繰り返し判定する(S73)。
【0027】
S74において、薄膜の膜厚を変化させることにより、仕様を満たす膜構成が得られないと判定した場合には、S75へ処理を進める。S75では、S7において生成された理論上の薄膜構成の各薄膜の屈折率を、実際の薄膜材料により構成される三層等価膜により置換して、仕様が満たされるかどうかを判定する。S76で、三層等価膜で置換した薄膜構成で仕様が満たされないと判定した場合には、理論上の薄膜構成の各薄膜を様々な三層等価膜の組合せを用いて置換し、仕様を満たしている薄膜構成が得られるか否かを判定する。
【0028】
タイプCの薄膜構成によっては仕様を満たす構成が得られないと判定した場合(S78)、処理をS8に進めて、タイプDの薄膜構成について検証する。タイプDの構成はQQQ(λ/4、λ/4、λ/4)型の薄膜構成である。
【0029】
S8では、S7の場合と同様、数学モデルを用いて、仕様を満たす理論上の薄膜構成を演算する。そして、S81〜S83においては、S71〜S73における処理と同様に、数学モデルに基づいて演算された各薄膜を、同等の振幅反射率を有する現実の材料で置き換えて、仕様を満たす構成が得られるかどうかを判定し、S84において仕様を満たす薄膜構成が得られないと判定した場合には、S85〜S87において、S75〜S77と同様に、理論上の各薄膜を三層等価膜で置き換えて仕様を満たす薄膜構成が得られないか否かを判定する。
【0030】
S88において、タイプDの薄膜構成では仕様を満たすことができないと判定した場合には、S9に処理を進め、タイプEの薄膜構成について判定を行う。タイプEはQHQ(λ/4、λ/2、λ/4)型の薄膜構成である。S9では、S7の場合と同様、数学モデルを用いて、仕様を満たす理論上の薄膜構成を演算する。そして、S91〜S93においては、S71〜S73における処理と同様に、数学モデルに基づいて演算された各薄膜を、同等の振幅反射率を有する現実の材料で置き換えて、仕様を満たす構成が得られるかどうかを判定し、S94において仕様を満たす薄膜構成が得られないと判定した場合には、S95〜S97において、S75〜S77と同様に、理論上の各薄膜を三層等価膜で置き換えて仕様を満たす薄膜構成が得られないか否かを判定する。
【0031】
S98において、タイプEの薄膜構成では仕様を満たすことができないと判定した場合には、S10に処理を進め、タイプFの薄膜構成について判定を行う。タイプEはQQQQ(λ/4、λ/4、λ/4、λ/4)型の薄膜構成である。S10では、S7の場合と同様、数学モデルを用いて、仕様を満たす理論上の薄膜構成を演算する。そして、S101〜S103においては、S71〜S73における処理と同様に、数学モデルに基づいて演算された各薄膜を、同等の振幅反射率を有する現実の材料で置き換えて、仕様を満たす構成が得られるかどうかを判定し、S74において仕様を満たす薄膜構成が得られないと判定した場合には、S105〜S107において、S75〜S77と同様に、理論上の各薄膜を三層等価膜で置き換えて仕様を満たす薄膜構成が得られないか否かを判定する。
【0032】
S108において、タイプFの薄膜構成によっても仕様を満たす構成が実現できないと判定した場合には、設計できないことを示すメッセージをディスプレイ303に表示して処理を終了する。また、上記処理のいずれかのステップで仕様を満たす薄膜構成が得られた場合には、得られた薄膜構成をディスプレイ303に表示すると共に、データを薄膜製造システム制御部300に転送する。薄膜製造システム制御部300には、薄膜の材料およびその光学的な膜厚が薄膜構成データとして転送される。例えば、
AIR|MgF2(光学膜厚 170 nm )|Al2O3(光学膜厚148.25 nm )|BK7
という結果が薄膜設計ES100の出力データとして薄膜製造システム制御部300に転送される。この例では基板としてBK7、基板に近い方からアルミナ、フッ化マグネシウムという順に薄膜を形成するという結果が得られたことを示している。この例では、アルミナ(Al23)は波長593 nmの光に対するλ/4の光学的膜厚、フッ化マグネシウム(MgF2)は波長680 nmの光に対するλ/4の光学的膜厚という結果が得られている。
【0033】
なお、上記の例では反射防止膜の設計を例にして説明したが、バンドパス膜やビームスプリッタ用のコーティングなど各種の薄膜形成を同様にして行うことができる。
【0034】
上記のように、薄膜設計ES100によって求められた薄膜構成を実現するための薄膜製造装置600の動作条件が、薄膜製造ES200により各薄膜に対して決定される。
【0035】
薄膜製造ES200の知識ベース201およびデータベース202には、種々の薄膜を形成するための薄膜製造装置600の制御条件が格納されている。制御条件とは、例えば、各種の薄膜材料に対応した、電子銃603の制御パラメータ、製造装置の薄膜形成用チャンバの真空度、基板の温度条件、ガス圧、膜物質の蒸着条件、膜物質の量、成膜後のチャンバのリーク条件(真空状態のチャンバに空気を入れる条件)、基板の使用可能温度、膜厚をモニタするためのモニタガラスの利用可能個数、膜物質と膜物質が入れられている坩堝との対応関係などである。また、後述する動作条件補正データもデータベースに格納されている。
【0036】
薄膜製造ES200の推論エンジン203は、インターフェース205を介して薄膜製造システム制御部300から入力される薄膜構成データと上記の制御条件とに基づいて、各薄膜を形成するための最適な動作条件を決定し、インターフェース205を介して薄膜製造システム制御部300に動作条件データ転送する。ここで製造装置600を動作させるための動作条件データとしては、蒸着のスケージュール、蒸着する薄膜層毎に、使用する坩堝を特定するデータ、蒸着初期真空度、蒸着初期温度、導入するガス種別およびガス圧、電子銃制御パラメータ、使用モニタ番号、蒸着の開始・終了を規定するシャッタの開閉タイミング、蒸着終了後のリーク条件(空気導入条件)などがある。
【0037】
薄膜製造システム制御部300は、薄膜設計ES100により入力された薄膜設計データと、薄膜製造ES200により入力された動作条件データと、さらに蒸着開始のコマンドを、インターフェース302を介して薄膜製造装置制御部500へ転送する。
【0038】
薄膜製造装置制御部500は、インターフェース504を介して薄膜製造システム制御部500より受け取った薄膜設計データおよび動作条件データをRAM502に一旦格納した後、これらのデータに基づいて薄膜製造装置600を制御し、スケジュールに従って薄膜形成(蒸着)の処理を実行する。
【0039】
以上のようにして薄膜が基板に形成されると、基板は薄膜計測システム400の計測部に移される。薄膜計測システム400においては、成膜された基板の分光光度特性を測定し、測定値をデータベース402に格納する。
【0040】
薄膜製造システム制御部300のMPU301は、データベース402に格納された実測値と、理論上の特性、および設計仕様とを比較し、必要に応じて薄膜製造装置600の動作条件を補正するための補正データを生成して、薄膜製造ES200の知識ベース201に動作条件補正データとして格納する。ここでは、薄膜製造システム制御部300および薄膜計測システム400は薄膜評価システムを構成することになる。上述の動作条件補正データの生成および格納の処理について図3を参照して説明する。
【0041】
図3は、動作条件補正データの生成処理を説明する図である。この処理は、上述のように、薄膜製造システム制御部300のMPU301により実行される処理である。
【0042】
S51において、MPU301は、データベース402に格納されている分光データ(実測データ)と、設計仕様、および薄膜設計ES100により決定された設計データの比較を行う。まず、設計仕様が示す分光カーブと分光カーブデータ(計測データ)とを比較し、両者に大きな誤差が無いかどうか判定する。
【0043】
分光カーブデータが設計仕様と大きく違っていない場合には、補正データをゼロとし(S56)、薄膜形成に使用された蒸着条件をそのまま装置製造ES200のデータベース202に格納する(S57)。なお、ここで蒸着条件をデータベース202に格納しているため、同種の薄膜構成を再度形成する場合には、データベース202に格納された蒸着条件を参照することにより演算処理を簡略化することができる。
【0044】
S51において、設計仕様と分光カーブデータとに大きな差異がある場合には、S52以降の処理で薄膜製造ES200のデータベースに蒸着条件と共に格納する補正データの演算を行う。
【0045】
設計仕様と分光カーブデータとが大きく異なる主な原因として、各薄膜の膜厚が正しくない場合と、形成された薄膜の屈折率が設計値と異なる場合とが考えられる。S52では、膜厚が正しくない場合について検証する。すなわち、膜厚を変化させて設計データを再計算し、再計算された設計値に対応する分光カーブが分光カーブデータ(実測データ)に近づくかどうかを判定する。この時、膜厚は、薄膜の各層ごと、薄膜を形成する物質ごと、複数の層の膜厚を同時に変化させるといった種々の方法でシミュレーションを繰り返し行い、再計算された設計データに対応する分光カーブが分光カーブデータに近づくかどうかを検証する。
【0046】
再計算された設計データに基づく分光カーブが分光カーブデータに最も近づいた時の分光カーブデータと再計算値に対応する分光カーブとをS53に於いて比較する。両者のマッチの程度が大きい場合には、成膜された薄膜構成が設計仕様を満たさない原因が膜厚の補正により解消されると判定することができる。この場合には、S57において、薄膜形成に使用された蒸着条件に加えて膜厚を制御するための蒸着条件の補正データを、薄膜製造ES200のデータベース202に格納する。ここで蒸着条件に加えて補正データが格納されるため、同種の薄膜構成を再度形成する場合には、推論エンジン203はデータベース202のデータを参照することにより、好適な蒸着条件を速やかに決定することができる。
【0047】
S53において、膜厚を変えて再計算した設計データと分光データとのマッチの程度が小さいと判定された場合には、形成された薄膜の屈折率が設計通りの値になっていないかどうかについてS54以降の処理において検証する。
【0048】
この場合には、S54にて、各膜物質を、物質毎に、あるいは各層ごとに屈折率を変えて設計データを再計算し、再計算値に対応する分光カーブが分光カーブデータ(計測データ)に近づくかどうかを検証する。再計算値に対応する分光カーブが最も分光カーブデータに近づいた時の両者のマッチの度合いをS55で判定する。もしも両者のマッチの程度が大きい場合には、データベース202に、設計値に対応した蒸着条件と共に、再計算値に対応した分光カーブが分光カーブデータに近づくように設定された補正データを格納する。この補正データは、同種の薄膜を再度形成する場合に推論エンジン203により参照され、好適な動作条件の決定に寄与する。なお、屈折率を変化させるため、蒸着レート、基板温度、ガス圧等が補正される。
【0049】
なおS55において、分光データと再計算された設計値に対応する分光カーブとのマッチの程度が小さいと判定された場合には、補正不能としてディスプレイ303にメッセージを表示し、補正データ生成処理を終了する(S58)。この場合には、蒸着条件もデータベース202には格納されない。
【0050】
上記の様にして、補正データが生成されると、補正データがデータベース202に格納される。設計仕様に基づいて薄膜設計ES100が設計データを決定する。薄膜製造ES200は、データベース202に格納された補正データを参照して、最終的に薄膜製造装置600により形成される薄膜の構成が設計データの膜構成と一致するよう、蒸着条件を決定する。
【0051】
本実施の形態の薄膜製造システム1においては、補正データを薄膜製造ES200のデータベース202に格納し、薄膜の製造条件を決定する際に補正を加える構成となっているが、補正データを薄膜設計ES100のデータベース102に格納し、薄膜の設計段階で補正を加える構成とすることも可能である。また、補正パラメータに応じて薄膜設計ES100と薄膜製造ES200のそれぞれで適宜補正を加えるような構成とすることも可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光学薄膜製造システムによれば、薄膜設計エキスパートシステムにより薄膜構成を自動設計し、薄膜製造エキスパートシステムにより薄膜の蒸着条件を自動決定し、さらに、薄膜設計ESおよび薄膜製造ESにより決定されたデータに基づいて成膜された薄膜を評価する薄膜計測システムを有し、評価システムによる評価結果を薄膜設計ESあるいは薄膜製造ESのデータ生成に反映させるため、仕様を満たす薄膜構成を、容易に決定し生成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態である薄膜製造システムの構成を示すブロック図である。
【図2】薄膜設計エキスパートシステムの推論エンジンにより実行される薄膜設計処理を説明する図である。
【図3】補正データ生成処理を説明する図である。
【符号の説明】
1 薄膜製造システム
100 薄膜設計エキスパートシステム
101 知識ベース
102 データベース
103 推論エンジン
200 薄膜製造エキスパートシステム
201 知識ベース
202 データベース
203 推論エンジン
300 薄膜製造システム制御部
301 MPU
303 ディスプレイ
304 キーボード
400 薄膜計測システム
401 MPU
402 データベース
405 計測部
500 薄膜製造装置制御部
501 MPU
600 薄膜製造装置

Claims (2)

  1. 薄膜の蒸着条件に従って光学薄膜を蒸着するための光学薄膜製造システムであって、
    薄膜設計知識ベースと薄膜設計データベースと薄膜設計推論エンジンを備え、前記薄膜設計推論エンジンが、光学薄膜の設計仕様に基づいて前記薄膜設計知識ベースおよび前記薄膜設計データベースの内容を参照して前記設計仕様を満たす最適な薄膜構成を自動設計するよう構成された薄膜設計エキスパートシステムと、
    薄膜製造知識ベースと薄膜製造データベースと薄膜製造推論エンジンを備え、前記薄膜設計エキスパートシステムより出力された前記薄膜構成に基づき、前記薄膜製造推論エンジンが、前記薄膜製造知識ベースおよび前記薄膜製造データベースの内容を参照して前記薄膜製造装置における薄膜製造時の最適な蒸着条件を決定する薄膜製造エキスパートシステムと、
    前記薄膜設計エキスパートシステムにより設計された薄膜構成を、前記薄膜製造エキスパートシステムにより決定された蒸着条件のもとで製造する薄膜製造装置と、
    前記薄膜製造装置により蒸着された前記薄膜の光学性能を評価する薄膜評価システムと、を有し、
    少なくとも前記薄膜設計エキスパートシステムと前記薄膜製造エキスパートシステムのいずれか一方は、前記評価システムによる評価結果を参照して前記薄膜構成あるいは前記蒸着条件を決定し、
    前記評価システムは、前記薄膜製造装置により成膜された前記薄膜の分光カーブを測定し、前記薄膜設計エキスパートシステムにより決定された薄膜構成において、各薄膜の膜厚を変えて前記設計仕様に基づく分光カーブを再計算し再計算された分光カーブが前記成膜された前記薄膜の分光カーブとマッチする場合に、若しくは前記再計算された分光カーブと前記薄膜の分光カーブとのマッチの程度が小さい場合には屈折率を変えて前記設計仕様に基づく分光カーブを再計算し再計算された分光カーブが前記成膜された前記薄膜の分光カーブとマッチする場合に、変更された膜厚又は屈折率に基いて補正データを生成して前記薄膜設計エキスパートシステムまたは前記薄膜製造エキスパートシステムの知識ベースもしくはデータベースに格納することを特徴とする光学薄膜製造システム。
  2. 前記薄膜設計エキスパートシステムにおける光学薄膜の設計仕様には、入射媒質、薄膜が形成される基板の材質、光の入射角度、対象となる光の波長範囲、反射率若しくは透過率、が含まれることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜製造システム。
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