JP3939703B2 - サンゴ養殖部を備えた浮体構造物及びサンゴ養殖方法 - Google Patents

サンゴ養殖部を備えた浮体構造物及びサンゴ養殖方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3939703B2
JP3939703B2 JP2004063439A JP2004063439A JP3939703B2 JP 3939703 B2 JP3939703 B2 JP 3939703B2 JP 2004063439 A JP2004063439 A JP 2004063439A JP 2004063439 A JP2004063439 A JP 2004063439A JP 3939703 B2 JP3939703 B2 JP 3939703B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coral
floating structure
floating
wall
culture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004063439A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005245374A (ja
Inventor
一禎 木原
一美 田村
隆之 阿出川
武雄 平安山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
C.P. FARM CO., LTD.
Original Assignee
C.P. FARM CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by C.P. FARM CO., LTD. filed Critical C.P. FARM CO., LTD.
Priority to JP2004063439A priority Critical patent/JP3939703B2/ja
Publication of JP2005245374A publication Critical patent/JP2005245374A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3939703B2 publication Critical patent/JP3939703B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A10/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE at coastal zones; at river basins
    • Y02A10/11Hard structures, e.g. dams, dykes or breakwaters
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

Landscapes

  • Artificial Fish Reefs (AREA)
  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
  • Revetment (AREA)

Description

本発明は、海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を備えた浮桟橋などの浮体構造物及びこれを用いたサンゴの養殖方法に関する。
サンゴ礁は魚類や海洋植物など多くの海洋生物に対して豊かな栄養と棲み家を提供し、海洋生態系の保持向上のために欠かせないものであるが、近年、地球環境悪化の影響を受けてサンゴ礁を取り巻く環境も悪くなり、その破壊が進んでいる。そこで、この破壊を食い止めて豊かなサンゴ礁の復活を図るため、種々のサンゴ養殖方法が提案されている。
図20(a)〜(d)はその一例(特許文献1)を示したもので、親サンゴSを分割した子サンゴsを支持棒40に取付け、ケーシング41内の保持材42に複数個を配列した後、ケーシング41ごと移植海域に設置して飼育し、図20(d)におけるs1のように子サンゴsが支持棒40を覆う程度に生育したあと、これを移植海域の岩盤に固着して養殖する方法である。
また図21はサンゴ養殖装置の例(特許文献2)を示したもので、サンゴ養殖装置55は、複数の柱状浮体51を枠52で連結し、この枠52上に子サンゴsを付着させたサンゴ養生棚53を配置した構成で、柱状浮体51を海中に沈降させ、サンゴ養生棚53を所定水深まで沈めてサンゴを養殖するようになっている。
一方、浮体構造物の一つである浮桟橋1は図19に示すように、係留装置(図示せず)により港湾の岸壁gに係留されて連絡橋2を介して連絡され、浮桟橋1に接舷された船舶5と岸壁g間の乗客の往来に寄与しているが、船舶5の出港時間あるいは到着時間の都合で待ち時間があるとき、利用者は、屋根3で覆われたデッキ上を散策したり、海面を眺めたりして時を過ごすことになる。
このようなとき、周囲の海域にサンゴ礁があり、多くの海洋植物や魚類が生息していれば、利用者はこれらを観賞して楽しい時間を過ごすことができるが、近年は特にそのような海域は少なくなっており、また、従来の浮桟橋には、サンゴ礁や海洋生物、魚群などを養殖し観賞できる海中展望施設を備えた例はない。近くの海域に新たに専用の海中展望施設を設置するには多大の費用がかかるなどの問題があった。
一方、サンゴの成長には周りの環境の影響を強く受け、その安定した成長促進に対して次のように種々の阻害要因がある。
例えば、サンゴ、或いはサンゴが付着する基盤がける衝撃、例えば、波による衝撃やごみなどの移動物体が当ることよる衝撃がサンゴの安定成長促進に障害となる。
また、異常な高低温の持続、紫外線照射量の増加、海水中の塩分量の低下、共生藻の喪失などが原因でサンゴにストレスを与えサンゴが白化を起し、その安定成長促進が阻害される。
また、光の存在がサンゴの成長促進に大きく影響を与えることも判っており、安定成長のためには、照射する光のスペクトル、強度、照射パターン、光源を最適のものに選定の必要がある。
更に、サンゴ養殖棚などの設置のやり方、配置などについてもサンゴの安定成長に適した状態にしてやることが必要である。
特開2003−009713 特開平11−032620
本発明は、サンゴの安定成長を促進させることのできる浮体構造物及びこれを用いたサンゴの養殖方法を提供することを課題としている。さらに本発明は、浮桟橋などの浮体構造物の利用者が、サンゴやサンゴ礁及び、そこに生息する海洋生物などを浮体構造物から観賞することができるようにすることを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、
(1) 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキ面の一部に階段を設け、その最下段から海中へ貫通する中空孔を形成し、その孔の周壁を前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、前記サンゴ養殖部に配置されるサンゴに加わる衝撃を緩和する緩衝手段を備えてなるサンゴ養殖部を備えた浮体構造物を提供する。
(2) 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキを海中まで貫通する中空孔を形成し、その周壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、前記サンゴ養殖部に配置されるサンゴに加わる衝撃を緩和する緩衝手段を備えてなるサンゴ養殖部を備えた浮体構造物を提供する。
(3) 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキ面に、係留装置に向かって緩く傾斜面を形成して、その先端の側壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、前記サンゴ養殖部に配置されるサンゴに加わる衝撃を緩和する緩衝手段を備えてなるサンゴ養殖部を備えた浮体構造物を提供する。
) 本発明による前記(1)〜(3)の浮体構造物は、係留装置をさらに備えるとともに、前記緩衝手段を、前記係留装置に組み込まれたダンパ手段とした構成とすることができる。
) 本発明による前記(1)〜(3)の浮体構造物においては、前記緩衝手段を、前記サンゴ養殖部を略包囲する多孔板とした構成とすることができる。
) また、前記課題を解決するため、本発明は、海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキ面の一部に階段を設け、その最下段から海中へ貫通する孔を形成し、その孔の周壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、同サンゴ養殖部への障害物侵入防止手段を設けてなるサンゴ養殖部を備えた浮体構造物を提供する。
また、前記課題を解決するため、本発明は、海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、前記浮体構造物のデッキを海中まで貫通する中空孔を形成し、その周壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、同サンゴ養殖部への障害物侵入防止手段を設けてなるサンゴ養殖部を備えた浮体構造物を提供する。
また、前記課題を解決するため、本発明は、海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、前記浮体構造物のデッキ面に、係留装置に向かって緩く傾斜面を形成して、その先端の側壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、同サンゴ養殖部への障害物侵入防止手段を設けてなるサンゴ養殖部を備えた浮体構造物を提供する。
) 本発明による前記()または()の浮体構造物において、前記孔の床面側の端部に、海中展望用水中窓を取り付けた構成とすることができる。
10)本発明による前記()の浮体構造物において、前記傾斜面の先端と前記係留装置の架台との間に、海中展望用水中窓を取り付けた構成とすることができる。
11)本発明による前記(1)〜(10)の浮体構造物において、前記サンゴ養殖部を設ける前記壁をコンクリートで構成することができる。
12)本発明による前記(1)〜(11)の浮体構造物において、
前記サンゴ養殖部に対する光照射制御手段を備えた構成とすることができる。
13)本発明による前記(1)〜(12)の少なくとも2つを組み合わせた構成を有する浮体構造物とすることができる。
14)本発明による前記(1)〜(13)の浮体構造物は、岸壁に近接して係留され連絡橋を介して岸壁との間を連絡して構成されるとともに、船舶が接舷可能なデッキを備えた浮桟橋とすることができる。
15)本発明による前記(1)〜(13)の浮体構造物を利用して、サンゴを養殖する方法を提供する。
16)前記(15)のサンゴを養殖する方法は、サンゴの親株から骨格を含み切断するステップと、その切断面に定置手段として支持体を固着した子株を前記浮体構造物に設けられたサンゴ養殖部に移設するステップと、深層部よりの海水をサンゴ養殖部へ供給するステップと、サンゴの種類に応じて、サンゴ養殖部の海水温度を高温ストレスによる褐虫藻の損傷を引き起こす所定の温度以下に保持するステップとを設けることができる。
17)本発明による前記(14)の浮桟橋を利用して、サンゴを養殖する方法を提供する。
18)前記(17)のサンゴを養殖する方法は、サンゴの親株から骨格を含み切断するステップと、その切断面に定置手段として支持体を固着した子株を前記浮桟橋に設けられたサンゴ養殖部に移設するステップと、深層部よりの海水をサンゴ養殖部へ供給するステップと、サンゴの種類に応じて、サンゴ養殖部の海水温度を高温ストレスによる褐虫藻の損傷を引き起こす所定の温度以下に保持するステップとを設けることができる。
本発明(1)による浮体構造物においては、この浮体構造物の利用者はデッキの面に設けられた階段を降りて水面近くからサンゴ養殖部に生育したサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物などを鑑賞できる。
本発明(2)による浮体構造物においては、デッキを貫通して設けられた中空孔の上方から、その中空孔の周囲に構成されたサンゴ養殖部に生育したサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物などを鑑賞できる。
本発明(3)による浮体構造物においては、この浮体構造物の利用者は、デッキの傾斜面と係留装置の間を歩行するときに、デッキ傾斜面先端の側壁に構成されたサンゴ養殖部に生育したサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物などを鑑賞することができる。
また、本発明(1)〜(3)による浮体構造物においては、サンゴの生育を阻害する原因となる衝撃がサンゴ養殖部のサンゴに伝わるのがダンパや多孔板などで構成された緩衝手段によって緩和されてサンゴの生育が促進され、浮体構造物の周囲に豊かな海洋生態系が形成され、本発明による浮体構造物からは、必要に応じて設けられた海中展望用水中窓などを通して、サンゴやサンゴ礁及び、そこに生息する海洋生物などを観賞できる。また、本発明(1)〜(3)による浮体構造物は海上に浮遊しているため、天敵であるオニヒトデの被害からサンゴを守ることができる。
前記()に記載した本発明の浮体構造物によれば、ダンパ手段をもつ係留装置によって、船舶や漂流物などが浮体構造物に当ったときの衝撃や、台風時などの強い波浪による衝撃を緩衝し、サンゴの生育を阻害する原因となる衝撃がサンゴに伝わるのを防ぐことができる。
また、前記()に記載した本発明の浮体構造物においては、サンゴ養殖部を略包囲する多孔板によって、台風時などの強い波浪や浮遊物がサンゴに当たって、その衝撃でサンゴの生育が阻害されるのを防ぐことができる。
前記()に記載した本発明の浮体構造物によれば、金網や多孔板などで構成された、サンゴ養殖部への障害物侵入防止手段を設けてあるため、サンゴ養殖部で生育中のサンゴに対して微細な異物が触れて、それらの異物を排除しようとサンゴが大量の粘液を放出することでエネルギを消費してサンゴの生育が阻害されるのを防ぐことができる。
た、この浮体構造物の利用者はデッキの面に設けられた階段を降りて水面近くからサンゴ養殖部に生育したサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物などを鑑賞できる。
前記()に記載した本発明の浮体構造物によれば、サンゴ養殖部への障害物侵入防止手段を設けた効果を有するとともに、デッキを貫通して設けられた中空孔の上方から、その中空孔の周囲に構成されたサンゴ養殖部に生育したサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物などを鑑賞できる。
前記()に記載した本発明の浮体構造物によれば、この浮体構造物の利用者は、デッキの傾斜面と係留装置の間を歩行するときに、デッキ傾斜面先端の側壁に構成されたサンゴ養殖部に生育したサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物などを鑑賞することができる。
前記()、(10)に記載した構成とした本発明の浮体構造物によれば、前記した()〜()の構成をもつものにおいて、それぞれ海中展望用水中窓を通して、サンゴ養殖部に生育したサンゴ礁に生息する海洋生物などを波浪の影響を受けることなく安全、かつ、明瞭に鑑賞して楽しむことができる。
前記(11)に記載した本発明の浮体構造物によれば、コンクリートで構成された壁からなるサンゴ養殖部に、良好にサンゴを成育させてサンゴ礁を形成させることができる。
前記(12)に記載した本発明の浮体構造物によれば、光照射制御手段によってサンゴ養殖部に対して、サンゴの成育を促進する光照射を行ってサンゴ養殖部に、良好にサンゴを成育させてサンゴ礁を形成させることができる。
前記(13)に記載した本発明の浮体構造物によれば、前記した(1)〜(12)に記載の構成を組み合わせた浮体構造物として、そのサンゴ養殖部に、良好にサンゴを成育させてサンゴ礁を形成させることができる。
前記(14)に記載した本発明の浮体構造物によれば、側壁に形成されたサンゴ養殖部に生育したサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物などを鑑賞できる浮桟橋が提供される。
前記(15)〜(18)に記載した本発明のサンゴ養殖方法によれば、サンゴ養殖部に付着させたサンゴの生育を阻害する原因となる衝撃が、ダンパや多孔板などで構成された緩衝手段によって緩衝されるので、サンゴ養殖部のサンゴに衝撃が伝わるのを防ぐことができ、サンゴの生育が促進される。また、前記サンゴ養殖方法によれば、サンゴを付着させるサンゴ養殖部を備えた浮体構造物や浮桟橋が海上に浮遊しているため、天敵であるオニヒトデの被害からサンゴを守ることが出来る。
ところで、サンゴ−褐虫藻共生体では、褐虫藻の方が高温に対する感受性が高く、高温による褐虫藻の光合成低下がサンゴ白化につながると考えられている。
なお、少なくとも高温下では宿主であるポリプが影響を受け、光合成機能や外部形態では正常な褐虫藻を排出してしまう現象がある。
高温と光は相乗的に作用して、変性褐虫藻を増加させたり、褐虫藻の光合成−光強度曲線を高温下で低強度側へ移行させたりすることが知られている。
海水の高温化は、サンゴ−褐虫藻共生体に悪影響を及ぼすことが明らかとなっており、この要因を排除することが、サンゴの安定的な育成にとって重要である。
浮体構造物あるいは浮桟橋に隣接する海の深層部より汲み上げられる新鮮な海水は、表層部の海水よりも養分に富むことに加え、水温が表層部よりも低いので、これをサンゴ養殖部に供給することにより養分の補給と同時に水温の調節が可能となる。
従って、前記(16)及び(18)に記載した本発明のサンゴ養殖方法によれば、このようにサンゴ養殖部に深層部よりの養分に富みかつ表層部より低い温度で比較的安定した温度の海水を供給することにより、サンゴ養殖部の海水温度をサンゴの高温感受性が高まる温度以下に保持しサンゴの白化を防止することが出来るので、より安定的なサンゴ育成がはかられる。
以下、本発明による浮体構造物を図示した実施例に基づいて具体的に説明する。
図1は、以下の実施例において本発明が適用される浮桟橋本体の断面構造を示したものである。図1において、1aは浮桟橋を構成する鋼殻本体(浮体)であり、その鋼殻本体1aは、鋼板1bをリブ1fで補強して構成されており、その外面に複数のジベル1e、鉄筋1dを配置したあとコンクリートを打設してコンクリート層1cを形成して浮体に構成されている。
コンクリートで構成された上記浮桟橋や防波堤などの沿岸構造物の表面には、サンゴや海草、貝類などがよく付着して繁殖することが知られている。特にサンゴは、水深が比較的浅く、太陽光がよく差込む海域が生育に適していることがわかっている。そこで本発明では、この条件に合った浮桟橋のコンクリート側壁等に、サンゴ養殖部を設けてサンゴを養殖する。
図2(a)〜(c)は、本発明において浮桟橋に移植するサンゴの移植・養殖手順の例を示したもので、親サンゴSから分割したサンゴを例えば図20(a)〜(c)に基づいて説明した方法で支持棒(アクリル製が好適)40に取付けて生育させ、こうして育った子サンゴs(a図)を、海中の被移植体43に開口した移植孔43fに支持棒40を介して移植(b図)する。そして子サンゴsを親サンゴSへ生育(c図)する。
以下の実施例では、図3(a)に示すように、浮桟橋1の側壁等に形成したコンクリート層1cに、移植孔43fを所定間隔に開口してサンゴ養殖棚8を形成し、この移植孔43fに支持棒40を介して子サンゴsを移植することによって、図3(b)に示すように、サンゴ養殖棚8上で子サンゴsから親サンゴSへ生育させ、サンゴ礁を創生させるものである。
以下、以上のようにして形成されたサンゴ養殖棚を備えた浮桟橋の実例について、添付図面を用いて具体的に説明する。
まず、図4、図5に示した実施例1による浮桟橋について説明する。
図4、図5に示すように、浮桟橋11は、係留装置7を介して岸壁に立設した係留杭9に係留されている。
図6、7は係留装置7の構造を示しており、これについて説明する。係留杭9側の浮桟橋11側面には、緩衝手段取付部材16、17が取り付けられおり、それら緩衝手段取付部材16、17には、係留杭9に当接される緩衝手段としてのダンパ手段10が設けられている。
ダンパ手段10は、その1つである図6のA部分を図7に示してあるように、緩衝材としてのゴム材20と係留杭9に当接されて浮桟橋11が変位するのをガイドするローラ19を有している。このダンパ手段10の設置によって、浮桟橋11が船舶の接舷や波浪によって変位して係留杭9と当たっても、浮桟橋11には衝撃が伝わるのが防止される。
図4,5に戻って、本実施例1では、この浮桟橋11のデッキ11a面の一部に階段12を取付け、その最下段に設けた下部床面11bに、海中へ貫通する中空孔11cを形成して、その周壁をコンクリート壁11dに構成している。
このコンクリート壁11dに所定間隔で複数の移植孔43fを開口したサンゴ養殖棚18を設け、また、中空孔11cの上方の下部床面11b側には、海中展望用水中窓(強化ガラスを使用)13を取り付けたものである。
そして別途支持棒40を介して生育された子サンゴs(図2参照)を、移植孔43fへ移植して養殖する。
以上の構成を有する実施例1の装置の作用について以下説明すると、コンクリート壁11dのサンゴ養殖棚18へ移植された子サンゴsは、緩衝手段としてのダンパ手段10の設置により、その生育の妨げとなる衝撃が生ずるのを防止された環境のもとでやがて親サンゴSへ生長してサンゴ礁を形成し、その周りには海草類が繁茂し、多くの魚群や貝類が生息するようになる。従って、この浮桟橋の利用者は、階段12を降り、海中展望用水中窓13を通じてサンゴ養殖棚18のサンゴ礁周りの景観を観賞して楽しむことができる。
上記のように、本実施例1のサンゴ養殖棚を備えた浮桟橋11では、デッキ面に階段12を取付け、その最下段に設けた下部床面11bに、海中へ貫通する中空孔11cを形成してその周壁をコンクリートで構成し、同コンクリート壁11dにサンゴ養殖棚18を設け、また中空孔11cの上方に海中展望用水中窓13を取付けたので、サンゴ養殖棚18に移植された子サンゴsが親サンゴSへ成長してサンゴ礁を形成するようになり、浮桟橋利用者は水中窓13を通じてサンゴ養殖棚周りの海中の景観を観賞して楽しむことができるようになり、これによって利用者が増加して港湾の活性化につながる上、サンゴ礁の出現に伴って海洋環境が浄化されるなどの効果がある。
次に、図8〜図9に示す実施例2について説明する。図8〜図9に示すように、浮桟橋21は、係留装置7(図4、6、7参照)を介して岸壁に立設した係留杭9に係留されている。本実施例2では、デッキ21a面に係留装置用架台7a側に向かって緩く傾斜面22を形成して、その先端の側壁をコンクリート壁21bで構成している。
このコンクリート壁21bに、所定間隔に複数の移植孔43fを開口したサンゴ養殖棚28を設け、また傾斜面22の先端と上記係留装置用架台7aとの間に、海中展望用水中窓23を取付けてある。
そして支持棒40を介して別途生育された子サンゴs(図2参照)を、移植孔43fへ移植して養殖する。
以上の構成を有する実施例2の装置の作用について説明すると、コンクリート壁21bに移植された子サンゴsは、ダンパ手段10の設置により、その生育の妨げとなる衝撃が伝わるのを防止された環境のもとで、やがて親サンゴSへ成長してサンゴ礁を形成し、その周りには海草類が繁茂し、多くの魚群や貝類が生息するようになる。そこでこの浮桟橋の利用者は、傾斜面22を降りて水中窓23を通じて、サンゴ養殖棚28のサンゴ礁周りの景観を観賞して楽しむことができる。
上記のように、本実施例2のサンゴ養殖棚28を備えた浮桟橋21では、デッキ21a面に係留装置7側に向かって緩く傾斜面22を形成して、その先端の側壁をコンクリート壁21bとして構成し、このコンクリート壁21bにサンゴ養殖棚28を設け、また傾斜面22と係留装置用架台7aとの間に、海中展望用水中窓23を取付けたので、サンゴ養殖棚28に移植された子サンゴsが、親サンゴSへ成長してサンゴ礁を形成するようになり、利用者は、傾斜面22を降りて海中展望用水中窓23を通じて、サンゴ養殖棚28のサンゴ礁周りの景観を観賞して楽しむことができるようになる。
その他の作用および効果は実施例1と同様であり、重複する説明を省略する。
次に、図10〜図11に示す本発明の実施例3について説明する。図10〜図11に示すように、浮桟橋31は、係留装置7(図4、6、7参照)を介して岸壁に立設した係留杭9に係留されているが、本実施例3では、デッキ31a面に海中まで貫通する中空孔31bを形成して、その周壁をコンクリート周壁31cとして構成する。
そのコンクリート周壁31cに、所定間隔に複数の移植孔43fを開口したサンゴ養殖棚38を設け、また中空孔31bの上方に海中展望用水中窓33を取付けたものてある。
そして支持棒40を介して別途生育された子サンゴs(図2参照)を、移植孔43fへ移植して養殖する。
以上の構成を有する実施例3の装置の作用について説明すると、コンクリート周壁31cに移植された子サンゴsは、ダンパ手段10の設置により、その生育の妨げとなる衝撃が伝わるのを防止された環境のもとでやがて親サンゴSへ成長してサンゴ礁を形成し、その周りには海草類が繁茂し、多くの魚群や貝類が生息するようになる。そこで浮桟橋利用者は、デッキ31a上の水中窓33を通じて、サンゴ養殖棚38のサンゴ礁周りの景観を観賞して楽しむことができるようになる。
上記のように、本実施例3のサンゴ養殖棚38を備えた浮桟橋31では、デッキ31aに海中まで貫通する中空孔31bを形成してその周壁をコンクリート周壁31cとして構成し、同コンクリート周壁31cにサンゴ養殖棚38を設け、また中空孔31bの上方に海中展望用水中窓33を取付けたので、サンゴ養殖棚38に移植された子サンゴsが親サンゴSへ成長してサンゴ礁を形成するようになり、利用者は、デッキ上の水中窓33を通じて、サンゴ養殖棚38のサンゴ礁周りの景観を観賞して楽しむことができる。
その他の作用および効果は、実施例1と同様であり、重複する説明を省略する。
次に、図12に示す本発明の実施例4について説明する。この実施例4は、図4に示した実施例1による浮桟橋11を変形したもので、浮桟橋11における係留杭9側のコンクリート製の側面に、前記したと同様のやり方でサンゴ養殖棚(図示を省略)を形成させ、そのサンゴ養殖棚のために緩衝手段を設置したものである。
その緩衝手段は金網や多孔板で構成された防護板26を有し、その防護板26は係留装置7を構成している緩衝手段取付部材16に上下方向にスライド可能に取付けられている。防護板26は、風波や波浪の状況などに応じて水面からの上下方向位置が調節されて浮桟橋11の係留杭9側の側面に形成されたサンゴ養殖棚に波浪や漂流物が当たって、そのサンゴ養殖棚に生育しているサンゴに対して衝撃が与えられるのを防止する作用を行う。
図12に示した緩衝手段としての防護板26は、上下方向にスライド可能に取付けられているが、図13に示す防護板27のように、緩衝手段取付部材16に対して水平軸まわりに回動可能に取付け、(a)図のように水平にされた通常状態から、風波や波浪の状態に応じて(b)図のように水平軸まわりに回動させてサンゴ養殖棚に生育しているサンゴに対して衝撃が与えられるのを防止する作用を行うようにしてもよい。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と同様であり、重複する説明を省略する。
次に、図14に示す本発明の実施例5について説明する。この実施例5は、図10、11に示した実施例3による浮桟橋31に変形を加えたもので、浮桟橋31に設けられた中空孔31bの底部を閉じることができるように障害物侵入防止手段としての保護板35を設置したものである。
保護板35は、金網や多孔板で形成されて浮桟橋31の底部に水平方向にスライド可能に設けられており、波浪や漂流物などの状況に応じて中空孔31b底部の閉鎖状態を変えてサンゴ養殖棚38に生育しているサンゴsに対して障害物が侵入して悪影響を与えるのを防止する作用を行う。
図14に示した障害物侵入防止手段としての保護板35は、水平方向にスライド可能に取付けられているが、図15に示す保護柵36のように、中空孔31bの底部の周りに円筒状に形成されて上下が開放された状態で設置した構造簡単なものとして、サンゴ養殖棚38に生育しているサンゴに対して障害物が侵入して悪影響を与え与えるのを防止する作用を行うようにしてもよい。
その他の構成、作用および効果は、実施例5と同様であり、重複する説明を省略する。
次に、図16に示す本発明の実施例6について説明する。この実施例6は、図4、5に示した実施例1による浮桟橋11において、サンゴ養殖棚18の設置場所に対する日光照射が不足しているため光照射制御手段を設置した構成としたものである。
図16(a)において、中空孔11cのコンクリート壁11dの一方に設置されたサンゴ養殖棚18に対して、日光照射のため浮桟橋11上に光ファイバー装置60を設置している。
光ファイバー装置60は、デッキ11a上に取付けた採光部62、コンクリート壁11dのサンゴ養殖棚18と対向する位置に取付けられた発光部62およびこの両者を接続する光ファイバー束61より成り、採光部62で採光された光を発光部63よりサンゴ養殖棚18へ向けて照射するようになっている。
この実施例6では、浮桟橋11上に光ファイバー装置60を備えているので、デッキ11aに開口した中空孔11cの周りのコンクリート壁11dに設けたサンゴ養殖棚18に対して、採光部62で太陽光を採り込み、その光を、光ファイバー束61を通じて発光部63よりサンゴ養殖棚18へ向かって照射できようになり、サンゴの生育環境が改善され、サンゴ養殖棚18に移植された子サンゴsの生育が一段と向上するようになる。
また、浮桟橋利用者は、海中展望用水中窓13を通じてサンゴ養殖棚18のサンゴの生育状況や周辺の海洋植物、魚群の遊泳等を観賞できるなどの効果がある。
以上説明した16図(a)の実施例6では、採光部62で太陽光を採り込み、その光を、光ファイバー束61を通じて導くように構成しているが、16図(b)に示すように、太陽光を採り込む採光部62に替えて、デッキ11a上にソーラー発電装置64を設置し、そのソーラー発電装置64の発電力を使ってサンゴ養殖棚18へ向かって光を照射するようにしてもよい。
16図(b)に示す装置では、デッキ11aの屋根14上に設置されたソーラーパネル65、コンクリート壁11dのサンゴ養殖棚18と対向する位置に取付けられた複数の電球66および送電線67より成り、発電された電力を電球66へ送り、サンゴ養殖棚18へ向かって光を照射するようになっている。
このように構成することによって、浮桟橋11上にソーラー発電装置64を備えているので、デッキ11aに開口した中空孔11cのコンクリート壁11dに設けたサンゴ養殖棚18に対して、ソーラーパネル65で発電された電力を、送電線67を通じて電球66へ送っていつでも発光させることができ、電球66のオン−オフが可能である。
従って、サンゴ養殖棚18へ向かって、サンゴの育成に最適なサイクルで光を照射できようになり、サンゴの生育環境が改善され、サンゴ養殖棚18に移植された子サンゴsの生育が一段と向上するという効果がある。
その他の作用・効果は、実施例1と同様であリ、重複する説明は省略する。
次に、図17に示す実施例7について説明する。この実施例7では、浮桟橋71の日当たりのよい南向きの側壁71bに支持枠74を突設し、コンクリート製のサンゴ養殖棚78をこの支持枠74を介して上向きに傾斜させて設置し、自然光(太陽)を充分に照射させるようにしたものである。
なお、サンゴ養殖棚78の上方には、デッキ71aから歩廊73を架けて手すり72を取付け、人が散策できるようになっている。
本実施例7では、サンゴ養殖棚78を、日当たりのよい南向きのデッキの側壁71bに、支持枠74を介して上向きに傾斜させて設置したので、年中、自然光が長時間照射するようになり、サンゴの生育環境が改善され、サンゴ養殖棚78に移植された子サンゴsの生育が一段と向上するという効果がある。
図18は実施例8に係るサンゴ養殖棚を示す斜視図で、図18(a)に示すように、浮桟橋81のデッキ81aの側壁にコンクリート製のサンゴ養殖棚88を設置すると共に、浮桟橋81のデッキ81aから海上へ向かって取付枠84を突設し、この取付枠84に、サンゴ養殖棚88と対向するように、浮桟橋81に設置した光ファイバー装置82の発光部83を取付け、採光された光を発光部83よりサンゴ養殖棚88へ向かって照射するようになっている。
なお、図18(a)では、サンゴ養殖棚88を少し上向きに傾斜をつけているが、垂直でもよい。また、サンゴ養殖棚88を設置するデッキ側壁の方向は南向きに限ることはなく、他の向きでもよい。
図18(a)の実施例では、デッキ81aの側壁にサンゴ養殖棚88を設置すると共に、光ファイバー装置82の発光部83を、サンゴ養殖棚88と対向するように取付けたので、サンゴ養殖棚88が設置されるデッキ側壁の向きおよび傾斜角に関わりなく、採光された光が発光部83より、サンゴ養殖棚88へ向かって照射されるようになり、サンゴの生育環境が改善され、サンゴ養殖棚88に移植された子サンゴsの生育が一段と向上するという効果がある。
図18の(b)は、実施例8の変形に係るサンゴ養殖棚を示しており、図示するように、この変形では、浮桟橋81のデッキ側壁に設けられたコンクリート製のサンゴ養殖棚88の上方に、デッキ81aから海上へ向かって取付枠86を突設し、この取付枠86に、サンゴ養殖棚88と対向するように、浮桟橋81の屋根に設置したソーラー発電装置(図示していない)と接続する複数の電球89を設置し、ソーラーパネルで発電された電力を電球89へ送り、サンゴ養殖棚88へ向かって光を照射するようになっている。
なお、サンゴ養殖棚88の取付け角度および設置されるデッキ側壁の向きは、特に限定されない。
図18の(b)の本実施例では、デッキ側壁にサンゴ養殖棚88を設置すると共に、サンゴ養殖棚88と対向するように、ソーラー発電装置と接続する複数の電球89を取付けたので、サンゴ養殖棚88が設置されるデッキ側壁の向きおよび傾斜角に関わりなく、発電された電力を電球89へ送り、いつでも電球89を発光させることができ、電球89のオン−オフが可能である。従って、サンゴの育成に最適なサイクルで、サンゴ養殖棚88へ向かって光を照射することができるようになり、サンゴの生育環境が改善され、サンゴ養殖棚88に移植された子サンゴsの生育が一段と向上するという効果がある。
以上、本発明による浮桟橋を図示した実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した本発明の範囲内において種々の変更、変形を加えてよいことはいうまでもない。
例えば、前記した実施例においては、浮桟橋に対して本発明を適用した例を説明したが、本発明は浮桟橋以外の浮体構造物に対して適用してよい。
また、前記した実施例においては、コンクリートで構成された周壁に複数のサンゴ移植孔43fを所定間隔に開口させ、支持棒40に取付けられた子サンゴをそのサンゴ移植孔43fに取り付けて構成したサンゴ養殖棚によってサンゴ養殖部を構成しているが、本発明による浮体構造物ではこれ以外適宜の手段で構成したサンゴ養殖部を採用することができる。
また、前記した実施例においては緩衝手段として、ローラ19とゴム材20で構成したダンパ手段10を採用しているが、本発明による浮体構造物で用いる緩衝手段としてはこれに限らず、浮体構造物に対する衝撃を緩和するものであれば、種々のものを採用してよい。
更にまた、前記した実施例においては、緩衝手段、障害物侵入防止手段、光照射制御手段などいくつか組合せて採用したものを示したが、例示した組合せ以外、適宜のものを2つ以上組み合わせて採用してよい。また、浮体構造物のデッキを貫通して設ける中空孔も、図示した構造のものに限らず、種々の形状、構成の孔であってよく、また、その設置場所も例示した実施例に限らない。
また、前記した図16(a)及び図18(a)に示した実施例においては、太陽光が照射する間常時サンゴへ光が照射されるが、光ファイバの伝送路を開閉する手段(例えば、図16(a)における採光部62を開閉する蓋部材など)を設けることによって、適宜サンゴへの光の照射サイクルを調整することも勿論可能である。
さらに、上述した浮体構造物を利用したサンゴを養殖する方法を以下に説明する。
サンゴの親株から骨格を含み切断し、その切断面に定置手段として支持体を固着した子株を上述した浮体構造物に設けられたサンゴ養殖部に移設する。この移設方法については、例えば、図20に示した従来の手順と同様である。そして、深層部よりの海水をサンゴ養殖部へ供給する。深層部より海水を汲み上げる手段(図示せず)は、従来から知られるポンプ手段を使用することができる。なお、深層部より汲み上げられた海水は、表層部の海水よりも温度が低いので、サンゴ養殖棚の上側付近(例えば図5においては水中窓13へより近い部分)へ供給するようにするのが好ましい。また、汲み上げた海水をサンゴ養殖棚付近の領域で拡散させ、新鮮な深層水が万遍なく全てのサンゴへ行き渡るようにすることが好ましい。なお、サンゴは高温ストレスによる褐虫藻の損傷を引き起こすが、このような現象が起きる温度はサンゴの種類によって様々であるので、サンゴの種類によって最適な温度になるようサンゴ養殖棚付近の海水温度を適宜調整し、これを保持することが好ましい。
本発明の適用例としての浮桟橋における浮体構造を例示する断面図。 本発明の浮体構造物に設けられるサンゴ養殖部を形成するための養殖サンゴの移植手順例を(a)、(b)、(c)の順に示した説明図。 本発明に係る浮体構造物に設けたサンゴ養殖部におけるサンゴ礁の創生状況を(a)、(b)の順に示した説明図。 本発明の実施例1に係る浮桟橋におけるサンゴ養殖棚の設置状態を部分的に示した斜視図。 実施例1に係る浮桟橋におけるサンゴ養殖棚の設置状態を詳細に示した断面図。 本発明の実施例1に係る浮桟橋における係留装置の構造を示す平面図。 図6のA部に取付けられたダンパ手段の構成を示した斜視図。 本発明の実施例2に係る浮桟橋におけるサンゴ養殖棚の設置位置を部分的に示す斜視図。 実施例2に係る浮桟橋におけるサンゴ養殖棚の設置状態を詳細に示した断面図。 本発明の実施例3に係る浮桟橋におけるサンゴ養殖棚の設置位置を部分的に示した斜視図。 実施例3に係る浮桟橋におけるサンゴ養殖棚の設置状態を詳細に示した断面図。 本発明の実施例4に係る浮桟橋におけるサンゴ養殖棚と防護板の設置状態を示した斜視図。 本発明の実施例4に係る浮桟橋における防護板の他の例を部分的に示した斜視図で、(a)、(b)はそれぞれ、水平状態、傾斜状態での防護板を示している。 本発明の実施例5に係る浮桟橋における防護板の設置状態を部分的に示す断面図。 本発明の実施例5に係る浮桟橋における防護板の他の例の設置状態を部分的に示す断面図。 本発明の実施例6に係る浮桟橋を部分的に示した断面図で、(a)は光ファイバー装置を用いたもの、(b)はソーラー発電装置を用いたものを示している。 本発明の実施例7に係る浮桟橋を部分的に示した図面で、(a)は斜視図、(b)は側面図。 本発明の実施例8に係る浮桟橋を部分的に示した側面図で、(a)は光ファイバー装置を用いたもの、(b)はソーラー発電装置を用いたものを示している。 港湾の岸壁に係留された従来の浮桟橋の一例を示した斜視図。 従来のサンゴ養殖方法における手順例を(a)、(b)、(c)、(d)の順に示した説明図。 従来のサンゴ養殖方法の他の例を示す説明図。
符号の説明
1 浮桟橋
1a 鋼殻本体
1b 鋼板
1c コンクリート層
1d 鉄筋
1e ジベル
1f 鋼板リブ
2 連絡橋
3 屋根
4 デッキ
5 船舶
7 係留装置
7a 係留装置用架台
8 サンゴ養殖棚
9 係留杭
10 ダンパ手段
11 浮桟橋
11a デッキ
11b 下部床面
11c 中空孔
11d コンクリート壁
12 階段
13 海中展望用水中窓
14 屋根
15 手すり
16 緩衝手段取付部材
17 緩衝手段取付部材
18 サンゴ養殖棚
19 ローラ
20 ゴム材
21 浮桟橋
21a デッキ
21b コンクリート壁
22 傾斜面
23 海中展望用水中窓
24 歩道
25 手すり
26 防護板
27 防護板
28 サンゴ養殖棚
31 浮桟橋
31a デッキ
31b 中空孔
31c コンクリート周壁
33 海中展望用水中窓
34 手すり
35 保護板
36 保護柵
38 サンゴ養殖棚
40 支持棒
41 ケーシング
42 保持材
43 被移植体
43f 移植孔
51 柱状浮体
52 枠
53 サンゴ養生棚
55 サンゴ養殖装置
60 光ファイバー装置
61 光ファイバー束
62 採光部
63 発光部
64 ソーラー発電装置
65 ソーラーパネル
66 電球
67 送電線
71 浮桟橋
71a デッキ
71b 側壁
72 手すり
73 歩廊
74 支持枠
78 サンゴ養生棚
81 浮桟橋
81a デッキ
82 光ファイバー装置
83 発光部
84 取付枠
86 取付枠
88 サンゴ養殖棚
89 電球
g 岸壁
S 親サンゴ
s 子サンゴ

Claims (18)

  1. 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキ面の一部に階段を設け、その最下段から海中へ貫通する中空孔を形成し、その孔の周壁を前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、前記サンゴ養殖部に配置されるサンゴに加わる衝撃を緩和する緩衝手段を備えたことを特徴とするサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  2. 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキを海中まで貫通する中空孔を形成し、その周壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、前記サンゴ養殖部に配置されるサンゴに加わる衝撃を緩和する緩衝手段を備えたことを特徴とするサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  3. 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキ面に、係留装置に向かって緩く傾斜面を形成して、その先端の側壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、前記サンゴ養殖部に配置されるサンゴに加わる衝撃を緩和する緩衝手段を備えたことを特徴とするサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  4. 係留装置をさらに備え、前記緩衝手段は、前記係留装置に組み込まれたダンパ手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  5. 前記緩衝手段は、前記サンゴ養殖部を略包囲する多孔板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  6. 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキ面の一部に階段を設け、その最下段から海中へ貫通する孔を形成し、その孔の周壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、同サンゴ養殖部への障害物侵入防止手段を設けてあることを特徴とするサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  7. 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキを海中まで貫通する中空孔を形成し、その周壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、同サンゴ養殖部への障害物侵入防止手段を設けてあることを特徴とするサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  8. 海水と接する壁の少なくとも一部にサンゴ養殖部を設けた浮体構造物であって、同浮体構造物のデッキ面に、係留装置に向かって緩く傾斜面を形成して、その先端の側壁を、前記サンゴ養殖部を設けた前記壁とするとともに、同サンゴ養殖部への障害物侵入防止手段を設けてあることを特徴とするサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  9. 前記孔の床面側の端部に、海中展望用水中窓を取り付けたことを特徴とする請求項またはに記載のサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  10. 前記傾斜面の先端と前記係留装置の架台との間に、海中展望用水中窓を取り付けたことを特徴とする請求項に記載のサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  11. 前記サンゴ養殖部を設ける前記壁をコンクリートで構成したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  12. 前記サンゴ養殖部に対する光照射制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載のサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  13. 請求項1〜12の少なくとも2つを組み合わせた構成を有することを特徴とするサンゴ養殖部を備えた浮体構造物。
  14. 前記浮体構造物が、岸壁に近接して係留され連絡橋を介して岸壁との間を連絡して構成されるとともに、船舶が接舷可能なデッキを備えた浮桟橋であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載のサンゴ養殖部を備えた浮桟橋。
  15. 請求項1〜13のいずれか1つに記載された浮体構造物を利用するサンゴ養殖方法。
  16. 請求項1〜13のいずれか1つに記載された浮体構造物を利用するサンゴ養殖方法であって、サンゴの親株から骨格を含み切断され、その切断面に定置手段として支持体を固着した子株を前記浮体構造物に設けられたサンゴ養殖部に移設し、深層部よりの海水を供給し、サンゴの種類に応じて、サンゴ養殖部の海水温度を高温ストレスによる褐虫藻の損傷を引き起こす所定の温度以下に保持することを特徴とするサンゴ養殖方法。
  17. 請求項14に記載された浮桟橋を利用するサンゴ養殖方法。
  18. 請求項17に記載された浮桟橋を利用するサンゴ養殖方法であって、サンゴの親株から骨格を含み切断され、その切断面に定置手段として支持体を固着した子株を前記浮桟橋に設けられたサンゴ養殖部に移設し、深層部よりの海水を供給し、サンゴの種類に応じて、サンゴ養殖部の海水温度を高温ストレスによる褐虫藻の損傷を引き起こす所定の温度以下に保持することを特徴とするサンゴ養殖方法。
JP2004063439A 2004-03-08 2004-03-08 サンゴ養殖部を備えた浮体構造物及びサンゴ養殖方法 Expired - Fee Related JP3939703B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004063439A JP3939703B2 (ja) 2004-03-08 2004-03-08 サンゴ養殖部を備えた浮体構造物及びサンゴ養殖方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004063439A JP3939703B2 (ja) 2004-03-08 2004-03-08 サンゴ養殖部を備えた浮体構造物及びサンゴ養殖方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005245374A JP2005245374A (ja) 2005-09-15
JP3939703B2 true JP3939703B2 (ja) 2007-07-04

Family

ID=35026466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004063439A Expired - Fee Related JP3939703B2 (ja) 2004-03-08 2004-03-08 サンゴ養殖部を備えた浮体構造物及びサンゴ養殖方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3939703B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4652206B2 (ja) * 2005-10-20 2011-03-16 三菱重工鉄構エンジニアリング株式会社 珊瑚育成用構造物
JP4942422B2 (ja) * 2006-08-18 2012-05-30 三菱重工鉄構エンジニアリング株式会社 サンゴ育成用構造物
JP5191432B2 (ja) * 2009-04-09 2013-05-08 株式会社西日本流体技研 浮桟橋の揺動軽減装置およびこれを用いた浮桟橋、並びに揺動軽減方法
CN103895829B (zh) * 2014-04-02 2016-03-23 南京工业大学 一种连续浮筒复合材料浮式结构体系

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005245374A (ja) 2005-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4217232B2 (ja) 沈水植物用人工浮島を用いた沈水植物群の形成方法
JP2008271989A (ja) 沈水植物用人工浮島を用いた沈水植物群の形成方法
KR200396100Y1 (ko) 하우스형 인공어초
KR101874483B1 (ko) 문어 및 해삼 증식 다기능 블럭
JP2004506401A5 (ja)
JP2015165796A (ja) 浮魚礁
JP4787868B2 (ja) テラス構造付き護岸構造体
CN107912348A (zh) 一种固定浮球式浮鱼礁
JP3939703B2 (ja) サンゴ養殖部を備えた浮体構造物及びサンゴ養殖方法
KR102144053B1 (ko) 구조안정성이 개선되고 서식 및 은신 공간이 증가된 다기능 삼각형 인공어초
KR101489428B1 (ko) 전복 가두리 양식장
CN108157235A (zh) 一种适于曼氏无针乌贼的原位受精卵增殖放流方法
KR100734466B1 (ko) 해중림 조성용 하우스형 인공어초
KR101711348B1 (ko) 다목적 인공어초
CN102487899A (zh) 适于高沉积水体环境的造礁石珊瑚野外培植方法及其装置
JP3796224B2 (ja) 養殖施設
JP4606515B1 (ja) 陸地造成方法
KR200392536Y1 (ko) 해중림 조성용 하우스형 인공어초
CN107751071A (zh) 一种圆台型滩涂构建礁及其建设方法
EP0901987B1 (en) Method for improving water quality of lake or the like and water quality improving shading means used therefor
KR100464669B1 (ko) 피라미드식 강제어초
KR20140056687A (ko) 해삼 양식용 인공어초
KR20030086482A (ko) 다기능성 어초
CN1454462A (zh) 一种城市堤岸生态恢复方法及其装置
KR200230478Y1 (ko) 전복양식집침강틀구조

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050830

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20060809

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20060822

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3939703

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100406

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100406

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100406

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110406

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130406

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140406

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees