JP3939343B2 - カラム用液体分配装置 - Google Patents

Description

本発明は請求項１の前提部分に開示するカラム用液体分配装置（Fluessigkeitsverteiler fuer Kolonnen）に関する。この種の液体分配装置は物質交換カラム及び熱交換カラム、または触媒固定ベッド・リアクタ（katalytische Festbettreaktoren）等に使用される。
この液体分配装置の例はドイツ特許第２７５２３９１号に開示されている。この液体分配装置は上部が開放された複数のＵ字形通路からなる。複数のＵ字形通路は互いに平行に配置されており、かつ折返しリムの上端にＶ字スリットからなる液体流出開口をそれぞれ有する。連続する案内壁は液体流出開口の正面において同液体流出開口に隣接して配置されている。液体分配装置を低負荷領域で使用すべくワイヤ・メッシュを案内壁及び通路リム間の間隙内に配置している。液体は毛細管現象によりワイヤ・メッシュを通じて間隙全体に分配される。この装置は実質的にオーバー・フロー・システムであるため、傾斜に対して非常に敏感である。このため、同装置を傾斜した状態で使用する場合、所定量の液体を各流出開口を通じて放出することは実質的に不可能である。
別の従来の液体分配装置（例：スイス特許第６５８１９８号＝Ｐ．５７７９に開示されている液体分配装置）では、液体流出開口は孔の形態をなす。液体を孔から流出させる圧力は液体の落差（落差は少なくとも約２５ｍｍ）によって形成される。この場合、１つの孔から流出する液体流出量を予め容易に選択できる。しかし、低負荷領域で使用するのに十分な数量の滴下ポイントを単位面積内に形成できないため、これらの装置を低負荷領域で使用できない。
低負荷分配装置の要件としては、カラム・パッキングのカラム横断面全体に１時間当たり少なくとも２５リットル／平方メートルの量の液体を均一に分配可能とする点が挙げられる。“均一”という表現はパッキング構造の細かさに基づいてカラム１平方メートル当たりに少なくとも８０〜２００個の滴下ポイントを形成し、液体を同滴下ポイントを通じて供給することを意味する。
分配する液体中の土、埃等の粒子により孔が閉塞される危険等があるため、孔の直径を所定の最小値より小さくしてはならない。製造技術の問題及び流出フローの状態に基づき、孔の直径の下限は約１．５ｍｍである。これは２５ｍｍの落差において、約３リットル／時間の流出量の形成を意味する。これは少なくとも２００滴下ポイント／平方メートル及び１時間当たり２５リットル／平方メートル（即ち、１滴下ポイント当たり０．１２５リットル／時間）といった極端な流出量を必要とするケースにおいて、各液体流出開口に対して少なくとも２４個の滴下ポイントを形成する必要を意味する。
本発明の目的は前記の極端なケースにおいて均一な分配を可能にする低負荷分配装置を提供することにある。本発明の目的は請求項１の特徴部分によって達成される。
ドイツ特許第２７５２３９１号が開示する毛細管現象により精密分配を行い得る。しかし、同ドイツ特許第２７５２３９１号とは異なり、本発明の液体分配装置では、水平の閉鎖曲線に沿って延びる分配及び流出領域において液体の分配を行っている。曲線が閉鎖されているため、均一な分配からの逸脱を招来するエッジ効果は生じない。
液体の落差を必要とすることなく精密分配器内において効果的な分配を実現し得る。この特徴により、精密分配器は少なくとも１つの負荷等級を有する広範な負荷領域において機能する。
案内壁の下端は分配及び流出領域の曲線に沿って延びていることが好ましい。更に、複数の滴下ポイントが案内壁の下端に連続的に形成されている。これにより、滴下ポイントの数量に関する要件が満たされる。下端に切欠きを形成可能であり、滴下ポイントは各切欠き上に位置する。このため、切欠きの数量を選択することにより、滴下ポイントの数量を予め選択し得る。
従属請求項２乃至１４は本発明に基づく効果的な実施の形態に関連する。請求項１５の目的は本発明に基づく液体分配装置を有するカラムを提供することにある。
本発明を図面に関連して以下に詳述する。
図１は本発明に基づく分配装置の部分平面図である。
図２は精密分配器の斜視図である。
図３は図２に示す精密分配器の縦断面図である。
図４は本発明の第２の例に基づく液体分配装置の一部を破断して示す部分斜視図である。
図５は開口を有する精密分配器の板状エレメントの斜視図である。
図６は分配装置の通路底部の縦断面図である。
図７は特別な形状を有する複数の精密分配器を示す部分平面図である。
図８は図７の別例を示す図である。
図９は壁に絞り開口（Dosieroeffnungen）を有する分配通路の縦断面である。
図１は本発明の実施の形態に基づく液体分配装置１の第１の例を示す。液体分配装置１は主通路１０及び副通路１１からなる。副通路１１は主通路１０の真下に配置され、かつ精密分配器３を有する。液体は主通路１０から副通路１１へ絞り開口１１０を通じて流動する。更に、副通路１１は連通部材２を通じて精密分配器３に連通されている。連通部材２は請求項１に開示する液体流出開口、即ち絞り開口を有する。
図２は精密分配器３の第１の例を示す。精密分配器３は絞り開口１２を有する管状連通部材２及び板状エレメント４を有する。板状エレメント４は同板状エレメント４の周縁４０及び案内壁５の間に分配及び流出領域４５を形成する複数の毛細管開口からなる連通チェーンを介して案内壁５に接続されている。この例において、連通チェーンは円形（または楕円形）をなす。案内壁５は格子状に配置された凸部及び凹部を表面にエンボス加工したフォイル材（folienartigen Material）からなる（表面構造５０を分配及び流出領域４５の片側にのみ形成したとしても、同表面構造５０は液体の分配に十分な効果を示す）。分配される液体が流動する少なくとも１つの通路開口２３が連通部材２及び板状エレメント４の間に形成されている。
図３は副通路１１に対して取付けられた図２の精密分配器の縦断面図であり、液体６の流れを示している。液体６は流出開口１２を通じて管２の内部へ流入し（矢印６０）、さらには管２の内壁に沿って通路開口２３まで流動する（矢印６０’）。その後、液体６は板状エレメント４上を膜流または細流となって分配及び流出領域４５まで流動する（６１，６１’）。分配及び流出領域４５において、液体は毛細管現象により領域４５の周縁全体にわたって分配され、かつ液体からなるリング６２を形成する。
勿論、管２は複数の流出開口を有し得る。図３は流出開口１２より高い位置に形成された第２の流出開口１２’を示す。液面が上昇した際（上昇した液面を破線６’で示す）、流出開口１２より高い位置に形成された流出開口１２’を通じて液体が流出することにより液体の流出量が増大する。
毛細管現象により、板状エレメント４表面における液体の均一な水平移動が実現される。従って、板状エレメント４の表面を水平方向に正確に配置する必要はない。しかし、可能な限り均一な液体６２の分配を実現すべく板状エレメント４を水平に近づける必要がある。液体が流動する板状エレメント４の表面を容易に濡らし得る場合、これは効果的である。
分配及び流出領域４５の真下に位置する表面構造５０により、液体は案内壁５上に均等に分配される。線６３は案内壁５上における液体の流れを示す。液体境界６４は案内壁５の下端５１に形成されている。各液滴６５は下端５１から連続的に離間して落下する。
案内壁５の表面構造５０を通じて効果的な分配を実現すべく、凸部の先端及び凹部の基底の間の高さの違いは０．０５〜１．５ｍｍ、好ましくは０．３〜０．６ｍｍの範囲に属することを要する。表面構造５０のエンボス加工の方法はスイス特許第６６４０９１号（＝Ｐ．５９２８）に開示されている。
図４に示す精密分配器３の第２の例において、案内壁５は滑らかな表面を有するフォイル材から形成されている。分配及び流出領域４５は板状エレメント４の周縁４０に形成された表面構造によって実現される。本例において、同表面構造は複数の歯状凸部４１と、同歯状凸部４１間に形成された複数の凹部４２と、水平通路４３とからなる。
図４の例は案内壁５の下端に複数の切欠き５２を設け得ることを示す。不連続な滴下ポイントは切欠き５２によって形成されており、同切欠き５２は外側及び内側の少なくともいずれか一方へ曲げ得る。
本発明の図示しない別例において、案内壁５は横方向への液体の分配に効果的な複数の孔を有し得る。案内壁５はワイヤ・メッシュから形成するか、または不透過性フォイル及び内側ワイヤ・メッシュの２層から形成し得る。
図５に示すように、本発明の液体分配装置を有する物質交換カラム内を上方へ流動する気相に作用する流体抵抗を低減すべく開口４６を有する板状エレメント４を使用し得る。開口４６を通じた液体の流出は折り返しエッジ４７により防止可能である。
図５に示すように、連通部材２に代えて帯板２’を使用し得る。帯板２’は精密分配器３の取付け手段として機能するとともに、液体（矢印６０’）の流動面としても機能する。図６に示すように、分配通路１１の流出開口１２は連通部材２’から所定距離離間した位置に形成可能であり、自由流（矢印６０）は同距離を橋渡しする。液体の一部は開口１３を通じて連通部材２’の他方の側面上へ流動し得る。液体は自由流として流出開口１２から板状エレメント４上へ直接案内できる。
図７及び図８は４つの精密分配器の配置を示す部分平面図である。４つの精密分配器は円形とは大きく異なる形状を有する。板状エレメント４は角の無い外形線を有する。外形線の曲率半径は約５ｍｍより大きいことが好ましい。更に、外形線は凸領域及び凹領域を有する。図７において、精密分配器の開口４６’（図５参照）を一点鎖線で示す。
図７及び図８に示す精密分配器は案内壁上に形成された複数の滴下ポイントがカラム横断面全体にわたって広く均一に分布するようにカラム内に配置されている。
図９は絞り開口１２を自身の壁内に有する分配通路１１の縦断面図である。分配する液体は曲がった管状連通部材２内へ開口１２を通じて流入する。管状連通部材２は精密分配器の板状エレメント（図示略）を分配通路１１に連通している。絞り開口１２を分配通路１１の底部に形成可能である。

Claims (13)

1. 液体流出開口（１２）と、同液体流出開口（１２）に付随し、かつ案内壁（５）を含む精密分配器（３）とを有するカラム用液体分配装置（１）において、各精密分配器（３）は案内壁（５）に連通する板状エレメント（４）を有し、前記案内壁（５）に対する板状エレメント（４）の連通は同板状エレメント（４）の周縁（４０）及び案内壁（５）の間に分配及び流出領域（４５）を形成する複数の連設された毛細管開口を通じて行い、前記毛細管開口は水平面内に位置する閉鎖曲線に沿って連設され、各流出開口（１２）は所定量の液体を対応する精密分配器（３）内へ供給可能にする絞り開口であり、前記案内壁（５）は箔状材からなり、前記箔状材は少なくとも前記分配及び流出領域（４５）側の面に格子状に配置された凹部及び凸部を含む表面構造（５０）を有する液体分配装置。
2. 前記箔状材の表面はエンボス加工により成形されている請求項１に記載の液体分配装置。
3. 前記板状エレメント（４）の周縁（４０）は前記分配及び流出領域（４５）に凹部及び凸部（４１，４２，４３）を有する請求項１または２に記載の液体分配装置。
4. 前記隆起部、即ち凸部の先端及び凹部、即ち通路の基底の間の高さの違いは０．０５〜１．５ｍｍの範囲に属する請求項１乃至３のいずか一項に記載の液体分配装置。
5. 前記板状エレメント（４）は容易に濡れ得る液体案内面を有する請求項１乃至４のいずれか一項に記載の液体分配装置。
6. 第１の絞り開口（１２）に隣接して少なくとも１つの第２の絞り開口（１２’）が各精密分配器に付随しており、前記第２の絞り開口（１２’）は第１の絞り開口（１２）とは異なる高さに形成されている請求項１乃至５のいずれか一項に記載の液体分配装置。
7. 前記板状エレメント（４）は円形または楕円形をなす請求項１乃至６のいずれか一項に記載の液体分配装置。
8. 前記各板状エレメント（４）は角の無い外形線を有し、同外形線の曲率半径は５ｍｍより大きい請求項１乃至６のいずれか一項に記載の液体分配装置。
9. 前記板状エレメント（４）の外形線は凸領域及び凹領域を有する請求項８に記載の液体分配装置。
10. 前記各板状エレメント（４）は折り返しエッジ（４７）を備えた少なくとも１つの開口（４６）を有する請求項１乃至９のいずれか一項に記載の液体分配装置。
11. 前記板状エレメント（４）は連通部材（２）を通じて分配通路（１１）に連通されており、前記絞り開口（１２）は分配通路（１１）の壁または底部に形成され、分配される液体が前記連通部材（２）を通じて板状エレメント（４）まで案内され得るように前記絞り開口（１２）は連通部材（２）に対して位置決めされる請求項１乃至１０のいずれか一項に記載の液体分配装置。
12. 前記各板状エレメント（４）は管状連通部材（２）を通じて分配通路（１１）に連通されており、前記絞り開口（１２）は前記管状連通部材（２）の壁に形成された少なくとも１つの孔（１２，１２’）である請求項１乃至１０のいずれか一項に記載の液体分配装置。
13. 請求項１乃至１２のいずれか一項に記載の液体分配装置を有するカラムであって、前記精密分配器（３）は案内壁（５）上に形成された複数の滴下ポイントをカラム横断面全体にわたって広く均一に分布させるように同精密分配器（３）の形状に基づいて配置されているカラム。

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