JP3939340B2 - プレート式熱交換器中での水素添加法 - Google Patents

プレート式熱交換器中での水素添加法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明はプレート式熱交換器中での脂肪物質の水素添加法に関する。詳細には、本発明は好都合なトランス−異性体/シス−異性体比を維持し且つ/または非常に低いヨウ素価に水素添加しながら、脂肪酸、脂肪酸エステルなどの不飽和脂肪物質を軽く水素添加するための方法に関する。
背景技術
脂肪物質の水素添加は周知であり、パルマソンの米国特許第3,073,380号明細書、ケーセの米国特許第3,634,471号明細書、ミナーの米国特許第3,809,708号明細書、グレイ等の米国特許第4,584,139号明細書、およびリバーズの米国特許第4,871,485号明細書、日本特許出願第02/261,897号およびソ連出願第1,42,505号明細書に記載されている。水素添加にプレート/フレーム式熱交換器を使用することは米国特許第3,809,708号明細書に開示されている。前記特許および特許出願のすべてはここに参考文献として編入される。
発明の開示
本発明は、「プレート式」熱交換器と一般に称する型の熱交換器、好ましくは高圧、例えば、約150psig以上の高圧に耐えることができる容器を与えるために中実外殻構造を有するもの、例えば、溶接されたもの(容器は普通の流量下で高剪断混合を与えるための内部形状を有する)の中で不飽和脂肪酸および/またはそれらのエステルを水素添加するための方法であって、プロセスを約150psig以上、好ましくは約150〜約500psig、より好ましくは約300〜約400psigの圧力下で行い、高剪断混合と高圧との組み合わせがプロセスで使用する水素の本質上完全な反応を行うのに十分であり、それゆえ水素の使用量が水素添加度を決定し且つ「タッチ(touch)硬化」の間温度を下げてトランス−異性体の生成を回避することができることを特徴とする不飽和脂肪酸および/またはそれらのエステルの水素添加法に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、プレート式熱交換器が与える優れた温度制御の利点を維持しながら、脂肪物質(ここでは、「脂肪反応体」および/または「供給原料」とも称する)の水素添加で使用する圧力および/または剪断を増大することによって、現存の技術の方法を改良する。米国特許第3,809,708号明細書で使用される型の普通の熱交換器は、圧力を維持するために圧縮および一連のシールに頼るので、最適の使用には好適ではない。好ましくは、熱交換器は、中実外殻を有するもの、例えば、フランスのロウベシエンのパッキノックスによって商品名パッキノックス(Packinox)で販売されているもの、カルベート・ビカーブ・インコーポレーテッドによって商品名コンパブロック(Compabloc)で販売されているものなどのもの(前記熱交換器は表面積対容積の比率(S/V)少なくとも約75、好ましくは約75〜約300、より好ましくは約150〜約300を有するように修正されている)である。熱交換器は、約150〜約500psig、好ましくは約300〜約500psig、より好ましくは約300〜約400psigの圧力下で連続的に且つ安全に操作する能力を有しているべきである。より高圧の水素は、特に低温の条件下で脂肪反応体に溶解する水素の量を最大限にするために好ましい。
プレート式熱交換器(水素添加反応器)は、溶存ガスを使い切った時に水素ガスの導入を可能にするために複数の箇所において水素ガス用入口を有していてもよい。このことは、水素ガスが気体として存在し且つ熱伝達を妨害するであろう初期段階に過剰のガスの存在を必要としないで反応を続けさせる。このことは、供給原料を完全に水素添加することに興味がある時に望ましい。熱交換器は、主として熱が反応によって生ずる時に除熱するために使用され、それによって最小限の望ましくない副生物しか生成されず且つ/または最小のシス−異性体からトランス−異性体への転化しか生じない条件を維持する。異性体転化は高温および遅い反応によって増大する。
熱交換器は、反応が生ずる時に反応熱を除去して温度を約120〜約240℃、好ましくは約120〜約180℃、より好ましくは約120〜約150℃の範囲内に維持する能力を有しているべきである。この温度範囲は、不飽和脂肪酸のトランス−異性体の生成を最小限にしながら、脂肪反応体のヨウ素価(IV)をわずかに減少させるのに最適である。IVが非常に低い水準に低下する時には不飽和はほどんどなく、それゆえ異性体に関して心配することはすくなくてすむことが認識される。
熱交換器は、操作中流路長さの単位当たりの圧力降下に直接関連する高剪断応力を与えるべきである。好ましくは、単位長さ当たりの圧力降下は約0.2〜約2.0psig/フィート、より好ましくは約0.5〜約1psig/フィートである。
高圧と高剪断および/または低温との組み合わせは、ほとんど完全または完全に水素添加される物質の場合にさえ高い生産速度および/または優秀な色、熱安定性および/またはにおいを有する水素添加脂肪物質を与えることを可能にする温和な条件下で、例えば時間と温度との組み合わせにおいて迅速な水素添加を与える。
ここで好ましい反応器は、中実外殻、プレートのバイパスを最小限にする内部構造物、反応時の内圧約150〜約500psig、好ましくは約300〜約500psigを維持する能力、内面対内部容積の比率(S/V)約75〜約300、好ましくは約150〜約300、より好ましくは約200〜約300を有するものであり且つ水素および/または後述のような脂肪反応体との接触時に脆くなることに対して抵抗性である材料から作られる。
脂肪反応体
脂肪反応体は不飽和を含有するいずれの脂肪酸も含む。典型的には、脂肪酸は約8〜約26個の炭素原子、好ましくは約14〜約22個の炭素原子、より好ましくは約16〜約18個の炭素原子を有する。脂肪酸反応体には、前記脂肪酸のエステル、例えば、それらのメチルエステルおよびエチルエステルおよびモノ−、ジ−およびトリ−グリセリド、および炭素数約8〜約24、好ましくは約14〜約22の一価アルコールも含まれる。最も好ましい脂肪反応体は、メチルエステルである。
水素添加できる脂肪酸としては、大豆、パーム油、エルカ酸、カノラ(canola)、ココナツ、パーム油ステアリン、タロ−などが挙げられる。対応メチルエステルも、望ましい反応体である。
追加の脂肪反応体としては、対応エチルエステルおよび対応モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドが挙げられる。
出発脂肪物質のIVは、一般的には少なくとも約5、好ましくは少なくとも約30、一般的には約30〜約150、好ましくは約30〜約120である。IVは、一般的には、「タッチ硬化」の場合には約2〜約15、好ましくは約5〜約10だけ減少し且つ完全な硬化の場合には約2以下、好ましくは約1以下に減少する。脂肪物質をタッチ硬化する時には、トランス−異性体は、好ましくは約15%未満、より好ましくは約5%未満だけ増加する。
水素
反応で使用する水素ガスは反応を妨害するであろういかなる汚染物も含むべきではない。詳細には、水素は水分を含むべきではない。分離を最小限にし且つ安全性を最大限にするために、できるだけ少ない水素ガスを使用することが望ましい。本発明の反応が非常に効率的であるので、所望水準の水素添加以上に過剰の水素は、一般的には約25%以下、好ましくは約10%以下、より好ましくは約5%以下である。
触媒
通常の水素添加触媒のいずれも使用できる。触媒は微粉砕形(好ましくは粒径約0.5〜約20μ、好ましくは約1〜約10μ、より好ましくは約4〜約5μを有する)で使用でき且つ一般的には使用される。小さい触媒サイズが好ましい。その理由は、触媒が脂肪反応体に懸濁され且つより小さいサイズがより安定に懸濁されるからである。
触媒としては、担持されるか担持されていないかのいずれかのニッケル触媒、一般的にはラネーニッケル触媒が挙げられる。他の触媒としては、再び担持されるか担持されていないかのいずれかの白金およびパラジウム触媒が挙げられる。プロセスが進行する時に、触媒は再生利用するか、または再生利用しないことができる。好ましい触媒としては、ニッケル、銅、パラジウム、白金、およびコバルト触媒が挙げられる。前記触媒の混合物も使用できる。
触媒の量は、少なく保つことができ、一般的には約0.05%〜約1%、好ましくは約0.02%〜約0.5%に保つことができる。
下記の例中および明細書中、すべての%、部および比率は、特に断らない限り重量基準であり且つすべての数字は近似値である。
実施例
下記の実施例においては、プレート/フレーム式熱交換器は下記の物理的寸法を有する。
Figure 0003939340
これらの実施例中の脂肪反応体は下記の初期ヨウ素価およびトランス脂肪酸含量を有するタロー脂肪酸である。
Figure 0003939340
上記実施例中の操作条件および結果は次の通りである。
Figure 0003939340
Figure 0003939340
上記のことからわかるように、本質的に等価の結果を得ながら少量の触媒を使用することができる(1対2または3)。また、低温および高圧(1〜4対5〜7)の使用は、ヨウ素価を低下させながらトランス−脂肪酸含量を低下させる。また、生産量は反応体処理量および反応器サイズを単純に増大させることによって増大できること(6対7)、および水素添加の水準は脂肪反応体に対して水素の量を単純に増大させることによって増大できること(3対4および7対8〜10)がわかる。これらの結果は前もっては予測し得ないことである。

Claims (14)

  1. プレート/フレーム式熱交換器において脂肪物質を水素添加する方法であって、
    該プレート/フレーム式熱交換器が、表面対容積の比率が少なくとも75であり、圧力が少なくとも1034250Paであり、1メートル当たりの圧力降下が少なくとも4524.2782Paである、方法。
  2. 前記表面対容積の比率が75〜300であり、前記圧力が1034250〜3447500Paであり、前記1メートル当たりの圧力降下が4524.2782〜45242.782Paであり、温度が120℃〜240℃に維持される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記温度が120℃〜180℃である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記温度が120℃〜150℃である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記圧力が2068500〜2758000Paである、請求項2に記載の方法。
  6. 前記表面対容積の比率が150〜300である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記温度が120℃〜180℃である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記温度が120℃〜150℃である、請求項6に記載の方法。
  9. 前記1メートル当たりの圧力降下が3447.5〜6895Paである、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記脂肪物質が
    (A)8〜26個の炭素原子を有し、かつ、ヨウ素価が5以上を有する脂肪酸と、
    (B)前記脂肪酸のエステルと、および
    (C)8〜24個の炭素原子を有し、かつ、ヨウ素価が5以上を有する脂肪アルコールとからなる群から選択されてなるものである、請求項2に記載の方法。
  11. トランス−異性体の百分率を元の値の15%未満だけ増加させながら、前記ヨウ素価を少なくとも5だけ低下させる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記脂肪物質が前記脂肪酸のメチルエステルである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記脂肪物質が脂肪酸である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記脂肪物質のヨウ素価を2未満に低下させる、請求項10に記載の方法。
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