JP3938428B2 - 継手装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
液体の循環回路を切換接続して流路を切り換える際に用いられる継手装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、静置すると沈殿あるいは分離する物質を含む液体を必要に応じて配管を通じて消費する場合、タンクに収容した液体をポンプによりタンクと循環回路とを循環させて待機し、消費の必要が生じたときに消費部を含む別の回路に対して循環回路を接続することにより、流路を切り換え、消費を止めるときには前記別の回路を切り離して循環回路に戻すことが行われている。これは配管内の沈殿あるいは分離によって消費動作等に支障が生じないように、液体を常に流動している状態に維持して沈殿あるいは分離しないように保持するためである。具体的には、例えば、液体塗料中の顔料が沈殿あるいは分離しないように塗装工場において行われており、図6に示すように、塗料を収容したタンクTから途中にポンプPを備え接続分離用の継手1の部分1aに至る配管2、タンクTに至る配管4、配管2、4の途中を接続する配管5、配管5の途中を開閉する開閉弁6、継手1の部分1aに接続する部分1bを一端に有し他端に塗料噴射ノズル等の塗料消費部7を有する配管8、を備えた構成になっている。すなわち、配管2、5、4で循環回路が形成されており、継手1を接続状態としてから、開閉弁6を閉じることにより、配管2、8の流路に切り換えられるようになっている。消費部7の動作が終わり循環回路に戻すときは開閉弁6を開いて継手1を切り離す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこのような循環回路の切換のための回路構成では、配管2、8の流路に切り換えた後に、循環回路を形成すると、配管2と配管5との接続点から継手部分1aまでの間が、実質的に循環回路に属さない溜まり部分となる。この溜まり部分は塗料が停滞しているから、沈殿して分離したり、沈殿物が固まりとなったりしてこのまま配管2、8の流路に切り換えると、塗装(塗料消費部7)の動作に支障を来す。このため、次の配管2、8の流路に切り換えるときに、この溜まり部分の塗料を排出することにより除去した後でないと、継手1を接続することができない問題があった。
本発明は、前述したような循環回路の流路を切り換える継手装置において、継手の分離中に液体が停滞する溜まりを低減することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の手段は、タンクの液体をポンプで循環させる循環回路に、遮断可能に配置された締切り弁を備え、前記締切り弁を閉弁し、前記締切り弁よりも前記ポンプ側の循環回路に別の回路を接続する際に用いられる継手装置であって、前記循環回路の配管が接続する送り側継手と、前記別の回路に備えられ前記送り側継手の開閉部を介して接続する受け側継手と、を有する継手装置において、前記開閉部を前記送り側継手の前記循環通路を形成する部分の略内周面位置に形成することを特徴とする(請求項1)。
【0005】
この手段は、開閉部を送り側継手の循環通路を形成する部分の略内周面位置に形成してあるから、循環通路を形成したときに、すなわち、締切り弁を開き、受け側継手を切り離すと共に開閉部を閉じたときに、開閉部内側は液体が確実に流通する部分として循環通路に属していて、送り側継手付近の循環通路内に溜まりが生じない。
【0006】
前記開閉部は、前記別の回路が接続される接続口と、この接続口を開閉する弁体とを備えている構成とするのがよい(請求項2)。
【0007】
前記別の回路の受け側継手は、前記循環回路と前記別の回路との接続時に前記送り側継手の弁体を開く弁開放手段を有する構成とするのがよい(請求項3)。
【0008】
また別に、前記循環回路の送り側継手は、前記別の回路の接続に応動して前記弁を開く駆動装置を備えている構成とするのがよい(請求項4)。これは弁がエヤーシリンダ等の駆動装置で開く構成であるから、受け側継手に弁を開く構造物がない構成となり、それだけ受け側継手が簡単になるから、洗浄しやすくなる。なお、塗料のような液体を流通させる回路の洗浄はしばしば行われ、洗浄しやすい構成であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の塗料供給に用いた第1の実施の形態を図1〜図3を用いて説明する。この継手装置11は、図3に示すような、循環回路12に別の回路13を接続して流路を切り換える装置である。循環回路12は、タンクTの液体をポンプPで送る送り側配管15、これに順次接続された、送り側継手16、締切り弁17、タンクTに戻る戻り側配管19で構成されている。別の回路13は、送り側継手16に接続、切り離しされる受け側継手20と、これに順次接続された配管21と、液体(塗料)消費部22とで構成されている。
【0010】
循環回路12の、送り側継手16、締切り弁17は、図1に示す構造になっている。送り側継手16は、本体25を貫通して液体の通路26が形成されており、その一方に送り側配管15との接続部27を有し、通路26の他方に締切り弁17との接続部28を有している。この双方の接続部27、28はフランジ状に形成され相手側の同様な接続部と締付金具で一体に締めつけて流体密に接続されるヘルール継手である。通路26は水平軸線に沿って直線状に穿設された円孔により形成され、その中間位置の内周面を略球面状に少し拡大形成してその下側中心を下方に貫通した接続口29と、この接続口29と同一軸線上にあるように上側に、次に説明する弁体30の支持部31及び駆動部32を設けてある。接続口29は、上側部分、すなわち通路26側が弁座33に形成してあり、この弁座33に弁体30が内側から着座して閉弁するようになっている。この構成では、直線状の通路26に接続口29が直交して開口しており、その開口を通路26側で弁体30によって閉じられるから、通路26の内面に開口と弁体30との境界として現れる開閉部56が通路26の前記円孔部分の内周面位置と比べて通路26の軸線から僅かに遠いが略同じ距離の周面位置にあり、閉弁状態で接続部27、28間の通路26を流れる液体が滞留するような部分が形成されない。
【0011】
接続口29の下側部分は内径が段を成して拡大し、下端部で下方へさらにテーパ状に拡大したソケット部34に形成されている。弁体30は、上方へ伸延した軸部35を有し、その軸部35が前記支持部31を流体密に貫通して上端部に駆動部32を結合されている。駆動部32はエアシリンダであり、エアの給排によって進退動作し、これによって弁体30が接続孔29を開閉するようになっている。図中、36はエアシリンダのピストンロッド、55は閉弁する方向にピストンロッドに作用しているばねである。
【0012】
締切り弁17は、図1に示すように、ボール弁である。ボール弁の本体57が水平方向の貫通孔で形成された流体の通路37を有し、その通路37が両側の送り側継手16の通路26と戻り側配管19と接続するように、接続部28と接続部27とに夫々接続した接続部38、39を有し、通路37の中間部を開閉するようにボール弁体40を設けてある。図中、41はボール弁体に係合した回転駆動軸で、圧力空気による駆動部42によって90°正、逆回転して流体の通路37を開閉する。
【0013】
別の回路13の受け側継手20は、同図1に示すように、本体43に上下方向に貫通した流体の通路44が穿設され、上端部に前記ソケット部34に丁度嵌入するプラグ部45が形成され、下端に配管21との接続部46が形成され、途中に取り付け用フランジ47が形成されている。プラグ部45は、上端面に環状シール48を保持していて、図示の位置から上方へ移動させられるとソケット部34に嵌まり込み、上端面が送り側継手16の弁座33の外側周辺部にシール48を介して当接し(図2参照)、内側を外部から流体密に区画する。受け側継手20は、図示のように送り側継手16に対応する位置でフランジ47を介して支持基板49に取り付けられている。
【0014】
液体消費部22は、液体が塗料である場合で、図3に示すように、圧縮空気で動作する塗料噴射ノズル50を備えた塗装装置である。
【0015】
前記循環回路12は、例えば、図3に示すように、塗料の色の違い毎に別々に同じ構成のものが複数個が設けられ、この幾つかの循環回路12、12、12、・・・・、の中の選択されたものと、前記液体消費部22を備えた別の回路13が接続され流路を切り換えるようになっている。このために、複数の循環回路12、12、・・・・は、同じ高さ位置に、図1に示したように、送り側継手16をそれぞれソケット部34を下方に向けた状態で直線状に配列してあり、その下側に受け側継手20がプラグ部45を上方にして所定寸法離れた状態で位置して、図3に示すように、選択した一つの循環回路12の継手16の下側に移動できるように移動体51に設けられ、その移動体51から上昇および下降動作可能にエアシリンダ52によって支持されている。移動体51は、モータ53で回転駆動されるボールねじ54により移動して、接続しようとする送り側継手16の下側へ受け側継手20を移動させることができるようになっている。この移動のために配管21は可撓部分を備えている。
【0016】
所望の循環回路12に別の回路13を接続して、流路を切り換える時の動作は、例えば、適当な制御部により行われ、次のようになる。所望の循環回路12の送り側継手16の下側に移動せしめられた別の回路13の受け側継手20は、エアシリンダ52の動作により上昇して循環回路12の送り側継手16に接続する。すなわち、ソケット部34にプラグ部45が嵌入してシール48が弁座33周辺に当接し、弁体30で閉じられている接続口29に通路44が接続する。次に弁体30がエアシリンダ32により開弁動作して通路26と44が連通し、締切り弁17が閉弁して、すなわち、ボール弁体40が駆動部42により閉弁動作して流路が切り換えられる。
【0017】
別の回路13を切り離して循環回路12に切り換えるときは、上述の動作とは逆に締切り弁17が開弁し、次に接続口29が閉じられ、そして受け側継手20、24が下降する。
【0018】
本発明の第2の実施の形態を図4、図5を用いて説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて継手部分の構成が、受け側継手20aに開閉部の弁体30aを開く開放手段60を設けてある点で異なり、主にその相違部分について説明し、同等部分には同一図面符号を用いてある。
【0019】
送り側継手16aは、図示のように、本体25aを貫通して第1の実施の形態と同じ液体の通路26が形成されており、その一方に送り側配管15(図3参照)との接続部27を有し、通路26の他方に締切り弁17との接続部28を有している。この双方の接続部27、28は第1の実施の形態におけるものと同じで、ヘルール継手である。通路26は水平軸線に沿って直線状に穿設された円孔により形成され、その中間位置の内周面を略球面状に少し拡大形成してその下側中心を下方に貫通した接続口29aと、この接続口29aと同一軸線上にあるように上側に弁体30aの支持部31aを設けてある。接続口29aは、弁座33に形成してあり、この弁座33に弁体30aが内側から着座して閉弁するようになっている。この構成では、直線状の通路26に接続口29aが直交して開口しており、その開口を弁体30aによって閉じられるから、通路26の内面に開口と弁体30aとの境界として現れる開閉部56aが通路26の前記円孔部分の内周面位置と比べて通路26の軸線から僅かに遠いが略同じ距離の周面位置にあり、閉弁状態で接続部27、28間の通路26を流れる液体が滞留するような部分が形成されない。この点は第1の実施の形態と同じである。
【0020】
弁体30aは、上方へ伸延した軸部35aを有し、その軸部35aが前記支持部31aを流体密に貫通し上下に摺動可能に支持され、弁座33に着座するように、閉弁ばね61で付勢されている。
【0021】
受け側継手20aは、同図に示すように、送り側継手16aの下面の接続口29aに接続される液体の通路44aの開口を上端に有し、本体62が本体上部62aと本体下部62bとに形成されている。本体上部62aは円筒状に形成されていて、その下部が本体下部62bに流体密に且つ上下に摺動可能に嵌合しており、上端開口が前記接続口29aの下端開口よりも僅かに大きく形成され、通路44aが下方で拡大しており、上端面に環状シール48aを保持している。前記送り側継手16aの本体25aの接続口29aが開口する下面が平坦に形成されていて、本体上部62aが上端面を送り側継手16aの下面に押しつけられたときに、このシール48aが、接続口29aの周辺に当接して内側の通路44aを外界から遮断する。
【0022】
本体下部62bは、本体上部62aの下部が嵌合した円筒状の嵌合部63と、その内側に形成された弁開放手段60としてのロッド部64と、ばね受け部65、配管接続部66等で構成されている。嵌合部63の外周にはOリング67と軸受68を装着してあり、上部本体62aが流体密に上下に摺動可能である。弁開放手段60のロッド64は、本体62の中心軸線に沿って設けてあり、本体下部62bの内面から半径方向内側に突出した支持部69に下端部が固定され、上端部が本体上部62aの上端近くに達している。ばね受け部65は、前記嵌合部63の外側に環状部材を取り付けてその上端部に形成され、上端部でばね70を支持している。ばね70は本体上部62aの外周を取り巻くようなコイルばねで、本体上部62aを上昇位置に付勢するように、圧縮状態で本体上部62aの上端部外周の凸部71とばね受け部65とに係合している。本体上部62aは、その下端外周に突出縁72を設けてあり、この突出縁72がばね受け65の下側に形成したストッパ73で係止され、図4に示すように、抜け出さないように保持されている。配管接続部66は、本体下部62bの下端に設けてあり、配管21(23)と接続される部分で、ヘルール継手の一方である。本体上部62aと本体下部62bの内孔は液体通路44aである。
【0023】
送り側継手16aと受け側継手20aとの接続状態は図5に示すようになる。すなわち、双方が接近して押し合うように相対変位せしめられると、例えば図3に示したエアシリンダ52で受け側継手20aが押し上げられると、送り側継手16aの本体25aの下面に、受け側継手20aの本体上部62aの上端面が環状シール48aを介して押しつけられ、さらに押し上げられることで弁開放手段60のロッド64の先端が弁体30aの下面を押して開放し、押し上げが適当な位置で止まって接続を終わり、図5の接続状態となる。流路の切り換え動作は第1の実施の形態で説明したのと略同じであるから説明を省略する。
【0024】
第2の実施の形態では、ソケット部とプラグ部とを設けていないが、必要に応じて設ける。
【0025】
【発明の効果】
請求項1、請求項2に記載の発明は、循環通路内に溜まりがなく、循環液体の停滞を生じないから、循環通路内で循環液体の分離や沈殿が起こらない効果を奏する。
請求項3に記載の発明は、接続と同時に開閉部を開放するので、接続開始から完了までの時間を短くすることができる効果を奏する。
請求項4に記載の発明は、受け側継手が簡単になるから、洗浄しやすくなる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す主要部の縦断正面図である。
【図2】図1と同じ部分の異なる状態を示す縦断正面図である。
【図3】同実施の形態の回路の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す主要部の縦断正面図である。
【図5】図4と同じ部分の異なる状態を示す縦断正面図である。
【図6】従来の装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
11 継手装置
12 循環回路
13 別の回路
16 送り側継手
17 締切り弁
20 受け側継手
26 通路
29 接続口
30 弁体
31 支持部
32 駆動部
33 弁座
56 開閉部
T タンク
P ポンプ
Claims (4)
- タンクの液体をポンプで循環させる循環回路に、遮断可能に配置された締切り弁を備え、前記締切り弁を閉弁し、前記締切り弁よりも前記ポンプ側の循環回路に別の回路を接続する際に用いられる継手装置であって、前記循環回路の配管が接続する送り側継手と、前記別の回路に備えられ前記送り側継手の開閉部を介して接続する受け側継手と、を有する継手装置において、前記開閉部を前記送り側継手の前記循環通路を形成する部分の略内周面位置に形成することを特徴とする継手装置。
- 前記開閉部は、前記別の回路が接続される接続口と、この接続口を開閉する弁体とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の継手装置。
- 前記別の回路の受け側継手は、前記循環回路と前記別の回路との接続時に前記送り側継手の弁体を開く弁開放手段を有することを特徴とする請求項2に記載の継手装置。
- 前記循環回路の送り側継手は、前記別の回路の接続に応動して前記弁体を開く駆動装置を備えていることを特徴とする請求項2に記載の継手装置。
Priority Applications (1)
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JP05880598A JP3938428B2 (ja) | 1998-02-23 | 1998-02-23 | 継手装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05880598A JP3938428B2 (ja) | 1998-02-23 | 1998-02-23 | 継手装置 |
Publications (2)
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JPH11236989A JPH11236989A (ja) | 1999-08-31 |
JP3938428B2 true JP3938428B2 (ja) | 2007-06-27 |
Family
ID=13094826
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05880598A Expired - Lifetime JP3938428B2 (ja) | 1998-02-23 | 1998-02-23 | 継手装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3938428B2 (ja) |
-
1998
- 1998-02-23 JP JP05880598A patent/JP3938428B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH11236989A (ja) | 1999-08-31 |
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