JP3938354B2 - タイヤ内部情報収集装置の取り付け構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランフラット走行を可能にする中子支持体に対してタイヤ内部情報収集装置を取り付ける構造に関し、さらに詳しくは、タイヤ内部情報収集装置をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させるようにしたタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
車両の走行中に空気入りタイヤがパンクした場合でも、ある程度の緊急走行を可能にするための技術が市場の要請から多数提案されている。これら提案のうち、リム組みされた空気入りタイヤの空洞部に中空構造を有する中子支持体を挿入し、パンクしたタイヤを中子支持体によって支持することでランフラット走行を可能にしたものがある（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
ところで、ランフラット機能を有するタイヤホイール組立体では、運転者がパンクの情況を即座に把握し難いため、空気圧警報装置に代表されるタイヤ内部情報収集装置を併用するのが一般的である。タイヤ内部情報収集装置は、リムのウエル部などに装着され、センサで検知したタイヤ内部情報をアンテナを介して車両側の受信機に送信するようになっている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００４】
しかしながら、タイヤ内部情報収集装置はパンクの情況を把握する上で有効に機能するものの、空気圧や温度等のタイヤ内部情報は必ずしもランフラット走行の限界を知らせるものではない。つまり、ランフラット走行の限界は、中子支持体との摩擦による空気入りタイヤの破損状態や中子支持体そのものの破損状態に依存するのである。そのため、ランフラット走行の限界を知らせるような警報装置の開発が望まれている。
【０００５】
【特許文献１】
特表２００１−５１９２７９号公報
【特許文献２】
特表平８−５０５９３９号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤ内部情報収集装置をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させることを可能にしたタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造は、空気入りタイヤの空洞部に設置される中子支持体に、電波を利用してタイヤ内部情報を送信するタイヤ内部情報収集装置を取り付ける構造であって、前記タイヤ内部情報収集装置の送信用アンテナを前記中子支持体の外周側の荷重支持面上に延設し、該荷重支持面の最も外周側の位置に配置する構成にしたことを特徴とするものである。
【０００８】
このようにタイヤ内部情報収集装置の送信用アンテナを中子支持体の外周側の荷重支持面上に延設し、該荷重支持面の最も外周側の位置に配置したことにより、タイヤ内部情報収集装置をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させることができる。つまり、アンテナがランフラット走行に伴って破壊されると、タイヤ内部情報収集装置からの送信が途絶えるので、その時点をランフラット走行の限界の指標とすれば良い。
【０００９】
上記アンテナは導電性のアンテナ基材と絶縁性の被覆材とから構成することが好ましい。この場合、被覆材の厚さや材質に基づいてアンテナが破壊されるまでのランフラット走行距離を任意に調整することができる。
【００１０】
本発明では、タイヤ内部情報収集装置を予め中子支持体に装着しておけば、タイヤ内部情報収集装置をリムのウエル部に装着する作業が不要になり、しかもリム組み時にタイヤ内部情報収集装置がウエル部から脱落するという不都合も回避することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１２】
図１は本発明の実施形態からなるタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を示すものであり、１はホイールのリム、２は空気入りタイヤ、３はランフラット用の中子支持体である。これらリム１、空気入りタイヤ２、中子支持体３は、図示しないホイール回転軸を中心として環状に形成されている。
【００１３】
中子支持体３は、通常走行時には空気入りタイヤ２の内壁面から離間しているが、パンク時には潰れた空気入りタイヤ２を内側から支持するものである。この中子支持体３は、パンクしたタイヤを支えるための連続した荷重支持面を外周側に張り出すと共に、該荷重支持面の両側に沿って側壁部３ａ，３ａを備えた開脚構造になっている。また、中子支持体３の外周側の荷重支持面には外側から内側に窪んだ溝部３ｂが中子周方向に沿って連続的に形成されている。
【００１４】
上記中子支持体３は、パンクした空気入りタイヤ２を介して車両重量を支える必要があるため剛体材料から構成されている。その構成材料には、金属や樹脂などが使用される。このうち金属としては、スチール、アルミニウムなどを例示することができる。また、樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれでも良い。熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ＡＢＳなどを挙げることができ、また熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。樹脂は単独で使用しても良いが、補強繊維を配合して繊維強化樹脂として使用しても良い。
【００１５】
中子支持体３の側壁部３ａ，３ａにはそれぞれ弾性リング４が取り付けられ、左右のリムシート上に当接しつつ中子支持体３を支持するようになっている。この弾性リング４は、パンクした空気入りタイヤ２から中子支持体３が受ける衝撃や振動を緩和するほか、リムシートに対する滑りを防止して中子支持体３を安定的に支持するものである。
【００１６】
弾性リング４の構成材料としては、ゴム又は樹脂を使用することができ、特にゴムが好ましい。ゴムとしては、天然ゴム（ＮＲ）、イソプレンゴム（ＩＲ）、スチレン−ブタジエンゴム（ＳＢＲ）、ブタジエンゴム（ＢＲ）、水素化ＮＢＲ、水素化ＳＢＲ、エチレンプロピレンゴム（ＥＰＤＭ、ＥＰＭ）、ブチルゴム（ＩＩＲ）、アクリルゴム（ＡＣＭ）、クロロプレンゴム（ＣＲ）シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを挙げることができる。
【００１７】
本発明は、上述のように空気入りタイヤ２の空洞部に設置された中子支持体３に、電波を利用してタイヤ内部情報を送信するタイヤ内部情報収集装置５を取り付ける構造を提供するものである。
【００１８】
図１において、タイヤ内部情報収集装置５は中子支持体３の側壁部３ａの内側に配置され、その送信用アンテナ６は中子支持体３の外側へ引き出されている。タイヤ内部情報収集装置５は、中子支持体３の側壁部３ａに形成された窪みや開口部に組付けるようにしても良いが、いずれの場合も中子支持体３に対して一体的に固定することが必要である。一方、中子支持体３の外側へ引き出されたアンテナ６は、中子支持体３の外周側の荷重支持面まで延在し、この荷重支持面の最も外周側に位置するように配置されている。
【００１９】
タイヤ内部情報収集装置５は、空気圧や温度等のタイヤ内部情報を検出する各種センサと、該センサの検出結果を送信する送信機とを内蔵し、その送信機にアンテナ６が接続されている。このタイヤ内部情報収集装置５は、空気入りタイヤ２のタイヤ内部情報を常時検出し、その検出結果をアンテナ６を介して車両側の受信機に送信するようになっている。
【００２０】
アンテナ６としては、図２に示すようなフィルム状のアンテナを使用することができる。図２において、アンテナ６はパターン化された導電性のアンテナ基材６ａと絶縁性の被覆材６ｂとがフィルム状に成形されている。被覆材６ｂには樹脂やゴムを用いることができる。このように構成されたアンテナ６を中子支持体３の外表面に貼り付けた場合、中子支持体３の外側に位置するアンテナ６が空気入りタイヤ２と中子支持体３との組付け作業などを阻害することはない。
【００２１】
上述したタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造では、アンテナ６が中子支持体３の外周側の荷重支持面に配置されているので、タイヤ内部情報収集装置５は通常走行時にタイヤ内部情報を提供するだけでなく、ランフラット走行時においてはランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能する。つまり、ランフラット走行においてアンテナ６が空気入りタイヤ２と断続的に接触すると、その保護層である被覆材６ｂが徐々に破壊され、やがてアンテナ６が機能しなくなる。そうすると、タイヤ内部情報収集装置５からの送信が途絶えるので、その時点をランフラット走行の限界の指標とすることができる。ここで、アンテナ６の被覆材６ｂの厚さや材質に基づいてアンテナ６が破壊されるまでのランフラット走行距離を任意に調整することが可能である。
【００２２】
また、上記タイヤ内部情報収集装置の取り付け構造では、タイヤ内部情報収集装置５が予め中子支持体３に装着されているので、タイヤ内部情報収集装置５をリム１のウエル部に装着する作業が不要になり、しかもリム組み時にタイヤ内部情報収集装置５がウエル部から脱落するという不都合も回避することができるのである。
【００２３】
図３は本発明の他の実施形態からなるタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を示すものである。本実施形態は、前述の実施形態に比べて中子支持体の形状だけが異なるものである。
【００２４】
図３に示すように、空気入りタイヤ２の空洞部に設置される中子支持体１３は、通常走行時には空気入りタイヤ２の内壁面から離間しているが、パンク時には潰れた空気入りタイヤ２を内側から支持するものである。この中子支持体１３は、Ｔ字状の断面形状を有し、パンクしたタイヤを支えるための連続した荷重支持面を外周側に張り出した構造になっている。一方、タイヤ内部情報収集装置５は中子支持体１３の側面に配置され、その送信用アンテナ６は中子支持体１３の外周側の荷重支持面に配置されている。
【００２５】
上述したタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造では、アンテナ６が中子支持体１３の外周側の荷重支持面に配置されているので、前述した実施形態と同様に、タイヤ内部情報収集装置５をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させることができる。
【００２６】
本発明において、中子支持体の形状及び材質は特に限定されるものではない。従って、本発明に係るタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造は、ランフラット用の中子支持体である限り、上記実施形態以外の種々の中子支持体に適用することが可能である。
【００２７】
【実施例】
タイヤサイズが２０５／５５Ｒ１６ ８９Ｖの空気入りタイヤと、リムサイズが１６×６ 1/2ＪＪのホイールとのタイヤホイール組立体において、空気入りタイヤの空洞部に厚さ１．０ｍｍのスチール板からなる中空構造の中子支持体を設置すると共に、図１に示すように、タイヤ内部情報収集装置を中子支持体の側壁部に配置し、その送信用アンテナを中子支持体の外周側の荷重支持面に配置した。
【００２８】
上記タイヤホイール組立体について、タイヤ内部情報収集装置からアンテナを介して送信される電波をタイヤ外部で受信しつつ、ランフラット走行での耐久試験を実施した。この耐久試験では、タイヤホイール組立体を排気量２．５リットルのＦＲ車の前右輪に装着し、そのタイヤ内圧を０ｋＰａ（前右輪以外は２００ｋＰａ）とし、時速９０ｋｍ／ｈで周回路を左廻りに走行し、走行不能になるまでの走行距離を測定した。
【００２９】
その結果、タイヤ内部情報収集装置からの電波は、ランフラット走行距離の９０％の時点で初めて受信されなくなった。このようにタイヤ内部情報収集装置からの送信がランフラット走行に伴って途絶えるので、その時点をランフラット走行の限界の指標とすることができる。
【００３０】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、空気入りタイヤの空洞部に設置される中子支持体に、電波を利用してタイヤ内部情報を送信するタイヤ内部情報収集装置を取り付けるにあたって、タイヤ内部情報収集装置の送信用アンテナを中子支持体の外周側の荷重支持面上に延設し、該荷重支持面の最も外周側の位置に配置したから、タイヤ内部情報収集装置をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態からなるタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を示す断面図である。
【図２】フィルム状のアンテナの一例を示す斜視断面図である。
【図３】本発明の他の実施形態からなるタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を示す断面図である。
【符号の説明】
１（ホイールの）リム
２ 空気入りタイヤ
３，１３ 中子支持体
３ａ 側壁部
３ｂ 溝部
４ 弾性リング
５ タイヤ内部情報収集装置
６ アンテナ
６ａ アンテナ基材
６ｂ 被覆材
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランフラット走行を可能にする中子支持体に対してタイヤ内部情報収集装置を取り付ける構造に関し、さらに詳しくは、タイヤ内部情報収集装置をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させるようにしたタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
車両の走行中に空気入りタイヤがパンクした場合でも、ある程度の緊急走行を可能にするための技術が市場の要請から多数提案されている。これら提案のうち、リム組みされた空気入りタイヤの空洞部に中空構造を有する中子支持体を挿入し、パンクしたタイヤを中子支持体によって支持することでランフラット走行を可能にしたものがある（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
ところで、ランフラット機能を有するタイヤホイール組立体では、運転者がパンクの情況を即座に把握し難いため、空気圧警報装置に代表されるタイヤ内部情報収集装置を併用するのが一般的である。タイヤ内部情報収集装置は、リムのウエル部などに装着され、センサで検知したタイヤ内部情報をアンテナを介して車両側の受信機に送信するようになっている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００４】
しかしながら、タイヤ内部情報収集装置はパンクの情況を把握する上で有効に機能するものの、空気圧や温度等のタイヤ内部情報は必ずしもランフラット走行の限界を知らせるものではない。つまり、ランフラット走行の限界は、中子支持体との摩擦による空気入りタイヤの破損状態や中子支持体そのものの破損状態に依存するのである。そのため、ランフラット走行の限界を知らせるような警報装置の開発が望まれている。
【０００５】
【特許文献１】
特表２００１−５１９２７９号公報
【特許文献２】
特表平８−５０５９３９号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤ内部情報収集装置をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させることを可能にしたタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造は、空気入りタイヤの空洞部に設置される中子支持体に、電波を利用してタイヤ内部情報を送信するタイヤ内部情報収集装置を取り付ける構造であって、前記タイヤ内部情報収集装置の送信用アンテナを前記中子支持体の外周側の荷重支持面上に延設し、該荷重支持面の最も外周側の位置に配置する構成にしたことを特徴とするものである。
【０００８】
このようにタイヤ内部情報収集装置の送信用アンテナを中子支持体の外周側の荷重支持面上に延設し、該荷重支持面の最も外周側の位置に配置したことにより、タイヤ内部情報収集装置をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させることができる。つまり、アンテナがランフラット走行に伴って破壊されると、タイヤ内部情報収集装置からの送信が途絶えるので、その時点をランフラット走行の限界の指標とすれば良い。
【０００９】
上記アンテナは導電性のアンテナ基材と絶縁性の被覆材とから構成することが好ましい。この場合、被覆材の厚さや材質に基づいてアンテナが破壊されるまでのランフラット走行距離を任意に調整することができる。
【００１０】
本発明では、タイヤ内部情報収集装置を予め中子支持体に装着しておけば、タイヤ内部情報収集装置をリムのウエル部に装着する作業が不要になり、しかもリム組み時にタイヤ内部情報収集装置がウエル部から脱落するという不都合も回避することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１２】
図１は本発明の実施形態からなるタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を示すものであり、１はホイールのリム、２は空気入りタイヤ、３はランフラット用の中子支持体である。これらリム１、空気入りタイヤ２、中子支持体３は、図示しないホイール回転軸を中心として環状に形成されている。
【００１３】
中子支持体３は、通常走行時には空気入りタイヤ２の内壁面から離間しているが、パンク時には潰れた空気入りタイヤ２を内側から支持するものである。この中子支持体３は、パンクしたタイヤを支えるための連続した荷重支持面を外周側に張り出すと共に、該荷重支持面の両側に沿って側壁部３ａ，３ａを備えた開脚構造になっている。また、中子支持体３の外周側の荷重支持面には外側から内側に窪んだ溝部３ｂが中子周方向に沿って連続的に形成されている。
【００１４】
上記中子支持体３は、パンクした空気入りタイヤ２を介して車両重量を支える必要があるため剛体材料から構成されている。その構成材料には、金属や樹脂などが使用される。このうち金属としては、スチール、アルミニウムなどを例示することができる。また、樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれでも良い。熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ＡＢＳなどを挙げることができ、また熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。樹脂は単独で使用しても良いが、補強繊維を配合して繊維強化樹脂として使用しても良い。
【００１５】
中子支持体３の側壁部３ａ，３ａにはそれぞれ弾性リング４が取り付けられ、左右のリムシート上に当接しつつ中子支持体３を支持するようになっている。この弾性リング４は、パンクした空気入りタイヤ２から中子支持体３が受ける衝撃や振動を緩和するほか、リムシートに対する滑りを防止して中子支持体３を安定的に支持するものである。
【００１６】
弾性リング４の構成材料としては、ゴム又は樹脂を使用することができ、特にゴムが好ましい。ゴムとしては、天然ゴム（ＮＲ）、イソプレンゴム（ＩＲ）、スチレン−ブタジエンゴム（ＳＢＲ）、ブタジエンゴム（ＢＲ）、水素化ＮＢＲ、水素化ＳＢＲ、エチレンプロピレンゴム（ＥＰＤＭ、ＥＰＭ）、ブチルゴム（ＩＩＲ）、アクリルゴム（ＡＣＭ）、クロロプレンゴム（ＣＲ）シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを挙げることができる。
【００１７】
本発明は、上述のように空気入りタイヤ２の空洞部に設置された中子支持体３に、電波を利用してタイヤ内部情報を送信するタイヤ内部情報収集装置５を取り付ける構造を提供するものである。
【００１８】
図１において、タイヤ内部情報収集装置５は中子支持体３の側壁部３ａの内側に配置され、その送信用アンテナ６は中子支持体３の外側へ引き出されている。タイヤ内部情報収集装置５は、中子支持体３の側壁部３ａに形成された窪みや開口部に組付けるようにしても良いが、いずれの場合も中子支持体３に対して一体的に固定することが必要である。一方、中子支持体３の外側へ引き出されたアンテナ６は、中子支持体３の外周側の荷重支持面まで延在し、この荷重支持面の最も外周側に位置するように配置されている。
【００１９】
タイヤ内部情報収集装置５は、空気圧や温度等のタイヤ内部情報を検出する各種センサと、該センサの検出結果を送信する送信機とを内蔵し、その送信機にアンテナ６が接続されている。このタイヤ内部情報収集装置５は、空気入りタイヤ２のタイヤ内部情報を常時検出し、その検出結果をアンテナ６を介して車両側の受信機に送信するようになっている。
【００２０】
アンテナ６としては、図２に示すようなフィルム状のアンテナを使用することができる。図２において、アンテナ６はパターン化された導電性のアンテナ基材６ａと絶縁性の被覆材６ｂとがフィルム状に成形されている。被覆材６ｂには樹脂やゴムを用いることができる。このように構成されたアンテナ６を中子支持体３の外表面に貼り付けた場合、中子支持体３の外側に位置するアンテナ６が空気入りタイヤ２と中子支持体３との組付け作業などを阻害することはない。
【００２１】
上述したタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造では、アンテナ６が中子支持体３の外周側の荷重支持面に配置されているので、タイヤ内部情報収集装置５は通常走行時にタイヤ内部情報を提供するだけでなく、ランフラット走行時においてはランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能する。つまり、ランフラット走行においてアンテナ６が空気入りタイヤ２と断続的に接触すると、その保護層である被覆材６ｂが徐々に破壊され、やがてアンテナ６が機能しなくなる。そうすると、タイヤ内部情報収集装置５からの送信が途絶えるので、その時点をランフラット走行の限界の指標とすることができる。ここで、アンテナ６の被覆材６ｂの厚さや材質に基づいてアンテナ６が破壊されるまでのランフラット走行距離を任意に調整することが可能である。
【００２２】
また、上記タイヤ内部情報収集装置の取り付け構造では、タイヤ内部情報収集装置５が予め中子支持体３に装着されているので、タイヤ内部情報収集装置５をリム１のウエル部に装着する作業が不要になり、しかもリム組み時にタイヤ内部情報収集装置５がウエル部から脱落するという不都合も回避することができるのである。
【００２３】
図３は本発明の他の実施形態からなるタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を示すものである。本実施形態は、前述の実施形態に比べて中子支持体の形状だけが異なるものである。
【００２４】
図３に示すように、空気入りタイヤ２の空洞部に設置される中子支持体１３は、通常走行時には空気入りタイヤ２の内壁面から離間しているが、パンク時には潰れた空気入りタイヤ２を内側から支持するものである。この中子支持体１３は、Ｔ字状の断面形状を有し、パンクしたタイヤを支えるための連続した荷重支持面を外周側に張り出した構造になっている。一方、タイヤ内部情報収集装置５は中子支持体１３の側面に配置され、その送信用アンテナ６は中子支持体１３の外周側の荷重支持面に配置されている。
【００２５】
上述したタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造では、アンテナ６が中子支持体１３の外周側の荷重支持面に配置されているので、前述した実施形態と同様に、タイヤ内部情報収集装置５をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させることができる。
【００２６】
本発明において、中子支持体の形状及び材質は特に限定されるものではない。従って、本発明に係るタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造は、ランフラット用の中子支持体である限り、上記実施形態以外の種々の中子支持体に適用することが可能である。
【００２７】
【実施例】
タイヤサイズが２０５／５５Ｒ１６ ８９Ｖの空気入りタイヤと、リムサイズが１６×６ 1/2ＪＪのホイールとのタイヤホイール組立体において、空気入りタイヤの空洞部に厚さ１．０ｍｍのスチール板からなる中空構造の中子支持体を設置すると共に、図１に示すように、タイヤ内部情報収集装置を中子支持体の側壁部に配置し、その送信用アンテナを中子支持体の外周側の荷重支持面に配置した。
【００２８】
上記タイヤホイール組立体について、タイヤ内部情報収集装置からアンテナを介して送信される電波をタイヤ外部で受信しつつ、ランフラット走行での耐久試験を実施した。この耐久試験では、タイヤホイール組立体を排気量２．５リットルのＦＲ車の前右輪に装着し、そのタイヤ内圧を０ｋＰａ（前右輪以外は２００ｋＰａ）とし、時速９０ｋｍ／ｈで周回路を左廻りに走行し、走行不能になるまでの走行距離を測定した。
【００２９】
その結果、タイヤ内部情報収集装置からの電波は、ランフラット走行距離の９０％の時点で初めて受信されなくなった。このようにタイヤ内部情報収集装置からの送信がランフラット走行に伴って途絶えるので、その時点をランフラット走行の限界の指標とすることができる。
【００３０】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、空気入りタイヤの空洞部に設置される中子支持体に、電波を利用してタイヤ内部情報を送信するタイヤ内部情報収集装置を取り付けるにあたって、タイヤ内部情報収集装置の送信用アンテナを中子支持体の外周側の荷重支持面上に延設し、該荷重支持面の最も外周側の位置に配置したから、タイヤ内部情報収集装置をランフラット走行の限界を知らせる警報装置として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態からなるタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を示す断面図である。
【図２】フィルム状のアンテナの一例を示す斜視断面図である。
【図３】本発明の他の実施形態からなるタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造を示す断面図である。
【符号の説明】
１（ホイールの）リム
２ 空気入りタイヤ
３，１３ 中子支持体
３ａ 側壁部
３ｂ 溝部
４ 弾性リング
５ タイヤ内部情報収集装置
６ アンテナ
６ａ アンテナ基材
６ｂ 被覆材
Claims (2)
- 空気入りタイヤの空洞部に設置される中子支持体に、電波を利用してタイヤ内部情報を送信するタイヤ内部情報収集装置を取り付ける構造であって、前記タイヤ内部情報収集装置の送信用アンテナを前記中子支持体の外周側の荷重支持面上に延設し、該荷重支持面の最も外周側の位置に配置する構成にしたタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造。
- 前記アンテナを導電性のアンテナ基材と絶縁性の被覆材とから構成した請求項１に記載のタイヤ内部情報収集装置の取り付け構造。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002312942A JP3938354B2 (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | タイヤ内部情報収集装置の取り付け構造 |
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