JP3938346B2 - 投射型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、投射型表示装置、より詳細には、台形歪み補正手段を備えた投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2及び図3は、投射型表装置の位置に応じた投射画像の状態を説明するための図で、図中、10は投射型表示装置(プロジェクタ)、11はスクリーン、12は投射画像である。プロジェクタに代表される投射型表示装置10は、通常、図2に示すようにスクリーン11(あるいはその他の被画像投射手段)の正面(被投射面の法線方向)に設置し、スクリーン11に対して投射画像12を投射表示させるようにする。スクリーン11の正面から投射表示を行うことにより、歪みのない投射画像12を得ることができる。
【0003】
一方、スクリーン11の正面から投射を行うことができない場合に、例えば図3に示すように、スクリーン11に対して斜めに投射することになる。このとき投射画像12は、投射型表示装置10からの拡散光によって形成されているが、スクリーンの斜め方向から投射された投射画像において、その上下左右における投射光路の距離の違いにより、スクリーン11上における拡散光の倍率が不均一になり、得られた投射画像12が歪んだものとなってしまう。
【0004】
上記のごとくにスクリーン11に対して斜め方向から投射する場合、投射画像12の歪みを矩形(もしくは本来の所望の形状)に補正することが望ましい。投射画像の補正においては、従来は光学系を用いたレンズシフトや、画像処理を用いた補正方法が使用されている。レンズシフトによる補正方法は、上下左右の方向にレンズシフトを行って光学的に画像の歪みを補正する方法であり、例えば、特開2002−72351号公報にて記載されている。この補正方法は、機械的にレンズの位置を変えるため、画像の劣化が少ない補正を行うことができるが、物理的にレンズ等の可動範囲が制限されるため補正斜度も限られる上、機械的にレンズ等の位置を変える必要性が生じることからコスト高になるという問題がある。
【0005】
一方、上記の画像処理を用いた補正方法は、台形歪みを画像処理により補正するキーストン補正を用いるものであり、光学系を機械的に変更する必要がなく、補正斜度などの自由度が大きいという利点がある。しかし、この補正方法は、投射距離差により相対的に拡大される投射画像上の画素を、画像処理により小さくし、その処理画素に光源光を透過もしくは反射させて投射画像を形成しているため、補正前の投射画像に比べて暗くなるという問題が生じる。
【0006】
このような問題に対し、例えば、特開2000−10185号公報では、電気的に小さくして暗くなった画素に対して、クロック周波数を変えることにより上下方向の台形歪みと明るさとを共に補正するアルゴリズムが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開2000−10185号公報では、投射画像の上下方向における歪みの補正及びこのときの明るさの補正を行う方法が記載されているのみであり、投射画像の横方向ないし斜め方向についての歪み及び明るさ補正方法の記載はない。プロジェクタの設置場所に関する自由度を増すためには、投射画像の左右方向における歪みの補正は必要不可欠である。
【0008】
上記のごとくの画像処理を用いて投射画像を矩形に補正する場合、画像の左右方向も上下方向と同様に、投射時に拡大される割合に応じて画素が縮小されている。そのため、補正前後の画像を比較したとき、スクリーン上での大きさが等しいにもかかわらず、補正後の画像は、画素が縮小されている分、原画像を透過または反射する光量が少なくなり暗く表示されるという問題があった。
【0009】
本発明は上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、上下左右方向に及ぶ歪みを画像処理により補正する際に、均等な明るさの映像を投射することができる投射型表示装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の投射型表示装置は、被画像投射部に投射画像を形成する際、被投射部に対して斜方から投射を行う場合に、投射による画素の拡大率に応じて画素の大きさを変更することにより、投射画像の形状の歪みを補正する歪み補正手段と、その補正により生じる明るさの偏りを矯正し、投射画像を均一な明るさにする明るさ補正手段と、明るさの上限を変更することにより、明るさの補正レベルを調整可能とする補正レベル調整手段とを備える。このような構成により、投射画像の形状歪みの補正とともに、投射画像の明るさを均一化することができる。このとき、投射画像の形状補正は、画像のいずれの方向における歪みも補正可能である。さらに補正レベル調整手段を備えることにより、投射画像をユーザの趣向や好みに適応させることができる。
【0011】
上記の歪み補正手段は、1画素単位で入力される補正前の画像データを蓄積するラインメモリと、そのラインメモリに蓄積された画像データをライン単位で蓄積するキーストン用画像メモリと、投射型表示装置の設置条件に従って形状補正対象の画素の座標演算を行う歪み補正用座標演算回路と、歪み補正用座標演算回路で演算された座標情報を入力し、その座標情報に従ってキーストン用画像メモリのリード座標を制御し、そのリード座標に従ってキーストン用画像メモリから画像データを読み出すメモリコントローラと、メモリコントローラの制御に従ってキーストン用画像メモリから読み出された画像データを蓄えるブロックメモリと、そのブロックメモリからブロック単位で読み出したデータを補間して歪み補正画像を出力する積和演算フィルタ処理回路とにより実現される。
【0012】
また、上記明るさ補正手段は、上記の補正用座標演算回路によって算出された座標に基づいて画素の倍率を算出し、その倍率に応じて積和演算フィルタ処理回路から出力された画素データの明るさを補正する明るさ補正回路とを備えることにより実現される。
【0013】
また、上記の明るさ補正回路は、投射距離が長い画素すなわち倍率の最も大きな画素の明るさを上限とし、各画素の明るさを歪み補正用座標演算回路で算出した倍率に応じて減少させることにより、画素の明るさの補正を行う。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の投射型表示装置は、設置箇所の自由度を増やすべく上下左右方向の歪み補正を行うとともに、スクリーン上に投射された画像の明るさを均等に補正することができる。以下に、画像処理による上下左右方向の歪みの補正と、その歪み補正を利用した明るさの補正について説明する。
【0016】
図1は、本発明の投射型表示装置の一実施例を説明するためのブロック図である。補正前の投射画像においては、投射距離が遠いほど原画像を反射または透過する光が拡散するため拡大される。すなわち、原画像において、投射距離の増大に従って、画素の縮小度を大きくする補正を行う必要がある。
【0017】
歪み補正の準備段階として、1画素単位で入力される補正前の画像データをラインメモリ1に蓄積し、次にキーストン用画像メモリ2にライン単位で画像データを蓄える。平行して、歪み補正用座標演算回路4では投射型表示装置の設置条件に従う座標演算を行い、補正前画像における歪み補正対象の画素座標情報を算出し、算出した座標情報をメモリコントローラ3に渡す。
【0018】
メモリコントローラ3は、キーストン用画像メモリ2のリード座標(リードアドレス)を制御しており、そのリード座標に従ってキーストン用画像メモリ2からデータを読み出して、ブロックメモリ5に蓄える。ブロックメモリ5からブロック単位で読み出したデータは、積和演算フィルタ処理回路6により補間され歪み補正画像(Cr,Cb,Y)を出力する。
【0019】
また、歪み補正用座標演算回路4では歪み補正座標演算によって算出された座標をもとに各画素の移動量を算出し、その移動量を用いて各画素の倍率(補正によって縮小される倍率)を算出する。移動量は、補正前の画像と比較した際に生じるずれ量を示すものである。明るさ補正回路7は、投射距離が長く補正される割合の高い画素の明るさを上限とし、各画素の明るさ(輝度Y)を歪み補正用座標演算回路4で算出した倍率に応じて減少させることにより明るさの補正を行う。また、明るさの上限を操作することにより、投射画像全体の明るさ調整が可能となる。このような処理によって、画像処理による投射画像形状の補正と、このときの明るさの補正とを行うことができる。すなわち、投射型表示装置は、明るさの上限を変更することにより、明るさの補正レベルを調整可能とする補正レベル調整手段を備える。これにより投射画像をユーザの趣向や好みに適応させることができる。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明による投射表示装置によれば、プロジェクタの設置位置が、スクリーン等の被投射手段に対して正面ではなく、上下左右のいずれかにずれていても、投射画像を矩形(もしくは所望の形状)に補正し、かつ均等な明るさにすることができる。これにより、投射型表示装置の設置箇所の自由度が増し、ユーザは、均等な明るさに補正された映像を楽しむことができる。また、投射画像の明るさが調整できるため、投射画像をユーザの趣向や好みに適応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の投射表示装置の一実施例について説明するためのブロック図である。
【図2】 投射型表示装置を正面において投射した場合のスクリーン上の投射画像を概念的に示す図である。
【図3】 投射型表示装置を横において投射した場合のスクリーン上の投射画像を概念的に示す図である。
【符号の説明】
1…ラインメモリ、2…キーストン用画像メモリ、3…メモリコントローラ、4…歪み補正用座標演算、5…ブロックメモリ、6…積和演算フイルタ処理回路、7…明るさ補正回路、10…投射型表示装置(プロジェクタ)、11…スクリーン、12…スクリーン上に投射された画像(投射画像)。
Claims (4)
- 被画像投射部に対して斜方から投射を行う場合に、投射による画素の拡大率に応じて画素の大きさを変更することにより、投射画像の形状の歪みを補正する歪み補正手段を有する投射型表示装置において、前記補正により生じる明るさの偏りを矯正し、前記投射画像を均一な明るさにする明るさ補正手段と、明るさの上限を変更することにより、明るさの補正レベルを調整可能とする補正レベル調整手段と、を備えたことを特徴とする投射型表示装置。
- 請求項1に記載の投射型表示装置において、前記歪み補正手段は、1画素単位で入力される補正前の画像データを蓄積するラインメモリと、該ラインメモリに蓄積された画像データをライン単位で蓄積するキーストン用画像メモリと、該投射型表示装置の設置条件に従って形状補正対象の画素の座標演算を行う歪み補正用座標演算回路と、該歪み補正用座標演算回路で演算された座標情報を入力し、該座標情報に従って前記キーストン用画像メモリのリード座標を制御し、該リード座標に従って前記キーストン用画像メモリから画像データを読み出すメモリコントローラと、該メモリコントローラの制御に従って該キーストン用画像メモリから読み出された画像データを蓄えるブロックメモリと、該ブロックメモリからブロック単位で読み出したデータを補間して歪み補正画像を出力する積和演算フィルタ処理回路とを有することを特徴とする投射型表示装置。
- 請求項2に記載の投射型表示装置において、前記明るさ補正手段は、前記歪み補正用座標演算によって算出された座標に基づいて画素の倍率を算出する前記歪み補正用座標演算回路と、該歪み補正用座標演算回路で算出した倍率に応じて前記積和演算フィルタ処理回路から出力された画素データの明るさを補正する明るさ補正回路とを有することを特徴とする投射型表示装置。
- 請求項3に記載の投射型表示装置において、前記明るさ補正回路は、投射距離が長い画素の明るさを上限とし、前記歪み補正用座標演算回路で算出した各画素の倍率に応じて明るさを減少させることにより、画素の明るさの補正を行うことを特徴とする投射型表示装置。
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