JP3692940B2 - 台形歪み補正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロジェクタをスクリーンに対して斜め下方又は斜め上方に設置して、このプロジェクタからの画像をスクリーン上に投射した時にスクリーン上で生じる台形歪み画像を予め電気的に補正する台形歪み補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル・マルチメディア時代の到来と共に、テレビジョン放送もディジタル化が加速され、既に放送が行われているCSディジタル放送とか、ごく最近放送が実用化されたBSディジタル放送などの画像をスクリーン上に拡大して投射でき、更に、高精細度のコンピュータ画像もスクリーン上に拡大して投射できるカラー液晶ライトバルブを備えたプロジェクタが注目されている。
【0003】
ここで、前方投射型のプロジェクタは、通常、スクリーンの前方側に置かれ、且つ、プロジェクタ自身の存在がスクリーン上に投射した画像への鑑賞の妨げにならないように、プロジェクタをスクリーンに対して斜め下方又は斜め上方に設置している。具体的には、例えば部屋の壁面に対して平行な状態にスクリーンが設置され、一方、プロジェクタはスクリーンの前方で床上或いは天井から吊り下げた状態に設置することが多い。なお、以下の説明において、プロジェクタを床上に設置した場合のように、スクリーンに対して下方側から画像を投射することを「下方からの投射」と呼び、逆に、プロジェクタを天井からつり下げた状態に設置した場合のように、スクリーンに対して上方側から画像を投射することを「上方からの投射」と呼ぶことにする。
【0004】
図1はプロジェクタから画像をスクリーン上に拡大して投射した時に、スクリーン上で生じる台形歪み画像を説明するための図であり、(a)は下方からの投射による台形歪み画像を示し、(b)は上方からの投射による台形歪み画像を示した図、
図2は従来の台形歪み画像の補正方法を説明するための図であり、(a),(b)は図1(a),(b)に示した台形歪み画像をそれぞれ電気的に補正する場合を示した図である。
【0005】
ここで、図1(a)に示した如く、カラー液晶ライトバルブを備えたプロジェクタ10を床上に設置し、且つ、プロジェクタ10内の光源11からの光で表示部材となる液晶パネル12に表示した画像を投射レンズ13によりスクリーン14上に拡大して投射した場合に、プロジェクタ10の光軸10kとスクリーン14の中心位置の法線14hとが一致せずに、プロジェクタ10の光軸10kとスクリーン14の中心位置の法線14hとの間にあおり角αが存在するために、スクリーン14上には上辺の長さが底辺の長さより長い台形歪み(キーストーン歪み)画像DLが発生する。
【0006】
一方、図1(b)に示した如く、プロジェクタ10を天井から吊り下げた状態に設置した場合にも、プロジェクタ10の光軸10kとスクリーン14の中心位置の法線14hとが一致せずに、プロジェクタ10の光軸10kとスクリーン14の中心位置の法線14hとの間にあおり角βが存在するために、スクリーン14上には上辺の長さが底辺の長さより短い台形歪み(キーストーン歪み)画像DUが発生する。
【0007】
この際、プロジェクタ10の設置状態によって変化するあおり角α,βに応じて台形歪み画像DL,DUの発生状態も変化するものである。
【0008】
このようなことから、プロジェクタ10の光軸10kとスクリーン14の中心位置の法線14hとの間であおり角α(又はβ)が存在している場合において、スクリーン14上に台形歪み画像DL(又はDU)が生じないようにするために、従来より光学的な解決手法又は電気的な解決手法が各種提案されている。
【0009】
光学的な解決手法の代表的な例としては、プロジェクタ10の投射光学系に、あおり機構(例えばあおりレンズ等)を設け、当該あおり機構によるあおり角を調整することにより、スクリーン14上に発生する台形歪み画像DL(又はDU)を補正するような解決手法が存在するものの、あおり機構などがコスト高となるために、下記する電気的な解決手法が採用されている。
【0010】
ここで、電気的な解決手法の代表的な一例としては、例えば、特開平5−37880号公報に開示されているように、プロジェクタ10内の液晶パネル12に表示される投射前の原画像に対して例えば画素を間引いて、間引いた画素の分だけ両端にブランキング領域を付加している。
【0011】
即ち、プロジェクタ10を床上に設置した下方からの投射の場合に、図2(a)に示したように、液晶パネル12に表示される台形歪み補正用画像DLHは、図1(a)に示した台形歪み画像DLに対して上下が逆な台形になるように各ラインごとに画素を間引いて圧縮して、間引いた画素の分だけ両端にブランキング領域を付加した状態で投射している。
【0012】
一方、プロジェクタ10を天井から吊り下げて設置した上方からの投射の場合に、図2(b)に示したように、液晶パネル12に表示される台形歪み補正用画像DUHは、図1(b)に示した台形歪み画像DUに対して上下が逆な台形になるように各ラインごとに画素を間引いて圧縮して、間引いた画素の分だけ両端にブランキング領域を付加した状態で投射している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したように、プロジェクタ10をスクリーン14に対して斜め下方又は斜め上方に設置した時にスクリーン上で生じる台形歪み画像DL又はDUを、プロジェクタ10内の液晶パネル12に表示される原画像に対して予め電気的に補正する場合に、台形歪み補正処理した後の台形歪み補正用画像DLH又はDUHは、垂直方向に対して垂直縮小倍率に応じてライン数を間引いているにすぎないので垂直方向の隣り合うライン間で相関がなくなり、且つ、水平方向に対して各ラインごとに水平方向の画素数を間引いているにすぎないので隣り合う画素間でも相関がなくなるために、画素がずれた画像になり、画質を著しく劣化させた状態で台形歪み画像を電気的に補正することになり、スクリーン14上で良好な画質の投射画像が得られない。
【0014】
また、近年、プロジェクタ等を使用して投射するソースとしては、我が国の標準テレビジョン方式の映像信号であるNTSC信号(National Television System Committee)による標準画像のみならず、CSディジタル放送やBSディジタル放送などによる高画質のディジタルカラー画像とか、パーソナルコンピュータで取り扱われる高精細度のコンピュータ画像などが用いられるようになっている。
【0015】
本来、台形歪み補正処理を電気的に行う場合には、垂直方向のライン単位の処理と、水平方向の画素単位(ドット単位)の処理とを同時に行う2次元処理が合理的であるが、例えばパーソナルコンピュータで取り扱われるコンピュータ画像の一つであるSXGA(Super eXtended Graphics Array )画像は、垂直方向が1024ライン、水平方向が1280画素で矩形状の有効画像領域を形成し、且つ、SXGA信号の水平方向のクロック周波数が100MHz以上と高速になるため、台形歪み補正処理時に垂直方向及び水平方向を同時に2次元処理を行う場合に、とくに、水平方向の処理を画素単位(ドット単位)で高速に処理しなければならないため、大規模なあるいは複雑なハード構成を必要とするなどの問題がある。
【0016】
そこで、台形歪み補正処理を電気的に行う場合に、台形歪み補正処理した後の台形歪み補正用画像は、垂直方向の隣り合うライン間で相関があり、且つ、各ラインの水平方向の隣り合う画素間でも相関があり、しかも、垂直方向の補正処理と水平方向の補正処理とを別けて行うことで小規模なハード構成でも台形歪み補正を良好に行うことができる台形歪み補正装置が望まれている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、プロジェクタをスクリーンに対して斜め下方又は斜め上方に設置して、このプロジェクタ内の表示部材に表示した画像を前記スクリーン上に投射した時に該スクリーン上で生じる水平方向の台形歪み画像を予め電気的に補正する台形歪み補正装置において、
前記表示部材内の水平方向の隣り合う画素間隔値と、前記プロジェクタへのあおり角及び前記画像への水平縮小倍率又は水平拡大倍率とに応じて予めラインごとに設定され、且つ、各ラインの先頭画素よりもタイミングが早い時刻から画素補間を仮想的に開始するための補間開始タイミング値と、隣り合う補間画素間の補間画素間隔値とからなる水平歪み補正データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段より読み出した前記画素間隔値と前記補間開始タイミング値と前記補間画素間隔値とを用いて、各ラインの補間開始対象画素を設定するための制御信号と、前記補間開始対象画素に対する補間初期位相値とを生成して出力する信号生成・出力手段と、
各ラインごとに、前記信号生成・出力手段から出力された前記制御信号に基づく前記補間開始対象画素を基点として前記補間初期位相値の位置からを開始すると共に、前記補間画素間隔値ごとに画素を補間して前記台形歪み画像における水平歪を補正する補間フィルタ部とを備えたことを特徴とする台形歪み補正装置である。
【0018】
また、第2の発明は、上記した第1の発明の台形歪み補正装置において、
前記信号生成・出力手段は、
水平同期信号のタイミングで取り込んだマイナス値である前記補間開始タイミング値に対して前記補間画素間隔値を前記補間開始タイミング値がプラス値に転じるまで巡回加算して、プラス値を出力する倍率巡回加算ブロック部と、
前記倍率巡回加算ブロック部から出力されたプラス値が前記画素間隔値よりも小さい場合には、補間開始対象画素が先頭画素であることを指示する第1シフト信号を前記制御信号として出力し、且つ、前記プラス値をそのまま前記先頭画素への前記補間初期位相値として出力する一方、前記プラス値が前記画素間隔値よりも大きい場合には、補間開始対象画素が先頭画素の次の画素であることを指示する第2シフト信号を前記制御信号として出力し、且つ、前記プラス値から前記画素間隔値を引き算した値を前記次の画素への前記補間初期位相値として出力する補間初期位相検出ブロック部と、
前記補間初期位相検出ブロック部から出力された前記第1シフト信号又は前記第2シフト信号及び前記補間初期位相値と、前記補間画素間隔値とをそれぞれタイミング調整して前記補間フィルタ部へ出力するタイミング調整ブロック部とを備えたことを特徴とする台形歪み補正装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る台形歪み補正装置の一実施例を、図1,図3乃至図11を参照して、<台形歪み補正装置の全体構成及び全体動作>,<垂直歪み補正処理部>,<水平歪み補正処理部>の順に詳細に説明する。
【0020】
<台形歪み補正装置の全体構成及び全体動作>
図3は本発明に係る台形歪み補正装置の全体構成を示したブロック図、
図4は本発明に係る台形歪み補正装置の全体動作を説明するために模式的に示した図であり、(a)は原画像の画像配列を示し、(b)は垂直歪み補正処理による画像配列を示し、(c)は垂直歪み補正処理及び水平歪み補正処理を経て最終的に生成される台形歪み補正用画像の画像配列を示した図、
図5は本発明に係る台形歪み補正装置を用いて、垂直歪み補正処理時及び水平歪み補正処理時に液晶パネル内の垂直方向のライン間及び各ラインの水平方向の画素間を所定数で分割して、この分割により垂直方向の補間位相値及び水平方向の補間位相値を得る際の基本的な考え方を示した図である。
【0021】
図3に示した如く、本発明に係る台形歪み補正装置20は、カラー液晶ライトバルブなどを用いたプロジェクタ10(図1)に適用され、このプロジェクタ10をスクリーン14(図1)に対して斜め下方又は斜め上方に設置して、プロジェクタ10から画像をスクリーン14上に拡大して投射した時にスクリーン14上で生じる台形歪み画像を予め電気的に補正するものである。この際、プロジェクタ10は斜め下方又は斜め上方に設置することで、スクリーン14に対して図1(a)又は図1(b)に示したあおり角α又はあおり角βが与えられており、このあおり角α又はあおり角βと、画像への垂直縮小倍率及び水平縮小倍率に応じて台形歪み補正用画像が得られるように構成されている。
【0022】
尚、画像への垂直縮小倍率及び水平縮小倍率に代えて、画像への垂直拡大倍率及び水平拡大倍率に応じて台形歪み補正用画像を得ることも可能であり、これについては後述する。
【0023】
上記した本発明に係る台形歪み補正装置20は、入力画像データから垂直同期信号VD及び水平同期信号HDなどを生成して装置全体の制御を行うと共に、画像の垂直方向を垂直縮小倍率に応じてライン数を間引きながら補間ラインを生成するための垂直歪み補正データと、画像の水平方向をラインごとの水平縮小倍率に応じて画素数を間引きながら画素補間するための水平歪み補正データとをプロジェクタ10のスクリーン14へのあおり角α(又はβ)に応じて記憶したメモリテーブル31を備えた制御部30と、プロジエクタ10内の液晶パネル12に表示する入力画像データに対して、垂直方向の台形歪み補正処理をライン単位で行う垂直歪み補正処理部40と、垂直方向の台形歪み補正処理を行った後に水平方向の台形歪み補正処理を各ラインごとに画素単位(ドット単位)で行う水平歪み補正処理部50と、垂直歪み補正処理及び水平歪み補正処理後の画像データを一時的に蓄積して、ここに蓄積した画像データを所定のタイミングで出力する先入れ先出し(FIFO)のメモリ部60とから概略構成されている。
【0024】
この際、垂直歪み補正処理部40と水平歪み補正処理部50とに別けてそれぞれ独立して行うことにより、パーソナルコンピュータで取り扱われる際に高速処理が必要なSXGA画像などに対して台形歪み補正処理の高速化とハード規模の小型化を実現している。
【0025】
また、垂直歪み補正処理部部40は、垂直方向のライン数を垂直縮小倍率に従って間引きながらライン間隔を画素補間によりフィルタリング処理し、水平歪み補正処理部部50は、各ラインの水平方向に画素数を水平縮小倍率に従って間引きながら画素間隔を画素補間によりフィルタリング処理することで、隣り合う上下のライン間に対して相関性を持たせ、且つ、各ラインの水平方向の隣り合う画素間でも相関性を持たせている。
【0026】
尚、上記構成による台形歪み補正装置20では、入力画像データに対して垂直方向の台形歪み補正処理を先に行った後に水平方向の台形歪み補正処理を行っているが、これに限ることなく、水平方向の台形歪み補正処理を先に行った後に垂直方向の台形歪み補正処理を行うように垂直歪み補正処理部と水平歪み補正処理部の順序を入れ替えて構成することも可能である。
【0027】
次に、プロジェクタ10をスクリーン14に対して例えば斜め下方の床上に設置した下方からの投射の場合において、垂直歪み補正処理と水平歪み補正処理の概念について、図4(a)〜(c)を用いて説明する。
【0028】
図4(a)に示した如く、液晶パネル12内は垂直方向にMライン(M画素)、水平方向にN画素を有するものとし、この液晶パネル12に入力画像データをそのまま表示した場合には、M×N個の画素による原画像が得られる。
【0029】
一方、図4(b)に示した如く、入力画像データに対して台形歪み補正装置20内の垂直歪み補正処理部40により垂直方向の台形歪み補正処理をライン単位で行った場合には、液晶パネル12の垂直方向のラインは下方から上方に向かって垂直縮小倍率が除々に増加した画像となる。
【0030】
更に、図4(c)に示した如く、垂直方向の台形歪み補正処理を行った後に、水平歪み補正処理部50により水平方向の台形歪み補正処理を各ラインごとに画素単位(ドット単位)で行った場合には、液晶パネル12の水平方向の各画素は水平縮小倍率が下方が小さく、上方に向かうにつれて大きくなり、スクリーン上で生じた台形歪み画像を予め逆補正した状態の台形歪み補正用画像DHLが得られる。
【0031】
次に、台形歪み補正装置20を用いて、垂直歪み補正処理時及び水平歪み補正処理時に液晶パネル12内の垂直方向のライン間及び各ラインの水平方向の画素間を所定数で分割して、この分割により垂直方向の補間位相値及び水平方向の補間位相値を得る際の基本的な考え方について、先に図5を用いて述べておく。
【0032】
図5に示した如く、液晶パネル12の矩形状の有効画像領域内には、SXGA画像に対応して垂直方向に1024ライン(1024画素)が設けられて各ラインにラインアドレスが10ビット以上を用いて付与されている。一方、水平方向には1280画素が設けられていて各画素に対して画素番号が11ビット以上を用いて付与されている。尚、水平方向は各ラインの中央部を中心にして左右対称に水平方向の画素補間処理が可能である。
【0033】
また、垂直方向のライン間隔(=上下の画素間隔)及び各ラインの水平方向の隣り合う画素間隔は共に一定の間隔kに設定されており、且つ、一定の間隔k内を所定数として例えば32段階に分割することで、k/32を位相値への単位値(=1ステップ値)として、この分割値を5ビットを用いたステップ数で表示している。
【0034】
そして、垂直方向に画素補間処理する時には、垂直方向の各ラインの画素データを起点として32分割したうちの分割値Yを垂直方向の補間位相値として各ラインごとに設定すれば、一つのラインに対する位相値Yと、この一つのラインに一番近い次のラインまでの残りの分割値は(32−Y)となっている。
【0035】
同様、水平方向に画素補間処理する時には、各ラインの水平方向の各画素を起点として32分割したうちの分割値Xを水平方向の補間位相値として各画素ごとに設定すれば、一つの画素に対する位相値Xと、この一つの画素に一番近い次の画素までの残り分割値は(32−X)となっている。
【0036】
尚、実施例ではライン間及び画素間を所定数で分割する際に、SXGA画像に対応しては32分割が良好であることを確認して設定したが、画像の画質精度に応じて分割数Nを適宜設定すれば良い。
【0037】
<垂直歪み補正処理部>
図6は本発明に係る台形歪み補正装置において、垂直歪み補正処理部を示したブロック図、
図7は垂直歪み補正処理部により垂直歪み補正処理を行った際の補間ラインを説明するための図である。
【0038】
図6に示した垂直歪み補正処理部40は、本出願人から先に提案した特願平11−359746号に基づくものであり、プロジェクタ10(図1)により液晶パネル12に表示される原画像をそのままスクリーン14に拡大して投射した時に発生することになる台形歪み画像に対して、特に画像の垂直方向についての台形歪みを補正するための垂直歪み補正処理を入力画像データに対して施すために、補間フィルタ部41と、ラインメモリ42と、補間データ切換部43と、ラインカウンタ44と、比較器45とを備えている。
【0039】
上記した垂直歪み補正処理部40において、入力画像データは、補間フィルタ部41に送られる。上記した補間フィルタ部41は、入力画像データのうちで各ラインごとの垂直方向の画像データに対して補間位相値Yに基づいて補間ラインのデータを生成するための垂直フィルタを備えている。
【0040】
ここで、制御部30(図3)はプロジェクタ10のスクリーン14へのあおり角α(又はβ)と、画像への垂直縮小倍率とに応じて画像の垂直方向のラインを補間する垂直歪み補正データとして、11ビットを用いて表示される補間対象の各ラインアドレスBと、各ラインアドレスBと対をなして5ビットを用いて表示される垂直方向の補間位相値Yとをメモリテーブル31(図3)から読み出して、各ラインアドレスBを比較器45に供給すると共に、垂直方向の補間位相値Yを補間フィルタ部41に供給している。
【0041】
尚、この実施例では、メモリテーブル31(図3)に記憶されている垂直歪み補正データは、プロジエクタ10{図1(a)}による下方から投射時のあおり角αと、垂直縮小倍率とに応じて予め算出されたものである。
【0042】
また、制御部30(図3)は入力画像データから垂直同期信号VD及び水平同期信号HDを生成して、ここで生成した垂直同期信号VD及び水平同期信号HDをラインカウンタ44に供給している。そして、ラインカウンタ44は、垂直同期信号VD及び水平同期信号HDに基づいて入力画像データのライン数をカウントし、そのカウント値を入力ラインのアドレスAとして比較器45に送っている。
【0043】
上記した比較器45は、ラインカウンタ44から供給された入力ラインのアドレスA(カウント値)と、メモリテーブル31(図3)から供給された補間対象の各ラインアドレスBとを順次比較し、この比較の結果、両者のアドレス値が一致した時(A=Bの時)に、補間フィルタ部41にて生成する補間ラインのデータが有効であることを示すイネーブル信号をラインメモリ42と補間データ切換部43とに知らせている。
【0044】
一方、補間フィルタ部41には、メモリテーブル31(図3)から補間対象の各ラインアドレスBと対をなす垂直方向の補間位相値Yが順次供給されており、補間対象のラインアドレスBのラインとこの近傍のラインとの間で補間位相値Yに基づいて補間ラインのデータが生成される。
【0045】
即ち、補間フィルタ部41における入力画像データの補間ラインのデータを生成する方法として、図7を用いて2点の直線補間を例に挙げて説明する。ここで、2点の直線補間は、隣り合う上下のラインの画像データを補間位相値の比率に応じて演算して、この比率で隣り合う上下のラインを駆動することで、仮想的に補間ラインが生成されるものである。
【0046】
図7に示すように、入力画像データは、ラインアドレス00,01,02,……の順に、1水平ライン毎の画像データ[00],[01],[02],……がライン単位で補間フィルタ部41に順次入力される。
【0047】
そして、補間フィルタ部41では、垂直方向の2点補間として、まず、補間対象の00ライン目の画像データ[00]と、01ライン目の画像データ[01]との間で補間演算を行う。この際、図5で説明したように、隣り合うライン間を例えば32分割した場合、00ライン目の画像データ[00]に対して垂直方向の補間位相データとなる分割値Yは2ステップ数に予め設定されているので、次のラインまでの残りの分割値は(32−Y)ステップ数=30ステップ数となる。従って、補間フィルタ部41で補間ラインの画像データ[00’]を生成する際に下記式の演算が行われる。
[00’]=([00]×2+[01]×30)÷32
【0048】
次に、01ライン目と02ライン目との間では、補間対象のラインが設定されていないので、ラインが間引かれることになる。
【0049】
次に、補間対象の02ライン目の画像データ[02]と、03ライン目の画像データ[03]との間で補間演算を行う場合には、02ライン目の画像データ[02]に対して垂直方向の補間位相値となる分割値Yは19ステップ数に予め設定されているので、次のラインまでの残りの分割値は(32−Y)ステップ数=13ステップ数となる。従って、補間フィルタ部41で補間ラインの画像データ[01’]を生成する際に下記式の演算が行われる。
[01’]=([02]×19+[03]×13)÷32
【0050】
以下、同様にして、ライン数が垂直縮小倍率に対応した補間対象の各ラインアドレスBに従って間引かれながらライン間を補間することで、補間ラインの画像データ[00’],[01’][02’],[03’],……の順で以降の各ラインについても補間ラインが生成される。
【0051】
そして、補間フィルタ部41から出力された各補間ラインの画像データは、比較器45からのイネーブル信号が出された都度にラインメモリ42に一時的に蓄えられて、補間データ切換部43に順次出力されている。
【0052】
次に、補間データ切換部43では、比較器45からのイネーブル信号が出された都度にラインメモリ42から順次出力された補間ラインの画像データを後述する水平歪み補正処理部50に出力する一方、イネーブル信号が出されない場合には任意に設定したconstantデータを水平歪み補正処理部50側に出力している。この際、任意に設定したconstantデータは、垂直歪み補正処理で縮小された画像の有効ライン以外のラインをマスキングするためのデータである。そして、垂直歪み補正処理部40により垂直歪み補正処理を行った画像データは先に説明した図4(b)の状態が得られる。
【0053】
上記した垂直歪み補正処理部40では、画像への垂直縮小倍率に対応した補間対象のラインアドレスBのラインと、この近傍のラインとの間で補間位相値Yに基づいて補間ラインを生成して垂直方向の台形歪みを補正することで、垂直方向の隣り合う補間ライン間で相関性を持たせることができるので、従来例で説明したような垂直歪み補正処理時に単純な画素間引きで発生する垂直方向の画質劣化を押さえることができる。
【0054】
<水平歪み補正処理部>
図8は本発明に係る台形歪み補正装置において、水平歪み補正処理部を示したブロック図、
図9は水平歪み補正処理部により水平直歪み補正処理を行う際の水平直歪み補正データを説明するための図、
図10は水平歪み補正処理部により水平直歪み補正処理を行う際の水平直歪み補正データを一覧表に示した図、
図11は水平歪み補正処理部により水平直歪み補正処理を行う動作を示した図である。
【0055】
図8に示した水平歪み補正処理部50は、プロジェクタ10(図1)により液晶パネル12に表示される原画像をそのままスクリーン14に拡大して投射した時に発生することになる台形歪み画像に対して、特に画像の水平方向についての台形歪みを補正するための水平歪み補正処理を垂直歪み補正処理部40からの画像データに対して施すために、倍率巡回加算ブロック部51と、補間初期位相検出ブロック部52と、水平ブランキング検出ブロック部53と、タイミング調整ブロック部54と、補間フィルタ部55と、ラインメモリ56とを備えている。
【0056】
ここで、水平歪み補正処理部50で水平歪み補正処理を施す際、図9に示したように、各ライン中で隣り合う画素間の一定の間隔k内は前述したように例えば32段階に分割されており、1/32×kを単位ステップ数(=1ステップ数)として以下説明すると、隣り合う画素間の画素間隔値GKは各ライン共に32ステップ数となり、且つ、この画素間隔値GKは図10に示したように制御部30(図3)内のメモリテーブル31に記憶されている。
【0057】
また、図9に示したように、各ライン中で先頭画素となる00番目の画素よりもタイミングが早い時刻から画素補間を仮想的に開始するものとすると、この補間開始タイミング値−HSは、各ライン中の00番目の画素を起点としてマイナス(−)方向に向かって各ラインごとにマイナス値である補間開始タイミング値−HSのステップ数がプロジエクタ10{図1(a)}による下方から投射時のあおり角αに応じて予め設定されており、且つ、この補間開始タイミング値−HSも図10に示したように制御部30(図3)内のメモリテーブル31に記憶されている。
【0058】
また、各ラインごとに水平縮小倍率が予め設定されており、この水平縮小倍率は、図9に示したように、各ライン中で水平方向に画素補間した補間画素間隔値HGKに置換して表示されている。そして、各ラインの補間画素間隔値HGKのステップ数がプロジエクタ10のあおり角αに応じて予め設定されており、且つ、この補間画素間隔値HGKも図10に示したように制御部30(図3)内のメモリテーブル31に記憶されている。ここで、補間画素間隔値HGKと画素間隔値GKとが一致している場合には水平縮小倍率は1であり、補間画素間隔値HGKが画素間隔値GKよりも大きくなればなるほど水平縮小倍率が大きくなり、水平縮小倍率が大きくなればなるほど水平方向の画素数が多く間引かれて画素補間が行われることになる。
【0059】
また、各ライン中で水平方向に画素補間する際に、各画素に対する水平方向の補間位相値Xのうちで、最初の補間対象画素に対する補間位相値を補間初期位相値XFと以下呼称すると、最初の補間対象画素は、後述するように先頭画素となる00番目の画素か、あるいは、先頭画素の次の画素となる01番目の画素のいずれかであり、この時の水平方向の補間初期位相値XFは図8に示した水平歪み補正処理部50内の倍率巡回加算ブロック部51と、補間初期位相検出ブロック部52とにより算出されるようになっている。
【0060】
この際、水平歪み補正処理時に、各ライン中で補間対象の各画素に対する補間位相値Xを予め算出してメモリに記憶させ、補間対象の画素とこの近傍の画素との間で補間位相値Xに基づいて各画素ごとに画素補間を行う方法でも同じ結果が得られるものの、この方法を採用するとメモリ容量が莫大となるため、この実施例では、各ラインの補間初期位相値XFと、この補間初期位相値XFを起点として、同一ライン中では同じ間隔で画素補間をするための補間画素間隔値HGKとを記憶させることでメモリ容量を削減している。
【0061】
図8に戻り、水平歪み補正処理部50内の倍率巡回加算ブロック部51は、セレクタ51Aと、加算器51Bと、比較器51Cと、DFF(Dフリップフロップ)51Dとで巡回加算を行うように構成されている。
【0062】
そして、倍率巡回加算ブロック部51のセレクタ51Aには、制御部30(図3)内のメモリテーブル31から各ラインごとに読み出された補間開始タイミング値−HSがマイナス値のステップ数として入力される。上記したセレクタ51Aは、入力された補間開始タイミング値−HSと下記する巡回加算値−JAとのいずれかを水平同期信号HDのタイミングで選択して、選択した一方の値−HS又は−JAを加算器51Bに供給している。
【0063】
次に、加算器51Bには、制御部30(図3)内のメモリテーブル31から各ラインごとに読み出された補間画素間隔値HGKが入力されており、この補間画素間隔値HGKは前述したように各ラインの水平縮小倍率に応じてステップ数が予め設定されたものである。そして、加算器51Bでは、セレクタ51Aで選択した一方の値−HS又は−JAに補間画素間隔値HGKを加算して、加算結果を比較器51Cに入力し、比較器51Cでここに予め入力した0値に対して加算結果を比較して加算結果が0値以上のプラス値のステップ数に転じたらこのプラス値のステップ数を補間初期位相検出ブロック部52と水平ブランキング検出ブロック部53とに出力する一方、加算結果が0値より小さいマイナス値となった巡回加算値−JAのステップ数であればDFF(Dフリップフロップ)51Dを介して加算結果をセレクタ51Aに戻し、加算器51Bの加算結果がプラス値に転じるまで巡回加算される。この際、補間画素間隔値HGKを何回加えることで加算結果がプラス値に転じるかを示すために巡回回数Nが図10に示した如く計数できる。
【0064】
即ち、セレクタ51Aは、補間開始タイミング値−HSが入力された時にはこの補間開始タイミング値−HSを加算器51Bに供給して、加算器51Bで補間開始タイミング値−HSと補間画素間隔値HGKとを加算して、この加算結果がマイナス値の巡回加算値−JAであれば、この巡回加算値−JAがセレクタ51Aに巡回されて次のタイミングでセレクタ51Aは巡回加算値−JAを選択し、加算器51Bでの加算結果が比較器51Cでプラス値のステップ数に転じるまで巡回加算を繰り返すことになる。従って、比較器51から出力されるプラス値のステップ数は、各ラインの00番目の画素を起点としてマイナス方向に設定した補間開始タイミング値−HSとは逆の方向で、00番目の画素を起点してプラス方向のステップ数の値が得られることになる。
【0065】
次に、水平歪み補正処理部50内の補間初期位相検出ブロック部52は、比較器52Aと、セレクタ52Bと、減算器52Cとで構成されている。
【0066】
ここで、補間初期位相検出ブロック部52内の比較器52A及びセレクタ52B並びに減算器52Cには、倍率巡回加算ブロック部51の比較器51Cから出力されたプラス値のステップ数が入力される。更に、補間初期位相検出ブロック部52内の比較器52A及び減算器52Cには、制御部30(図3)内のメモリテーブル31から読み出された画素間隔値GKとして32ステップ数が予め入力されている。
【0067】
ここで、補間初期位相検出ブロック部52の比較器52Aでは、予め入力した画素間隔値GK=32ステップ数に対して、倍率巡回加算ブロック部51の比較器51Cから出力されたプラス値のステップ数が画素間隔値GK=32ステップ数より大きいか否かを問い、このプラス値のステップ数が画素間隔値GKよりも小さい場合には第1シフト信号S=0を出力し、大きい場合には第2シフト信号S=1を出力し、この第1シフト信号S=0又は第2シフト信号S=1でセレクタ52Bを制御すると共に、更に、第1シフト信号S=0又は第2シフト信号S=1をタイミング調整ブロック部54内のタイミング調整器54Aを介してタイミング調整して補間フィルタ部55に入力している。
【0068】
この際、補間フィルタ部55に入力される第1シフト信号S=0又は第2シフト信号S=1は、補間開始対象画素を設定するための制御信号として機能しており、第1シフト信号S=0が入力された場合には補間開始対象画素は各ライン共に00番目の画素となり、一方、第2シフト信号S=1が入力された場合には補間開始対象画素は各ライン共に01番目の画素となるものである。
【0069】
また、第1シフト信号S=0がセレクタ52Bに供給された時に、セレクタ52Bは倍率巡回加算ブロック部51の比較器51Cから出力された画素間隔値GK=32ステップ数より小さいプラス値のステップ数をそのままセレクタ52Bからタイミング調整ブロック部54内のタイミング調整器54Bを介してタイミング調整して、画素間隔値GK=32ステップ数より小さいプラス値のステップ数を水平方向の補間初期位相値XFとして補間フィルタ部55に入力しており、ここで得られた水平方向の補間初期位相値XFは補間開始対象画素として上記したように00番目の画素に対応するものである。
【0070】
一方、第2シフト信号S=1がセレクタ52Bに供給された時に、セレクタ52Bは減算器52Cに入力した倍率巡回加算ブロック部51の比較器51Cから出力された画素間隔値GK=32ステップ数より大きいプラス値のステップ数から画素間隔値GK=32ステップ数を引き算して、画素間隔値GK=32ステップ数より小さくなった引き算結果のステップ数をタイミング調整ブロック部54内のタイミング調整器54Bを介してタイミング調整して、引き算した結果のステップ数を水平方向の補間初期位相値XFとして補間フィルタ部55に入力しており、ここで得られた水平方向の補間初期位相値XFは補間開始対象画素として上記したように01番目の画素に対応するものである。
【0071】
また、制御部30(図3)内のメモリテーブル31から各ラインごとに読み出された補間画素間隔値HGKは、タイミング調整ブロック部54内のタイミング調整器54Cを介してタイミング調整して、タイミング調整後の新たな補間画素間隔値HGK−NEWとして補間フィルタ部55に入力している。この際、タイミング調整後の新たな補間画素間隔値HGK−NEWは、メモリテーブル31に記憶された補間画素間隔値HGKのステップ数と同じステップ数であり、単にタイミング調整がなされたものである。
【0072】
また、倍率巡回加算ブロック部51内の比較器51Cから出力された0値以上(プラス値)のステップ数が水平ブランキング幅生成制御信号HBとして水平ブランキング検出ブロック部53内のカウンタ53Aに入力され、且つ、このカウンタ53Aに水平同期信号HDも入力されている。そして、カウンタ53Aは水平同期信号HDのタイミングでリセットされて、水平ブランキング幅生成制御信号HBによりカウントを停止することで、各ラインごとに倍率巡回加算ブロック部51内の比較器51Cから出力された0値以上(プラス値)のステップ数を水平ブランキング幅値として算出して、タイミング調整ブロック部54内のパルス生成及び遅延部54Dに供給している。この後、タイミング調整ブロック部54内のパルス生成及び遅延部54Dでは、水平ブランキング幅値に基づいてラインメモリ56へのリセット信号Rを生成している。
【0073】
上記から、補間フィルタ部55では、第1シフト信号S=0又は第2シフト信号S=1,水平方向の補間初期位相値XF,タイミング調整後の新たな補間画素間隔値HGK−NEWに基づいて、垂直歪み補正処理部40から出力した画像データに対して各ラインごとに画素補間することにより水平歪み補正処理を施して、イネーブル信号が出力された時に各ラインごとにラインメモリ56に一時的に蓄積し、この後、ラインメモリ56から各ラインの画像データを図3に示したメモリ部(FIFO)60に順次蓄積しており、以下、具体的に説明する。
【0074】
図9及び図10に示したように、プロジェクタ10{図1(a)}の下方からの投射時のあおり角αと、画像への水平縮小倍率とに応じて、制御部30(図3)内のメモリテーブル31には水平歪み補正データとして画素間隔値GK,補間開始タイミング値−HS,補間画素間隔値HGKが予め記憶されている。
【0075】
まず、00ライン目では、隣り合う画素間隔値GK=32ステップ数、補間開始タイミング値−HS=−84ステップ数、補間画素間隔値HGK=56ステップ数に予め設定されているので、図8に示した倍率巡回加算ブロック部51で2回の巡回加算により、この倍率巡回加算ブロック部51内の比較器51Cからの出力値がプラスのステップ数に転じることになり、即ち、−HS+HGK+HGK=−84+56+56=28のステップ数が倍率巡回加算ブロック部51で得られる。
【0076】
この後、図8に示した補間初期位置検出ブロック部52内の比較器52Aでは、倍率巡回加算ブロック部51で得らえられた28ステップ数に対して、画素間隔値GK=32ステップ数と比較して、倍率巡回加算ブロック部51で得らえられた28ステップ数が画素間隔値GKより小さいので、比較器52Aから第1シフト信号S=0がセレクタ52Bと補間フィルタ部55とに供給される。ここで、セレクタ52Bは第1シフト信号S=0の制御信号により倍率巡回加算ブロック部51で得らえられた28ステップ数をそのまま補間初期位相値XF=28ステップ数として補間フィルタ部55に出力する。
【0077】
従って、図9及び図11に示した如く、補間フィルタ部55では00ライン目に対して、入力された第1シフト信号S=0により、補間開始対象画素が00ライン目の00番目の画素であり、この00番目の画素を起点として補間初期位相値XF=28のステップ数になる位置から補間を開始し、この補間初期位置から補間画素間隔値HGK=56ステップ数ごとに00ラインに沿って画素補間をすることで00ライン目に対して水平歪み補正が行われる。
【0078】
次に、01ライン目では、隣り合う画素間隔値GK=32ステップ数、補間開始タイミング値−HS=−77ステップ数、補間画素間隔値HGK=54ステップ数に予め設定されているので、上記した00ライン目と同様に、倍率巡回加算ブロック部51で2回の巡回加算により、この倍率巡回加算ブロック部51内の比較器51Cからの出力値がプラスのステップ数に転じることになり、即ち、−HS+HGK+HGK=−77+54+54=31のステップ数が倍率巡回加算ブロック部51で得られる。
【0079】
この後、補間初期位置検出ブロック部52では、倍率巡回加算ブロック部51で得らえられた31ステップ数が画素間隔値GK=32ステップ数より小さいので、上記した00ライン目と同様に、第1シフト信号S=0と、補間初期位相値XF=31ステップ数とが補間フィルタ部55に出力される。
【0080】
従って、図9に示した如く、補間フィルタ部55では01ライン目に対して、入力された第1シフト信号S=0により、補間開始対象画素が01ライン目の00番目の画素であり、この00番目の画素を起点として補間初期位相値XF=31ステップ数になる位置から補間を開始し、この補間初期位置から補間画素間隔値HGK=54ステップ数ごとに01ラインに沿って画素補間をすることで01ライン目に対して水平歪み補正が行われる。
【0081】
次に、02ライン目では、隣り合う画素間隔値GK=32ステップ数、補間開始タイミング値−HS=−70ステップ数、補間画素間隔値HGK=52ステップ数に予め設定されているので、上記した00ライン目及び01ライン目と同様に、倍率巡回加算ブロック部51で2回の巡回加算により、この倍率巡回加算ブロック部51からの出力値がプラスのステップ数に転じることになり、即ち、−HS+HGK+HGK=−70+52+52=34のステップ数が倍率巡回加算ブロック部51で得られる。
【0082】
この後、補間初期位置検出ブロック部52内の比較器52Aでは、倍率巡回加算ブロック部51で得らえられた34ステップ数に対して、画素間隔値GK=32ステップ数と比較して、倍率巡回加算ブロック部51で得らえられた34ステップ数が画素間隔値GKより大きいので、比較器52Aから第2シフト信号S=1がセレクタ52Bと補間フィルタ部55とに供給される。ここで、セレクタ52Bは第2シフト信号S=1の制御信号により減算器52Cで倍率巡回加算ブロック部51で得らえられた34ステップ数に対して画素間隔値GK=32ステップ数を引き算した結果のステップ数、即ち、34−32=2のステップ数を補間初期位相値XF=2ステップ数として補間フィルタ部55に出力する。
【0083】
従って、図9及び図11に示した如く、補間フィルタ部55では02ライン目に対して、入力された第2シフト信号S=1により、補間開始対象画素が02ライン目の01番目の画素であり、この01番目の画素を起点として補間初期位相値XF=2ステップ数になる位置から補間を開始し、この補間初期位置から補間画素間隔値HGK=52ステップ数ごとに02ラインに沿って画素補間をすることで02ライン目に対して水平歪み補正が行われる。
【0084】
以下、上記したように、第1シフト信号S=0の場合は、各ライン共に、00番目の画素に対する補間初期位相値XFから画素補間を開始して、各ラインの補間画素間隔値HGKごとに水平歪み補正処理を施し、一方、第2シフ信号S=1の場合は、各ライン共に、01番目の画素に対する補間初期位相値XFから画素補間を開始して、この開始位置から次々と補間画素間隔値HGKごとに画素補間して水平歪み補正処理を施している。
【0085】
この際、図9に示したように、各ラインでの補間開始位置は二点鎖線で示した矢印Hに沿って00ライン目及び01ライン目では00番目の画素が補間開始対象画素になり、02ライン目〜05ライン目までは01番目の画素が補間開始対象画素になり、06ライン目〜12ライン目までは00番目の画素が補間開始対象画素になり、全体的には図4(c)に示したような台形歪み補正用画像DHLがメモリ部60(図3)に記憶される。
【0086】
尚、各ラインの水平歪み補正処理は、各ラインの中央部まで上記のように行い、この中央部を中心に左右対称に行えば図4(c)に示したような台形歪み補正用画像DHLが得られるものである。
【0087】
上記した水平歪み補正処理部50では、ラインごとに補間を仮想的に開始する補間開始タイミング値−HSを変え、且つ、ラインごとに補間初期位相値XFを変え、更に、ラインごとに画像への水平縮小倍率と等価である補間画素間隔値HGKを変えて各ラインごとに画素補間を施して水平方向の台形歪みを補正することで、水平方向の各ラインの隣り合う補間画素間で相関性を持たせることができるので、従来例で説明したような水平歪み補正処理時に単純な画素間引きで発生する水平方向の画質劣化を押さえることができる。
【0088】
以上詳述した本発明に係る台形歪み補正装置では、垂直歪み補正処理部40及び水平歪み補正処理部50共に、2点の直線補間を例として挙げて垂直方向の補間ラインの生成及び各ラインの水平方向の画素補間を説明したが、補間時にライン数,画素数を増やした4点補間処理にも応用可能である。
【0089】
更に、台形歪み補正用画像DHLを得る際に、プロジェクタ10のスクリーン14へのあおり角α(又はβ)と、垂直方向及び水平方向に対する垂直縮小倍率及び水平縮小倍率とに応じて台形歪み補正処理を行うように説明したが、上記と逆に、プロジェクタ10のスクリーン14へのあおり角α(又はβ)と、垂直方向及び水平方向に対する垂直拡大倍率及び水平拡大倍率とに応じて台形歪み補正処理を施すことも可能である。このように、入力画像データに対して画像を拡大しながら台形歪み補正処理を行う場合には、入力画像データを事前にメモリに蓄積しておき、このメモリから垂直拡大倍率に応じてライン数が増加する方向に垂直歪み補正処理を施し、且つ、水平拡大倍率に応じて水平方向の画素数が増加する方向に水平歪み補正処理を施せば良いものである。
【0090】
【発明の効果】
以上詳述した本発明に係る台形歪み補正回路によると、とくに、水平歪み補正処理部では、ラインごとに補間を仮想的に開始する補間開始タイミング値を変え、且つ、ラインごとに補間初期位相値を変え、更に、ラインごとに画像への水平縮小倍率又は垂直拡大倍率と等価である補間画素間隔値を変えて各ラインごとに画素補間を施して水平方向の台形歪みを補正することで、水平方向の各ラインの隣り合う補間画素間で相関性を持たせることができるので、従来例で説明したような水平歪み補正処理時に単純な画素間引きで発生する水平方向の画質劣化を押さえることができる。また、水平歪み補正処理部では、画素間隔値と、各ラインの補間開始タイミング値と補間画素間隔値とをメモリテーブルに記憶させておけば良いので、メモリテーブルの記憶容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プロジェクタから画像をスクリーン上に拡大して投射した時に、スクリーン上で生じる台形歪み画像を説明するための図である。
【図2】従来の台形歪み画像の補正方法を説明するための図である。
【図3】本発明に係る台形歪み補正装置の全体構成を示したブロック図である。
【図4】本発明に係る台形歪み補正装置の全体動作を説明するために模式的に示した図である。
【図5】本発明に係る台形歪み補正装置を用いて、垂直歪み補正処理時及び水平歪み補正処理時に液晶パネル内の垂直方向のライン間及び各ラインの水平方向の画素間を所定数で分割して、この分割により垂直方向の補間位相値及び水平方向の補間位相値を得る際の基本的な考え方を示した図である。
【図6】本発明に係る台形歪み補正装置において、垂直歪み補正処理部を示したブロック図である。
【図7】垂直歪み補正処理部により垂直歪み補正処理を行った際の補間ラインを説明するための図である。
【図8】本発明に係る台形歪み補正装置において、水平歪み補正処理部を示したブロック図である。
【図9】水平歪み補正処理部により水平直歪み補正処理を行う際の水平直歪み補正データを説明するための図である。
【図10】水平歪み補正処理部により水平直歪み補正処理を行う際の水平直歪み補正データを一覧表に示した図である。
【図11】水平歪み補正処理部により水平直歪み補正処理を行う動作を示した図である。
【符号の説明】
10…プロジェクタ、
11…光源、12…液晶パネル、13…投射レンズ、14…スクリーン、
20…台形歪み補正装置、
30…制御部、31…メモリテーブル、
40…垂直歪み補正処理部、
41…補間フィルタ部41、42…ラインメモリ、43…補間データ切換部、
44…ラインカウンタ、45…比較器、
50…水平歪み補正処理部、
51…倍率巡回加算ブロック部、52…補間初期位相検出ブロック部、
53…水平ブランキング検出ブロック部、54…タイミング調整ブロック部、
55…補間フィルタ部、56…ラインメモリ、
60…メモリ部、
α,β…あおり角、
GK…画素間隔値、−HS…補間開始タイミング値、
HGK…補間画素間隔値、
Y…垂直方向の補間位相値、
X…水平方向の補間位相値、XF…水平方向の補間初期位相値、
S=0…第1シフト信号、S=1…第2シフト信号。
Claims (2)
- プロジェクタをスクリーンに対して斜め下方又は斜め上方に設置して、このプロジェクタ内の表示部材に表示した画像を前記スクリーン上に投射した時に該スクリーン上で生じる水平方向の台形歪み画像を予め電気的に補正する台形歪み補正装置において、
前記表示部材内の水平方向の隣り合う画素間隔値と、前記プロジェクタへのあおり角及び前記画像への水平縮小倍率又は水平拡大倍率とに応じて予めラインごとに設定され、且つ、各ラインの先頭画素よりもタイミングが早い時刻から画素補間を仮想的に開始するための補間開始タイミング値と、隣り合う補間画素間の補間画素間隔値とからなる水平歪み補正データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段より読み出した前記画素間隔値と前記補間開始タイミング値と前記補間画素間隔値とを用いて、各ラインの補間開始対象画素を設定するための制御信号と、前記補間開始対象画素に対する補間初期位相値とを生成して出力する信号生成・出力手段と、
各ラインごとに、前記信号生成・出力手段から出力された前記制御信号に基づく前記補間開始対象画素を基点として前記補間初期位相値の位置からを開始すると共に、前記補間画素間隔値ごとに画素を補間して前記台形歪み画像における水平歪を補正する補間フィルタ部とを備えたことを特徴とする台形歪み補正装置。 - 前記信号生成・出力手段は、
水平同期信号のタイミングで取り込んだマイナス値である前記補間開始タイミング値に対して前記補間画素間隔値を前記補間開始タイミング値がプラス値に転じるまで巡回加算して、プラス値を出力する倍率巡回加算ブロック部と、
前記倍率巡回加算ブロック部から出力されたプラス値が前記画素間隔値よりも小さい場合には、補間開始対象画素が先頭画素であることを指示する第1シフト信号を前記制御信号として出力し、且つ、前記プラス値をそのまま前記先頭画素への前記補間初期位相値として出力する一方、前記プラス値が前記画素間隔値よりも大きい場合には、補間開始対象画素が先頭画素の次の画素であることを指示する第2シフト信号を前記制御信号として出力し、且つ、前記プラス値から前記画素間隔値を引き算した値を前記次の画素への前記補間初期位相値として出力する補間初期位相検出ブロック部と、
前記補間初期位相検出ブロック部から出力された前記第1シフト信号又は前記第2シフト信号及び前記補間初期位相値と、前記補間画素間隔値とをそれぞれタイミング調整して前記補間フィルタ部へ出力するタイミング調整ブロック部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の台形歪み補正装置。
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