JP3937493B2 - 全周流衝動水車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水車発電機のための全周流衝動水車に係り、特に小形・高速でしかも振動や騒音も小さくできる水車に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の竪軸形水車発電機の下部構造を示している。すなわち、鉛直方向へ伸びる回転軸11が軸受12を介して回転自在に支持され、回転軸11の下端には放射方向へ伸びる複数のブレード13aを有するランナ13が固着される一方、回転軸11の上端は図示しない発電機に連動連結されている。そして、高所から落下する水を誘導して回転軸11のまわりを水が回りながらランナ13のブレード13aに噴射されるようにするため、円周流路14を形成するケーシング15が設けられる。このケーシング15は、入口から流入した水が徐々に断面積の小さくなる円周流路14を通って回転軸11のまわりを回るようにフランシス水車と同様な渦巻状に形成される。ケーシング15はボルト16を介して軸受12に結合され、ケーシング15に結合した中間シールリング17及びシール18を介して回転自在に、回転軸11がケーシング15を貫通している。
円周流路14を流れる水を円周流路14の内側からブレード13aへ向かって斜め下方へ落下させるための放出流路が図6の展開図にも示すように円周に沿って等間隔に4箇所形成される。
即ち、ケーシング15の内側が下方へ向かって円周全体に亘って開口しており、この円周に沿って開口する部分には略リング状のガイドベーン19が回動可能に設けられるとともにベーン押え20により抜け止めされ、また、ガイドベーン19と円周流路14との間にはステーベーン21がケーシング15と一体に形成されている。ガイドベーン19には放射方向へ向かって1本の操作レバー22が形成され、操作レバー22は図示しないサーボモータに連動連結されている。23は排出案内筒、24はケーシングボスである。
【0003】
かかる構造にあって、回転軸11と一体に回転するランナ4、ケーシング15から水を案内するステーベーン21及びこのステーベーン21の水を調整する開閉可能なガイドベーン19に着目すると、図6の展開図に示すように、ステーベーン21には案内羽根21aが形成されて水を流す放出流路21bと水を流さない閉塞部21cとが夫々4ケ所形成される一方、ガイドベーン19にも案内羽根19aが形成されて水を流す放出流路19bと水を流さない閉塞部19cとが夫々4ケ所形成されている。案内羽根19aは案内羽根21aと略平行に設けられ、案内羽根19aと水平面とのなす角度である吐水角θは、θ=10°〜30°の範囲内で設定されるが、一般的には15°〜25°の範囲で設定すると最も効率が良くかつ構成上で有利になる。
ケーシング15の入口フランジ15aから流入した水は、円周流路14内を流れ、回転軸11をとりまくように一周しながら、ステーベーン21及びガイドベーン19の4ケ所の放出流路21b,19bよりランナ13のブレード13aへ向かって放出される。つまり、ランナ13の全周にわたって4ケ所から均等に水が放出されることになる。この場合、図示しないサーボモータにより操作レバー22を操作すると、ガイドベーン19が回転軸11を中心として回動し、ステーベーン21が固定されていることから、ステーベーン21の放出流路21bにガイドベーン19の閉塞部19cが重なると放出流路は閉じた状態になり、ランナ13へ向かって水が流れなくなる。ステーベーン21の放出流路21bにガイドベーン19の放出流路19bが完全に重なると放出流路は全開の状態となり、ランナ13は最高の回転数になる。放出流路21bの幅Lだけガイドベーン19を回動させることにより、ランナ13へ向かって流れる水の量を0から最大値まで変化させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の全周にわたる衝動水車にあっては、ガイドベーン19が全開となって放出流路19の水量が最大になっても閉塞部21c,19cの存在によりランナ13に水が流入できない部分が生じ、換言すると図6に示す4ケ所の閉塞部19cにて水が流入されず、ランナに対して水が断続しあるいは脈動することになり、このためランナ13の疲労や振動・騒音の発生原因となる。
また、閉塞部21c,19cの存在は、通水路の縮小をもたらし、ランナ13への流入水量の低下をもたらすものであり、ランナ回転に必要な圧力や速度のエネルギが得られにくいという事態も生ずるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑み、水の断続や脈流を抑え、ランナに必要な回転エネルギを得るようにした全周流衝動水車の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成する本発明は次の構成を特徴とする。
エルボ形のケーシングと、内部に仕切りとなる、水を分割するように断面山形に形成された静止弁体を有する先すぼまりのテーパケーシングと、上記静止弁体に対応する弁体を有しこの弁体間にガイドベーンを有しこの弁体及びガイドベーンに水流出口が全周にわたるように傾斜をつけた回動可能な先すぼまりのスピードリングと、を順に連通し、上記スピードリングの水流出口にランナを備え、前記静止弁体と前記弁体の一致による水路全開にて水流が前記ランナの全周に行きわたるように構成したことを特徴とする。
【0007】
[作用]
水流通路面積を先細りとして圧力や速度を増大させたことにより噴流のランナへの衝突エネルギを低下させないで済み、また、弁体やガイドベーンに傾斜を付けてその水流出口を全周均一になるようにしているので、水流の断続部分が無く偏荷重の発生を抑えることができる。
【0008】
【実施例】
ここで、図1〜図4を参照して本発明の実施例を説明する。図1は全体の構成を示すもので、軸流れ全周流衝動水車を示している。
図1において、50は水を案内するエルボ形のケーシング、51はこのケーシング50のエルボ部分を貫いている水車軸、52は水車軸の軸筒である。ケーシング50のエルボ外側には、水車軸受53が備えられると共に水車軸51の下端にはもうひとつの軸受である水車案内軸受54が備えられている。
ケーシング50の下部には、先端方向にすぼまった形状のテーパケーシング55が備えられ、このテーパケーシング55内には図2に示すような底が平らでケーシング50に向って突出する山形断面の静止弁体55aが備えられている。
【0009】
テーパケーシング55の下部には、流量調整用のスピードリング56が更に先端方向にすぼまった形状を有して備えられており、このスピードリング56内には、テーパケーシング55内の静止弁体55aと対応してテーパケーシング55側が平らで図中下方に突出して傾斜する弁体56a(図2参照)が備えられると共にこの弁体56aの間に同様に傾斜したガイドベーン56b(図2参照)が備えられる。このガイドベーンは水の流れを整え水車に対して所定角の水流を噴出させるものである。なお、図中57はスピードリング56を回動可能に支持する案内リングである。
更に、水車軸51と一体に回転するランナ58がスピードリング56の下方に備えられており、ランナ58には支持のためのボス58a、外リング58b、ランナベーン58cが備えられる。
【0010】
かかる構造にあってエルボ内より流出した水流は、先すぼまりのテーパケーシング55やスピードリング56によって速度や圧力が増大され、開いているガイドベーン56b間の放出流路を通ってランナ58のランナベーン58cに衝突することになる。この場合、スピードリング56の旋回操作を行なうことによって、テーパケーシング55内の静止弁体55aとスピードリング56内の弁体56aとがずれることになり放出流路が変化し狭まることになる。
【0011】
図2はテーパケーシング55、スピードリング56、ランナ58の全体と、A−A,B−B,C−C各矢視図を示している。この図2から判明するように、静止弁体55aは水を分割するように断面山形に形成され、この静止弁体55aに対応するスピードリング56内の弁体56aは傾斜が付けられており、更に弁体56a間のガイドベーン56bにも同じ傾斜が着けられている。そして、静止弁体55a、弁体56aの一致による水路全開にて弁体56a、ガイドベーン56bの傾斜によって水流はランナ58の全周に行きわたるようになっており、全部のランナベーン58cに水流が噴出されることになる。
【0012】
図3に示す展開図をも参照して水流の状態等動作につき述べるに、エルボのケーシング50から流入した圧力水は、軸方向流れとなってテーパケーシング55内に入り弁体55aによって水流が分割される。
分割された水流はスピードリング56内に流れ込み、弁体56aが静止弁体55aと同一位置にて重なっているときには、ガイドベーン56b間の放出流器(開口)が最大となり、逆に弁体55a,56aがずれて開口を塞ぐときには流量が零となる。すなわち、スピードリング56の旋回によって弁体55aと56aとがずれることで流量調整が可能となる。
【0013】
スピードリング56に流入した水は、弁体56a、ガイドベーン56bにて案内されて所定方向に向って噴出される。ここにおいて、静止弁体55aと弁体56aとにより得られる通水路面積は、弁の重なりによって全周の略半分となり縮小される。最大流量が流れる状態にてこの状況であり弁体55aと56aがずれると通水路面積は更に縮小される。
スピードリング56に流れ込んだ水は、弁体56aとガイドベーン56bとに案内され、スピードリング56の外筒部分がテーパ状にすぼまっていることによる速度が大きな流れとなり、しかもスピードリング56の入口では軸方向の水流であった流れが出口では図3に示すαの角度となって周方向の流れとなる。この結果、流路がテーパケーシング55及びスピードリング56によって大幅に縮小されることから、通水路面積の縮小を補って圧力や速度が増大し、圧力エネルギが速度エネルギに変換されてランナ58に噴出されることになる。
【0014】
ランナ58内ではブレード58cが所定の角度に構成されており、スピードリング56の出口から吐出角αにて噴出した水は、図4に示す如く周速u1 にて回転しているランナ56に流速v1 にて流れ込むことになり、このためランナ上では相対速度w1 にて流れ込む。
ブレード58c内では流れの方向は変更され、出口にて相対速度w2 にて吐出するので回転周速をu2 とすると吐出速度はv2 となる。
このランナ58の出口では、スピードリング56の入口で流水口が全周の半分以下であったものが弁全開にて全周となり、全周均一の流れが得られる。
水はランナ58の中で方向を変え出口へと向うことから、ここでは周方向の速度エネルギがランナ58の回転トルクとなり、この後水は略軸方向近くの向きとなって流出し速度エネルギはランナ58の回転トルクとして効率良く受渡される。
【0015】
これまでの説明では、弁体55a,56aを周方向に4個備えた例を示したのであるが、分割数を増大しても同様の効果が得られる。
また、図1に示す構成は竪軸形のみならず、横軸形でも適用することが可能である。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば次の効果がある。
(1)エルボを用いたケーシング,テーパケーシング,先細りのスピードリングにて水流をしぼっているため、弁体により通水路面積が縮小しても圧力や速度の増大によりランナの回転エネルギを得ることができ、小形,大容量,高速の水車が得られる。また、このために作り易く経済的に安価な水車が得られる。
(2)弁体とガイドベーンとによる傾斜構造によりランナ全周に均一に噴流が流れることになり、水車軸に偏荷重がなくランナの肉厚を薄くでき、運転時の振動や騒音も抑えられる。またこのため軸,軸受,ハウジング,ケーシングにつき経済設計することができる。
また、エルボ形ケーシングにて向きを自由に変えられることから竪軸,横軸いずれも適用でき据付部の構造上の制約が少なく、据付面積も最小で済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の全体構成図。
【図2】テーパケーシング,スピードリング,ランナを主に示した構成図。
【図3】流路展開図。
【図4】ランナ部の水流と力の加わり方の説明図。
【図5】従来例の全体構成図。
【図6】従来例の流路展開図。
【符号の説明】
50 ケーシング
51 水車軸
55 テーパケーシング
55a 静止弁体
56 スピードリング
56a 弁体
56b ガイドベーン
58 ランナ
58c ランナベーン
Claims (1)
- エルボ形のケーシングと、内部に仕切りとなる、水を分割するように断面山形に形成された静止弁体を有する先すぼまりのテーパケーシングと、上記静止弁体に対応する弁体を有しこの弁体間にガイドベーンを有しこの弁体及びガイドベーンに水流出口が全周にわたるように傾斜をつけた回動可能な先すぼまりのスピードリングと、を順に連通し、上記スピードリングの水流出口にランナを備え、前記静止弁体と前記弁体の一致による水路全開にて水流が前記ランナの全周に行きわたるように構成したことを特徴とする全周流衝動水車。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP02863397A JP3937493B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | 全周流衝動水車 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH10227277A JPH10227277A (ja) | 1998-08-25 |
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JP02863397A Expired - Fee Related JP3937493B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | 全周流衝動水車 |
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-
1997
- 1997-02-13 JP JP02863397A patent/JP3937493B2/ja not_active Expired - Fee Related
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