JP3937229B2 - 金属粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属粉末の製造方法、及びこの金属粉末の製造方法に適用することができる金属原料成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニオブやタンタルなどの高融点レアメタルは、融点が高いだけでなく、高温では化学的に活性であるため、塊状の金属を粉末状にするのには高度な技術が必要である。このようなレアメタルの製造方法として、金属を溶解して得た金属の液体を噴霧することにより粉末化するアトマイズ法は有効な粉末製造法の一つであるが、レアメタルのような高融点金属を溶解するために高価な装置が必要である。
また、レアメタルと水素を反応させ、いったん水素化物にして、これを機械的に粉砕するHDH法(水素化・粉砕・脱水素法)があるが、この方法は微細で均一な粒度の粉末の製造が困難である。
【0003】
現在、タンタルなどの高融点金属は、コンデンサ用の素材として粉末状のものが工業的に製造されているが、この粉末は、主として活性な金属を還元剤として利用して原料を還元する金属熱還元法により製造されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。金属熱還元法を利用すると、還元反応により直接粉末状のタンタルを直接製造できる利点がある。しかし、還元反応で均一な粉末を多量に効率良く製造することは難しく、特に反応量を増大させると得られる粉末の均一性が低下するという欠点がある。
【0004】
現状では多量のハライド系の溶融塩を反応媒体(希釈塩)として利用し、この反応媒体に原料および還元剤を少量ずつ添加することにより均一な還元反応を進行させることにより粉末状のタンタルを製造している。この方法は、高純度で均一な粉末を製造するのに適しているが、多量の反応媒体塩を必要とすること、プロセスの大型化・高速化が困難であるといった難点を抱えている。
【0005】
ニオブについても上記方法により多量の反応媒体塩を利用する方法で還元すれば均一な粉末が得られるが、タンタルの製法と同様に、反応媒体塩を用いずに還元する場合は、均一な粉末を得ることが困難である。
【0006】
【非特許文献1】
「資源と素材」,泉知夫, 109, (1993) 1181-1186.
【非特許文献2】
「金属」,泉知夫, 72 (2002), 216-220.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであって、金属化合物から高純度の金属粉末を効率よく製造することができ、好ましくは連続的に得ることができる金属粉末の製造方法を提供することを目的としている。
また本発明は、上述の製造方法に用いて好適な金属原料成形体を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の金属粉末の製造方法は、ニオブ化合物又はタンタル化合物からなる金属化合物を原料とし、前記金属化合物を還元して金属を製造する方法であって、前記金属化合物を粘結剤及び還元助剤と混合して、成形した後、焼成して金属原料成形体を作製する成形工程と、前記金属原料成形体を反応容器内に収容するとともに当該反応容器の壁面と非接触状態に配置し、当該反応容器内にて還元剤としての活性金属の蒸気と接触させることにより、前記金属原料成形体を還元して、前記金属原料成形体と略同一形状の金属ニオブ又は金属タンタルの成形体を生成する還元工程と、を含むことを特徴とする。
また本発明の金属粉末の製造方法は、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、希土類金属、およびアクチノイド金属から選択される金属元素の化合物を原料とし、前記金属化合物を還元して金属を製造する方法であって、前記金属化合物を粘結剤及び還元助剤と混合して、成形した後、焼成して金属原料成形体を作製する成形工程と、前記金属原料成形体を反応容器内に収容するとともに当該反応容器の壁面と非接触状態に配置し、当該反応容器内にて還元剤としての活性金属の蒸気と接触させることにより、前記金属原料成形体を還元して、前記金属原料成形体と略同一形状の前記ジルコニウム、チタン、ハフニウム、希土類金属、およびアクチノイド金属から選択される金属の成形体を生成する還元工程と、を含むことを特徴とする。
上記金属粉末の製造方法にあっては、前記金属化合物としてニオブ化合物を用いることができる。あるいは、前記金属化合物としてタンタル化合物を用いることができる。あるいは、前記金属化合物として、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、希土類金属、およびアクチノイド金属から選択される金属元素の化合物を用いることができる。あるいはまた、上記ニオブ化合物として、酸化ニオブ又はハロゲン化ニオブを用いることができる。
【0009】
次に、本発明に係る金属粉末の製造方法においては、金属原料成形体を作製する前記成形工程において、金属化合物と、粘結剤と、還元助剤としての活性金属化合物とを混合し、金属原料成形体を成形することができる。
次に、本発明に係る金属粉末の製造方法においては、前記還元剤として、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の活性金属を用いることが好ましい。
次に、本発明に係る金属粉末の製造方法においては、前記還元助剤として、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の活性金属の化合物を用いることが好ましい。
次に、本発明に係る金属粉末の製造方法においては、前記還元工程における成形体の温度を、600℃以上1300℃以下とすることが好ましい。
次に、本発明に係る金属粉末の製造方法においては、前記成形工程において、金属原料成形体内部の任意の位置から成形体表面までの距離が10mm以下である形状に、金属原料成形体を成形することが好ましい。
次に、本発明に係る金属粉末の製造方法では、前記還元工程で生成した金属と、活性金属及び副生成物とを、酸処理により分離する工程をさらに含むことが好ましい。
【0010】
次に、本発明に係る金属原料成形体は、金属化合物と粘結剤とを混合し、成形後焼成してなる金属原料成形体であって、前記成形体内部の任意の位置から成形体表面までの距離が、10mm以下であることを特徴としている。
次に、本発明に係る金属原料成形体は、前記金属化合物が、ニオブ、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、タンタル、希土類金属、およびアクチノイド金属から選択される金属元素の化合物原料を含む構成とすることができる。
次に、本発明に係る金属原料成形体においては、前記金属化合物の成形体が、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の金属の化合物を還元助剤として含む構成とすることができる。
次に、本発明に係る金属原料成形体においては、前記還元助剤が、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の金属の酸化物、ハロゲン化物、もしくは炭酸塩であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る金属粉末の製造方法では、金属原料に用いる金属化合物として、ニオブ化合物、タンタル化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、ハフニウム化合物、希土類金属化合物、あるいはアクチノイド金属化合物を用いることができる。以下に、本発明に係る金属粉末の製造方法の一例として、ニオブ化合物を用いてニオブ粉末を製造する方法について、具体的に説明する。
本発明に係るニオブ粉末の製造方法は、ニオブ化合物を原料とし、該ニオブ化合物を還元してニオブを製造する方法であって、前記ニオブ化合物を粘結剤と混合し、所定形状に成形した後、焼成してニオブ原料成形体を作製する成形工程と、前記ニオブ原料成形体と活性金属とを接触させることにより前記ニオブ化合物を還元してニオブを生成する還元工程と、を含むことを特徴としている。前記ニオブ化合物として、酸化ニオブ又はハロゲン化ニオブを用いることができる。
【0012】
本発明のニオブ粉末の製造方法にあっては、前記活性金属として、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、カリウムから選ばれる1種以上の金属を用いることが好ましい。このような活性金属を用いてニオブ原料成形体の還元を行うことで、効率よく還元反応を進行させることができる。さらに前記活性金属として、マグネシウムを用いると、最も効率よく還元反応を進行させることができるため、特に好ましい。
【0013】
前記還元工程における成形体の温度は、600℃以上1300℃以下とすることが好ましい。成形体の温度が600℃未満では、還元剤の蒸気圧が低く、還元反応が十分に進行しない傾向にあり、成形体の温度が1300℃を超えると、生成するニオブ粉末の焼結が進行する傾向がある。
また、前記還元工程において、活性金属を気化させた状態でニオブ原料成形体と接触させることが好ましい。この場合、還元装置内に、ニオブ原料成形体を通気性が保たれるように配置し、還元反応を行わせることが好ましい。例えば、複数のニオブ原料成形体を縦位置に支持するための支持部材と加熱装置とを有する還元装置内に、この支持部材を用いてニオブ原料成形体を縦位置に配置し、活性金属を還元装置の底部、もしくは支持部材上、もしくは隣接するニオブ原料成形体の間に配置し、加熱装置により還元装置を加熱することにより、活性金属を気化させ、ニオブ原料成形体と接触させて還元反応を行わせることができる。このように、還元装置内に、ニオブ原料成形体を通気性が保たれるように配置することにより、気化した活性金属が均一に拡散するため、ニオブ原料成形体と活性金属とをより均一に接触させることができ、時間的・空間的に還元反応がより均一に進行し、還元効率を高めることができる。また、ニオブ原料成形体が還元装置に直接接触することが無いため、還元装置からの汚染を防ぐことができ、得られるニオブ粉末の純度を高めることができる。
【0014】
また、前記ニオブ原料成形体を作製する成形工程において、ニオブ化合物と、粘結剤とに加えて、還元助剤としての活性金属化合物をさらに混合し、ニオブ原料成形体を成形することもできる。前記還元助剤としての活性金属化合物は、粘結剤としても利用することができるが、ニオブ粉末の析出形態を制御し、酸処理効率を高めるために用いることもできる。このように、ニオブ原料成形体を、ニオブ化合物と粘結剤に加えて、還元助剤としての活性金属化合物を混合して作製することにより、還元工程における反応がより均一に促進され、製造効率を高めることができる。さらに、前記還元助剤の種類及び還元助剤の配合量を調節することにより、生成されるニオブ粉末の粒径を制御することも可能である。また、反応容器からの汚染を効果的に防止することができる。
【0015】
前記還元助剤として、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の活性金属の化合物を用いることが好ましく、これらの金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、水酸化物、塩化物、及び/又はフッ化物を用いることがより好ましい。このような活性金属化合物を還元助剤として含む成形体を用いることで、還元工程の反応効率及び均一性をより高めることができる。
【0016】
さらに、前記成形工程において、作製されるニオブ原料成形体の形状を、成形体内部の任意の位置から成形体表面までの距離が10mm以下となるように成形することが好ましい。上記の「成形体内部の任意の位置から成形体表面までの距離」とは、成形体の内部の任意の位置から最短距離にある表面までの距離を示している。当該製造方法における還元工程においては、ニオブ原料成形体表面から内部へ還元剤が拡散し、成形体に含まれるニオブ化合物が還元されることとなる。従って、成形体の形状を前記の形状とするならば、還元反応終了時点において成形体表面からの還元剤の最大の拡散距離は10mm以下となり、成形体表面から成形体内部に拡散される還元剤の拡散処理が部位により著しく異なることがなく、成形体全体においてニオブ原料を均一かつ高速に還元することができる。
【0017】
さらに、前記ニオブ粉末の製造方法では、前記還元工程で生成したニオブと、還元剤、還元助剤、及び副生成物とを、酸処理により分離する工程をさらに含むことができる。酸処理により分離する工程を設けることにより、目的物であるニオブと、還元剤、還元助剤、及び還元反応に伴い生じる副生成物とを、容易に分離することができ、高純度のニオブを大量に製造することができる。また、本発明に係る製造方法では、ニオブ原料成形体を反応に供するため、還元後にも前記成形体の形状がほぼ保持される。このため、後段の工程において高いハンドリング性が得られるのに加え、この還元後の成形体に対して酸処理を行うことで、効率よく還元剤及び副生成物を除去することができるという利点も有する。
【0018】
上述した従来のレアメタルの製造において、均一な粉末が得られない最大の理由は、還元量を増大させると原料中への還元剤の拡散が不均一となり、原料の部位によって時間的・空間的に還元反応の進行具合に不均一さが生じるためであると考えられる。これに対して、本発明に係るニオブ粉末の製造方法では、ニオブを生成するためのニオブ原料と、粘結剤(バインダ)、及び/又は還元助剤を混合してニオブ原料成形体を作製し、これに活性金属を接触させることにより還元反応を行わせているので、還元量を増大させても、時間的・空間的に還元反応を均一に進行させることができる。また、還元装置内にニオブ原料成形体を設置して還元反応を進行させることで、還元プロセスの連続化、大型化、バッチ処理の効率化を簡便な装置で行うことができる。すなわち、従来の金属熱還元反応では、プロセスの連続化や高速化が困難であったが、前記ニオブ粉末の製造方法で用いられるニオブ原料の成形体は、その製造が容易であるとともに、熱処理、還元、洗浄等の処理に際してのハンドリング性にも優れ、工程の流れ作業を容易に達成できる特徴があるため、容易にプロセスを連続化、大型化することができる。また、従来の方法では、原料の量を増大させると得られる粉末が不均一となることが多く、生産性が低かったが、本製造方法によれば、得られる粉末の粒径の均一性を保ちつつ、還元プロセスの大型化、高速化を容易に達成することができ、生産性を高めることができる。
【0019】
次に、本発明の第一の実施形態を図面を参照してさらに詳細に説明する。図1は、本発明に係る金属の製造装置の一例を示す断面図である。
図1に示す製造装置は、ステンレス鋼などの耐熱材からなる密閉容器である反応容器10と、反応容器10内に配設された複数の平板状の金属原料成形体12と、これらの成形体12を縦位置に支持するために成形体12の上下に設けられた支持部材13,14とを備えて構成されている。そして、反応容器10の底部には、成形体12の金属原料を還元するための還元剤である活性金属15が導入されている。尚、図示した反応容器10は加熱手段を備えず、外部の加熱手段を用いて容器ごと加熱するような構成となっているが、反応容器10内を所定温度に加熱し、活性金属15を気化させるための加熱手段は、当該反応容器10内に設けることができる。
そして、上記構成の製造装置では、前記外部又は内部に配設した加熱手段による加熱で活性金属15を気化させるとともに、反応容器10中に活性金属15の気体を拡散させ、成形体12の表面から内部へ還元剤である活性金属15を拡散させることにより成形体12に含まれる金属化合物を還元して金属を生成することができるようになっている。
【0020】
本発明に係るニオブ粉末の製造方法では、上述の製造装置を用いた金属熱還元法によりニオブを製造することができる。前記ニオブ粉末を製造するために、まず、成形工程において、原料であるニオブ化合物を含むニオブ原料成形体を作製する。この成形体は、ニオブ原料と粘結剤(バインダ)と還元助剤とを混合して所定形状に成形した後、好ましくは、300〜1000℃、より好ましくは800〜1000℃程度の温度で、焼成して粘結剤を除去することにより得られる。前記焼成温度が300℃未満では、十分に粘結剤を除去することができず、続く還元工程における反応効率が低下し、得られる粉末の純度が低下する傾向にあり、1000℃を超えると、焼結が急激に進行して、ニオブ原料成形体が大きく変形する傾向にある。また、この焼成工程は、成形体の寸法や加熱温度等にも依存するが、1〜12時間、より好ましくは1〜6時間程度、さらに好ましくは3〜6時間程度行うことが好ましい。また、焼成を行う場合には、大気中又は酸素雰囲気中で行うのがよい。
【0021】
ニオブ原料としては、例えば、Nb2O5、NbOx(ニオブの低級酸化物であって、Xは0.5〜2.5であることが好ましい)、NbCl5、K2NbF7等のニオブ化合物を用いることができる。前記ニオブ原料成形体中におけるニオブ原料の配合量は、10質量%以上、より好ましくは50質量%以上であることが好ましい。前記ニオブ原料の配合量が10質量%以上であれば、還元反応が十分に行われるが、前記ニオブ原料の配合量が50質量%未満である場合、酸処理等によってニオブ粉末を分離する際に、酸の使用量が増大してリーチング効率が低下する傾向にある。
【0022】
粘結剤としては、還元反応に無関係で、熱処理により容易に除去することができるものであれば問題なく適用することができ、例えば、コロジオンやセルロースなどの有機化合物を用いることができる。また、粘結剤として還元助剤を利用することもでき、ニオブ原料及び還元助剤と混合することで、成形体を成形することもできる。前記ニオブ原料成形体中における粘結剤の配合量は、5〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは30〜50質量%とするのがよい。前記粘結剤の配合量が5質量%未満、あるいは80質量%を超える場合、成形体の強度が低下し、成形体の形成が困難になる傾向にある。
【0023】
還元助剤は、必要に応じてニオブ原料及び粘結剤に添加され、これらとともに成形体を構成する。成形体中にこの還元助剤を分散しておくことで、還元工程における反応効率を高め、ニオブ原料の還元をより均一に行うことが可能となる。この還元助剤としては、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の金属の化合物を用いることが好ましく、これらの金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、水酸化物、塩化物、及び/又はフッ化物を用いることがより好ましい。
具体的には、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、もしくは塩化ナトリウムなどを単独で、あるいは混合して、用いることができる。前記還元助剤の配合量は、成形体中に含まれるニオブ1モルに対して、還元助剤中におけるカチオンが0〜2モル、より好ましくは0.5〜1モルとなるように配合することが好ましい。成形体中におけるカチオンが2モルを超える場合、生成したニオブを酸処理等により分離する際に、酸洗浄に用いる酸の量が増大し、リーチング効率が低下する傾向にある。
【0024】
また、上記成形工程において作製される成形体の形状としては、成形体内部の任意の位置から成形体表面までの最短の距離が、10mm以下、より好ましくは2〜5mmである形状とすることが好ましい。このような形状とすることで、後述する還元工程において成形体表面から内部に向かって拡散する還元剤の拡散距離を10mm以下とすることができるので、還元反応を高速かつ均一に進行させることができる。より具体的には、例えば板状、線状、粒状等の形状が挙げられ、板状とする場合に上記の条件に合致するためには板厚を20mm以下とすれば良く、線状であれば長さ方向の中心線に直交する断面における外周と中心との距離が10mm以下となるようにすればよい。また、粒状とする場合には、その直径が20mm以下となるようにすればよい。
【0025】
次に、上記工程により得られた成形体を、図1に示すように反応容器10内に成形体12として導入する。図1では成形体12を板状又は線状とし、これらを縦位置に支持した場合について図示しているが、容器内における成形体12の配置状態は、図示の配置に限定されず、成形体の形状に応じて適宜変更することができる。
また、反応容器10内の底部に、還元剤である活性金属15を導入しておく。この活性金属15としては、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属を用いることが好ましい。図示した製造装置では、活性金属15を容器底部に配置しているが、活性金属15は例えば支持部材14上に配置しても良く、縦位置に支持された成形体12,12間に配置しても良い。活性金属15は、反応容器10内にて、100質量部の前記成形体12に対して、50〜400質量部、より好ましくは100〜300質量部、導入することが好ましい。前記活性金属15を50質量部未満で用いた場合、十分に還元反応が行われない傾向にあり、400質量部を超えて用いても、還元効率が向上しない傾向にある。
次いで、反応容器10を密閉して還元工程の準備を終了する。
【0026】
そして、成形体12及び活性金属15が導入された反応容器10を、加熱炉内に配置し加熱する。すると、加熱により活性金属15が気化されて容器10内に充満されるとともに、成形体12表面から還元反応が進行し、成形体12に含まれるニオブ原料が還元され、金属ニオブが生成される。
この還元工程において、成形体12の温度が600℃〜1300℃、より好ましくは800〜1000℃となるように加熱することが好ましい。前記温度が600℃未満の場合、還元剤である活性金属15の蒸気圧が低く、還元反応が十分に進行しない傾向にあり、1300℃を超える場合、生成するニオブ粉末の焼結が進行する傾向にあるためである。反応時間は、成形体12の寸法や加熱温度等にもよるが、1〜6時間程度、より具体的には、成形体12を厚さ数mmの板状とし、800℃以上の温度で加熱する場合、1時間以上加熱保持すれば十分に還元反応は終了する。
【0027】
次に、反応容器10の冷却後、還元反応が終了した成形体を容器10から取り出す。この反応後の成形体は、反応前の成形体12の形状をほぼ保持しているが、生成したニオブと、還元により生じた活性金属の化合物(副生成物)、余剰の還元剤、及び還元助剤から概略構成されている。次いで、取り出された成形体を酸処理することで、生成したニオブと、活性金属の化合物、還元剤、還元助剤とを分離することができ、ニオブ粉末を得ることができる。この酸処理としては、例えば、酸洗浄を行った後、水あるいは有機溶媒による酸の置換処理を行う。上記酸洗浄には、塩酸、酢酸、硝酸、フッ酸、硫酸など種々の酸を用いることができる。
本発明に係る製造方法においては、還元反応が終了した後に、投入した成形体12とほぼ同様の形状を有し、生成したニオブを含む成形体が得られるため、その後の分離工程における酸処理についても酸の浸透性が良好であり、ニオブ粉末の分離を高速かつ均一に行うことが可能であり、また後段の工程におけるハンドリング性にも優れるという利点を有している。
【0028】
このように、本発明に係る原料成形体は、その製造、熱処理、還元、洗浄などの流れ作業が容易に達成できる特徴を有しており、多量に処理する場合においても成形体の大きさや数量を増加することで容易に対応することができ、また成形体の処理数量を増やしたとしても反応速度や反応の均一性が損なわれることがない。従って、本発明に係る製造方法並びに原料成形体によれば、容易にプロセスを連続化、大型化することができる。
また、本発明に係るニオブ粉末の製造方法によれば、ニオブ原料を含む成形体を介した還元反応を行うことで、高速かつ均一に原料の還元を行うことができるため、得られるニオブ粉末が高純度で均一な粒度を有する点においても有効である。
【0029】
上記実施の形態では、ニオブ粉末の製造方法について詳細に説明したが、本発明に係る製造方法は、他の金属粉末の製造にも容易に適用することができる。すなわち、目的とする金属の化合物を原料とし、成形工程においてこれを粘結剤と混合し、所定形状に成形した後、焼成して金属原料成形体を作製し、得られた金属原料成形体を還元工程において、活性金属により還元させ、好ましくは酸処理によって活性金属や副生成物等を分離することにより、目的とする金属の粉末を多量に効率よく製造することができる。前記金属の化合物として、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、タンタル、希土類金属、もしくはアクチノイド金属等の金属源を含む化合物を好適に用いることができる。
【0030】
次に、本発明に係るタンタル粉末の製造方法について、さらに説明する。前記タンタル粉末の製造方法は、タンタル化合物を原料とし、該タンタル化合物を還元してタンタルを製造する方法であって、前記タンタル化合物を粘結剤と混合してスラリーを作製し、これを板状、線状、粒状などの所定形状に成形した後、焼成してタンタル原料成形体を作製する成形工程と、前記タンタル原料成形体に還元剤としての活性金属を接触させることにより前記タンタル化合物を還元してタンタルを生成する還元工程とを含むことを特徴としている。前記タンタル化合物として、酸化タンタル又はハロゲン化タンタルなどを用いることができる。
【0031】
前記成形工程における焼成温度としては、300〜1000℃、より好ましくは800〜1000℃程度が好ましく、焼成時間としては、成形体の寸法や加熱温度等にも依存するが、0.5〜12時間程度、より好ましくは1〜6時間程度、さらにより好ましくは1〜3時間程度とするのがよい。前記焼成温度が300℃未満では、成形体から粘結剤を十分に除去することができず、続く還元工程における反応効率が低下し、得られる粉末の純度が低下する傾向にあり、1000℃を超えると、タンタル原料成形体が変形する傾向にある。また、焼成を行う場合には、大気中又は酸素雰囲気中で行うのがよい。
【0032】
前記活性金属として、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、カリウムから選ばれる1種以上の金属を用いることが好ましい。このような活性金属を用いてタンタル原料成形体の還元を行うことで、効率よく還元反応を進行させることができる。さらに前記活性金属として、マグネシウムを用いると、最も効率よく還元反応を進行させることができるため、特に好ましい。
【0033】
前記還元工程における成形体の温度は、600℃〜1300℃、より好ましくは800〜1000℃とすることが好ましい。成形体の温度が600℃未満では、還元剤の蒸気圧が低く、還元反応が十分に進行しない傾向にあり、成形体の温度が1300℃を超えると、生成するタンタル粉末の焼結が進行する傾向がある。また、前記還元工程における反応時間は、タンタル原料成形体の寸法や加熱温度等にもよるが、1〜24時間程度、好ましくは1〜6時間程度、さらに好ましくは3〜6時間程度である。
【0034】
また、前記還元工程において、活性金属を気化させた状態でタンタル原料成形体と接触させることが好ましい。この場合、還元装置内に、タンタル原料成形体を通気性が保たれるように配置し、還元反応を行わせることが好ましい。例えば、複数のタンタル原料成形体を縦位置に支持するための支持部材と加熱装置とを有する還元装置内に、この支持部材を用いてタンタル原料成形体を縦位置に配置し、活性金属を還元装置の底部、もしくは支持部材上、もしくは隣接するタンタル原料成形体の間に配置し、加熱装置により還元装置を加熱することにより、活性金属を気化させ、タンタル原料成形体と接触させて還元反応を行わせることができる。このように、還元装置内に、タンタル原料成形体を通気性が保たれるように配置することにより、気化した活性金属が均一に拡散するため、タンタル原料成形体と活性金属とをより均一に接触させることができ、時間的・空間的に還元反応がより均一に進行し、還元効率を高めることができる。また、タンタル原料成形体が還元装置に直接接触することが無いため、還元装置からの汚染を防ぐことができ、得られるタンタル粉末の純度を高めることができる。
【0035】
また、前記タンタル原料成形体を作製する成形工程において、タンタル化合物と粘結剤に加えて、還元助剤としての活性金属化合物をさらに混合してタンタル原料成形体を作製することもできる。前記還元助剤としての活性金属化合物は、粘結剤としても利用することができるが、タンタル粉末の析出形態を制御し、酸処理効率を高めるために用いることもできる。このように、タンタル原料成形体を、タンタル化合物と粘結剤に加えて、還元助剤としての活性金属化合物を混合して作製することにより、還元工程における反応がより均一に促進され、製造効率を高めることができる。さらに、前記還元助剤の種類及び還元助剤の配合量を調節することにより、生成されるタンタル粉末の粒径を制御することも可能である。また、反応容器からの汚染を効果的に防止することができる。
【0036】
前記還元助剤として、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の活性金属の化合物を用いることが好ましく、これらの金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、水酸化物、塩化物、及び/又はフッ化物を用いることがより好ましい。具体的には、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、もしくは塩化ナトリウムなどを単独で、あるいは混合して、用いることができる。前記還元助剤の配合量は、成形体中に含まれるタンタル1モルに対して、還元助剤中におけるカチオンが0〜2モル、より好ましくは0.5〜1モルとなるように配合することが好ましい。このような活性金属化合物を還元助剤として含む成形体を用いることで、還元工程の反応効率及び均一性をより高めることができる。
【0037】
さらに、前記成形工程において、作製されるタンタル原料成形体の形状を、成形体内部の任意の位置から成形体表面までの距離が10mm以下となるように成形することが好ましい。上記の「成形体内部の任意の位置から成形体表面までの距離」とは、成形体の内部の任意の位置から最短距離にある表面までの距離を示している。当該製造方法における還元工程においては、タンタル原料成形体表面から内部へ還元剤が拡散され、成形体に含まれるタンタル化合物が還元されることとなる。従って、成形体の形状を前記の形状とするならば、還元反応終了時点において成形体表面からの還元剤の最大の拡散距離は10mm以下となり、成形体表面から成形体内部に拡散される還元剤の拡散処理が部位により著しく異なることがなく、成形体全体においてタンタル原料を均一かつ高速に還元することができる。
【0038】
さらに、前記タンタル粉末の製造方法では、前記還元工程で生成したタンタルと、還元剤、還元助剤、及び副生成物とを、酸処理により分離する工程をさらに含むことができる。酸処理により分離する工程を設けることにより、目的物であるタンタルと、還元剤、還元助剤、及び還元反応に伴い生じる副生成物とを、容易に分離することができ、高純度のタンタルを大量に製造することができる。また、本発明に係る製造方法では、タンタル原料成形体を反応に供するため、還元後にも前記成形体の形状がほぼ保持される。このため、後段の工程において高いハンドリング性が得られるのに加え、この還元後の成形体に対して酸処理を行うことで、効率よく還元剤及び副生成物を除去することができるという利点も有する。
【0039】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
(実施例1)
本例では、図1に示す製造装置を用いて、金属熱還元反応によるニオブの製造を行った。
ニオブ原料(Nb2O5、100g)に対し、還元助剤(CaCl2,CaCO3,Na2CO3,NaClのうち1種又は2種以上を選択して添加した。)は、0〜80重量%添加した。具体的には、還元助剤添加重量は、Nb1モルに対し、助剤のカチオン(Ca2+,Na+)が0、1/10、1/5、1/2モルとなるようにした。
次いで、上記ニオブ原料、還元助剤と、粘結剤を混合してスラリーを作製した。粘結剤は、上記原料と助剤と同体積の5%コロジオン溶液(5%ニトロセルロース、40%エーテル、55%エタノール)とした。
そして、得られたスラリーに粘性を調節するためのアセトンを適量加えた後、数mm厚、20cm角の鋳型に鋳込み、複数の成形体を製造した。成形体の厚さは、3mm程度のものと6mm程度のものを2種類用意した。
次に、得られた成形体を1000℃の大気雰囲気の炉で1時間焼成し、ニオブ原料と助剤の混合物から、粘結剤及び溶剤・水分を完全に除去した。このような焼成を行うことで、還元剤を節約し、かつ生成したニオブ粉末中への炭素汚染を防ぐことができる。
【0040】
こうして得られた成形体を複数個、通気性が確保されるように工夫し、マグネシウム還元剤(活性金属15)とともに反応容器10に入れ、反応容器10を密閉した。次に、この成形体12と還元剤15が導入された反応容器10を、1000℃に保持した電気炉に6時間投入し、還元反応を十分に進行させた後、容器ごと炉外に取出し、冷却した。
還元後得られた成形体(金属ニオブ粉末と助剤とMgO,Mgの混合物)は、酢酸水溶液(1+1)にて粗洗浄したのち、1N HCl水溶液にて2回洗浄し、さらに、水、アルコール、アセトンで置換後、乾燥させた。
【0041】
得られたニオブの評価:図2は、50x20x3mm角の原料成形体を1000℃で6時間マグネシウム蒸気と反応させニオブ原料を還元し、冷却後、酢酸水溶液(1+1)にて粗洗浄したのち、1N HCl水溶液にて2回洗浄し、さらに、水、アルコール、アセトンで置換後、乾燥させて得たニオブ粉末の走査型電子顕微鏡による形態の写真である。尚、図2に示す写真は、助剤の種類(横軸)とカチオン比(縦軸)とによりマトリクス状に配置されている。
この図に示すように、原料成形体中の助剤の種類と量を変化さることにより、ニオブ粉末の粒度が制御できることがわかった。写真一コマの横幅は約15μmであり、助剤の種類や量によって粒度は異なるが、0.5〜3μm程度の一次粒径を有するニオブ粉末が得られた。
【0042】
(実施例2)
本例においても、図1に示す製造装置を用いて、金属熱還元反応によるタンタルの製造を行った。
表1に記載する組成で、タンタル原料(Ta2O5)、還元助剤(CaCl2,CaCO3,Na2CO3,NaClの中から1種を選択して添加した)、粘結剤を混合してスラリーを作製した。なお、表1において、[X]は、タンタル1モルに対する還元助剤中に含まれるカチオンのモル数を示している。
粘結剤は、前記タンタル原料と還元助剤と同体積の5%コロジオン溶液(5%ニトロセルロース、40%エーテル、55%エタノール)とした。前記スラリーの粘性は、添加する還元助剤および粘結剤の量を変えることにより調節した。そして、得られたスラリーを鋳型に鋳込み、5〜10mmの厚さの板状の成形体を製造した。
【0043】
次に、得られた成形体を1000℃の大気雰囲気の炉で3時間焼成し、タンタル原料と助剤の混合物から、粘結剤及び溶剤・水分を完全に除去した。このような焼成を行うことで、還元剤を節約し、かつ生成したタンタル粉末中への炭素汚染を防ぐことができる。
こうして得られた成形体4〜10枚を、通気性が確保されるように工夫し、20gのマグネシウム還元剤(活性金属15)とともに反応容器10に入れ、タングステン不活性ガスで溶接し、反応容器を密閉した。
次に、この成形体12と還元剤15とが導入された反応容器10を、表1に示す如く、700〜1000℃に保持した電気炉に6〜24時間投入し、還元反応を十分に進行させた後、容器ごと炉外に取り出し、冷却した。
還元後得られた成形体(金属タンタル粉末と、助剤と、MgO,Mgの混合物)は、酢酸水溶液(1+1)にて粗洗浄した後、1N HCl水溶液にて2回洗浄し、さらに、水、アルコール、およびアセトンで置換後、乾燥させた。
【0044】
【表1】
【0045】
得られたタンタル粉末について、走査型電子顕微鏡を用いて形態を観察し、さらに光学回折分析法により、粒径分布について調べた。
図3及び図4は、実験例A〜Kで得られたタンタル粉末の走査型電子顕微鏡による形態の写真である。図3に示すように、得られたタンタル粉末は、粒径0.1〜0.5μmの珊瑚状の形態を有するものであった。また、還元助剤としてカルシウム化合物を用いた場合、得られるタンタル粉末の粒径が均一であるのに対して、還元助剤としてNaClやNaCO3のナトリウム化合物を用いた場合、得られるタンタル粉末中には、粒径0.1〜0.2μmの小さな粒子と、粒径0.5μm程度の大きい粒子の2種類の粒子が含まれていた。また、図4に示すように、成形体中における還元助剤の配合量を増やすことにより、得られるタンタル粉末の粒径が増加した。
【0046】
図5(a)は、実験例B,D、及びOで得られたタンタル粉末の粒径分布について示したグラフである。これより、還元助剤としてナトリウム化合物を用いた場合、カルシウム化合物を用いた場合よりも、粒径の小さな粉末が得られる傾向にあることが示された。また、還元助剤としてカルシウム化合物を用いた場合、得られるタンタル粉末の粒径がより均一なものになることが示された。
図5(b)は、実験例H,I、及びOで得られたタンタル粉末の粒径分布について示したグラフである。これにより、成形体中における還元助剤の配合量を増やすことにより、得られるタンタル粉末の粒径が大きくなることが示された。
これらの結果より、原料成形体中の還元助剤の種類と量とを変化させることにより、タンタル粉末の粒度を制御できることが示された。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るニオブ粉末の製造方法によれば、還元反応を均一に進行させることができるとともに、還元装置内にニオブ原料の成形体を設置して還元反応を進行させることで還元プロセスの連続化、大型化、バッチ処理の効率化を簡便な装置で行うことができ、ニオブ化合物から直接高純度のニオブ粉末を効率よく製造することができる。
【0048】
また、本発明に係るタンタル粉末の製造方法によれば、還元反応を均一に進行させることができるとともに、還元装置内にタンタル原料の成形体を設置して還元反応を進行させることで還元プロセスの連続化、大型化、バッチ処理の効率化を簡便な装置で行うことができ、タンタル化合物から直接高純度のタンタル粉末を効率よく製造することができる。
【0049】
また、本発明に係る製造方法によれば、ニオブ及びタンタル以外のジルコニウム、チタン、ハフニウム、希土類金属、アクチノイド金属等の金属粉末を効率よく製造することができ、好ましくは連続的に製造することができる。
【0050】
次に、本発明に係る金属材料成形体にあっては、金属化合物と粘結剤とを混合し、所定形状に成形後焼成してなる金属化合物の成形体であって、前記成形体内部の任意の位置から成形体表面までの距離が、10mm以下とされた構成を備えたことで、成形体表面からの還元剤の拡散距離が10mm以下となるようにすることができ、均一かつ高速に金属化合物の還元を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る金属の製造装置を示す断面構成図である。
【図2】 図2は、実施例1において作製されたニオブ粉末の電子顕微鏡写真である。
【図3】 図3は、実施例2の実験例A〜Eにおいて作製されたタンタル粉末の電子顕微鏡写真である。
【図4】 図4は、実施例2の実験例F〜Kにおいて作製されたタンタル粉末の電子顕微鏡写真である。
【図5】 図5(a)及び図5(b)は、実施例2において作製されたタンタル粉末の粒径分布を示したグラフである。
【符号の説明】
10 反応容器
12 金属原料成形体
13、14 支持部材
15 活性金属
Claims (13)
- ニオブ化合物又はタンタル化合物からなる金属化合物を原料とし、前記金属化合物を還元して金属を製造する方法であって、
前記金属化合物を粘結剤及び還元助剤と混合して、成形した後、焼成して金属原料成形体を作製する成形工程と、
前記金属原料成形体を還元剤としての活性金属の蒸気と接触させることにより、前記金属原料成形体を還元して、前記金属原料成形体と略同一形状の金属ニオブ又は金属タンタルの成形体を生成する還元工程と、
を含むことを特徴とする金属粉末の製造方法。 - ジルコニウム、チタン、ハフニウム、希土類金属、およびアクチノイド金属から選択される金属元素の化合物を原料とし、前記金属化合物を還元して金属を製造する方法であって、
前記金属化合物を粘結剤及び還元助剤と混合して、成形した後、焼成して金属原料成形体を作製する成形工程と、
前記金属原料成形体を還元剤としての活性金属の蒸気と接触させることにより、前記金属原料成形体を還元して、前記金属原料成形体と略同一形状の前記ジルコニウム、チタン、ハフニウム、希土類金属、およびアクチノイド金属から選択される金属の成形体を生成する還元工程と、
を含むことを特徴とする金属粉末の製造方法。 - 前記ニオブ化合物として、酸化ニオブ又はハロゲン化ニオブを用いることを特徴とする請求項1に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記成形工程において、金属原料成形体内部の任意の位置から成形体表面までの距離が10mm以下である形状に、金属原料成形体を成形することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記成形工程において、金属原料成形体を厚さ20mm以下の板状に成形することを特徴とする請求項4に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記成形工程において、金属原料成形体を直径20mm以下の線状に成形することを特徴とする請求項4に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記還元工程において、前記金属原料成形体を反応容器内に収容するとともに当該反応容器の壁面と非接触状態に配置し、当該反応容器内にて還元剤としての活性金属の蒸気と接触させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記還元工程において、複数の前記金属原料成形体を互いに非接触の状態で反応容器内に収容し、当該反応容器内にて還元剤としての活性金属の蒸気と接触させることを特徴とする請求項7に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記還元工程において、前記反応容器内に前記活性金属を加熱により気化させた蒸気のみを充満させることを特徴とする請求項7又は8に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記還元剤として、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の活性金属を用いることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記還元助剤として、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、バリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上の活性金属の化合物を用いることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記還元工程における成形体の温度を、600℃以上1300℃以下とすることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記還元工程で生成した金属と、活性金属及び副生成物とを、酸処理により分離する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の金属粉末の製造方法。
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