JP3937226B2 - 自己閉作動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内または玄関の引き戸や、家具の抽斗や引き戸等の移動体の閉動作や引き込み等に用いられる自己閉作動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
抽斗等の移動体に使用される装置としては、移動体の可動領域の大部分にわたって移動自在で、移動体が閉作動位置に達すると閉作動がソフトになされ、騒音を発生しない構造が良好である。このような構造を有する従来の装置は、抽斗を移動自在にするためのキャリッジを有している。キャリッジはばねの力を受けかつスライド可能な状態でハウジングに取り付けられており、カムが取り付けられるチャンバー状の空隙が形成されている。ハウジング内にはガイドウェイが設けられており、この中をカムに設けたピンが案内されるようになっている。キャリッジは、このカムを介して抽斗等と取り外し可能な状態で連結される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−245738号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置では、キャリッジが必要であり、しかもキャリッジに対して複雑な加工を行う必要があるため、部品点数が多く、構造が複雑となり、組み立てが面倒となる問題を有している。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、移動体が引き込みの閉動作開始位置に達したときに、移動体をソフトに引き込む装置を部品点数が少なく、構造もシンプルで、組み立てが容易な自己閉作動装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の自己自己閉作動装置は、枠体(17)の長手方向に往復移動自在に設けられた移動体(14)との間に配置され、枠体(17)または移動体(14)のいずれか一方に取り付けられて用いられる自己閉作動装置であって、シリンダ(1)とピストン(2)からなり、移動体(14)の復方向への移動を緩動させるエアダンパと、前記エアダンパに内蔵され、移動体(14)の往方向への移動によって移動体を復方向に移動させるエネルギーを蓄えるばね(10)と、ピストン(2)に接続されるピストンロッド(3)の一端に設けられ、軸(18)に回転自在に軸支された2つの係止爪(12a、12b)を有するロック爪(12)と、前記ロック爪(12)を跳ね上げ方向に付勢するねじりコイルばね(13)とが備えられ、移動体(14)が往方向への移動されると、ねじりコイルばね(13)によって係止爪(12b)が第1の係止部(16)に係合すると同時に、係止爪(12a)が第2の係止部(15)から離脱した状態となる一方、移動体(14)が復方向への移動されると、係止爪(12b)が第1の係止部(16)から離脱すると同時に、係止爪(12a)が第2の係止部(15)に係合し、蓄積された圧縮ばね(10)の反発力が開放されることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明では、枠体と抽斗等の移動体に係止部を設け、これら係止部への係合および離脱を切り換えるロック部材をダンパ機構に取り付けたことにより、移動体の閉作動をソフトに行うための構造がシンプルになっている。
【0009】
請求項1の発明では、ばねがエアダンパに内蔵されていることから、構造がシンプルでコンパクトになる。また、空気をシリンダの外に出すことなく空気の流動をシリンダ内で行う構造とすることも可能であり、これにより、作動音も低く抑えることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の自己閉作動装置であって、前記エアダンパは、切欠き部および突起部を有すると共に前記シリンダ内径よりも大径のピストンリングを少なくとも2つ備え、2つのピストンリングが前記切欠き部と突起部とが嵌合した組み付け状態でピストン内に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明では、ピストンリングのピストン内への組み付け性が容易となるとともに、シール性能も向上する。また、ピストンリングを樹脂で成形することも可能であり、この場合には、製造が容易で耐摩耗性も向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図11を参照して説明する。図1は、一実施の形態の自己閉作動装置の断面図、図2はその平面図、図3は作動状態の断面図、図4および図5はピストン近傍の断面図、図6〜図8は作動を示す断面図、図9および図10はピストンリングの斜視図、図11はロック部材近傍の断面図である。
【0013】
この実施の形態の自己閉作動装置A1は、例えば、引き戸や家具やデスクの抽斗の閉じ作動の終端部分で抽斗をソフトに引き込むために用いられるものであり、固定側の枠体17と、枠体17の長手方向に往復移動自在に設けられた移動体14との間に配置される。自己閉作動装置A1は、エアダンパからなるダンパ機構1,2と、ダンパ機構に取り付けられたロック部材としてのロック爪12と、移動体14を引き込むためのエネルギーを蓄えるばねとしての圧縮ばね10とを備えている。
【0014】
エアダンパからなるダンパ機構は、シリンダ1とシリンダ1内に往復移動自在に配置されるピストン2と、ピストン2に接続されたピストンロッド3とから構成されている。ピストンロッド3はシリンダ1内をスライド可能となっており、シリンダ1の一端には、ピストンロッド3が挿通するピストンロッド受け4が固定され、他端には、Oリング等のシール部材5を介して封止部材6が固定されている。
【0015】
ピストン2は図4および図5に示すように、筒状部2dおよび小径部2aを有している。筒状部2dは、シリンダ1の内面に接触した状態で摺動するものである。小径部2aは、シリンダ1の軸中心部分に位置しており、その周辺とシリンダ1との間には、空洞部2eが形成されている。この空洞部2eには、ピストンリング7が配置される。また、ピストン2における筒状部2dとの反対側には、空洞部2eとシリンダ1との間で空気を流通させるための小径の空気穴2cが形成されている。
【0016】
ピストンリング7は樹脂によって成形されており、図9および図10に示すように、略C形をした弧の略中央部に突起部7bを形成すると共に、対応する側には切欠き部7aが形成された一対のピストンリング片7−1と7−2から構成されている。そして、一方のピストンリング片の切欠き部7aに他方のピストンリング片の突起部7bを互いに嵌合させた組み合わせ状態で用いられる。このピストンリング7の外径は、シール性能を発揮させるためシリンダ1の内径よりも大きく形成されている。
【0017】
切欠き部を有する1個のピストンリング片では、切欠き部から空気が漏れてピストンリングとして用いることができないが、この実施の形態のように、ピストンリング片7−1と7−2を組み合わせて切欠き部7aを封鎖するため、シール性能を有したピストンリングとすることができる。なお、ピストンリング7をピストン2に組み付けるには、切欠き部7aを広げ径を大きくしてピストン2の小径部2aの横方向から組み込む。このような組み付けは簡単であり、組み付け性が向上する。なお、ピストンリング7としては、ゴム等の単一のOリングであってもよい。
【0018】
シリンダ1から抜け出ているピストンロッド3の一端は、ピストンロッド受け4の貫通孔4aを挿通してロック爪受け11の連結部にスプリングピン等によって固定されており、シリンダ1の他端は、ピストン2の筒状部2dにスプリングピン等によって固定されている。
【0019】
ロック爪受け11は、図11に示すように軸18を有し、この軸18にロック爪12が回動自在に軸支されている。軸18には、ねじりコイルばね13のコイル部が取り付けられている。ねじりコイルばね13は、その一方のフック部13aがロック爪12に当接し、他方のフック部13bがロック爪受け11に当接することによりねじられており、これにより、ロック爪12を跳ね上げ方向に付勢している。ロック爪12には、枠体17および移動体14に係合するための第1および第2の係止爪12b、12aが形成され、さらに後述するように当接部12cが形成されている。
【0020】
移動体14の引き込みのエネルギーを蓄える圧縮ばね10は、ダンパ機構の内部に配置されるものであり、このため、圧縮ばね10はピストン2とピストンロッド3の間に設けられている。圧縮ばね10はピストンロッド3が引き出されることにより圧縮されて蓄力するようになっている。この実施の形態では、圧縮ばね10をシリンダ1の内部に収納したことによりコンパクトになっている。なお、圧縮コイルばね10を用いているが、引張コイルばねを用いも良い。また、ラックとピニオンにぜんまいばねや定荷重ばね等の渦巻きばねを組み込んで構成することも可能である。
【0021】
自己閉作動装置A1は、ピストンロッド受け4と封止部材6に形成された取り付け孔4b、6aを介したねじ止めによって、移動体14の移動方向に沿った状態で枠体17に取り付けられている。枠体17には、図6〜図8に示すように、ロック爪12の第1の係止爪12bが係止するための凹部からなる第1の係止部16が設けられている。
【0022】
また、移動体14には、ロック爪12の第2の係止爪12aが係止する凹部からなる第2の係止部15が設けられている。さらに、移動体14には、ロック爪12の当接部12cに当接し、係止爪12aの係止を解除する押し部15aが形成されている。係止部15としては、別個の部材を移動体14に取り付けることにより形成しても良い。
【0023】
また、自己閉作動装置A1を枠体17に直接取り付けているが、例えば、凹部からなる係止部16をベースプレート(図示省略)に形成し、このベースプレートを介して枠体17に取り付けてもよい。さらに、自己閉作動装置A1を枠体17に取り付けているが、移動体14側に取り付け、ロック部材12を枠体17側に係止するようにしてもよい。
【0024】
次に、自己閉作動装置A1を家具の抽斗に適用した例を用い、抽斗が閉じている状態から引出し、その後、抽斗を閉じるまでの作用を説明する。なお、この実施の形態では、左方向が抽斗を引き出す方向(往方向)となっている。
【0025】
図6は、抽斗14が閉じられた状態を示し、ピストンロッド3の先端側に設けられたロック爪12の第2の係止爪12aは、抽斗14側に設けられた凹部からなる第2の係止部15に係止されている。この状態において、ロック爪12はスプリング13により跳ね上げ方向に付勢されているが、ロック爪12の第1の係止爪12bが枠体17に当接していることから回動することがない。このため、第2の係止爪12aは、抽斗14に設けた係止部15に係止された状態を維持している。
【0026】
図7は、抽斗14を引き出し始めた状態を示す。抽斗14を引き出すとロック爪12の第2の係止爪12aが抽斗14の第2の係止部15に係止されていることからピストンロッド3が引き出される。このピストンロッド3の引き出しと同時に、ピストン2とピストンロッド3の間に伸縮自在に配置された圧縮コイルばね10は、圧縮が開始されピストンロッド3の引き出しに伴って反発力を蓄積する。
【0027】
このとき、ピストン2の空洞部2eに配置されたピストンリング7は、図4に示すように抽斗14の引き出し方向と逆方向に押しつけられている。ピストン2の左方向への移動により左側のシリンダ1内部が圧縮され、ピストンロッド3内の空気は、ピストン2の筒状部2dとシリンダ1の内壁の間隙からピストン2の小径部2aを通り、ピストン2に形成した空気穴2cを通ってシリンダ1の右側に流通することから大きな負荷を要することなく、ピストン2を移動させることができる。
【0028】
図8は、さらに抽斗を引き出して所定の位置まで引き出された状態を示し、ロック爪12の第1の係止爪12bが枠体17に設けられた第1の係止部16の位置まで達する。これにより、ねじりコイルばね13によって跳ね上げ方向に付勢されているロック爪12が軸18を中心に回動し第1の係止爪12bが第1の係止部16に係止される。
【0029】
このロック爪12の回動に伴い、第2の係止爪12aは抽斗14の第2の係止部15から外れ、自己閉作動装置A1は、閉方向への作動が可能な状態となる。この状態では、抽斗14は自己閉作動装置A1から離れ、操作自由の状態となるため、抽斗14をさらに引き出すことができる。
【0030】
次に、抽斗14を引き出した状態から閉めるまでの作動を説明する。引き出した抽斗14を閉める方向(図6〜図8における右方向)に移動させ図8の位置まで達すると、押し部15aがロック爪12の当接部12cに当接する。さらに、閉め方向に押すと跳ね上げ方向に付勢されているロック爪12は、軸18を中心に回動し枠体17の第1の係止部16から第1の係止爪12bが外れ、第2の係止爪12aが抽斗14側の第2の係止部15に係止する。この段階で、蓄積された圧縮ばね10の反発力が開放されるため、抽斗14に閉じる方向の力が働く。
【0031】
ピストンリング7は、図5に示すように、閉じ方向と逆の方向に押しつけられることによりピストン2の筒状部2dとシリンダ1の内壁との隙間がシールされる。その結果、ピストン2の右側におけるシリンダ1内の空気は、ピストン2によって圧縮される。圧縮された空気は、シリンダ1とピストンの間にある僅かな間隙を通って少しずつ抜けるため、抽斗14は緩やかに閉じる方向に動きながら、すなわち緩動されながら抽斗が閉められる。この実施の形態におけるダンパ機構では、ピストン2を介してシリンダ1内で空気の流通がなされることから作動音を低く抑えることができる。
【0032】
抽斗14が閉められた後も、圧縮ばね10の反発力によって抽斗14を閉じる方向への力が作用するように圧縮ばね10を圧縮した状態で装着することにより抽斗14を確実に閉めることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ダンパ機構にロック部材を取り付け、枠体および抽斗等の抽斗のそれぞれに設けた係止部に、ロック部材が係合および離脱を切り換えるようにしたことから、構造が簡単でソフトな閉作動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における自己閉作動装置の断面図である。
【図2】自己閉作動装置の平面図である。
【図3】ピストンロッド引き出し状態の断面図である。
【図4】ピストン部分を示す断面図である。
【図5】ピストン部分を示す断面図である。
【図6】移動体移動前の断面図である。
【図7】移動体の移動途中の断面図である。
【図8】さらに移動体が移動した状態を示す断面図である。
【図9】ピストンリングの組み付け状態を示す斜視図である。
【図10】ピストンリング片の斜視図である。
【図11】作動を説明する要部の断面図である。
【符号の説明】
A1 自己閉作動装置
1 シリンダ
2 ピストン
3 ピストンロッド
7 ピストンリング
12 ロック爪
Claims (2)
- 枠体(17)の長手方向に往復移動自在に設けられた移動体(14)との間に配置され、枠体(17)または移動体(14)のいずれか一方に取り付けられて用いられる自己閉作動装置であって、
シリンダ(1)とピストン(2)からなり、移動体(14)の復方向への移動を緩動させるエアダンパと、
前記エアダンパに内蔵され、移動体(14)の往方向への移動によって移動体を復方向に移動させるエネルギーを蓄えるばね(10)と、
ピストン(2)に接続されるピストンロッド(3)の一端に設けられ、軸(18)に回転自在に軸支された2つの係止爪(12a、12b)を有するロック爪(12)と、
前記ロック爪(12)を跳ね上げ方向に付勢するねじりコイルばね(13)とが備えられ、
移動体(14)が往方向への移動されると、ねじりコイルばね(13)によって係止爪(12b)が第1の係止部(16)に係合すると同時に、係止爪(12a)が第2の係止部(15)から離脱した状態となる一方、移動体(14)が復方向への移動されると、係止爪(12b)が第1の係止部(16)から離脱すると同時に、係止爪(12a)が第2の係止部(15)に係合し、蓄積された圧縮ばね(10)の反発力が開放されることを特徴とする自己閉作動装置。 - 前記エアダンパは、切欠き部および突起部を有すると共に前記シリンダ内径よりも大径のピストンリングを少なくとも2つ備え、2つのピストンリングが前記切欠き部と突起部とが嵌合した組み付け状態でピストン内に配置されていることを特徴とする請求項1記載の自己閉作動装置。
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