JP3935658B2 - 透光性ノングレア面化加工方法と透光性ノングレアタッチスクリーン - Google Patents

透光性ノングレア面化加工方法と透光性ノングレアタッチスクリーン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は透光性ノングレア面化加工方法と透光性ノングレアタッチスクリーンに関し、ガラス基材の表面を表示デバイスやタッチデバイスの表示スクリーンやタッチスクリーンに適した透光性ノングレア面とするのに用いられる透光性ノングレア面化加工方法とそれにより得られる透光性ノングレアタッチスクリーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示スクリーンやタッチスクリーンは共に画面がきれいということが要求される。それには、背後からの画像情報が鮮明に見えるための高い透明性、つまり透光性と、背後からの画像情報をそれらスクリーンを通して手前から見るのに、スクリーンにその手前から入射する光を反射しないノングレア性とを、同時に満足しなければならない。
【0003】
これを満足するのに従来、透明なガラス基板の表面をフッ酸でエッチング処理して粗面化し、透光性およびノングレア性を満足できるようにすることが行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のフッ酸によるガラス表面の粗面化処理は、エッチングにより細かな凹部をガラス基板の表面に形成してその表面を荒らす表面処理である。ガラスには細かな気泡があってこれがフッ酸処理によるエッチング効果で大きく口を開けることがある。このように大きく口を開けた気泡はガラス基板の強度を低下させ、凹圧力を受けるタッチスクリーンでは特に問題である。また、そのような大きく口を開けた気泡は光を複雑に屈折させて表示の透視性を邪魔して視覚的なノイズとなる。これらのため、フッ酸処理後のガラス基板は表示スクリーンやタッチスクリーンでは不良品扱いになりやすく、ガラス基板の歩留まりが50〜60%と低くなる。
【0005】
本発明の目的は、非エッチング方式で歩留まりの問題がなく透光性ノングレア面化ができる透光性ノングレア面化加工方法と透光性ノングレアタッチスクリーンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の透光性ノングレア面化加工方法は、ガラス基材の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液を撥水性を持つ中間物質が生成するように大気中で焼成することを1回以上行なう前工程と、前工程後のガラス基材の表面に前記ポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液および前工程による前記中間物を透光性のあるシリカまで大気中で焼成する後工程とを備え、基材表面を透光性のあるシリカ粒子が散在した透光性ノングレア面を得ることを第1の特徴としている。
【0007】
このような構成では、前記パーヒドロポリシラザンのポリマー液は大気中で焼成して透光性のあるシリカにすることができるが、この焼成時に撥水性のある物質が生成されるのを利用し、ガラス基材の上に前記ポリマー液の粒子を塗布して、これに前記撥水性の物質が生成されるように焼成する前工程により、それより後に塗布する粒子状のポリマー液を、撥水性の物質が生成している先のシロキサン粒子ないしは透光性のあるシリカ粒子がその撥水性によりまわりへはじいて重なりを防止しながら、先のシロキサン粒子ないしは透光性のあるシリカ粒子がない隙間領域に追いやりそこを埋めて高密度化していく働きをさせることができ、先のシロキサン粒子ないしは透光性のあるシリカ粒子中にある撥水性の物質は後のポリマー液とともに後工程にて前記透光性のあるシリカに焼成されるので、前記透光性のあるシリカ粒子を重なりなくほぼ一重に高密度にガラス基材上に焼成して結合させ、シリカ粒子の透明性とそれらが作る凹凸にて乱反射させることによるノングレア性とを前記透光性のあるシリカ粒子の重なりによる極端な凹凸なしに満足することができる。しかも、前工程の塗布、焼成を複数回行なうことにより、前記中間物質による重なりを防止しながらの高密度化の特性を繰り返し利用して透光性のあるシリカ粒子の重なりなくさらなる高密度化を図ってノングレア性を向上することができる。また、非エッチング方式の透光性ノングレア面化であるためガラス基材の気泡を大きく口を開かせるようなことがなくガラス基材の歩留まりは良好である。
【0008】
本発明の透光性ノングレア面化加工方法は、また、ガラス基材の表面に、ケイ素−窒素結合と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液をケイ素−水素結合物質が生成するように大気中で焼成することを1回以上行なう前工程と、前工程後のガラス基材の表面に前記ポリマーを粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマーおよび前工程による前記ケイ素−水素結合物質を透光性のあるシリカまで大気中で焼成する後工程とを備え、基材表面を透光性のあるシリカ粒子が散在した透光性ノングレア面を得ることを第2の特徴としている。
【0009】
このような構成では、前工程で生成する前記ケイ素−水素結合物質は、前記第1の特徴における撥水性の物質の1つに当たり、第1の特徴の発明と同じ作用効果を発揮する。
【0010】
これらの発明において、前工程の焼成温度は、撥水性の物質を生成させるために後工程の焼成温度に至らない温度であるのが生成の効率、安定性の面で好適である。
【0011】
また、前工程と後工程との組み合わせを複数回繰り返すこともでき、この場合、上記のように極端な凹凸差のないほぼ一重となる前記透光性のあるシリカ粒子層を形成することが、前記繰り返し回数分だけ重ねて行なわれ、シリカ粒子による凹凸をさらに緻密に、かつ平均化することができ、ノングレア性や平坦性が透光性に優先されるような場合に好適である。
【0012】
本発明の透光性ノングレア面化加工方法は、さらに、ガラス基材の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液を透光性のあるシリカまで大気中で焼成して基材表面を透光性のあるシリカ粒子が散在した透光性ノングレア面を得る透光性ノングレア面化加工方法であって、前記塗布と、塗布した粒子状のポリマー液に撥水性の物質を生成させるように前記焼成温度より低い温度で仮焼成する塗布、仮焼成工程を1回以上行なって後、前記塗布、焼成工程を行なって、基材表面を透光性のあるシリカ粒子が散在した透光性ノングレア面を得ることを第3の特徴としている。
【0013】
このような構成では、ガラス基材の表面にポリマー液であるパーヒドロポリシラザンを粒子状に塗布して透光性のあるシリカまで焼成するのに、前記塗布と、塗布した粒子状のポリマー液からの焼成シリカに撥水性の物質を生成させるように前記焼成温度より低い温度で仮焼成する塗布、仮焼成工程を1回以上優先して行なってから、塗布、焼成工程を行なうことにより、前記撥水性の物質による重なりを防止しながらの高密度化を、前記塗布、仮焼成工程の繰り返し回数分だけ発揮させて、前記透光性のあるシリカ粒子を重なりなくほぼ一重に高密度にガラス基材上に焼成して結合させ、シリカ粒子の透明性とそれらが作る凹凸にて乱反射させることによるノングレア性とをシリカ粒子の重なりによる極端な凹凸なしに満足することができる。また、非エッチング方式の透光性ノングレア面化であるためガラス基材の気泡を大きく口を開かせたりすることはなくガラス基材の歩留まりは良好である。
【0014】
この場合も、塗布、仮焼成工程と、塗布、焼成工程との組み合わせを複数回繰り返して行なうことができ、上記のように前記透光性のあるシリカ粒子の重なりによる極端な凹凸差のないほぼ一重となるシリカ粒子層を形成することが、前記繰り返し回数分だけ重ねて形成して、透光性のあるシリカ粒子による凹凸をさらに緻密に、かつ平均化することができ、ノングレア性や平坦性が透光性に優先されるような場合に好適である。
【0015】
以上の各発明において、また、霧化状態のポリマー液とガラス基材の表面との接触によって、ガラス基材の表面にポリマー液を粒子状に塗布することができ、ポリマーの霧化分散を利用して均一な塗布ができる。
【0016】
霧化状態のポリマー液とガラス基材の表面との接触は、ポリマー液の霧化雰囲気にガラス基材の表面を曝して行なうのが均一塗布の面でさらに好適であり、ガラス基材の表面は上向きでポリマー液の霧化雰囲気に曝すと、霧化状態のほぼ均等な分散状態からの自然落下によってより均一に塗布させることができ特に好適である。
【0017】
また、1または複数の所定回に塗布するポリマー液が形成する塗布粒子よりも小さい粒子径300から1000Åの抗菌性微粒子を前記ポリマー液に混入して塗布を行なうと、ポリマー液が抗菌性微粒子を保持して透光性のあるシリカにまで焼成されてバインダとなりガラス基材の表面に存在させ続けるので、透光性ノングレア面に抗菌性を持たせることができ、不特定多数の人が使用し触れるタッチスクリーンの衛生性確保に有効である。シリカの粒子径は50μm以下であるのが好適である。
【0018】
また、ポリマー液の少なくとも初回の塗布と次回の塗布とを含む複数回の塗布における、先の塗布時の粒子径を後の塗布時の粒子径よりも大きくすると、先の塗布ではポリマー液の少ない粒子数での重なり率のより低い定密度状態にてガラス基材表面の塗布面積率を稼ぎやすくするのに併せ、後の塗布ではポリマー液の粒子が先の塗布により焼成されたシロキサン粒子ないしは透光性のあるシリカ粒子よりも小さいことにより、先のシロキサン粒子ないしはシリカ粒子の撥水性によるはじき作用を受けてそれらの隙間領域を埋めるのに、先のシロキサン粒子ないしは透光性のあるシリカ粒子とより重なりにくく塗布されて、撥水性のある中間物質やシロキサン粒子と共に透光性のあるシリカに焼成されるので、透光性のあるシリカ粒子によるほぼ均等で平坦な凹凸を持った透光性のよいノングレア面を形成しやすく、品質が安定する。
【0019】
本発明の透光性ノングレアタッチスクリーンは、透明なガラス基板の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液の粒子が焼成された透光性のあるシリカの粒子からなる透光性ノングレア層を有したことを基本的な特徴とし、透光性ノングレア層は、ポリマー液が複数回粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子を含むものであることを第1の特徴としている。
【0020】
このような構成では、前記第1または第2の特徴の透光性ノングレア面化加工方法によって先に塗布、焼成されるシリカ粒子の途中生成物の撥水性を活かして得られ、ガラス基板の表面に透光性のあるシリカの粒子が複数回粒子状に塗布、焼成されている密で透光性のあるシリカ粒子のランダムな重なりによる極端な凹凸のない透光性、タッチ間隔およびドラッグ性が共によい優れたノングレア面を持った透光性ノングレアタッチスクリーンを実現し、非エッチング方式のものであることによって強度の低下がなく歩留まりよく得られる。
【0021】
本発明の透光性ノングレアタッチスクリーンは、また、透明なガラス基板の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーの有機溶媒溶液であるパーヒドロポリシラザンのポリマー液の粒子が複数回異時に粒子状に塗布、焼成されている透光性のあるシリカの粒子からなる透光性ノングレア層を有し、この透光性ノングレア層は前記透光性のあるシリカの粒子がほぼ一重に焼成されていることを第2の特徴としている。
【0022】
このような構成でも、第1の特徴の場合同様に、前記第1または第2の特徴の透光性ノングレア面化加工方法によって得られ、ガラス基板の表面に透光性のあるシリカの粒子が複数回粒子状に塗布、焼成されている密で透光性のあるシリカ粒子のランダムな重なりによる極端な凹凸のない透光性、タッチ感触およびドラッグ性が共により優れたノングレア面を持った透光性ノングレアタッチスクリーンを実現し、非エッチング方式のものであることによって強度の低下がなく歩留まりよく得られる。
【0023】
これらの発明において、さらに、最初に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子径は、後に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子径よりも大きいと、初回の粒子状に塗布、焼成されている透光性のあるシリカによる粒子密度を高めやすくなる。
【0024】
また、1または複数の所定回に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子は、抗菌性粒子を担持し、ないしは含んだものとすることができ、透光性ノングレア面に抗菌性を持たせることができ、不特定多数の人が使用し触れるタッチスクリーンの衛生性確保に有効である。
【0025】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、可能な限りにおいてそれ単独で、あるいは種々な組み合わせで複合して用いることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る透光性ノングレア面化加工方法につき図面を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。
【0027】
本実施の形態は図1に示すように、透明性の面からクリアガラスをガラス基材1とし、これの表面を透光性のよい微小なシリカ粒子3の付着によって非エッチング方式で透光性ノングレア面化し、タッチスクリーン2を製造する場合の一例である。しかし、本発明はこれに限られることはなく、表示スクリーンなど透光性とノングレア性とが要求される板材、あるいは非板材一般に適用して有効である。
【0028】
シリカを焼成する原料として、ケイ素−窒素結合物質Si−Nと水素原子Hを持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマー(SiH2 NH、例えば東燃株式会社製のパーヒドロポリシラザン)が知られている。この無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解した溶液であるポリマー液を塗布し大気中で焼成すると大気中の水分や酸素と反応して高純度シリカが得られる。例えば450℃で焼成するとアモルファスな状態のシリカSiO2 が得られる。その反応式は次の通りであり、
‐SiH2 NH‐+O2 → SiO2 +NH3
‐SiH2 NH‐+H2 O → SiO2 +NH3 +H2
焼成時の雰囲気ガスを分析すると、アンモニアおよび水素の生成が確認される。
【0029】
このシリカのIRスペクトルは図2に示すようにシロキサンSi−Oの吸収が成長しており、塗布する液状の無機ポリマーで見られるシリカ以外の成分による吸収はほぼ焼失している。またこのシリカの特性は、密度2.1〜2.2g/cm3 、屈折率1.46、抵抗率約1015、絶縁耐圧性>2×106 V/cm、比誘電率4.2@1MHz、可視領域の光透過率98%以上であり、膜状形態での透明性は石英ガラスと同等である。
【0030】
そこで、本発明者等は、図1に示すように上記液状の無機ポリマー、つまりポリマー液3aをガラス基材1上に粒子状に塗布して焼成することによりガラス基材1の表面を粗面化し透光性のあるノングレア面4を得る研究開発を行なっている。
【0031】
ところで、タッチスクリーンにはアナログ容量結合方式、光方式、超音波方式および抵抗膜方式など、さまざまなテクノロジーがある。超音波方式ではタッチスクリーン上を指でドラッグして描くサインをその筆圧変化とともに読取り、本人確認を行なう技術が開発されている。この場合、タッチスクリーンのノングレア面に極端な凹凸があるとドラッグ中そこに本人の意思や癖に関わらない大きな筆圧が生じてノイズになり、読み取りエラーの原因になる。また、ドラッグする指に引っ掛かり感を及ぼして使用者に違和感、不快感を与える。つまりタッチ感触の悪いものとなる。
【0032】
しかし、本発明者等の経験によれば、ポリマー液3aをガラス基板1の上に粒子状に塗布して所定のグロス度のノングレア面を得るのに上記のような極端な凹凸を避けるのは難しい。塗布密度が高いと、隣どうしのポリマー液3aが接触して凝集し1つになることが連続し膜化しやすくノングレア性は得られない。塗布密度が低いと粒子間の隙間が大きくなってやはりグロス度の高いノングレア性は得られない。そこで、塗布密度を少なくして複数回塗布すると、図12に実験例を示すように先の大きなシリカ粒子3に後の小さなシリカ粒子31、34が二重や三重に重なり、極端な凹凸の原因となる。これらは、ポリマー液3aを粒子状に塗布する操作を繰り返すほど確率の問題として極端な凹凸が緩和され、平均化されていく。しかし、それには塗布操作を多数回繰り返す必要があるし、シリカ粒子3が重なるほど透明度が低下するので、タッチスクリーンとしての実用性が欠けて行く。
【0033】
一方、本発明者等は種々な実験からポリマー液3aの前記シリカまでの焼成において撥水性の物質がシロキサンとともに生成されることを知見している。この撥水性の物質は例えばケイ素−水素結合物質Si−Hであり、ポリマ−液3aをはじく。このような中間物質は例えば焼成温度を80〜200℃、焼成時間を15分〜5分に設定して安定に得られる。焼成温度が高いと焼成時間は短くてよく、焼成温度が低いと焼成時間は長く要る。図3にその例を示し、80℃×10分の焼成を行なった場合のスペクトルである。図3では撥水性の物質Si−Hがシロキサンとともに生成されているのが確認できる。
【0034】
本実施の形態はこれら焼成したシリカの特性と、シリカ焼成時にシロキサン粒子や透光性のあるシリカと共に生成されるSi−Hなどの撥水性の物質の特性とを巧みに活かしたもので、クリアガラスであるガラス基材1の表面に、ケイ素−窒素結合物質Si−Nと水素原子Hを持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液3a(SiH2 NH、例えば東燃株式会社製のポリシラザン)を図1に示すように粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液3aを撥水性の物質が生成するように大気中で焼成することを1回以上行なう前工程と、この前工程後のガラス基材1の表面に前記ポリマー液3aを粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液3aおよび前工程による前記中間物を透光性のあるシリカSiO2 まで大気中で焼成する後工程とを備え、ガラス基材1の表面を透光性のあるシリカ粒子3が図1、図2に示すように散在した透光性ノングレア面4を得る。
【0035】
このようにガラス基材1の上に前記無機ポリマーを粒子状に塗布して、これに前記撥水性の物質が生成されるように焼成することを1回以上行なうことで、ガラス基材1の表面に焼成により撥水性の物質が生成しているシロキサン粒子ないしはシリカ粒子3として1回以上形成される。
【0036】
ここで、ガラス基材1の上に前記ポリマー液3aを最初に塗布、焼成するのに、それよりも後に塗布、焼成するポリマー液3aよりも粒子径を大きくすることにより、透光性のあるシリカ粒子3の初回の塗布、焼成による粒子密度を高めやすくして、しかも、それより後に塗布する粒子状のポリマー液3aにつき、撥水性の物質が生成している前記先のシロキサン粒子ないしはシリカ粒子3がその撥水性によりまわりへはじいて上下の重なりを防止しながら、先のシロキサン粒子ないしはシリカ粒子3がない隙間領域に追いやりそこを埋めて高密度化していく働きをさせることができる。なお、先のシロキサン粒子ないしはシリカ粒子3中の撥水性の物質は後のポリマー液3aとともに後工程にて透光性のあるシリカに焼成される。
【0037】
この結果、先の塗布、焼成による透光性のあるシリカ粒子3と後の塗布、焼成による透光性のあるシリカ粒子31とに上下の重なりなくほぼ一重に高密度にガラス基材1上に焼成して結合させ、シリカ粒子3、31の透明性とそれらが作る凹凸にて乱反射させることによるノングレア性とをシリカ粒子3、31の重なりによる極端な凹凸なしに満足することができる。
【0038】
しかも、前工程の塗布、焼成を複数回行なうことにより、前記撥水性の物質による重なりを防止しながらの高密度化の特性を繰り返し利用してシリカ粒子3、31の重なりなくさらなる高密度化を図ることができる。また、非エッチング方式の透光性ノングレア面化であるためガラス基材1の気泡を大きく口を開かせるようなことがなく、強度や透光性の面でもガラス基材1の歩留まりは良好である。
【0039】
なお、無機ポリマーの分子量はポリマー液3aの焼成特性などに関係し、数平均分子量を500〜4000程度に設定してよく、数平均分子量700〜1500のパーヒドロポリシラザンの20%溶液を用いるのが好ましい。溶剤としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素の炭化水素溶媒、ハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロゲン化炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。好ましい溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、プロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2・・ジオキシエタン、シオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ペンタンヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素等である。
【0040】
これらの溶剤を使用する場合、前記パーヒドロポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度を調節するために、2種類以上の溶剤を混合してもよい。
【0041】
撥水性の物質が、ケイ素−水素結合物質Si−Hであるとき、上記本発明者等の知見に従えば、焼成温度を80〜200℃、焼成時間を15分〜5分の焼成条件として好適である。また、このような撥水性の物質のための焼成温度とシリカの焼成温度450℃を例にとると、本実施の形態の焼成工程は、前工程の焼成温度を、撥水性の物質を生成させるために後工程の焼成温度に至らない温度で行なうものとしても捉えることができ、撥水性の物質の生成効率、安定性の面で好適である。
【0042】
さらに、各場合の前工程及び後工程の関係は、撥水性の物質を最終的にシリカに焼成できる関係からは、前記塗布と、塗布した粒子状のポリマー液3aの焼成途中のシリカ粒子3に撥水性を持った中間物質を生成させるように前記焼成温度より低い温度で仮焼成する塗布、仮焼成工程と、その後の塗布と、塗布した粒子状のポリマー液3aと先の撥水性の物質とをシリカに焼成する塗布、焼成工程との関係としても捉えることができる。上記以外の撥水性の物質としては、Si−メチル、Si−フェニール、Si−弗化アルキルなどがある。
【0043】
しかし、本発明者等は臨界条件を求めた訳ではなく、他の種々な焼成条件や他の種々な撥水性の物質、およびこれを持ったシリカ焼成のための他のポリマー液3aの存在は否定できず、基本的には上記に限定されない。
【0044】
以上の各場合において、霧化状態のポリマー液3aとガラス基材1の表面との接触によって、ガラス基材1の表面にポリマー液3aを粒子状に塗布することができ、ポリマー液3aの霧化分散を利用して均一な塗布ができる。霧化状態のポリマー液3aとガラス基材1の表面との接触は、ポリマー液3aの霧化雰囲気にガラス基材1の表面を曝して行なうのが均一塗布の面でさらに好適であり、ガラス基材1の表面は上向きでポリマー液3aの霧化雰囲気に曝すと、霧化状態のほぼ均等な分散状態からの自然落下によってより均一に塗布させることができる。
【0045】
1または複数の所定回、例えば最終に塗布するポリマー液3aに、それが形成する粒子31よりも小さい抗菌性微粒子32を混入して前記シリカの焼成を行なうと、ポリマー液3aが抗菌性微粒子32を保持してシリカ粒子3にまで焼成されてバインダとなり、ガラス基材1の表面に抗菌性微粒子32を存在させ続けるので、透光性ノングレア面に抗菌性を安定して持たせることができ、不特定多数の人が使用し触れるタッチスクリーンの衛生性を確保するのに有効である。
【0046】
抗菌性微粒子32にはAg、Cu、Znなどの抗菌性のある金属イオンを含む無機粒子がその取扱いや抗菌性の持続において好適である。抗菌性微粒子32の粒子径は小さいほど比表面積が大きく質量に対する抗菌作用面の比が大きくなって抗菌性を発揮するのに有利である。また、ポリマー液3a中において互いに凝集せず分散していることが必要である。これを満足するのに抗菌性微粒子32の粒子径は300〜1000Å程度とするのが好適であり、必要に応じて分散させて凝集防止を行う。
【0047】
また、上記した従来のフッ酸処理によるノングレア面には大きいもので24.48μm程度、小さなもので7.771μm程度の凹部ができてノングレア面化している。本実施の形態におけるシリカ粒子3、31の粒子径は一例として、大きいもので16.126μm程度、中ぐらいのもので5.912μm程度、小さなもので0.61μm程度以下のものが散在してノングレア面化しており、フッ酸処理の場合とほぼ同等のノングレア面が得られている。
【0048】
また、ポリマー液3aの少なくとも初回の塗布と次回の塗布との関係を含む、先の塗布時の粒子径を後の塗布時の粒子径よりも大きくすると、先の塗布ではポリマー液3aの少ない粒子数での重なり率のより低い定密度状態にてガラス基材1表面の塗布面積率を稼ぎやすくするのに併せ、後の塗布ではポリマー液3aの粒子が先のシリカ粒子3よりも小さいことにより、先のシリカ粒子3の撥水性によるはじき作用を受けてそれらの隙間領域を埋めるのに、先のシリカ粒子3とより重なりにくくなり、シリカ粒子3によるほぼ均等で平坦な凹凸を持った透光性のよいノングレア面4を形成しやすく、品質が安定する。しかも、粒子径の違うシリカ粒子の混在によって、粒子の上下の重なりに原因するような極端な凹凸をもたらさないで、乱反射率を高めグロス度を高めることができる。
【0049】
ところで、タッチスクリーンにおいて超音波方式を採用するものでは、超音波特性を十分に発揮させるのに、厚さ3mm程度の厚みのガラス板が好適である。そこで、厚さ3mmのクリアガラスよりなるガラス基板をガラス基材1として、上記のような透光性ノングレア面化加工を行うことにより、透明なガラス基板の表面に、複数回異時に塗布、焼成されている透光性のあるシリカの粒子からなる透光性ノングレア層を有し、最終に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子を除く、それよりも先に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子の少なくとも初回に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子は、それより後に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子の焼成時に撥水性物質から焼成された透光性のあるシリカを含むものとなる透光性ノングレアタッチスクリーンが得られる。
【0050】
この得られる透光性ノングレアタッチスクリーンは、また、透明なガラス基板の表面に、複数回異時に粒子状に塗布、焼成されている透光性のあるシリカの粒子からなる透光性ノングレア層を有し、この透光性ノングレア層は前記透光性のあるシリカの粒子がほぼ一重に焼成されていたものでもある。
【0051】
いずれのものも、好適な透光性、好適なノングレア性、好適なドラッグ性、好適な超音波特性を発揮するし、ガラス基板の素材自体の持つ欠点による以外に不良品となることはない。従って、ガラス基板の素材の品質検査を十分にしておけば歩留まりの問題は生じない。
【0052】
本実施の形態の幾つかの実施例を比較例とともに以下に示す。
【0053】
実施例1
厚さ3mmのクリヤガラスよりなるガラス基板の表面に数平均分子量700のパーヒドロポリシラザンN−N110(東燃株式会社製)のキシレン20%溶液を用いて2回吹きした。1回吹き後150℃で5分間焼成を行い、2回吹き後は450℃で60分間焼成を行った。2回吹きに際し抗菌性微粒子として粒子径が700Åの銀を用いた。
【0054】
これにより得られた透光性ノングレアタッチスクリーンの表面状態を示すと、100倍では図4(a)または図5(a)に示すとおりであり、400倍で示すと図4(b)、図5(b)に示す通りであった。なお、図4(b)、図5(b)に示す拡大領域は図4(a)または図5(a)における対応する箇所に枠を施して示してある。図4(b)、図5(b)の中で黒い斑点は抗菌性微粒子32であり、1回目のシリカ粒子3と2回目のシリカ粒子31の上下の重なりは見られない。
【0055】
また、実施例1でのノングレアタッチスクリーンの表面における抗菌性は、フィルム密着法による大腸菌では、初期菌数105 が、室温6時間後に10に低下し、黒コウジカビ(アスペルギルスニイガー)では、初期菌数105 が、室温6時間後に103 、室温24時間後に102 にまで低下し、青カビ(ペニシリウムシトリナム)も初期菌数105 が、室温24時間後に10まで低下した。
【0056】
実施例2
厚さ3mmのクリヤガラスよりなるガラス基板の表面に数平均分子量700のパーヒドロポリシラザンN−N110(東燃株式会社製)のキシレン20%溶液を用いて3回吹きした。1回吹き後120℃で10分間焼成を行い、2回吹き後も120℃で10分間焼成を行い、3回吹き後は450℃で60分間焼成を行った。3回吹きに際し抗菌性微粒子として粒子径が700Åの銀を用いた。
【0057】
これにより得られた透光性ノングレアタッチスクリーンの表面状態を示すと、100倍では図6(a)または図7(a)に示すとおりであり、400倍で示すと図6(b)、図7(b)に示す通りであった。なお、図6(b)、図7(b)に示す拡大領域は図6(a)または図7(a)における対応する箇所に枠を施して示してある。図6(b)、図7(b)の中で黒い斑点は抗菌性微粒子32であり、1回目のシリカ粒子3と2回目のシリカ粒子31と、3回目のシリカ粒子34の上下の重なりはほとんど見られず、実施例1に比しシリカ粒子の分散密度が向上している。なお、抗菌性は実施例1の場合とほぼ同等の結果が得られた。
【0058】
実施例3
厚さ3mmのクリヤガラスよりなるガラス基板の表面に数平均分子量700のパーヒドロポリシラザンN−N110(東燃株式会社製)のキシレン20%溶液を用いて2回吹きした。1回吹き後80℃で10分間焼成を行い、2回吹き後は450℃で60分間焼成を行った。2回吹きに際し抗菌性微粒子として粒子径が700Åの銀を用いた。
【0059】
これにより得られた透光性ノングレアタッチスクリーンの表面状態を示すと、100倍では図8(a)または図9(a)に示すとおりであり、400倍で示すと図8(b)、図9(b)に示す通りであった。なお、図8(b)、図9(b)に示す拡大領域は図8(a)または図9(a)における対応する箇所に枠を施して示してある。図8(b)、図9(b)の中で黒い斑点は抗菌性微粒子32であり、1回目のシリカ粒子3と2回目のシリカ粒子31の上下の重なりは極く少ない。なお、抗菌性は実施例1の場合とほぼ同等の結果が得られた。
【0060】
比較例
厚さ3mmのクリヤガラスよりなるガラス基板の表面に数平均分子量700のパーヒドロポリシラザンN−N110(東燃株式会社製)のキシレン20%溶液を用いて3回吹きした。1回吹き後、2回吹き後、共に常温乾燥し、3回吹き後は450℃で60分間焼成を行った。
【0061】
これにより得られた透光性ノングレアタッチスクリーンの表面状態を示すと、100倍では図10(a)または図11(a)に示すとおりであり、400倍で示すと図10(b)、図11(b)に示す通りであった。なお、図10(b)、図11(b)に示す拡大領域は図10(a)または図11(a)における対応する箇所に枠を施して示してある。図10(b)、図11(b)の中で黒い斑点は抗菌性微粒子32であり、1回目のシリカ粒子3と2回目のシリカ粒子31と、3回目のシリカ粒子34の上下の重なりが多く見られるし、シリカ粒子の分散密度は2回吹きの実施例1、3と3回吹きの実施例2との中間程度でしかない。
【0062】
各実施例はそれぞれ抗菌性微粒子を最終吹きのポリマー液に混合してノングレア面化加工と同時に抗菌加工もしているが、抗菌加工は必要に応じてすればよいし、抗菌加工は上記したように行う回数やタイミングはいつでもよく、シリカを塗布、焼成する回数の全てにおいて行ってもよいし、塗布、焼成回数よりも少なく1回または複数回行うにも、何回目の塗布、焼成時にするかは自由である。
【0063】
なお、前記した前工程と後工程の組み合わせ、塗布、仮焼成工程と塗布、焼成工程との組み合せは、それぞれ複数回繰り返すこともでき、この場合、上記のように極端な凹凸差のないほぼ一重となるシリカ粒子3、31の層を形成することが、前記繰り返し回数分だけ重ねて形成して、シリカ粒子3、31による凹凸をさらに緻密に、かつ平均化することができ、ノングレア性や平坦性が透光性に優先されるような場合に好適である。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、上記の説明で明らかなように、ガラス基材の表面に透光性のあるシリカ粒子が上下に重なり合わないでほぼ一重に並んで結合され、極端な凹凸のない平均化した乱反射面を形成することができるのと同時に、この乱反射面を形成するシリカ粒子は透明性がよく高い透光性を満足するので、品質のよい透光性ノングレア面が得られる。しかも、非エッチング方式であってガラス基材の気泡を大きく口を開けさせるようなことはなく歩留まりは良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る透光性ノングレア面化したタッチスクリーンの断面図であり、図4(b)のI−I線に沿って断面したものである。
【図2】ポリマー液を焼成して得たシリカのIRスペクトル図である。
【図3】ガラス基材に粒子状に塗布したポリマー液を80℃で10分焼成したときのIRスペクトル図である。
【図4】実施例1のタッチスクリーン表面の状態を示す1つの部分の顕微鏡写真図で、その(a)は100倍の場合、その(b)は400倍の場合を示している。
【図5】実施例1のタッチスクリーン表面の状態を示す別の部分の顕微鏡写真図で、その(a)は100倍の場合、その(b)は400倍の場合を示している。
【図6】実施例2のタッチスクリーン表面の状態を示す1つの部分の顕微鏡写真図で、その(a)は100倍の場合、その(b)は400倍の場合を示している。
【図7】実施例2のタッチスクリーン表面の状態を示す別の部分の顕微鏡写真図で、その(a)は100倍の場合、その(b)は400倍の場合を示している。
【図8】実施例3のタッチスクリーン表面の状態を示す1つの部分の顕微鏡写真図で、その(a)は100倍の場合、その(b)は400倍の場合を示している。
【図9】実施例3のタッチスクリーン表面の状態を示す別の部分の顕微鏡写真図で、その(a)は100倍の場合、その(b)は400倍の場合を示している。
【図10】比較例のタッチスクリーン表面の状態を示す1つの部分の顕微鏡写真図で、その(a)は100倍の場合、その(b)は400倍の場合を示している。
【図11】比較例のタッチスクリーン表面の状態を示す別の部分の顕微鏡写真図で、その(a)は100倍の場合、その(b)は400倍の場合を示している。
【図12】本発明に関連した実験例に係る透光性ノングレア面化したタッチスクリーンの断面図であり、図11(b)のXII−XII線に沿って断面したものである。
【符号の説明】
1 ガラス基材
2 タッチスクリーン
3、31、34 シリカ粒子
3a ポリマー液
4 ノングレア面
32 抗菌性微粒子

Claims (16)

  1. ガラス基材の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液を撥水性を持つ中間物質が生成するように大気中で焼成することを1回以上行なう前工程と、前工程後のガラス基材の表面に前記ポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液および前工程による前記中間物を透光性のあるシリカまで大気中で焼成する後工程とを備え、基材表面を透光性のあるシリカ粒子が散在した透光性ノングレア面を得ることを特徴とする透光性ノングレア面化加工方法。
  2. ガラス基材の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液をケイ素−水素結合物質が生成するように大気中で焼成することを1回以上行なう前工程と、前工程後のガラス基材の表面に前記ポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液および前工程による前記ケイ素−水素結合物質を透光性のあるシリカまで大気中で焼成する後工程とを備え、基材表面を透光性のあるシリカ粒子が散在した透光性ノングレア面を得ることを特徴とする透光性ノングレア面化加工方法。
  3. 前工程の焼成温度は、後工程の焼成温度に至らない温度である請求項1、2のいずれか1項に記載の透光性ノングレア面化加工方法。
  4. 前工程と後工程との組み合わせを複数回繰り返す請求項1〜3のいずれか1項に記載の透光性ノングレア面化加工方法。
  5. ガラス基材の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液を粒子状に塗布し、この塗布した粒子状のポリマー液を透光性のあるシリカまで大気中で焼成して基材表面を透光性のあるシリカ粒子が散在した透光性ノングレア面を得る透光性ノングレア面化加工方法であって、
    前記塗布と、塗布した粒子状のポリマー液を撥水性を持った中間物質を生成させるように前記焼成温度より低い温度で仮焼成する塗布、仮焼成工程を1回以上行なって後、前記塗布、焼成工程を行なって、基材表面を透光性のあるシリカ粒子が散在した透光性ノングレア面を得ることを特徴とする透光性ノングレア面化加工方法。
  6. 塗布、仮焼成工程と、塗布、焼成工程との組み合わせを複数回繰り返して行なう請求項5に記載の透光性ノングレア面化加工方法。
  7. 霧化状態のポリマー液とガラス基材の表面との接触によって、ガラス基材の表面にポリマー液を粒子状に塗布する請求項1〜6のいずれか1項に記載の透光性ノングレア面化加工方法。
  8. 霧化状態のポリマー液とガラス基材の表面との接触は、ポリマー液の霧化雰囲気にガラス基材の表面を曝して行なう請求項7に記載の透光性ノングレア面化加工方法。
  9. ガラス基材の表面は上向きでポリマー液の霧化雰囲気に曝す請求項8に記載の透光性ノングレア面化加工方法。
  10. 1または複数の所定回に塗布するポリマー液が形成する塗布粒子よりも小さい粒子径300から1000Åの抗菌剤微粒子を前記ポリマー液に混入して塗布を行なう請求項1〜9のいずれか1項に記載の透光性ノングレア面化加工方法。
  11. ポリマー液の少なくとも初回の塗布と次回の塗布とを含む複数回の塗布における、先の塗布時の粒子径を後の塗布時の粒子径よりも大きくする請求項1〜10のいずれか1項に記載の透光性ノングレア面化加工方法。
  12. 透明なガラス基板の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液の粒子が焼成されている透光性のあるシリカの粒子からなる透光性ノングレア層を有したことを特徴とする透光性ノングレアタッチスクリーン。
  13. 透光性ノングレア層は、ポリマー液が複数回粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカ粒子を含むものである請求項12に記載の透光性ノングレアタッチスクリーン。
  14. 透明なガラス基板の表面に、ケイ素−窒素結合物質と水素原子を持ち、有機溶剤に可溶な無機ポリマーであるパーヒドロポリシラザンを有機溶媒に溶解したポリマー液の粒子が複数回異時に粒子状に塗布、焼成されている透光性のあるシリカの粒子からなる透光性ノングレア層を有し、この透光性ノングレア層は前記透光性のあるシリカの粒子がほぼ一重に焼成されていることを特徴とする透光性ノングレアタッチスクリーン。
  15. 最初に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子径は、後に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子径よりも大きい請求項12〜14のいずれか1項に記載の透光性ノングレアタッチスクリーン。
  16. 1または複数の所定回に粒子状に塗布、焼成されている前記透光性のあるシリカの粒子は、抗菌性粒子を担持し、ないしは含んでいる請求項12〜15のいずれか1項に記載の透光性ノングレアタッチスクリーン。
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