JP3935189B2 - レーザ加工方法 - Google Patents
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Description
加工対象物(例えばガラスやLiTaO3からなる圧電材料)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光を照射する。このパルス幅の大きさは、多光子吸収を生じさせつつ加工対象物の表面に余計なダメージを与えずに、加工対象物の内部にのみクラック領域を形成できる条件である。これにより、加工対象物の内部には多光子吸収による光学的損傷という現象が発生する。この光学的損傷により加工対象物の内部に熱ひずみが誘起され、これにより加工対象物の内部にクラック領域が形成される。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns〜200nsが好ましい。なお、多光子吸収によるクラック領域の形成は、例えば、第45回レーザ熱加工研究会論文集(1998年.12月)の第23頁〜第28頁の「固体レーザー高調波によるガラス基板の内部マーキング」に記載されている。
(B)レーザ
光源:半導体レーザ励起Nd:YAGレーザ
波長:1064nm
レーザ光スポット断面積:3.14×10−8cm2
発振形態:Qスイッチパルス
繰り返し周波数:100kHz
パルス幅:30ns
出力:出力<1mJ/パルス
レーザ光品質:TEM00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
レーザ光波長に対する透過率:60パーセント
(D)加工対象物が載置される載置台の移動速度:100mm/秒
加工対象物(例えばシリコンのような半導体材料)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件でレーザ光を照射する。これにより加工対象物の内部は多光子吸収によって局所的に加熱される。この加熱により加工対象物の内部に溶融処理領域が形成される。溶融処理領域とは一旦溶融後再固化した領域や、まさに溶融状態の領域や、溶融状態から再固化する状態の領域であり、相変化した領域や結晶構造が変化した領域ということもできる。また、溶融処理領域とは単結晶構造、非晶質構造、多結晶構造において、ある構造が別の構造に変化した領域ということもできる。つまり、例えば、単結晶構造から非晶質構造に変化した領域、単結晶構造から多結晶構造に変化した領域、単結晶構造から非晶質構造及び多結晶構造を含む構造に変化した領域を意味する。加工対象物がシリコン単結晶構造の場合、溶融処理領域は例えば非晶質シリコン構造である。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns〜200nsが好ましい。
(B)レーザ
光源:半導体レーザ励起Nd:YAGレーザ
波長:1064nm
レーザ光スポット断面積:3.14×10−8cm2
発振形態:Qスイッチパルス
繰り返し周波数:100kHz
パルス幅:30ns
出力:20μJ/パルス
レーザ光品質:TEM00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
倍率:50倍
N.A.:0.55
レーザ光波長に対する透過率:60パーセント
(D)加工対象物が載置される載置台の移動速度:100mm/秒
加工対象物(例えばガラス)の内部に集光点を合わせて、集光点における電界強度が1×108(W/cm2)以上で且つパルス幅が1ns以下の条件でレーザ光を照射する。パルス幅を極めて短くして、多光子吸収を加工対象物の内部に起こさせると、多光子吸収によるエネルギーが熱エネルギーに転化せずに、加工対象物の内部にはイオン価数変化、結晶化又は分極配向等の永続的な構造変化が誘起されて屈折率変化領域が形成される。電界強度の上限値としては、例えば1×1012(W/cm2)である。パルス幅は例えば1ns以下が好ましく、1ps以下がさらに好ましい。多光子吸収による屈折率変化領域の形成は、例えば、第42回レーザ熱加工研究会論文集(1997年.11月)の第105頁〜第111頁の「フェムト秒レーザー照射によるガラス内部への光誘起構造形成」に記載されている。
図16(a)は、実施例1に係る加工対象物1において基板15の裏面近傍に改質領域7を形成した場合を示す図であり、図16(b)は、実施例1に係る加工対象物1において基板15の表面近傍に改質領域7を形成した場合を示す図である。図16(a)及び図16(b)に示す加工対象物1としては、次世代高速・低消費電力デバイス用のものや次世代デバイス用のものがある。
図17(a)は、実施例2に係る加工対象物1において基板15の裏面近傍に改質領域7を形成した場合を示す図であり、図17(b)は、実施例2に係る加工対象物1において基板15の表面近傍に改質領域7を形成した場合を示す図である。図17(a)及び図17(b)に示す加工対象物1は青色LD・LED用のものであり、基板15/積層部17としては、Al2O3(500μm)/GaN等の半導体結晶を複数層形成した積層機能膜(数100nm)や、Al2O3(500μm)/ZnO等の層を複数層形成した積層機能膜(数100nm)の場合がある(括弧内の数値は厚さを示す)。
図18(a)は、実施例3に係る加工対象物1において基板15の表面近傍と積層部17とに改質領域7を形成した場合を示す図であり、図18(b)は、実施例3に係る加工対象物1において基板15の裏面近傍に改質領域7を形成した場合を示す図であり、図18(c)は、実施例3に係る加工対象物1において基板15の表面近傍に改質領域7を形成した場合を示す図である。図18(a)〜図18(c)に示す加工対象物1は赤外光検出デバイス用のものであり、基板15/積層部17としては、Al2O3(500μm)/PbSe(10μm)や、Al2O3(500μm)/HgCdTe(10μm)の場合がある(括弧内の数値は厚さを示す)。
図19は、実施例4に係る加工対象物1を示す図である。図19に示す加工対象物1は多層ガラスであり、基板15としてのガラス基板上に第1の積層部17a及び第2の積層部17bとしてのガラス基板2枚を貼り合わせて積層させたものである。各ガラス基板における改質領域7は、加工対象物1の裏面21側に形成されている。この場合も、実施例1に係る加工対象物1の場合と同様の理由から、加工対象物1の表面3にナイフエッジ23を押し当てて加工対象物1を割って切断する。このように積層部の厚さが厚い場合や積層部の硬度が高い場合には、積層部の内部にも切断起点領域を形成すれば、加工対象物1をより小さな力で割って切断することができる。
図20(a)〜図21(b)は、実施例5に係る加工対象物1を示す図である。図20(a)は、実施例5に係る加工対象物1において基板15の表面近傍と積層部17の表面近傍とに改質領域7を形成した場合を示す図であり、図20(b)は、実施例5に係る加工対象物1において基板15の裏面近傍と積層部17の裏面近傍とに改質領域7を形成した場合を示す図である。また、図21(a)は、実施例5に係る加工対象物1において基板15の表面近傍と積層部17の裏面近傍とに改質領域7を形成した場合を示す図であり、図21(b)は、実施例5に係る加工対象物1において基板15の裏面近傍と積層部17の表面近傍とに改質領域7を形成した場合を示す図である。
図22は、実施例6に係る加工対象物1の要部を示す拡大断面図である。この加工対象物1は、シリコンウェハである基板15上に多数のチップ形成領域Fを設け、隣り合うチップ形成領域F,F間をダイシングライン領域Dとしたものであり、図22は、チップ形成領域Fとダイシングライン領域Dとが連続する部分の断面を示している。なお、切断予定ラインは、このダイシングライン領域Dに沿って設定される。
Claims (4)
- 間隙が設けられるように貼り合わされた複数の基板を有する加工対象物において、前記基板のうち一の基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより当該一の基板の内部に改質領域を形成すると共に、前記基板のうち他の基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより当該他の基板の内部に改質領域を形成し、前記一の基板及び前記他の基板のそれぞれにおいて前記改質領域を連続して形成することによって、前記加工対象物の切断予定ラインに沿って前記加工対象物のレーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成する工程と、
前記加工対象物に対して応力を印加することにより前記切断起点領域を切断の起点として前記切断予定ラインに沿って前記加工対象物を切断し、間隙が設けられるように貼り合わされた複数の基板を有する機能素子を複数得る工程と、を備えることを特徴とするレーザ加工方法。 - 前記他の基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより当該他の基板の内部に改質領域を形成する際には、前記一の基板側からレーザ光を照射することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工方法。
- 前記加工対象物に対して応力を印加することにより前記切断起点領域を切断の起点として前記切断予定ラインに沿って前記加工対象物を切断する際には、前記加工対象物の表面又は裏面にナイフエッジを押し当てて前記加工対象物に対して応力を印加することを特徴とする請求項1又は2記載のレーザ加工方法。
- 前記基板のうち少なくとも1つは、ガラス基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のレーザ加工方法。
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