JP3934817B2 - 有機el素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL(電界発光)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、薄膜に電子および正孔を注入して再結合させることにより、励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子である。
【0003】
有機EL素子は、10V以下の低電圧で100〜100,000cd/m2 程度の高輝度の面発光が可能である。また、蛍光物質の種類を選択することにより、青色から赤色までの発光が可能である。
【0004】
EL素子で任意の発光色を得るための手法としてドーピング法があり、アントラセン結晶中に微量のテトラセンをドープすることで発光色を青色から緑色に変化させた報告(Jpn. J. Appl. Phys., 10,527(1971)) がある。また、積層構造を有する有機薄膜EL素子では、発光機能を有するホスト物質に、その発光に応答しホスト物質とは異なる色の光を放出する蛍光色素をドーパントとして微量混入させて発光層を形成し、発光色を緑色から橙〜赤色へ変化させた報告(特開昭63−264692号公報)がある。
【0005】
黄〜赤色の長波長発光に関しては、発光材料あるいはドーパント材料として、赤色発振を行うレーザー色素(EPO281381号)、エキサイプレックス発光を示す化合物(特開平2−255788号公報)、ペリレン化合物(特開平3−791号公報)、クマリン化合物(特開平3−792号公報)、ジシアノメチレン系化合物(特開平3−162481号公報)、チオキサンテン化合物(特開平3−177486号公報)、共役系高分子と電子輸送性化合物の混合物(特開平6−73374号公報)、スクアリリウム化合物(特開平6−93257号公報)、オキサジアゾール系化合物(特開平6−136359号公報)、オキシネイト誘導体(特開平6−145146号公報)、ピレン系化合物(特開平6−240246号公報)がある。
【0006】
他の発光材料として、縮合多環芳香族化合物(特開平5−32966号公報、特開平5−214334号公報)も開示されている。また、ドーパント材料としても種々の縮合多環芳香族化合物(特開平5−258859号公報)が提案されている。
【0007】
しかし、いずれの発光においても、十分な輝度や安定な発光性能は得られていない。通常、発光光を緑色に変化させるドーパントとして用いられるクマリン化合物は、熱に対して非常に弱く、発光層の成膜時や駆動時に発生する熱によって発光しなくなることもある。また、キャリアが注入された状態、すなわち電気化学的なラジカルイオン状態での安定性が低く、紫外線、電子線などの放射線に対する耐性が低く、水分や特に酸・アルカリ等のイオン成分による加水分解によって蛍光性が低下する。そして、ドーパント材料のさらなる輝度の向上あるいは耐久性の向上が望まれている。特に、蛍光強度の増幅、電子とホールの再結合確率の向上、一重項励起子の生成確率の向上が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、蛍光強度が強く、電子・ホールへの耐性が高く、かつ、キャリアトラップ性が高く、電子とホールの再結合確率が高いことで、十分な輝度の発光、特に長波長の発光が得られ、かつ、良好な発光性能が長期にわたって持続する耐久性に優れた有機EL素子を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
(1) 陽極と、陰極と、これらの電極間に設けられた1種以上の有機化合物層とを有し、
上記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物を含有する有機EL素子。
【0010】
【化2】
Figure 0003934817
【0011】
(一般式(I)において、R1〜R6は各々アリール基、アルキル基、アミノ基または水素原子のいずれかを表し、
1〜R3の少なくとも1つがアリール基であり、
4〜R6の少なくとも1つがアリール基であり、
7〜R10は各々アリール基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子のいずれかを表す。)
(2) 上記有機化合物層の少なくとも1層が発光層であり、
この発光層が、上記一般式(I)で表される化合物を含有する上記(1)の有機EL素子。
(3) 上記一般式(I)で表される化合物が、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントである上記(1)または(2)の有機EL素子。
(4) 上記ホスト物質がトリアリールアミン誘導体である上記(3)の有機EL素子。
(5) 上記ホスト物質がキノリノール誘導体である上記(3)の有機EL素子。
(6) 上記発光層が、少なくとも1種以上の正孔注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層であり、
上記一般式(I)で表される化合物が、発光機能を有する上記混合層のドーパントである上記(2)〜(5)のいずれかの有機EL素子。
(7) 上記正孔注入輸送性化合物がテトラアリールアリーレンジアミン誘導体および/またはトリアリールアミン誘導体であり、
上記電子注入輸送性化合物がキノリノール誘導体である上記(6)の有機EL素子。
【0012】
【作用】
本発明の有機EL素子は、陽極と、陰極と、これらの電極間に設けられた1種以上の有機化合物層とを有し、少なくとも1層の有機化合物層、好ましくは発光層が、上記一般式(I)で表される化合物を含有する。このため、460〜600nm程度の波長域、特に520nm前後の緑色発光領域に極大発光波長をもつ。特に、一般式(I)の化合物は、発光層において、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントとして、あるいは電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物とで形成された発光機能を有する混合層のドーパントとして使用することによって、青〜赤色の発光、特に長波長発光が可能であり、しかも十分な輝度が得られ、良好な発光性能が長期にわたって持続する。
【0013】
なお、本発明者らは、特開平8−311442号公報において、一般式(I)で二重結合含有基
【0014】
【化3】
Figure 0003934817
【0015】
に代わってアリール基が置換した化合物を提案しているが、一般式(I)の化合物は輝度の点でこれよりも優れている。特に、高濃度域での蛍光の濃度消光が小さく、高効率な材料である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的構成について説明する。
<本発明の化合物>
本発明の有機EL素子は、少なくとも1層の有機化合物層、好ましくは発光層が、上記一般式(I)で表される化合物を含有する。この有機EL素子は、460〜600nm程度の波長域、特に520nm前後の緑色発光領域に極大発光波長をもつ。特に、一般式(I)の化合物は、発光層において、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントとして、あるいは、電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物とで形成された発光機能を有する混合層のドーパントとして使用することによって、青〜赤色の発光、特に長波長の発光が可能であり、しかも十分な輝度が得られ、発光性能が持続する。
【0017】
一般式(I)において、R1〜R6は各々アリール基、アルキル基、アミノ基または水素原子のいずれかを表している。
【0018】
アリール基としては、単環のものでも多環のものでもよく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アリールフェニル基、アリールオキシフェニル基、アルケニルフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。縮合多環芳香族の1価以外の残基は、さらに置換基を有していてもよいが、通常無置換であることが好ましい。
【0019】
アルキルフェニル基としては、アルキル部分の炭素数が1〜10、さらに好ましくは1〜6、特には1〜4のものが好ましく、アルキル基は直鎖状であっても分枝を有するものであってもよい。メチル基、エチル基、(n,i)−プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル基、(n,i,neo)−ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基のフェニル基における置換位置はo,m,p位のいずれであってもよい。このようなアルキルフェニル基の具体例としては、(o,m,p)−トリル基、4−n−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0020】
アルコキシフェニル基としては、アルキル部分の炭素数が1〜10のものが好ましく、アルコキシ基の炭素鎖は直鎖状であっても分枝を有するものであってもよい。メトキシ基、エトキシ基、(n,i)−プロポキシ基、(n,i,sec,tert)−ブトキシ基、(n,i,neo,tert)−ペンチルオキシ基、(n,i,neo)−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基のフェニル基における置換位置はo,m,p位のいずれであってもよい。このようなアルコキシフェニル基の具体例としては、(o,m,p)−メトキシフェニル基、p−ブトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、p−ヘキシルフェニル基等が挙げられる。
【0021】
アリールフェニル基としては、アリール部分がフェニル基であるものが好ましい。このようなフェニル基は置換されていてもよく、このときの置換基はアルキル基であることが好ましい。具体的には、上記のアルキルフェニル基のところで例示したアルキル基を挙げることができる。また、アリール部分は、フェニル基等のアリール基が置換したフェニル基であってもよい。このようなアリールフェニル基の具体例としては、(o,m,p)−ビフェニリル基、4−トリルフェニル基、3−トリルフェニル基、テレフェニリル基等が挙げられる。
【0022】
アリールオキシフェニル基としては、アリール部分がフェニル基であるものが好ましい。このようなフェニル基は置換されていてもよく、このときの置換基は上記のアルキル基であることが好ましい。また、アリール部分は、フェニル基等のアリール基が置換したフェニル基であってもよい。このようなアリールオキシフェニル基の具体例としては、フェノキシフェニル基、ビフェノキシフェニル基、ナフトキシフェニル基等が挙げられる。
【0023】
アルケニルフェニル基としては、アルケニル部分の総炭素数が2〜20のものが好ましく、アルケニル基としてはトリアリールアルケニル基、ジアリールアルケニル基が好ましく、例えばトリフェニルビニル基、トリトリルビニル基、トリビフェニルビニル基、ジフェニルビニル基、ジトリルビニル基、ジビフェニルビニル基等が挙げられる。このようなアルケニルフェニル基の具体例としては、トリフェニルビニルフェニル基等が挙げられる。
【0024】
アミノフェニル基としては、アミノ部分がジアリールアミノ基であるものが好ましく、ジアリールアミノ基としてはジフェニルアミノ基、フェニルトリルアミノ基等が挙げられる。
【0025】
ナフチル基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってよい。
【0026】
アントリル基としては、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基等であってよい。
【0027】
ピレニル基としては、1−ピレニル基、2−ピレニル基等であってよい。
【0028】
ペリレニル基としては、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基等であってよい。
【0029】
アリール基としては、上記の中でも、特にフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、さらには無置換のフェニル基、ビフェニリル基が好ましい。
【0030】
アルキル基としては、総炭素数1〜12個のもの、さらには総炭素数1〜6個、特に総炭素数1〜4個のものが好ましく、直鎖状であっても分枝を有するものであってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、(n,i)−プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル基等が好ましく挙げられる。
【0031】
アミノ基としては、置換アミノ基が好ましく、上記のアルキル基および/またはアリール基のジ置換体、特にジアリールアミノ基、例えば、ジフェニルアミノ基、フェニルトリルアミノ基等が好ましい。
【0032】
1〜R6は同一でも異なるものでもよい。また、R1〜R3の少なくとも1つがアリール基であり、しかも、R4〜R6の少なくとも1つがアリール基である。この場合、少なくともR2、R5がアリール基であることが好ましい。また、R1〜R3、R4〜R6のうちのそれぞれのアリール基の数は1〜3、特に2〜3であることが好ましい。
【0033】
また、R7〜R10は各々アリール基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子のいずれかを表している。
【0034】
アリール基、アルキル基としては、上述したR1〜R6と同じものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0035】
アルケニル基としては、トリアリールアルケニル基、ジアリールアルケニル基が好ましく、例えばトリフェニルビニル基、トリトリルビニル基、トリビフェニルビニル基、ジフェニルビニル基、ジトリルビニル基、ジビフェニルビニル基等が挙げられる。アルケニル基は、総炭素数6〜50のものが好ましく、無置換のものでも置換基を有するものであってもよい。
【0036】
アルコキシ基としては、アルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基は、さらに置換されていてもよい。
【0037】
アリーロキシ基としては、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ピレニルオキシ基、ペリレニルオキシ基等が挙げられる。アリーロキシ基は、さらに置換されていてもよい。
【0038】
7〜R10は同一でも異なるものでもよい。R7〜R10の少なくとも2つが水素原子であることが好ましく、すべてが水素原子であることがより好ましい。
【0039】
また、一般式(I)のうち、ナフタセンの5位と12位に結合している2つのフェニル基に、二重結合含有基
【0040】
【化4】
Figure 0003934817
【0041】
がナフタセンに対して、o-位、m-位に結合していても高特性が得られるが、p-位に結合している方が、輝度が高く、輝度の半減期も長くなる。
【0042】
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、化5、化6、化7,化8,化9、化10、化11は、化1の一般式(I)の表示を用いて示している。
【0043】
【化5】
Figure 0003934817
【0044】
【化6】
Figure 0003934817
【0045】
【化7】
Figure 0003934817
【0046】
【化8】
Figure 0003934817
【0047】
【化9】
Figure 0003934817
【0048】
【化10】
Figure 0003934817
【0049】
【化11】
Figure 0003934817
【0050】
一般式(I)の化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
<本発明の化合物のドーパントとしての含有量>
発光層中における一般式(I)の化合物の含有量は0.01wt% 以上、さらには0.1wt% 以上であることが好ましい。
【0052】
特に、一般式(I)の化合物はホスト物質、特にそれ自体で発光が可能なホスト物質と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントとしての使用が好ましい。このような場合の発光層における一般式(I)の化合物の含有量は0.01〜20wt% 、さらには0.1〜15wt% であることが好ましい。ホスト物質と組み合わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特性を変化させることができ、長波長の発光が可能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上する。
【0053】
<本発明の化合物の合成方法>
一般式(I)で表される化合物は、キノン構造の芳香族化合物にグリニャール試薬やリチオ化試薬を反応させ、さらに還元する方法(Maulding, D. R., et al., J. Org. Chem., 34, 1734(1969)やHanhela, P. J., et al., Aust. J. Chem., 34, 1687(1981)等参照)により、あるいはこの方法に準じて合成することができる。
以下に合成例を挙げる。
【0054】
[合成例1]
5,12−ビス[−4−(2−フェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンの合成
下記の式(A)に従って合成した。
【0055】
【化12】
Figure 0003934817
【0056】
アルゴン置換したフラスコに4−ブロモスチルベン4.0g とトルエン20ml、ジエチルエーテル20mlとを入れ、攪拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液9.4mlを加えて30分攪拌し、4−リチオスチルベンを調製した。調製したリチウム溶液を、ナフタセンキノン1.4g とトルエン30ml、ジエチルエーテル30mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。反応が完結するまで攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残さをカラム、再沈殿(アセトン−ヘキサン)により精製し、2.0g の白色のジオール体を得た。
【0057】
この白色のジオール体2.0g を300mlのナスフラスコに入れ、テトラヒドロフラン(THF)50ml、塩化スズ4.0g 、塩酸50mlを加えて約1時間攪拌した。トルエンで抽出後、有機層をよく水で洗い、溶媒を留去した。シリカゲルカラムに通した後、再沈殿(クロロホルム−ヘキサン)を3回行い、オレンジ色の固体1.6g を得た。このオレンジ色の固体を昇華精製し、1.4g の蛍光性目的物を得た。
【0058】
[合成例2]
5,12−ビス[−4−(2,2−ジフェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンの合成
下記の式(B)に従って合成した。
【0059】
【化13】
Figure 0003934817
【0060】
アルゴン置換したフラスコに1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフェニルエチレン5.0g とトルエン20ml、ジエチルエーテル20mlとを入れ、攪拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液9.0mlを加えて30分攪拌し、リチウム試薬を調製した。調製したリチウム試薬を、5,12−ナフタセンキノン1.3g とトルエン30ml、ジエチルエーテル30mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。反応が完結するまで攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残さをカラムを通し、再沈殿(アセトン−ヘキサン)を3回行い、3.3g の白色のジオール体を得た。
【0061】
この白色のジオール体3.0g を300mlのナスフラスコに入れ、THF50ml、塩化スズ(II)5.0g 、塩酸50mlを加えて約1時間攪拌した。トルエンで抽出後、有機層をよく水で洗い、溶媒を留去した。シリカゲルカラムに通した後、再沈殿(クロロホルム−ヘキサン)を3回行い、オレンジ色の固体2.2g を得た。このオレンジ色の固体を昇華精製し、2.0g のオレンジ色の蛍光性目的物を得た。
【0062】
[合成例3]
5,12−ビス[−4−(2,2,1−トリフェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンの合成
下記の式(C)に従って合成した。
【0063】
【化14】
Figure 0003934817
【0064】
アルゴン置換したフラスコに1,4−ジブロモベンゼン5.0g とトルエン20ml、ジエチルエーテル20mlとを入れ、攪拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液12mlを加えて30分攪拌し、4−ブロモフェニルリチウムを調製した。調製した4−ブロモフェニルリチウムを、5,12−ナフタセンキノン1.8g とトルエン30ml、ジエチルエーテル30mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。反応が完結するまで攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、塩化カルシウムで乾燥後溶媒を留去した。得られた固体をアセトン−ヘキサン混合溶媒で再結晶し、2.9g の白色固体のジオール体を得た。
【0065】
この白色のジオール体を300mlのナスフラスコに入れ、THF50ml、塩化スズ(II)5.0g 、塩酸50mlを加えて約1時間攪拌した。トルエンで抽出後、有機層をよく水で洗い、溶媒を留去した。シリカゲルカラムに通した後、再沈殿(クロロホルム−ヘキサン)によりオレンジ色の固体として5,12−ビス(4−ブロモフェニル)ナフタセン2.1g を得た。
【0066】
還流管と滴下ロートをつけたフラスコにマグネシウム0.36g 、THF50mlを入れ、滴下ロートから、1,1,2−トリフェニル−2−ブロモエチレン5.0g をTHF20mlに溶解した溶液を滴下する。滴下終了後、約1時間加熱攪拌し、グリニャール試薬を調製した。別の容器に上記で得られたオレンジ色固体2.0g とジフェニルホスフィノエタンニッケルクロライド0.40g 、THF50mlを入れ、ここにグリニャール試薬をゆっくりと加えた。この溶液を反応が完結するまで加熱攪拌した。その後、加水分解し、トルエンで抽出、カラムに通し、再沈殿によりオレンジ色の固体として目的物1.5g を得た。
【0067】
[合成例4]
5,12−ビス[−4−(4−フェニル−1,4−ブタジエニル)フェニル]ナフタセンの合成
下記の式(D)に従って合成した。
【0068】
【化15】
Figure 0003934817
【0069】
アルゴン置換したフラスコに4−ブロモトルエン10g とトルエン25ml、ジエチルエーテル25mlとを入れ、攪拌した。ここに、1.6mol/lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液35mlを加えて30分攪拌し、4−リチオトルエンを調製した。調製した4−リチオトルエンを、5,12−ナフタセンキノン4.8g とトルエン50ml、ジエチルエーテル50mlとを入れた別の容器にゆっくりと加えた。反応が完結するまで攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残さをカラム、再沈殿(アセトン−ヘキサン)により精製し、白色固体としてジオール体6.6g を得た。
【0070】
この白色固体6.5g を300mlのナスフラスコに入れ、THF50ml、塩化スズ(II)10g 、塩酸50mlを加えて約1時間攪拌した。トルエンで抽出後、有機層をよく水で洗い、溶媒を留去した。シリカゲルカラムに通した後、再沈殿(クロロホルム−ヘキサン)によりオレンジ色の固体として5,12−ビス(4−メチルフェニル)ナフタセン5.0g を得た。
【0071】
このオレンジ色固体5.0g にN−ブロモコハク酸イミド2.1g を加え、四塩化炭素中で3時間加熱還流攪拌する。不溶性のコハク酸イミドをろ過し、カラムにより生成物を分離してビス(4−ブロモメチルフェニル)ナフタセン5.9g を得た。
【0072】
ビス(4−ブロモメチルフェニル)ナフタセン5.8g に亜リン酸トリエチル4.1g を加え、加熱攪拌した。反応物を冷却すると目的の生成物が固化する。これをろ過し、再結晶およびカラム精製してリン酸エステル6.0g を得た。
【0073】
アルゴン置換したフラスコにリン酸エステル3.0g とtrans−シンナムアルデヒド1.4g 、THF10mlを入れ、攪拌した。ここに、t−ブトキシカリウムのTHF溶液(濃度1.0mol/l)20mlを室温でゆっくりと滴下した。一晩攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。カラムと再結晶により精製し、目的物2.0g を得た。
【0074】
[合成例5]
5,12−ビス{−4−[−2−(N,N−ジメチル−4−アミノフェニル)エテニイル]}ナフタセンの合成
下記の式(E)に従って合成した。
【0075】
【化16】
Figure 0003934817
【0076】
アルゴン置換したフラスコに、合成例4で得られるリン酸エステル3.0g と4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド1.6g 、THF10mlを入れ、攪拌した。ここに、t−ブトキシカリウムのTHF溶液(濃度1.0mol/l)20mlを室温でゆっくりと滴下した。一晩攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。カラムと再結晶により精製し、ジメチルアミノ置換の目的物2.0g を得た。
【0077】
[合成例6]
5,12−ビス{−4−[−2−(N,N−ジフェニル−4−アミノフェニル)エテニイル]}ナフタセンの合成
下記の式(F)に従って合成した。
【0078】
【化17】
Figure 0003934817
【0079】
アルゴン置換したフラスコに、合成例4で得られるリン酸エステル3.0g と4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド1.6g 、THF10mlを入れ、攪拌した。ここに、t−ブトキシカリウムのTHF溶液(濃度1.0mol/l)20mlを室温でゆっくりと滴下した。一晩攪拌した後、加水分解し、トルエンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。カラムと再結晶により精製し、目的物2.0g を得た。
【0080】
本発明の化合物は、質量分析、赤外線吸収スペクトル(IR)、1H,13C核磁気共鳴スペクトル(NMR)等によって同定することができる。一例として、5,12−ビス[−4−(2−フェニルエテニイル)フェニル]ナフタセン(化5のNo.2)のMass(質量分析)スペクトルを図1に、1H-NMRスペクトルを図2に、13C−NMRスペクトルを図3に、IRスペクトルを図4に示す。
【0081】
<有機EL素子の構成例>
本発明の有機EL素子の構成例としては図5に示すものが挙げられる。同図に示される有機EL素子は、基板1上に、陽極2、正孔注入輸送層3、発光層4、電子注入輸送層5、陰極6を順次有する。発光層の機能により、正孔注入輸送層3および/または電子注入輸送層5は省略することができる。
【0082】
<発光層、正孔注入輸送層、電子注入輸送層>
発光層は、正孔(ホール)および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する。発光層には比較的電子的にニュートラルな化合物、すなわち、電子およびホールを安定に、かつ、容易に注入できる化合物を用いることが好ましい。さらには、発光層の発光効率を向上させるため、再結合効率が最大になるが、素子の駆動電圧が上昇しない程度にキャリアトラップ性を付与することが重要である。
【0083】
正孔注入輸送層は、陽極からの正孔の注入を容易にする機能、正孔を輸送する機能および電子を妨げる機能を有し、電子注入輸送層は、陰極からの電子の注入を容易にする機能、電子を輸送する機能および正孔を妨げる機能を有するものである。これらの層は、発光層へ注入される正孔や電子を増大・閉じ込めさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、発光層に用いる化合物の正孔注入、正孔輸送、電子注入、電子輸送の各機能の高さを考慮し、必要に応じて設けられる。例えば、発光層に用いる化合物の正孔注入輸送機能または電子注入輸送機能が高い場合には、正孔注入輸送層または電子注入輸送層を設けずに、発光層が正孔注入輸送層または電子注入輸送層を兼ねる構成とすることができる。また、場合によっては、正孔注入輸送層および電子注入輸送層のいずれも設けなくてよい。また、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれにおいて、注入機能を持つ層と輸送機能を持つ層とに別個に設けてもよい。
【0084】
発光層の厚さ、正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、再結合領域・発光領域の設計や形成方法によっても異なるが、通常、5〜1000nm程度、特に10〜200nmとすることが好ましい。
【0085】
正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計にもよるが、発光層の厚さと同程度もしくは1/100〜100倍程度とすればよい。電子もしくは正孔の各々の注入層と輸送層とを分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は20nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で1000nm程度、輸送層で1000nm程度である。このような膜厚については、注入輸送層を2層設けるときも同じである。
【0086】
また、組み合わせる発光層や電子注入輸送層や正孔注入輸送層のキャリア移動度やキャリア密度(イオン化ポテンシャル・電子親和力により決まる)を考慮し、膜厚をコントロールすることで、再結合領域・発光領域を自由に設計することができ、発光色の設計や、両電極の干渉効果による発光輝度・発光スペクトルの制御や、発光の空間分布の制御を可能にできる。
【0087】
一般式(I)の化合物は発光層に用いることが好ましく、一般式(I)の化合物を含有する有機化合物層は発光層であることが好ましい。
【0088】
<ホスト物質>
本発明の一般式(I)の化合物は、ホスト物質と組み合わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特性を変化させることができ、長波長の発光が可能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上する。
ホスト物質としては、後述するトリアリールアミン誘導体が好ましい。
【0089】
また、ホスト物質としては、キノリン誘導体が好ましく、さらには8−キノリノールないしその誘導体を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このようなアルミニウム錯体としては、特開昭63−264692号、特開平3−255190号、特開平5−70733号、特開平5−258859号、特開平6−215874号等に開示されているものを挙げることができる。
【0090】
具体的には、まず、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メタン]等がある。
【0091】
また、8−キノリノールないしその誘導体のほかに他の配位子を有するアルミニウム錯体であってもよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等がある。
【0092】
このほか、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等であってもよい。
【0093】
これらのなかでも、本発明では、特にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)を用いることが好ましい。
【0094】
このほかのホスト物質としては、特開平8−012600号公報に記載のフェニルアントラセン誘導体や特開平8−012969号公報に記載のテトラアリールエテン誘導体なども好ましい。
【0095】
フェニルアントラセン誘導体は、下記の一般式(II)で表されるものである。
一般式(II)
1 −L−A2
【0096】
一般式(II)において、A1 およびA2 は、各々モノフェニルアントリル基またはジフェニルアントリル基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0097】
1 、A2 で表されるモノフェニルアントリル基またはジフェニルアントリル基は、無置換でも置換基を有するものであってもよい。置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基については後述する。また、このような置換基の置換位置は特に限定されないが、アントラセン環ではなく、アントラセン環に結合したフェニル基であることが好ましい。
【0098】
また、アントラセン環におけるフェニル基の結合位置はアントラセン環の9位、10位であることが好ましい。
【0099】
式(II)において、Lは単結合または二価の基を表すが、Lで表される二価の基としてはアルキレン基等が介在してもよいアリーレン基が好ましい。このようなアリーレン基については後述する。
【0100】
式(II)で示されるフェニルアントラセン誘導体のなかでも、下記の式(III)、式(IV)で示されるものが好ましい。
【0101】
【化18】
Figure 0003934817
【0102】
【化19】
Figure 0003934817
【0103】
式(III)において、R01およびR02は、各々アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基または複素環基を表す。
【0104】
01、R02で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分枝を有するものであってもよく、炭素数1〜10、さらには1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましい。特に、炭素数1〜4の無置換のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0105】
01、R02で表されるシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
【0106】
01、R02で表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、さらにはフェニル基、トリル基等の置換基を有するものであってもよい。具体的には、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられる。
【0107】
01、R02で表されるアルコキシ基としては、アルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基は、さらに置換されていてもよい。
【0108】
01、R02で表されるアリーロキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられる。
【0109】
01、R02で表されるアミノ基は、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有することが好ましく、この場合の置換基としてはアルキル基(メチル基、エチル基等)、アリール基(フェニル基等)などが挙げられる。具体的にはジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0110】
01、R02で表される複素環基としては、ビピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、オキサジアゾイル基等が挙げられる。これらは、メチル基、フェニル基等の置換基を有していてもよい。
【0111】
式(III)において、r01およびr02は、各々、0または1〜5の整数を表し、特に0または1であることが好ましい。r01およびr02が、各々、1〜5の整数、特に1または2であるとき、R01およびR02は、各々、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基であることが好ましい。
【0112】
式(III)において、R01とR02とは同一でも異なるものであってもよく、R01とR02とが各々複数存在するとき、R01同志、R02同志は各々同一でも異なるものであってもよい。
【0113】
式(III)において、L1 は単結合またはアリーレン基を表す。L1 で表されるアリーレン基としては、無置換であることが好ましく、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等の通常のアリーレン基の他、2個ないしそれ以上のアリーレン基が直接連結したものが挙げられる。L1 としては、単結合、p−フェニレン基、4,4′−ビフェニレン基等が好ましい。
【0114】
また、L1 で表されるアリーレン基は、2個ないしそれ以上のアリーレン基がアルキレン基、−O−、−S−または−NR−が介在して連結するものであってもよい。ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基等が挙げられる。なかでも、アリール基が好ましく、上記のフェニル基のほか、A1 、A2 であってもよく、さらにはフェニル基にA1 またはA2 が置換したものであってもよい。
【0115】
また、アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等がこの好ましい。このようなアリーレン基の具体例を以下に示す。
【0116】
【化20】
Figure 0003934817
【0117】
次に、式(IV)について説明する。式(IV)において、R03およびR04は式(III)におけるR01 およびR02と、またr03およびr04は式(III)におけるr01およびr02と、さらにL2 は式(III)におけるL1 とそれぞれ同義であり、好ましいものも同様である。
【0118】
式(IV)において、R03とR04とは同一でも異なるものであってもよく、R03とR04が各々複数存在するとき、R03同志、R04同志は、各々同一でも異なるものであってもよい。
【0119】
式(III)、式(IV)で表される化合物を以下に例示するが、これらに限定されるものではない。なお、化21、化23、化25、化27、化29、化31、化33では一般式を示し、化22、化24、化26、化28、化30、化32、化34で、各々対応する具体例をR11〜R15、R21〜R25あるいはR31〜R35、R41〜R45の組合せで示している。
【0120】
【化21】
Figure 0003934817
【0121】
【化22】
Figure 0003934817
【0122】
【化23】
Figure 0003934817
【0123】
【化24】
Figure 0003934817
【0124】
【化25】
Figure 0003934817
【0125】
【化26】
Figure 0003934817
【0126】
【化27】
Figure 0003934817
【0127】
【化28】
Figure 0003934817
【0128】
【化29】
Figure 0003934817
【0129】
【化30】
Figure 0003934817
【0130】
【化31】
Figure 0003934817
【0131】
【化32】
Figure 0003934817
【0132】
【化33】
Figure 0003934817
【0133】
【化34】
Figure 0003934817
【0134】
【化35】
Figure 0003934817
【0135】
【化36】
Figure 0003934817
【0136】
【化37】
Figure 0003934817
【0137】
【化38】
Figure 0003934817
【0138】
また、テトラアリールエテン誘導体は、下記の一般式(V)で表される化合物である。
【0139】
【化39】
Figure 0003934817
【0140】
一般式(V)において、Ar51、Ar52およびAr53は、各々芳香族残基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0141】
Ar51〜Ar53で表される芳香族残基としては、芳香族炭化水素基(アリール基)、芳香族複素環基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、単環もしくは多環の芳香族炭化水素基であってよく、縮合環や環集合も含まれる。芳香族炭化水素基は、総炭素数が6〜30のものが好ましく、置換基を有するものであってもよい。置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基等が挙げられる。この置換基については後述する。芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アリールフェニル基、アリーロキシフェニル基、アミノフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基などが挙げられる。
【0142】
また、芳香族複素環基としては、ヘテロ原子としてO、N、Sを含むものが好ましく、5員環であっても6員環であってもよい。具体的には、チエニル基、フリル基、ピローリル基、ピリジル基などが挙げられる。
【0143】
Ar51〜Ar53で表される芳香族基としては、特にフェニル基が好ましい。
【0144】
n51は2〜6の整数であり、特に2〜4の整数であることが好ましい。
【0145】
51はn価の芳香族残基を表すが、特に芳香族炭化水素、芳香族複素環、芳香族エーテルまたは芳香族アミンから誘導される2〜6価、特に2〜4価の残基であることが好ましい。これらの芳香族残基は、さらに置換基を有するものであってもよいが、無置換のものが好ましい。
【0146】
式(V)で示されるテトラアリールエテン誘導体のなかでも、下記の式(VI)で示されるものが好ましい。
【0147】
【化40】
Figure 0003934817
【0148】
式(VI)において、R61、R62およびR63は、各々、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基またはアミノ基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0149】
61〜R63で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、直鎖状であっても分枝を有するものであってもよく、さらには置換基を有するものであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0150】
61〜R63で表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、置換基を有するものであってもよく、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0151】
61〜R63で表されるアルコキシ基としては、アルコキシ基のアルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
【0152】
61〜R63で表されるアリーロキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
【0153】
61〜R63で表されるアミノ基としては、置換基を有するものが好ましく、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(ビフェニル)アミノ基等が挙げられる。
【0154】
s、tおよびuは、各々、0または1〜5の整数であり、s、t、uが2以上の整数であるとき、R61同志、R62同志、R63同志は、各々同一でも異なるものであってもよい。
【0155】
式(VI)において、s、tおよびuは、各々、0または1であることが好ましく、特に0であること、すなわち無置換のフェニル基であることが好ましい。
【0156】
61は、アリーレン基、アレーントリイル基、複素環ジイル基、トリアリールアミントリイル基またはジアリール複素環テトライル基を表す。L61で表されるアリーレン基は、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、複素環ジイル基またはアルキレン基が介在していてもよい。
【0157】
このようなアリーレン基は、総炭素数が6〜20であることが好ましく、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ジフェニルエーテルジイル基、ジフェニルチオエーテルジイル基、ジフェニルメチルジイル基、ジフェニルオキサジアゾールジイル基、テルフェニレン基等が挙げられる。
【0158】
61で表されるアレーントリイル基としては、ベンゼントリイル基、クアテルフェニルトリイル基等が挙げられる。
【0159】
61で表される複素環ジイル基としては、チオフェンジイル基、フランジイル基、ピリジンジイル基、ビチオフェンジイル基、ビフランジイル基、ビピリジンジイル基、ピラジンジイル基、ピロールジイル基、ビピロールジイル基、キノリンジイル基、オキサジアゾールジイル基、キノキサリンジイル基、ジフェニルキノキサリンジイル基等が挙げられる。
【0160】
61で表されるトリアリールアミントリイル基としては、トリフェニルアミントリイル基等が挙げられる。
【0161】
61で表されるジアリール複素環テトライル基としては、ジフェニルキノキサリンテトライル基等が挙げられる。
【0162】
61の好適例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0163】
【化41】
Figure 0003934817
【0164】
【化42】
Figure 0003934817
【0165】
式(VI)において、n61はL61の価数によるが、2〜4の整数であり、さらには2、3、特に2であることが好ましい。
【0166】
テトラアリールエテン誘導体の好適例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。なお、化43は一般式であり、化44、化45、化46では化43の表示を用いて示している。R71〜R75、R81〜R85、R91〜R95については、すべて水素のときはHとし、いずれかが置換基のときは置換基のみを示すものとする。
【0167】
【化43】
Figure 0003934817
【0168】
【化44】
Figure 0003934817
【0169】
【化45】
Figure 0003934817
【0170】
【化46】
Figure 0003934817
【0171】
【化47】
Figure 0003934817
【0172】
【化48】
Figure 0003934817
【0173】
<他の蛍光物質>
本発明では、発光層に一般式(I)の化合物の他に別の蛍光物質を含有させてもよい。このような蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素等の化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体色素などのキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体等が挙げられる。さらには、特開平8−012600号のフェニルアントラセン誘導体、特開平8−012969号のテトラアリールエテン誘導体等も挙げられる。
【0174】
<混合層>
一般式(I)の化合物を含有する発光層としては、上記のホスト物質と組み合わせるものとする他、少なくとも一種以上の正孔注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、この混合層中に一般式(I)の化合物をドーパントとして含有させることが好ましい。このような混合層における一般式(I)の化合物の含有量は、0.01〜20wt% 、さらには0.1〜15wt% とすることが好ましい。
【0175】
混合層では、キャリアのホッピング伝導パスができるため、各キャリアは極性的に有利な物質中を移動し、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるので、有機化合物がダメージを受けにくくなり、素子寿命がのびるという利点がある。一般式(I)の化合物をこのような混合層に含有させることにより、混合層自体のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長を長波長に移行させることができるとともに、発光強度を高め、かつ素子の安定性が向上する。
【0176】
混合層に用いられる正孔注入輸送性化合物および電子注入輸送性化合物は、各々、下記の正孔注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化合物の中から選択すればよい。なかでも、電子注入輸送性化合物としては、キノリン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)を用いることが好ましい。また、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールアミン誘導体を用いるのも好ましい。正孔注入輸送層用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、例えば正孔輸送材料であるテトラアリールアリーレンジアミン誘導体、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体を用いることが好ましい。
【0177】
上記のテトラアリールアリーレンジアミン誘導体は、下記一般式(101)で表される。
【0178】
【化49】
Figure 0003934817
【0179】
式(101)において、Areはアリーレン基を表し、n100は1〜4の整数であり、A101 〜A104 はアリール基を表す。A101 〜A104 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。
【0180】
Areで表されるアリーレン基は、さらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子のような置換基を有していてもよい。Areで表されるアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、チエニレン基、ビチエニレン基等が好ましく挙げられる。
【0181】
101 〜A104 で表されるアリール基は、さらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子のような置換基を有していてもよい。A101 〜A104 としては、フェニル基、ビフェニル基、ジアリールアミノフェニル基、ジアリールアミノビフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基等が好ましく挙げられる。
【0182】
テトラアリールアリーレンジアミン誘導体の具体例としては、特開昭63−295695号、特開平2−191694号、特開平3−792号、特開平5−234681号、特開平5−239455号、特開平5−299174号、特開平7−126225号、特開平7−126226号、特開平8−100172号、EP0650955A1(対応特願平7−43564号)等に記載の化合物が挙げられる。
【0183】
なかでもテトラアリールアリーレンジアミン誘導体としては下記式(102)〜(105)で表される化合物が好ましい。
【0184】
【化50】
Figure 0003934817
【0185】
式(102)において、R107 、R108 、R109 およびR110は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r107、r108、r109およびr110は、各々、0〜4の整数である。R111、R112、R113およびR114は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r111、r112、r113およびr114は、各々、0〜5の整数である。R105 およびR106 は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r105およびr106は、各々、0〜4の整数である。
【0186】
【化51】
Figure 0003934817
【0187】
式(103)において、R107 、R108 、R109 およびR110は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r107、r108、r109およびr110は、各々、0〜4の整数である。R111、R112、R113およびR114は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r111、r112、r113およびr114は、各々、0〜5の整数である。R105 およびR106 は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r105およびr106は、各々、0〜4の整数である。
【0188】
【化52】
Figure 0003934817
【0189】
式(104)において、R107 、R108 、R109 およびR110は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r107、r108、r109およびr110は、各々、0〜4の整数である。R111、R112、R113およびR114は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r111、r112、r113およびr114は、各々、0〜5の整数である。R105 およびR106 は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r105およびr106は、各々、0〜4の整数である。
【0190】
【化53】
Figure 0003934817
【0191】
式(105)において、Ar104 およびAr105 は、各々、ジアリールアミノアリール基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。R115およびR116は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r115およびr116は、各々、0〜4の整数である。R117およびR118は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r117およびr118は、各々、0〜5の整数である。R105 およびR106 は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r105およびr106は、各々、0〜4の整数である。
【0192】
式(102)〜(104)について、さらに説明すると、式(102)〜(104)のそれぞれにおいて、R111〜R114は、各々、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0193】
111〜R114で表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環や環集合も含まれる。総炭素数は6〜20のものが好ましく、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0194】
111〜R114で表されるアリール基の具体例としては、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。アリール基、特にフェニル基の結合位置は3位(Nの結合位置に対してメタ位)または4位(Nの結合位置に対してパラ位)であることが好ましい。
【0195】
111〜R114で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分枝を有するものであってもよく、炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としてはアリール基と同様のものが挙げられる。
【0196】
111〜R114で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0197】
111〜R114で表されるアルコキシ基としては、アルキル部分の炭素数1〜6のものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基はさらに置換されていてもよい。
【0198】
111〜R114で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
【0199】
111〜R114で表されるアミノ基としては、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有するものが好ましく、具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N−フェニル−N−ナフチルアミノ基、N−フェニル−N−ビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N−アントリルアミノ基、N−フェニル−N−ピレニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジアントリルアミノ基、ジピレニルアミノ基等が挙げられる。
【0200】
111〜R114で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0201】
r111〜r114は、各々、0〜5の整数であり、式(102)〜(104)のいずれにおいても0であることが好ましい。
【0202】
なお、r111〜r114が各々2以上の整数であるとき、各R111〜R114同士は同一でも異なるものであってもよい。
【0203】
式(102)〜(104)において、R105 、R106 で表されるアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子としては、R111〜R114のところで挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0204】
r105、r106は、ともに0であることが好ましく、2つのアリールアミノ基を連結するビフェニレン基は無置換のものが好ましい。
【0205】
式(102)〜(104)において、R107 〜R110は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。これらの具体例としてはR111〜R114のところで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0206】
r107〜r110は、各々、0〜4の整数であり、0であることが好ましい。
【0207】
式(105)についてさらに説明すると、式(105)において、Ar104 およびAr105 は、各々、ジアリールアミノアリール基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。ジアリールアミノアリール基としては、ジアリールアミノフェニル基が好ましく、具体的にはジフェニルアミノフェニル基、ビス(ビフェニル)アミノフェニル基、ビフェニルフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基、フェニルトリルアミノフェニル基、ナフチルフェニルアミノフェニル基、ジナフチルアミノフェニル基、フェニルピレニルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0208】
式(105)において、R115およびR116は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。これらの具体例としては式(102)〜(104)のR111〜R114のところで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0209】
r115、r116は、各々、0〜4の整数であるが、0であることが好ましい。
【0210】
式(105)において、R117、R118は、各々、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはハロゲン原子のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。これらの具体例としてはR111〜R114のところで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0211】
r117、r118は、各々、0〜5の整数であるが、0であることが好ましい。
【0212】
なお、式(105)において、r115、r116が各々2以上の整数であるとき、R115同士、R116同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよく、r117、r118が各々2以上の整数であるとき、R117同士、R118同士はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。
【0213】
式(105)において、R105 、R106 、r105およびr106は式(102)〜(104)のものと同義であり、r105、r106は0であることが好ましい。
【0214】
以下に、テトラアリールアリーレンジアミン誘導体の具体例を示すが、これに限定されるされるものではない。なお、具体例は一般式(102a)〜(105a)で示し、これらの式中のR101 等の組合せで示している。この表示において、Ar101 〜Ar106 を除いて、すべてHのときはHで示しており、置換基が存在するときは置換基のみを示すものとし、他のものはHであることを意味している。
【0215】
【化54】
Figure 0003934817
【0216】
【化55】
Figure 0003934817
【0217】
【化56】
Figure 0003934817
【0218】
【化57】
Figure 0003934817
【0219】
【化58】
Figure 0003934817
【0220】
【化59】
Figure 0003934817
【0221】
【化60】
Figure 0003934817
【0222】
【化61】
Figure 0003934817
【0223】
【化62】
Figure 0003934817
【0224】
【化63】
Figure 0003934817
【0225】
【化64】
Figure 0003934817
【0226】
【化65】
Figure 0003934817
【0227】
【化66】
Figure 0003934817
【0228】
【化67】
Figure 0003934817
【0229】
【化68】
Figure 0003934817
【0230】
【化69】
Figure 0003934817
【0231】
【化70】
Figure 0003934817
【0232】
【化71】
Figure 0003934817
【0233】
【化72】
Figure 0003934817
【0234】
【化73】
Figure 0003934817
【0235】
【化74】
Figure 0003934817
【0236】
また、以下の化合物も好ましいものとして挙げられる。
【0237】
【化75】
Figure 0003934817
【0238】
また、後述のホール注入材料として用いられるフェニレンジアミン骨格を有するトリアリールアミン多量体も好ましい。
【0239】
発光層を少なくとも一種以上の正孔注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層とする場合の混合比は、それぞれのキャリア移動度とキャリア濃度によるが、一般的には、正孔注入輸送性化合物の化合物/電子注入輸送機能を有する化合物の重量比が、1/99〜99/1、さらには10/90〜90/10、特に20/80〜80/20程度となるようにすることが好ましい。
【0240】
また、混合層の厚さは、分子層一層に相当する厚みから、有機化合物層の膜厚未満とすることが好ましく、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、さらには5〜60nm、特に5〜50nmとすることが好ましい。
【0241】
また、混合層の形成方法としては、異なる蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもできる。混合層は、化合物同士が均一に混合している方が好ましいが、場合によっては、化合物が島状に存在するものであってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質を蒸着するか、あるいは、樹脂バインダー中に分散させてコーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形成する。
【0242】
<電子注入輸送層>
本発明では、電子注入輸送層を設けてもよい。電子注入輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)等を使用することが好ましい。電子注入輸送層の形成は、発光層と同様に、蒸着等によればよい。
【0243】
電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層とに分けて設層する場合は、電子注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、陰極側から電子親和力の大きい化合物の順に積層することが好ましく、陰極に接して電子注入層、発光層に接して電子輸送層を設けることが好ましい。電子親和力と積層順との関係については、電子注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。
【0244】
<正孔注入輸送層>
本発明では、正孔注入輸送層を設けてもよい。正孔注入輸送層には、通常の有機EL素子に用いられている各種有機化合物、例えば、特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−792号公報等に記載されている各種有機化合物、具体的には、テトラアリールアリーレンジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、オリゴチオフェン、ポリチオフェン等を用いることができる。特に、テトラアリールアリーレンジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体を用いることが好ましい。これらの化合物は2種以上を混合して用いてもよく、また積層して用いることができる。
【0245】
正孔注入輸送層を正孔注入層と正孔輸送層とに分けて設層する場合は、正孔注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、陽極(ITO等)側からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の順に積層することが好ましく、陽極に接して正孔注入層、発光層に接して正孔輸送層を設けることが好ましい。また、ITO表面には、親水性にバラツキのあるITO表面上でも均一な薄膜を形成することのできる、薄膜性が良好な正孔注入材料を用いることが好ましく、フェニレンジアミン骨格を有するトリアリールアミン多量体が好ましい。このようなイオン化ポテンシャルと積層順の関係については、正孔注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。このような積層順とすることによって、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子化する場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフリーとすることができるため、正孔注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。また、膜厚、屈折率などを調整することで、発光色や発光輝度、発光の空間分布等の干渉光効果を利用して効率の低下を防ぐことが出来る。
【0246】
正孔注入輸送層を2層以上積層する場合、あるいは正孔注入層と正孔輸送層とを積層する場合、陽極上には薄膜性の良好なフェニレンジアミン骨格を有するトリアリールアミン多量体を正孔注入層あるいは第一正孔注入輸送層に用いることが好ましく、テトラアリールアリーレンジアミン誘導体を正孔輸送層あるいは第二正孔注入輸送層に用いることが好ましい。
【0247】
上記のほか、好ましい芳香族三級アミンとしては、特願平7−43564号に記載のものが挙げられる。具体的には、N,N,N’,N’−テトラ(3−ビフェニリル)ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N−フェニル−N−3−メチルフェニルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N,N−ジ−3−ビフェニリルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N−フェニル−N−2−ナフチルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N−フェニル−N−3−ビフェニリルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4’−(N,N’−ジ−3−メチルフェニルアミノ)ビフェニル−4−イル]ベンジジン等が挙げられる。
【0248】
<陰極>
本発明において、陰極には、仕事関数の小さい材料、例えば、Li、Na、Mg、Al、Ag、In、あるいは、これらの1種以上を含む合金を用いることが好ましい。また、陰極は、結晶粒が細かいことが好ましく、特にアモルファス状態であることが好ましい。陰極の厚さは10〜1000nm程度とすることが好ましい。
【0249】
また、電子注入層に、Li、Na、K、Ca等の仕事関数の小さな金属を分散させてもよい。
【0250】
また、Li、Na、K、Mg、Caの酸化物やハロゲン化物を1nm以下の薄い膜として、さらにAl等の電極を形成してもよい。
【0251】
<陽極>
有機EL素子を面発光させるためには、少なくとも一方の電極が透明ないし半透明である必要があり、上記のように陰極の材料には制限があるので、好ましくは発光光の透過率が80%以上となるように陽極の材料および厚さを決定することが好ましい。具体的には、例えば、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、SnO2 、Ni、Au、Pt、Pd、ドーパントをドープしたポリピロールなどを陽極に用いることが好ましい。また、陽極の厚さは10〜500nm程度とすることが好ましい。また、素子の信頼性を向上させるために駆動電圧が低いことが必要であるが、好ましいものとして10〜30Ω/□または10Ω/□以下(通常0.1〜10Ω/□)のITOが挙げられる。
【0252】
また、ホール注入層に、ホールキャリアを発生するような化合物を分散させてもよい。
【0253】
<基板材料>
基板材料に特に制限はないが、図示例では基板側から発光光を取り出すため、ガラスや樹脂等の透明ないし半透明材料を用いる。また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いたり、基板自身に着色したりして発光色をコントロールしてもよい。なお、基板に不透明な材料を用いる場合には、図5に示される積層順序を逆にしてもよい。
【0254】
<有機EL素子の製造方法>
次に、本発明の有機EL素子の製造方法を説明する。
陽極は、蒸着法やスパッタ法等の気相成長法により形成することが好ましい。
【0255】
陰極は、蒸着法で形成してもよいが、スパッタ法により形成することが好ましい。スパッタ法は、蒸気圧の大きく異なる材料の混合物をターゲットとして用いても、生成する膜とターゲットとの組成のズレは少なく、蒸着法のように蒸気圧等による使用材料の制限もない。また、蒸着法と比較して、材料を長時間供給する必要がなく、膜厚や膜質の均一性に優れ、生産性の点で有利である。
【0256】
正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm 以下(通常、下限値は0.001μm 程度である。)の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μm を超えていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなければならなくなり、電荷の注入効率も著しく低下する。
【0257】
真空蒸着の条件は特に限定されないが、10-3Pa以下、好ましくは10-5Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続して各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げるため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低くしたり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりすることができる。
【0258】
これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着することが好ましいが、予め混合してから蒸着してもよい。また、この他、溶液塗布法(スピンコート、ディップ、キャスト等)、ラングミュア・ブロジェット(LB)法などを用いることもできる。溶液塗布法では、ポリマー等のマトリックス物質中に各化合物を分散させる構成としてもよい。
【0259】
本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパルス駆動することもできる。印加電圧は、通常、2〜20V 程度とされる。
【0260】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を成膜したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0261】
まず、下記のHIM34を蒸着速度約0.1nm/secで約50nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。次いで、TPD(化55のNo.102−1)を蒸着速度0.2nm/sec で20nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0262】
【化76】
Figure 0003934817
【0263】
減圧状態を保ったまま、次いで、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下AlQ3と記載)と化5のNo.2とを各々蒸着速度0.1〜0.2nm/sec、0.002〜0.004nm/sec(2.0wt% )でトータル約20nmの厚さに共蒸着し、発光層とした。
【0264】
次いで、AlQ3を蒸着速度0.1〜0.2nm/secで約30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0265】
次に、減圧を保ったまま、200nmの厚さにAlLi合金膜(Li濃度0.7at%)を成膜し、陰極とした。
【0266】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧7.8V 、10mA/cm2 の定電流密度で1200cd/m2 の緑色(発光極大波長λmax =528nm)の発光が確認された。
【0267】
また、この素子を乾燥雰囲気下50mA/cm2の定電流駆動で、初期輝度は5400cd/m2、初期駆動電圧は8.5Vであり、輝度の半減期は680時間以上、その間の駆動電圧の上昇は2.0Vであった。
【0268】
なお、発光層をAlQ3のみで構成した場合は、発光色は緑色で、ピーク波長は520nmで、10mA/cm2 の定電流密度での輝度は300cd/m2 であった。
【0269】
[実施例2]
AlQ3と化11のNo.53を共蒸着し、発光層とした以外は、実施例1と同様にしてEL素子を得た。
【0270】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧8.0V 、10mA/cm2 の定電流密度で1150cd/m2 の緑色(発光極大波長λmax =530nm)の発光が確認された。
【0271】
また、この素子を乾燥雰囲気下50mA/cm2の定電流駆動で、初期輝度は5200cd/m2、初期駆動電圧は8.8Vであり、輝度の半減期は650時間以上、その間の駆動電圧の上昇は1.5Vであった。
【0272】
[実施例3]
AlQ3と化5のNo.1を共蒸着し、発光層とした以外は、実施例1と同様にしてEL素子を得た。
【0273】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧8.1V 、10mA/cm2 の定電流密度で1100cd/m2 の黄緑色(発光極大波長λmax =535nm)の発光が確認された。
【0274】
また、この素子を乾燥雰囲気下50mA/cm2の定電流駆動で、初期輝度は4900cd/m2、初期駆動電圧は8.8Vであり、輝度の半減期は700時間以上、その間の駆動電圧の上昇は2.0Vであった。
【0275】
[実施例4]
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を成膜したガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、真空槽を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0276】
まず、HIM34を蒸着速度約0.1nm/secで約10nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。次いで、TPD(化55のNo.102−1)を蒸着速度0.1〜0.2nm/secで約45nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0277】
減圧状態を保ったまま、次いで、正孔注入輸送性化合物としてのTPD(化55のNo.102−1)と電子注入輸送性化合物としてのAlQ3とをほぼ同じ蒸着速度(0.1〜0.2nm/sec)で、それと同時に化5のNo.2も蒸着速度0.006〜0.014nm/sec(3.3wt% )で蒸着して、発光層としての混合層を約40nmの厚さに形成した。
【0278】
次いで、AlQ3を蒸着速度0.1〜0.2nm/secで約30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0279】
次に、減圧を保ったまま、200nmの厚さにAlLi合金膜(Li濃度0.7at%)を成膜し、陰極とした。
【0280】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧8.2V 、10mA/cm2 の定電流密度で1280cd/m2 の緑色(発光極大波長λmax =528nm)の発光が確認された。
【0281】
また、この素子を乾燥雰囲気下50mA/cm2の定電流駆動で、初期輝度は5800cd/m2、初期駆動電圧は8.7Vであり、輝度の半減期は2000時間以上、その間の駆動電圧の上昇は1.6Vであった。
【0282】
[実施例5]
TPD(化72のNo.105−3)とAlQ3と化5のNo.2を共蒸着し、発光層としての混合層とした以外は、実施例4と同様にしてEL素子を得た。
【0283】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧7.5V 、10mA/cm2 の定電流密度で1020cd/m2 の緑色(発光極大波長λmax =529nm)の発光が確認された。
【0284】
また、この素子を乾燥雰囲気下50mA/cm2の定電流駆動で、初期輝度は4500cd/m2、初期駆動電圧は7.9Vであり、輝度の半減期は4000時間以上、その間の駆動電圧の上昇は1.0Vであった。
【0285】
[実施例6]
TPD(化72のNo.105−3)とAlQ3と化5のNo.1を共蒸着し、発光層としての混合層とした以外は、実施例4と同様にしてEL素子を得た。
【0286】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧7.8V 、10mA/cm2 の定電流密度で1050cd/m2 の緑色(発光極大波長λmax =535nm)の発光が確認された。
【0287】
また、この素子を乾燥雰囲気下50mA/cm2の定電流駆動で、初期輝度は4300cd/m2、初期駆動電圧は7.8Vであり、輝度の半減期は3000時間以上、その間の駆動電圧の上昇は1.8Vであった。
【0288】
[比較例1]
AlQ3と5,12−ジフェニルナフタセンを共蒸着し、発光層とした以外は、実施例1と同様にしてEL素子を得た。
【0289】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧8.2V 、10mA/cm2 の定電流密度で450cd/m2 の緑色(発光極大波長λmax =519nm)の発光が確認された。
【0290】
また、この素子を乾燥雰囲気下50mA/cm2の定電流駆動で、初期輝度は1800cd/m2、初期駆動電圧は8.9Vであり、輝度の半減期は120時間以上、その間の駆動電圧の上昇は3.0Vであった。
【0291】
[比較例2]
TPD(化55のNo.102−1)とAlQ3と5,12−ジフェニルナフタセンを共蒸着し、発光層としての混合層とした以外は、実施例4と同様にしてEL素子を得た。
【0292】
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、駆動電圧8.1V 、10mA/cm2 の定電流密度で430cd/m2 の緑色(発光極大波長λmax =518nm)の発光が確認された。
【0293】
また、この素子を乾燥雰囲気下50mA/cm2の定電流駆動で、初期輝度は1900cd/m2、初期駆動電圧は8.7Vであり、輝度の半減期は900時間以上、その間の駆動電圧の上昇は3.0Vであった。
【0294】
本発明の有機EL素子は、輝度が高く、長波長の発光が得られ、かつ、半減期が長く、耐久性に優れている。
【0295】
【発明の効果】
本発明によれば、蛍光強度が強く、電子・ホールへの耐性が高く、かつ、キャリアトラップ性が高く、電子とホールの再結合確率が高いことで、十分な輝度の発光、特に長波長の発光が得られ、かつ、良好な発光性能が長期にわたって持続する耐久性に優れた有機EL素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】5,12−ビス[−4−(2−フェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンのMass(質量分析)スペクトルである。
【図2】5,12−ビス[−4−(2−フェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンの1H-NMRスペクトルである。
【図3】5,12−ビス[−4−(2−フェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンの13C−NMRスペクトルである。
【図4】5,12−ビス[−4−(2−フェニルエテニイル)フェニル]ナフタセンのIRスペクトルである。
【図5】本発明の有機EL素子の構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入輸送層
4 発光層
5 電子注入輸送層
6 陰極

Claims (7)

  1. 陽極と、陰極と、これらの電極間に設けられた1種以上の有機化合物層とを有し、
    上記有機化合物層の少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物を含有する有機EL素子。
    Figure 0003934817
    (一般式(I)において、R1〜R6は各々アリール基、アルキル基、アミノ基または水素原子のいずれかを表し、
    1〜R3の少なくとも1つがアリール基であり、
    4〜R6の少なくとも1つがアリール基であり、
    7〜R10は各々アリール基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子のいずれかを表す。)
  2. 上記有機化合物層の少なくとも1層が発光層であり、
    この発光層が、上記一般式(I)で表される化合物を含有する請求項1の有機EL素子。
  3. 上記一般式(I)で表される化合物が、それ自体で発光機能を有するホスト物質のドーパントである請求項1または2の有機EL素子。
  4. 上記ホスト物質がトリアリールアミン誘導体である請求項3の有機EL素子。
  5. 上記ホスト物質がキノリノール誘導体である請求項3の有機EL素子。
  6. 上記発光層が、少なくとも1種以上の正孔注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層であり、
    上記一般式(I)で表される化合物が、発光機能を有する上記混合層のドーパントである請求項2〜5のいずれかの有機EL素子。
  7. 上記正孔注入輸送性化合物がテトラアリールアリーレンジアミン誘導体および/またはトリアリールアミン誘導体であり、
    上記電子注入輸送性化合物がキノリノール誘導体である請求項6の有機EL素子。
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