JP3934130B2 - ハイブリッド車両のモータ制御装置 - Google Patents
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Description
そして、このようなブラシレスDCモータの制御装置として、例えば、磁性体からなる回転子の外周部に周方向に所定の間隔を置いて複数の永久磁石を配置し、さらに、各永久磁石を周方向の両側から挟み込むような磁性体からなる突極を設けた突極型永久磁石モータの制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この突極型永久磁石モータは、固定子に巻回された巻線に通電電流として交番電流を通電することで固定子側に回転磁界を発生させ、この回転磁界と永久磁石との間に発生する吸引/反発力に起因する磁石トルクに加えて、回転磁界と突極との間に発生する吸引力に起因する回転トルク、つまりリラクタンストルクを併用して回転子を回転させるようになっており、この制御装置は、通電電流の位相を磁石トルクとリラクタンストルクとを加算して得たトルクが最大となるような値に設定する最大トルク制御を実行するようになっている。
ここで、モータの磁気飽和が増大すると、通電電流の位相に応じたトルクリップルの波形が変化することから、例えば最大トルク制御において、通電電流の位相に応じて変化するトルクの平均値(平均トルク)が最大となる位相と、通電電流の位相に応じて変化するトルクの最小値(ボトムトルク)が最大となる位相との差異が増大し、例えば、通電電流の大きさに対応した適切なトルクを出力させるために平均トルクにより最大トルク制御を行うと、車両の始動時等の相対的に高いトルク領域においてボトムトルクが最大とはならずに、所望の駆動力を確保できなくなったり、所望の駆動力を確保するために通電量を増大させる必要が生じるという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両の走行状態に応じて適切なトルク制御を行うことが可能なハイブリッド車両のモータ制御装置を提供することを目的とする。
さらに、通電電流の位相に応じて変化するトルクの最小値が最大となる位相のマップによれば、このトルクの最小値を内燃機関の始動に要するトルク以上の値に設定することで、過剰な電力消費を防止しつつ、適切に内燃機関を始動させることができる。また、通電電流の位相に応じて変化するトルクの平均値が最大となる位相のマップによれば、所望の走行状態を確保する際のエネルギー効率を向上させることができる。
さらに、通電電流の位相に応じて変化するトルクの最小値が最大となる位相のマップによれば、このトルクの最小値を内燃機関の始動に要するトルク以上の値に設定することで、過剰な電力消費を防止しつつ、適切に内燃機関を始動させることができる。また、通電電流の位相に応じて変化するトルクの平均値が最大となる位相のマップによれば、所望の走行状態を確保する際のエネルギー効率を向上させることができる。
さらに、請求項2に記載の本発明のハイブリッド車両のモータ制御装置によれば、過剰な電力消費を防止しつつ、適切に内燃機関を始動させることができる。
さらに、請求項4に記載の本発明のハイブリッド車両のモータ制御装置によれば、例えば内燃機関の作動摩擦が温度に応じて変化したり、モータのトルクが温度に応じて変化する場合であっても、モータから過剰なトルクを出力させる必要なしに、適切に内燃機関を駆動させることができる。
この実施形態に係るハイブリッド車両のモータ制御装置10は、例えば図1に示すように、ハイブリッド車両1に内燃機関11と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ12(以下、単に、モータ12と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ12は、内燃機関11およびトランスミッション(T/M)13と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有するロータ(図示略)と、このロータを回転させる回転磁界を発生するステータ(図示略)とを備えて構成されている。
パワードライブユニット14にはモータ12と電力(例えば、モータ12の駆動またはアシスト動作時にモータ12に供給される供給電力や回生動作時にモータ12から出力される回生電力)の授受を行う高圧系のニッケル−水素バッテリ(高圧バッテリ)15が接続されている。
このパワードライブユニット14の電力変換動作を制御する各電圧指令値Vu,Vv,Vwは、例えばECU16からPWMインバータの各スイッチング素子に入力され、パルス幅変調(PWM)により各スイッチング素子をオン/オフ駆動させるパルスであって、各パルスのデューティは予めECU16に記憶されている。
ECU16により電力変換動作が制御されるダウンバータ17は、例えば双方向のDC−DCコンバータを備え、高圧バッテリ15の端子電圧(蓄電電圧)あるいはモータ12を回生作動または昇圧駆動した際のパワードライブユニット14の端子電圧を所定の電圧値まで降圧して12Vバッテリ18を充電すると共に、高圧バッテリ15の残容量(SOC:State Of Charge)が低下している場合には、12Vバッテリ18の端子電圧を昇圧して高圧バッテリ15を充電可能である。
ECU16は、回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御を行うものであり、Id指令及びIq指令に基づいて各電圧指令値Vu,Vv,Vwを算出し、パワードライブユニット14へパルス幅変調信号を入力すると共に、実際にパワードライブユニット14からモータ12に供給される各相電流Iu,Iv,Iwをdq座標上に変換して得たd軸電流Id及びq軸電流Iqと、Id指令及びIq指令との各偏差がゼロとなるように制御を行う。
このECU16は、例えば、トルク指令算出部21と、電流指令入力部22と、電流位相マップ記憶部23と、減算器24,25と、電流フィードバック制御部26と、dq−3相変換部27と、3相−dq変換部28とを備えて構成されている。
電流指令算出部22は、トルク指令算出部21から入力されるトルク指令や運転者の始動操作に係る始動要求の有無やハイブリッド車両1の運転状態等に基づき、予め電流位相マップ記憶部23に格納されている複数の電流位相マップから適宜の電流位相マップを選択し、選択した電流位相マップに対するトルク指令に基づくマップ検索により、パワードライブユニット14からモータ12に供給する各相電流Iu,Iv,Iwを指定するための電流指令を算出しており、この電流指令は、回転する直交座標上でのId指令及びIq指令として減算器22,23へ出力されている。
電流フィードバック制御部26は、例えばPI(比例積分)動作により、偏差ΔIdを制御増幅してd軸電圧指令値Vdを算出し、偏差ΔIqを制御増幅してq軸電圧指令値Vqを算出する。電流フィードバック制御部26から出力されるd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqはdq−3相変換部27に入力されている。
dq−3相変換部27から出力される各電圧指令値Vu,Vv,Vwは、パワードライブユニット14のスイッチング素子をオン/オフさせるためのスイッチング指令(例えば、パルス幅変調信号)としてパワードライブユニット14に入力されている。
次に、ステップS02においては、取得したトルク指令が所定の磁束飽和許容上限トルク#TL以上であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS04に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS03に進む。
なお、この所定の磁束飽和許容上限トルク#TLは、例えば、磁束飽和に起因する通電電流の位相に応じて変化する平均トルクが最大となる最適位相と通電電流の位相に応じて変化するボトムトルクが最大となる最適位相との乖離が許容できるトルクの上限値であって、この磁束飽和許容上限トルク#TL以上のトルク領域では磁束飽和が過剰に増大し、平均トルクの最適位相とボトムトルクの最適位相との差異が許容範囲を超えて増大する。
また、ステップS04においては、内燃機関11の始動を指示する始動要求が出力されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS06に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進む。
また、ステップS06においては、モータ12の出力のみによってハイブリッド車両1を走行駆動させるEV走行モードであるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS05に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS07に進む。
そして、ステップS07においては、トルクリップル最小位相マップを選択する。
そして、ステップS08においては、選択した電流位相マップに対するトルク指令に基づくマップ検索により、パワードライブユニット14からモータ12に供給する各相電流Iu,Iv,Iwを指定するための電流指令(つまり、Id指令及びIq指令)を算出して出力し、一連の処理を終了する。
また、相対的に低回転数領域の高負荷領域でのEV走行モードにおいては、トルクリップル最小位相マップを選択することで、ドライバビリティが低下してしまうことを抑制することができる。
つまり、この変形例においては、上述したステップS03またはステップS05またはステップS07の実行後にステップS11に進む
そして、ステップS11においては、例えば内燃機関11およびモータ12を冷却する冷却回路内を流通する冷媒の温度や、例えば内燃機関11の各部に供給される潤滑油の温度や、例えばモータ12のステータ巻線の温度等の内燃機関11およびモータ12の温度に係る検出値や推定値等を取得する。
次に、ステップS12においては、取得した内燃機関11およびモータ12の温度に基づき、選択した電流位相マップを補正する。
そして、ステップS08においては、補正した電流位相マップに対するトルク指令に基づくマップ検索により電流指令(つまり、Id指令及びIq指令)を算出して出力し、一連の処理を終了する。
そして、例えばボトムトルク最適位相マップに記憶されているマップ作成代表温度でのボトムトルク(例えば、図7に示す全域保証トルクTrA)に基づき算出されるボトムトルクの温度変化(例えば、図7に示す破線A)は、少なくとも所定の始動保証温度範囲(例えば、図7に示す温度T1〜温度T2の範囲)において、内燃機関11の温度に応じて変化する内燃機関11の始動に要するトルク(例えば、図7に示す破線B)よりも大きい値となるように設定されている。
この変形例によれば、例えば内燃機関11の作動摩擦が温度に応じて変化すると共に、モータ12のトルクが温度に応じて変化する場合であっても、モータ12から過剰なトルクを出力させる必要なしに、適切に内燃機関11を始動させることができる。
12 モータ
16 ECU(通電制御手段)
23 電流位相マップ記憶部(記憶手段)
ステップS01,ステップS02,ステップS04,ステップS06,
ステップS11 車両状態量取得手段
Claims (4)
- 車両の動力源としての内燃機関およびモータを備え、少なくとも前記内燃機関または前記モータの何れか一方の駆動力を駆動輪に伝達して走行可能なハイブリッド車両のモータ制御装置であって、
前記モータのロータを回転させる回転磁界を発生するステータのステータ巻線への通電を制御して前記モータを回転駆動させる通電制御手段と、
車両状態量を取得する車両状態量取得手段と、
通電電流の所定の複数の振幅毎に位相に応じて変化するトルクの最小値が最大となる位相のマップと、通電電流の所定の複数の振幅ごとに位相に応じて変化するトルクの平均値が最大となる位相のマップとを含む複数の異なる電流位相マップを記憶する記憶手段とを備え、
前記通電制御手段は、前記車両状態量取得手段にて取得した車両状態量に応じて、前記記憶手段に記憶された前記複数の異なる電流位相マップの何れかひとつを選択し、選択した電流位相マップに応じた通電を行うことを特徴とするハイブリッド車両のモータ制御装置。 - 前記通電制御手段は、前記車両状態量取得手段にて取得した車両状態量に基づき車両が停止状態であるか否かを判定し、停止状態であると判定した場合には、通電電流の所定の複数の振幅毎に位相に応じて変化するトルクの最小値が最大となる位相のマップを選択することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両のモータ制御装置。
- 前記車両は、前記モータの駆動力のみで走行駆動するEV走行モードと、
通電電流の所定の複数のトルク毎に振幅および位相に応じて変化するトルクリップルが最小となる位相のマップを備え、
前記車両状態取得手段にて取得した車両状態量に基づき車両がEV走行モードであるか否かを判定し、EV走行モードであると判定した場合には、前記トルクリップルが最小となる位相のマップを選択することを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車両のモータ制御装置。 - 前記車両状態量は前記内燃機関および前記モータの温度に係る温度状態量であって、
前記通電制御手段は、前記車両状態量取得手段にて取得した温度状態量に応じて、選択した電流位相マップを補正することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のハイブリッド車両のモータ制御装置。
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