JP3933428B2 - 車椅子固定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両などによる輸送に際して車椅子を索条手段を用いて簡易な操作で迅速かつ確実に固定するように改良し車椅子固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
輸送を行う場合、積載物を固定する積載物固定装置としては、車椅子用固定装置がある。その一例が特開平11−47193号公報に示され、使用者を車椅子に乗せたまま車両の床に固定する機構が記載されている。
この車椅子用固定装置では、車椅子に掛止手段を引っかけてから操作ハンドルにより支持ワイヤーを巻取機構に巻き取らせて支持ワイヤーを緊張状態に保持して車椅子を車両の床に固定している。
この際、支持ワイヤーを巻取機構に巻き取るためにラックとピニオンとを用い、ラックの進出変位によりラックがピニオンに噛合し、このピニオンを所定角度だけ回動して支持ワイヤーを巻き取っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、支持ワイヤーを巻取機構に巻き取る際、ラックとピニオンとの噛み合いを歯同士の乗り上げがなく円滑に行う必要がある。このためには、モジュールを小さく設定する必要があり、歯の強度の低下により折損などの虞があり、耐久性が劣る不都合がある。
また、ラックとピニオンとの機構自体は、ラックの背側にバックラッシュに基づく滑り抵抗が発生するため、巻き取り効率が悪く、最悪の場合には歯同士の乗り上げ、故障の原因となる虞がある。
【0004】
これらの事情を背景に本発明はなされ、その目的は、索条手段を巻取機構に巻き取る際、噛み合いを歯同士の乗り上げがなく円滑に行うことができ、小モジュールに起因する歯の強度の低下による折損をなくし、バックラッシュに基づく滑り抵抗の発生がないため巻き取り効率が良く、歯同士の乗り上げによる故障の発生がなく耐久性に優れ、しかも簡易な操作で迅速かつ確実固定が可能な車椅子固定装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、車椅子を車両に乗せて輸送する際、前記車椅子が車両のに前記床と略面一となるように嵌め込まれた左右一対の第1の巻取機構と、この第1の巻取機構の後方で前記床に設けた左右一対の第2の巻取機構と、これら第1および第2の巻取機構はそれぞれ巻き取り方向にばねにより回動付勢され、このばねの付勢力に抗して引き出され、先端部に前記車椅子の一部に係脱可能に係合するフック部を有する索条手段と、前記第1の巻取機構に対応して設けられ、この第1の巻取機構からの前記索条手段の引き出し方向を変えるローラである左右一対の第1の変向手段と、前記第2の巻取機構に対応して設けられ、この第2の巻取機構からの前記索条手段の引き出し方向を変えるローラである左右一対の第2の変向手段と、ハンドルの回動操作に伴い前記第1および第2の巻取機構の回転をロックして前記索条手段の引き出し動作を阻止するロック部材とを具備し、前記第1および第2の巻取機構は、それぞれ上下に複数配置された爪歯車であり、前記ロック部材は前記ハンドルの回動操作に伴い前記爪歯車に噛合し前記爪歯車をロックする揺動爪であり、前記上下に配置の爪歯車は、単一ピッチを前記爪歯車の枚数で分割した分ずつ上から下にかけて順次回転方向に位置ずれしており、前記ロック部材の前記揺動爪は前記複数の爪歯車にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の爪歯車のうち前記索条手段の必要な巻き取り回動量に合致して回動するいずれかの対応する前記爪歯車と前記揺動爪とが噛合してロックするようになっていることを特徴とする。
【0006】
請求項2によれば、車椅子を車両に乗せて輸送する際、前記車椅子が車両のに前記床と略面一となるように嵌め込まれた左右一対の巻取機構と、この巻取機構は巻き取り方向にばねにより回動付勢され、このばねの付勢力に抗して引き出される一方後端部が前記巻取機構の前方あるいは後方で前記床に固定され、先端部に前記車椅子の一部に係脱可能に係合するフック部をそれぞれ有する索条手段と、前記巻取機構に対応して設けられ、この巻取機構からの前記索条手段の引き出し方向を変えるローラである左右一対の変向手段と、ハンドルの回動操作に伴い前記巻取機構の回転をロックして前記索条手段の引き出し動作を阻止するロック部材とを具備し、前記巻取機構はそれぞれ上下に複数配置された爪歯車であり、前記ロック部材は前記ハンドルの回動操作に伴い前記爪歯車に噛合し前記爪歯車をロックする揺動爪であり、前記上下に配置の爪歯車は、その単一ピッチをその爪歯車の枚数で分割した分ずつ上から下にかけて順次回転方向に位置ずれしており、前記ロック部材の前記揺動爪は前記複数の爪歯車にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の爪歯車のうち前記索条手段の巻き取り回動量に合致して回動するいずれかの対応する前記爪歯車と前記揺動爪とが噛合してロックするようになっていることを特徴とする。
【0007】
請求項3によれば、車椅子を車両に乗せて輸送する際、前記車椅子が車両のに前記床と略面一となるように嵌め込まれた左右一対の巻取機構と、この巻取機構は巻き取り方向にばねにより回動付勢され、このばねの付勢力に抗して引き出され、先端部に前記車椅子の一部に係脱可能に係合するフック部を有する索条手段と、前記巻取機構に対応して設けられ、この巻取機構からの前記索条手段の引き出し方向を前記巻取機構の前方あるいは後方となるように変えるローラである左右一対の変向手段と、ハンドルの回動操作に伴い前記巻取機構の回転をロックして前記索条手段の引き出し動作を阻止するロック部材とを具備し、前記巻取機構はそれぞれ上下に複数配置された爪歯車であり、前記ロック部材は前記ハンドルの回動操作に伴い前記爪歯車に噛合し前記爪歯車をロックする揺動爪であり、前記上下に配置の爪歯車は、その単一ピッチをその爪歯車の枚数で分割した分ずつ上から下にかけて順次回転方向に位置ずれしており、前記ロック部材の前記揺動爪は前記複数の爪歯車にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の爪歯車のうち前記索条手段の巻き取り回動量に合致して回動するいずれかの対応する前記爪歯車と前記揺動爪とが噛合してロックするようになっていることを特徴とする。
【0008】
請求項4によれば、前記第1の変向手段は、前記第1の巻取機構と前記第2の巻取機構との間に位置し、前記第2の変向手段は、前記第2の巻取機構の後方に位置し、前記第1の変向手段に掛けて配された索条手段と前記第2の変向手段に掛けて配された索条手段とは交差するように配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項5によれば、前記第1および第2の変向手段は、前記第1の巻取機構と前記第2の巻取機構との間に位置し、前記第1の変向手段に掛けて配された索条手段と前記第2の変向手段に掛けて配された索条手段とは交差するように配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項6によれば、前記第2の巻取機構からの索条手段の先端部に設けられたフック部は、基端部に比較的長尺な把持部を有し、後方から前記フック部を車椅子の一部に係合し易くしていることを特徴とする。
【0011】
請求項7によれば、前記ハンドルを構成する操作部は、前記床に設けられた収納ケースにピンを中心にして起伏回動するように設けられており、前記左右一対の巻取機構の爪歯車の間に直線状に設けられ、前記ハンドルの起伏回動操作に伴って軸方向に往復移動するスライダーと、一端部が前記スライダーに支持され、他端部が右側の前記巻取機構における前記爪歯車の軸に支持された駆動アームと、一端部が前記スライダーに支持され、他端部が左側の前記巻取機構における前記爪歯車の軸に支持された駆動アームとを有し、前記スライダーの往移動により、前記爪歯車に対する前記揺動爪の噛合を一時的に外すとともに、前記駆動アームを介して前記爪歯車を巻き取り方向に回転駆動するようになっていることを特徴とする。
【0015】
【発明の作用および効果】
請求項1によれば、不使用時には巻取機構の揺動爪は、第1および第2の巻取機構の各爪歯車から離れて各爪歯車を自由にしている。そして、索条手段をばねの付勢力に抗して第1および第2の巻取機構から引き出し、各フック部を車椅子の一部にそれぞれ引っ掛け、ハンドルを操作する。すると、揺動爪が爪歯車に噛合いながら各爪歯車が巻き取り方向に回動して索条手段を必要なストローク分だけ巻き取り、索条手段を緊張させて車椅子を床に固定する。この状態では、揺動爪が爪歯車に噛合ったままなので、爪歯車の回動は阻止されている。
このため、車椅子を固定する際には、フック部を車椅子の一部に引っ掛け、ハンドルを操作するといった簡単で迅速な動作で済む。
また、索条手段を車椅子の一部に引っ掛ける際、爪歯車に揺動爪を係脱する構成にしている。これにより、円滑な噛み合いのためモジュールを小さくする必要のあるラックおよびピニオンの構成と異なり、歯同士の乗り上げがなく、高い歯強度を確保でき、滑り抵抗が発生せず良好な巻き取り効率が得られる。
【0016】
さらに、第1、第2の巻取機構および巻取機構の爪歯車は、その単一ピッチをその爪歯車の枚数で分割した分ずつ回転方向に位置ずれしている。このため、ハンドルの操作により爪歯車を巻き取り方向に回動した時、上下の爪歯車のうち揺動爪との係合に最も近い爪歯車が揺動爪に確実に噛合して爪歯車をロックし、巻き取り長さの差を少なくすることを意味する。
このことは、歯強度を大きく、且つ係りしろを大きくすべく、歯先を大きくし、歯数を少なくする時、揺動爪の係りが一歯分ずれると、索条手段の巻き取り長さに差が生じる場合に効果的に対応できる。
また、各爪歯車は、ばねにより巻き取り方向に回動付勢され、各爪歯車が独立して巻き取り方向に回動するため、所要個数のフック部の全てを弛ませることなく、車椅子に確実に引っ掛けて固定することができる。
【0017】
請求項2によれば、不使用時揺動爪は、巻取機構の各爪歯車から離れて各爪歯車を自由にしている。そして、一方の索条手段をばねの付勢力に抗して巻取機構から引き出すとともに他方の索条手段を床から引き上げ、各フック部を車椅子の一部にそれぞれ引っ掛け、ハンドルを操作する。すると、揺動爪が爪歯車に噛合いながら各爪歯車が巻き取り方向に回動して一方の索条手段を必要なストローク分だけ巻き取り、双方の索条手段を緊張させて車椅子を床に固定する。この状態では、揺動爪が爪歯車に噛合ったままなので、爪歯車の回動は阻止されている。このように、索条手段を左右一対の巻取機構により巻き取らせるようにしても請求項1と実質的に同様な効果が得られる。
【0018】
さらに、巻取機構の爪歯車は、その単一ピッチをその爪歯車の枚数で分割した分だけ回転方向に位置ずれしている。このため、ハンドルの操作により爪歯車を巻き取り方向に回動した時、上下の爪歯車のうち揺動爪との係合に最も近い爪歯車が揺動爪に確実に噛合して爪歯車をロックし、巻き取り長さの差を少なくすることを意味する。このため、請求項1と同様な効果が得られる。
【0019】
請求項3によれば、不使用時には揺動爪は、巻取機構の各爪歯車から離れて各爪歯車を自由にしている。車椅子の前方部(あるいは後方部)を固定しておいて、索条手段をばねの付勢力に抗して巻取機構から後方(前方)へ引き出して各フック部を車椅子の一部にそれぞれ引っ掛け、ハンドルを操作する。すると、揺動爪が爪歯車に噛合いながら各爪歯車が巻き取り方向に回動して索条手段を必要なストローク分だけ巻き取り、索条手段を緊張させて車椅子を床に固定する。この状態では、揺動爪が爪歯車に噛合ったままなので、爪歯車の回動は阻止されている。
このように、索条手段を前方部あるいは後方部から左右一対の巻取機構により巻き取らせるようにしても請求項1と実質的に同様な効果が得られる。
さらに、巻取機構の爪歯車は、その単一ピッチをその爪歯車の枚数で分割した分だけ自らの回転方向に位置ずれしている。このため、ハンドルの操作により爪歯車を巻き取り方向に回動した時、上下の爪歯車のうち揺動爪との係合に最も近い爪歯車が揺動爪に確実に噛合して爪歯車をロックし、巻き取り長さの差を少なくすることを意味する。このため、請求項1と同様な効果が得られる。
【0020】
請求項4によれば、第1および第2の変向手段により、索条手段を車椅子の略中央位置で引き出すことができ、後方位置で全フック部を車椅子に引っ掛けることができる。これに伴い、前後に移動して引っ掛け操作を行う必要がなくなり、操作が簡易で迅速になり、作業性が向上するとともに、同一スペースで多くの車椅子を積載することができる。
【0021】
請求項5によれば、第1および第2の変向手段により、索条手段を車椅子の略中央位置で引き出すことができ、後方位置で全フック部を車椅子に引っ掛けることができる。これに伴い、前後に移動して引っ掛け操作を行う必要がなくなり、操作が簡易で迅速になり、作業性が向上するとともに、同一スペースで多くの車椅子を積載することができる。
また、請求項6によれば、第2の巻取機構からの索条手段のフック部は、基端部に比較的長尺な把持部を有しているため、後方位置からフック部を前方の車椅子に引っ掛け易くなる。
【0022】
請求項7によれば、ハンドルの操作により、スライダーが復移動して駆動アームが揺動爪の爪歯車に対する噛合を一時的に外し、各爪歯車を巻き取り方向に回動する。このため、スライダーと駆動アームといった比較的簡単な構成で、爪歯車を巻き取り方向に回動できる。また、スライダーと駆動アームとの長さ比を変えることにより、ハンドルの操作力を大小調節することができる。
また、各爪歯車は、ばねにより巻き取り方向に回動付勢されており、各爪歯車が独立して揺動爪と噛み合う構造であるため、所要個数のフック部の全てをもれなく車椅子に確実に引っ掛けて固定することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に各図を参照して本発明の各実施例を説明する。
本発明では、図1および図2に示すように積載物としての車椅子1を車両としてのボックスワゴン2に乗せて輸送する例を示す。このため、ボックスワゴン2の床4に、本発明の第1実施例として、例えば左右二列で前後二箇所に図3ないし図5に示す車椅子固定装置3が床4と略面一となるように嵌め込まれている(図5ではカバー3Rにより車椅子固定装置3を部分的に被覆した態様を示す)。
【0026】
車椅子固定装置3は、収納ケース3aを介してボックスワゴン2の床4に設けた左右一対の第1の巻取機構と、この第1の巻取機構の後方で床4に設けた左右一対の第2の巻取機構とを備えている。この場合、第1および第2の巻取機構は軸J、Kにより回動可能に支持された爪歯車5、6であり、これらの爪歯車5、6はゼンマイばね(図示せず)により索条手段としてのワイヤーロープ7、8を常に巻き取る方向に回動付勢されている。これら爪歯車5、6の間には左右一対の第1の変向手段(ローラ)9、9が設けられている。また、爪歯車6の後方には、左右一対の第2の変向手段(ローラ)10、10が設けられている。
【0027】
そして、爪歯車5からのワイヤーロープ7は、第1の変向手段9を介して後方に配置され、爪歯車6からのワイヤーロープ8は、第2の変向手段10およびガイドローラ11を介して前方に配置されている。後方に配置されたワイヤーロープ7の先端部はフック部12を連結し、前方に配置されたワイヤーロープ8の先端部は、基端部に長尺な把持部13を備えたフック部14を連結している。このワイヤーロープ7とワイヤーロープ8とは略中央部で交差するように、収納ケース3aの左右の側面部に配されている。
【0028】
この場合、各爪歯車5、6は、図6に示すように回転方向に半ピッチずらして上下二枚に配置させたものである。上下に配置する態様は各爪歯車5、6ともに同じであるから図6では爪歯車5を例として選んでいる。爪歯車5を三枚、四枚といったように複数枚配置した時には、配置した枚数に相当する数でピッチを分割し、この分割量だけ爪歯車を上から下にかけて回転方向に順次ずらすようにする。
【0029】
15は操作部16を構成するハンドルで、これは収納ケース3aの後部中央に設けられている。このハンドル15の先端側面部15aは、図7に示すようにピン17により収納ケース3aの内底面部に取り付けられている。これにより、ハンドル15がピン17を中心にして起伏回動するようにしている。18はリンクで、これの後端部は先端側面部15aにピン19により連結され、先端部はピン20により直線状のスライダー21の後端部に連結されている。このスライダー21は、収納ケース3aの略中央部で左右の爪歯車5、5および爪歯車6、6の間に直線状に設けられ、ハンドル15の操作に伴い軸方向に往復移動するようになっている。
【0030】
22は駆動アームで、これの一端部は長穴23を有し、上辺部22aと下辺部22bに分かれている。この駆動アーム22の長穴23は、スライダー21に設けられた縦ピン24に遊嵌され、上辺部22aおよび下辺部22bは上段および下段の爪歯車5の軸Jに回動自在に支持されている。
また、25は駆動アームで、これの一端部は長穴26を有し、上辺部25aと下辺部25bに分かれている。この駆動アーム25の長穴26は、スライダー21に設けられた縦ピン27に遊嵌され、上辺部25aおよび下辺部25bは上段および下段の爪歯車6の軸Kに回動自在に支持されている。
【0031】
28はロック部材としての揺動爪で、これは駆動アーム22の上辺部22aにピン29により水平方向に回動可能に支持されている。この揺動爪28は、捩じりコイルスプリング30により先端爪28aが図3に矢印A、Bで示すように爪歯車5に噛合する方向に回動付勢されている。
不使用時には、揺動爪28の基端部28bが止めピン31に当たり、揺動爪28を捩じりコイルスプリング30に抗して矢印A、Bとは反対方向に回動し、先端爪28aの爪歯車5に対する噛合いを解除する。
【0032】
また、32はロック部材としての揺動爪で、これは駆動アーム25の上辺部25aにピン33により水平方向に回動可能に支持されている。この揺動爪32は、捩じりコイルスプリング(図示せず)により先端爪32aが図3に矢印A、Bで示すように爪歯車6に噛合する方向に回動付勢されている。
不使用時には、揺動爪32の基端部32bが止めピン34に当たり、揺動爪32を捩じりコイルスプリングに抗して矢印A、Bとは反対方向に回動し、先端爪32aの爪歯車6に対する噛合いを解除する。
なお、爪歯車5、5と爪歯車6、6との間には、スライダー21の覆い部材21a、21bが駆動アーム22、25や縦ピン24、27の作動を妨げないような形状で配置されている。
【0033】
さて、障害者Uを車椅子1とともに輸送する際には、図1および図2に示すように、障害者Uを車椅子1に乗せたまま床4の車椅子固定装置3の位置に並べる。そして、介添者Hが車椅子1の後方位置で長尺な把持部13を介してフック部14を車椅子1の前梁部に引っ掛け、フック部12を後梁部に引っ掛ける。
【0034】
この状態で、操作部16のハンドル15を図3および図7に矢印Cで示す方向に例えば135度だけ引き起こす。すると、ハンドル15はピン17を中心にして図7の(a)から同図の(b)に示すように反時計方向に起き上がり回動する。この時、ピン20がピン19よりも上部に位置し、リンク18が左上がりの状態になり、リンク18にピン20からピン19への方向に外力が加わっても、ハンドル15は不用意に矢印Cとは逆方向には戻らないようになっている。
ハンドル15の起き上がり回動に伴い、リンク18がスライダー21を押して図3に矢印Dで示す方向に往移動する。このスライダー21の往移動により長穴23に遊嵌された縦ピン24を介して駆動アーム22が軸Jを中心に図3に矢印E、Fで示す方向に例えば27度だけ回動する。
【0035】
また、スライダー21の往移動により長穴26に遊嵌された縦ピン27を介して駆動アーム25が軸Kを中心に図3に矢印G、Iで示す方向に例えば27度だけ回動する。
駆動アーム22の矢印E、Fの回動に伴い、揺動爪28の基端部28bが止めピン31から離れるため、揺動爪28の先端爪28aが図3に二点鎖線で示すように、捩じりコイルスプリング30により矢印A、B方向に回動して爪歯車5に噛合する。これによりスライダー21の往移動力が揺動爪28を介して爪歯車5に伝わり、爪歯車5が矢印E、Fの方向に回動する(図8の(a)、(b)に左側の爪歯車5の作動態様を示す)。
【0036】
また、駆動アーム25の矢印G、Iの回動に伴い、揺動爪32の基端部32bが止めピン34から離れるため、揺動爪32の先端爪32aが図3に二点鎖線で示すように、捩じりコイルスプリングにより矢印A、B方向に回動して爪歯車6に噛合する。これによりスライダー21の往移動力が揺動爪32を介して爪歯車6に伝わり、爪歯車6が矢印G、Iの方向に回動する。
【0037】
爪歯車5の矢印E、F方向の回動により、ワイヤーロープ7が爪歯車5に必要なストローク分だけ巻き取られ、ぴんと緊張する。また、爪歯車6の矢印G、I方向の回動により、ワイヤーロープ8が爪歯車6に必要なストローク分だけ巻き取られ、ぴんと緊張する。これにより、車椅子1が床4に拘束され確実に固定される。この状態では、揺動爪28は爪歯車5に噛合し、揺動爪32は爪歯車6に噛合したままなので、爪歯車5、6はその回動が阻止されている。
【0038】
車椅子1を床4に固定したボックスワゴン2を運転して障害者Uを輸送した後、車椅子1を床4から取り外すには、ハンドル15を図7の(b)の矢印Cとは反対方向に押す。すると、ハンドル15はピン17を中心に時計方向に回動して元の位置に伏す。
【0039】
これに伴い、スライダー21が図3の矢印Dとは反対方向に復移動する。この復移動により、駆動アーム22が長穴23および縦ピン24を介して元の位置まで回動するため、揺動爪28の基端部28bが止めピン31に当たり、先端爪28aが図3の実線で示すように、爪歯車5の噛合いから外れる。これにより爪歯車5の回動が自由になり、爪歯車5からのワイヤーロープ7の引き出しが可能となる。
【0040】
また、スライダー21の復移動に伴い、駆動アーム25が長穴26および縦ピン27を介して元の位置まで回動するため、揺動爪32の基端部32bが止めピン34に当たり、先端爪32aが図3の実線で示すように、爪歯車6の噛合いから外れる。これにより爪歯車6の回動が自由になり、爪歯車6からのワイヤーロープ8の引き出しが可能となる。
これにより、ワイヤーロープ7、8を引き出し、フック部14、12を車椅子1の前梁部、後梁部から外して元のように収納ケース3aの左右の内側面部に納める。
【0041】
このように、ワイヤーロープ7、8のフック部12、14を車椅子1に引っ掛ける際、爪歯車5、6に揺動爪28、32を係脱する構成にしている。このため、円滑な噛合いのためモジュールを小さくする必要のあるラックおよびピニオンの構成とは異なり、歯同士の乗り上げがなく、高い歯強度を確保でき、滑り抵抗が発生せず良好な巻き取り効率が得られる。
また、各爪歯車5、6が独立して揺動爪28、32と噛み合う構造であるため、所要個数のフック部12、14の全てをもれなく車椅子1に確実に引っ掛けて固定することができる。
【0042】
また、第1および第2の変向手段9、10により、ワイヤーロープ7、8を車椅子1の略中央位置で引き出すことができ、後方位置で両フック部12、14を車椅子1に引っ掛けることができる。これに伴い、前後に移動して引っ掛け操作を行う必要がなくなり、操作が簡易で迅速になり、作業性が向上するとともに、同一スペースで多くの車椅子1を積載できる。
【0043】
各爪歯車5、6は、半ピッチ分だけ位置ずれしたものを上下に二枚配置している。すなわち、爪歯車5、6はその単一ピッチを各爪歯車5、6の枚数で分割した分だけ自らの回転方向に位置ずれしている。このため、ハンドル15の操作により爪歯車5、6を巻き取り方向に回動した時、二つの揺動爪28、32のうち最初に係合する揺動爪により爪歯車5、6をロックし、巻き取り長さに差が生じることを少なくしている。
【0044】
後方の爪歯車6からのワイヤーロープ8のフック部14は、比較的長尺な把持部13を有しているため、後方位置からフック部14を前梁部の車椅子1に引っ掛け易くなる。
【0045】
また、ハンドル15の操作により、スライダー21が復移動して駆動アーム22、25が揺動爪28、32の爪歯車5、6に対する噛合を一時的に外し、各爪歯車5、6を爪歯車5、6内のゼンマイばねの付勢力により巻き取り方向に回動する。このため、スライダー21と駆動アーム22、25といった比較的簡単な構成で、爪歯車5、6を巻き取り方向に回動できる。
これにより、各爪歯車5、6が独立して巻き取り方向に回動するため、所要個数のフック部12、14の全てを弛ませることなく、車椅子1に確実に引っ掛けて固定することができる。
さらに、スライダー21と駆動アーム22、25との長さ比を変えることにより、ハンドル15の操作力を大小調節することができる。
【0046】
図9は本発明の第2実施例を示す。
この第2実施例が第1実施例と異なるところは、第2の変向手段10を第1の変向手段9とともに、爪歯車5と爪歯車6との間に配置したことである。この場合、第2の変向手段10の配置の邪魔にならないように、フック部14の把持部13を省略している。また、スライダー21の覆い部材21aは、純然たる直線に代って略W字状をなすように形成されている。
【0047】
図10は本発明の第3実施例を示す。
この実施例では、第1の巻取機構としての左右一対の爪歯車5を省略し、ワイヤーロープ7の後端部7aを収納ケース3aの内底部に取り付けたプレートPに固定している。
この場合、爪歯車5の代わりに第2の巻取機構としての左右一対の爪歯車6を省略し、ワイヤーロープ8の後端部を収納ケース3aの内底部に固定するようにしてもよい。
このように構成した第2および第3実施例においても、第1実施例と同様な効果が得られる。
【0048】
図11および図12は本発明の第4実施例を示す。
この実施例では、第1実施例の長尺な把持部13に代って、図11および図12に示すように、銃身状の摘み35をワイヤーロープ8とフック部14との間に設けている。このため、距離的に届き難い後方からでも、摘み35を掴みやすくなり、フック部14を収納ケース3aから取り出し易くなり、車椅子1への引っかけ操作が容易になる。
【0049】
図13は本発明の第5実施例を示す。
この実施例では、車椅子固定装置3の収納ケース3aの上面開口部に、平坦な外観を形成すべくヒンジ37を中心に開閉可能に設けられた蓋板36を有効利用する。
運搬時などに図13の(a)に示すように、ハンドル15に矢印α方向の戻り力が不用意に加わると、蓋板36がハンドル15の外側面部を滑り上って矢印β方向に開くため、ハンドル15に矢印α方向の回動をさらに許容することになる。この結果、第1実施例と同様に、フック部12、14のワイヤーロープ7、8が緩み、車椅子が崩れたり、転倒する虞がある。
【0050】
これを防ぐため、第5実施例では図13の(b)に示すように、ハンドル15の外側部に切欠部38を形成し、蓋板36を閉じた時に蓋板36の先端部が切欠部38に嵌まるようにしている。
このため、ハンドル15に矢印α方向の戻り力が不用意に加わっても、蓋板36は矢印εで示すように、下方の外力を受けることがあっても、矢印β方向に開くことがない。
【0051】
このため、ハンドル15は不用意に矢印α方向に回動することがなく、その位置で固定される。これにより、車椅子1の固定時に、フック部12、14のワイヤーロープ7、8が緩むことがなく、車椅子1が崩れたり、転倒する虞がなくなる。
しかも、既存の蓋板36を用いてハンドル15の不用意な戻りを防止しているので、別部材を必要とせず、構造が簡素で済み、コスト的にも有利である。
【0052】
図14ないし図16は本発明の第6実施例を示す。
この第6実施例では、図10の第3実施例におけるプレートP、フック部12およびワイヤーロープ7を省略し、フック部14からは把持部13を略している。
さらに、第3実施例の第2の変向手段10を廃止し、図14に示すように、フック部14のワイヤーロープ8を下から通すガイドローラ11を収納ケース3aの後部に設置している。
【0053】
そして、フック部14は、図15に示すように、ガイドローラ11を中心にして上方に折り返し、収納ケース3aの上面に設けられた被覆板44に設置されている。この場合、フック部14は、被覆板44上に設けられた受け部45に引っ掛かけた状態で収容されている。
【0054】
車椅子1を床4に固定するには、図16の(a)に示すように、フック部14を車椅子1の後梁部に引っ掛け、第3実施例と同様にハンドル15を引き起こす。そして、図16の(b)に示すように、ワイヤーロープ8をぴんと張って車椅子1の移動を制止する。
この場合、車椅子1の前輪1aにベルト、ワイヤー、衝立あるいは擁壁部といった拘束部材46を予め設けておくことにより、車椅子1の前方への移動を止めておくものである。
【0055】
このように、車椅子1の固定時に後方のフック部14のみを車椅子1に引っかければよいので、その固定を簡易な操作で素早く行うことができる。
なお、上記とは逆にフック部14を前方に配置し、車椅子1の固定時には、その前梁部にフック部14を引っ掛かけるようにしてもよい。この場合には、車椅子1の後輪1bに予め拘束部材46を設けて、後方への移動を止めておくものである。
【0056】
上記各実施例で用いた索条手段としては、ワイヤーロープ7、8に限らず、ケーブル、帯、ベルトあるいは紐などを用いてもよい。
また、積載物としては車椅子1に限らず、自転車をはじめバイク、薬品を収容した梱包箱、機械製品、本棚、墓石、家具、調度品などであってもよい。
また、フック部14の把持部13の長さ寸法は、積載物の大きさにより適宜に設定できるものである。
【0057】
その他、本発明の具体的な実施にあたっては、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る車椅子固定装置をボックスワゴンに積載する車椅子に適用した場合を示す側面図である。
【図2】 複数の車椅子を整列状態に積載する態様を示す側面図である。
【図3】 車椅子固定装置の上面図である。
【図4】 車椅子固定装置の上面図である。
【図5】 カバーにより被覆した状態を示す車椅子固定装置の上面図である。
【図6】 爪歯車の縦断面図である。
【図7】 (a)はハンドルの操作前の状態を示す縦断面図で、(b)はハンドルの操作後の状態を示す縦断面図である。
【図8】(a)はハンドルの操作前の爪歯車および駆動アームの状態を示す上面図で、(b)はハンドルの操作後の爪歯車および駆動アームの状態を示す上面図である。
【図9】 本発明の第2実施例における車椅子固定装置の上面図である。
【図10】 本発明の第3実施例における車椅子固定装置の上面図である。
【図11】 本発明の第4実施例におけるフック部の部分縦断面図である。
【図12】 フック部の正面図である。
【図13】 (a)は、本発明の第5実施例におけるハンドルの操作前の状態を示す縦断面図で、(b)はハンドルの操作後の状態を示す縦断面図である。
【図14】 本発明の第6実施例における車椅子固定装置の上面図である。
【図15】 フック部の収納状態を示す上面図である。
【図16】 車椅子固定装置により車椅子を床に取り付ける状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 車椅
車椅子固定装置
4 床
5 爪歯車(第1の巻取機構、巻取機構)
6 爪歯車(第2の巻取機構)
7、8 ワイヤーロープ(索条手段)
7a 後端部
9 第1の変向手段(ローラ)
10 第2の変向手段(ローラ)
12、14 フック部
13 把持部
15 ハンドル
16 操作部
17 ピン
21 スライダー
22、25 駆動アーム
28、32 揺動爪(ロック部材)

Claims (7)

  1. 車椅子を車両に乗せて輸送する際、前記車椅子が車両のに前記床と略面一となるように嵌め込まれた左右一対の第1の巻取機構と、
    この第1の巻取機構の後方で前記床に設けた左右一対の第2の巻取機構と、
    これら第1および第2の巻取機構はそれぞれ巻き取り方向にばねにより回動付勢され、このばねの付勢力に抗して引き出され、先端部に前記車椅子の一部に係脱可能に係合するフック部を有する索条手段と、
    前記第1の巻取機構に対応して設けられ、この第1の巻取機構からの前記索条手段の引き出し方向を変えるローラである左右一対の第1の変向手段と、
    前記第2の巻取機構に対応して設けられ、この第2の巻取機構からの前記索条手段の引き出し方向を変えるローラである左右一対の第2の変向手段と、
    ハンドルの回動操作に伴い前記第1および第2の巻取機構の回転をロックして前記索条手段の引き出し動作を阻止するロック部材とを具備し、
    前記第1および第2の巻取機構は、それぞれ上下に複数配置された爪歯車であり、前記ロック部材は前記ハンドルの回動操作に伴い前記爪歯車に噛合し前記爪歯車をロックする揺動爪であり、
    前記上下に配置の爪歯車は、単一ピッチを前記爪歯車の枚数で分割した分ずつ上から下にかけて順次回転方向に位置ずれしており、
    前記ロック部材の前記揺動爪は前記複数の爪歯車にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の爪歯車のうち前記索条手段の必要な巻き取り回動量に合致して回動するいずれかの対応する前記爪歯車と前記揺動爪とが噛合してロックするようになっていることを特徴とする車椅子固定装置。
  2. 車椅子を車両に乗せて輸送する際、前記車椅子が車両のに前記床と略面一となるように嵌め込まれた左右一対の巻取機構と、
    この巻取機構は巻き取り方向にばねにより回動付勢され、このばねの付勢力に抗して引き出される一方後端部が前記巻取機構の前方あるいは後方で前記床に固定され、先端部に前記車椅子の一部に係脱可能に係合するフック部をそれぞれ有する索条手段と、
    記巻取機構に対応して設けられ、この巻取機構からの前記索条手段の引き出し方向を変えるローラである左右一対の変向手段と、
    ンドルの回動操作に伴い前記巻取機構の回転をロックして前記索条手段の引き出し動作を阻止するロック部材とを具備し、
    記巻取機構はそれぞれ上下に複数配置された爪歯車であり、前記ロック部材は前記ハンドルの回動操作に伴い前記爪歯車に噛合し前記爪歯車をロックする揺動爪であり、
    前記上下に配置の爪歯車は、その単一ピッチをその爪歯車の枚数で分割した分ずつ上から下にかけて順次回転方向に位置ずれしており、
    前記ロック部材の前記揺動爪は前記複数の爪歯車にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の爪歯車のうち前記索条手段の巻き取り回動量に合致して回動するいずれかの対応する前記爪歯車と前記揺動爪とが噛合してロックするようになっていることを特徴とする車椅子固定装置。
  3. 車椅子を車両に乗せて輸送する際、前記車椅子が車両のに前記床と略面一となるように嵌め込まれた左右一対の巻取機構と、
    この巻取機構は巻き取り方向にばねにより回動付勢され、このばねの付勢力に抗して引き出され、先端部に前記車椅子の一部に係脱可能に係合するフック部を有する索条手段と、
    前記巻取機構に対応して設けられ、この巻取機構からの前記索条手段の引き出し方向を前記巻取機構の前方あるいは後方となるように変えるローラである左右一対の変向手段と、
    ハンドルの回動操作に伴い前記巻取機構の回転をロックして前記索条手段の引き出し動作を阻止するロック部材とを具備し、
    前記巻取機構はそれぞれ上下に複数配置された爪歯車であり、前記ロック部材は前記ハンドルの回動操作に伴い前記爪歯車に噛合し前記爪歯車をロックする揺動爪であり、
    前記上下に配置の爪歯車は、その単一ピッチをその爪歯車の枚数で分割した分ずつ上から下にかけて順次回転方向に位置ずれしており、
    前記ロック部材の前記揺動爪は前記複数の爪歯車にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の爪歯車のうち前記索条手段の巻き取り回動量に合致して回動するいずれかの対応する前記爪歯車と前記揺動爪とが噛合してロックするようになっていることを特徴とする車椅子固定装置。
  4. 前記第1の変向手段は、前記第1の巻取機構と前記第2の巻取機構との間に位置し、前記第2の変向手段は、前記第2の巻取機構の後方に位置し、前記第1の変向手段に掛けて配された索条手段と前記第2の変向手段に掛けて配された索条手段とは交差するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の車椅子固定装置。
  5. 前記第1および第2の変向手段は、前記第1の巻取機構と前記第2の巻取機構との間に位置し、前記第1の変向手段に掛けて配された索条手段と前記第2の変向手段に掛けて配された索条手段とは交差するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の車椅子固定装置。
  6. 前記第2の巻取機構からの索条手段の先端部に設けられたフック部は、基端部に比較的長尺な把持部を有し、後方から前記フック部を車椅子の一部に係合し易くしていることを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の車椅子固定装置。
  7. 前記ハンドルを構成する操作部は、前記床に設けられた収納ケースにピンを中心にして起伏回動するように設けられており、
    前記左右一対の巻取機構の爪歯車の間に直線状に設けられ、前記ハンドルの起伏回動操作に伴って軸方向に往復移動するスライダーと、
    一端部が前記スライダーに支持され、他端部が右側の前記巻取機構における前記爪歯車の軸に支持された駆動アームと、
    一端部が前記スライダーに支持され、他端部が左側の前記巻取機構における前記爪歯車の軸に支持された駆動アームとを有し、
    前記スライダーの往移動により、前記爪歯車に対する前記揺動爪の噛合を一時的に外すとともに、前記駆動アームを介して前記爪歯車を巻き取り方向に回転駆動するようになっていることを特徴とする請求項2、3または請求項6のいずれかに記載の車椅子固定装置。
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