JP3933375B2 - 化粧料用の架橋性ポリマーコーティング粉体組成物 - Google Patents

化粧料用の架橋性ポリマーコーティング粉体組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体を含有する化粧料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系のポリマーはその側鎖を加工することがしやすく、その為、種々の機能を有する側鎖を導入し、機能性高分子とすることが容易であり、この様な目的でアクリル系ポリマーを修飾することが行われてきている。この様なアクリル系機能性ポリマーは化粧料の分野でも研究されており、これまで側鎖に長鎖アルキル基を導入し、界面活性作用と増粘作用とを付与させた機能性高分子、糖鎖やホスホリルコリン基を導入し、保水作用を付与させた機能性高分子などが例示できる。しかしながら、皮脂の中の化粧崩れや刺激を発現する成分を吸収するような機能性高分子でコーティングされた粉体を含有する組成物は、未だ知られていなかった。又、この様な粉体を用いて製造したメークアップ化粧料などの化粧料が化粧崩れしにくいことも全く知られていなかった。
【0003】
一方、化粧料の分野において、皮脂の中の化粧崩れや刺激を発現する成分を吸収し、皮膚表面と接触させないことは意義のあることであり、この様な事象の実現により、好ましくない刺激発現や化粧崩れ、皮膚の老化などを抑制することが出来ると考えられている。この様な事象として既に行われていることは、金属イオンをクラスレートさせたピラードクレイにより皮脂中の脂肪酸を特異的に吸着させる技術である。この方法では脂肪酸に特異的であることがメリットである反面デメリットでもあり、脂肪酸以外の皮脂の中の化粧崩れや刺激を発現する成分をも吸収するような技術は今のところ知られていなかった。
【0004】
後記特定の化合物、即ち一般式(I)に示される化合物、特に、アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルを構成モノマーとした架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体を含有する組成物については全く知られていない。又、化粧料に於いて、この様な架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体を含有する組成物が、化粧料の持ちを向上させることも期待されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、皮脂の中の化粧崩れや刺激を発現する成分を吸収するための新たな素材を含有する化粧料組成物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、皮脂の中の化粧崩れや刺激を発現する成分を吸収するための新たな素材を含有する化粧料組成物を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、一般式(I)で表される化合物、特に、アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルを構成モノマーとして含有する架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体を含有する化粧料組成物にその様な特性を見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は次に示す技術に関するものである。
(1)架橋性モノマーと、アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上のモノマーとを、構成モノマーとして含有する架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体を含有することを特徴とする、化粧料組成物
)前記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上のモノマーの含有量が、架橋型ポリマー全量に対して、60〜80重量%であることを特徴とする、(1)に記載の化粧料組成物。
)前記架橋性モノマーが、アルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのジエステル、ジビニル化合物及びアルキルジエン化合物から選ばれる1種乃至は2種以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の化粧料組成物。
)前記構成モノマーにおける前記架橋性モノマーの含有率が、架橋型ポリマー全量に対して、0.01〜1重量%であることを特徴とする、(1)〜()何れか一項に記載の化粧料組成物。
)油脂成分の包含用であることを特徴とする、(1)〜()何れか一項に記載の化粧料組成物。
以下に、本発明について実施の形態を中心に詳細に説明をする。
【0007】
【化2】
Figure 0003933375
一般式(I)
(但し、式中R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xはオキシメチレン基、カルボニルオキシメチレン基又はオキシカルボニル基を表し、R4は炭素数2〜4の脂肪族炭化水素基を表す。)
【0008】
【発明の実施の形態】
(1)本発明に係る架橋型ポリマーを構成する構成モノマー
本発明の化粧料組成物の必須成分である、架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体の、架橋型ポリマーは、アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上を構成モノマーとして含有する。具体的に例示をするならば、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−iso−ブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−iso−ペンチル、アクリル酸−sec−ペンチル、アクリル酸−tert−ペンチル、アクリル酸−neo−ペンチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸−iso−ブチル、メタアクリル酸−sec−ブチル、メタアクリル酸−tert−ブチル、メタアクリル酸−n−ペンチル、メタアクリル酸−iso−ペンチル、メタアクリル酸−sec−ペンチル、メタアクリル酸−tert−ペンチル、メタアクリル酸−neo−ペンチル等が好ましく例示できる。これら化合物は唯1種を構成モノマーとして含有させることも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。これらアクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルの本発明に係る架橋型ポリマーに於ける構成モノマーとしての好ましい含有量は、総量で60〜80重量%であり、更に好ましくは65〜75重量%である。
【0009】
(2)本発明に係る架橋型ポリマーを構成する架橋性モノマー
本発明の化粧料組成物の必須成分である、架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体の架橋型ポリマーは上記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる構成モノマー以外に、架橋性モノマーを構成モノマーとして含有する。架橋性モノマーとは、上記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる構成モノマーと分子内の少なくとも2箇所の部分で重合可能な構造を有するモノマーであり、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどのアルキレングリコールや(ポリ)グリセロールとのアクリル酸やメタクリル酸とのジエステル類、ブタジエンなどのアルキルジエン類、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物などが好ましく例示でき、これらの中ではエチレングリコールのアクリル酸或いはメタクリル酸とのジエステルとジビニルベンゼンなどのジビニル化合物が特に好ましい。これら架橋性モノマーは唯1種を含有させることも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。これら架橋性モノマーの好ましい含有量は、総量で架橋型ポリマー全量に対して0.01〜1重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.5重量%である。これは、架橋度が低すぎると、形状維持性や皮脂成分吸着能に問題が生じる場合があり、架橋度が高すぎると、吸着される皮脂の種類が制限される場合があるからである。
【0010】
(3)本発明に係る架橋型ポリマー
本発明の化粧料組成物の必須成分である、架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体の架橋型ポリマーは、上記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる構成モノマー及び架橋性構成モノマー以外に、通常ポリマーの世界で知られている任意のモノマーを構成モノマーとして含有することが出来る。この様な構成モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコール、一般式(II)で表される化合物、スチレン、α−メチルスチレン、プロピレン、ブテン、シクロペンテン、アリルアルコール、アリルアミン等が好ましく例示できる。これらの任意の構成モノマーの、本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた粉体に於ける、構成モノマーとしての含有量は、上記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる構成モノマーと架橋性モノマーとを差し引いた残余であればよい。本発明に係る架橋型ポリマー、これら必須のモノマーと任意のモノマーとを常法に従って、溶液法或いは乳化法で過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤とともに重合させることにより製造することが出来る。かくして得られた本発明に係る架橋型ポリマーは、皮脂の中の化粧崩れや刺激を発現する成分を吸収する作用に優れる。
【0011】
【化3】
Figure 0003933375
一般式(II)
(但し、式中R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xはオキシメチレン基、カルボニルオキシメチレン基又はオキシカルボニル基を表し、R4は炭素数2〜4以外の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。)
【0012】
(4)本発明に係る無機粉体類
本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体に用いられる無機粉体は、化粧料等に使用される無機粉体即ち、無機顔料であれば特段に限定されるものではなく、例えば、クロム酸塩、フェロシアン化合物であれば、紺青、硫化物であれば、グンジョウ、酸化物として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化チタン、ベンガラ、黒酸化鉄、黄酸化鉄、カラミン等が挙げられる。また、水酸化物であれば、水酸化クロム、水酸化アルミニウム、硫酸塩であれば、硫酸バリウム、ケイ酸塩として、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、カオリン、セリサイト(含水ケイ酸アルミニウムカリウム)、マイカ、雲母、絹雲母、ベントナイト、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、ケイソウ土等が挙げられる。炭酸塩としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、炭化ケイ素等がある。又、リン酸塩として、マンガンバイオレット、炭素として、カーボンブラック、金属粉として、アルミニウム末、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、銅、金が挙げられる。その他では、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、アスベストがある。これらの無機粉体である無機顔料は、唯1種を含有させることも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体はこれらの無機粉体を上記架橋型ポリマーでコーティングさせることにより得ることが出来る。かかるコーティング法としては、遊星ボールミルなどによるメカノケミカルなコーティング方法、重合時に粉体類を共存させてコーティングする方法、湿式コーティング方法などが例示でき、これらの何れもが使用可能である。この内、水性ファンデーションなど水系で使用する場合には、湿式コーティング方法を行うと媒体分散性が良好であるので特に好ましい。かくして得られた、本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体は、ファンデーションなどの化粧料用の粉体として好適である。これは、化粧崩れがしにくい特性を有するからである。以下に、本発明の化粧料組成物の必須成分である架橋ポリマーでコーティングされた無機粉体の製造例を示す。
【0013】
<製造例1>
温度計、攪拌棒、ガス導入管、滴下管および還流冷却器を備えた500mlガラスフラスコに、イソプロピルアルコール200部を仕込み、攪拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に80℃に加熱した。その後、構成モノマーとしてnブチルアクリレート66.55部、架橋性構成モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート0.59部および重合開始剤として2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)2.000部を含有する溶液を攪拌下1時間かけて滴下し、さらにフラスコ内の温度を80℃に保ったまま1時間溶液を熟成させた。その後、開始剤2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)0.166部をイソプロピルアルコール20部に溶解したものをフラスコ内に加え重合を完了させポリマー溶液を得た。次にタルク粉末(林化成社製、タルカンハヤシ)2.00部をイソプロピルアルコール100部に超音波分散した懸濁液を用意し、得られたポリマー溶液にその懸濁液を加えそのまま80℃で1時間強攪拌を続けた。得られた懸濁液をろ紙で濾過、水洗、アルコール洗浄を行い得られたケーキを60℃の乾燥機で熱風乾燥させることによって架橋型ポリマーコーティングタルク(架橋型ポリマーでコーティングされた粉体1)を得た。
【0014】
<製造例2>
温度計、攪拌棒、ガス導入管、滴下管および還流冷却器を備えた500mlガラスフラスコに、蒸留水200部、セリサイト粉末(三信鉱工社製、FSEセリサイト)10.0部、開始剤としてペルオキソ二硫酸アンモニウム2.74部、活性剤としてメタリン酸ナトリウム0.666部を仕込み、攪拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に70℃に加熱した。次に構成モノマーとしてnブチルアクリレート4.00部、ラウリルアクリレート1.00部、架橋性構成モノマーとしてジビニルベンゼン0.005部をイソプロピルアルコール50部に溶解したものを攪拌下1時間かけて滴下した。滴下終了後直ちに、得られた懸濁液をろ紙で濾過し、水洗、アルコール洗浄を行い、得られたケーキを60℃の乾燥機で熱風乾燥させることによって架橋型ポリマーコーティングセリサイト(架橋型ポリマーでコーティングされた粉体2)を得た。
【0015】
<参考例>
製造例1のnブチルアクリレートをメチルアクリレートに置換して同様に処理し、比較架橋型ポリマー1を得た。
【0016】
<試験例>
製造例1、2の本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた粉体1、2と参考例の比較架橋型ポリマーでコーティングされた粉体とを用いて、刺激発現皮脂成分に対する作用を検討した。即ち、架橋型ポリマーでコーティングされた粉体1,2と流動パラフィンとを3:2の重量比で混練りし、ペーストを得た。このペースト0.05gをハートレー系白色種モルモット1群5匹の背部の2cm×2cmの部位に塗布し、最少紅斑ドーズの1/2の光量の紫外線を照射し、翌日に皮膚反応をドレーズの基準に従って判定した。ドレーズの基準とは、++:浮腫を伴う反応、+:明らかな紅斑を伴う反応、±:微弱な紅斑を伴う反応、−:無反応であった。結果を出現例数として表1に示す。これより、本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた粉体1,2の投与部位は炎症反応が抑えられていることがわかる。これは、光が皮脂に照射されることによって生じる刺激発現成分を本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた粉体1,2が吸収しているためである。この様な作用は特定の側鎖を有することにより発現されることもわかる。
【0017】
【表1】
Figure 0003933375
【0019】
(4)本発明に係る架橋ポリマーでコーティングされた無機粉体を含有する化粧料組成物
本発明に係る架橋ポリマーでコーティングされた無機粉体を含有する化粧料組成物は、1)架橋型ポリマーとして、上記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上を構成モノマーを含有する、2)架橋型ポリマーとして、上記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル以外に、架橋性モノマーを構成モノマーとして含有する、3)架橋型ポリマーとして、上記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル及び架橋性構成モノマー以外に、通常ポリマーの世界で知られている任意のモノマーを構成モノマーとして含有する高分子構造を有する高分子を含有することを特徴とする。本発明の組成物として、表面の処理に使用されるものが好適であり、処理される表面としては、皮膚表面、爪表面、毛髪表面、線維表面、ガラス表面乃至は金属表面が好適に例示できる。即ち本発明の組成物としては、具体的には、皮膚外用剤、繊維処理剤、ペイントなどが好適に例示でき、中でも皮膚外用剤に適用するのが特に好ましい。皮膚外用剤としては、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、外用殺菌剤などが例示でき、これらの内では、化粧料が特に好ましい。これは、本発明の必須成分である高分子の機能が、化粧料の求めている品質と良く一致するからである。したがって、本発明の組成物として、化粧料が選択される。ここで、化粧料とは、一般的に言われている化粧料であり、例えば、クリーム、乳液、化粧水、パック等の肌の手入れを旨とする基礎化粧料、アンダーメークアップ、ファンデーション、リップカラー、チークカラー等の装いの機能を旨とするメークアップ化粧料、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアリキッド、ヘアクリーム等の毛髪の手入れと保全を旨とする毛髪化粧料、シャンプー、リンス、石鹸等の洗浄化粧料等が例示できる。本発明の化粧料ではこれらの何れもが適用可能であり、基礎化粧料であれば、安全性の高い優れた皮膚保護効果を発現し、メークアップ化粧料であれば、化粧のりが良く、持ちも良いメークアップ効果を発現し、毛髪化粧料であれば、優れた毛髪述べた付きの抑制作用などの優れた機能を発現する。
【0020】
本発明の化粧料組成物では、上記必須成分である架橋型ポリマーによってコーティングされた無機粉体以外に、通常この様な化粧料組成物で使用される任意成分を、本発明の効果を損ねない範囲に於いて、含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えばワセリンやマイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3,−ブチレングリコール等の多価アルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、エタノール,カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、粉体類等が例示できる本発明の化粧料組成物は、これらの成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0022】
<実施例1,2>
上記製造例1、2の本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた粉体1、2を用いてファンデーションを作成し、化粧崩れの評価を行った。ファンデーションの処方は表に示す。即ち、イ)の成分をヘンシェルミキサーで混合し、0.9mm丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粗粉砕し、再びヘンシェルミキサーで混合しながらロ)の成分を加えてコーティングした。このものを1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで仕上げ粉砕し、金皿に充填し加圧成形してファンデーション1(架橋型ポリマーでコーティングされた粉体として製造例1の架橋型ポリマーでコーティングされた粉体1を使用)ファンデーション2(架橋型ポリマーでコーティングされた粉体として製造例2の架橋型ポリマーでコーティングされた粉体2を使用)とを得た。これらのファンデーションを用い、脂性で化粧崩れに悩むパネラー1群10名を用いて、架橋型ポリマーを総て架橋をしていないポリアクリル酸ブチルに置換した比較例を用いて使用テストを行った。即ち、ファンデーション1或いは2と比較例とを交互に2週間使用し、化粧崩れのしにくさ(化粧持ちの良さ)をどちらのサンプルの方がよいかで評価してもらった。結果を表に示す。これより、本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた粉体の添加により化粧崩れが抑えられ、化粧持ちが向上していることが判る。これは、本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた粉体が化粧崩れの原因となる皮脂の成分を吸着する作用に優れるためである。又、この様な皮脂吸収作用は架橋構造によることもわかる。
【0023】
【表2】
ファンデーション処方
Figure 0003933375
【0024】
【表3】
Figure 0003933375
【0025】
<実施例
表4の下記処方に従って、アンダーメークアップを作成した。即ち、を80℃に加熱し、を良く混練りし、を加えて分散希釈し、を分散させ、これに徐々にを加えて乳化し、攪拌冷却しアンダーメークアップを得た。
【0026】
【表4】
アンダーメークアップ処方
Figure 0003933375
【0027】
<実施例
実施例のアンダーメークアップについて、脂性で化粧崩れに悩むパネラー10名を用いて、架橋型ポリマーコーティング粉体を全てタルクに置換した比較例を用いて使用テストを行った。即ち、実施例と比較例とを交互に2週間使用し、上に乗せる通常使用しているファンデーションの化粧崩れのしにくさ(化粧持ちの良さ)をどちらのサンプルをアンダーメークアップとして用いた場合の方がよいかで評価してもらった。結果を表5に示す。これより、本発明に係る架橋型ポリマーでコーティングされた粉体の添加により化粧崩れが抑えられ、化粧持ちが向上していることが判る。
【0028】
【表5】
Figure 0003933375
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、皮脂の中の化粧崩れや刺激を発現する成分を吸収するための新たな素材を含有する化粧料組成物を提供することができる。

Claims (5)

  1. 架橋性モノマーと、アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上のモノマーとを、構成モノマーとして含有する架橋型ポリマーでコーティングされた無機粉体を含有することを特徴とする、化粧料組成物。
  2. 前記アクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステル又はメタクリル酸の炭素数3〜5のアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上のモノマーの含有量が、架橋型ポリマー全量に対して、60〜80重量%であることを特徴とする、請求項に記載の化粧料組成物。
  3. 前記架橋性モノマーが、アルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのジエステル、ジビニル化合物及びアルキルジエン化合物から選ばれる1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
  4. 前記構成モノマーにおける前記架橋性モノマーの含有率が、架橋型ポリマー全量に対して、0.01〜1重量%であることを特徴とする、請求項1〜何れか一項に記載の化粧料組成物。
  5. 油脂成分の包含用であることを特徴とする、請求項1〜何れか一項に記載の化粧料組成物。
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