JP3933037B2 - 流体アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体パワー源の発生する流体の圧力によって動作する流体アクチュエータにおいて、流体パワー源を一体化するとともに、流体パワー源を流体に囲まれた内部に設置した流体アクチュエータに関し、特にデスクトップファクトリーやマイクロファクトリーに用いられる小形の流体アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば油圧シリンダ等の流体アクチュエータは、電動モータと減速機を組み合わせたアクチュエータ等に比較し、発生力の大きさ、動きの滑らかさ、頑健さ等の特徴から工場、建設機械等様々な分野で用いられている。一方、省エネルギー、省スペースの観点から、近年、超小型の工作機械を机上に並べたデスクトップファクトリーやマイクロファクトリーが注目されている。こういったデスクトップファクトリーで用いられる流体アクチュエータには、作動流体の漏れ等を特に厳しく制限する必要がある。
【0003】
従来、流体アクチュエータの内部に封入された作動流体である油の漏れや、作動流体自体の量の削減を目的として、シリンダ等のアクチュエータと油圧ポンプ等の流体パワー源を一体化した流体アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、流体パワー源を流体内に設置し、外部配管を一切持たない流体アクチュエータも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−5117号公報
【特許文献2】
特開平5−157104号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1上記の流体アクチュエータにおいては、従来の流体アクチュエータの配管が短縮された形態であるため、管路の継ぎ目からの作動流体の漏れに関しては解決されていなかった。また、特許文献2の流体アクチュエータにおいては、作動流体は完全に封入されているが、ピストンの移動量に比較して封入が必要な作動流体の量が多く、作動流体の廃棄時における汚染が問題になっていた。
【0006】
また、内部に封入される作動流体の量が多いことで、作動流体内部に含まれるガスの量も多くなり、そのガスが圧力室や流体チャンバーに大量に発生することで、流体アクチュエータの剛性低下や、ポンプの動作不良を引き起こす問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、作動流体を完全に封入して漏れの危険が無く、かつ内部に封入する作動流体の流体量が少なくすることで、廃棄物問題や内部でのガスの発生の可能性が小さい流体アクチュエータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の流体アクチュエータは、流体の圧力によって容積が変化する圧力室と、前記圧力室に供給する流体を蓄える流体チャンバーと、流体パワー源と、が一体化されている流体アクチュエータであって、前記流体パワー源を内蔵した密封ケースの一方が前記圧力室の流体に囲まれた内部に収納されるとともに、前記密封ケースの他方が前記流体チャンバーの流体に囲まれた内部に収納されたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、外部の配管が一切ないため接続部等での作動流体の漏れが発生せず、さらに密封ケースによって封入する作動流体の量が減じるため、廃棄時の作動流体の処理問題を低減し、また、動作中に作動流体から発生するガスの量も低減できるという効果を有する。
【0012】
本発明の流体アクチュエータは、前記圧力室と前記流体チャンバーの少なくとも一方が、金属ベローズで構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、耐久性、気密性に優れる一方、可動範囲に対し数倍の長さを必要とする金属ベローズを用いても、内部に封入する作動流体の量を小さくできるという効果を有する。
【0014】
本発明の流体アクチュエータは、前記密封ケースが、前記圧力室と前記流体チャンバーの隔壁を兼ねることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、組み立てが簡単で部品点数が少ない流体アクチュエータを構成できるという効果を有する。
【0016】
本発明の流体アクチュエータは、前記密封ケースの内壁に、流体パワー源を駆動する駆動回路を密着させて設置したことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、密封ケースの外側にある流体に駆動回路の発生する熱を効率的に逃がすことができるため、密封ケース内の温度上昇が抑えられ、効率的な流体アクチュエータが構成できるという効果を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1および図2は本発明に係る流体アクチュエータの初期状態及び伸長時の縦断面図である。底付き円筒型のベースユニット10の上面に流体チャンバーベローズ12、流体チャンバー側密封ケース13、圧力室側密封ケース23、圧力室ベローズ22の順で重ねられ、それぞれの縁部をリング部材35によって押えられている。リング部材の固定には複数のボルト34を用いている。
【0020】
流体チャンバー側密封ケース13と圧力室側密封ケース23で形成されるポンプユニット格納室31にはポンプユニット32及びポンプ駆動回路33が固定されている。流体チャンバー側密封ケース13および圧力室側密封ケース23にはそれぞれポンプユニット32と連通する流路15、25が設けられている。
【0021】
流体チャンバー14、圧力室24、ポンプユニット32内の流路、流路15、流路25には、作動流体が満たされている。
【0022】
空気圧室30には高圧のガスが封入され、流体チャンバー14を圧縮する方向に圧力がかかっている。
【0023】
本流体アクチュエータを、プレス装置等の駆動源に用いるには、圧力室底板21にポンチ等を固定して駆動する。その際、バネ等で圧力室底板21を押し下げ、空気圧室30の圧力より高い圧力を圧力室に発生させておく。その結果、圧力室は、図1に示すように最小容積の初期状態となる。
【0024】
本流体アクチュエータのポンプユニット32をポンプユニット駆動回路33によって駆動すると、流体チャンバー14から作動流体を吸入し、圧力室24に吐出するため圧力室24の圧力が高まり図2に示すように伸長状態となり、圧力室底板21に固定されたポンチ等を駆動できるのである。
【0025】
本構成において、流体チャンバー14および圧力室24の双方の内部に、流体パワー源であるポンプユニット32を内蔵した密封ケースが設けられているため、ポンプユニット32には配管を用いることなく、流体チャンバー14とポンプユニット32及び圧力室24とポンプユニット32を接続することが可能になっている。従って外部の配管が無いため接続部等での作動流体の漏れの発生を無くすことができる。
【0026】
しかも、密封ケースによって騒動流体の総量は少なくてすむため、流体アクチュエータ廃棄時に必要な作動流体の処理量を減らすことができ、また、動作中に作動流体から発生するガスの量も低減できるため、流体アクチュエータの剛性低下やポンプの作動不良を生じにくい。
【0027】
さらに、本構成では流体チャンバー側密封ケース13の体積は、流体チャンバー14の最小容積時の57%となっている。この体積比は少なくとも30%以上で60%以下が望ましい。従って、流体量が少なくてすむため、作動流体から発生するガスの量や廃棄時の作動流体量をさらに小さくできる。
【0028】
本構成では、流体チャンバー14および圧力室24の双方を金属ベローズで構成している。このような密閉型の流体機械では、ピストンのようにしゅう動部が無く、かつ耐久性、気密性に優れた金属ベローズで流体チャンバーや圧力室を構成することが望ましい。一方、金属ベローズは、可動範囲に対し数倍の長さを必要とするため、内部に封入される作動流体量が多くなるとともに、体積効率が悪くなることが問題であった。しかし、本構成においては、密封ケースがよって金属ベローズの内部に封入される作動流体量を減じると同時に、密封ケースで構成されるポンプユニット格納部31にポンプユニット32とポンプユニット駆動回路33を配しているため、内部空間を有効に利用し体積効率を改善しているのである。
【0029】
さらに、本構成では、流体チャンバー側密封ケース13と圧力室側密封ケース23が、圧力室24と流体チャンバー14の隔壁を兼ねるため、組み立てが簡単で部品点数が少なくなっている。
【0030】
また、本構成では、流体チャンバー側密封ケース13の内壁に、ポンプユニット駆動回路33を密着させているため、駆動回路の発生する熱を流体チャンバー側密封ケース13を通じて、作動流体に効率的に逃がすことができるため、密封ケース内の温度上昇が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る流体アクチュエータの初期状態の縦断面図
【図2】 本発明に係る流体アクチュエータの伸長状態の縦断面図
【符号の説明】
10.ベースユニット
12.流体チャンバーベローズ
13.流体チャンバー側密封ケース
14.流体チャンバー
15.流路
22.圧力室ベローズ
23.圧力室側密封ケース
24.圧力室
25.流路
30.空気圧室
31.ポンプユニット格納室
32.ポンプユニット
33.ポンプ駆動回路
35.リング部材

Claims (4)

  1. 流体の圧力によって容積が変化する圧力室と、前記圧力室に供給する流体を蓄える流体チャンバーと、流体パワー源と、が一体化されている流体アクチュエータであって、
    前記流体パワー源を内蔵した密封ケースの一方が前記圧力室の流体に囲まれた内部に収納されるとともに、前記密封ケースの他方が前記流体チャンバーの流体に囲まれた内部に収納されたことを特徴とする流体アクチュエータ。
  2. 前記圧力室と前記流体チャンバーの少なくとも一方が、金属ベローズで構成されていることを特徴とする、請求項1記載の流体アクチュエータ。
  3. 前記密封ケースが、前記圧力室と前記流体チャンバーの隔壁を兼ねることを特徴とする、請求項1記載の流体アクチュエータ。
  4. 前記密封ケースの内壁に、流体パワー源を駆動する駆動回路を密着させて設置したことを特徴とする、請求項1記載の流体アクチュエータ。
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