JP3932566B2 - 爆薬の装填方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば採石場での鉱石の採掘やトンネル工事での発破において、装薬孔に爆薬を装填するための爆薬の装填方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
採石場などでの屋外における発破、いわゆる明かり発破において、バルク状爆薬を装薬孔に装填する装置としては、例えば次のような装置が知られている。すなわち、トラックに硝安油剤爆薬(ANFO)などの原材料をそれぞれタンクに貯蔵しておき、それが使用される発破現場において両者を混和装置により混和し、バルク状爆薬を製造し、それを予め穿孔された発破孔に流し込む装置を備えた移動式の装置である。
【0003】
一方、鉱山や土木トンネルなどの坑内発破においてバルク状爆薬を装薬孔に装填する装置としては、例えばANFOの自動装填機が一般的である。これは通常、圧縮空気を用いてANFO爆薬粒子を装填ホースにより吹き出し、装薬孔に装填するものであり、車両搭載の有り無し両方の形式がある。
【0004】
さらに、爆薬を収容するための包袋を錘によって装薬孔内へ挿入し、この包袋内に空気加圧によって爆薬を装填する装置が提案されている(米国特許第5192819号明細書)。そして、ANFOのような粒状爆薬が、包袋を錘によって孔内へ挿入する装置により、装薬孔内に装填される。この装置は、ANFOのような低比重、低耐水性の爆薬に好適に使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記ANFOのトラックやANFOの自動装填機は、いずれも爆薬をそのまま装薬孔に装薬する方法であるため、装薬孔の中に水がある場合には、装薬された爆薬が吸水して正常な機能を発揮しないという問題があった。特に、ANFOを発破に使用する際には、ANFOが吸水性に富むため、発破箇所に湧水のある場合は使用できない。その場合にはANFOにエマルション爆薬を混合したヘビーANFO、あるいは耐水性に富むカートリッジ包装の爆薬を使用せざるを得ない。しかし、これは爆薬コストが増大するのみならず、装薬作業を人手に頼るものであるので装薬に要する時間がかかり、コストアップに繋がる。
【0006】
さらに、バルク状爆薬については、装薬孔近傍に亀裂や空洞等が存在している場合、爆薬がそこへ流れ込み、局所的に爆薬量が過剰に供給され、計画通りの発破を行うことができないという問題があった。
【0007】
加えて、米国特許第5192819号明細書に開示された装置においては、ANFO粒子が包袋内でブロッキングを生じ、装薬孔内に爆薬を完全に密に装填できないという問題があった。
【0008】
この発明は前記のような従来技術に存在する問題に着目してなされたものである。その目的とするところは、水が存在する装薬孔においても爆薬が吸水して不爆が生じたり、孔荒れした装薬孔において計画外の箇所に爆薬が装填されるおそれを防止できる爆薬の装填方法及び装置を提供することにある。
【0009】
その他の目的とするところは、装薬孔内の途中で爆薬がブロッキングを生じるおそれを防止できる爆薬の装填方法及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、第1の発明の爆薬の装填方法では、バルク状の爆薬を収容するための袋状収容体を、その袋状収容体内に挿入した進退可能なホース又は管状体で構成されるガイド部材により所定の装薬孔の奥部まで挿入する挿入工程と、装薬孔の奥部まで挿入された袋状収容体内にガイド部材に設けられた挿通孔を介して爆薬を充填しつつ、ガイド部材を袋状収容体内から抜き出す充填工程とよりなり、前記袋状収容体は包装装置により現場で装薬孔に対応させてフィルム状の包装材料を筒状にし、合わせ部をヒートシールしたものである。
【0011】
第2の発明の爆薬の装填方法では、第1の発明の爆薬の装填方法において、前記挿入工程で袋状収容体を装薬孔の奥部まで挿入した後、挿通孔から圧力流体を吹き出して袋状収容体を膨張させ装薬孔の内壁面に沿わせるようにしたものである。
【0012】
第3の発明の爆薬の装填装置では、バルク状の爆薬を収容するための袋状収容体と、その袋状収容体内に挿入され、袋状収容体を所定の装薬孔の奥部まで挿入するための進退可能なホース又は管状体で構成されるガイド部材と、装薬孔の奥部まで挿入された袋状収容体内にガイド部材に設けられた挿通孔を介して爆薬を充填しつつ、ガイド部材を袋状収容体内から抜き出すための充填装置とを備え、前記袋状収容体は包装装置により現場で装薬孔に対応させてフィルム状の包装材料を筒状にし、合わせ部をヒートシールしたものである。
【0013】
従って、第1又は第3の発明の爆薬の装填方法及び装置では、挿入工程において、爆薬を装填するための袋状収容体が、その袋状収容体内に挿入された進退可能なガイド部材により装薬孔の奥部まで挿入される。また、充填工程において、挿入工程後の袋状収容体内に爆薬が充填される。
【0014】
爆薬は袋状収容体内に収容されるため、水が存在する装薬孔においても爆薬が吸水して不爆が生じるおそれを防止できる。また、袋状収容体は進退可能なガイド部材により装薬孔の奥部まで挿入されるため、孔荒れした装薬孔において計画外の箇所に爆薬が装填されるおそれを防止できる。しかも、袋状収容体はガイド部材により拡げられ、そこへ爆薬が充填されるため、装薬孔内の途中で爆薬がブロッキングを生じるおそれを抑制できる。
【0015】
加えて、ガイド部材は進退可能に構成されていることから、装薬孔内の袋状収容体に対する押圧力を調整できるとともに、繰り返して使用することが可能である。さらに、所定の径と長さを有する袋状収容体を装薬孔に対応させて現場で容易に製作することができる。
【0016】
第2の発明の爆薬の装填方法では、挿入工程で袋状収容体を装薬孔の奥部まで挿入した後、ガイド部材に設けられた挿通孔から圧力流体を吹き出して袋状収容体を膨張させ装薬孔の内壁面に沿わせるようになっている。このため、爆薬を装薬孔の全体に確実に収容でき、爆薬のブロッキング防止を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、爆薬の装填装置について説明する。
【0018】
爆薬の装填装置は、爆薬を収容するための袋状収容体と、その袋状収容体内に挿入され、袋状収容体を装薬孔の奥部まで挿入するための進退可能なガイド部材と、前記袋状収容体内に爆薬を充填するための充填装置とを備えている。
【0019】
袋状収容体は包装装置によりフィルム状の包装材料を筒状にし、合わせ部をシールすることにより形成される。この包装装置は、包装材料を支持する支持具と包装機とからなっている。そして、支持具から引き出されるフィルム状の包装材料を包装機で円筒形に変形させ、その端縁及び側縁をヒートシールすることにより、筒状(チューブ状)の袋状収容体が作製される。
【0020】
すなわち、予め支持具にロール状に巻かれた合成樹脂フィルムは、包袋機に連続的に供給され、平面状のフィルムから円筒形状に変形されつつ側端縁および先端縁がヒートシールされ、袋状収容体となる。この袋状収容体の直径は、装填される装薬孔の孔径に合わせて任意に変更可能であるが、通常孔径よりも若干大きめの値に設定される。袋状収容体の寸法は現場で任意に設定され、同じ幅のフィルムから種々の直径の袋状収容体が形成可能である。
【0021】
袋状収容体を形成するための材料は、装薬孔内への挿入と膨張に対して十分な強度と耐水性を有し、かつヒートシール可能なものが適している。そのような材料としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)などの熱可塑性を有する合成樹脂フィルムが挙げられる。さらに好ましくは、それらを積層して強度を増したフィルム、例えばポリエチレン/ナイロン/ポリエチレンの3層の合成樹脂フィルムが挙げられる。
【0022】
次に、ガイド部材は爆薬装填用のホースを用いる場合と、管状体を用いる場合とがあるが、いずれも進退可能に構成される。前者のホースが用いられる場合、その供給装置は爆薬を混合する混和装置と、ホースの送出機、必要に応じてエアコンプレッサを含む送風装置やポンプ、タンピング装置を備えている。
【0023】
ホースは通常巻取機のリールに巻回されている。そして、袋状収容体の作製と同時に、例えばローラ方式のホース送り装置によって前記包装機に導入される。包装機内では、ホースの移動に合わせてその外周に袋状収容体が形成される。袋状収容体に覆われたホースは装薬孔に挿入され、予め設定された装薬孔の深さ、あるいはホース先端が装薬孔先端に到達したことによるホース送り抵抗の変化を感知して自動的にホースの送出が停止される。
【0024】
ここで、爆薬装填用のホースは、袋状収容体を装薬孔に挿入するための十分な強度を有し、かつフレキシブルであることが必要である。そのようなホースとしては、例えば耐油性ゴム、シリコーンゴム、繊維入りゴムなどが用いられる。より好ましくは、帯電しにくい材質である耐油性ゴムが用いられる。
【0025】
また、前記管状体が用いられる場合、その供給装置は爆薬の混和装置と、管状体の送出機、必要に応じてエアコンプレッサを含む送風装置やポンプ、タンピング装置を備えている。管状体内の挿通孔には圧縮空気が流通される。この管状体は装薬孔の深さに応じて継ぎ足し可能であり、管状体の直径は袋状収容体の膨張時の直径、さらには装薬孔の径よりも小さくなくてはならない。この管状体は、装薬孔の最奥部まで袋状収容体を挿入した後、徐々に引き戻される。その際、圧縮空気が管状体の先端から吹き出され、袋状収容体を膨らませる。
【0026】
その後、管状体が完全に抜き取られる。管状体の材質は硬質合成樹脂、例えば塩化ビニル樹脂が用いられる。より好ましくは、帯電を防止するために帯電防止剤が添加された難帯電性の塩化ビニル樹脂が用いられる。
【0027】
前記混和装置は爆薬原料を混合して爆薬組成物とするもので、原料の収納容器と、原料供給装置と、混和装置とを備えている。爆薬原料は爆薬原料収納容器に貯蔵されており、例えば容量式の定量供給装置を用いた原料供給装置によって混和装置にそれぞれ送られ、混合されて爆薬が調製される。
【0028】
また、爆薬原料を混合せず、工場であらかじめ製造された爆薬をそのまま用いる場合には、爆薬原料収納容器を爆薬収納容器として用い、混和装置を爆薬供給装置として用いることができる。混和装置としては、例えばオーガ式の混和機やリボンミキサーなど、一般に用いられる混和機が使用される。
【0029】
次に、爆薬を装薬孔に装填する方法について説明する。
装薬孔内で袋状収容体が膨張された後、爆薬は爆薬供給装置によって爆薬装填用ホースを介するか、もしくはそのまま直接袋状収容体内に装薬されるが、粉状爆薬の場合には圧縮空気が用いられる場合もある。装薬用ホースによる装填の場合には、ホースの巻き取りが同時に行われ、装薬孔の孔底から所定距離まで爆薬が密に装填される。予め設定された装薬量が装填されたところで供給装置が停止され、装填用ホースが巻き戻される。なお、装薬孔の奥部まで挿入された袋状収容体内に爆薬を充填しつつ、ガイド部材を袋状収容体内から抜き出すことができる。
【0030】
装薬孔への爆薬の装填の終了後、タンピング装置により爆薬面から装薬孔の孔口まで砂、粘土等のタンピング材を用いてタンピング、すなわち爆薬を押圧して填塞することも可能である。そのようなタンピング装置はタンピング材料供給機と、タンピング送出機とからなっており、タンピング材料の貯蔵容器より所定量のタンピング材料が供給される。なお、爆薬とタンピング材料および管状体、すなわち送出物の選択と、送出量の制御は同時に可能である。
【0031】
以上のような実施形態により、次のような効果が発揮される。
(1) 爆薬は袋状収容体内に収容されることから、装薬孔に水が存在する場合においても爆薬が吸水して不爆が生じるおそれを防止できる。
(2) 袋状収容体はガイド部材により装薬孔の奥部まで挿入されるとともに、爆薬の流出を止めるため、孔荒れした装薬孔において計画外の箇所に爆薬が装填されるおそれを防止できる。
(3) 袋状収容体はガイド部材により拡げられ、そこへ爆薬が装填されるため、装薬孔内の途中で爆薬がブロッキングを生じるおそれを抑制できる。
(4) ガイド部材は進退可能に構成され、装薬孔内の袋状収容体に対する押圧力を調整できるとともに、繰り返しの使用が可能である。
(5) 挿入工程で袋状収容体を装薬孔の奥部まで挿入した後、ガイド部材に設けられた挿通孔から圧力流体を吹き出して袋状収容体を膨張させ装薬孔の内壁面に沿わせるようになっている。このため、爆薬を装薬孔の全体に確実に収容でき、爆薬のブロッキング防止を図ることができる。
(6) 充填工程において、装薬孔の奥部まで挿入された袋状収容体内に爆薬を充填しつつ、ガイド部材を袋状収容体内から抜き出すことにより、袋状収容体内における爆薬のブロッキングをより効果的に防止できる。
(7) 砂、粘土等のタンピング材料を、タンピング装置により爆薬面から装薬孔の孔口まで押圧して装填することにより、爆薬を装薬孔内に自動的に填塞することが可能である。
【0032】
【実施例】
次に、この発明を具体化した実施例について具体的に説明する。なお、各実施例において、爆薬を装薬孔に装填する方法は、明り発破でも、あるいは鉱山や土木トンネルなどの坑内発破でも適用可能である。通常、明り発破では、バルク状爆薬の自重を利用した装薬方法、すなわち管状体として爆薬装填用のホースを用いた装薬方法が実施される。一方、坑内発破では、管状体を用いた装薬方法が一般に実施されるが、それらは必然的なものではない。
(実施例1)
この発明を具体化した実施例1について、図1〜4に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、包装装置11は、樹脂フィルム12を軸芯13に巻回した支持具14と、支持具14から引き出される樹脂フィルム12をガイド部材としての管状体15の外周に配置して袋状収容体16を形成するための包装機17とを備えている。樹脂フィルム12としては、ポリエチレン/ナイロン/ポリエチレンの3層フィルムが使用される。図2に示すように、包装機17においては、樹脂フィルム12を管状体15の外周に案内する支持ローラ18と、樹脂フィルム12をヒートシールするためのヒータ19が設けられている。
【0034】
そして、支持具14の軸芯13に巻回された樹脂フィルム12が支持ローラ18を介して管状体15の外周に案内され、樹脂フィルム12が管状体15の外周を覆うようにして管状体15の移動とともに移動する。このとき、ヒータ19により樹脂フィルム12の先端縁と側縁の合わせ部20がヒートシールされ袋状に形成される。袋状収容体16の直径は後述する装薬孔21の直径よりも若干大きめに設定される。なお、先端部における余分の樹脂フィルム12は、図示しない切断装置により切断される。
【0035】
管状体15の送出機22は包装機17の隣接位置に配置され、一対の案内ローラ23間に管状体15を通すことにより、管状体15を往復動させ、包装機17に対して送り出す。この管状体15は地盤24に横方向に延びるように穿設された装薬孔21に進退可能に移動される。
【0036】
エアコンプレッサを有する送風装置25はフレキシブルチューブ25aにより管状体15の端部に接続され、装薬孔21に挿入された管状体15の挿通孔26を介して圧縮空気を袋状収容体16内に供給する。
【0037】
爆薬27を収納する収納容器としてのホッパー28は、下部の供給量制御装置29と接続管30を介して包装機17に接続されている。このホッパー28には、バルク状の爆薬27、例えばバルク状の硝安油剤爆薬(ANFO)が充填されている。
【0038】
送風機31は供給量制御装置29に接続され、圧縮空気を供給量制御装置29に送って爆薬27を接続管30から包装機17に供給する。図3(a)に示すように、供給量制御装置29においては、筒状部32内に回転体33が回転可能に支持され、回転体33内には一定量の爆薬27を収容する収容空間34が形成されている。そして、送風機31から供給された圧縮空気は回転体33の収容空間34を通って接続管30に流れるようになっている。
【0039】
回転体33が90度回転すると、図3(b)に示すように、ホッパー31から爆薬27が回転体33の収容空間34に一定量だけ収容される。さらに、回転体33が90度回転すると、収容空間34に収容された爆薬27が送風機31からの空気により接続管30へと移動される。前記ホッパー28、供給量制御装置29、送風機31などにより、爆薬27の充填装置が構成されている。
【0040】
さて、図1に示すように、支持具14の軸芯13に巻回された樹脂フィルム12は支持ローラ18を介して包装機17に供給されるとともに、管状体15は送出機22の一対の案内ローラ23により包装機17に供給される。包装機17では、樹脂フィルム12が管状体15の外周に被覆されて袋状収容体16となり、管状体15とともに、装薬孔21内に挿入される。そして、管状体15が装薬孔21の孔底にまで到達すると管状体15の移動が自動的に停止する。その後、送風装置25によりフレキシブルチューブ25aを介して、管状体15の挿通孔26から圧縮空気が吹き出され、袋状収容体16が膨張する。
【0041】
次に、図4に示すように、管状体15が装薬孔21内から徐々に引き抜かれる。管状体15の引き抜き完了後、送風機31からの圧縮空気によりホッパー28から回転体33の収容空間34に収容された爆薬27が接続管30に送出される。この爆薬27は、送風機31から吹き出される圧縮空気により装薬孔21の孔底に向けて吹き付けられる。そして、爆薬27が装薬孔21内に密に装填される。予め設定された装薬量を装薬孔21内に装填したところで、供給量制御装置29により送風機31が停止し、装薬が完了する。
(実施例2)
次に、この発明を具体化した実施例2について、図5に基づいて説明する。なお、この実施例2では、主に実施例1と異なる部分について説明する。
【0042】
図5に示すように、装薬孔21は地盤24に対して垂直方向に穿設されている。ガイド部材としてのフレキシブルな爆薬装填用ホース35は、保持具36に保持され、送出機22により包装機17に導入される。そのホース35は袋状収容体16内を通って装薬孔21内まで延びている。収納容器としての第2ホッパー37はホッパー28に併設され、それぞれ接続配管38を介してスクリュー形式の混和装置39に接続されている。
【0043】
この実施例2においては、ホッパー28に固体原料としてのプリル硝安が充填され、第2ホッパー37に液体原料としての燃料油が収容されている。なお、プリル硝安は、ANFOの主原料で、粒状多孔質硝安である。そして、各原料が接続配管38を介して混和装置39に供給されて混合され、爆薬組成物となる。エアコンプレッサ40は、混和装置39と保持具36間を連結する接続管30に接続され、圧縮空気を接続管30中に供給する。
【0044】
そして、爆薬組成物はエアコンプレッサ40からの圧縮空気によりホース35内を通って包袋機17に到る。さらに、爆薬組成物は袋状収容体16内に導入され、装薬孔21内に装填される。設定装薬量だけ爆薬組成物が装填されたところで供給が停止される。このとき、袋状収容体16は爆薬組成物の重量と空気の圧力により膨張される。その後、ホース35が装薬孔21から爆薬組成物の供給に応じて徐々に抜き出される。
【0045】
包袋の膨張が不十分な場合、空気の圧力で膨張を補いながら爆薬を装填する。すなわち、袋状収容体16が装薬孔21に挿入された後、エアコンプレッサ40により装填用ホース35の先端から圧縮空気が噴出される。装薬孔21内の袋状収容体16が孔底部分から膨らんでいくに従い、装填用ホース35も徐々に引き抜かれる。
【0046】
この実施例2によれば、爆薬装填用ホース35がフレキシブルであることから、装薬孔21内への挿入や抜き出しの際の長さ調整を容易に行うことができる。(実施例3)
次に、この発明を具体化した実施例3について、図6に基づいて説明する。なお、この実施例3では、主に実施例2と異なる部分について説明する。
【0047】
図6に示すように、タンピング送出機41は連結管42により包装機17に連結されている。タンピング材収容器43は接続管44によりタンピング送出機41に接続され、タンピング材収容器43に収容された砂、粘土などのタンピング材をタンピング送出機41に送出する。接続管30は包装機17に直接接続され、爆薬組成物がこの接続管30を介して包装機17に導入される。
【0048】
ガイド部材としての装填棒45は垂直方向に配置され、送出機22及びタンピング送出機41を通って連結管42内に挿通され、さらに包装機17を通って装薬孔21内の袋状収容体16に挿入される。そして、装填棒45が送出機22の案内ローラ23の作動により袋状収容体16及び連結管42から抜き出された後、爆薬組成物が接続管30、包装機17を通って袋状収容体16内に送出される。その後、タンピング材収容器43内のタンピング材が接続管44を介してタンピング送出機41に送られ、そのタンピング送出機41から連結管42、包装機17を通って袋状収容体16内に送出される。
【0049】
次いで、装填棒45を送出機22の案内ローラ23により、タンピング送出機41、連結管42及び包装機17を介して袋状収容体16内に挿入し、爆薬組成物とタンピング材が圧填される。
【0050】
この実施例3によれば、袋状収容体16内の開口側に爆薬組成物に続いてタンピング材を連続的に充填できることから、作業を効率的に行うことができるとともに、袋状収容体16内の先端側、すなわち装薬孔21の孔底に爆薬を確実に装填できる。
(実施例4)
次に、この発明を具体化した実施例4について、図7に基づいて説明する。なお、この実施例4では、主に前記実施例2と異なる部分について説明する。
【0051】
図7に示すように、ホッパー28、第2ホッパー37、混和装置39、保持具36、エアコンプレッサ40、送出機22、包装機17などはトラック46の荷台47上に搭載され、移動可能になっている。制御装置48は荷台47の前端部に配置され、爆薬の供給速度が設定されると、前記実施例2で述べた一連の装薬作業が自動的に制御されるようになっている。
【0052】
この実施例4によれば、各機器がトラック46の荷台47上に搭載されているため、装薬作業が必要とされる場所に容易に移動できるとともに、制御装置48により装薬作業を自動的に行うことができる。
(実施例5)
次に、この発明を具体化した実施例5について、図8に基づいて説明する。なお、この実施例5では、主に上記実施例4と異なる部分について説明する。
【0053】
図8に示すように、断面L字状をなす移動架台49は荷台47上に支持された油圧又は空気圧によるシリンダ50により上下左右に移動可能になっている。包装機17、送出機22などはこの移動架台49上に支持されている。第2ホッパー37と混和装置39は省略されている。
【0054】
従って、この実施例5によれば、包装機17、送出機22などが上下左右に移動可能な移動架台49上に支持されていることから、装薬孔21に対するホース35や袋状収容体16の位置設定が容易である。
【0055】
なお、この発明は次のように形態を変更して具体化することも可能である。
(a) 圧力流体として、窒素などの不活性ガスを用い、爆薬27の取扱いを容易にするとともに、着火を防止すること。
(b) 袋状収容体16を膨張させる手段として、爆薬27を袋状収容体16内に供給するときの吐出圧を利用すること。このようにすれば、予め袋状収容体16を膨張させる操作が不要となる。
(c) 装薬孔21を所定の角度をもって斜め下方へ延びるように形成すること。
(d) 実施例1において、爆薬としてエマルション爆薬とプリル硝安との混合物を用いる場合、供給量制御装置29と送風機31に代えてスクリュー式のポンプを使用すること。
【0056】
このように構成すれば、エマルション爆薬とプリル硝安との混合物を袋状収容体16内に円滑に供給することができる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記爆薬の充填装置は、袋状収容体内に収容した爆薬上に装填されるタンピング材を圧縮充填するためのタンピング装置を備えた請求項3に記載の爆薬の装填装置。
【0057】
このように構成した場合、装薬孔内への爆薬の填塞効果を高めることができるとともに、その操作を自動的に行うことができる。
(2) 前記充填工程において、装薬孔の奥部まで挿入された袋状収容体内に爆薬を充填しながら、ガイド部材を袋状収容体内から抜き出す請求項1又は2に記載の爆薬の装填方法。
【0058】
このように構成した場合、袋状収容体内における爆薬のブロッキングをより効果的に防止することができる。
(3) 前記袋状収容体、ガイド部材及び充填装置を車両に搭載した請求項3に記載の爆薬の装填装置。
【0059】
このように構成すれば、装填装置などの各装置を一体にして装薬孔まで容易に移動させることができる。
(4) 前記袋状収容体及びガイド部材を、伸縮可能なシリンダで支持された移動架台上に支持した上記(3)に記載の爆薬の装填装置。
【0060】
このように構成した場合、袋状収容体及びガイド部材をシリンダの伸縮動作により装薬孔に容易に対向させることができる。
(5) 前記袋状収容体は樹脂フィルムを管状体の外周に配置して筒状に形成し、その先端縁と側縁とをヒートシールしたものである請求項1又は2に記載の爆薬の装填方法。
【0061】
このように構成すれば、所定の径と長さを有する袋状収容体を装薬孔に対応させて現場で容易に製作することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような優れた効果を奏する。
第1の発明の爆薬の装填方法又は第3の発明の爆薬の装填装置によれば、爆薬は袋状収容体内に収容されるため、水が存在する装薬孔においても爆薬が直接吸水して不爆が生じるおそれを防止できる。また、袋状収容体はガイド部材により装薬孔の奥部まで挿入されるとともに、爆薬の流出を止めるため、孔荒れした装薬孔において計画外の箇所に爆薬が装填されるおそれを防止でき、適正薬量での密な装填が可能となる。しかも、袋状収容体はガイド部材により拡げられ、そこへ爆薬が装填されるため、装薬孔内の途中で爆薬がブロッキングを生じるおそれを抑制できる。さらに、所定の径と長さを有する袋状収容体を装薬孔に対応させて現場で容易に製作することができる。
【0063】
第2の発明の爆薬の装填方法によれば、ガイド部材に設けられた挿通孔から圧力流体を吹き出して袋状収容体を膨張させ装薬孔の内壁面に沿わせるようになっているため、爆薬を装薬孔の全体に確実に収容でき、爆薬のブロッキング防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化した実施例1の爆薬装填装置を示す説明図。
【図2】 包装装置を示す概略正面図。
【図3】 (a)及び(b)は爆薬の供給量制御装置を示す断面図。
【図4】 実施例1における装薬孔に爆薬を装填する作用を示す作用図。
【図5】 実施例2における爆薬の装填装置を示す説明図。
【図6】 実施例3における爆薬の装填装置を示す説明図。
【図7】 実施例4における爆薬の装填装置を示す説明図。
【図8】 実施例5における爆薬の装填装置を示す説明図。
【符号の説明】
15…ガイド部材としての管状体、16…袋状収容体、21…装薬孔、26…挿通孔、27…爆薬、28…充填装置を構成するホッパー、29…充填装置を構成する供給量制御装置、31…充填装置を構成する送風機、35…ガイド部材としての爆薬装填用ホース、45…ガイド部材としての装填棒。
Claims (3)
- バルク状の爆薬を収容するための袋状収容体を、その袋状収容体内に挿入した進退可能なホース又は管状体で構成されるガイド部材により所定の装薬孔の奥部まで挿入する挿入工程と、
装薬孔の奥部まで挿入された袋状収容体内にガイド部材に設けられた挿通孔を介して爆薬を充填しつつ、ガイド部材を袋状収容体内から抜き出す充填工程と
よりなり、前記袋状収容体は包装装置により現場で装薬孔に対応させてフィルム状の包装材料を筒状にし、合わせ部をヒートシールしたものである爆薬の装填方法。 - 前記挿入工程で袋状収容体を装薬孔の奥部まで挿入した後、挿通孔から圧力流体を吹き出して袋状収容体を膨張させ装薬孔の内壁面に沿わせるようにした請求項1に記載の爆薬の装填方法。
- バルク状の爆薬を収容するための袋状収容体と、
その袋状収容体内に挿入され、袋状収容体を所定の装薬孔の奥部まで挿入するための進退可能なホース又は管状体で構成されるガイド部材と、装薬孔の奥部まで挿入された袋状収容体内にガイド部材に設けられた挿通孔を介して爆薬を充填しつつ、ガイド部材を袋状収容体内から抜き出すための充填装置とを備え、前記袋状収容体は包装装置により現場で装薬孔に対応させてフィルム状の包装材料を筒状にし、合わせ部をヒートシールしたものである爆薬の装填装置。
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