JP3932397B2 - 薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形とキュボソーム粒子粉末剤形及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
〔技術分野〕
本発明は、各種物質を可溶化する新規薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形および粉末剤形、並びに前記組成物および剤形の製造方法に係り、より詳しくは、1種以上のモノグリセリド(monoglyceride)系化合物9〜90重量%、1種以上の乳化剤0.01〜90重量%および有機溶媒0〜90.9重量%からなる(薬物を可溶化するための)キュボソーム粒子製造用液状剤形に関する。
【0002】
〔背景技術〕
物質の可溶化は、様々な分野に応用することができる。化学工程においては、触媒、反応物、中間体などが難溶性物質である場合、これらの可溶化が反応の収率および進行方向を決定することもある。また、生理効果に優れた多くの薬物が難溶性物質であるため、生体内効能は高い反面、低い溶解度によって生体利用率が低い短所がある。これらの薬物の可溶化は、薬物の投与経路を簡便にし、薬効を高めるので、難溶性薬物を製品化するためには、薬物の可溶化技術が必須的であり、世界各国の製薬会社および研究チームは各種薬物の可溶化研究を行っている。
【0003】
たとえば、サイクロスポリン(Cyclosporin)やパクリタキセル(taxol; paclitaxel)は代表的な難溶性薬物であって、低い溶解度のため単独投与が難しいので、開発段階から可溶化技術の開発が同時に行われた。サイクロスポリンとパクリタキセルはクレモフォール(Cremophor)エマルジョンの予備濃縮剤(pre−concentrate)として市販されており、これらの薬物は水に分散すると自然にマイクロエマルジョン(microemulsion)を形成することができる(米国特許第5,438,072号)。
【0004】
一般的に、可溶化用剤形(可溶化製剤)としては、脂質を媒質とするエマルジョンやリポソーム(liposome)、高分子を媒質とする高分子微粒球(polymeric nanoparticle)または高分子ミセル(polymeric micelle) などが知られている(Langer,R,Nature,392,5−10,1998)。
【0005】
これらのうち、脂質を媒質とする可溶化剤形は、原料物質が生体適合性であるため、特にドラッグデリバリーシステムを含む医薬分野に広範囲に活用できる。特に、エマルジョンは、乳化剤を用いて油剤基剤を水に分散した剤形であって、水中油滴型エマルジョン(oil−in−water type emulsions)は、難溶性薬物を油剤基剤に溶解して可溶化することができる。また、リポソーム剤形は、脂質2重膜からなる球形の脂質小嚢(vesicle)からなり、難溶性薬物は脂質2重膜小嚢中に存在し、これらの脂質2重膜小嚢が水に溶解して難溶性薬物の可溶化が行われる。
【0006】
一方、脂質を用いた剤形には前記2つの代表的な剤形の他にも、1990年代初スウェーデン科学者らによって初めて開発されたキュボソーム(Cubosome)という剤形がある。キュボソーム剤形は、モノグリセリド(monoglyceride)に水を加えると自然に形成する安定な立方相(cubic phase)構造体を乳化剤を用いて水に分散したものである(米国特許第5,531,925号)。
【0007】
キュボソーム粒子の内部は、立方相をなす3次元的網目構造(network structure)からなり、油相と水相が各々連続的な3次元的通路で構成されており、油相と水相通路の境界面に比較的広い面積の中間層(interface)が存在する。したがって、既存のエマルジョン剤形やリポソーム剤形は各々脂溶性または水溶性薬物の可溶化だけ可能であったのに対し、キュボソーム剤形は脂溶性、水溶性薬物だけでなく、両親媒性薬物まで可溶化することができるという利点がある。
【0008】
キュボソームは、まず、モノグリセリドに水と乳化剤を加えて立方相の粘性が強い液相を形成させ、これを水に分散して製造するが、水に分散する際に、キュボソームは数μm程度の平均粒子径を有し、乳化剤の比率が高い場合は、1μm以下の粒子径を有し得る。薬物の可溶化のためには、さらに微細なキュボソーム粒子を得なければならないので、 微細流動化(microfluidization)などの方法を通じて立方相の粘性の強い液相を微細に分散させる。
【0009】
しかし、機械力を用いた方法で微細なキュボソーム粒子を製造する場合、その過程に伴う高エネルギーおよび高温によって剤形の構成成分や封入された物質が物理化学的に不安定になり、微細流動化の際、空気と激烈に混じるため、構成成分の加水分解、酸化などが起り得る。さらに、微細流動化によってキュボソーム分散液を製造しても長期保存後分散系が不安定となり、したがって、粒子の凝集(aggregation)によって相分離が起こり得るという問題がある。このように、キュボソーム剤形は、従来の剤形に比べて向上した特性を有しているものの、熱的に安定に薬物をカプセル化できないという問題がある。したがって、良好なドラッグデリバリーシステムを提供するために、剤形の物理化学的な安定性を改善することが要求されている。
【0010】
〔発明の開示〕
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究した結果、モノグリセリド類および乳化剤を有機溶媒からなる均一な液状剤形を製造するのに成功した。この液状剤形は、激しい物理力を使用することなく、水に容易に分散して500nm未満の粒子分散度として形成する。この均一液状剤形は、単一相液体であるため、物理的に安定で、水が含まれておらず、剤形の製造過程中物理力を必要としないため化学的にも安定である。このように、本発明の液状剤形は、長期間保存可能であることを見出した。
【0011】
したがって、本発明の目的は、物質を安定に可溶化でき、安定に長期保存できる新規なキュボソーム粒子製造用液状剤形およびそれらの製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、前記キュボソーム粒子製造用組成物の液状剤形および粉末剤形、並びにそれらの製造方法を提供することである。なお、本発明のまた他の目的は、前記剤形をドラッグデリバリーシステムに用いるための、前記キュボソーム粒子製造液状剤形に薬物が添加された新たなキュボソーム粒子製造用液状剤形および粉末剤形、並びにそれらの製造方法を提供することである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の発明による薬物を含むキュボソーム粒子は、抗ウイルス剤、ステロイド系消炎剤、非ステロイド系消炎剤、抗生剤、抗真菌剤、ビタミン、ホルモン、レチノイン酸、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、抗癌剤、抗代謝剤、縮瞳剤、コリン作動性薬物、アドレナリン拮抗剤、抗痙攣剤、抗不安剤、メジャートランキライザー、抗鬱剤、麻酔剤、鎮痛剤、タンパク同化ステロイド、エストロゲン、プロゲステロン、グリコサミノグリカン、ポリヌクレオチド、免疫抑制剤、及び免疫促進剤、を含む群から選ばれる1種以上の薬物0.001〜50%(但し、%は組成物全量に対する重量%を表す。以下同じ)と、モノオレイン、モノパルミトレイン、モノミリストレイン、モノエライジン、及びモノエルシン、の中から選択された1種以上のモノグリセリド系化合物9〜90%と、1種以上の乳化剤0.01〜90%と、エタノール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール、を含む群から選ばれる1種以上の有機溶媒9〜90.9%と、脂肪酸、脂肪酸エステル類、または脂肪酸アルコール類の中から選択された添加剤0〜5%と、からなることを特徴とする。
【0013】
上記有機溶媒は、エタノール、プロピレングリコール(propylene glycol)、及び、及びポリエチレングリコール、を含む群から選ばれる1種以上の有機溶媒を用いることが好ましい。
【0014】
第2の発明によれば、乳化剤としては、リン脂質、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤または胆汁酸(bile acid)を用いることが好ましい。
【0015】
前記リン脂質としては、ホスファチジルコリン(Phosphatidyl Choline)およびその誘導体、ホスファチジルエタノールアミン(Phosphatidyl ethanolamine)およびその誘導体、ホスファチジルセリン(Phosphatidyl serine)およびその誘導体、親水性高分子が結合された脂質(polymeric lipid)を含む。
【0016】
前記非イオン系界面活性剤としては、ポロクサマー(Poloxamer;Pluronic; ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体)、ソルビタンエステル(Sorbitan esters;Span)、ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyethylene sorbitans;Tween)、ポリオキシエチレンエーテル(polyoxy ehtylene ethers; Brij)を含む。
【0017】
陰イオン系界面活性剤としては、ホスファチジルセリンおよびその誘導体、ホスファチジン酸(Phosphatidic acid)およびその誘導体、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate;以下、「SDS」と略称する)などが用いられる。
【0018】
前記陽イオン系界面活性剤としては、1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(1,2−dioleyl−3−trimethylammonium propane;以下、「DOTAP」と略称する)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(dimethyldioctadecylammonium bromide;以下、「DDAB」と略称する)、N−[1−(1,2−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(N−[1−(1,2−dioleyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium chloride;以下、「DOTMA」と略称する)、1,2−ジオレイル−3−エチルホスホコリン(1,2−dioleyl−3−ethylphosphocholine;以下、「DOEPC」と略称する)または3β−[N−[(N’,N’−ジメチルアミノ)エタン]カルバモイル]コレステロール(3β−[N−[(N’,N’−dimethylamino)ethan]carbamoyl]chloresterol;以下、「DC−Chol」と略称する)を含む。
【0019】
前記胆汁酸としては、コール酸(cholic acid)とその塩および誘導体、デオキシコール酸(Deoxycholic acid)とその塩および誘導体、チェノコール酸(Chenocholic acid)とその塩および誘導体、ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid)とその塩および誘導体、リトコール酸(Lithocholic acid)とその塩および誘導体を含む。
【0020】
また、第4及び第4の発明によれば、上記薬物はパクリタキセル(paclitaxel)またはサイクロスポリンAであることが好ましい。
【0021】
また、第5の発明によれば、本発明は、上記薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形を製造する方法を提供する。本発明の液状剤形は、(段階1)1)モノオレイン、モノパルミトレイン、モノミリストレイン、モノエライジン、及びモノエルシン、の中から選択された1種以上のモノグリセリド系化合物9〜90%(但し、%は組成物全量に対する重量%を表す。以下同じ)と、2)1種以上の乳化剤0.01〜90%と、3)抗ウイルス剤、ステロイド系消炎剤、非ステロイド系消炎剤、抗生剤、抗真菌剤、ビタミン、ホルモン、レチノイン酸、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、抗癌剤、抗代謝剤、縮瞳剤、コリン作動性薬物、アドレナリン拮抗剤、抗痙攣剤、抗不安剤、メジャートランキライザー、抗鬱剤、麻酔剤、鎮痛剤、タンパク同化ステロイド、エストロゲン、プロゲステロン、グリコサミノグリカン、ポリヌクレオチド、免疫抑制剤、及び免疫促進剤、を含む群から選ばれる1種以上の薬物0.001〜50%と、4)添加剤0〜5%と、を有機溶媒に溶かした後に前記有機溶媒を取除く段階と、(段階2)前記段階1により得られた組成物を有機溶媒と混合して均一な液状剤形を製造する段階と、からなる。
【0022】
上記の段階1において、有機溶媒は特にエタノール、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、アセトニトリルを含む群から選ばれる1種以上の有機溶媒を使用することが好ましく、エタノールを使用することがさらに好ましい。また、上記段階2において、有機溶媒はエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、を含む群から選ばれる1種以上の有機溶媒を使用することが好ましい。
【0023】
上記液状剤形の製造方法を一例として説明すると、1種以上のモノグリセリド系化合物を1種以上の乳化剤とともにエタノールなどの有機溶媒に完全に溶かした後、エタノール を窒素雰囲気下、約40℃で加熱するか、減圧下で蒸発させる。この際、微量のエタノールが混合物に残ることもあるが、これは最終剤形の物性に影響を及ぼさなかった。粘性の液体、すなわち可溶化用組成物にさらにエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、などの溶媒を同量添加して均一な混合液状剤形を製造する。
【0024】
また、本発明は、上記のキュボソーム粒子を凍結乾燥して製造されるキュボソーム粒子製造用粉末剤形を提供する。この粉末剤形は、1種以上のモノグリセリド系化合物9〜90%、1種以上の乳化剤0.01〜90%および有機溶媒9〜90.9重量%からなる上記キュボソーム粒子製造用液状剤形を過量の水に分散した後に凍結乾燥して製造される。第6の発明によれば、具体的なキュボソーム粒子製造用粉末剤形の製造方法は、1)上記キュボソーム粒子製造用組成物の液状剤形を過量の水に分散する段階(段階1);および2)上記段階1の分散液を凍結乾燥する段階(段階2)からなる。
【0025】
第7の発明によれば、本発明は、請求項1に記載された薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形を水に分散した後、10%以下の凍結乾燥保護剤を加えた分散液を凍結乾燥して製造されたキュボソーム粒子粉末剤形を含む。
【0026】
第8の発明によれば、凍結乾燥の際には、剤形内成分の変性を防止するために凍結保護物質(cryoprotectant)を使用してもよく、上記キュボソーム粒子製造用液状剤形に対して30%(w/v)以下で添加することが好ましい。凍結保護物質としては、マンニトール(mannitol)、トレハロース(trehalose)、アルギニン(arginine)、アルブミン、の中から選択された1種以上を使用することが好ましい。
【0027】
また、本発明は、上述のキュボソーム粒子製造用液状剤形をドラッグデリバリーシステムに使用する用途を提供する。特に、薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形およびキュボソーム粒子粉末剤形、そしてこれらの剤形の製造方法を提供する。
【0028】
本発明による薬物を含むキュボソーム粒子は、1種以上のモノグリセリド系化合物9〜90重量%;1種以上の乳化剤0.01〜90重量%;薬物0.001〜50重量%;および有機溶媒9〜90重量%からなる。
【0029】
第9の発明によれば、本発明は、上述の難溶性物質を含むキュボソーム粒子製造液状剤形を凍結乾燥して製造される薬物を含む難溶性物質のキュボソーム粒子製造用粉末剤形を提供する。この薬物を含むキュボソーム粒子粉末剤形の製造方法は、1)請求項1に記載された薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形を過量の水に分散する段階(段階1);および2)前記段階1の分散液に選択的に凍結保護物質を添加して凍結乾燥する段階(段階2)からなる。
【0030】
凍結乾燥の際に剤形内成分の変性を防止するために凍結保護物質を使用してもよく、上述のキュボソーム粒子に対して30%(w/v)以下で添加することが好ましい。
【0031】
凍結保護物質としては、マンニトール、トレハロース、アルギニン、およびアルブミン、のようなタンパク質を使用することが好ましい。
【0032】
本発明に係る上述のキュボソーム粒子製造用粉末剤形は、簡単に手で振り混ぜると同程度の最小限の機械的助けによって容易に水に分散できる。
【0033】
キュボソーム粒子の分散系を形成する粒子の大きさは通常200〜500nm程度であり、乳化剤や薬物の物性に従って変化する。
【0034】
特に、粒子の形成時、過酷な機械的力を加える必要がないので、粒子の構成成分や薬物が変性することを防止できる。
【0035】
なお、本発明に係る各剤形は、剤形の特性の変化や相分離を起こすことなく、室温で密封して長期間安定に保管できる。
【0036】
特に、長期保管の場合、粉末剤形は有機溶媒および水分と接触しないため、さらに好ましい。
【0037】
また、本発明に係る各剤形は、含んでいる薬物に対して徐放型放出様相を示すので、特にドラッグデリバリーシステムに有用である(図1および図2参照)。
【0038】
特に、本発明に係る各剤形をドラッグデリバリーシステムに使用する場合は、静脈内注射、粘膜投与、口腔内投与、鼻腔内投与などが可能であり、経口投与が最も好ましい。
【0039】
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0040】
【実施例】
〔実施例1〕:乳化剤量を変えた液状剤形の製造1
(1)可溶化用組成物の製造
エタノール約1mlにモノオレイン100mgとプルロニックF−127を各々15、20、25、30、35、40mg添加して完全に溶解した。この溶液に窒素または熱を加えながら攪拌してエタノールを蒸発させた。この際、微量のエタノールが残っていても剤形の製造に影響を及ぼさなかった。
(2)液状剤形の製造
上記(1)の可溶化用組成物にエタノールを最終濃度が約50w/w%となるように、各組成当たり各々115、120、125、130、135、140mgを加えた後、手で振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。
(3)液状剤形の特性分析
蒸留水3mlに上記(2)で得られた液状剤形2μlを加えた後、マルバーン社製ゼータサイザー(Malvern Zetasizer)を用いてエマルジョンの粒子径を測定した。同一の試料を3回測定して平均平均値および分散度を測定した(Orr, Encyclopedia of emulsion technology, 1, 369−404, 1985)。下記のすべての実施例において粒子径および分散度の測定に上記方法を用いた。
【0041】
上記の剤形は水によく分散され、平均粒子径は250nm程度であった。一方、対照群として実施例1の(1):段階1と同様の方法で製造された可溶化用組成物の各々に有機溶媒の代わりに過量の蒸留水を加えた。その結果、粘性が強いゲルが形成され、偏光顕微鏡の下で等方性(isotropic)構造を有することを確認した。また、この場合は、剤形が水に分散されないため、粒子径の測定が不可能であった。
【0042】
〔実施例2〕乳化剤量を変えた液状剤形の製造2
実施例1の(1)と同様の方法で製造された可溶化用組成物にPEG400を最終濃度が約50w/w%になるように実施例1の(1)の各組成当たり各々115、120、125、130、135、140mgを加えたことを除いては、実施例1と同様の方法で液状剤形および分散液を製造し、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、粒子径は約250nmであった。
【0043】
〔実施例3〕乳化剤量を変えた液状剤形の製造3
実施例1の(1)と同様の方法で製造された可溶化用組成物にプロピレングリコールを最終濃度が約70w/w%になるように実施例1の(1)の各組成当たり269、280、292、303mgを加えたことを除いては、実施例1と同様の方法で液状剤形および分散液を製造し、粒子径および分散度を測定した。
この結果、上記剤形は水によく分散され、粒子径は350nmであった。
実施例1〜3の結果を下記表1に示す。
【0044】
【表1】
結果として、液状剤形の製造時、有機溶媒を添加しなかった場合、剤形が水に分散されず、本発明に係る剤形は400nm以下の小さい粒子径に容易に分散され得ることが確認された。
【0045】
〔実施例4〕溶媒量を変えた液状剤形の製造1
(1)可溶化用組成物の製造
エタノール約0.1mlにモノオレイン10mgとプルロニックF−127 1.5mgを加えて完全に溶解した。この溶液に窒素または熱を加えながら攪拌してエタノールを蒸発させた。この際、微量のエタノールが残っていても剤形の製造に影響を及ぼさなかった。
(2)液状剤形の製造
上記可溶化用組成物11.5mgにエタノールを最終濃度が約50%(w/w)になるように各々6.25、9.5、14.5、22.0、34.0、57.5、129.5μlずつ加えた後、エタノールの振るか放置して内容物を完全に溶解した。製造された液状剤形2μlを蒸留水3mlに加えた後、よく振って分散し、粒子径および分散度を測定した。
【0046】
エタノールを6.25μl、9.5μlを加えて液状剤形を製造した場合は、剤形が水によく分散されなかったが、エタノール9.5μ以上を加えた場合はよく分散され、粒子径は250nm程度であった。一方、対照群として、実施例4の(1)と同様の方法で製造された可溶化組成物にエタノールの代わりに過量の蒸留水を加えた。その結果、粘性の強いゲルが形成され、偏光顕微鏡の下で等方性構造を有することを確認した。この場合は、剤形が水に分散されなかったため粒子径測定が不可能であった。
【0047】
〔実施例5〕溶媒添加量を変えた液状剤形の製造2
実施例4の(1)と同様の方法で製造された可溶化用組成物11.5mgにPEG400(ポリエチレングリコール400)を各々14.5、22.0、34.0、57.5、129.5μlずつ加えたことを除いては、実施例4と同様の方法で液状剤形を製造し、水に分散して粒子径および分散度を測定した。この剤形は水によく分散され、粒子径は約300nmであった。
【0048】
〔実施例6〕溶媒添加量を変えた液状剤形の製造3
実施例4の(1)と同様の方法で製造された可溶化用組成物11.5mgにプロピレングリコールを各々14.5、22.0、34.0、57.5、129.5μlずつ加えたことを除いては、実施例4と同様の方法によって液状剤形を製造し、水に分散して粒子径および分散度を測定した。
プロピレングリコールを14.5μl、22.0μl加えて液状剤形を製造した場合は、剤形が水によく分散されなかったが、それ以上を加えた場合は水によく分散され、粒子径は約300nmであった。実施例4〜6の結果をまとめて下記表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
〔実施例7〕乳化剤量を変えた液状剤形の製造4(1)可溶化用組成物の製造
エタノール約1mlにモノオレイン100mgと乳化剤としてPEG2000PEを各々15、20、25、30、35、40mgを添加して完全に溶解した。この溶液に窒素または熱を加えながら攪拌してエタノールを蒸発させた。この際、微量のエタノールが残っていても剤形の製造に影響を及ぼさなかった。
(2)液状剤形の製造および特性分析
上記段階(1)の可溶化用組成物にエタノールを最終濃度が約50%(w/w)になるように各々115、120、125、130、135、140mgを加えた後、振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに加えた後、よく振って分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、20mg以下のPEG2000PEを添加した場合はよく分散されなかったが、PEG2000PEをそれ以上添加した場合はよく分散され、粒子径は約350nmであった。一方、対照群として上記段階(1)で製造された可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、よく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果、等方性構造を有することを確認した。
【0051】
〔実施例8〕乳化剤量を変えた液状剤形の製造5
有機溶媒として、エタノールの代わりにPEG400を用いたことを除いては、実施例7と同様の方法で液状剤形を製造し、分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。PEG400を15mg以下添加した場合はよく分散されなかったが、それ以上添加した場合はよく分散され、粒子径は約400nmであった。
【0052】
〔実施例9〕乳化剤量を変えた液状剤形の製造6
有機溶媒として、エタノールの代わりにプロピレングリコールを各々269、280、292、303、315、327mg用いたことを除いては、上記実施例7と同様の方法で液状剤形を製造し、分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この場合はプロピレングリコールの添加量に係らず液状剤形はよく分散され、粒子径は約350nmであった。実施例7〜9の結果をまとめて下記表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
〔実施例10〕乳化剤を変えた液状剤形の製造1
モノオレイン100mgとプルロニックF−68 20mgをエタノール約1mlに添加して完全に溶解した後、実施例1と同様の方法でエタノールを取除いて可溶化用組成物を製造した。この可溶化用組成物にエタノール120mgを加えて実施例1と同様の方法で液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造し、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は287.3nm、分散度は0.273であった。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、水によく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。
【0055】
〔実施例11〕乳化剤を変えた液状剤形の製造2
モノオレイン100mgとプルロニックF−68 20mgをエタノール約1mlに添加して完全に溶解した後、実施例1と同様の方法でエタノールを取除いて可溶化用組成物を製造した。この可溶化用組成物にプロピレングリコール120mgを加えて実施例1と同様の方法で液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造し、粒子径および分散度を測定した。この場合、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は265.0nm、分散度は0.259であった。
【0056】
〔実施例12〕乳化剤を変えた液状剤形の製造3
プルロニックF−68の代わりにDNPC(Dinonanoylphosphatidylcholine)15mgを用いたことを除いては実施例10と同様の方法で可溶化用組成物を製造し、この可溶化用組成物にエタノールを添加して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造し、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は505.0nm、分散度は0.422であった。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、水によく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。
【0057】
〔実施例13〕乳化剤を変えた液状剤形の製造4
プルロニックF−68の代わりにTween20 20mgを用いたことを除いては実施例10と同様の方法で可溶化用組成物を製造し、この可溶化用組成物にエタノールを添加して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造し、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は264.5nm、分散度は0.476であった。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、水によく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。
【0058】
〔実施例14〕乳化剤を変えた液状剤形の製造5
プルロニックF−68の代わりにTween80 20mgを用いたことを除いては実施例10と同様の方法で可溶化用組成物を製造し、この可溶化用組成物にエタノールを添加して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は234.0nm、分散度は0.305であった。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、水によく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。
【0059】
〔実施例15〕乳化剤を変えた液状剤形の製造6
プルロニックF−68の代わりにクレモフォールEL(cremophor EL)20mgを用いたことを除いては実施例10と同様の方法で可溶化用組成物を製造し、この可溶化用組成物にエタノールを添加して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は218.4nm、分散度は0.330であった。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、水によく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。
【0060】
〔実施例16〕乳化剤を変えた液状剤形の製造7
プルロニックF−68の代わりにDOTAP(Dioleyltrimethylammonium−propane)20mgを用いたことを除いては実施例10と同様の方法で可溶化用組成物を製造し、この可溶化用組成物にエタノールを添加して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は397.1nm、分散度は0.439であった。
一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、水によく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。上記実施例10〜16の結果をまとめて下記表4に示す。
【0061】
【表4】
註)*使用した乳化剤の種類にかかわらず、比較例(可溶化用組成物を有機溶媒の使用なしに直接水に分散した場合)はすべて水に分散されなかった。
【0062】
〔実施例17〕乳化剤の複合使用による液状剤形の製造1
(1)可溶化用組成物の製造
モノオレイン65mg、乳化剤である卵ホスファチジルコリン(lecithine, PC)35mgおよびプルロニックF−127 10mgをエタノール約1mlに加えて完全に溶解した。この混合物を手で振るか放置して完全に溶解して液状剤形を製造した。この際、微量のエタノールが残っていても剤形の製造に影響を及ぼさなかった。
(2)液状剤形の製造および物性分析
上記段階(1)の可溶化用組成物にエタノール120mgを加えた後、手で振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに加えて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、粒子径は約351.6nm、分散度は0.505であった。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、偏光顕微鏡で観察した結果、等方性構造を有することを確認した。この場合、平均粒子径は2117.1nm、分散度は1.000であった。
【0063】
〔実施例18〕乳化剤の複合使用による液状剤形の製造2
モノオレイン100mg、乳化剤であるPEG2000PE 15mgおよびDMPC 15mgをエタノール約1mlに加えて実施例17と同様の方法で可溶化組成物を製造した。この可溶化組成物にエタノール120mgを加えて手で振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は486.7nm、分散度は0.190であった。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、水によく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。
【0064】
〔実施例19〕乳化剤の複合使用による液状剤形の製造3
モノオレイン100mg、乳化剤であるプルロニックF−127 15mgおよびTween20 15mgをエタノール約1mlに加えて実施例17と同様の方法で可溶化用組成物を製造した。この可溶化組成物にエタノール120mgを加えて振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は275.8nm、分散度は0.223であった。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、水によく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。上記実施例17〜19の結果をまとめて下記表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
〔実施例20〕非水溶性化合物を含む液状剤形の製造
モノオレイン10mg、プルロニックF−127 2mgおよびオレイルアルコール(oleyl alcohol)0.2mgをエタノール約0.1mlに加えて完全に溶解した後、実施例1の(1)と同様の方法で可溶化用組成物3つを製造した。これに、各々エタノール、プロピレングリコール、PEG400を13mgずつ加えた後、振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、粒子径および分散度の測定結果を下記表6に示す。一方、対照群として上記可溶化用組成物に過量の蒸留水を添加した。この場合、粘性の強いゲルが形成され、よく分散されず、偏光顕微鏡で観察した結果等方性構造を有することを確認した。
【0067】
【表6】
【0068】
〔実施例21〕薬物を含む液状剤形の製造1
ブロモクレゾールグリーン(bromocresol green)0.5mgをモノオレイン100mgおよびプルロニックF−127 20mgとともにエタノール約1.4mlに添加して溶解した後、実施例1の(1)と同様の方法で可溶化組成物を製造した。これにエタノール130mgを添加した後、振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は283.1nm、分散度は0.583であった。
【0069】
〔実施例22〕薬物を含む液状剤形の製造2
リファンピシン(rifampicin)0.5mgをモノオレイン100mg、プルロニックF−127 20mgとともにエタノール約1.4mlに添加して溶解した後、実施例1の(1)と同様の方法で可溶化組成物を製造した。これにエタノール130mgを添加した後、振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は321.3nm、分散度は0.367であった。
【0070】
〔実施例23〕薬物を含む液状剤形の製造3
ブピバカイン(bupivacaine)2mgをモノオレイン100mg、プルロニックF−127 20mgとともにエタノール約1.4mlに添加して溶解した後、実施例1の(1)と同様の方法で可溶化用組成物を製造した。これにエタノール130mgを添加した後、振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は317.6nm、分散度は0.563であった。
【0071】
〔実施例24〕薬物を含む液状剤形の製造4
パクリタキセル(paclitaxel)1mgをモノオレイン100mg、プルロニックF−127 20mgとともにエタノール約1.4mlに添加して溶解した後、実施例1の(1)と同様の方法で可溶化用組成物を製造した。これにエタノール130mgを添加した後、振るか放置する方法で内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。この液状剤形2μlを蒸留水3mlに入れて分散液を製造した後、粒子径および分散度を測定した。この結果、上記剤形は水によく分散され、平均粒子径は196.6nm、分散度は0.329であった。上記実施例21〜24の結果をまとめて下記表7に示す。
【0072】
【表7】
表7から分かるように、薬物の種類にかかわらず、すべて粒子径が350nm以下であり、本発明に係る難溶性薬物の可溶化が非常に優れていることを確認した。
【0073】
〔実施例25〕凍結乾燥粉末剤形の製造1
実施例10と同様の方法で製造された液状剤形0.1mlを5%トレハロース水溶液1mlに添加し、手で振って分散した後、凍結乾燥して粉末(powder)剤形を製造した。この粉末剤形約3mgを各々蒸留水3mlに再分散して分散液を製造した後、実施例1と同様の方法で粒子径および分散度を測定した。その結果、平均粒子径は388.0nm、分散度は0.386であった。
【0074】
〔実施例26〕凍結乾燥粉末剤形の製造2
実施例11と同様の方法で製造された液状剤形0.1mlを5%トレハロース水溶液1mlに添加し、手で振って分散した後、凍結乾燥して粉末(powder)剤形を製造した。この粉末剤形約3mgを各々蒸留水3mlに再分散して分散液を製造した後、実施例1と同様の方法で粒子径および分散度を測定した。その結果、平均粒子径は395.6nm、分散度は0.666であった。実施例25〜26の結果をまとめて下記表8に示す。
【0075】
【表8】
表8から分かるように、液状剤形を凍結乾燥して製造した粉末剤形をさらに蒸留水に分散しても粒子径は依然として400nmと小さく、したがって、本発明に係る粉末剤形は分散性に優れていることを確認した。
【0076】
〔実施例27〕薬物放出実験1
エタノール約1.4mlにモノオレイン140mg、プルロニックF−127 28mgおよびリファンピシン0.7mgを加えて完全に溶解した後、実施例1と同様の方法で可溶化用組成物を製造した。この可溶化用組成物にPEG400 180mgを加え、振るか放置して内容物を完全に溶解して液状剤形を製造した。上記液状剤形250μlを蒸留水1.75mlに加え、手で振って分散液を製造した後、透析膜バック(MWCO=3500、 Spectra/PorR、 Spectrum Medical Industries, Inc. Laguna Hills, CA. 米国)に入れ、両方をクロージャ(closure)で縛った後、リン酸緩衝溶液(Phosphate buffered saline, pH=7.4)10mlを含む50mlコニカルチューブに入れた。放出実験のために、コニカルチューブを振盪恒温槽(37℃)に置いた。一定時間間隔で透析膜バック外部のリン酸緩衝溶液を取り、放出された薬物を蛍光分光分析法で定量した(λex=370nm,λem=480nm)。対照群としてリファンピシン0.7mgを蒸留水2mlに溶解した水溶液を用いて放出実験を行った。その結果、対照群は5時間内に80%以上の薬物が放出されたのに対し、本発明に係る液状剤形は徐放型放出様相を示し、120時間以上持続的に徐々に薬物が放出された。
【0077】
〔実施例28〕薬物放出実験2
リファンピシンの代わりにブロモクレゾールグリーン0.7mgを用いたことを除いては、実験例1と同様の方法で液状剤形を製造して放出実験を行った。緩衝液として、溶出された薬物を617nmにおける吸光度を測定して定量した。対照群としては、ブロモクレゾールグリーン0.7mgのみを蒸留水2mlに溶解した水溶液を用いて放出実験を行った。その結果、対照群は5時間内に80%以上の薬物が放出された反面、本発明に係る液状剤形は徐放型放出様相を示した。実験例1および2の放出実験結果をまとめて下記表9に示す。
【0078】
【表9】
【0079】
〔実施例29〕保存期間による安定性実験1
実施例1に従って製造された液状剤形の安定性を本発明に係る液状剤形からなる粒子径および分散度を測定した。製造後すぐ水に分散し、また製造後120日間室温で保管した後、蒸留水に分散して粒子径および分散度を測定した。その結果を下記表10に示す。
【0080】
【表10】
表10から分かるように、本発明に係る剤形から製造された分散液は120日が経過した後にも依然として小さい粒子径と狭い分散度を示した。
【0081】
〔実施例30〕保存期間による安定性実験2
実験例1および実験例2と同様の方法で製造されたリファンピシンまたはブロモクレゾールを含む液状剤形を製造した。この液状剤形に対して製造直後、室温保管30日および120日経過後に蒸留水に分散して粒子径および分散度を測定した。その結果を下記表11に示す。
【0082】
【表11】
表11から分かるように、対照群の場合、製造直後には分散性に優れていたが、長期保管すると、分散液中の粒子径が著しく増加し、分散性が低下し、相分離現象が現れた。これに対し、本発明に係る液状剤形から製造された分散液を製造直後および製造後120日が経過した場合、小さい粒径および狭い分散度を保った。
【0083】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明に係る各剤形は、薬物を安定に可溶化させるだけでなく、水に分散したとき500nm以下の均質な粒子を形成する。また、本発明に係る各剤形は機械的力を加えなくとも容易に分散でき、長期保管時にも相分離、加水分解および酸化の問題を生じないので、ドラッグデリバリーシステムに非常に効果的に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リファンピシン(リファンピシン)を含有する液状剤形の薬物放出速度を示すグラフである(−○−;本発明の液状剤形、−●−;対照群)。
【図2】ブロモクレゾールグリーン(bromocresol green)を含有する液状剤形の薬物放出速度を示すグラフである(−○−;本発明の液状剤形、−●−;対照群)。
Claims (9)
- 1)抗ウイルス剤、ステロイド系消炎剤、非ステロイド系消炎剤、抗生剤、抗真菌剤、ビタミン、ホルモン、レチノイン酸、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、抗癌剤、抗代謝剤、縮瞳剤、コリン作動性薬物、アドレナリン拮抗剤、抗痙攣剤、抗不安剤、メジャートランキライザー、抗鬱剤、麻酔剤、鎮痛剤、タンパク同化ステロイド、エストロゲン、プロゲステロン、グリコサミノグリカン、ポリヌクレオチド、免疫抑制剤、及び免疫促進剤、を含む群から選ばれる1種以上の薬物0.001〜50%(但し、%は組成物全量に対する重量%を表す。以下同じ)と、
2)モノオレイン、モノパルミトレイン、モノミリストレイン、モノエライジン、及びモノエルシン、の中から選択された1種以上のモノグリセリド系化合物9〜90%と、
3)1種以上の乳化剤0.01〜90%と、
4)エタノール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール、を含む群から選ばれる1種以上の有機溶媒9〜90.9%と、
5)脂肪酸、脂肪酸エステル類、または脂肪酸アルコール類の中から選択された添加剤0〜5%と、
からなることを特徴とする薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形。 - 前記乳化剤が、
1)ホスファチジルコリンおよびその誘導体、ホスファチジルエタノールアミンおよびその誘導体、ホスファチジルセリンまたはその誘導体、及び親水性高分子が結合された脂質、を含むリン脂質と、
2)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンエーテル、及びそれらの混合物、を含む非イオン性界面活性剤と、
3)1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、N−[1−(1,2−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、1,2−ジオレイル−3−エチルホスホコリン、及び3β−[N−[(N‘,N’−ジメチルアミノ)エタン]カルバモイル]−コレステロール、を含む陽イオン系界面活性剤と、
4)コール酸とその塩および誘導体、デオキシコール酸とその塩および誘導体、チェノコール酸とその塩および誘導体、及びリトコール酸とその塩および誘導体、を含む胆汁酸と、
を含む群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形。 - 前記免疫抑制剤が、サイクロスポリンAであることを特徴とする請求項1記載の薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形。
- 前記抗癌剤が、パクリタキセルであることを特徴とする請求項1記載の薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形。
- (段階1)1)モノオレイン、モノパルミトレイン、モノミリストレイン、モノエライジン、及びモノエルシン、の中から選択された1種以上のモノグリセリド系化合物9〜90%(但し、%は組成物全量に対する重量%を表す。以下同じ)と、
2)1種以上の乳化剤0.01〜90%と、
3)抗ウイルス剤、ステロイド系消炎剤、非ステロイド系消炎剤、抗生剤、抗真菌剤、 ビタミン、ホルモン、レチノイン酸、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、抗癌剤、抗代謝剤、縮瞳剤、コリン作動性薬物、アドレナリン拮抗剤、抗痙攣剤、抗不安剤、メジャートランキライザー、抗鬱剤、麻酔剤、鎮痛剤、タンパク同化ステロイド、エストロゲン、プロゲステロン、グリコサミノグリカン、ポリヌクレオチド、免疫抑制剤、及び免疫促進剤、を含む群から選ばれる1種以上の薬物0.001〜50%と、
4)添加剤0〜5%と、
をエタノール、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、及びこれらの混合物、を含む群から選ばれる1種以上の有機溶媒に溶かした後に前記有機溶媒を取除く段階と、
(段階2)前記段階1により得られた組成物をエタノール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール、を含む群から選ばれる1種以上の有機溶媒と混合して均一な液状剤形を製造する段階と、
からなる薬物を含む事を特徴とするキュボソーム粒子製造用液状剤形の製造方法。 - 請求項1に記載された薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形を水に分散させた分散液を凍結乾燥して製造されたことを特徴とする薬物を含むキュボソーム粒子粉末剤形。
- 請求項1に記載された薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形を水に分散させた後、10%以下の凍結乾燥保護剤を加えた分散液を凍結乾燥して製造されたことを特徴とする請求項6記載の薬物を含むキュボソーム粒子粉末剤形。
- )
前記凍結乾燥保護剤がマンニトール、トレハロース、アルギニン、アルブミン、及びこれらの混合物、を含む群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項7記載の薬物を含むキュボソーム粒子粉末剤形。 - 1)請求項1に記載された薬物を含むキュボソーム粒子製造用液状剤形を水に分散させる段階(段階1)と、
2)前記段階1の分散液に選択的に凍結乾燥保護剤を添加して凍結乾燥する段階(段階2)と、
からなることを特徴とする薬物を含むキュボソーム粒子粉末剤形の製造方法。
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