JP3932219B2 - フロントフォーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の車体と車軸間に介装されて路面からの振動等を減衰する緩衝器と前フォークを兼ねたフロントフォークに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車が特に悪路を走行するとき、道路上の細石,汚水等がフロントフォークに当ると、このフロントフォークを構成するアウターチューブとインナーチューブ、あるいは両者の間に設けたシール部が損傷し、又は内部にダスト,水が侵入し、フロントフォークの作動不良を起すおそれがある。そこで、通常フロントフォーク本体の外側に筒状のカバーを取り付けてこれらの石,水が特にシール部や細いインナーチューブに当るのを防止している。
【0003】
即ち、従来のフロントフォークは、例えば、図8、図9に示すようなものが開発されている。
【0004】
即ち、このフロントフォークは、アウターチューブ1内にインナーチューブ2が摺動自在に挿入され、インナーチューブ2がアッパーブラケット3とアンダーブラケット4とを介して車体側に結合され、アウターチューブ1の上部とインナーチューブ2とが筒状カバー5で覆われている。
【0005】
上記カバー5は、アンダーブラケット4の下部にアンダーブラケット4を軸方向に貫通するボルト6に結合された第1のカバー5aと、アンダーブラケット4とアッパーブラケット3との間に配設された第2のカバー5bとからなり、アンダーブラケット4の上面にクッションゴム8を設け、このクッションゴム8の上面に押え板7を設け、上記押え板7の外周に第2のカバー5bの内周を固定し、第2のカバー5bが当該第2のカバー5bの上端と押え板7とを介してアンダーブラケット4とアッパーブラケット3間に軸方向に挾持されているものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図8、図9に示す従来のフロントフォークでは、第2のカバー5bがクッションゴム8と押え板7とを介してアッパーブラケット3とアンダーブラケット4との間に軸方向に挾持され、クッションゴム8の反発力によって軸方向の動きは阻止されている。しかし、カバー自体の機能上は特に問題はないが、上記従来の構造では、半径方向および回転方向には固定されていない為に路面からの振動、その他の外力で第2のカバー5bが半径方向または回転方向に若干ではあるが動く場合があり、アンダーブラケット4の側面部と第2のカバー5bの切欠きSとの隙間が不均一となり、あるいは第2のカバー5bが振動し、弛んだり、破損するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、インナーチューブを覆うカバーが軸方向のみならず半径方向および回転方向にも動かないようにしたフロントフォークを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、アウターチューブ内にインナーチューブが摺動自在に挿入され、インナーチューブがアッパーブラケットとアンダーブラケットとを介して車体側に結合され、アウターチューブの上部とインナーチューブとが筒状カバーで覆われ、当該カバーはアンダーブラケットの下部にアンダーブラケットを軸方向に貫通するボルトに結合された第1のカバーと、アンダーブラケットとアッパーブラケットとの間に配設された第2のカバーとからなり、アンダーブラケットの上面にクッションゴムを設け、このクッションゴムの上面に押え板を設け、上記押え板の外周に第2のカバーの内周を固定し、第2のカバーが当該第2のカバーの上端と押え板とを介してアンダーブラケットとアッパーブラケット間に軸方向に挾持されているフロントフォークにおいて、上記押え板の一部を切り込んで下方に折り曲げた係止片を設け、この係止片を上記ボルト又はアンダーブラケットに係止させたことを特徴とするものである。
【0009】
この場合、係止片の下端をボルトの上面ボルト孔に差し込んで係止させても良く、又は係止片を二つ設け、二つの係止片の下部でボルトの上部外周を挾持して係止しても良く、あるいは係止片を二つ以上設け、各係止片の下部でアンダーブラケットの外面を挾持して係止させても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の態様を図にもとづいて説明する。
【0011】
図1、図2、図3は、本発明の一実施の形態を示す。このフロントフォークの基本構造は、図8の従来技術と同じように、アウターチューブ1内にインナーチューブ2が摺動自在に挿入され、インナーチューブ2がアッパーブラケット3とアンダーブラケット4とを介して車体側に結合されている。更にアウターチューブ1の上部とインナーチューブ4とが筒状カバー5で覆われ、当該カバー5は、アンダーブラケット4の下部にアンダーブラケット4を軸方向に貫通するボルト6にワッシャWとナットNを介して結合された第1のカバー5aと、アンダーブラケット4とアッパーブラケット3との間に配設された第2のカバー5bとからなっている。
【0012】
アンダーブラケット4の上面にワッシャ9とクッションゴム8を設け、このクッションゴム8の上面にキャップ状の押え板7を設け、上記押え板7の外周に第2のカバー5bの内周を固定している。第2のカバー5bは当該第2のカバー5bの上端と押え板7とを介してアンダーブラケット4とアッパーブラケット3間に軸方向に挾持されている。
【0013】
本発明は、更に図図2に示すように、上記押え板7の一部を切り込んで下方に折り曲げた係止片7aを設け、この係止片7aを上記ボルト6に係止させている。即ち、この場合、係止片7aの下端をボルト6の上面ボルト孔6aに差し込んで係止させている。押え板7は、クッションゴム8の上部を抱き込むに嵌合するようにキャップ状に形成されているが、水平の板体であってもよい。係止片7aはボルト6に係止されているから、この係止片7 aに結合した第2のカバー5aは半径方向および回転方向には移動しないものである。
【0014】
図4、図6は、本発明の他の実施の形態を示し、これは、係止片7a,7aを二つ設け、二つの係止片7a,7aの下部でボルト6の上部外周を両側から挾持して係止しているものである。その他の構造,作用,効果は、図1の実施の形態と同じである。
【0015】
図5、図7は本発明の他の実施の形態に係り、これは、係止片7aを二つ以上設け、各係止片7aの下部でアンダーブラケット4の外面を両側から挾持して係止させているものである。その他の構造,作用,効果は、図1の実施の形態と同じである。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0017】
(1)各請求項の発明によれば、カバーがアッパブラケットとアンダーブラケットとで軸方向に挾持されているから、軸方向の動きが規制され、更にカバーに結合した押え板の係止片がアンダーブラケットを軸方向に貫通するボルト又はアンダーブラケットに係止されているから、上記カバーは半径方向および回転方向の動きも規制され、車両の走行中に外力が作用してもカバーが動かず、弛んだり、取付位置がくるったり、振動音の発生が防止される。
【0018】
(2)同じく各請求項の発明によれば、カバーの係止手段が、押え板を切り込んだ係止片をボルト又はアンダーブラケットに係止させているだけであるから、構造が簡単であり、部品点数は増加せず、加工性、組付性も複雑とならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るフロントフォークの一部切欠き正面図である。
【図2】図1の押え板とボルトの一部縦断分解正面図である。
【図3】図1のA−A線で示す拡大横断平面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係るフロントフォークの一部切欠き正面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係るフロントフォークの一部切欠き正面図である。
【図6】図4のB−B線で示す拡大横断平面図である。
【図7】図5のC−Cで示す拡大横断面図である。
【図8】従来のフロントフォークの一部切欠き平面図である。
【図9】図8の右側面図である。
【符号の説明】
1 アウターチューブ
2 インナーチューブ
3 アッパーブラケット
4 アンダーブラケット
5 カバー
5a 第1のカバー
5b 第2のカバー
6 ボルト
6a ボルト孔
7 押え板
7a 係止片
8 クッションゴム
Claims (4)
- アウターチューブ内にインナーチューブが摺動自在に挿入され、インナーチューブがアッパーブラケットとアンダーブラケットとを介して車体側に結合され、アウターチューブの上部とインナーチューブとが筒状カバーで覆われ、当該カバーはアンダーブラケットの下部にアンダーブラケットを軸方向に貫通するボルトに結合された第1のカバーと、アンダーブラケットとアッパーブラケットとの間に配設された第2のカバーとからなり、アンダーブラケットの上面にクッションゴムを設け、このクッションゴムの上面に押え板を設け、上記押え板の外周に第2のカバーの内周を固定し、第2のカバーが当該第2のカバーの上端と押え板とを介してアンダーブラケットとアッパーブラケット間に軸方向に挾持されているフロントフォークにおいて、上記押え板の一部を切り込んで下方に折り曲げた係止片を設け、この係止片を上記ボルト又はアンダーブラケットに係止させたことを特徴とするフロントフォーク。
- 係止片の下端をボルトの上面ボルト孔に差し込んで係止させている請求項1のフロントフォーク。
- 係止片を二つ設け、二つの係止片の下部でボルトの上部外周を挾持して係止している請求項1のフロントフォーク。
- 係止片を二つ以上設け、各係止片の下部でアンダーブラケットの外面を挾持して係止させている請求項1のフロントフォーク。
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