JP3932138B2 - 摺動部材の製造方法。 - Google Patents

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本発明は摺動部材の製造方法に関し、より詳しくは、例えば斜板式コンプレッサのシューを製造する場合に好適な摺動部材の製造方法に関する。
従来、斜板とそれに摺動する半球状のシューとを備えた斜板式コンプレッサは知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
上記半球状のシューは、上記斜板と摺動する摺動面と、半球状に形成される半球状凸面とから構成されており、上記摺動面は、外周側に比べて中央部側が僅か数μm程度盛り上がるような中高形状に形成されている。
このように、従来ではシューの摺動面を中高形状とする事により、斜板とシューの摺動面との間に僅かな隙間を生じさせ、そこに潤滑油を導入させて油膜を発生させるようにしている。これにより、斜板とシューの摺動面との摩擦を低減させるようにしている。
特開平10−153169号公報 特開2002−317757号公報
ところで、上述した従来の斜板式コンプレッサは、最近では高速で高荷重の条件下で、しかも潤滑油量が少ない条件において使用されるようになっている。このように、最近では斜板式コンプレッサの作動条件が益々苛酷なものとなっており、そのために摺動部材としての斜板やシューの摩耗が激しくなり、しかもそれらの焼付きが生じやすいという問題が生じている。
さらに、従来からシューの摺動特性を向上させるために、シューの摺動面に表面処理を施したり、改質したりといった処理を行っているが、このような処理を行うことによりシューの製造コストが高くなるという欠点があった。
そこで、本願の発明者が研究したところ、斜板とシューの摺動面との潤滑性を向上させるためには、シューの摺動面に微小な凹凸を形成して、そこに潤滑油を導入するのが有効であることが判明した。
このような微小な凹凸を摺動面に作成するための従来の加工方法としては、例えばエッチング、切削加工、転造、マイクロショット、放電加工が知られている。しかしながら、このような従来一般に知られている加工方法によって、シューの摺動面に微小な凹凸を作成すると次のような欠点が生じる。すなわち、従来の加工方法においては、摺動面に均一で滑らかな数μm未満の凹凸を形成することは困難であり、凹凸の表面の粗さが大きくなる。しかも、製造コストが高くなる。また、上述したように摺動面に凹凸を形成してから摺動面に後加工を施すと、上記凹凸が消失するという欠点がある。
上述した事情に鑑み、本発明は、所定のピッチPで離隔させた多数の平行線または同心円を描くように摺動部材の摺動面にレーザ又は電子ビームを照射して、それらを照射する際に所定の焼入れ幅で上記摺動面に焼入れ処理を施すとともに該摺動面の表面に硬度が異なる箇所を生じさせて上記摺動面に微小な凹凸を形成し、その後、上記摺動面の表面をラップ加工によって削除して一旦平滑な面として、その後に該平滑な面にバフ加工を施して該摺動面に微小な凹凸を形成するようにした摺動部材の製造方法であって、
上記レーザ又は電子ビームを摺動面に1回照射した際に、該照射部分とその周辺が焼入れ部となり、該焼入れ部の上記ピッチP方向の幅を焼入れ幅Bとした時に、
上記ピッチPに対する焼入れ幅Bの比率であるP/Bは、次のように設定されていることを特徴とする摺動部材の製造方法を提供するものである。
0.4≦P/B≦4.0
但し、P/B=1およびP/B=0.5を除く。
上述した製造方法によれば、摺動部材の摺動面に微小な凹凸を確実に形成することができる。そして、上記ピッチPと焼入れ幅Bとの関係を上述した比率に設定することで、後述する試験の結果で示すように、耐焼付性に優れた摺動部材を提供できる。
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、摺動装置1は斜板式コンプレッサのハウジング内に設けられている。この摺動装置1は、上記ハウジング内に軸支した回転軸2に傾斜させて取り付けた斜板3と、この斜板3と摺動する複数のシュー4とから構成されている。
斜板3は円板状に形成されており、この斜板3における両方の端面は、シュー4と摺動する平坦な摺動面3A、3Aとなっている。
一方、摺動部材としてのシュー4は全体として半球状に形成されており、上記斜板3の摺動面3Aと摺動する摺動面4Aと、半球状をした半球状凸面4Bとから構成されている。
上記斜板式コンプレッサのハウジング内には、回転軸2と平行に、かつそれを囲繞して複数のピストン5を配置している。各ピストン5の一端に形成した円弧状の切欠き部5A内に2個1組のシュー4を摺動自在に保持してあり、その状態の切欠き部5Aを上記斜板3の外周部を包み込むように配置すると同時に、各組のシュー4の摺動面4Aを斜板3の摺動面3Aに当接させている。
そして、上記回転軸2が回転されると斜板3が回転して、斜板3の両端面である摺動面3Aと各組のシュー4の摺動面4Aとが摺動するとともに、切欠き部5Aと各組のシュー4の半球状凸面4Bとが摺動し、それに伴って各組のシュー4を介して各ピストン5が軸方向に進退動されるようになっている。
上述した構成は従来公知の摺動装置のものと変わるところはない。
しかして、本実施例のシュー4は鉄系材料であるSUJ2からなり、端面からなる概略平坦な摺動面4Aは、その中心側が外周縁よりも僅かに(2μm程度)盛り上がった中高形状となっている。これにより、摺動面4Aが上記斜板3の摺接面3Aと摺動する際には、両摺動面4A、3Aとの間に潤滑油が引き込まれやすい形状となっている。
そして、本実施例においては、摺動部材としてのシュー4の摺動面4Aの全域にわたってレーザ焼入れを施してから後加工を施すことにより、摺動面4Aの耐焼付性を向上させている。
すなわち、本実施例におけるシュー4の製造工程を説明すると、先ず、SUJ2により半球状をした母材としてのシュー4を製造する。次に、図2および図4に示すように、母材としてのシュー4の端面である摺動面4Aの表面全域に対して、所定の同一ピッチPで多数の平行線Aを描くようにYAGレーザを照射する。本実施例においては、上記ピッチPは0.1〜1mmに設定している。
上記摺動面4Aに照射するYAGレーザの出力は50Wであり、これを摺動面4Aの表面に対して2mmの深さとなる位置でYAGレーザの焦点が結ばれるように集光レンズを調整して、したがって摺動面4Aの表面に対してはデフォーカスした状態で上記平行線Aを描くようにYAGレーザを照射するようにしている。
このようにレーザが照射された摺動面4Aの表面における各平行線Aの箇所は図4に示すように膨出して、断面が略円弧状の膨出部6となり、これら隣り合う膨出部6の間に直線状の溝となる凹部7が形成されている。つまり、上述したようにレーザを摺動面4Aに照射することで、該摺動面4Aの表面に多数の直線状の膨出部6と凹部7とによって微小な凹凸が形成されるようになっている。上記膨出部6の高さ(凹部7の深さ)は概ね0.1〜1μm程度となっている。
このように、摺動面4Aにレーザが照射されることで、該摺動面4Aの表面全域が焼入れされるようになっている。図4に示すように、上述した摺動面4Aにレーザを照射することによって焼入れされる範囲は、レーザの照射位置(各平行線A)である表面を中心として断面半円形状となり、レーザの照射位置とその両側および内方側の箇所が焼入れされることになる。
つまり、膨出部6とその深さ方向の内方側(図4における円弧状の破線8よりも上方側となる深さ約70μmまでの領域)は直接焼入れされた1回焼入れ部11となっている。
上記各平行線Aの位置にレーザを照射することによる1回焼入れ部11の焼入れ幅Bは0.25mmに設定してあり、膨出部6の両側に位置する凹部7の位置まで直接焼入れがなされている。
本実施例においては、隣り合う平行線Aが隔てたピッチPを0.1〜1mmに設定してあり、焼入れ幅Bを0.25mmに設定しているので、順次隣り合う平行線Aの箇所にレーザが照射されて焼入れ処理が行われることに伴って、上記凹部7となる箇所が二度にわたって焼入れされることになる。そのため、凹部7の内方側の箇所は、断面が逆三角形をした二重焼入れ部12となっている。
また、上記1回焼入れ部11および二重焼入れ部12よりも深さ方向の内方側の所定領域(波型の破線13と上記破線8との間の領域)は、厚さ約50μm程度の内部焼入れ層14となっている。つまり、上記1回焼入れ部11、二重焼入れ部12およびそれらの隣接内方側となる内部焼入れ層14に対してレーザ焼入れがなされている。
そして、本実施例においては、1回焼入れ部11の硬度をH1、二重焼入れ部12の硬度をH2、内部焼入れ層14の硬度をH3とし、シュー4の母材の硬度をHとした時に、それらの硬度が異なるようになっており、それらの硬度の関係は次のようになる。
H1>H2>H>H3
つまり、レーザ焼入れ後の摺動面4Aを表面側から見ると、膨出部6と凹部7とが交互に隣接して形成されるとともに、それらの箇所は表面側及び深さ方向においてレーザ焼入れによる硬さの違いが生じている。
因みに、発明者が行った試験では、例えば上記ピッチPを0.2mmとし、上記焼入れの幅Bを0.25mmとした場合には、H1=Hv850、H2=Hv800、H=Hv750、H3<Hv750 の硬さとなっていた。
本実施例においては、シュー4の摺動面4Aに対して上述したピッチPで多数の平行線Aを描くようにレーザを照射して摺動面4Aの表面全域に対して焼入れを行うとともに、それによって摺動面4Aの表面および深さ方向において硬度の違いを生じさせるようにしている。
また、本実施例においては、上記隣り合う平行線Aが隔てたピッチPに対する焼入れ幅Bの比率P/Bは、0.4〜4.0の範囲となるように設定している。
さらに、本実施例においては、上述したように摺動面4Aにレーザを照射して焼入れ処理を施したら、摺動面4Aの表面に対して図4に想像線15で示す位置までラップ加工を施して、上記膨出部6と凹部7とからなる凹凸を削除する。
このように摺動面4Aの表面をラップ加工によって削り取る深さは、膨出部6が完全に削除されるとともに凹部7の内方側にいたる深さに設定してあり、したがって、図5に簡略化した断面図として示すように、ラップ加工後の摺動面4Aは平滑な面となって1回焼入れ部11とそれよりも硬度が低い二重焼入れ部12とが露出した状態となる。なお、上記ラップ加工によって摺動面4Aの表面を削除する深さは微小であるため、摺動面4Aにレーザを照射した際の焼入れ幅Bとラップ加工後の焼入れ幅は実質的に同じである。そこで、図5においてもラップ加工後の焼入れ幅もBと表示している。
次に、本実施例においては、上述したラップ加工の後に、上記シュー4の摺動面の全域に対してバフ加工を施して加工が終了する。
このようにして加工が終了した後には、図3および図6に示すように、シュー4の摺動面4Aの全域に上記1回焼入れ部11の箇所(上記膨出部6の内方側)に上記膨出部6と同様の膨出部6’が形成されるとともに、二重焼入れ部12の箇所(上記凹部7の内方側)に上記凹部7と同様の凹部7’が形成される。これにより、加工後のシュー4の摺動面4Aには微小な多数の凹凸が均一に形成されるようになっている。
このように加工後に微小な凹凸が生じるのは、上述したラップ加工後に摺動面4Aに硬度が異なる箇所が露出した状態となっており、その状態において摺動面4Aに対してバフ加工がなされるので、硬度が低い二重焼入れ部12が1回焼入れ部11よりも深さ方向に多量に除去されるためである。
加工終了後における上記膨出部6’と凹部7’の高低差(深さ)は、約0.1〜0.8μmとなっており、凹部7’は潤滑油が導入される貯溜部および潤滑油通路として機能するようになっている。
以上のように、本実施例においては、レーザによってシュー4の摺動面4Aに焼入れ処理を行うとともに、摺動面4Aの表面及び深さ方向において硬度の違う箇所を生じさせるようにしてあり、その後のラップ加工とバフ加工とによってシュー4の製造を完了するようにしている。そして、上記ピッチPに対する焼入れ幅Bの比率P/Bを0.4〜4.0の範囲に設定している。
そして、製造後のシュー4の摺動面4Aには、上記多数の膨出部6’と凹部7’とによって微小な凹凸が形成されており、凹部7’内に潤滑油が貯溜されるようになっている。これにより、上記摺動面4Aの全域にわたって潤滑油の油膜が維持されるようになっている。そのため、本実施例の製造方法によれば、耐焼付性に優れたシュー4を提供することができる。また、シュー4の摺動面4Aの負荷容量を向上させることができ、ひいては耐摩耗性にも優れたシュー4を提供することができる。
図7および図8は、上記本実施例のシュー4の焼付き性能についての試験結果を示したものである。なお、試験条件は以下のとおりである。
(試験条件)
斜板回転数:1000rpmずつ1分ごとに9ステップ増加:最大回転数9000rpm(周速38m/s)
面圧:予荷重2.7MPaで2.7MPaずつ1分毎に増加:焼付きに至るまで
オイルミスト量:0.05g/min ノズル位置固定
オイル:冷凍機油
焼付き条件:軸トルク4.0N・mオーバー
上述したように、本実施例では、ピッチPを0.1〜1mmに設定し、このピッチPとレーザ照射による焼入れの幅B(0.25mm)との関係P/Bは0.4〜4.0の範囲内に設定している。図7に白丸で示したように、ピッチPが0.2mm、0.4mm、0.5mm、約0.8mmの場合(P/Bが0.8〜3.0の範囲)では、焼付性能は全て25MPa以上となっており、優れた耐焼付性を備えている。また、ピッチPが0.1mm、1.0mmの場合には、15MPa程度になっており、良好な耐焼付性を備えている。これに対して、ピッチPが零であるとき、つまり従来技術と同等のものでは5MPaとなっている。このように、上記本実施例のシュー4は、良好な耐焼付性を備えている。
さらに、図8はピッチPを0.2mmとし、焼入れの幅Bを0.25mmに設定して、バフ加工による膨出部6’と凹部7’の高低差(凹部7’の深さ)に違いを持たせてシュー4を製造し、それらのシュー4に関して焼付性能を調べたものである。
摺動面4Aの凹部7’の深さが0.2〜0.4μmとなるものでは、焼付性能は25MPa以上となっており、優れた耐焼付性を備えている。一方、凹部7’が零の場合、つまり従来技術と同等のものにおいては5MPaとなっている。また、凹部7’の深さが0.5μmから1.0μmとなるものにおいても、従来と比較すると良好な耐焼付性を備えている。
ところで、図9に示すように、上記実施例においてレーザの照射ピッチPを焼入れ幅Bの半分に設定した場合(P/B=0.5の場合)には、良好な耐焼付性を得られなかった。
この場合には、レーザ照射のピッチPが焼入れの幅Bの半分であるために、レーザの照射箇所である平行線Aの箇所だけが三重に焼入れされる三重焼入れ部17となり、その三重焼入れ部17の隣接両側が全て二重焼入れ部12となる。
三重焼入れ部17は、二重焼入れ部12と比較して硬度が低くなるが、三重焼入れ部17は、上記レーザが照射される平行線Aの箇所だけに直線状に形成される。そのため、この図9に示したように、摺動面4Aにラップ加工を施して平滑にした状態からその後に摺動面4Aにバフ加工を施しても、実質的に摺動面4Aの略全域となる同じ硬度の二重焼入れ部12を研磨する結果となる。したがって、この場合には、バフ加工後の摺動面4Aには数μm未満の均一で微小な凹凸は形成されず、耐焼付性は不良である。
さらに、図10に示すように、上記実施例においてレーザの照射ピッチPとレーザ照射による焼入れ幅Bとを同一(P/B=1)にしてシュー4を製造した場合にも良好な耐焼付性は得られなかった。
この図10に示す場合においては、摺動面4Aの表面の略全域が1回焼入れ部11となり、隣り合う1回焼入れ部11の境界部分だけに直線状に二重焼入れ部部12が形成されることになる。そのため、この図10に示すようにラップ加工によって一旦摺動面4Aの表面を平滑にした後に、摺動面4Aにバフ加工を施しても、摺動面4Aの表面は平滑なままに維持され、微小な凹凸を形成することができない。この場合における耐焼付性の試験結果は、図7にXで示したとおり2MPaであり、耐焼付性は不良である。
なお、上述した本実施例においては、シュー4の摺動面4Aに対して多数の平行線を描くようにレーザを照射して焼入れを行っていたが、図11に示すように摺動面4Aに対して格子状にレーザを照射して焼入れを行うようにしても良い。
また、図12に示すように、隣接する大小の円が同一ピッチPで離隔するような多数の同心円を描くように摺動面4にレーザを照射して焼入れを行うようにしても良い。
また、上述した実施例は、摺動部材としてのシュー4の製造に対して本発明の製造方法を適用した場合を説明したが、上記斜板3を製造するための製造方法として本発明を適用しても良いし、その他に2つの摺動部材が摺動する機械装置における摺動部材の製造方法として本発明を適用することも可能である。
さらに、上記本実施例における半球状のシュー4としては、半球状凸面4Bが軸方向に押しつぶされた全体として扁平な形状のシューをも含むものである。
また、上記実施例においてはシュー4の摺動面4AにYAGレーザを照射して焼入れ処理を行っているが、YAGレーザの代わりに炭酸ガスレーザなどの他のレーザを用いても良いし、レーザの代わりに電子ビームを用いても良い。
本発明の一実施例を示す摺動装置の断面図。 図1に示したシューを製造する際の摺動面4Aの正面図。 図1に示したシューの拡大図。 図2のIV―IV線に沿う要部の拡大断面図。 図4の後の製造工程を示す簡略化した断面図。 図3のVI―VI線に沿う要部の拡大断面図。 図1に示した実施例のシューおよび比較例についての焼付性能を示す図。 図1に示した実施例のシューおよび比較例についての焼付性能を示す図。 本発明の実施例に対する比較例としてのシューの製造工程を示す簡略化した断面図。 本発明の実施例に対する比較例としてのシューの製造工程を示す簡略化した断面図。 本発明の他の実施例である製造工程のシューの正面図。 本発明の他の実施例である製造工程のシューの正面図。
符号の説明
4…シュー(摺動部材) 4A…摺動面
6’…膨出部(凹凸) 7’…凹部(凹凸)
A…平行線 B…焼入れ幅
P…ピッチ

Claims (4)

  1. 所定のピッチPで離隔させた多数の平行線または同心円を描くように摺動部材の摺動面にレーザ又は電子ビームを照射して、それらを照射する際に所定の焼入れ幅で上記摺動面に焼入れ処理を施すとともに該摺動面の表面に硬度が異なる箇所を生じさせて上記摺動面に微小な凹凸を形成し、その後、上記摺動面の表面をラップ加工によって削除して一旦平滑な面として、その後に該平滑な面にバフ加工を施して該摺動面に微小な凹凸を形成するようにした摺動部材の製造方法であって、
    上記レーザ又は電子ビームを摺動面に1回照射した際に、該照射部分とその周辺が焼入れ部となり、該焼入れ部の上記ピッチP方向の幅を焼入れ幅Bとした時に、
    上記ピッチPに対する焼入れ幅Bの比率であるP/Bは、次のように設定されていることを特徴とする摺動部材の製造方法。
    0.4≦P/B≦4.0
    但し、P/B=1およびP/B=0.5を除く。
  2. 上記摺動面にレーザ又は電子ビームが照射される平行線または同心円の箇所は上記焼入れ幅の1回焼入れ部となっており、また隣り合う1回焼入れ部の間となる箇所は二重焼入れ部となっており、上記1回焼入れ部は二重焼入れ部よりも硬度が高くなっていることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材の製造方法。
  3. 上記ピッチPは0.1〜1mmに設定されるとともに、上記焼入れ幅Bは0.25mmに設定されていることを特徴とする請求項2に記載の摺動部材の製造方法。
  4. 上記摺動部材は半球状をしたシューであって、上記ピッチPは0.2mmに設定されており、上記バフ加工後の上記凹凸の高低差(深さ)は0.1〜0.8μmとなっていることを特徴とする請求項3に記載の摺動部材の製造方法。
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