JP3931948B2 - プレライニング用急結コンクリートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル外周面を先受けするコンクリート覆工体を切羽の前方に構築するためのプレライニング工法において採用される急結コンクリートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プレライニング工法は、トンネル外周面を先受けするコンクリート覆工体を切羽の前方に所定長形成し、この覆工体に覆われた部分を掘削しつつトンネルをその掘削方向に順次構築していく工法である。そして、かかる覆工体は、例えばチェーンカッター等の細溝掘削機械を用いてトンネル外周に沿って所定幅の掘削溝を順次形成するとともに、当該掘削溝にコンクリート圧送管を通じてコンクリートを充填打設する工程を円周方向に繰り返して一体形成される。
【0003】
そして、上記プレライニング工法を効率よく速やかに行うためには、覆工体を形成するコンクリートは以下のような条件を満たすことが好ましいとされている。
▲1▼掘削溝に隙間なく充填打設することが可能な流動性を備えること。
▲2▼覆工体の形成後速やかに当該覆工体によって覆われた部分の掘削作業を行うことができるよう、例えば打設後4〜6時間程度で外周地山の土圧に耐え得る強度を発現できること。
▲3▼覆工体は、掘削溝を形成し、これにコンクリートを充填打設する工程を円周方向に繰り返して一体形成されるので、かかる工程を順次連続して繰り返すことができるよう、打設したコンクリートが妻型枠(充填打設したコンクリートの切羽側の端面を押さえる型枠)を外せる程度の自立性を打設後5〜10分程度の短時間で速やかに発現できること(なお、打設したコンクリートが妻型枠を外せる程度の自立性を発現できる時間を自立時間という)。
【0004】
そして、以上の条件を満たすコンクリートに近づけるため、従来より例えば、以下のような方法が採用されていた。
【0005】
即ち、現場プラント又は工場プラントによりコンクリートを製造する際、急硬材及び凝結調整剤を混合した急硬コンクリートを生コン車等により運搬し、該コンクリートを急硬コンクリートポンプによりコンクリート圧送管を介して打設現場まで圧送し、切羽の直前においてこの圧送中のコンクリートに急結材を混合し、該急結材を混合したコンクリートを打設する方法である(特開平6−212877号参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、施工現場において、切羽でのトラブル等により、プレライニング工法の施工サイクルが乱れ、設定した可使時間(流動性を充分保持できる時間)内に急硬コンクリートを施工できない場合がある。この場合、設定した可使時間を過ぎると急硬コンクリートの流動性が低下して▲1▼の条件を満足せず、切削溝内への充填不良やコンクリート圧送管内での閉塞等が危惧されるので、急硬コンクリートを廃棄しなければならないという課題があった。
【0007】
又、急硬コンクリートの存置時間が長くなる、コンクリート温度が上昇する等により流動性が低下する、骨材の表面水率等の変動により製造した急硬コンクリートの流動性が不足する、といった場合にも、同様の課題があった。
【0008】
急硬コンクリートの廃棄は、経済性や環境上の点で好ましくないので、▲1▼の条件を満足しない急硬コンクリートにおいては、可使時間を延長する、低下した流動性を回復する、流動性不足の場合に流動性を付与する、といった対策を採ることにより▲1▼の条件を回復した上、▲2▼と▲3▼の条件も満足させることが求められていた。
【0009】
本発明者は種々検討を重ねた結果、該急硬コンクリートに少量の液体凝結調整剤を分添する方法を採用することにより、前記要求を満たす知見を得て本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、トンネル外周面を先受けすべく、切羽の外周に沿って形成した掘削溝に急結コンクリートを充填打設して、切羽の前方にコンクリート覆工体を構築するプレライニング工法に採用するプレライニング用急結コンクリートの製造方法であって、セメント、カルシウムアルミネート類と硫酸カルシウムを含有してなる急硬材を、セメント100質量部に対して、5〜25質量部、及び、水100質量部に対して、凝結調整剤2〜10質量部の割合で配合した、アルカリ金属炭酸塩と有機酸類を含有してなる液状凝結調整剤を、セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して、固形分で0.1〜1.8質量部混合した後、更に、水100質量部に対して、凝結調整剤30〜55質量部の割合で配合した、アルカリ金属炭酸塩と有機酸類を含有してなる液状凝結調整剤を、セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して、固形分で0.1〜1.0質量部混合して、水/セメント比(W/C)が35〜65%の急硬コンクリートを製造し、次いで該急硬コンクリートをコンクリートポンプによりコンクリート圧送管を介して打設箇所に圧送し、さらに切羽手前で、固形分濃度25〜45質量%の液体急結材を、セメントと急硬材の合計100質量部に対して、固形分換算で2〜5質量部混合して急結コンクリートとすることを特徴とする、プレライニング用急結コンクリートの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
【0012】
本発明で使用する急硬コンクリートは、セメント、急硬材、及び液状凝結調整剤を含有するものである。そして、設定した可使時間内にプレライニング用急硬コンクリートを施工できない場合、該急硬コンクリート温度が上昇する等により流動性が低下した場合、該急硬コンクリートの製造時に該急硬コンクリートの流動性が不足した場合に、液状凝結調整剤を初添加以外にも後添加することにより、該急硬コンクリートの流動性を回復、付与するものである。
【0013】
本発明で使用するセメントとしては、通常市販されている普通、早強、中庸熱、及び超早強等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグ等を混合した各種混合セメント、並びに市販の微粒子セメント等が挙げられる。又、各種ポルトランドセメントや各種混合セメントを微粉末化して使用してもよい。
【0014】
本発明で使用する急硬材は、セメントの反応を促進して短時間に硬化させるために用いる混和材であり、カルシウムアルミネート類と硫酸カルシウムを含有するものである。
【0015】
本発明で使用するカルシウムアルミネート類とは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl23とを主たる成分とし、水和活性を有する物質の総称であり、CaO及び/又はAl23の一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した化合物、あるいは、CaOとAl23とを主成分とするものに、これらが少量固溶した物質である。鉱物形態としては、結晶質、非晶質いずれであってもよい。
【0016】
これらの中では、反応活性の点で、12CaO・7Al23(以下C127という)組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。
【0017】
カルシウムアルミネート類の粒度は、初期強度発現性の点で、ブレーン値で4000cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上がより好ましい。4000cm2/g未満だと初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0018】
本発明で使用する硫酸カルシウムとしては、石膏が挙げられる。石膏の中では、効果が大きい点で、II型無水石膏や天然石膏が好ましい。
【0019】
硫酸カルシウムの粒度は、ブレーン値で3000cm2/g以上が好ましく、4000〜7000cm2/gがより好ましい。3000cm2/g未満だと初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0020】
硫酸カルシウムの使用量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対して、70〜150質量部が好ましく、90〜110質量部がより好ましい。70質量部未満だと急硬コンクリートのスランプ保持が困難となり、初期強度発現性が低下するおそれがあり、150質量部を越えると長期強度発現性が低下するおそれがある。
【0021】
急硬材の使用量は、セメント100質量部に対して、5〜25質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。5質量部未満だと凝結が遅れ、初期強度発現性が低下するおそれがあり、25質量部を越えると凝結時間が短く、可使時間のコントロールが困難となり、初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0022】
本発明で使用する液状凝結調整剤とは、急硬コンクリートの可使時間を調整するためのものであり、アルカリ金属炭酸塩と有機酸類を含有する凝結調整剤の水溶液又はスラリーをいう。液状凝結調整剤として、急硬コンクリートに練り混ぜる水に凝結調整剤を添加したものを使用してもよい。
【0023】
本発明で使用するアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、急硬コンクリートの可使時間を調整する効果が大きい点で、炭酸カリウムが好ましい。
【0024】
アルカリ金属炭酸塩の使用量は、凝結調整剤100質量部中、50〜85質量部が好ましく、60〜80質量部がより好ましい。50質量部未満だと急硬コンクリートの可使時間は長くなるが、初期強度発現性が低下し、急硬コンクリートが硬化しにくいおそれがあり、85質量部を越えると急硬コンクリートのスランプ保持が困難となり、初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0025】
本発明で使用する有機酸類としては、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、及び乳酸又はこれらの塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、急硬コンクリートの可使時間を調整する効果が大きい点で、クエン酸、グルコン酸、又はクエン酸やグルコン酸の塩からなる群の1種又は2種以上が好ましい。
【0026】
有機酸類の使用量は、凝結調整剤100質量部中、15〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。15質量部未満だと急硬コンクリートのスランプ保持が困難となり、初期強度発現性が低下するおそれがあり、50質量部を越えると急硬コンクリートの可使時間は長くなるが、急硬コンクリートが硬化しにくく、初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0027】
初添加する液状凝結調整剤における、凝結調整剤と水の配合割合は、水100質量部に対して、凝結調整剤1〜95質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。1質量部未満だと、急硬コンクリートのスランプを保持するために必要とする液状凝結調整剤の使用量が著しく多くなるために、結果的に水セメント比が高くなり、強度発現性が低下するおそれがあり、95質量部を越えると濃度は高くなるが、凝結調整剤成分が析出し、液状凝結調整剤の使用量が少なくなるために、急硬コンクリート中での分散性が悪くなり流動性の確保ができなくなるおそれがある。
【0028】
後添加する液状凝結調整剤における、凝結調整剤と水の配合割合は、水100質量部に対して、凝結調整剤1〜95質量部が好ましく、30〜55質量部がより好ましい。1質量部未満だと、急硬コンクリートのスランプを保持するために必要とする液状凝結調整剤の使用量が著しく多くなるために、結果的に水セメント比が高くなり、強度発現性が低下するおそれがあり、95質量部を越えると濃度は高くなるが、凝結調整剤成分が析出し、液状凝結調整剤の使用量が少なくなるために、急硬コンクリート中での分散性が悪くなり流動性の確保ができなくなるおそれがある。
【0029】
初添加する液状凝結調整剤の使用量は、施工温度(環境温度)により変わるので一義的には決まらないが、セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して、固形分で0.1〜1.8質量部が好ましく、1.0〜1.6質量部がより好ましい。0.1質量部未満だと流動性の確保ができないおそれがあり、1.8質量部を越えると可使時間が著しく長くなり、急硬コンクリートが硬化しにくく、初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0030】
後添加する液状凝結調整剤の使用量は、セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して、固形分で0.1〜1.0質量部が好ましく、0.2〜0.5質量部がより好ましい。0.1質量部未満だと可使時間を確保して流動性を回復・向上するといった効果が確保できないおそれがあり、1.0質量部を越えると可使時間が著しく長くなり過ぎ、急硬コンクリートが硬化しにくく、初期強度発現性が低下するおそれがある。又、流動性が大きくなり過ぎ、急硬コンクリートが分離し、流動性や充填性が低下するおそれがある。さらに、液状凝結調整剤の水量が多くなり、急結コンクリートの強度発現性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0031】
本発明ではさらに、急硬コンクリートの硬化や急結コンクリートの凝結を促進する点で、急硬コンクリートに液状急結材を添加した急結コンクリートを使用する。
【0032】
本発明で使用する液状急結材は、急硬コンクリート中に均一に分散しやすい点で、例えば粉末状の急結材を主成分として水と予め混合したものを使用する。なお、ここで液状急結材は、水溶液又はスラリーを含むものである。
【0033】
液状急結材の主成分としては、アルミン酸ナトリウムやアルミン酸カリウム等のアルミン酸塩、硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩、及びケイ酸ナトリウム(水ガラス)等が挙げられる。本発明ではこれらのうちの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、強度発現性と流動性が確保できる点で、アルミン酸カリウムが好ましい。
【0034】
液状急結材の濃度(スラリーの場合は固形分の濃度)は、25〜45質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。25質量%未満だと強度発現性が低下するおそれがあり、45質量%を越えると自立時間が短すぎて、流動性が確保できないおそれがある。
【0035】
液状急結材の使用量は、セメントと急硬材の合計100質量部に対して、固形分換算で1〜10質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。1質量部未満だと急結性に欠け、自立性が短時間で発現できず、初期強度発現性が低下するおそれがあり、10質量部を越えると強度発現性が低下するおそれがある。
【0036】
本発明の骨材は、特に限定されるものではないが、できるだけ骨材強度が高いものが好ましい。骨材としては細骨材や粗骨材が挙げられる。細骨材としては、海、山、及び川から採取される天然骨材である海砂、山砂、及び川砂や、山から切り出し、粉砕し、粒度調製した砕砂(例:石灰砂等)等が挙げられ、粗骨材としては、天然骨材である川砂利や砕石である石灰砂利等が挙げられる。
【0037】
本発明の急硬コンクリートにおける水の使用量は、強度発現性の点で、水/セメント比(W/C)で35〜65%が好ましく、40〜55%がより好ましい。35%未満だと急硬コンクリートが十分に混合しにくいおそれがあり、65%を越えると強度発現性が小さくなるおそれがある。ここでいうセメントは急硬材を含有し、水は液状凝結調整剤中の水を含有する。
【0038】
本発明のプレライニング用急結コンクリートは、トンネル外周面を先受けすべく、切羽の外周に沿って形成した掘削溝に充填打設して、切羽の前方にコンクリート覆工体を構築するプレライニング工法に好ましく採用されるものである。本発明では、急硬材及び液状凝結調整剤を混入した急硬コンクリートを製造し、次いで液状凝結調整剤を添加することにより、急硬コンクリートの可使時間を延長し、流動性を回復・向上させる。次いで該急硬コンクリートをコンクリートポンプによりコンクリート圧送管を介して打設箇所に圧送し、さらに切羽手前で液状急結材を供給して急結コンクリートを製造する際、先端で液状急結材濃度を連続的に調整し、該急結コンクリートを打設箇所へ充填打設するものである。水は液状凝結調整剤として最後に混合してもよく、液状凝結調整剤の混合後に、別途混合してもよい。粗骨材はいつ混合してもよい。
【0039】
なお、液状急結材を供給する際には、自立時間をコントロールするために、粉末状の急結材を予め水と混合してもよい。又、市販の液状急結材の濃度が大きい場合には、液状急結材をさらに水で予め希釈してもよい。
【0040】
【実施例】
以下、実験例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0041】
実験例1
パン型強制ミキサを用いて、細骨材762kg/m3、セメント344kg/m3、粗骨材942kg/m3、急硬材56kg/m3を投入し、30秒間空練りしたのち、凝結調整剤6.4kg/m3と水200kg/m3からなる練混ぜ水(水溶液)を投入し、90秒間練り混ぜて急硬コンクリートを調製した。
得られた急硬コンクリートにつき、練上がり直後のスランプを測定した。次いで、急硬コンクリートを120分間放置してスランプを低下させた後、水100質量部に対して固形分で43質量部であり、かつ、セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して固形分で表1に示す質量部の液状凝結調整剤を後添加し、後添加直前と後添加直後とスランプを測定した。更に、後添加してから45分後のスランプ値を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
<使用材料>
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン値3200cm2/g、比重3.16
急硬材:カルシウムアルミネート(主成分C127、非晶質、ブレーン値6000cm2/g)100質量部と無水石膏(II型無水石膏、ブレーン値6050cm2/g)100質量部からなる混合物
凝結調整剤:アルカリ金属炭酸塩70質量部(市販品、炭酸カリウム)と有機酸類(市販品、グルコン酸)30質量部からなる混合物、粉末状
細骨材:千葉県田川産山砂、表乾状態、比重2.56、最大直径5mm以下
粗骨材:神奈川県足柄産砕石、表乾状態、比重2.59、最大寸法20mm
水:水道水
【0043】
<測定方法>
スランプ:所定時間の急硬コンクリートにつき、JIS A 1101に従い、測定した。
【0044】
【表1】
Figure 0003931948
【0045】
実験例2
パン型強制ミキサを用いて、細骨材762kg/m3、セメント344kg/m3、粗骨材942kg/m3、急硬材56kg/m3を投入し、30秒間空練りしたのち、凝結調整剤6.4kg/m3と水200kg/m3からなる練混ぜ水(水溶液)を投入し、90秒間練り混ぜて急硬コンクリートを調製した。
次いで、急硬コンクリートを120分間放置してスランプを低下させた後、水100質量部に対して固形分で43質量部であり、かつ、セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して固形分で表1に示す質量部の液状凝結調整剤を後添加した。
さらに、急硬コンクリートに、セメントと急硬材の合計100質量部に対して液状急結材を固形分換算で4質量部添加し、10秒間練り混ぜて急結コンクリートを調製した。
得られた急結コンクリートにつき、圧縮強度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0046】
<使用材料>
液状急結材:市販品、アルミン酸カリウム水溶液、濃度は35質量%
【0047】
<測定方法>
圧縮強度:所定材齢の急結コンクリートを、JIS A 1108に従い、測定した。
【0048】
【表2】
Figure 0003931948
【0049】
実験例3
セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して液状凝結調整剤を固形分で0.3質量部後添加し、セメントと急硬材の合計100質量部に対して液状急結材を固形分換算で表3に示す質量部添加し、自立時間と圧縮時間を測定したこと以外は、実験例2と同様に行った。結果を表3に示す。
【0050】
<測定方法>
自立時間:急結コンクリートを速やかにφ10cm×20cmの型枠に詰めてから脱型できるまでの時間で示した。
【0051】
【表3】
Figure 0003931948
【0052】
【発明の効果】
本発明の方法により、設定した可使時間内にプレライニング用急硬コンクリートを施工できない場合でも、低下した該急硬コンクリートの流動性を回復できるので、プレライニング工法が可能となる。又、該コンクリート温度が上昇する等により流動性が低下した場合にも、流動性を回復できる。更に該急硬コンクリートの製造時に該急硬コンクリートの流動性が不足している場合でも、流動性を付与できる。よって、流動性が低下しても、該急硬コンクリートを廃棄することなく有効に使用でき、経済的、資源的に好ましい。

Claims (1)

  1. トンネル外周面を先受けすべく、切羽の外周に沿って形成した掘削溝に急結コンクリートを充填打設して、切羽の前方にコンクリート覆工体を構築するプレライニング工法に採用するプレライニング用急結コンクリートの製造方法であって、セメント、カルシウムアルミネート類と硫酸カルシウムを含有してなる急硬材を、セメント100質量部に対して、5〜25質量部、及び、水100質量部に対して、凝結調整剤2〜10質量部の割合で配合した、アルカリ金属炭酸塩と有機酸類を含有してなる液状凝結調整剤を、セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して、固形分で0.1〜1.8質量部混合した後、更に、水100質量部に対して、凝結調整剤30〜55質量部の割合で配合した、アルカリ金属炭酸塩と有機酸類を含有してなる液状凝結調整剤を、セメント、カルシウムアルミネート類、及び硫酸カルシウムの合計100質量部に対して、固形分で0.1〜1.0質量部混合して、水/セメント比(W/C)が35〜65%の急硬コンクリートを製造し、次いで該急硬コンクリートをコンクリートポンプによりコンクリート圧送管を介して打設箇所に圧送し、さらに切羽手前で、固形分濃度25〜45質量%の液体急結材を、セメントと急硬材の合計100質量部に対して、固形分換算で2〜5質量部混合して急結コンクリートとすることを特徴とする、プレライニング用急結コンクリートの製造方法。
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