JP3930799B2 - 鋼構造物の補修補強工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼構造物の補修補強工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、図11に示すような溶接Wによって製作された鋼桁33の溶接部Wが疲労亀裂34によって劣化を生じた場合、図12に示すように、その疲労亀裂34近傍について補強用鋼板15aを高力ボルト35により添接し、補修補強を行なう場合、既存の鋼構造物12における鋼製ウエブ36に複数の補強用鋼板15a,15bをあてがい、既設側の鋼製ウエブ36と補強用鋼板15a,15bに設けられる多数のボルト挿通孔に、B10Tのボルト16を挿通し、力の流れを円滑にし応力集中を低減させ、損傷部の断面積を増加して発生応力そのものも低減させる既存の鋼構造物12の補修補強を行なっている。ここで、図11、12は道路橋の鋼桁33で代表的な疲労損傷の例である桁端切り欠き部の図であるが、箱桁、鋼床版を含む鋼桁のそれ以外の部分でも同様の方式で補修補強を行っている。
また鋼製橋脚については、図4に示すような断面が矩形状の鋼製ボックス柱10と、断面が矩形状の鋼製ボックス梁11の当接部は、鋼製ボックス柱10における前面板27と鋼製ボックス梁11の側面板14および上面鋼板28および下面鋼板29の端部周縁部を溶接Wにより固定されており、これらの溶接接合部Wが疲労亀裂などにより劣化して、鋼製橋梁等の鋼構造物12を補修補強を行なう場合、図10に示すように、既存の鋼構造物12における柱10の鋼製側面板13と梁11における鋼製側面板14にわたって補強用鋼板15をあてがい、既設側の側面板13,14と補強用鋼板15に設けられる多数のボルト挿通孔に、B10Tのボルト16を挿通し、既存の鋼構造物12の補修補強を行なっている。
【0003】
前記のように補修補強する場合、既存の鋼構造物12の表面が、新設時の平滑な表面と異なり、凹凸面あるいは湾曲した表面となっており、また余盛り部を持つ溶接ビードなどがあるために、既存の鋼構造物12と補修補強用にあてがわれる補強鋼板(スプライスプレート)15との間に、間隙が生じ、これらの鋼板相互の密着が期待できないため、摩擦接合することができず、ボルト16は、摩擦接合用ボルトではなく、支圧接合用ボルトが用いられている。また、このような添接板の取り付けに溶接が通常は用いられないのは、溶接時の有害な変形を避けるため、また、疲労亀裂が主に溶接部を起点に生じることから、疲労損傷を起こした構造に関しては、それ以上の疲労的弱点を抱え込まないようにとの配慮からである。
【0004】
このような補修補強工法を採用する時は、既存の鋼構造物12の側面板13,14に穴(ボルト孔)をあけていかなければボルトを挿入できないが、そのボルト孔の数は非常に膨大な数(数百本)となり、作業工数および所要時間が多大にかかり、コスト高になる上に、ボルト孔を設けることによる断面欠損も多くなって、耐力的にも有利にすることが難しい。したがって、ボルトの本数を極力少なくすることが、施工上およびコスト上、並びに設計の自由度からして、極めて有利になる。
【0005】
これらの問題点を解決するために、すでに開発されているF15Tの超高張力ボルトを、従来のB10Tに代えて使用することで、ボルト孔の数を減らせることが考えられるが、そのときに高力ボルトの軸力も従来よりも高めると、高力ボルトの遅れ破壊が発生する恐れがある。
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、F10Tを超える高力ボルト(例えば、F15T)では、これに負荷させる軸力が遅れ破壊の発生特性に大きな影響を持つ点、および支圧接合時に設計に用いる、高力ボルトのせん断耐力は、負荷される軸力がそのボルトが引張接合時に用いられる値よりも小さくても、増加することはあっても低下することはないという点に着目すると共に、本出願人の先に出願した特願平2001−82325に記載されている遅れ破壊特性に優れた高力ボルトおよび鋼材を有利に利用して、しかもその形状を打ち込み式高力ボルト(支圧接合用高力ボルト)に変化させ、これら巧みに組み合わせた上で、さらに、高力ボルトの軸力をB10T程度に管理して軸力を低く抑えながら、せん断耐力を最大に活用することにより、比較的経済的に、構造耐力的に有利な補修補強工法を完成させた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、鋼構造物における補修補強工法でのボルト孔の穿設加工数を減らし、補修コストを削減および補修設計の自由度を高めることができ、しかも高力ボルトの遅れ破壊を防止することができる鋼構造物の補修補強工法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の鋼構造物の補修補強工法においては、鋼構造物の鋼板に補修補強用の鋼板を重ねるように配設すると共に、これらの鋼板に渡って挿通された打込式高力ボルトにより支圧接合することにより、鋼構造物を補修補強する鋼構造物の補修補強工法において、前記打込式高力ボルトのボルト引張り強さが、1200N/mm2以上で、1600N/mm2以下の範囲に調質されている打込式高力ボルトを使用し、かつ前記打込式高力ボルトに負荷される張力を、B10Tの標準的な高力ボルト張力と同じかそれ以下の応力に低下させた支圧接合とされていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明においては、請求項1に記載の鋼構造物の補修補強工法において、前記打込式高力ボルトが、B10Tの標準的な高力ボルト張力で破断されるピンテール部を有するトルシア型とされていることを特徴とする。
【0010】
さらに請求項3の発明においては、請求項1または請求項2の鋼構造物の補修補強工法に使用される打込式高力ボルトであって、前記高力ボルトの引張強さTS(N/mm2)と焼戻温度T(℃)の関係が下記(1)式を満足し、かつ、前記高力ボルトの引張強さTS(N/mm2)とその高力ボルト用の鋼材の化学成分から計算される炭素当量Ceq(%)の関係が下記(2)式を満足し、焼入れ,焼戻しによりボルト引張強さが1200N/mm2以上で、1600N/mm2以下の範囲に調質されている高力ボルトであることを特徴とする。
TS≦(1.1T+850) (1)
TS≦(550Ceq+1000) (2)
TS:高力ボルト引張強さ(N/mm2
T :焼戻温度(℃)
eq:炭素当量(%)
Figure 0003930799
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を鋼製橋脚に適用した既設鋼構造物の補修補強工法の一実施形態を図によって詳細に説明する。
【0012】
図1および図2は、図3に示す打込式高力ボルト9を使用して、図4に示す既設の鋼構造物12を補修補強した状態を示している。本発明において使用する図4に示す打込式高力ボルト9(材質およびねじ形状については、本出願人の先に出願した特願平2001−82325に記載されている遅れ破壊特性に優れた高力ボルトおよび鋼材を有利に利用している。詳細説明は、後記する)を使用して、補修補強している。
【0013】
まず、橋脚等の既存の鋼構造物12における構成ボックス柱10と、鋼製ボックス梁11との溶接接合部Wが老朽化した場合の補修補強する場合について説明すると、鋼製ボックス柱10における鋼製側面板13および鋼製ボックス梁11における鋼製側面板14に、現場において、間隔をおいて、打込式高力ボルト9を打ち込み挿通するためのボルト孔30を間隔を置いて設ける。また、孔は補修補強用鋼板15をあてがった状態で共にあける場合もある。
【0014】
また、工場または現場において、前記ボルト孔間隔と同じボルト孔間隔で、多数のボルト孔31を所定の位置に設けた台形状の補修補強用鋼板15を準備しておく。もしくは、補修補強用鋼板15のボルト孔31は現場で、あてがった状態で側面板と共に孔あけすることもある。そして前記補修補強用鋼板15を吊り上げ搬送して、前記鋼製側面板13と鋼製側面板14に渡ってあてがう。この場合、補修補強用鋼板15と前記鋼製側面板13との間、または補修補強用鋼板15と鋼製側面板14との間に、図示を省略するが、調整用のフィラープレートを介在させることができる。なお、図中32は、補修補強用鋼板15に設けられている手作業用の透孔である。
【0015】
次いで、前記補修補強用鋼板15と鋼製側面板13または鋼製側面板14との各ボルト孔に渡って、打込式高力ボルト9を打ち込み挿通させると共に、前記打込式高力ボルト9の先端部にナット17を螺合させて、仮締めした後、図2の上部に示すように、ピンテール部18の前部の最小断面軸部19を有する断面V字状の円環状溝部20で破断するために(図2の下部の打込式高力ボルト9を参照)、図2の上部に示すように、ピンテール破断用インナーソケット部21およびナット係合用アウターソケット部22を備えたナット電動締付工具23を用いて、打込式高力ボルト9を所定のトルク管理して本締めを行うとともに、インナーソケット部21により、打込式高力ボルト9のピンテール18を破断除去する。
【0016】
前記のトルク管理は、高力ボルトとしてB10Tを超える、B11T〜B15T等の本発明において使用する打込式高力ボルト9に導入される張力(軸力)を、B10T以下に抑える点で重要な点であり、また、前記の最小断面軸部19の断面積Aは、打込式高力ボルト9のねじ軸部に導入される応力を、最大応力でも、B10Tの場合に採用される設計ボルト張力T(設計ボルト張力T=0.75×耐力Y、ただし、B10Tの打込式高力ボルトの耐力Yは、900N/mm2)または標準ボルト張力T(設計ボルト張力×1.1)程度の応力状態で、最小断面軸部19の応力が破断応力に達して、この最小断面軸部19を確実に破断させるために、前記ねじ軸部2の断面積Aと、前記最小断面軸部19の断面積Bの比を正確に設定しておく必要がある。
【0017】
前記のように、最小断面軸部19を破断させない場合には、正確にトルク管理して、前記ねじ軸部に必要以上の応力が作用しないように、管理する必要がある。その場合は従来のボルト張力管理手法である、トルク法、ナット回転法などを用いるべきである。ただし耐力点法は、与える軸力をこの高力ボルトの持つ耐荷能力に比べて低いレベルとするため、使いにくくなると考えられる。このように、打込式高力ボルト9のねじ軸部2に負荷される応力を、低い張力で使用するようにすることにより、打込式高力ボルト9の遅れ破壊を確実に防止することができる。
【0018】
このようにする理由は、例えば、F10Tを超える高力ボルト(例えば、F15T)では、これに負荷させる軸力による遅れ破壊に大きな影響がある点、(本発明では、遅れ破壊が改善されている打込式高力ボルト9を使用するが、)および高力ボルトのせん断耐力は、負荷される軸力がそのボルトが引張接合時に用いられる値よりも小さくても、増加することはあっても低下することはないという点に着目し、F10Tを超える高張力の打込式高力ボルト9の軸力(張力)をF10T程度に低く管理して軸力(打込式高力ボルト9の軸部の応力)を低く抑えながら、せん断耐力を最大に活用することにより、打込式高力ボルト9のボルト本数を極力少なくし、施工を容易に、しかも経済的に、さらにボルト孔が設けられる各鋼板13,14,15の断面欠損を少なくして、構造耐力的に有利に、また設計の自由度を高めるためである。
また、軸力をF10T程度に入れることの利点は、打込式高力ボルト9の使用性を従来から用いられている支圧接合用ボルトと同等とする必要があるからである。もちろん、遅れ破壊の面からだけ言えば軸力はゼロなことが最も好ましいわけであるが、支圧接合とは言え実際には、軸力によって得られた摩擦力によって担保されている耐力分もあるわけであり、その分を従来のボルトよりも減らすことは好ましいことではない。そのため、なるべく軸力を目標値に近くなるように管理することが望ましいと言える。
【0019】
また、前記の鋼製側面板13,14のボルト孔30は、支圧接合するために、打込式高力ボルト9の支圧接合軸部と、例えば、ほぼ同径等の許容される寸法公差のボルト孔30としておく。
【0020】
また、前記高力ボルトが、打込式高力ボルトとされ、ボルト引張り強さが1200N/mm2以上で、1600N/mm2以下の範囲に調質されている打込式高力ボルトを使用し、かつ前記打込式高力ボルトに負荷される軸力を、標準ボルト張力以下に軸力を低下させた支圧接合とされているとよい。
【0021】
ここで、本発明において使用される打込式高力ボルト9について、図3を参照しながら説明すると、打込式高力ボルト9の頭部1に続く多数の凸部24を有する支圧接合用軸部25と、これに一体に連設されている雄ねじ軸部2と、その先端部に、最小断面軸部19を有する断面V字状の円環状溝部20を介して、外周面にローレット加工26が施された小径軸部のピンテール18を一体に有するトルシア形の打込式高力ボルト9である。
【0022】
そして、本発明においては、F10Tを超えるF11T〜F15Tの高力ボルトと同等の引張り強さTS(N/mm2)を有する、例えばB11T〜B15Tの打込式高力ボルト9で、また、B10T標準ボルト張力以下で破断される最小断面軸部19を有するトルシア型の打込式高力ボルト9である。
【0023】
前記の場合は、橋脚を補修補強する工法について説明したが、本発明はこの形態に限定されることなく、橋梁あるいは鋼構造の建築物の鋼板を補修補強する場合にも、ボルトの長さを適宜設定することにより、補修補強することができる。
【0024】
次に、本発明において使用する前記のトルシア型打込式高力ボルト9の材質および特性について、特に、1200N/mm2以上のボルト引張強さを有する耐遅れ破壊特性に優れた打込式高力ボルト9及びその鋼材について説明する。
【0025】
一般的に、高力ボルトは、図8に示すように、頭部1と軸部2とが鋼材で一体形成されているものであるが、遅れ破壊を引き起こす部位は、主として、軸部2に螺刻されるねじ部3であり、このようなねじ部3は、応力の集中が大きく、しかも、高軸力でのボルト軸心X−X方向の締め付けに対しては塑性歪も大きくなるため、その部位を起点として遅れ破壊が発生することは、多くの研究によって知られている。そして、従来の高力ボルト、例えば、日本工業規格 JIS B1186に規定されているM22ボルト(F10TのJISメートル並目ボルト)のねじ部3は、図9に示すように、通常、等間隔ピッチL(2.5mm)で刻設されるねじ山4の相対するフランク面4a,4bが、例えば、60°の角度θを有し、軸部2のねじ山4のとがり山5の高さをH(H=2.165mm)とし、このとがり山5の頂点からH/8を切断してなる台形の形態を有するとともに、相対するフランク面4a,4bと谷底4cとの移行点Q1,Q2をとがり山5の底辺5aからH/3に設定してなる一方、それぞれのフランク面4a,4bの移行点Q1,Q2に当接する半径R1がH/6の内接円6を描き、その内接円6の中心点Oが移行点Q1,Q2の位置からH/12の高さに設定されるようにして、ねじ山4の谷底4cを円弧状曲線に形成している。これにより、ねじ部3に作用する応力集中の低減化を図っているものであるが、このような形態であっても、ねじ山4の谷底4cの中心部Mに作用する応力集中は、2.54あり、1200N/mm2以上の引張強さに対応する標準ボルト張力でボルト軸心X−X方向に一様に引張ったとき、ねじ谷部にはまだ大きな塑性歪が生じ、1200N/mm2以上の引張強さに対する遅れ破壊に対処するまでには至っていない。
【0026】
そして、先願明細書には、上記の事情に鑑みて種々研究した結果、ボルト引張強さと焼戻温度の関係式、及び、ボルト引張強さと鋼材の化学成分から計算される炭素当量の関係式が導き出されることを知見し、これら両式を満足するように鋼材の化学成分を設定して、焼入れ及び焼戻し処理することにより、ボルト引張強さが1200N/mm2以上に調質可能な耐遅れ破壊特性に優れた高力ボルト及びその鋼材を完成するに至った旨記載されている。
【0027】
また、先願の明細書には、上記のような成分、焼き戻し温度に限定した理由について、下記のように記載されている。
(A)鋼の化学成分
C:Cは鋼に容易に強度を付与させるのに有効な元素であるが、その含有量が0.30%未満では強度を確保することができず、また0.45%を超えて添加すると靭性が劣化する。従ってその成分範囲を0.30〜0.45%以下とするとよい。
【0028】
Si:Siは鋼の脱酸に必要な元素であり鋼の強度向上に有効であるが、その含有量が0.1%以上であると靭性が劣化し、鋼の脆性が著しくなる。また、フェライトの固溶強化作用の大きい元素であるために、球状化焼鈍を行っても冷間鍛造が困難となる。更に熱処理時に粒界酸化が起き易くなり、その切欠効果によってボルトの耐遅れ破壊特性を劣化させる元素であるため極力低減すべきである。従ってその成分範囲を0.10%未満に制限するとよい。
【0029】
Mn:Mnは焼入性を向上させるのに有効な元素であるが、その添加量が0.40%以下では所望の効果を得ることができず、また1.00%以上添加すると焼戻し脆化を生じ、耐遅れ破壊特性が劣化するのでその成分範囲を0.40%超1.00%未満と定めるとよい。
【0030】
P:Pは粒界に偏析し、粒界強度を低下させ耐遅れ破壊特性を劣化させる元素である。また厳しい腐食環境である塩酸中において鋼材表面での水素発生を促進する効果を通じて鋼の腐食量を増加させる元素であり、極力低減すべきである。その含有量が0.010%以上であると鋼材中に侵入する水素量が著しく増大するため0.010%未満とした。
【0031】
S:Sは粒界に偏析して鋼の脆化を促進する元素であるため、Sの含有量を極力低減すべきである。その含有量が0.010%を超えると脆化が著しくなるため、上限を0.010%以下と定めた。
【0032】
Cr:Crは鋼の焼入性を向上させるのに有効な元素であり、かつ鋼に焼戻し軟化抵抗を付与する効果があるが、その添加量が0.5%未満では前記作用に効果が得られず、他方経済性を考慮しその添加量を0.5〜1.5%未満とした。
【0033】
Mo:Moは顕著な二次硬化を起こす元素であり、高温焼戻しを可能とすることによって耐遅れ破壊特性を向上させる元素であるが、その添加量が0.35%未満では所望の効果を得ることができず、1.5%を超えて添加すると焼入れ時に未溶解炭化物が母相に固溶し難くなり、延性を損なうためその添加量を0.35%超〜1.5%未満と定めた。
【0034】
Al:Alは鋼の脱酸に必要な元素であり、窒化物を形成して旧オーステナイト粒を微細化させる効果がある。しかし0.010%未満ではその効果が小さく、また0.100%を超えるとアルミナ系介在物が増大し、靭性を阻害することから、含有させる場合には、その成分範囲を0.010〜0.100%と定めるとよい。
【0035】
V:Vは焼戻し時に微細な窒化物、炭化物として析出して鋼の強度を向上させ、高温焼戻しを可能とする元素であり、かつ旧オーステナイト粒を微細化させる効果がある。更に焼戻し時に粒内に析出した炭窒化物は水素のトラップサイトとなり、粒界に集積する水素を低減することによって耐遅れ破壊特性を大幅に向上させる効果を持つ。しかしその添加量が0.3%以下では旧オーステナイト粒度No.10を達成できず、耐遅れ破壊特性を向上させるまでには至らない。また1.0%を超えて添加するとボルトの冷鍛性を損なう。またVは高価な元素であるため経済性も考慮してその含有量を0.3%超1.0%以下と定めた。
【0036】
Nb:Nbは旧オーステナイト粒を微細化させ、更に析出硬化して鋼の強度を向上させる作用がある。しかしその添加量が0.005%未満ではその効果を得ることはできず、一方0.030%を超えて含有させてもその効果は飽和してしまうため、含有させる場合には、その含有量を0.005〜0.030%とするとよい。
【0037】
Ti:Tiは旧オーステナイト粒を微細化させ、更に析出硬化して鋼の強度を向上させる作用がある。しかしその添加量が0.005%未満ではその効果を得ることはできず、一方0.030%を超えて含有させてもその効果は飽和してしまうため、含有させる場合には、その含有量を0.005〜0.030%とするとよい。
【0038】
(B)焼戻し温度
遅れ破壊は旧オーステナイト粒界割れを呈することから、ボルトの耐遅れ破壊特性の向上には250〜400℃の低温焼戻し脆性温度領域を避けるとよく、更に旧オーステナイト粒界へのフイルム状セメンタイトの析出を抑制するため、焼戻し温度上昇による炭化物の形態の制御が有効であること、及び水素のトラップサイトとなるV炭窒化物を析出させ、粒界に集積する水素を低減することが有効であるので、焼戻し温度を450℃以上とすることも可能であるが、これに限定されることなく、実験の結果、高力ボルトの引張り強さTS(N/mm2)と焼き戻し温度T(℃)との後記の関係式、および高力ボルトの引張り強さTS(N/mm2)と炭素当量Ceqとの後記の関係式を満足する焼き戻し温度値にしておけば、実験結果から充分であることが判明した。
【0039】
また、先願明細書に記載の高力ボルト9の要部の形状については、下記のように記載されている。図8に示す従来構造と同様に、鋼材からなる頭部1と軸部2とで一体形成されている。そして、図5に示すように、軸部2に等間隔ピッチLで刻設されるねじ部3のねじ山4,4の相対するフランク面4a,4bが、例えば、60°の角度θを有する。また、ねじ山4,4の谷底4cは、上述した3円弧合成法によって構成される弧状曲線の形態に形成されている。
【0040】
すなわち、上記高力ボルト9のねじ部3は、軸部2のねじ山4のとがり山5の高さをH(例えば、H=2.165mm)とし、このとがり山5の頂点からH/8を切断してなる台形の形態を有する。そして、ねじ山4の相対するフランク面4a,4bと谷底4cとの移行点Q1,Q2をとがり山5の底辺5aから[(9±1)/20]・H、例えば、0.45Hの高さに設定する。さらに、それぞれの移行点Q1,Q2において、とがり山5の底辺5aから(7/12)・Hの高さに中心O1を有する半径rがH/6のねじ山4,4のフランク面4a,4bに当接する当接小円6A,6Bを描く一方、ねじ山4の相対するフランク面4a,4bの延長線がなす鋭角の2等分線上に中心O2を有する半径Rが2H/3以上の当接小円6A,6Bの外接円7を描き、この外接円7と当接小円6A,6Bとを重畳することにより、ねじ山4,4の谷底4cを目的とする弧状曲線8に形成してなるものである。
【0041】
そして、先願発明に係る高力ボルトのねじ部3において、移行点Q1,Q2をとがり山5の底辺5aから[(9±1)/20]・H、例えば、0.45Hの高さに設定してなる理由は、ねじ山4,4の谷底4cを上述したような目的とする満足な弧状曲線8に形成するにあたり、ボルトの抜けを防止する適切な引っ掛かり率を保持するためである。すなわち、移行点Q1,Q2の高さが下限の[8/20]・H以下では、目的とする満足な弧状曲線8を形成することができず、一方、上限の(10/20)・H以上では、適切な引っ掛かり率を保持することが困難になるためである。
【0042】
また、それぞれの移行点Q1,Q2において、半径rがH/6のねじ山4,4のフランク面4a,4bに当接する当接小円6A,6Bを描く理由は、応力集中の比較的少ないねじ山4,4の谷底4cの弧状曲線8を得るため、それぞれの移行点Q1,Q2につき、それぞれ異なった径を有する種々の当接小円について、多くの位置を中心として数多くの弧状曲線をシュミレーションして応力計算を行うとともに、その中の最も応力集中の度合が低い当接小円を選定することにより得られた経験値である。
【0043】
さらに、ねじ山4,4の相対するフランク面4a,4bの延長線がなす鋭角の2等分線上に中心O2を有する半径Rが(2/3)・H以上の当接小円6A,6Bの外接円7を描き、この外接円7と当接小円6A,6Bとを重畳することにより、弧状曲線8を形成する理由は、当接小円6A,6Bの谷底4c側円弧と最も円滑に接続する弧状曲線8を得るためであり、これも多くのシュミレーションによって得られた経験値である。
【0044】
このように、先願発明に係る高力ボルトは、ねじ山4,4の谷底4cを上述したような3円弧合成法によって特定の弧状曲線8の形態に形成することにより、谷底4cの中心部Mでの応力集中係数が1.66に低減でき、日本建築学会建築工事標準仕様書JASS6に規定する標準ボルト張力(22.5ton)でボルト軸心X−X方向に一様に引っ張ったとき、図9に示す従来のM22ボルト(F10TのJISメートル並目ボルト)と比較して、ねじ谷底の応力と歪を大幅に低減させることが可能になる。これにより、高力ボルトの耐遅れ破壊特性の向上が図れる。
【0045】
一方、高力ボルトとしての重要な問題は、高強度化したとき、如何に遅れ破壊性能をボルトに付与するかに係っている。F11TのJISメートル並目ねじの高力ボルトは、強度の範囲で1100N/mm2〜1300N/mm2の範囲で使用されるものであるが、遅れ破壊の危険性があるため、現在では製作されておらず、手に入れることが不可能になっている。そのため、現状では、1000N/mm2〜1200N/mm2の範囲のF10TのJISメートル並目ボルトが広く使用されている。このように、高力ボルトに強度の上限規定が設定されている理由は、ひとえに、強度を上げると遅れ破壊が発生し易いことによる。
【0046】
そこで、先願の発明者等は、下記実施例に示すように、数多くの実験を重ね、鋼材の引張強さを焼戻温度、及び、炭素当量の尺度から整理し、下記の表1に示す化学成分組成を有する供試鋼を用いて得られた多くの具体的実験データから遅れ破壊の発生の有無を図6及び図7に示す×印(遅れ破壊発生)及び○印(遅れ破壊発生せず)を用いてプロットし、以下の施例例について具体的に説明している。
【0047】
【実施例】
下記表1に示す化学成分組成を有する供試鋼を用い、線径φ21.5mmの線材に熱間圧延し、得られた各種線材を用い、M22の従来形状および本発明形状のねじ部2種類のボルトを作成した。次に、焼き入れ焼き戻しによりボルトの引っ張り強度1200MPa〜1700MPaまで調整した。この場合、引張り強度は成分と焼き戻し温度で調整され、焼き戻し温度は300℃〜650℃の範囲で行なった。この時の焼き戻し温度と引張り強度を表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003930799
【0049】
【表2】
Figure 0003930799
【0050】
これらのボルトの遅れ破壊特性は、以下の(A)および(B)の二種類を用いた。
(A)最初に鋼材成分と焼き戻し温度の影響についての評価方法を示す。
現在、高応力ボルト用鋼として一般に使用されている1100N/mm2級に調質したJISG4105で規定されているSCM440は、きわめて多くの量が自動車用として使用されているが遅れ破壊は発生していない。しかし、このSCM440に腐食で侵入する拡散性水素量を増大させていくと、ついには遅れ破壊を生じるようになる。今回の遅れ破壊特性の基準はこの時の拡散性水素量を用いた。すなわち、通常、引張強度を上げていくと、鋼材毎に絶対値は異なるものの、遅れ破壊を起こさない限界の拡散性水素量が低下する。特に、1400N/mm2レベル以上のきわめて高い強度になると、少ない拡散性水素量でも遅れ破壊に至るようになる。
【0051】
遅れ破壊試験はVノッチ付き試験片を切削加工により製作し、この試験片を所定時間36%塩酸に浸漬し、矯正的に水素を急増させた後、大気中で30分放置し、定荷重負荷装置によってノッチ強度×0.7の引張応力を負荷した。
【0052】
この時、鋼中に侵入した拡散性水素量を熱的分析法により測定し、併せて、鋼種毎に拡散性水素量と破断時間との関係を調査した。試験片が100時間以上破断しない時の拡散性水素量を鋼種毎の限界拡散性水素量とした。
【0053】
現行の高応力ボルトのSCM440を1100N/mm2級(TSは1200N/mm2)とした時の限界拡散性水素量は0.55ppmと求められた。高強度材の耐遅れ破壊特性は限界拡散性水素量を判断指標とし、高強度となっても、現行の1100N/mm2級のSCM440の限界拡散性水素量0.55ppm以上の限界拡散性水素量を有する鋼材は、遅れ破壊が発生しないという評価を用いた。
【0054】
(B)次に、耐遅れ破壊特性に及ぼすボルト形状については、従来形状のボルトおよび本発明形状のねじ部のボルトともに同一の軸力を付与し、観覧車方式による3.5%NaClの湿潤+乾燥の繰り返しにより、試験期間12ヶ月間での破断有無により評価した。
【0055】
その結果を下記表3に示すが、本発明の実施例は比較例に比べ耐遅れ破壊特性に優れていることが明らかである
【0056】
【表3】
Figure 0003930799
【0057】
その結果、図6に示すように、鋼材の引張強さTS(N/mm2)と焼戻温度T(℃)との関係において、ある直線を境として、例えば、焼戻温度Tが約550℃の場合、鋼材の引張強さTSが約1460N/mm2以上では、遅れ破壊が発生するが、それ以下では遅れ破壊が発生しない境界があることを見い出し、下記の関係式を得た。
TS=1.1T+850 ・・・・・・・・・(1)
【0058】
一方、図3に示すように、鋼材の引張強さTSと炭素当量Ceq(%)との関係において、ある直線を境として、例えば、炭素当量Ceqが約0.85%の場合、鋼材の引張強さが約1460N/mm2以上では、遅れ破壊が発生するが、それ以下では遅れ破壊が発生しないことを見い出し、下記の関係式を得た。
TS=550Ceq+1000 ・・・・・・・・・・(2)
この場合、鋼材の炭素当量Ceqそのものは、下記のようなJISの定義式、
Figure 0003930799
で表わされる。
【0059】
したがって、鋼材の焼戻温度Tと化学成分から計算される炭素当量Ceqとの二つの要素で引張強さTS(N/mm2)の範囲を遅れ破壊が発生しないように、すなわち、上記した式(1),(2)の下限範囲
TS≦1.1T+850 ・・・・・・・・・(3)
TS≦550Ceq+1000 ・・・・・・・・・(4)
に設定し、これらの両式(3),(4)を満足するように制御すれば、鋼材の引張強さTSを1200N/mm2以上で、1600N/mm2以下の範囲に容易に調質することが可能になる。
【0060】
また、上記した鋼材の化学成分は、例えば、本出願人が先に出願し公開された特開平7−278735号公報に開示してなるように、少なくとも質量%で、
C :0.30〜0.45%、
Si:0.10%未満、
Mn:0.40%超1.00%未満、
P :0.010%未満、
S :0.010%以下、
Cr:0.5〜1.5%未満、
Mo:0.35%超1.5%未満、
V :0.30%超1.0%以下、
を含有し、残部がFe及び付加的組成物からなる鋼材が好適に用いられる。
【0061】
この場合、上記した鋼材には、必要に応じて、質量%で、
Al:0.010〜0.100%
を含有させたり、更には、質量%で、
Nb:0.005〜0.030%、
Ti:0.005〜0.030%、
の1種または2種を含有させてもよい。
【0062】
このように、先願の発明によって得られた高力ボルトは、1200N/mm2以上1600N/mm2以下の強度範囲において、優れた耐遅れ破壊特性を有しており、従って、従来の1000N/mm2〜1100N/mm2級の高力ボルトに比べて、(1)部材の接合に必要なボルト本数を低減でき、接合部をよりコンパクトかつ軽量にすることができる。(2)ボルト本数の低減により、ボルト孔による断面欠損が減少し、補修補強の効率が改善する。(3)ボルト本数の低減より、施工時間を減少させることができる。(4)より高強度かつ厚肉鋼板のボルト接合が可能になり、設計の自由度が増す。(5)ボルトの小径化が可能になり、ボルトの持ち運びや締付けの作業性が向上する。(6)以上の効果により、トータルの補修補強の建設コストの低減が可能になる。
【0063】
なお、炭素当量Ceqとしては、1.4%以下にするとよく、この値より高いと、ボルト成形前の硬度が高すぎて、型寿命の著しい低下とボルトの加工割れを生じ、工業的に安定的な生産が困難になる。
【0064】
本発明においては、前記の先願の高力ボルトおよび鋼材を有効に利用し、また先願に開示されている高力ボルトを、打込式の高力ボルトに、その形状を変化させると共に、さらに打ち込み式高力ボルトに、図3に示すように、最小断面軸部19とピンテール部18を一体に有する打込式高力ボルト9とすることにより、打込式高力ボルト9に負荷される軸力(張力)の管理を容易にし、1200N/mm2以上1600N/mm2以下の強度範囲において、優れた遅れ破壊特性を有する打込式高力ボルト9を使用する。このように、1200N/mm2以上1600N/mm2以下の強度範囲の高い高張力の打込式高力ボルトを利用することにより、当然、せん断耐力も高く使用できるため、打込式高力ボルト9のせん断耐力は、従来のB10Tの場合より高めて使用することができ、その分、打込式高力ボルト9の本数を低減でき、また、打込式高力ボルト9をM22あるいはM24等の軸径寸法の大きい打込式高力ボルトを使用することにより、補修補強する場合に、さらに打込式高力ボルトの本数を低減することができる。
【0065】
このように、鋼材をボルト引張強さと焼戻温度、及びその化学成分から計算される炭素当量との間の各々の関係式を満足するように、焼入れ及び焼戻しによりボルト引張強さの範囲を調質し、これにより、1200N/mm2以上のボルト引張強さを有する耐遅れ破壊特性に優れていると共に、トルク管理が容易で、導入される軸応力を低減することのできる打込式高力ボルト9も提供することができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によると、既存の鋼構造物を補修補強する場合、軸径の大きな打込式高力ボルトを使用して、打込式高力ボルトのせん断耐力を最大に利用することができるので、補修補強工法でのボルト孔を設ける数を著しく少なくすることができ、鋼構造物の補修補強の施工コストを著しく削減することができ、また補修設計の自由度を高めることができる。
【0067】
また、打込式高力ボルトを低い軸方向応力が負荷される状態で使用するので、B10Tを超える打込式高力ボルトの遅れ破壊を確実に防止することができ、B10Tを超えるせん断耐力の高い打込式高力ボルトを有効に利用することもでき、せん断耐力の高い打込式高力ボルトも提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の補修補強工法を説明するための斜視図で、打ち込み式支圧高力ボルトを使用して鋼構造物を補修補強した状態を示斜視図ですある。
【図2】打ち込み式支圧高力ボルトを使用して鋼構造物を補修補強した図1に示す状態の一部を拡大して示す縦断側面図である。
【図3】本発明において使用する打ち込み式支圧高力ボルトを示す側面図である。
【図4】既設の鋼構造物を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る高力ボルトの一実施形態を示すねじ部の要部拡大説明図である。
【図6】鋼材の焼戻温度と引張強さとの関係を示す説明図である。
【図7】鋼材の炭素当量と引張強さとの関係を示す説明図である。
【図8】従来の高力ボルトの説明図である。
【図9】図8のA部における要部拡大説明図である。
【図10】従来の補修補強構造を示す斜視図である。
【図11】鋼桁の溶接部が疲労亀裂によって劣化を生じた場合を示す側面図である。
【図12】図11に示す疲労亀裂近傍を従来の方法により補修補強した場合を示す側面図である。
【符号の説明】
1 頭部
2 軸部
3 ねじ山
4a クランク面
4b クランク面
4c 谷底
5 とがり山
5a とがり山の底辺
6A 当接小円
6B 当接小円
7 外接円
8 弧状曲線
10 鋼製ボックス柱
11 鋼製ボックス梁
12 鋼構造物
13 鋼製側面板
14 鋼製側面板
15 補強用鋼板
15a 補強用鋼板
15b 補強用鋼板
16 ボルト16
17 ナット
18 ピンテール部
19 最小断面軸部
20 円環状軸部
21 ピンテール破断用インナーソケット
22 ナット係合用アウターソケット
23 ナット電動締付け工具
24 凸部
25 軸部
26 ローレット加工
27 前面板
28 上面板
29 下面板
30 ボルト孔
31 ボルト孔
32 手作業用の透孔
33 鋼桁
34 疲労亀裂
35 高力ボルト
36 鋼製ウエブ
H とがり山の高さ
L ねじ山のピッチ
M 中心部
O1 当接小円の中心
O2 外接円の中心
Q1 移行点
Q2 移行点
r 当接小円の半径
R 外接円の半径
X−X ボルト軸心
θ クランク面の角度

Claims (3)

  1. 鋼構造物の鋼板に補修補強用の鋼板を重ねるように配設すると共に、これらの鋼板に渡って挿通された打込式高力ボルトにより支圧接合することにより、鋼構造物を補修補強する鋼構造物の補修補強工法において、前記打込式高力ボルトのボルト引張り強さが、1200N/mm2以上で、1600N/mm2以下の範囲に調質されている打込式高力ボルトを使用し、かつ前記打込式高力ボルトに負荷される張力を、B10Tの標準的な高力ボルト張力と同じかそれ以下の応力に低下させた支圧接合とされていることを特徴とする鋼構造物の補修補強工法。
  2. 前記打込式高力ボルトが、B10Tの標準的な高力ボルト張力で破断されるピンテール部を有するトルシア型とされていることを特徴とする請求項1に記載の鋼構造物の補修補強工法。
  3. 請求項1または請求項2の鋼構造物の補修補強工法に使用される打込式高力ボルトであって、前記高力ボルトの引張強さTS(N/mm2)と焼戻温度T(℃)の関係が下記(1)式を満足し、かつ、前記高力ボルトの引張強さTS(N/mm2)とその高力ボルト用の鋼材の化学成分から計算される炭素当量Ceq(%)の関係が下記(2)式を満足し、焼入れ,焼戻しによりボルト引張強さが1200N/mm2以上で、1600N/mm2以下の範囲に調質されている高力ボルトであることを特徴とする。
    TS≦(1.1T+850) (1)
    TS≦(550Ceq+1000) (2)
    TS:高力ボルト引張強さ(N/mm2
    T :焼戻温度(℃)
    eq:炭素当量(%)
    Figure 0003930799
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