JP3930613B2 - 消臭フィルム材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は吸湿性を始めガス吸着性或いはイオン交換性に優れたゼオライトをフィルム材に均質に分散混合せしめて、高い消臭性を発揮しえる消臭フィルム材に関するものである。
【0002】
【従来技術】
ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂は軽量で強靱なうえ耐水性、耐薬品性に優れ且成形加工性も極めて良く且安価であること等より、これら樹脂素材からなるフィルム材は軽包装袋や重包装袋等に莫大な消費がなされている。しかしながら近年においては、これら軽包装袋や重包装袋も単に包装性や収納性の具備のみでは包装され若しくは収納される商品自体の市場競争を優位に展開することが出来ず、従って生鮮食品類や加工食品類の包装袋等では消臭性や鮮度保持性が、更に粉粒状の商品においては吸湿性による商品の品質保持等の機能が要求されるに至っている。
【0003】
ところで含水珪酸塩鉱物としてのゼオライトが多数の微孔を有するためその吸着面積が大きく、吸湿性やガス吸着性に加えてイオン交換性も有することから優れた消臭作用を保持することが古くから知られている。これがためゼオライトを微細に破砕したゼオライト粉をポリエチレン樹脂若しくはポリプロピレン樹脂に配合させて形成したフィルム材で鮮度保持や消臭を図る包装袋や包装容器等が試験的に上市されてなるものの、これら製品はゼオライト自体が脆弱なうえ微細に破砕されたゼオライト粉は、微細で多孔の構造のうえその形状も複雑多形状を呈するため分散性が極めて悪く、且配合時や熔融混練時にも崩壊して不均質な分散となること等より、形成されるフィルム材にはかかる分散不良に伴う色斑や厚み斑の発生はもとより、突起や斑点の現出等も招来されることからゼオライト粉の実質的配合はせいぜい2乃至3%以下に制限されるため、吸湿性やガス吸着性或いはイオン交換性等を十分発揮させるまでには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる実情に鑑みなされたものであって、本発明は吸湿性やガス吸着性或いはイオン交換性に優れるゼオライトを微細に破砕させたゼオライト粉材の強硬化と滑性を高めるとともにその見掛比重を小さくさせたうえ、低温度による融着性を以ってポリエチレン樹脂若しくはポリプロピレン樹脂と高い混合割合で且均質に分散させた配合原料を用いてフィルム状に成形することにより優れた消臭性を発揮する消臭フィルム材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明が採用した技術的手段は、その塩基置換容量(meq/100g)が少なくとも100以上で且その微孔表面積が少なくとも6.0m 2 /g以上のゼオライトを、その粒径が10μm以下に破砕したうえ、200乃至350℃の温度で、仮焼してなるゼオライト粉材を、ポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂に最大60%重量割合まで配合するとともに、該ゼオライト粉材に滑性と付着混合性を付与せしめ且見掛比重を低下せしめ、而も分散性を高めるための流動パラフィン及びポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂と該ゼオライト粉材とを低温度でその融着性により融着と且せん断力で分離させながら均質な分散配合を図る低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンからなる分散材を適宜割合に配合のうえ十分に分散配合させた配合原料を用いてフィルムに成形させてなる消臭フィルム材に存する。
【0006】
【作 用】
本発明の技術的手段によれば以下の如き作用を有する。即ち使用するゼオライトにその塩基置換容量(meq/100g)が少なくとも100以上で且微孔表面積が少なくとも6.0m 2 /g以上のものが選択され、而もこのゼオライトをその粒径が10μm以下に破砕のうえ200乃至350℃の温度で仮焼してなるゼオライト粉材が用いられるため、ゼオライトのイオン交換性が全く損われることなく、微孔内の水分や付着揮発分等が蒸散若しくは揮散除去されるとともに、その形成成分の粘土質が硬化しゼオライト粉材が強硬となる。そしてかかるゼオライト粉材がポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂に最大60%重量割合まで配合されても、該ゼオライト粉材の分散を十分に高める分散材として流動パラフィン及びその融点が40乃至80℃の低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンが適宜割合に配合されるため、該ゼオライト粉材とポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂とが均質に分散混合された配合原料が形成されるため、この配合原料でフィルム成形することによりゼオライト粉材が高い混合割合で且均質に分散された消臭フィルムが形成されることとなる。
【0007】
即ち流動パラフィンはゼオライト粉材への付着はもとよりポリエチレンやポリプロピレン樹脂或いは低分子量ポリエチレンやポリプロピレンとの相溶性を有するため、これらを相互に配合混練することにより、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂並びに低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレン、或いはゼオライト粉材の外表面が流動パラフィンにより包着されるとともに、配合混練に伴う発熱で融着され且せん断力で分離されながら均質に分散配合された配合原料が形成される。そしてかかる均質に分散混合された配合原料を用いてフィルム材の成形をなすことにより、かかる配合原料は成形に際して更に熔融混練がなされるため、成形されるフィルム材にはゼオライト粉材が均質に分散混合された状態で成形される。
【0008】
【実施例】
以下に本発明実施例を詳細に説明すれば、フィルム材を形成する素材としては使用特性を具備するほか安価で成形加工性に優れるポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が用いられるもので、一般的にフィルム材は熔融押出成形によるTダイ法やインフレーション法が使用されるものであるからフィルム成形用グレードの樹脂タイプを選択すれば良い。他方消臭機能を発揮させるためにはゼオライトが保持するガス吸着性やイオン交換性を利用するものであるものの、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂に分散混合されてフィルム材として形成される場合に、ゼオライト粉材のガス吸着性やイオン交換性の発揮が著るしく制限されることから、使用するゼオライトとしてはそのイオン交換性所謂塩基置換容器(meq/100g)が少なくとも100以上で且微孔表面積も6.0m 2 /g以上のものの選択が肝要となる。
【0009】
かくして選択されたゼオライトは薄肉なフィルム材に分散混合させるうえから、及びイオン交換性やガス吸着性をより大きな表面積で発揮させるうえから、その最大粒径として10μm以下に破砕させる。しかしながらゼオライトは大多数の微孔を有し且該微孔内には水分が含水されてなるばかりか各種の揮発物等も付着含有されてなるから、これらを蒸散若しくは揮散させて除去すること及びゼオライトは脆弱なため単に破砕したままでの使用では配合時或いは成形に際しての熔融混練時に崩壊し易く均質な分散が阻害されること等より、破砕されたゼオライトをそのイオン交換性が損われない程度の温度で、且脆弱なゼオライトの組成成分中の粘度質の硬化を図り強硬なゼオライトとなすうえから、200乃至350℃の温度で仮焼してゼオライト粉材となす。かかる場合における仮焼に要する時間は、仮焼温度を始め破砕された粒径や含有水分等により異るが、一般的ゼオライトをその粒径を10μmに破砕させたものでは、仮焼温度が200℃の場合で3乃至4時間が目途となる。
【0010】
かくしてなるゼオライト粉材は、ポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂に対して最大60%重量割合まで配合されるものであって、かかる多量の配合割合まで配合し均質に分散しえる背景には、本発明に格段の技術的配慮がなされていることによる。即ちゼオライト粉材は無機質なうえ大多数の微孔を有し且粉材各個が複雑多形状であるから、このままでは分散性は極めて悪い。これがため該ゼオライト粉材の配合とともに、流動パラフィン並びにその融点が40乃至80℃の低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンからなる分散材が適宜割合で配合され撹拌混合される。
【0011】
かかる場合において、流動パラフィンはゼオライト粉材への付着性はもとよりポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂或いは低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンと相溶性を有するため、撹拌混合によって流動パラフィンがゼオライト粉材やポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂或いは低分子量のポリエチレンやポリプロピレンの外表面を包着し、特にゼオライト粉材においてはその外表面に流動パラフィンの包着により複雑多形状の外表面が平滑状に且球形化されて、分散性が著るしく高められる。加えて撹拌混合に伴う発熱によって、低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンが溶融しその融着性によりポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂とゼオライト粉材とが融着され且撹拌に伴うせん断力による分離が交互に繰返えされながら、ゼオライト粉材が均質に分散混合された配合原料が形成される。
【0012】
そして撹拌混合が高速でなされる場合には、その撹拌混合に伴う発熱で低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンが熔融しえるが、撹拌混合が低速でなされる場合には撹拌混合機を40乃至80℃程度に加温させることが望まれる。低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンの融点を少なくとも40℃以上にしたことは取扱性の面で有利なことによるもので、且80℃以下にすることはフィルム形成素材としてのポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂の物性に影響を与えぬことによる。
【0013】
ゼオライト粉材の配合量の増大に伴って、分散材たる流動パラフィン及び低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンの配合量も増大されるが、流動パラフィンが必要以上に配合されるとゼオライト粉材の外表面に過剰に包着されて成形されたフィルム材におけるイオン交換性やガス吸着性が十分に発揮されなくなる恐れが生じるため、その配合割合はポリエチレンやポリプロピレン樹脂に対し少なくとも1.0%重量で且最大でも3%重量割合以下に留めることが望ましい。そして低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンにおいても配合割合が過剰となると、融着性が著るしく増大し分散混合された配合原料にブロッキングが発生し、フィルム材成形に際しての押出成形機への供給に支障が発生することから、その配合割合は少なくとも2.0%重量以上で且最大でも6.0%重量以下に留めるべきである。
【0014】
かくして分散混合された配合原料を押出成形機を用いてTダイ法やインフレーション法により所望の厚さ及び幅のフィルム材を成形することにより、ゼオライト粉材が均質に分散混合された高い消臭性を保持する消臭フィルム材が形成される。
【0015】
【発明の効果】
本発明は上述した如く、その塩基置換容量(meq/100g)が少なくとも100以上で且微孔表面積が6.0m 2 /g以上のゼオライトを粒径10μm以下には破砕し、而も200乃至350℃の温度を以って仮焼してなるゼオライト粉材を用いてなるから、残留水分や揮発分が除去されてなり且粘上質の硬化に伴って強硬なゼオライト粉材となるため、配合原料の撹拌混合時や押出成形機における熔融混練時にも崩壊せず、良好な分散とともにフィルム成形時にも蒸気やガスによる気泡の発生もなくなる。そして無機質で多数の微孔を有し且複雑多形状のゼオライト粉材でも、その外表面が流動パラフィンが包着されるため、粉材各個の形状が球形化し滑性が付与されるばかりかその見掛比重もより小さくなり分散性が著るしく高まる。加えてその融点が40乃至80℃の低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンが配合されるため、撹拌混合時にその熔融に伴う融着性により該ゼオライト粉材がポリエチレンやポリプロピレン樹脂と融着され且撹拌混合に伴うせん断力で分離されることが交互になされるため、最大60%重量割合まで配合されるゼオライト粉材も均質に分散混合された配合原料が形成される。而してかかる配合原料を用いて、更に押出成形機により熔融混練されたうえフィルム材が成形されるため、ゼオライト粉材が高い配合割合で且均質に分散混合されたフィルム材が形成され、而もそのイオン交換性並びにガス吸着性とにより極めて消臭性に優れる等、多くの特長を具備した消臭フィルム材である。
Claims (1)
- その塩基置換容量(meq/100g)が少なくとも100以上で且微孔表面積が少なくとも6.0m 2 /g以上のゼオライトを最大粒径10μm以下に粉砕し、200乃至350℃で仮焼してなるゼオライト粉材であって、前記ゼオライト粉材が、ポリエチレン若しくはポリプロピレンに対して最大60%重量割合で添加されるゼオライト粉材と、その融点が40乃至80℃の低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンであって、前記低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンが、ポリエチレン若しくはポリプロピレンに対して2.0%重量割合から6.0%重量割合で添加される低分子量ポリエチレン若しくはポリプロピレンと、ポリエチレン若しくはポリプロピレンに対して1.0%重量割合から3.0%重量割合で添加される流動パラフィンとからなる分散材とを、ポリエチレン若しくはポリプロピレン樹脂に均質に分散混合させた配合原料でフィルム状に成形させてなることを特徴とする消臭フィルム材。
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JP22059097A JP3930613B2 (ja) | 1997-07-11 | 1997-07-11 | 消臭フィルム材 |
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