JP3926931B2 - 輪転印刷機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェブに印刷する輪転印刷機に関し、特に版替え時におけるウェブの巻き込みを防止した輪転印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の輪転印刷機は、ウェブがロール状に巻回された巻取紙を備えた給紙部と、この給紙部から給紙されたウェブを印刷するブランケット胴ないし版胴などの印刷胴を備えた印刷ユニットと、この印刷ユニットで印刷されたウェブを乾燥する乾燥機と、ウェブを折り曲げる折り機とから概ね構成されている。そして、例えば2つの印刷ユニットが備えられた両面2色の印刷機の場合の版替え時には、本機を停止させ版胴を略1回転分だけ正逆方向に回転させることにより旧版を版胴から取り外し、および新版の版胴への取り付けを行っている。このように版胴を略1回転分だけ正逆方向に回転させるときに、印刷を行ったときの状態、すなわちウェブを給紙部と乾燥機との間に張ったままの状態にしておくと、印刷ユニットと乾燥機との間のウェブに大きな負荷がかかり断紙するおそれがある。したがって、これを防止するために、版替えを行う前に、折り機側の駆動と印刷ユニット側の駆動との連結をクラッチにより切り離し、版胴を略1回転だけ正転させることにより、あらかじめ印刷ユニットと乾燥機との間においてウェブに弛みをもたせておくようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この断紙を防止するために設けたウェブの弛み部分が、版替え時に版胴を正転および逆転させるときに揺動し、ウェブの下方に位置する版胴とブランケット胴との間に巻き込まれるおそれがあった。このようにウェブが巻き込まれると、巻き込まれたウェブを取り除くための作業が必要となり生産性が低下するばかりか、断紙が発生するおそれがあった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、版替え時におけるウェブの断紙を防止し、生産性の向上を図った輪転印刷機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載の発明は、給紙部から給紙されたウェブを印刷ユニットで印刷し折り機で折る輪転印刷機において、印刷ユニットと折り機との間におけるウェブの走行経路に、印刷時に退避し、版替え時に進出して版替え時における断紙を防止するためにもたせるウェブの弛みを押圧しウェブに張りを付与する巻付け防止部材を備えたものである。
したがって、巻付け防止部材によってウェブの弛み部は、下方に一定のテンションをもって押圧されて張られるので、版替え時にブランケット胴や版胴側に揺動するようなことがない。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、印刷ユニットと給紙部との間におけるウェブの走行経路に、印刷時に退避し、版替え時に進出して版替え時における断紙を防止するためにもたせるウェブの弛みを押圧しウェブに張りを付与する第2の巻付け防止部材を備えたものである。
したがって、第2の巻き付け防止部材によって、印刷ユニットと給紙部との間のウェブの弛みが除去される。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、印刷ユニットとインフィード部との間におけるウェブの走行経路に、印刷時に退避し、版替え時に進出して版替え時における断紙を防止するためにもたせるウェブの弛みを押圧しウェブに張りを付与する第2の巻付け防止部材を備えたものである。
したがって、印刷ユニットとインフィード部との間のウェブの弛みが除去される。
【0007】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、版替え時に巻付け防止部材がその自重によってウェブを押圧するようにしたものである。
したがって、巻き付け防止部材を下降させる手段が不要になる。
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、巻付け防止部材の退避状態を保持する保持手段を設けたものである。
したがって、巻き付け防止部材の不使用時には、巻き付け防止部材を確実に退避位置に保持できる。
また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、巻付け防止部材の位置を検出する検出手段を設けたものである。
したがって、所定の位置に達した巻き付け防止部材を退避位置に位置付けることが可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る輪転印刷機の全体の構成を示す側面図、図2は同じく主要部の概略の構成を示すモデル図、図3は同じく要部の側面図、図4は同じく背面図、図5は同じく拡大して示す側面図である。
図1および図2において、全体を符号1で示す輪転印刷機は、印刷順序に従って給紙部2と、インフィード部3と、このインフィード部3から給紙されたウェブ10を印刷する印刷ユニット4と、この印刷ユニット4で印刷されたウェブ10を乾燥する乾燥機5と、乾燥したウェブ10を冷却する冷却機6と、ウェブパス部7と、折り機8とを備えている。
【0009】
給紙部2には、ウェブ10がロール状に巻回された巻取紙11と、図示を省略した予備の巻取紙とが備えられている。巻取紙11には、ウェブ10を給紙する方向と反対方向(図中矢印B方向)、すなわち図中時計方向に制動負荷をかける制御ブレーキ(図示せず)が設けられている。インフィード部3には、この巻取紙11から引き出されたウェブ10を印刷ユニット4に案内するガイドローラ12,13,19とが備えられている。14はテンションローラであって、対向配置された一対のガイドローラ12,13の間に設けられ、図示を省略したエアーシリンダによって上下動自在に支承され、かつ常に下方に一定の圧力で付勢されており、給紙部2から給紙されるウェブ10の弛みを防止するものである。16,17は一対のニップローラであって、上方のニップローラ17は図示を省略したエアーシリンダによって上下に移動自在で、印刷時および版替え時においては下方に移動し下方のニップローラ16に所定のニップ圧で対接することにより、ウェブ10の給紙速度を一定に保持するものである。18は定位置制御ローラであって、対向配置されたニップローラ16とガイドローラ19との間で、かつこれらローラ16,19の下方に設けられ、常にウェブ10に張力を付与するものである。
【0010】
印刷ユニット4には、2つの印刷ユニット4a,4bが備えられており、これら印刷ユニット4a,4bのそれぞれには、走行するウェブ10を挟んで一対のブランケット胴21a,21bと、これらブランケット胴21a,21bに対接する一対の版胴22a,22bと、これら版胴22a,22bに水とインキを供給する図示を省略したインキ装置と給水装置とが設けられている。
以上説明した給紙部2、インフィード部3および印刷ユニット4については、従来から広く使用されている輪転印刷機の給紙部、インフィード部および印刷ユニットと特別変わるところはない。
【0011】
次に、図3ないし図5に基づいて本発明の特徴であるウェブ10の弛み部10aを押圧する装置を説明する。印刷ユニット4と乾燥機5との間の乾燥機5に近接した位置には、左右一対の支柱30,31が埋め込みボルト33,33を介して床32に立設され、これら左右一対の支柱30,31は、ウェブ10の左右の幅よりも長いステー34によって左右の間隔を保持され、かつ印刷ユニット4との間隔をステー35によって保持されている。37はウェブ10を案内するガイドであって、断面くの字状に形成され、左右の支柱30,31間に延在するように、ブラケット(図示せず)を介して支柱30,31に取り付けられている。
【0012】
一方の支柱31の上部側には、エアーシリンダ40が一対のブラケット42,42を介して支柱31に沿って延在するように取り付けられており、このエア−シリンダ40の作動ロッド41の下端には、略角柱状の連結部材43が取り付けられている。エアーシリンダ40は、作動状態において作動ロッド41がエアーシリンダ40内に退避し、非作動状態において、エアーシリンダ40内が大気圧と同じ状態になり、作動ロッド41は後述する押圧ローラ54の自重によりエアーシリンダ40から進出するように構成されている。連結部材43の上方の前面部には、めくら穴状の係合凹部43aが形成され、下部には前後方向に貫通する係合孔43bが穿設されている。
【0013】
支柱31の下部側には、円柱状のガイド軸45が一対のブラケット46,47を介して支柱31に沿って延在するように取り付けられており、一方のブラケット46には、上述した連結部材43が遊挿される遊挿孔46aが穿設されている。50は略円筒状に形成された移動子であって、直動ベアリング51を介してガイド軸45に上下方向に摺動自在に支持されている。この移動子50の中央の両側部には、一対の貫通孔50a,50aが対向するように穿設され、これら貫通孔50a,50aのそれぞれには、段付きピン52,53の小径部が嵌合され溶接によって固着されることにより、段付きピン52,53が移動子50の両側部から水平方向に突設されている。
【0014】
一方のピン52は、前記連結部材43の係合孔43b内に係入され、他方のピン53には、巻付け防止部材としての円筒状の押圧ローラ54がボルトによって固定されており、この押圧ローラ54は、ピン53、移動子50、ピン52および連結部材43を介して作動ロッド41に連結されている。この押圧ローラ54は、図3に示すように、左右の支柱30,31間に延在し、図4に示すように、全長Lが左右の支柱30,31間よりもやや短く形成されている。上述したエアーシリンダ40が作動状態になり、作動ロッド41がエアーシリンダ40内に退出すると、連結部材43が上端限に位置し、押圧ローラ54は、図3に実線で示すように、上述したガイド37よりもやや上方の退避位置に位置付けられて停止する。一方、エアーシリンダ40が非作動状態になると、押圧ローラ54の自重により作動ロッド41がエアーシリンダ40から進出するので、連結部材43が下方に移動する。したがって、移動子50がガイド軸45に案内されて下方に摺動し、押圧ローラ54は、図3および図4に二点鎖線で示す進出位置に下降する。
【0015】
上述したブラケット46には、保持手段としての別のエアーシリンダ55が固定され、先端に回動自在に支持されたころ56aを備えた作動ロッド56は、上述した連結部材43が上端限に位置したときに係合凹部43aに対向するように位置付けられている。したがって、上述したエアーシリンダ40が作動状態になり、連結部材43が上端限に位置付けられ、エアーシリンダ55が作動し、作動ロッド56が進出すると、作動ロッド56のころ56aは係合凹部43a内に係合する。この係合によって、連結部材43が下降するのを規制されるので、移動子50がガイド軸45に沿って下降するのが規制され、このため、印刷中に押圧ローラ54が誤って落下するのが防止されるように構成されている。
【0016】
乾燥機5のフレーム60の前面板の略中央には、上述したガイド37と対向するようにガイド凹部61が左右の支柱30,31間に延在するように形成され、このガイド凹部61の背面部には、ウェブ10を乾燥機5の内部に導くガイドスリット62が左右の支柱30,31間に延在するように穿設されている。
上述した給紙部2、インフィード部3、印刷ユニット4、乾燥機5等を構成する各ローラおよび胴は、図示を省略したドライブシャフトによって連結され、給紙部2側に設けられた本機の駆動モータによって駆動されている。また、印刷ユニット4側と折り機8側との間には、図示を省略したクラッチが設けられており、本機駆動用のモータからの回転伝達を断接できるように構成されている。
【0017】
次に、このような構成の輪転印刷機における版替え動作を説明する。
先ず、通常の印刷動作を説明する。上方のニップローラ17は図示を省略したエアーシリンダの作動によって下方のニップローラ16に所定のニップ圧をもって対接し、印刷ユニット4のブランケット胴21a,21bも対接している。また、エアーシリンダ40が作動し作動ロッド41がエアーシリンダ40内に退避し、押圧ローラ54が図3および図4に実線で示す退避位置に位置付けられている。このとき、エアーシリンダ55も作動し、図5に示すように、作動ロッド56のころ56aが連結部材43の係合凹部43a内に進入しているので、連結部材43が誤って降下するようなことがなく、押圧ローラ54もウェブ10の走行経路に進出するようなこともない。
【0018】
この状態で印刷開始のボタンを操作すると、各ローラおよび各胴が正方向に回転し、巻取紙11から引き出されたウェブ10はガイドローラ12、テンションローラ14、ガイドローラ13、ニップローラ16、定位置制御ローラ18、ガイドローラ19に添接されて矢印A方向に走行し、印刷ユニット4に供給される。このとき、テンションローラ14が、図示を省略したエアーシリンダによって下方に付勢されている。したがって、巻取紙11から引き出されたウェブ10に弛みが発生してもテンションローラ14によりウェブ10が張り方向に引っ張られるので、弛みの発生が防止される。また、ニップローラ16,17が所定のニップ圧をもって対接していることにより、ウェブ10の給紙速度が常に一定に保たれる。印刷ユニット4に供給されたウェブ10は、2つの印刷ユニット4a,4bによって表面と裏面とに各2色ずつの印刷が施され、ガイド37およびガイド凹部61によって案内され、ガイドスリット62から乾燥機5内に導入され、乾燥機5内において印刷面が乾燥される。
【0019】
次に、版替え動作を説明する。先ず、折り機8側の駆動と印刷ユニット4側の駆動をつなぐクラッチ(図示せず)を切り離す。また、ニップローラ17のエアーシリンダを作動状態とし、ニップローラ17を下降させニップローラ16に対接させてから、本機の駆動モータを駆動させ、印刷ユニット4の版胴22a,22bを略1回転だけ正転させる。この場合、正転とは、版胴22aが図2中時計方向に回転し、版胴22bが反時計方向に回転することをいう。このとき、折り機8側のローラ(図示せず)はクラッチにより本機の駆動モータからの回転が伝達しないように切り離されているので、印刷ユニット4と乾燥機5との間に位置するウェブ10には、図2に二点鎖線で示すように版胴22aの略外周分だけの弛み部10aが発生する。
【0020】
そして、エアーシリンダ55を非作動状態とし、作動ロッド56をエアーシリンダ55内に退避させることにより、作動ロッド56のころ56aと連結部材43の係合凹部43aとの係合を解除する。エアーシリンダ40を非作動状態にすることにより、エアーシリンダ40内が大気圧と同じ状態になるので、移動子50を介して押圧ローラ54が自重によりガイド軸45に案内されて降下する。降下した押圧ローラ54はウェブ10の弛み部10aに当接するので、押圧ローラ54によってウェブ10は下方に押圧され、図3で二点鎖線で示すように、ガイド37およびガイド凹部61の端縁とに支持されて、押圧ローラ54によって下方に張られた状態になる。
【0021】
この状態としてから、対接している上下のブランケット胴21a,21b間を僅かに離間させ、版替え用の操作ボタンを操作することにより、版替え動作を開始する。このとき、印刷ユニット4の版胴22a,22bとブランケット胴21a,21bとを略1回転だけ正方向と逆方向に回転させるが、正方向に回転するとき、ウェブ10は矢印A方向に走行するので、弛み部10aの弛み量が増加するが、この弛み部10aは押圧ローラ54によって下方に押圧される。一方、版胴22a,22bとブランケット胴21a,21bとを逆方向に回転させると、ウェブ10は矢印B方向に走行するので、弛み部10aの弛み量が減少し、これにともない弛み部10aに添接している押圧ローラ54は、自重に抗して上昇する。同時に、給紙部2側のウェブ10に弛みが発生するが、テンションローラ14がエアーシリンダによって下方に押圧されているので、ウェブ10も下方に押圧され、弛みは発生しない。このように、インフィード部3側に上下動自在なテンションローラ14が設けられ、印刷ユニット4側と折り機8側との間に上下動自在な押圧ローラ54が設けられていることにより、版替え動作中において、これらローラ14、54が互いに相反する方向に上下動するので、印刷ユニット4の前後においてウェブ10に断紙が発生することなく弛みの発生が防止される。
【0022】
また、ウェブ10の印刷ユニット4と乾燥機5との間の弛み部10aは押圧ローラ54によって下方に押圧された状態になっているので、この部分がブランケット胴21b、版胴22b側に揺動することがない。このため、版替え動作中にウェブ10の弛み部10aが、これら両胴21b,22b間に巻き込まれるのが防止される。また、弛み部10aの下方への押圧は、押圧ローラ54の自重によって行われるので、版替え動作中にウェブ10の弛み量が変化しても、複雑な構造を必要としないで常に一定の張りが得られるとともに、強制的に張られるようなこともないので、ウェブ10の断紙が防止される。
【0023】
版替え動作が終了したら、エアーシリンダ40を作動させ、作動ロッド41をエアーシリンダ40内に退避させることにより、押圧ローラ54を上昇させて退避位置に位置付ける。エアーシリンダ55を作動させ、作動ロッド56のころ56aを連結部材43の係合凹部43a内に進入させることにより、連結部材43の下降を規制し、押圧ローラ54の落下を防止する。版替えは、正転で終了するため、給紙側のテンションローラ14の位置は、上昇位置にあり、また乾燥機5側のテンションローラ54の位置は、下降位置にあるため、版替え終了時にテンションローラ54を待機位置に上げるとテンションローラ14は下がり、紙の弛みは矯正される。折り機8側の駆動と印刷ユニット4側の駆動をつなぐクラッチ(図示せず)を接続し、印刷を再開する。
【0024】
図6は本発明に係る輪転印刷機の第2の実施の形態を示す概略の構成を示すモデル図、図7は同じく動作順序を示す工程図である。
図6において、この第2の実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる第1の点は、印刷ユニット4と乾燥機5との間に設けた第1の押圧ローラ54Aと同じ機能を有する第2の押圧ローラ54Bを、印刷ユニット4とインフィード部3との間にも設けた点にある。また、第2の異なる点は、両押圧ローラ54A,54Bが上昇したことを検出するセンサ66A,66Bを設けた点にある。また、第3の異なる点は、印刷ユニット4に、4つの印刷ユニット4a,4b,4c,4dが備えられている点にある。なお、65はニップローラ17に対接するインフィード駆動ローラであって、印刷中にウェブ10のテンションを常に一定に保つように機能するものである。
【0025】
次に、このような構成の輪転印刷機における版替え動作を図7に基づいて説明する。
S1において、版替えのスタートボタンを操作すると、S2において、ニップロール17がインフィード駆動ローラ65に対接する。S3において、各印刷ユニット4a〜4dの対接するゴム胴21aとゴム胴21bとを脱とする。S4において、折り機8側の駆動と印刷ユニット4側の駆動をつなぐクラッチ(図示せず)を切り離す。S5において、本機の駆動モータを駆動させ、印刷ユニット4の版胴22a,22bを略2回転だけ正転させる。このとき、折り機8側のローラ(図示せず)はクラッチにより本機の駆動モータからの回転が伝達しないように切り離されているので、印刷ユニット4と乾燥機5との間に位置するウェブ10には、版胴22aの略外周分だけの弛み部が発生する。
【0026】
S6において、第1の押圧ローラ54Aのエアーシリンダ55を非作動状態とし、エアーシリンダ40を非作動状態にすることにより、第1の押圧ローラ54Aのロックが解除され、第1の押圧ローラ54Aが自重により降下するのでウェブ10の弛みは除去される。S7において、版胴22a,22bを停止し、S8において、インフィード駆動ローラ65の駆動を停止する。これは版替え中にウェブ10の張力を一定にしようとしてインフィード駆動ローラ65が作動すると、ウェブを断紙させてしまうおそれがあり、あらかじめこれを除去するためである。
【0027】
S9において、第2の押圧ローラ54Bのエアーシリンダ55を非作動状態とし、エアーシリンダ40を非作動状態にすることにより、第2の押圧ローラ54Bのロックが解除され、第2の押圧ローラ54Bが自重により下降可能な状態となる。S10において、版替え用の操作ボタンを操作することにより、排版がスタートし、印刷ユニット4の版胴22a,22bが略1回転だけ逆転し、旧版が版胴22a,22bから取り外される。このとき、ウェブ10は矢印B方向に走行するので、S11において、第1の押圧ローラ54Aは自重に抗して上昇し、第2の押圧ローラ54Bは自重によって下降する。したがって、印刷ユニット4とインフィード部3との間でウェブ10の弛み量が増加するが、この弛みは第2の押圧ローラ54Bによって下方に押圧され、弛みは除去される。
【0028】
排版が終了したら、S12において、給版がスタートし、印刷ユニット4の版胴22a,22bが略1回転だけ正転し、新版が版胴22a,22bに取り付けられる。このとき、ウェブ10は矢印A方向に走行するので、S13において、第2の押圧ローラ54Bは自重に抗して上昇し、第1の押圧ローラ54Aは自重によって下降する。したがって、印刷ユニット4と乾燥機5との間でウェブ10の弛み量が増加するが、この弛みは第1の押圧ローラ54Aによって下方に押圧される。
【0029】
このように、版替え動作中において、第1および第2の押圧ローラ54A,54Bが互いに相反する方向に上下動するので、印刷ユニット4の前後においてウェブ10に断紙の発生を防止することができる。また、弛みの発生も防止されるので、版替え動作中にウェブ10の弛みが版胴22bやブランケット胴21bに巻き込まれるようなことがない。また、印刷ユニット4とインフィード部3との間に第2の押圧ローラ54Bを設けたことにより、第2の押圧ローラ54Bの下降量が充分得られる。したがって、上述した第1の実施の形態においてテンションローラ14によって対応した場合と比較して、印刷ユニット4とインフィード部3との間に発生する任意の弛み量に対応することが可能になる。
【0030】
S14において、版替え動作が終了したら、S15において、版胴22a,22bを略半回転だけ逆転させ、ウェブ10を矢印B方向に走行させる。S16において、第1の押圧ローラ54Aが自重に抗して中間位置に上昇し、第2の押圧ローラ54Bが自重によって中間位置に下降し待機する。S17において、印刷機を緩動回転させ、折り機8側の駆動と印刷ユニット4側の駆動をつなぐクラッチ(図示せず)をONする。このとき、クラッチがつながるまでのわずかな時間印刷ユニット4と乾燥機5との間でウェブ10に弛みが発生しようとするが、待機位置にある第1の押圧ローラ54Aが自重により下降するので、弛みの発生が防止される。このように、クラッチがつながるまでに発生するウェブ10の弛みを防止できるので、クラッチがつながったときに発生しやすい断紙を防止できる。また、従来においては、この弛みの発生を防止するために、版交換終了後に、自動紙継ぎ装置を作動させて弛みを除去していたが、本発明においては、任意量の下降が可能な両押圧ローラ54A,54Bを待機位置とするだけでよいので、煩雑な操作が不要になる。
【0031】
クラッチがつながると、ウェブ10が矢印A方向に走行するので、両押圧ローラ54A,54Bが共に上昇し、S19において、センサ66A,66Bによって両押圧ローラ54A,54Bを検出する。なお、このセンサ66A,66Bの検出位置は、ウェブ10の弛みが微少となる位置に設けられている。この検出によって、S20において、エアーシリンダ40が作動し、作動ロッド41がエアーシリンダ40内に退避することにより、押圧ローラ54A,54Bが上昇し退避位置に位置付けられる。さらに、エアーシリンダ55が作動し、作動ロッド56のころ56aを連結部材43の係合凹部43a内に進入することにより、連結部材43の下降が規制され、押圧ローラ54A,54Bの落下が防止される。このようにセンサ66A,66Bを設けたことにより、ウェブ10の弛みの発生を確実に防止するとともに、押圧ローラ54A,54Bの退避が確実に行われる。
【0032】
なお、本実施の形態では、ウェブ10の上方にエアーシリンダ40を配置し、押圧ローラ54,54A,54Bの自重でウェブ10を押圧するようにしたが、エアーシリンダ40をウェブ10の下方に配置し、エアーシリンダ40を作動させウェブ10を上方に持ち上げるようにしてもよい。その場合には、作動ロッド41が一定圧以上にならないように設定されたリリーフ弁を設けることにより、ウェブ10に必要以上の押圧力がかかるのを規制し、ウェブ10の断紙を防止する。
【0033】
また、ウェブ10に弛み部が発生するのは版替え時に限らず、例えばメンテナンス時に、印刷ユニット4側と折り機8側との間のクラッチを結合させる際、版胴22a,22bを180°近く回動させる場合にも発生する。この場合にも、押圧ローラ54,54A,54Bによって弛み部を押圧することにより、版胴22a,22bとブランケット胴21a,21bとの間に巻き込まれるのを防止することができる。また、テンションローラ14の替わりに巻取紙11自体とエアシリンダ40とで版替え動作中の動きを行わせてもよい。例えば、正方向に回転するときには巻取紙11をブランケット胴21a,21bの略1回転分のウェブ10を矢印A方向へ繰り出すようにし、逆方向に回転するときには、ブランケット胴21a,21bの略1回転分のウェブ10を矢印B方向へ繰り戻すようにすればよい。また、押圧ローラ54,54A,54Bは、軸線方向に長く1本で構成してもよく、あるいは複数本に分割されていてもよく、さらに、複数本に分割されている場合には、円柱でなく球としてもよく、種々の設計変更が可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、版替え時のウェブの巻き込みが防止されるので、これを取り除く作業や巻き込みによって断紙したウェブの接合作業が不要になるので、生産性が向上する。
【0035】
また、請求項2記載の発明によれば、版替え時のウェブの巻き込みが防止されるので、これを取り除く作業や巻き込みによって断紙したウェブの接合作業が不要になるので、生産性が向上する。
【0036】
また、請求項3記載の発明によれば、印刷ユニットとインフィード部との間に発生する任意の弛み量に対応することが可能になる。また、印刷ユニットと印刷ユニットの上流側の直近のインフィード部との間に発生するウェブの弛みが防止されるので、印刷ユニットの上下流の直近のローラにウェブが巻き込まれることがなく、このため巻き込みによる断紙がより確実に防止される。
【0037】
また、請求項4記載の発明によれば、複雑な構造を必要としないで、ウェブに常に一定の張りが得られ、ウェブの断紙が防止される。
【0038】
また、請求項5記載の発明によれば、通常の印刷動作中に誤って巻き付け防止部材がウェブの走行経路中に誤って進出するようなことがないので、印刷障害が排除され、生産性の向上に支障をきたすようなことがない。
【0039】
また、請求項6記載の発明によれば、ウェブの弛みの発生を確実に防止するとともに、巻き付け防止部材の退避が確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る輪転印刷機の全体の構成を示す側面図である。
【図2】 本発明に係る輪転印刷機の概略の構成を示すモデル図である。
【図3】 本発明に係る輪転印刷機の要部の側面図である。
【図4】 本発明に係る輪転印刷機の要部の背面図である。
【図5】 本発明に係る輪転印刷機の要部を拡大して示す側面図である。
【図6】 本発明に係る輪転印刷機の第2の実施の形態の概略の構成を示すモデル図である。
【図7】 本発明に係る輪転印刷機の第2の実施の形態における動作順序を示す工程図である。
【符号の説明】
1…輪転印刷機、2…給紙部、4…印刷ユニット、5…乾燥機、8…折り機、10…ウェブ、21a,21b…ブランケット胴、22a,22b…版胴、37…ガイド、40,55…エアーシリンダ、41,56…作動ロッド、43…連結部材、43a…係合凹部、45…ガイド軸、50…移動子、54…押圧ローラ、54A…第1の押圧ローラ、54B…第2の押圧ローラ、61…ガイド凹部、66A,66B…センサ。

Claims (6)

  1. 給紙部から給紙されたウェブを印刷ユニットで印刷し折り機で折る輪転印刷機において、印刷ユニットと折り機との間におけるウェブの走行経路に、印刷時に退避し、版替え時に進出して版替え時における断紙を防止するためにもたせるウェブの弛みを押圧しウェブに張りを付与する巻付け防止部材を備えたことを特徴とする輪転印刷機。
  2. 請求項1記載の輪転印刷機において、印刷ユニットと給紙部との間におけるウェブの走行経路に、印刷時に退避し、版替え時に進出して版替え時における断紙を防止するためにもたせるウェブの弛みを押圧しウェブに張りを付与する第2の巻付け防止部材を備えたことを特徴とする輪転印刷機。
  3. 請求項1記載の輪転印刷機において、印刷ユニットとインフィード部との間におけるウェブの走行経路に、印刷時に退避し、版替え時に進出して版替え時における断紙を防止するためにもたせるウェブの弛みを押圧しウェブに張りを付与する第2の巻付け防止部材を備えたことを特徴とする輪転印刷機。
  4. 請求項1記載の輪転印刷機において、版替え時に巻付け防止部材がその自重によってウェブを押圧することを特徴とする輪転印刷機。
  5. 請求項1記載の輪転印刷機において、巻付け防止部材の退避状態を保持する保持手段を設けたことを特徴とする輪転印刷機。
  6. 請求項1記載の輪転印刷機において、巻付け防止部材の位置を検出する検出手段を設けたことを特徴とする輪転印刷機。
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