JP3926602B2 - 目標追尾装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、センサ等からの目標の位置情報に関する観測データに基づいて目標の位置や速度などの目標運動諸元を推定する目標追尾装置及び方法に関し、特に複数の運動モデルの確率密度分布について所望の重なりを実現することにより、いかなる目標に対しても安定した追尾精度を維持する目標追尾装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の目標追尾装置の構成を示すブロック図である。また、図11は、図10に示す目標追尾装置の動作を説明するためのフローチャートを示す。以下、図10を参照して従来の目標追尾装置の構成を説明する。図10において、1は、目標観測装置を示し、センサが観測する目標位置に関する観測情報(以下、「目標位置観測情報」と称する)を取得する。2は、ゲート判定器を示し、目標観測装置1からの目標位置観測情報と、予測値、予測誤差共分散行列とにより対象追尾目標の選択を行い、得られた観測値を後述する信頼度算出器、平滑器に出力する。
【0003】
3は、信頼度算出器を示し、ゲート判定器2からの観測値と、運動モデルごとの予測値、運動モデルごとの予測誤差共分散行列、および1サンプリング前の各運動モデルの信頼度を基に、各運動モデルの信頼度を算出する。4は、信頼度メモリを示し、信頼度算出器3によって算出された1サンプリング前の信頼度を蓄積し、信頼度算出器3に出力する。5は、平滑器を示し、ゲート判定器2からの観測値と、各運動モデルの信頼度、定数加速度ベクトル、加速度平滑値、ゲイン行列、および1サンプリング前の平滑値及び平滑誤差共分散行列を基に、平滑値及び平滑誤差共分散を算出する。6は、平滑器メモリを示し、平滑器5によって出力された1サンプリング前の平滑値及び平滑誤差を蓄積し、平滑器5へ再び出力する。
【0004】
7は、予測器を示し、平滑器6からの平滑値と、各運動モデル信頼度、定数加速度ベクトルを基に、予測値及び予測誤差共分散行列を算出する。8は、第1の遅延回路を示し、予測器7によって算出された予測値を単位時間だけ遅延させる。9は、各運動モデル毎の予測器を示し、平滑器5からの平滑値を基に、運動モデルごとの予測値及び予測誤差共分散行列を算出する。10及び11は、第2および第3の遅延回路を示し、それぞれ各モデル毎予測器9より算出された予測値および予測誤差共分散行列の位置成分と観測誤差共分散行列の和である残差共分散行列を単位時間だけ遅延させる。
【0005】
12は、ゲイン行列算出器を示し、あらかじめ設定された観測モデルより得られる観測雑音共分散行列および1サンプリング前に算出しておいた各モデル毎予測器9より得られる予測誤差共分散行列を後述する第4の遅延回路を介して入力し、平滑値算出に使用するゲイン行列を算出する。13は、第4の遅延回路を示し、各モデル毎予測器9より算出された予測誤差共分散行列を単位時間だけ遅延させる。
【0006】
14は、モデル設定器を示し、定数加速度ベクトル及びモデル遷移行列を設定し、設定された定数加速度ベクトルを、平滑器5、予測器7、各モデル毎予測器9、後述する入力ベクトル平滑器へ、また、モデル遷移行列を、信頼度算出器3へ出力する。15は、入力ベクトル平滑器を示し、算出された各モデルの信頼度と設定された定数ベクトルより、入力ベクトル平滑値を算出する。16は、入力ベクトル予測器を示し、算出された各モデルの信頼度とモデル遷移行列より、入力ベクトル予測値を算出する。17は、第5の遅延回路を示し、各モデルの事前信頼度を単位時間だけ遅延させる。
【0007】
18は、誤差楕円体重複度判定器を示し、観測値と各運動モデルの予測値間の距離を残差共分散行列で正規化した残差二次形式としきい値を比較、あるいは残差共分散共分散行列より算出した誤差楕円体の各軸半径を予測値間距離で除した誤差楕円体重複度係数をしきい値と比較することにより、誤差楕円体制御実行の可否を判定する。19は、乗算係数算出器を示し、誤差楕円体拡大及び縮小のための乗算係数を算出し、信頼度計算に用いる残差共分散行列を定数倍する。20は、乗算器を示し、第3の遅延回路10と乗算係数算出器19からの出力を乗算して信頼度算出器3に出力する。21は、表示装置を示し、平滑器3からの平滑値を離散的に画面上に表示する。
【0008】
なお、図10に示す構成では、第3の遅延回路11、誤差楕円体重複度判定器18、乗算係数算出器19及び乗算器20により誤差楕円体制御装置が構成される。
【0009】
次に、図10に示す構成でなる目標追尾装置の動作について図11に示すフローチャートを参照して説明する。はじめに、目標追尾装置では、目標観測装置1より得られる目標位置観測情報を基に、通常のカルマンフィルタ理論に基づき、目標位置・速度の平滑値、及び平滑誤差共分散行列の初期値が設定される(ステップS101)。次に、目標の運動モデルとして、N個の定数加速度ベクトル(零加速度ベクトルを含む)よりなるN個の運動モデルが設定される(ステップS102)。
【0010】
そして、各モデル毎予測器9において、平滑器5から出力される平滑値およびN個の運動モデルを構成している定数加速度ベクトルより各運動モデルごとの予測値を算出し、平滑器5から出力される平滑誤差共分散行列及びあらかじめ設定されたの駆動雑音教分散行列を用いて、各運動モデルごとの予測誤差共分散行列を算出する(ステップS103)。
【0011】
次に、予測器7において、平滑器5から出力される平滑値と平滑誤差共分散行列、信頼度算出器3から出力される各運動モデルの信頼度、および入力ベクトル予測器16から出力される入力ベクトル予測値が読み込まれる。予測器7は、それらの入力データに基づき、予測値及び予測誤差共分散行列を算出する(ステップS104)。
【0012】
次に、目標観測装置1において、目標位置観測情報が読み込まれる(ステップS105)。前記観測値は目標からの信号検出及びゲート判定による追尾目標選択の結果であり、位置情報で構成されている。そして、各運動モデルごとの予測値及び予測誤差共分散行列は、各モデル毎予測器9から誤差楕円体重複度判定器18へ出力され、誤差楕円体重複度判定器18は、観測値と各運動モデルの予測値間の距離について、予測誤差共分散行列の位置成分と予め設定されている観測雑音共分散行列の和である残差共分散行列で正規化した残差二次形式、あるいは、図12に示すように、誤差楕円体の半径をA、予測値間の距離(楕円中心間距離)をBとした場合の誤差楕円体重複度係数(C=A/B)を用いた誤差楕円体重複度判定を行い、生成した判定係数テーブルを乗算係数算出器19へ出力する(ステップS106)。
【0013】
次に、乗算係数算出器19は、誤差楕円重複判定器18を経由して、各モデル毎予測器9より運動モデルごとの予測値及び残差共分散行列を、また、誤差楕円体重複度判定器18から判定係数テーブルを読み込み、誤差楕円体の拡大・縮小のための乗算係数を算出する(ステップS107)。
【0014】
次に、ゲート判定で得られた観測値は、信頼度算出器3に出力される。信頼度算出器3は、更に、信頼度メモリ4に格納した現時刻より1サンプル前に算出した各運動モデルの信頼度を読み込み、各モデル毎予測器9が1サンプリング前に算出した運動モデルごとの予測値及び乗算係数により定数倍された残差共分散行列を第3の遅延回路11及び乗算器20を介して読み込む。信頼度算出器3は、これらに入力データと、モデル設定器14から入力される運動モデルの推移確率に基づいて、運動モデルの信頼度を算出する(ステップS108)。
【0015】
次に、ゲイン行列算出器12において、現時刻より1サンプリング前に各モデル毎予測器9が算出した予測誤差共分散行列を第4の遅延回路13を介して読み込む。ゲイン行列算出器12は、その入力データと、予め設定された観測雑音共分散行列に基づいてゲイン行列を算出する(ステップS109)。
【0016】
次に、平滑器5において、現時刻より1サンプリング前に算出しておいた平滑値及び平滑誤差共分散行列が平滑メモリ6より読み込まれる。平滑器3は、更に、信頼度算出器3が出力する各運動モデルの信頼度、ゲイン行列算出器12が出力するゲイン行列、入力ベクトル平滑器15が出力する入力ベクトル平滑値、モデル設定器14が出力する定数加速度ベクトル、及び観測値を読み込む。平滑器5は、それらの入力データに基づいて平滑値及び平滑誤差共分散行列を算出する(ステップS110)。
【0017】
上述した一連の処理が終了すると、追尾処理の終了が要求されているか否かが判別される(ステップS111)。その結果、処理の終了が要求されていないと判別される場合、処理が繰り返される(ステップS112)。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の目標追尾装置では、信頼度計算における各運動モデルの誤差楕円体同士の重複度を判定するために、各運動モデルの残差二次形式あるいは残差共分散行列より求めた誤差楕円体重複度係数をしきい値と比較することにより、誤差楕円体制御を行うかどうかを決定している。
【0019】
しかしながら、残差二次形式により誤差楕円体の重複度を判定する際、観測雑音が大きい、あるいはサンプリング間隔が短い場合には、良好な判定結果が得られない可能性があり、また、誤差楕円体重複度係数を用いる際に、誤差楕円体重複度係数の算出に、残差共分散行列の固有値を求める必要があるため、残差を用いる方法よりも計算負荷が大きいという問題がある。
【0020】
さらに、フィルタの残差共分散行列を乗算係数によって定数倍するため、図13に示すように、誤差楕円体は、その形状を変えずに拡大、縮小が行われる。そのため、観測雑音の大きさが異なる距離及び角度方向で、所望の誤差楕円体重複度を各軸方向で独立して実現することが難しく、所望の重複度を得るには各方向について異なる定数加速度を設定して予測値間距離を調整する必要がある。
【0021】
この発明は、前記の問題を解決するためになされたもので、誤差楕円体の重複度判定によりフィルタのモデルでは目標の運動を表現できないと判定された場合、信頼度計算における残差共分散行列を再計算することにより、観測雑音が異なる距離、角度方向それぞれについて所望の誤差楕円体重複度を実現し、追尾性能の向上を図ることができる目標追尾装置及び方法を得ることを目的とする。
また、小さい計算負荷で、より安定した誤差楕円体の重複度判定を行うことができる目標追尾装置及び方法を得ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る目標追尾装置は、目標観測装置で取得した目標位置に関する観測情報を基に目標の追尾を行う目標追尾装置であって、多重運動モデルを用いたカルマンフィルタにおける各運動モデルの信頼度を計算する際、N個の運動モデルの予測値を中心とした目標の存在期待確率を示す等確率密度ラインである誤差楕円体同士の重複度を判定し、重複度が設定値を満たしていないと判定された場合に、信頼度算出に用いる残差共分散行列を再計算し、各軸方向で誤差楕円体を所望の大きさに制御する誤差楕円体制御手段を備え、前記誤差楕円体制御手段は、誤差楕円体同士の重複度として、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、算出された尤度と設定値としての2つの事前に設定したしきい値との比較に基づいて誤差楕円体の重複度を判定する誤差楕円体重複度判定手段と、その判定結果により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要と判断された場合に、誤差楕円体重複度係数をデータベースより検索する誤差楕円体重複度検索手段と、前記誤差楕円体重複検索手段から得られた重複度係数と各運動モデルの予測値間距離より誤差楕円体の各軸半径を算出し、算出された半径よりLOS( Line Of Sight )直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列をフィルタの座標系へ変換する残差共分散行列算出手段とを有することを特徴とする。
また、他の発明に係る目標追尾装置は、目標観測装置で取得した目標位置に関する観測情報を基に目標の追尾を行う目標追尾装置であって、多重運動モデルを用いたカルマンフィルタにおける各運動モデルの信頼度を計算する際、N個の運動モデルの予測値を中心とした目標の存在期待確率を示す等確率密度ラインである誤差楕円体同士の重複度を判定し、重複度が設定値を満たしていないと判定された場合に、信頼度算出に用いる残差共分散行列を再計算し、各軸方向で誤差楕円体を所望の大きさに制御する誤差楕円体制御手段を備え、前記誤差楕円体制御手段は、誤差楕円体同士の重複度として、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、算出された尤度と設定値としての2つの事前に設定したしきい値との比較に基づいて誤差楕円体の重複度を判定する誤差楕円体重複度判定手段と、その判定結果により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要と判断された場合に、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をデータベースより検索する予測値間尤度検索手段と、前記予測値間尤度検索手段から得られた最適な尤度及び予測値と中点との距離を正規分布表に照らし合わせることにより、LOS( Line Of Sight )直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列をフィルタの座標系へ変換する残差共分散行列算出手段とを有することを特徴とする。
また、この発明に係る目標追尾方法は、目標観測装置で取得した目標位置に関する観測情報を基に目標の追尾を行う目標追尾方法であって、多重運動モデルを用いたカルマンフィルタにおける各運動モデルの信頼度を計算する際、N個の運動モデルの予測値を中心とした目標の存在期待確率を示す等確率密度ラインである誤差楕円体同士の重複度を判定し、重複度が設定値を満たしていないと判定された場合に、信頼度算出に用いる残差共分散行列を再計算し、各軸方向で誤差楕円体を所望の大きさに制御する誤差楕円体制御ステップを備え、前記誤差楕円体制御ステップは、誤差楕円体同士の重複度として、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、算出された尤度と設定値としての2つの事前に設定したしきい値との比較に基づいて誤差楕円体の重複度を判定する誤差楕円体重複度判定ステップと、その判定結果により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要と判断された場合に、誤差楕円体重複度係数をデータベースより検索する誤差楕円体重複度検索ステップと、前記誤差楕円体重複検索ステップから得られた重複度係数と各運動モデルの予測値間距離より誤差楕円体の各軸半径を算出し、算出された半径よりLOS( Line Of Sight )直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列 をフィルタの座標系へ変換する残差共分散行列算出ステップとを有することを特徴とする。
さらに、他の発明に係る目標追尾方法は、目標観測装置で取得した目標位置に関する観測情報を基に目標の追尾を行う目標追尾方法であって、多重運動モデルを用いたカルマンフィルタにおける各運動モデルの信頼度を計算する際、N個の運動モデルの予測値を中心とした目標の存在期待確率を示す等確率密度ラインである誤差楕円体同士の重複度を判定し、重複度が設定値を満たしていないと判定された場合に、信頼度算出に用いる残差共分散行列を再計算し、各軸方向で誤差楕円体を所望の大きさに制御する誤差楕円体制御ステップを備え、前記誤差楕円体制御ステップは、誤差楕円体同士の重複度として、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、算出された尤度と設定値としての2つの事前に設定したしきい値との比較に基づいて誤差楕円体の重複度を判定する誤差楕円体重複度判定ステップと、その判定結果により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要と判断された場合に、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をデータベースより検索する予測値間尤度検索ステップと、前記予測値間尤度検索ステップから得られた最適な尤度及び予測値と中点との距離を正規分布表に照らし合わせることにより、LOS( Line Of Sight )直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列をフィルタの座標系へ変換する残差共分散行列算出ステップとを有することを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に、この発明に係る目標追尾装置において追尾フィルタとして用いるN個の運動モデルを持つ多重運動モデルを用いたカルマンフィルタについて説明する。目標の運動モデルを式(1)のように定義する。
【数1】
【0037】
ここで、Xkはサンプリング時刻tkにおける目標運動諸元の真値をあらわす状態ベクトルであり、例えば、xyzの直交座標系における目標位置ベクトルを式(2)、直交座標系における目標速度ベクトルを式(3)とした時、Xkは式(4)である。
【数2】
【0038】
Φk-1はサンプリング時刻tk-1よりtkへの状態ベクトルXkの推移を表す推移行列で、目標が等速直線運動を行うと仮定した場合、式(5)である。ここでIは式(6)の通り単位行列である。
【数3】
【0039】
wkはサンプリング時刻tkにおける駆動雑音ベクトルで、Γkはサンプリング時刻tkにおける駆動雑音ベクトルの変換行列である。目標の運動モデルを等速直線運動と仮定したことによる打切り誤差項をΓk-1wk-1とみれば、wkは加速度ベクトル相当であり、Γk-1は式(7)である。
【数4】
【0040】
wkは平均0の3次元正規分布白色雑音で、式(8)、式(9)とする。ここで、0は零ベクトルを表し、Qkはサンプリング時刻tkにおける駆動雑音共分散行列である。
【数5】
【0041】
ukはサンプリング時刻tkにおいてN個の運動モデルを構成する定数加速度ベクトルであり式(10)である。
【数6】
Γ’kはサンプリング時刻tkにおける定数加速度ベクトルの変換行列で、式(11)である。
【数7】
【0042】
次に、図14は、定数加速度ベクトルを説明する図であり、図14において、Oは目標観測装置を原点とした座標O−xyzの原点、Xは東方向をX軸の正とした座標O−xyzのX軸、Yは北方向をY軸の正とした座標O−xyzのY軸、Zは上方向をZ軸の正とした座標O−xyzのZ軸、α1はY軸正方向の定数加速度ベクトル、α2はY軸負方向の定数加速度ベクトル、α3はX軸正方向の定数ベクトル、α4はX軸正方向の定数加速度ベクトル、α5はZ軸正方向の定数加速度ベクトル、α6はZ軸負方向の定数加速度ベクトルである。この他に、定数加速度ベクトルα7=0を考えた運動モデルの場合、モデル数Nは7となる。定数加速度ベクトルを定義する座標としては、図15に示すLOS直交座標、運動座標、北基準直交座標などが考えられる。ここで、運動座標とは目標の推定速度ベクトルを1軸とした座標であり、LOS直交座標とはレーダと目標を結んだベクトルを1軸とした座標のことである。
【0043】
次に、サンプリング時刻tkにおいて式(12)が真であるとの仮説を式(13)と書く。
【数8】
運動モデルの推移にマルコフ性を仮定する。すなわち運動モデルΨk,aはサンプリング時刻tk-1の運動モデルより決まり、サンプリング時刻tk-2までの運動モデルには依存しないとする。
【0044】
時刻tkにおける運動モデル間推移確率を式(14)のように表す。例えば、最小サンプリング間隔をtsとし、サンプリング間隔tk−tk-1=tsの場合の運動モデル間推移確率を式(14)と同様の意味でPabとする。さらに、N×N行列でa行b列の要素をPabとしたものを運動モデル間推移確率行列Πと表す。サンプリング間隔がtk−tk-1=m・ts,(m=1,2,・・・)と表せる場合、サンプリング時刻tkでの運動モデル間推移確率行列Πkは式(15)で表せる。このときのΠkのa行b列の要素が運動モデル間推移確率Pk,abである。
【数9】
【0045】
サンプリング時刻tkまでの観測情報Zkに基づく、サンプリング時刻tkでの運動モデルの信頼度を条件付き確率密度関数により、式(16)と定義すると、式(17)で計算される。
【数10】
ただし、νk,aは各運動モデルの観測ベクトルに対する尤度であり、観測ベクトルの正規分布近似P[Zk|Ψk,a,Zk-1]を多変量正規分布で近似することにより、式(18)のように表される。
【数11】
ここで、g(z;a,A)は平均a、共分散Aの3変量正規分布のzにおける確率密度関数(尤度)を表す。
【0046】
サンプリング時刻tk-1までの観測情報Zk-1に基づくサンプリング時刻tkでの運動モデルの事前信頼度を条件付き確率密度関数により、式(19)と定義すると、式(20)と書ける。
【数12】
【0047】
サンプリング時刻tkまでの観測情報Zkに基づく、定数加速度ベクトルの推定値を式(21)として定義すると、式(22)と書ける。これを推定加速度ベクトルと呼ぶ。
【数13】
【0048】
サンプリング時刻tk-1までの観測情報Zk-1に基づく、定数加速度ベクトルの推定値を式(23)として定義すると、式(24)と書ける。これを予測加速度ベクトルと呼ぶ。
【数14】
【0049】
追尾対象目標よりの観測値はサンプリング時刻tkにおいて1つ得られるとし、その観測系モデルを式(25)とする。ここで、Zkはサンプリング時刻tkにおける位置情報の観測値より構成される直交座標による位置観測ベクトル、Hはサンプリング時刻tkにおける観測行列で、式(26)である。vkはサンプリング時刻tkでの観測ベクトルZkに対応した観測雑音ベクトルであり、平均0の3次元正規分布白色雑音で、式(27)、式(28)である。なお、Rkはサンプリング時刻tkにおける観測雑音共分散行列で、運動モデルによらない値とする。また、駆動雑音ベクトルと観測雑音ベクトルは互いに独立であるとする。
【0050】
【数15】
また、サンプリング時刻t1からtkまでの観測値ベクトルの集積を式(29)のように表す。
【数16】
【0051】
カルマンフィルタの理論によれば、前記モデルに従いサンプリング時刻tkで観測値が得られた場合の、状態ベクトルXkの推定値Xk(+)は式(30)〜(38)によって計算される。
【0052】
【数17】
【0053】
ここで、Xk,a(−)、Xk,a(+)、Xk(−)、Xk(+)、Pk,a(−)、Pk,a(+)、Pk(−)、Pk(+)は、それぞれ式(39)〜(46)のように定義される。
【0054】
【数18】
【0055】
Xk,a(−)はサンプリング時刻tk-1までの観測情報Zk-1と運動モデルの仮説Ψk,aに基づくXkの条件付き平均値で、サンプリング時刻tk-1までの観測情報Zk-1と運動モデルの仮説Ψk,aに基づいてサンプリング時刻tkでの真値を推定した予測ベクトルに相当する。
【0056】
Xk,a(+)はサンプリング時刻tkまでの観測情報Zkと運動モデルの仮説Ψk,aに基づくXkの条件付き平均値で、サンプリング時刻tkまでの観測情報Zkと運動モデルの仮説Ψk,aに基づいてサンプリング時刻tkでの真値を推定した平滑ベクトルに相当する。
【0057】
Xk(−)はサンプリング時刻tk-1までの観測情報Zk-1に基づくXkの条件付き平均値で、サンプリング時刻tk-1までの観測情報Zk-1に基づいてサンプリング時刻tkでの真値を推定した予測ベクトルに相当する。
【0058】
Xk(+)はサンプリング時刻tkまでの観測情報Zkに基づくXkの条件付き平均値で、サンプリング時刻tkまでの観測情報Zkに基づいてサンプリング時刻tkでの真値を推定した平滑ベクトルに相当する。
【0059】
Pk,a(−),Pk,a(+)、Pk(−)、Pk(+)は、それぞれXk,a(−)、Xk,a(+)、Xk(−)、Xk(+)の誤差共分散行列を表す運動モデルごとの予測誤差共分散行列、運動モデルごとの平滑誤差共分散行列、N個の運動モデルによる予測誤差共分散行列およびN個の運動モデルによる平滑誤差共分散行列である。
【0060】
式(34)はサンプリング時刻tkにおけるゲイン行列である。また、カルマンフィルタを通常適用する場合と同様にして、初期値X0(+)、P0(+)は別途定まっているものとする。
【0061】
式(31)より、Pk,a(−)は仮説Ψk,aによらない値なので、式(34)よりKk、式(36)よりPk,a(+)も同様に仮説Ψk,aによらない値となる。
【0062】
次に、図1は、本実施の形態1に係る目標追尾装置の構成を示すブロック図である。図1において、図10に示す従来例と同一部分、つまり誤差楕円体制御装置以外の構成は同一のため同一符号を付しその説明は省略する。本実施の形態1に係る誤差楕円体制御装置としては、第3の遅延回路11と、本実施の形態1に係る誤差楕円体重複度判定器22と、誤差楕円体重複度検索器23と、残差共分散行列算出器24と、第6の遅延回路25とを備えている。
【0063】
ここで、誤差楕円体重複度判定器22は、各モデル毎予測器9より運動モデル毎の予測値、運動モデル毎の予測誤差共分散行列を読み込み、予測値間の中点における尤度としきい値を比較する。判定情報は誤差楕円体重複度検索器23へ出力され、また、フィルタの残差共分散行列もしくは再計算により求められた残差共分散行列を信頼度算出器3へ出力させるためのスイッチ切替を行う。
【0064】
次に、誤差楕円体重複度検索器23は、誤差楕円体重複度判定器22により残差共分散行列の再計算が必要と判定された場合、各モデル毎予測器9より各モデル毎の予測値、レーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)を取得する。そして、レーダの観測条件および目標の運動条件の組み合わせに最も適した誤差楕円体重複度係数をデータベースより検索し、誤差楕円体重複度係数と各運動モデルの予測値を残差共分散行列算出器24へ出力する。
【0065】
また、残差共分散行列算出器24は、誤差楕円体重複度検索器23から入力された誤差楕円体重複度係数及び各運動モデルの予測値より、新たに形成する誤差楕円体の各軸半径を算出する。そして、算出した各軸半径より、LOS直交座標における残差共分散行列を算出し、フィルタの座標系へ座標変換した後、信頼度算出器3へと出力される。
【0066】
図2は、本実施の形態1に係る目標追尾装置の動作を説明するフローチャートである。誤差楕円体制御手段以外の動作は、図10に示す従来例と同様であり、その説明は省略する。なお、フローチャートは、目標追尾方法の説明を兼ねる。誤差楕円体重複度判定ステップ(S201)は、各モデル予測ステップより運動モデル毎の予測値、運動モデル毎の予測誤差共分散行列を読み込み、予測値間の中点における尤度としきい値を比較する。判定情報は誤差楕円体重複度検索ステップ(S202)へ出力され、また、フィルタの残差共分散行列もしくは再計算により求められた残差共分散行列を信頼度算出ステップ(S108)へ出力させるための切替を行う。
【0067】
次に、誤差楕円体重複度検索ステップ(S202)は、誤差楕円体重複度判定ステップ(S201)により残差共分散行列の再計算が必要と判定された場合、各モデル毎予測ステップより各モデル毎の予測値、レーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)を取得する。
【0068】
そして、レーダの観測条件および目標の運動条件の組み合わせに最も適した誤差楕円体重複度係数をデータベースより検索し、誤差楕円体重複度係数と各運動モデルの予測値を残差共分散行列算出ステップへ出力する。残差共分散行列算出ステップは、誤差楕円体重複度検索ステップ(S202)から入力された誤差楕円体重複度係数及び各運動モデルの予測値より、新たに形成する誤差楕円体の各軸半径を算出する(S203)。そして算出した各軸半径より、LOS直交座標における残差共分散行列を算出し(S204)、フィルタの座標系へ座標変換した後、信頼度算出ステップ(S108)へと出力される。
【0069】
以上のように、本実施の形態1に係る目標追尾装置及び方法によれば、誤差楕円体重複度係数あるいは残差二次形式より重複度を判定するよりも、各運動モデルの予測値間の中点における尤度を用いることで、観測雑音が大きい、あるいはサンプリング間隔が短い場合でも、小さい計算負荷で安定した誤差楕円体重複度判定を行うことが可能となる。
【0070】
また、データベースより最適な誤差楕円体重複度係数を検索し、誤差楕円体重複度係数より誤差楕円体の各軸半径を介して残差共分散行列を算出することにより、図9に示すように、各軸方向において所望の誤差楕円体重複度を実現することが可能となり、等速直線運動目標および旋回目標に対してより良好な追尾精度を得ることができる。
【0071】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る目標追尾装置における誤差楕円体重複度判定器22の動作を説明するフローチャートを図3に示す。
はじめに、誤差楕円体重複度判定器22は、各モデル毎予測器9より各運動モデルの予測値および残差共分散行列を読み込み、各モデルの予測値間の中点における位置座標を求める(S301)。次いで、式(47)に予測値、予測値間の中点座標および残差共分散行列を代入することにより、各予測値間の中点における尤度を算出する(S302)。
【数19】
ここで、νk,aは尤度、Xmk,aは各モデルの予測値間の中点における位置座標、Sk,aは残差共分散行列となる。
【0072】
次いで、図4に示すように、各運動モデル間の尤度と2つのしきい値を比較し、すべての尤度がしきい値2を越えた場合(S304)、各運動モデルの誤差楕円体の重複度は大きすぎると判定され、一方ですべての尤度がしきい値1を下回った場合(S303)、重複度は小さすぎると判定され、残差共分散行列の再計算が行われる(S305)。すべての尤度がしきい値1を下回らなく、かつしきい値2を下回った場合(S304)、重複度は適切と判定される(S306)。ステップS305,S306を経た後は、ステップS307に移行し、信頼度算出器3への出力切り替えが行われる。処理終了を判定し(S308)、終了されていない場合は、ステップS301にリターンする。
【0073】
以上のように、本実施の形態2に係る目標追尾装置によれば、誤差楕円体重複度係数あるいは残差二次形式より重複度を判定するよりも、各運動モデルの予測値間の中点における尤度を用いることで、多目標あるいはクラッタ環境下においても小さい計算負荷で誤差楕円体重複度の判定を行うことが可能となる。
【0074】
実施の形態3.
次に、図5は、本実施の形態3における誤差楕円体重複度検索器23および残差共分散行列算出器24の動作を説明するフローチャートである。はじめに、誤差楕円体重複度判定器22により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要とされた場合、レーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせ条件に最も適した誤差楕円体重複度係数をデータベースより検索する(S501)。ここで、誤差楕円体重複度係数γk,aは、以下の式より定義され、データベースへ事前に登録される。
【数20】
なお、lk,iは誤差楕円体の各軸半径であり、ξk,iは各軸における運動モデルの予測値間距離となる。
【0075】
次いで、データベース検索によって得られた最適な誤差楕円体重複度係数、および各モデル毎予測器9より得られた予測値間の距離を式(48)に代入し、所望の誤差楕円体重複度を実現する誤差楕円体の各軸半径lk,iを求める(S502)。ここで、誤差楕円体はレーダと目標を結ぶLOSベクトルに対して垂直であると仮定することにより、各軸半径よりLOS座標における残差共分散行列を求めることができる。
【0076】
次いで、各軸半径lk,iを式(49)に代入することにより、LOS直交座標における残差共分散行列の対角成分である固有値λk,iが算出される。
【数21】
なお、dは誤差楕円体の等角率ラインを決定する既知のパラメータであり、自由度3のχ2分布表により定める。
【0077】
ここで、誤差楕円体がLOS軸に対して垂直であれば各軸の相関はなく、残差共分散行列の固有値λk,iは各軸方向の分散となる(S503)。そのため、残差共分散行列は、算出した固有値を用いて以下の式より算出される。
【数22】
ここで、λk,el,λaz,λelはそれぞれLOS方向、LOS軸に対して左右方向、上下方向の残差共分散行列の固有値となる。
【0078】
算出されたLOS直交座標における残差共分散行列は、フィルタの状態ベクトルが北基準直交座標で定義されている場合、以下の行列Fにより座標変換される(S504)。
【数23】
ここで、[xyz]は、北基準直交座標系におけるレーダを原点とした目標の位置成分である。
次いで、座標変換された残差共分散行列は、信頼度計算器3へと出力される。
【0079】
以上のように、本実施の形態3によれば、データベースより最適な誤差楕円体重複度係数を検索し、誤差楕円体重複度係数より誤差楕円体の各軸半径を介して残差共分散行列を算出することにより、各軸方向において所望の誤差楕円体重複度を実現することが可能となり、サンプリング間隔が長く定数加速度が大きい場合や、逆にサンプリング間隔が短く定数加速度が小さい場合においても、等速直線運動目標および旋回目標に対してより良好な追尾精度を得ることができる。
【0080】
実施の形態4.
次に、図6は、本実施の形態4に係る目標追尾装置の構成を示すブロック図である。図6において、図10に示す従来例と同一部分、つまり誤差楕円体制御装置以外の構成は同一のため同一符号を付しその説明は省略する。本実施の形態4に係る誤差楕円体制御装置としては、第3の遅延回路11と、誤差楕円体重複度判定器22と、本実施の形態4に係る予測値間尤度検索器26と、残差共分散行列算出器24と、第6の遅延回路25とを備えている。
【0081】
ここで、誤差楕円体重複度判定器22は、各モデル毎予測器9より運動モデル毎の予測値、運動モデル毎の予測誤差共分散行列を読み込み、予測値間の中点における尤度としきい値を比較する。判定情報は予測値間尤度検索器26へ出力され、また、フィルタの残差共分散行列もしくは再計算により求められた残差共分散行列を信頼度算出器3へ出力させるためのスイッチ切替を行う。
【0082】
次に、予測値間尤度検索器26は、誤差楕円体重複度判定器22により残差共分散行列の再計算が必要と判定された場合、各モデル毎予測器9より各モデル毎の予測値、レーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)を取得する。そして、レーダの観測条件および目標の運動条件の組み合わせに最も適した、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をデータベースより検索し、尤度と各運動モデルの予測値を残差共分散行列算出器24へ出力する。
【0083】
残差共分散行列算出器24は、予測値間尤度検索器26から入力された尤度及び各運動モデルの予測値より、新たに形成する誤差楕円体の各軸方向の分散を算出する。そして算出した各軸方向の分散より、LOS直交座標における残差共分散行列を算出し、フィルタの座標系へ座標変換した後、信頼度算出器3へ出力する。
【0084】
図7は、本実施の形態4に係る目標追尾装置の動作を説明するフローチャートである。誤差楕円体制御装置以外の動作は、図10に示す従来装置と同様であり、その説明は省略する。なお、フローチャートは目標追尾方法の説明を兼ねる。誤差楕円体重複度判定ステップ(S701)は、各モデル毎予測器9より運動モデル毎の予測値、運動モデル毎の予測誤差共分散行列を読み込み、予測値間の中点における尤度としきい値を比較する。判定情報は予測値間尤度検索ステップ(S702)へ出力され、また、フィルタの残差共分散行列もしくは再計算により求められた残差共分散行列を信頼度算出ステップ(S108)へ出力させるための切替を行う。
【0085】
次に、予測値間尤度検索ステップ(S702)は、誤差楕円体重複度判定ステップ(S701)により残差共分散行列の再計算が必要と判定された場合、各モデル毎予測ステップより各モデル毎の予測位置、レーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)を取得する。
【0086】
そして、レーダの観測条件および目標の運動条件の組み合わせに最も適した、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をデータベースより検索し、尤度と各運動モデルの予測値を残差共分散行列算出ステップへ出力する。残差共分散行列算出ステップは、予測値間尤度検索ステップ(S702)から入力された尤度及び各運動モデルの予測値より、新たに形成する誤差楕円体の各軸方向の分散を算出する(S703)。そして算出した各軸方向の分散より、LOS直交座標における残差共分散行列を算出し(S704)、フィルタの座標系へ座標変換した後、信頼度算出ステップ(S108)へ出力する。
【0087】
以上のように、本実施の形態4に係る目標追尾装置及び方法によれば、誤差楕円体重複度係数あるいは残差二次形式より重複度を判定するよりも、各運動モデルの予測値間の中点における尤度を用いることで、観測雑音が大きい、あるいはサンプリング間隔が短い場合でも、小さい計算負荷で安定した誤差楕円体重複度判定を行うことが可能となる。
【0088】
また、データベースより最適な各運動モデルの予測値間の中点における尤度を検索し、尤度から新たに形成する誤差楕円体の分散を求めて残差共分散行列を算出することにより、各軸方向において所望の誤差楕円体重複度を実現することが可能となり、サンプリング間隔が長く定数加速度が大きい場合や、逆にサンプリング間隔が短く定数加速度が小さい場合においても、等速直線運動目標および旋回目標に対してより良好な追尾精度を得ることができる。
【0089】
実施の形態5.
次に、図8は、本実施の形態5における予測値間尤度検索器26および残差共分散行列算出器24の動作を説明するフローチャートである。以下に図を用いて説明する。はじめに、レーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせ条件に最も適した予測値間の中点における尤度をデータベースより検索する(S801)。
【0090】
次いで、誤差楕円体がLOS軸に垂直であり、かつ目標の存在確率密度分布が3変量正規分布であるとの仮定のもとに、データベース検索によって得られた最適な尤度及び予測値と中点との距離を事前に用意した正規分布表と照らし合わせることにより、誤差楕円体の各軸方向の分散を求める(S802)。
【0091】
LOS直交座標における残差共分散行列S’k,aは、以下の式より表される(S803)。
【数24】
【0092】
ここで、σ2 r,σ2 az,σ2 elはそれぞれLOS方向、LOS軸に対して左右方向、LOS軸に対して上下方向における確率密度分布の分散となる。算出されたLOS直交座標における残差共分散行列は、フィルタの状態ベクトルが定義されている北基準直交座標へ座標変換される(S804)。
次いで、再計算された残差共分散行列は、信頼度計算器3へと出力される。
【0093】
以上のように、本実施の形態5によれば、データベースより予測値間の中点における最適な尤度を検索し、LOS直交座標の残差共分散行列の各軸における最適な分散を求めることで、各軸方向において所望の誤差楕円体重複度を実現することが可能となり、サンプリング間隔が長く定数加速度が大きい場合や、逆にサンプリング間隔が短く定数加速度が小さい場合においても、等速直線運動目標および旋回目標に対してより良好な追尾精度を得ることができる。
【0094】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、誤差楕円体の重複度を判定することにより、小さい計算負荷で事前に精度良く追尾精度の劣化の可能性を知り、誤差楕円体を各軸方向について任意の大きさに制御して所望の誤差楕円体重複度を実現することにより、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0095】
また、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、前記尤度と2つのしきい値を比較することにより、残差共分散行列より誤差楕円体重複度係数を求めて重複度を判定する方法よりも小さい計算負荷で、また、残差二次形式を求めて重複度を判定するよりも高い精度で誤差楕円体重複度判定を行うことができる。
【0096】
また、LOS直交座標における誤差楕円体はLOS軸に対して垂直であるとの仮定のもとに、レーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせに対する最適な確率密度分布の分散を算出して残差共分散行列を求め、前記残差共分散行列をLOS直交座標よりフィルタの座標系へと変換することにより、各軸方向それぞれについて任意の誤差楕円体の形状が得られるため、所望の誤差楕円体重複度を実現することにより、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0097】
また、各運動モデルの予測値間距離とレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせに対する最適な誤差楕円体重複度係数から誤差楕円体の半径を算出し、さらに各軸方向の半径より誤差楕円体の分散を算出して残差共分散行列を求めることにより、所望の誤差楕円体重複度を実現し、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0098】
また、データベースにレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)を入力することにより、前記残差共分散行列算出に必要な、最適な誤差楕円体重複度を得ることができ、所望の誤差楕円体の重なりを実現し、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0099】
また、各運動モデルの予測値間距離とレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせに対する最適な各運動モデルの予測値間の中点における尤度より、各軸における確率密度分布の分散を算出して残差共分散行列を求めることにより、所望の誤差楕円体重複度を実現し、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0100】
また、データベースにレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)を入力することにより、前記残差共分散行列算出に必要な、最適な予測値間の中点における尤度を得ることができ、所望の誤差楕円体の重なりを実現し、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0101】
また、誤差楕円体の重複度を判定することにより、小さい計算負荷で事前に精度良く追尾精度の劣化の可能性を知り、誤差楕円体を各軸方向について任意の大きさに制御して所望の誤差楕円体重複度を実現することにより、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0102】
また、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、前記尤度と2つのしきい値を比較することにより、残差共分散行列より誤差楕円体重複度係数を求めて重複度を判定する方法よりも小さい計算負荷で、また、残差二次形式を求めて重複度を判定するよりも高い精度で誤差楕円体重複度判定を行うことができる。
【0103】
また、LOS直交座標における誤差楕円体はLOS軸に対して垂直であるとの仮定のもとに、レーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせに対する最適な確率密度分布の分散を算出して残差共分散行列を求め、前記残差共分散行列をLOS直交座標よりフィルタの座標系へと変換することにより、各軸方向それぞれについて任意の誤差楕円体の形状が得られるため、所望の誤差楕円体重複度を実現することにより、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0104】
また、各運動モデルの予測値間距離とレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせに対する最適な誤差楕円体重複度係数から誤差楕円体の半径を算出し、さらに各軸方向の半径より誤差楕円体の分散を算出して残差共分散行列を求めることにより、所望の誤差楕円体重複度を実現し、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0105】
また、データベースにレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)を入力することにより、前記残差共分散行列算出に必要な、最適な誤差楕円体重複度を得ることができ、所望の誤差楕円体の重なりを実現し、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0106】
また、各運動モデルの予測値間距離とレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせに対する最適な各運動モデルの予測値間の中点における尤度より、各軸における確率密度分布の分散を算出して残差共分散行列を求めることにより、所望の誤差楕円体重複度を実現し、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【0107】
さらに、データベースにレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)を入力することにより、前記残差共分散行列算出に必要な、最適な予測値間の中点における尤度を得ることができ、所望の誤差楕円体の重なりを実現し、等速直線運動目標に対して観測雑音による誤差を低減しつつ、旋回目標に対しても良好な追尾精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る目標追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る目標追尾方法を示すフローチャートである。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る目標追尾装置の誤差楕円体重複度判定器22の動作を示すフローチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態2に係る誤差楕円体重複度判定器22における尤度としきい値の比較の様子を示した図である。
【図5】 この発明の実施の形態3に係る目標追尾装置の誤差楕円体重複度係数検索器及び残差共分散行列算出器24の動作を示すフローチャートである。
【図6】 この発明の実施の形態4に係る目標追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態4に係る目標追尾方法を示すフローチャートである。
【図8】 この発明の実施の形態5に係る目標追尾装置の予測値間尤度検索器26及び残差共分散行列算出器24の動作を示すフローチャートである。
【図9】 残差共分散行列再計算による誤差楕円体制御の様子を示した図である。
【図10】 従来の目標追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 従来の目標追尾装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】 複数の運動モデルの誤差楕円体重複度係数と、予測値間の距離および各軸半径の関係を示した図である。
【図13】 従来の残差を用いた誤差楕円体制御の様子を示した図である。
【図14】 目標の運動モデルとして、設定されたN個の定数加速度ベクトル(零加速度ベクトルを含む)を示した図である。
【図15】 北基準直座標とLOS直交座標、運動座標の関係を示した図である。
【符号の説明】
1 目標観測装置、2 ゲート判定器、3 信頼度算出器、4 信頼度メモリ、5 平滑器、6 平滑器メモリ、7 予測器、8 第1の遅延回路、9 各モデル毎予測器、10 第2の遅延回路、11 第3の遅延回路、12 ゲイン行列算出器、13 第4の遅延回路、14 モデル設定器、15 入力ベクトル平滑器、16 入力ベクトル予測器、17 第5の遅延回路、22 誤差楕円体重複度判定器、23 誤差楕円体重複度検索器、24 残差共分散行列算出器、25 第6の遅延回路、26 予測値間尤度検索器。
Claims (8)
- 目標観測装置で取得した目標位置に関する観測情報を基に目標の追尾を行う目標追尾装置であって、
多重運動モデルを用いたカルマンフィルタにおける各運動モデルの信頼度を計算する際、N個の運動モデルの予測値を中心とした目標の存在期待確率を示す等確率密度ラインである誤差楕円体同士の重複度を判定し、重複度が設定値を満たしていないと判定された場合に、信頼度算出に用いる残差共分散行列を再計算し、各軸方向で誤差楕円体を所望の大きさに制御する誤差楕円体制御手段を備え、
前記誤差楕円体制御手段は、誤差楕円体同士の重複度として、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、算出された尤度と設定値としての2つの事前に設定したしきい値との比較に基づいて誤差楕円体の重複度を判定する誤差楕円体重複度判定手段と、その判定結果により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要と判断された場合に、誤差楕円体重複度係数をデータベースより検索する誤差楕円体重複度検索手段と、前記誤差楕円体重複検索手段から得られた重複度係数と各運動モデルの予測値間距離より誤差楕円体の各軸半径を算出し、算出された半径よりLOS( Line Of Sight )直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列をフィルタの座標系へ変換する残差共分散行列算出手段とを有する
ことを特徴とする目標追尾装置。 - 請求項1に記載の目標追尾装置において、
前記誤差楕円体重複度検索手段は、データベースにレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせを入力し、これらの条件に適した、事前にデータベースに登録されている誤差楕円体重複度係数を出力する
ことを特徴とする目標追尾装置。 - 目標観測装置で取得した目標位置に関する観測情報を基に目標の追尾を行う目標追尾装置であって、
多重運動モデルを用いたカルマンフィルタにおける各運動モデルの信頼度を計算する際、N個の運動モデルの予測値を中心とした目標の存在期待確率を示す等確率密度ラインである誤差楕円体同士の重複度を判定し、重複度が設定値を満たしていないと判定された場合に、信頼度算出に用いる残差共分散行列を再計算し、各軸方向で誤差楕円体を所望の大きさに制御する誤差楕円体制御手段を備え、
前記誤差楕円体制御手段は、誤差楕円体同士の重複度として、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、算出された尤度と設定値としての2つの事前に設定したしきい値との比較に基づいて誤差楕円体の重複度を判定する誤差楕円体重複度判定手段と、その判定結果により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要と判断された場合に、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をデータベースより検索する予測値間尤度検索手段と、前記予測値間尤度検索手段から得られた最適な尤度及び予測値と中点との距離を正規分布表に照らし合わせることにより、LOS( Line Of Sight )直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列をフィルタの座標系へ変換する残差共分散行列算出手段とを有する
ことを特徴とする目標追尾装置。 - 請求項3に記載の目標追尾装置において、
前記予測値間尤度検索手段は、データベースにレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせを入力し、条件と一致するこれらの条件に適した、事前にデータベースに登録されている尤度を出力する
ことを特徴とする目標追尾装置。 - 目標観測装置で取得した目標位置に関する観測情報を基に目標の追尾を行う目標追尾方法であって、
多重運動モデルを用いたカルマンフィルタにおける各運動モデルの信頼度を計算する際、N個の運動モデルの予測値を中心とした目標の存在期待確率を示す等確率密度ラインである誤差楕円体同士の重複度を判定し、重複度が設定値を満たしていないと判定された場合に、信頼度算出に用いる残差共分散行列を再計算し、各軸方向で誤差楕円体を所望の大きさに制御する誤差楕円体制御ステップを備え、
前記誤差楕円体制御ステップは、誤差楕円体同士の重複度として、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、算出された尤度と設定値としての2つの事前に設定したしきい値との比較に基づいて誤差楕円体の重複度を判定する誤差楕円体重複度判定ステップと、その判定結果により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要と判断された場合に、誤差楕円体重複度係数をデータベースより検索する誤差楕円体重複度検索ステップと、前記誤差楕円体重複検索ステップから得られた重複度係数と各運動モデルの予測値間距離より誤差楕円体の各軸半径を算出し、算出された半径よりLOS( Line Of Sight )直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列をフィルタの座標系へ変換する残差共分散行列算出ステップとを有する
ことを特徴とする目標追尾方法。 - 請求項5に記載の目標追尾方法において、
前記誤差楕円体重複度検索ステップは、データベースにレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせを入力し、これらの条件に適した、事前にデータベースに登録されている誤差楕円体重複度係数を出力する
ことを特徴とする目標追尾方法。 - 目標観測装置で取得した目標位置に関する観測情報を基に目標の追尾を行う目標追尾方法であって、
多重運動モデルを用いたカルマンフィルタにおける各運動モデルの信頼度を計算する際、N個の運動モデルの予測値を中心とした目標の存在期待確率を示す等確率密度ラインである誤差楕円体同士の重複度を判定し、重複度が設定値を満たしていないと判定された場合に、信頼度算出に用いる残差共分散行列を再計算し、各軸方向で誤差楕円体を所望の大きさに制御する誤差楕円体制御ステップを備え、
前記誤差楕円体制御ステップは、誤差楕円体同士の重複度として、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をフィルタの残差共分散行列を用いて算出し、算出された尤度と設定値としての2つの事前に設定したしきい値との比較に基づいて誤差楕円体の重複度を判定する誤差楕円体重複度判定ステップと、その判定結果により信頼度計算における残差共分散行列の再計算が必要と判断された場合に、各運動モデルの予測値間の中点における尤度をデータベースより検索する予測値間尤度検索ステップと、前記予測値間尤度検索ステップから得られた最適な尤度及び予測値と中点との距離を正規分布表に照らし合わせることにより、LOS( Line Of Sight )直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列の対角成分である各軸方向の分散を算出し、算出したLOS直交座標における残差共分散行列をフィルタの座標系へ変換する残差共分散行列算出ステップとを有する
ことを特徴とする目標追尾方法。 - 請求項7に記載の目標追尾方法において、
前記予測値間尤度検索ステップは、データベースにレーダの観測条件(サンプリング間隔、観測雑音の標準偏差)および目標の運動条件(目標の平滑速度、ゲート内の観測値数)の組み合わせを入力し、条件と一致するこれらの条件に適した、事前にデータベースに登録されている尤度を出力する
ことを特徴とする目標追尾方法。
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