JP3926570B2 - 光学像形成系における収差を測定する方法 - Google Patents

光学像形成系における収差を測定する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば平板投影装置のような光学像形成系における収差を測定する方法に関する。投影装置のパラメータの関数として観測がなされ、これらから種々の型式の収差の存在を定量化できる。平板投影装置は、−放射投影光線を供給する放射系と、− 所望のパターンに従って投影光線をパターン化するのに役立つパターン化手段を支持する支持構造体と、− 基板を保持する基板テーブルと、−パターン化された光線を基板の目標部分上に投影する投影系とを含んでよい。
【0002】
【従来の技術】
ここで述べるパターン化手段とは基板の目標部分において形成すべきパターンに対応するパターン化した断面を入射放射光線に与えるために使用できる手段を称するものとして広義に解釈すべきであり、この点に関して「光弁」という用語も使用しうる。一般に、前記パターンは例えば集積回路あるいはその他の素子(以下参照)のような目標部分において形成されつつある素子の特定の機能層に対応する。そのようなパターン化手段の例は以下を含む。
− マスク。マスクの概念は平板印刷において周知であり、バイナリ、交番位相シフト、および減衰位相シフトのようなマスク型式並びに各種のハイブリッドマスク型式を含む。そのようなマスクを放射光線内に位置させるとマスクのパターンに従ってマスクに衝突する放射の選択的な透過(透過マスクの場合)あるいは反射(反射マスクの場合)を生じさせ。マスクの場合、支持構造体は一般にマスクテーブルであって、マスクが入射放射光線における所望の位置に保持でき、かつ希望に応じて光線に対して運動できることを保証する。
− プログラム可能なミラーアレイ。そのような素子の例は粘弾性制御層と反射面とを有するマトリックス−アドレス指定可能面である。そのような装置を支持する基本原理は(例えば)反射面のアドレス指定された領域が回折光線として入射光を反射し、一方非アドレス指定領域が非回折光線として入射光を反射することである。適当なフィルタを使用して、前記非回折光線は反射された光線から濾過され、回折光線のみを残すことが可能で、このようにして、光線はマトリックス−アドレス指定可能面のアドレス指定パターンに従ってパターン化されるようになる。その結果のマトリックスアドレス指定は適当な電子手段を使用することによって実行可能である。そのようなミラーアレイに関する更なる情報は例えば参照して本明細書に組み込んだ米国特許第5,296,891号および同第5,523,193号から収集しうる。プログラム可能なミラーアレイの場合、前記支持構造体は、例えば必要に応じて固定あるいは可動にしうるフレームあるいはテーブルとして実施してよい。
− プログラム可能なLCDアレイ。そのような構造の一例は参照により本明細書に組み込んだ米国特許第5,229,872号に記載されている。前述のように、この場合の支持構造体は例えば必要に応じて固定あるいは可動としうるフレームあるいはテーブルとして実施すればよい。簡単のために、この本文の残りの部分はある個所においては特にマスクとマスクテーブルとを含む例を指向するが、そのような場合に述べる一般原理は前述したパターン化手段のより広義に関連して理解すべきである。
【0003】
平板投影装置は例えば集積回路(ICs)の製造において使用可能である。そのような場合、パターン化手段はICの個々の層に対応する回路パターンを発生することができ、このパターンは放射感応材料の層(レジスト)をコーテイングした基板(シリコンウェーファ)の目標部分(例えば1個以上のダイから構成されている)上に像形成することができる。一般に、単一のウェーファは一時に1個の割合で投影系を介して連続的に放射される隣接する目標部分の全体ネットワークを含む。現在の装置においては、マスクテーブル上のマスクによるパターン化を採用して、2種類の異なる機械を区別可能である。一型式の平板投影装置においては各目標部分は1回の進行で目標部分上へマスクパターン全体を露出することによって放射され、そのような装置は一般にウェーファステッパと称されている。通常ステップアンドスキヤン装置と称される代替的な装置において、各目標部分は所定の基準方向(「走査」方向)において投影光線を受けてマスクパターンを徐々に走査することによって放射され、一方この方向に対して平行に、あるいは反平行の基板テーブルを同時に走査する。一般に投影系は倍率係数M(一般に<1)を有するので、基板テーブルが走査される速度Vはマスクテーブルが走査される速度のM倍の係数である。ここで説明する平板装置に関する更なる情報は例えば、参照で本明細書に組み込んだ米国特許第6,046,792号から収集しうる。
【0004】
平板投影装置を使用した製造プロセスにおいて、(例えばマスクの)パターンは放射感応材料(レジスト)の層によって少なくとも部分的に被覆された基板上に像形成される。この像形成段階の前に、基板は、例えばプライミング、レジストコーテイングおよびソフトベークのような各種の工程を経る。露出の後、基板は、例えば露出後ベーク(PEB)、現像、ハードベーク、像形成された特徴の測定および(または)検査のようなその他の工程を受ければよい。工程のこの配列は例えばICのような素子の個々の層をパターン化する基準として使用される。その後そのようなパターン化された層は、全て個々の層を仕上げる目的のエッチング、イオン移植(ドーピング)、金属化、酸化、化学−機械的研磨等のような各種のプロセスを受けてよい。数枚の層が必要である場合、全体の工程あるいはその変形は新しい各層に対して繰り返す必要がある。最終的に素子のアレイが基板(ウェーファ)上に存在する。次に、これらの素子は例えばダイシングあるいはソーイングのような技術によって相互から分離され、次に個々の素子はピン等に接続されたキャリヤに装着できる。そのようなプロセスに関する更なる情報は参照で本明細書に組み込んだ、1997年マグローヒルパブリッシング会社刊行のピータファンザントによる「マイクロチップの製造:半導体処理に対する実用的なガイド」という名称の書籍第3版、ISBN0−07−067250−4(“Microchip Fabrication:A Practical Guide to Semiconductor Processing”Third Edition,by Peter van Zant,McGrawHill Publishing Co.,1997、ISBN0−07−067250−4)から取得することが可能である。
【0005】
簡単にするために、投影系は以下「レンズ」と称しうるが、この用語は例えば、屈折光学装置、反射光学装置、および反射屈折系を含む投影系の各種型式を網羅するものと広義に解釈すべきである。放射系はまた放射投影光線を導いたり、形成したり、あるいは制御するためにこれらの設計形式のいずれかに従って作動する要素を含めばよく、そのような要素はまた以下集約して、あるいは個々に「レンズ」とも称しうる。さらに、平板装置は2個以上の基板テーブル(および(または)2個以上のマスクテーブル)を有する型式のものでよい。そのような「多段」装置において、平行で別なテーブルを使用してもよく、1個以上の他のテーブルが露出のために使用されている間に1個以上のテーブルにおいて準備段階を実行すればよい。双ステージの平板装置が参照して本明細書に組み込んだ米国特許第5,969,441号および国際特許第98/40791号に記載されている。
【0006】
ICに益々増大する数の電子要素を集積したいという希望がある。これを実現するために、ICの表面積を増大し、および(または)当該要素の大きさを小さくする必要がある。投影系に対して、このことは益々大きくなる像視野において良好に画成された方法で益々小さくなる細部、あるいは線の幅が像形成可能なように像視野および(または)分解能の双方を増大する必要があることを意味する。このことは極めて厳しい品質要件を満足させる必要のある投影系を必要とする。そのような投影系を慎重に設計し、該投影系を極めて高い精度で製造しているにも拘わらず、そのような投影系は依然として、例えば球形収差、コマ収差および非点収差のような収差を示す可能性がある。実際に、投影系(「レンズ」)はこのように理想的な回折限定系でなく、収差限定系である。収差は像視野の位置によって左右され、像視野に亘って発生する像形成された線の幅の変化並びに焦点、露出ラチチュード等に影響を与える重要な源である。それらは、また種々のマスク構造および(または)種々の照明設定の間の視野によって左右される重なり誤差をもたらす。収差の影響は例えば位相シフトマスクあるいは偏心照明のようなより新規な技術の適用に伴って益々顕著となり平板投影装置の分解力を向上させる。
【0007】
別な問題は収差が近代的な平板投影系において一定でないことである。例えば、歪み、視野の曲がり、非点収差、コマ収差および球面収差のような低位の収差を最小化するために、これらの投影系は一般に1個以上の可動要素を含む。投影光線の波長あるいはマスクテーブルの位置は同じ目的に対して調整可能にしうる。これらの調整装置が使用されると、その他のより小さい収差が導入されうる。更に、投影光線の強度はできる限り大きい必要があるので、投影系の構成要素は老化し、そのため収差が当該装置の寿命の間に変化しうる。更に、例えばレンズの加熱によって生じるような可逆変化が一時的に収差を変えることがある。
【0008】
その結果、収差を確実に、かつ正確に測定しうることに関して別な問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は投影系の収差を測定する改良された方法と装置とを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は− 放射投影光線を供給する放射系と、− 所望のパターンに従って投影光線をパターン化するのに役立つパターン化手段を支持する構造体と、−基板を保持する基板テーブルと、− パターン化された光線を基板の目標部分上に投影する投影系とを含む光学像形成系の収差を測定する方法であって、前記パターン化手段によって投影光線をパターン化する段階を含み、前記放射系および(または)投影系の複数の種々の設定に対して投影系によって形成された像の少なくとも1個のパラメータを測定する段階と、前記複数の設定において測定された少なくとも1個のパラメータに基づいて前記像形成系の収差を表わす少なくとも1個の係数を計算する段階とを含む光学像形成系の収差を測定する方法を提供する。
【0011】
前記複数の種々設定は種々の開口数設定および(または)シグマ設定、照明モードあるいはテレセントリシテイモードを含むことが好ましく、更に、投影系において種々の回折効果を生成するために例えば1個以上のマスクの上に種々型式および大きさのテスト構造体を使用してもよい。そのような変形の全ては本明細書において使用する「種々照明設定」という用語の意味内に入るものと解釈すべきである、「シグマ(σ)設定」という用語は瞳の最大半径に対して正規化された、放射線が通過する像形成系における瞳における光線の強度分布の半径方向範囲を意味する。このように、シグマの値1は瞳の最大半径と等しい瞳における半径での放射強度分布を表わす。「放射モード」という用語は、例えばディスク状、(シグマの内側および外側設定を特徴とする)環状、4極子状、双極子状、(極の間である程度の放射磁束を含む)軟質多極子状等でよい瞳における放射線の空間分布を指示する。「テレセントリシテイモード」という用語は像形成系をテレセントリックに構成することおよび(または)例えば放射プロフィルを傾けるためにマスクの頂部にプリズムを使用することにより非テレセントリックの変動する度合いで像形成系の構成を網羅する。これらの種々の設定は平板投影装置において便利に選択可能である。
【0012】
測定されるパラメータは、前記像の最良焦点位置、前記像の横位置、前記像の変形、および例えば線の幅や形状および隣接する構造の間の距離のような前記像を平板露出するその他の特性のうちの1個以上としうる。
【0013】
測定されたパラメータの少なくとも1個あるいは各々の変動が実質的に最第化されるように複数の種々の設定が選択されることが好ましい。このようにして、測定された係数の精度が改善可能である。
【0014】
前記係数の1個以上が表わす収差から起因する少なくとも1個の測定されたパラメータの変動が概ね零となるように、一方測定すべき係数の関数としての前記少なくとも1個のパラメータが非零であるように複数の種々設定が選択されることが好ましい。この技術は例えばツェルニケ(Zernike)係数のような種々の収差係数が相互に独立して取得できるようにする。
【0015】
本発明はまた放射感応層を備えた基板への放射パターン化光線を投影する平板放射装置であって、− 放射投影光線を提供する放射系と、− 所望のパターンに従って投影光線をパターン化するのに役立つパターン化手段を支持する支持構造体と、−基板を保持する基板テーブルと、− パターン化した光線を基板の目標部分上に投影する投影系と、− 前記放射系および(または)投影系の複数の種々の照明設定を提供する照明設定手段とを含み、更に、前記投影系によって形成された投影像の少なくとも1個のパラメータを測定する測定手段と、前記測定手段が測定を行なう複数の種々の設定を選択する制御手段と、前記測定手段によって測定された前記少なくとも1個のパラメータに基づいて前記投影系および(または)放射系における収差を表わす少なくとも1個の係数を計算する計算手段とを含むことを特徴とする平板投影装置を提供する。
【0016】
本発明の別局面によれば、(a) 放射感応材料の層で少なくとも部分的に被覆された基板を提供する段階と、(b) 放射系を使用して放射投影光線を提供する段階と、(c)投影光線の断面にパターンを付与するためにパターン化手段を使用する段階と、(d) 投影系を使用して放射感応材料の層の目標部分上に放射パターン化光線を投影する段階とを含む素子製造方法において、前記(d)の段階の前に前記放射系および(または)前記投影系の複数の種々設定に対して放射系によって形成された像の少なくとも1個のパラメータを測定する段階と、前記複数の設定において測定された前記少なくとも1個のパラメータに基づいて前記放射系および(または)投影系の収差を表わす少なくも1個の係数を計算する段階と、前記投影系によって投影された像の収差を低減するために前記少なくとも1個の係数に基づいて前記収差を修正する段階とを含むことを特徴とする素子製造方法が提供される。
【0017】
本発明による装置をICsの製造において使用することに関して、本明細書では特に参照してよいが、そのような装置はその他の多数の適用が可能であることを明瞭に理解すべきである。例えば、本発明による装置は集積光学系、磁気ドメインメモリ用案内および検出パターン、液晶デイスプレイパネル、薄膜磁気ヘッド等の製造においても採用可能である。当該技術分野の専門家はそのような代替的適用に関連して、本明細書において「レクチル」、「ウェーファ」、あるいは「ダイ」というような用語を何らか使用した場合、それぞれより一般的な用語、「マスク」、「基板」、および「目標部分」に置き換えられるとして考えられることを認識しよう。
【0018】
本明細書において、「放射」および「光線」というような用語は(例えば、波長が365、248、193、157あるいは126nmである)紫外線放射および(例えば波長が5−20nmの範囲である遠紫外線放射である)EUVを含む全ての型式の電磁放射を含むように使用される。
【0019】
本発明の実施例を添付した概略図を参照して例示のみとして以下説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施例1
図1は本発明の特定の実施例による平板投影装置を概略的に示す。本装置は・ 放射源と、・ 放射投影光線PB(例えばUVあるいはEUV放射)を供給する放射系Ex,ILであって、この特定の場合、放射源LAを含む放射系と、・マスクMA(例えば、レチクル)を保持するマスクホルダを備え、投影系(「レンズ」)PLに対してマスクを正確に位置決めするために第1の位置決め手段に接続された第1の対象物テーブル(マスクテーブル)と、・基板W(例えばレジストをコーテイングしたシリコンウェーファ)を保持する基板ホルダを備え、基板を投影系(「レンズ」)PLに対して正確に位置決めするために第2の位置決め手段に接続された第2の対象物テーブル(基板テーブル)と、・基板Wの(例えば1個以上のダイを含む)目標部分C上にマスクMAの放射された部分に像を形成する投影系(「レンズ」)PL(例えば屈折、あるいは反射屈折系あるいはミラー群)とを含む。ここで説明する装置は透過型式である(すなわち、透過マスクを有する)。しかしながら、一般には、それはまた、例えば(反射マスクを備えた)反射型式でもよい。代替的に、本装置は、例えば前述した型式のプログラム化可能なミラーアレイのような別な種類のパターン化手段を採用してもよい。
【0021】
放射源LA(例えば、水銀ランプあるいはエキシマレーザ)は放射光線を発生させる。この光線は直接に、あるいは例えば光線エキスパンダExのような調質手段を横切った後照明系(照明装置)IL内へ送入される。照明装置ILは光線の強度分布のσ−外部値およびσ−内部値を設定するために調整手段AMを含んでもよい。更に、それは一般に、例えば積算器INおよびコンデンサCOを含む。このように、マスクMAに衝突する光線PBは断面において所望の均一性および強度分布を有する。
【0022】
図1に関して、(放射源LAが例えば水銀ランプである場合よくあることであるが)放射源LAは平板投影装置のハウジング内に位置させてよいが、平板投影装置から遠隔に位置させてもよく、それが発生する放射光線は(例えば適当な指向ミラーによって)本装置内へ導かれることに注目すべきである。後者の方式は放射源LAがエキシマレーザである場合が多い。本発明および特許請求の範囲はこれらの方式の双方を包含している。
【0023】
光線PBはその後、マスクテーブルMTに保持されているマスクMAを遮る。光線PBはマスクMAを横切った後、レンズPLを通過し、レンズは光線PBを基板Wの目標部分C上に集中させる。第2の位置決め手段(および干渉測定手段IF)の助勢によって、基板テーブルWTは、例えば光線PBの軌道において種々の目標部分Cを位置決めするように正確に運動可能である。同様に、第1の位置決め手段は、例えばマスクライブラリからマスクMAの機械的検索の後、あるいは走査の間光線PBの軌道に対してマスクMAを正確に位置決めするために使用可能である。一般に、対象物テーブルMT、WTの運動は図1に明瞭に示していないが、長いストロークのモジュール(コース位置決め)および短いストロークモジュール(微細位置決め)によって実現される。しかしながら、(ステップアンドスキヤン(走査)装置とは対照的に)ウェーファステッパの場合は、マスクテーブルMTは正に短いストロークのアクチュエータに接続するか、あるいは固定すればよい。
【0024】
前述した装置は2種類のモードで使用可能である。
1. ステップモードにおいて、マスクテーブルMTは基本的に静止状態に保持され、マスク像全体は一回の作動(すなわち、単一の「フラッシュ」)において目標部分C上に投影される。次に、基板テーブルWTは、異なる目標部分Cが光線PBによって放射されうるようにxおよび(または)y方向に移動される。
2. 走査モードにおいて、所定の目標部分Cが単一の「フラッシュ」において露出されない以外は同じ方式が適用される。その代わりに、マスクテーブルMTはvの速度で所定の方向(所謂「走査方向」、例えばy方向)に運動可能であり、かくして投影光線PBはマスクの像の上を走査するようにされ、同時に、基板テーブルWTは同じ方向あるいは反対方向にV=Mvの速度で運動する。MはレンズPLの倍率(典型的にはM=1/4あるいは1/5)である。このように、比較的大きい目標部分Cは解像力に関して妥協することなく露出可能である。
【0025】
特に投影レンズの収差が本発明の実施例において考慮されている。投影レンズの波面収差はそれらの角度形状に従ってシリーズとして書き込み可能である。
但し、rおよびθはそれぞれ半径方向および角度方向座標であり(rは正規化される)、mはm次の収差の寄与を示す指数である。RおよびR′はrの関数である。
【0026】
収差はまたツェルニケ拡張に関して表現可能である。
W=Zifi(r,θ)+Zjfj(r,θ)+Zkfk(r,θ)+---但し、Zはツェルニケ係数であり、各fはは対応するツェルニケ多項式である。関数fはrにおける、およびmθのsinあるいはcosにおける多項式の積の形を取る。例えば、コマ収差(m=1)はZ7,Z8,Z14,Z15,Z23,Z24,Z34,Z35等におけるツェルニケシリーによて表示可能で、例えば、Z7係数と関連した関数[前記表記におけるf7(r、θ)]は(3r3−2r)cos(θ)である。
【0027】
低位の収差に対するツェルニケ拡張は図2に示す表に要約されている。
【0028】
球面収差の一効果は最良焦点の位置をz方向にシフトすることであり、これは本実施例においてはZ9とZ16とを検出するために使用される。先ず、最良焦点位置の理論的なシフトは、例えば光学平板印刷術をシミュレーションおよびモデル化するために、ドイツのシグマ・シー有限会社(Sigma−CGmbH)によって供給されている商業的なソフトウエアパッケージである「ソリッドC」として知られているプログラムのような周知のコンピュータ技術を使用して計算される。例えば「プロリス(Prolith)」として知られいるもののようなその他の適当なソフトウエアを代替的に使用してもよい。図3aと図3bとは2種類の平板投影装置のためのこれらの計算の結果を列挙している表である。最初の2つの欄は像側での開口数(NA)とシグマ(σ)設定に関する照明モードの設定を提供する。図3aおよび図3bの表において使用されている照明モードは環状の照明モードであり、シグマの欄における2個の値は各環状体の内側半径と外側半径とを提供する。これらの2個の値の間の差異は瞳の最大半径の分数としての環状体の幅を提供する。時には、シグマの内側の値はシグマの外側の値に続いて示され、時にはその逆で示される。シグマの値の順序は重要ではない。瞳における光線の半径方向の位置の範囲は基板上への投影光線の入射角度の範囲と関連している。
【0029】
図3aおよび図3bの第3と第4の欄は特定の基準に対するnm単位の計算された最良焦点位置を提供する。第3の欄は、1nmのツェルニケ係数Z9に対応する収差を有し、他方のツェルニケ係数が零であるとの前提で計算している。第4の欄は同じ状況であるが、ツェルニケ係数Z16が1nmであり、その他のツェルニケ係数が零であることによる収差の場合を示す。第3と第4の欄(BFZ9=1nmおよびBFZ16=1nm)は有効なそれぞれのツェルニケ係数の関数としての最良焦点位置の勾配すなわち偏微分である。
近似式において1nmはZ9の小さい変化であり、Z16に対して対応する関係を有する。
【0030】
次に、最良焦点位置は図3の表の各々と同じ6種類の照明設定において実際の平板投影装置を使用して測定される。最良焦点位置は、その位置が焦点外から焦点を通して焦点外まで動くにつれて、例えばコントラスト対位置曲線に対して適合した6次の多項式の最大値によって規定される最大コントラストのz位置である。最良焦点は例えば「フォーカル(FOCAL)」(以下説明する)として知られている技術のような周知の技術を使用して実験的に検出可能であり、代替的に例えば透過像センサ(TIS)、あるいはオーバレイ顕微鏡あるいは商業的な焦点モニタを使用して空中像を直接測定してもよい。
【0031】
FOCALはFOcus alibration by using ALignmentの頭字語である。平板装置の整合系を使用して焦点面の周りの情報を完全に検出する最良焦点測定技術である。特殊な非対称形にセグメント化したマークが焦点を通してレジストをコーテイングしたウェーファ上に像形成される。この像形成された(潜像あるいは現像された)マークの位置は前記整合系によって測定可能である。非対称にセグメント化したため、整合系によって測定された位置は露出の間使用した焦点ボケによって変り、そのため最良焦点位置の検出を可能にする。像視野全体に亘りこれらの層を分配し、セグメント化に対して異なる方向性を使用することによって、数個の構造方向に対する焦点面全体を測定することが可能である。この技術は参照して本明細書に組み込んだ米国特許第5,674,650号に詳細に説明されている。
【0032】
投影レンズの下での投影された像の横方向位置と最良焦点位置(すなわち、垂直位置および水平位置)を検出するために1個以上の透過像センサ(TIS)が使用可能である。透過像センサ(TIS)は基板テーブル(WT)に関連した物理的な基準面内へ嵌め込まれる。特定の実施例においては、2個のセンサがウェーファWによって被覆されている領域の外部の直交方向に対向する位置において基板テーブル(WT)の頂面に装着された基準プレートに2個のセンサが装着されている。基準プレートは例えばインバーのような熱膨張係数が極めて低くて非常に安定した材料から作られており、整合工程において別な基準プレートに使用されるマーカを坦持しうる平坦な反射上面を有する。TISは投影レンズによって投影されたマスク上のTISパターンの空中像の垂直(および水平)位置を直接検出するために使用される。それは反射面に開口を含み、該反面の背後近くに露出工程で使用される放射に感応する光検出器が位置している。焦点面の位置を検出するために、投影レンズは空間内へ、マスクMAに設けられたパターンの像であって、コントラストした明るい領域と暗い領域とを有する像を投影する。次に、TISの開口が、空中像があると思われる空間を通過するように水平方向(一方向、あるいは好ましくは2方向に)および垂直方向に基板のステージが走査される。光検出器の出力の大きさの振幅の変動割合が最も高い垂直レベルがTISパターンの像は最もコントラストが大きいレベルを指示し、従って最適の焦点面を指示する。前記変化割合が最も高い水平レベルは空中像の横方向位置を指示する。この型式のTISはレジストの露出を関係させない直接的な測定技術であるのでその利点は強固さと速さを含む。
【0033】
本実施例が複数の種々照明設定においてFOCAL技術を使用して像のパラメータ(この場合は最良焦点位置)を測定する場合、これは多数の照明設定におけるFOCAL(FOCALAt Multiple Illumination Settings)を意味する頭字語FAMISとも称される。
【0034】
投影レンズ系の実際のツェルニケ係数は、次に関心のある特定のツェルニケ係数によって収差から生じる最良焦点位置に対する一次修正を提供する以下の関係式を使用して抽出可能である。
BFmeas(NA,σ)=a+b・BFZ9=1nm(NA,σ)+c・BFZ16=1nm(NA,σ)但し、BFmeasはNAおよびσの関数として測定された経験による最良焦点位置である。
【0035】
係数bおよびcはそれぞれツェルニケ係数Z9およびZ4に関連し、ここであは概ね一定と考えてよい。その結果、その関係式は以下の等式のように書き換えることができる。
BFmeas(NA,σ)=const+Z9・BFZ9=1nm(NA,σ)+Z16・BFZ16=1nm(NA,σ)
【0036】
この等式は、必要に応じて考慮に入れることは可能だが、高次の修正、Z9とZ16の双方を含む交差項等を無視する近似式である。
【0037】
前述の等式は各照明設定(NAおよびσ値)に対して得られ、図3aまたは図3bに対して合計6個の等式が得られる。これらの6個の同時の等式から、3個の未知の値(定数Z9.Z16)が抽出される。未知である分より多くの等式があるので、等式のセットは過剰検出される、ツェルニケ係数の最良値を検出するために多数回帰すなわち最小2乗適合を使用可能である。マトリックス表記において、同時等式は以下のように書き込み可能である
【0038】
マトリックスの最初の2個の欄は図3aあるいは図3bの第3と第5の欄であり、課題の固有ベクトルである。よりコンパクトな表記において、これは
と書き換え可能であり、そのためツェルニケ係数は以下の等式により抽出される。
【0039】
このようにして、ツェルニケ係数Z9およびZ16は抽出可能である。それらの(絶対)値は平板印刷業者に対して関心があるのみならず、最良焦点位置に対して影響がある(また、特に第2の実施例を参照して述べるようなその他のツェルニケ係数の場合の横方向シフトあるいはオーバレイエラーに対して影響がある)ので種々の照明設定において像形成系に対して適当な修正が可能である。図4は、実際の測定された最良焦点位置と本発明の本実施例によって検出されたZ9およびZ16に基づく計算された最良焦点位置との間の修正プロットである。各々の四角は本装置の種々の照明設定を表わす。適合された線からの最大の焦点のずれが常に10nm以下であることにより、優れた相関があることが判る。相関係数R2=0.972である。(R2=0は相関がなくR2=1は完全な相関を示す。)
【0040】
本発明の技術の有用性の更なる確認が図5aと図5bとに示されている。これらのZ9およびZ16のプロット値は以下SIF(シアリングインタフェロメトリ、ShearingInterFerometry)と称する技術を使用することによりレンズメーカが独自に測定したZ9の値に対して本発明の本実施例に従ってそれぞれ測定されたものである。SIFはレンズメーカによって開発されたレンズを通しての(TTL)干渉計使用技術である。各々の四角はステップアンドスキヤン走査装置における像形成系のスリットに亘る特定のx位置における測定値を示し、各グラフは最良の適合直線を示す。ここでも相関は最良で、相関係数R2は0.86および0.83である。測定技術の精度の関連しうる、フィットからの最大偏差は約1nmツェルニケである。これはレンズ系が製造される公差よりはるかに低いものである。本発明の教示は平板投影装置においてその場で像形成系によって実行可能であるという利点を有する。
【0041】
図6aおよび図6bはx−方向すなわち前述した走査モードにおいて使用される装置において走査方向に対して垂直な位置の関数として測定したツェルニケ係数Z9およびZ16のプロットを示す。収差データはステップアンドスキヤン系で測定されたが、ステップモードにおいて使用された。収差データは(スリットに沿った)各x−位置に対してプロットされたが、走査方法(y−方向)に沿って平均化され、そのため係数はZ9およびZ16の積分した値を示す。各グラフは本FAMIS技術に従って測定され、SIF技術によって独自に測定されたツェルニケ係数のプロットを示す。図6aにおけるグラフはZ9係数のプロットであり、図6bにおけるグラフはZ16係数のプロットである。これらのグラフもまた2種類の測定技術の間の良好な相関を示している。図5aおよび図5bの相関プロットは前記x位置に関して、それぞれ図6aおよび図6bに示すグラフにおけるデータに対応する。
【0042】
図7は本発明のFAMIS技術を使用し、かつSIFを使用してZ12ツェルニケ係数の測定結果を示す。(非点収差の存在に関連する)Z12(図2参照)はZ9あるいはZ16と同様に、すなわち例えば1nmのZ12係数による固定された量の収差に対する(x−およびy−方向の線の間の最良焦点位置の差異である)非点収差の値の変動を計算することにより計算可能である。実際の非点収差の値は同じ照明設定において、かつZ12に対して形成され、かつ解かれた一連の連立方程式において測定される。実際の非点収差値は同じ照明設定と、Z12に対して形成され、かつ解かれた一連の連立方程式において測定される。
【0043】
本発明の第1の実施例のFAMIS技術は、図3から図6までに示す球面収差および図7に示す非点収差のような均等収差(例えばm=0あるいは均等の整数のような均等収差、図2参照)に対応するツェルニケ係数を抽出するために使用可能である。その理由はこれらの収差は最良焦点位置に対して影響を及ぼすからである。奇数の収差は第2の実施例において述べる。
【0044】
測定の精度を上げるために更なる微調整を採用しうる。図8aおよび図8bはNAの関数としての(シミュレーションからの)計算された最良焦点位置BFと、(それぞれ図8aおよび図8bにおける)ツェルニケ係数Z9およびZ16によって表示される収差の結果としての照明設定の外側シグマ値とをマッピングした等高線プロットである。各々の場合において、それぞれのツェルニケ係数の値は10nmに設定された。最良焦点位置の最大変化をもたらす種々の照明設定の範囲を選択することにより、対応するツェルニケ係数がより正確に抽出可能である。
【0045】
例えば、図8aにおいて、一連の測定がNA=0.5であるが、異なる外側シグマ設定によって得られた場合、最良焦点位置の極めて小さい変動が測定され、その結果Z9のみが比較的低い精度で検出可能である。対照的に、固定された外側シグマ設定が0.7であるがNAが0.5から0.7の範囲での一連の測定はより広い範囲の最良焦点位置を提供し、Z9をより正確に検出する。一つの技術は図8aのプロットにおける等高線に対して概ね垂直な線を形成するある範囲の照明設定において一連の測定を行なうことである。同じことがZ16の検出についても適用され、図8aから明らかなように、ある範囲の種々の照明設定がZ16の検出を最適化する。Z9とZ16の双方の検出を同時に最適化するには、照明設定の範囲はZ9およびZ16の双方の関数として最良焦点位置の変動に跨るべきである。
【0046】
本発明による技術は特定のツェルニケ係数を相互に独立して検出したい場合にも高めることができる。例えば図8aのプロットにおける等高線に倣う一連の照明設定において測定を行なうことにより、最良焦点位置の変動はZ9の収差によって概ね何ら生じることはなく、従って概ね全ての最良焦点位置の変動はZ16(あるいはその他の)ツェルニケ係数によるものである。このように、Z16はZ9とは独立して検出可能である。その逆もあり、そのためZ9は図8bにおける等高線に対応する照明設定において測定を行なうことによりZ16とは独立して検出可能である。
【0047】
本実施例において考慮した別なことはFOCAL技術が最も正確に最良焦点位置を測定するにはコントラストはできるだけ高くあることが好ましいことである。コントラストは図9においてNAと照明設定の外側シグマ値との関数としてマッピングされている。図9から最良に判るように、コントラストは高度のNA設定と低い外側シグマ設定とにおいて最大化される。
【0048】
測定されつつあるパラメータはまた例えば分離した線と詰まった線、離隔した空間、接触孔等の構造の型式と大きさのような像形成されつつある構造を最適化し、かつ例えばバイナリマスク、減衰マスクおよび交番位相シフトマスクのようなマスク型式を選択することによって最大化が可能である。
【0049】
第2の実施例
本発明は、また奇数の収差に対するツェルニケ係数を抽出するために使用可能である。本実施例は特にツェルニケ係数Z7に関して説明するが、mの奇数値(図2参照)を伴う収差に対応するその他のツェルニケ係数にも同等に適用しうる。奇数収差は像の横方向シフトをもたらす。
【0050】
図10は8個の種々の環状照明設定におけるx−方向(所謂x−シフト、dXあるいはΔX)の計算された横方向シフトの表であり、NAおよびシグマ設定は図3に提供されたものと正に同じである。dXの値は1nmのツェルニケ係数Z7による収差に基づいて計算されている。
【0051】
更なる計算はxシフトを生ずる次の最高次のツェルニケ係数、すなわちZ14(図2参照)による対応するシフトを生ぜしめることができる。
【0052】
像位置の横方向シフトは、「DISTO」(以下説明)と以後称する歪み測定技術を使用して実際の平板投影装置において測定可能である。代替的に、例えば透過像センサ(TIS)(前述した)あるいは第1の実施例に関連して述べたその他の技術を使用して空間像の位置を直接測定してもよい。
【0053】
DISTOは像の面(x、y平面)の横方向位置エラーを見つけ出す技術である。水平および垂直な等しい線/空間(例えば、像形成されたマークに対する8ミクロンの線)から構成される標準的な整合マークがレジストをコーテイングしたウェーファ上に像形成される。この像形成されたマーク(潜像あるいは現像された像)の位置は平板装置の整合系によって測定可能である。予測された位置に対するずれが歪みである。像視界全体に亘ってこれらのマークを分布させることによって、像視野全体の歪みが測定可能である。
【0054】
本発明の第2の実施例が多数の照明設定においてDISTOを使用している場合、これはDisto At Multiple IlluminationSettingsの頭字語である「DAMIS」と称される。
【0055】
Z7およびZ14の値は、非零のツェルニケ係数Z7およびZ14によるX−コマから生じるるx−位置での測定されたシフトに対する第1次の修正を提供する以下の関係から検出可能である。
dXmeas(NA,σ)=a+b・dXZ7=1nm(NA,σ)+c・dXZ14=1nm(NA,σ)
【0056】
この場合の定数bおよびcはそれぞれ今ではツェルニケ係数Z7およびZ14であり、Z9およびZ16に関して第1の実施例において前述した同じマトリックス操作およびマルチプル回帰あるいは最小2乗適合を使用して取得することができる。この場合、aの項はZ2に関連し、概ね一定である。
【0057】
図11は(nm単位の垂直軸に沿ってプロットした)実験的に測定したX-シフトと(nm単位の水平軸に沿ってプロットした)1nmのツェルニケ係数Z7により計算されたシフトとの間の相関のプロットを示す。プロットされた点と計算されたシフトとは図10の表における照明設定に対応する。最良適合線の勾配は、この特定の例では約7nmに等しいZ7を提供する、本装置に対するZ7の抽出値を提供する。
【0058】
図12aと図12bとは図8aと図8bとの類似の照明モード面でのx−位置におけるシフトdXをマッピングする等高線プロットを示す。ここでは放射設定は環状7でリングの幅(外側シグマ)−(内側シグマ)=0.3である。ここでも、測定を行なう放射設定を適当に選択することにより、Z7またはZ14の検出精度はそれぞれ改善可能で、Z7およびZ14の一方あるいは他方の変動は低減可能で、あるいは図8に関してZ9およびZ16に関して前述したように他方の係数のそれから収差に対するその寄与を分離するるように排除可能である。
【0059】
図13aおよび図13bは本発明の第2の実施例の技術の別な照明である。これらの図面は露出スリットに沿ったx−位置の関数としてのZ7(X−コマ)およびZ8(Y−コマ)のプロットを示す。それぞれのツェルニケ係数の値は本発明によって得られ、かつSIFを使用して独自に測定されたものとしてプロットされている。その相関もまた良好である。
【0060】
図13aにおける値の間の差はスリットに沿ったx−位置でZ7の変動を与える傾斜修正によって大きく修復可能である。図14は図13(s)と同じデータであるが、スリットに沿ったx−位置においてミリメートル当たり0.39nmだけ修正されたZ7のDAMIS測定によりデータをプロットしている。このような修正は適当に選択された波長シフトによって達成される。本発明の効用を例示することによって、本発明によって測定された、図13aのZ7の値によって指示する投影系の全体のコマ収差は(僅かにより長い)波長シフトによって修正可能である。
【0061】
前述した実施例において、一連の操作は種々の照明設定のシミュレーションを使用し、その後これらの照明設定における実際のシフトを測定することによって、最良焦点位置すなわちx−あるいはy−位置における予測されるシフトを計算することより構成されたが、先ず特定の照明設定において測定を行い、次に測定が行われた実際の放射設定においてシミュレーションを使用して適当な量を計算することがより実用的でありうることは勿論である。一連の試験露出は、各々異なるNAとシグマ設定により、但し露出のその他のパラメータは変えずに順次行なうことが好ましい。
【0062】
機械ドリフトの影響を修正するために、第1の放射設定を使用した測定を最後に繰返し、可能であれば所定の測定順序の介在する種々の照明設定の間で一回以上繰り返せばよい。
【0063】
ウェーファに試験露出をする場合、ウェーファの同じ部分が全ての照明設定に対して使用され、そのため全ての露出は概ね同一のレジスト処理や計測によるエラーがあるので「マイクロステッピング」あるいは「ダイ・イン・ダイ」露出として知られる技術を採用することが有利であって、そのため試験の再現性が向上する。
【0064】
前述した実施例はツェルニケ多項式に関してレンズ収差を説明したが、これは波面収差を説明するために使用しうる多数の可能な設定の機能のうちの単に一つであり、本発明はツェルニケ係数以外のパラメータに関する収差の測定にも使用可能である。
【0065】
本発明を上述してきたが、本発明は前述した以外の仕方でも実行可能であることが認められる。本説明は本発明を限定する意図のものでない。特に、本発明は平板装置の投影系に対して、かつ収差が相互に独立して安定して、かつ正確に測定されるべきいずれかのその他の型式の像形成系においても使用可能なことが認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による平板投影装置を示す。
【図2】種々の低位の収差とそれらのそれぞれのツェルニケ係数との間の関係を要約した表である。
【図3a】ツェルニケ係数Z9およびZ16による収差の関数としての種々の照明設定における(収差フリーの方式での)計算された最良焦点位置の表である。
【図3b】ツェルニケ係数Z9およびZ16による収差の関数としての種々の照明設定における(収差フリーの方式での)計算された最良焦点位置の表である。
【図4】測定された最良焦点位置と本発明によって測定されたツェルニケ収差係数Z9およびZ16に基づいて検出された最良焦点位置との間の相関を示すプロットであり、プロットにおける各点が図3に示す照明設定の一つに対応する。測定された最良焦点位置がnm単位で垂直軸に沿ってプロットされ、計算された最良焦点位置がnm単位で水平軸に沿ってプロットされている。
【図5a】(nm単位で垂直軸に沿ってプロットされた)本発明による方法を使用して測定されたツェルニケ係数と、それぞれZ9およびZ16に対して(nm単位で水平軸に沿ってプロットされた)別な方法を使用して検出されたツェルニケ係数との間の相関を示すグラフである。
【図5b】(nm単位で垂直軸に沿ってプロットされた)本発明による方法を使用して測定されたツェルニケ係数と、それぞれZ9およびZ16に対して(nm単位で水平軸に沿ってプロットされた)別な方法を使用して検出されたツェルニケ係数との間の相関を示すグラフである。
【図6a】本発明による方法と別な方法との双方によって検出された(スリットがy−方向に走査される)ステップアンドスキヤン装置における投影系のスリットに沿ったx位置の関数として、それぞれZ9およびZ16のツェルニケ係数のプロットを示す。垂直軸はnm単位での収差係数の値を示す。水平軸はミリメートル単位でスリットに沿ったx位置を示す。
【図6b】本発明による方法と別な方法との双方によって検出された(スリットがy−方向に走査される)ステップアンドスキヤン装置における投影系のスリットに沿ったx位置の関数として、それぞれZ9およびZ16のツェルニケ係数のプロットを示す。垂直軸はnm単位での収差係数の値を示す。水平軸はミリメートル単位でスリットに沿ったx位置を示す。
【図7】本発明の方法によって測定し、かつ他の方法を使用して測定した、(ミリメートル単位で水平軸に沿って示す)投影系のスリットに沿ったx位置の関数としての(nm単位で垂直軸に沿って示す)Z12のグラフである。
【図8a】(水平軸に沿って示す)外側シグマ設定の関数としての最良焦点位置と、それぞれ非零ツェルニケ係数Z9およびZ16による収差の結果としての投影系の(垂直軸に沿って示す)開口数との等高線プロットである。
【図8b】(水平軸に沿って示す)外側シグマ設定の関数としての最良焦点位置と、それぞれ非零ツェルニケ係数Z9およびZ16による収差の結果としての投影系の(垂直軸に沿って示す)開口数との等高線プロットである。
【図9】(水平軸に沿って示す)外側シグマ設定と、投影系の(垂直軸に沿って示す)開口数との関数としての像コントラストの等高線プロットである。
【図10】照明設定の関数としてのコマ収差(非零Z7)の結果の像位置の計算された横方向シフトの表である。
【図11】コマ収差による測定されたx−シフト(nm単位で垂直軸に沿って示す)と計算されたx−シフト(nm単位で水平線に沿って示す)との間の相関を示すグラフで、プロットにおける各点は図10に示す照明設定の一つに対応する。
【図12a】像形成系の外側シグマ設定(水平軸に沿って示す)と開口数(垂直軸に沿って示す)の関数として、それぞれ非零のツェルニケ係数Z7およびZ14によるx−シフトの等高線プロットである。
【図12b】像形成系の外側シグマ設定(水平軸に沿って示す)と開口数(垂直軸に沿って示す)の関数として、それぞれ非零のツェルニケ係数Z7およびZ14によるx−シフトの等高線プロットである。
【図13a】本発明の方法に従って測定され、かつ別な方法を使用して測定された(nm単位で水平軸に沿って示す)像形成系のスリットに沿ったx位置の関数として、それぞれ(nm単位で垂直軸に沿って示す)ツェルニケのコマ係数Z7およびZ8のプロットである。
【図13b】本発明の方法に従って測定され、かつ別な方法を使用して測定された(nm単位で水平軸に沿って示す)像形成系のスリットに沿ったx位置の関数として、それぞれ(nm単位で垂直軸に沿って示す)ツェルニケのコマ係数Z7およびZ8のプロットである。
【図14】図13aに対応するが、波長修正が本発明のデータに適用されたプロットである。
【符号の説明】
AM 調整手段
C 目標部分
IF 干渉測定手段
IL 放射系
IN 積分器
LA 放射源
MA マスク
MT マスクテーブル
PB 放射光線
PL 投影系(レンズ)
TIS透過像センサ
W 基板
WT 基板テーブル

Claims (16)

  1. 放射投影光線を供給する放射系と、
    所望のパターンに従って投影光線をパターン化するのに役立つパターン化手段を支持する支持構造体と、
    基板を保持する基板テーブルと、
    基板の目標部分上にパターン化された光線を投影する投影系と
    を含む光学像形成系の収差を検出する方法において、
    前記パターン化手段により投影光線をパターン化する段階
    前記放射系およびまたは前記投影系の複数の種々の設定のための前記投影系によって形成された像の少なくとも1個のパラメータを測定する段階と、
    前記複数の種々の設定において測定された前記少なくとも1個のパラメータに基づいて前記像形成系の収差をす少なくとも1個の係数を計算する段階と
    を含んでおり
    前記複数の種々の設定が、前記像形成系の瞳の最大半径に対して正規化された、前記像形成系の瞳における光線の強度分布の半径方向範囲の種々の設定からなる、
    ことを特徴とする光学像形成系の収差を検出する方法。
  2. 前記複数の種々の設定が、像側での開口数の種々の設定からなる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記種々の設定が、放射線が通過する像形成系の瞳における光線の空間分布の種々の設定からなり
    前記空間分布が、ディスク状、環状、四極子状、双極子状、および軟多極子状分布からなる群から選択され
    ことを特徴とする請求項1またはに記載の方法。
  4. 前記複数の種々の設定がテレセントリックおよび非テレセントリック照明設定あるいは複数の非テレセントリック放射設定からなる
    ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1個のパラメータが前記像の最良焦点の位置である
    ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1個のパラメータが前記像の横方向位置である
    ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記複数の種々の設定が少なくとも1個の、あるいは各々の測定されたパラメータの変動がほぼ最大化されるように選択される
    ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  8. 1個以上の前記係数が表わす収差から生じる前記少なくとも1個の測定されたパラメータの変動がほぼ零であり、一方所望の係数の関数としての前記少なくとも1個のパラメータが零でないように前記複数の種々の設定が選択される
    ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記複数の種々の設定に対して前記少なくとも1個の係数の小さい変化の関数としての各測定パラメータの理論的な変動を計算する段階を更に含む、
    ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記少なくとも1個の係数が一組の連立方程式の多重回帰あるいは最小2乗適合によって計算される
    ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1個の係数が、ツェルニケ(Zernike)係数である
    ことを特徴とする請求項1から1までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 放射感応層を備えた基板上にパターン化された放射光線を投影する平板投影装置において、
    投影放射光線を提供する放射系と、
    所望のパターンに従って投影光線をパターン化するのに役立つパターン化手段を支持する支持構造体と、
    基板を保持する基板テーブルと、
    基板の目標部分上にパターン化した光線を投影する投影系と、
    前記放射系および/または投影系の複数の種々の照明設定を提供する照明設定手段と
    投影系によって形成された投影像の少なくとも1個のパラメータを測定する測定手段と、
    前記測定手段が測定を行なうための、前記像形成系の瞳の最大半径に対して正規化された、放射線が通過する像形成系の瞳における光線の強度分布の半径方向範囲の種々の照明設定を選択する制御手段と、
    前記測定手段によって測定された少なくとも1個のパラメータに基づいて前記投影およびまたは前記放射系の収差を表わす少なくとも1個の係数を計算する計算手段と
    を含む
    ことを特徴とする平板投影装置。
  13. 前記支持構造体がマスクを保持するマスクテーブルを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  14. 前記放射系が放射源を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  15. 平板投影装置を使用して素子を製造する方法であって、
    (a)放射感応材料の層によって少なくとも部分的に被覆された基板を提供する段階と、
    (b)放射系を使用して放射投影光線を提供する段階と、
    (c)放射感応材料の層の目標部分上にパターン化された放射光線を投影するために投影系を使用する段階と、
    (d)前記投影系を使用して放射のパターン化された光線を放射感応材料の層の目標部分上へ投影する段階と
    前記(d)の段階の前に前記放射系およびまたは前記投影系の複数の種々の設定対して前記投影系によって形成される像の少なくとも1個のパラメータを測定する段階と、
    前記複数の種々の設定において測定された前記少なくとも1個のパラメータに基づいて前記投影および/または放射系の収差を表わす少なくとも1個の係数を計算する段階と、
    前記少なくとも1個の計算された係数に基づいて前記収差を修正して前記投影系によって投影される像の収差を低減する段階と
    を含んでおり、
    前記複数の種々の設定が、前記像形成系の瞳の最大半径に対して正規化された、前記像形成系の瞳における光線の強度分布の半径方向範囲の種々の設定からなる、
    ことを特徴とする平板投影装置を使用して素子を製造する方法。
  16. 前記修正の段階が種々の照明設定の間で変更する場合前記像の横方向位置およびまたは最良焦点位置の変化を修正する段階を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
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