JP3926208B2 - X線顕微鏡試料室 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線を照射し光電変換面に形成させた陰影に対応して発生する電子像を加速して拡大投影することによりX線像を観察するようにしたX線顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、X線顕微鏡は、波長が短く透過力の強いX線を光源として物体の高分解能透過像を得ることができる測定器として使用されてきた。しかし、像を拡大するためX線結像素子を用いてX線ビーム自体を拡大収束させる方式では、X線拡大光学系の焦点距離が長くなるため装置が大きくなり、像拡大率を調整するため観察位置を特定する光学顕微鏡などを併用する必要があり、また、集光効率が悪いため放射光のような強力なX線光源を必要とするという問題があった。
【0003】
また、X線光源の近くに試料を置いて透過X線の投影像を観察する投影拡大法では、X線源の大きさによる半影ぼけと試料による回折ぼけを避けることができないため、分解能の実用的な限界は0.1〜0.2μm程度とされ、測定対象に大きな制約があった。
さらに、感光板に試料を密着させてX線を照射して現像し現像後の画像を光学系で拡大して観察する密着法は、X線拡大光学系を使用しないので収差が無く試料と感光板が密着しているのでぼけが小さいため、原理的に容易に高分解能画像を得ることができるが、真空容器から感光板を取り出し現像した上で別の光学顕微鏡などで観察するので、繁雑な作業を必要とししかも即時性がない。
【0004】
このような従来のX線顕微鏡の欠点を克服するものとして、本願出願人は既に特願2001−235678や特願2001−316191により、光電変換面に試料を密着させて背後からX線を照射し発生する電子を光電変換面から引き出し拡大して電子検出素子面に結像させて可視像として提示する新しい形式のX線顕微鏡装置を開示している。
開示されたX線顕微鏡は、図Xに原理を示すように、光電変換素子面に試料を載せ試料を透過したX線を光電変換素子に当てて発生させた電子を強力な電界で引出して加速したのち、電子流を電子イメージ拡大装置により拡大して電子線検出素子面に投影して可視像化しモニターに表示するものである。
【0005】
開示されたX線顕微鏡は、X線透過像を電子顕微鏡と似た原理で拡大するもので、現像などの手間をかけずに、リアルタイムで高分解能のX線透過像を得ることができる。また、開示装置では試料を透過したX線を光電変換素子で電子に変換するので、X線吸収能の差を反映した濃淡画像を作成することができ、軟X線による観察も可能である。このため、取得するX線像の情報量が格段に増大し、また生体観察を行うこともできるようになった。
【0006】
このX線顕微鏡では、試料を高電界領域に配置して効果的な電子加速を行うため、カソードとアノードの距離をできるだけ短くする必要がある。また、照射するX線の強度を確保するためにX線の発生源を試料にできるだけ近づけて配置することが好ましい。さらに、照射するX線の種類により観察できる試料の特性が異なるので、X線波長を選択できることが好ましい。
なお、X線は大気中であっても自由に走行して試料に照射することができるが、光電変換面によってX線像に対応した電子線に変換した後の電子線行路は高真空中になければならない。しかし、光電変換面は薄く脆弱であるので、大気と真空の圧力差に耐えることはできない。また、観察対象の試料は光電変換面に密着してセットしなければならないので、試料を取り替えるときには光電変換面を取り外して処理する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、開示された新しいX線顕微鏡を構成するために使用できるような、電子加速空間を確保し容易に光学的位置調整ができさらに試料の交換を容易にする試料室を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、試料にX線を照射してできる陰影像を光電変換板で電子像に変換して拡大することにより試料を観察するようにしたX線顕微鏡に使用する本発明のX線顕微鏡試料室は、透明厚板を介してレーザを導入するレーザ光導入孔と開閉できるハンドホールと真空接続孔を備え電子加速空間のアノードに適合する穴を有する真空容器として形成され、さらに内部に試料ホルダを把持して位置を調整する試料位置調整機構とレーザ光を受けてX線を放出するターゲットを把持して位置を調整するターゲット位置調整機構を備えて、X線顕微鏡の対物レンズの前面に取り付けてターゲットを電子加速空間中の適所に配置すると共に、ターゲットの位置を調整して発生するX線が試料を的確に照射するようにすることを特徴とする。
【0009】
本発明の試料室を用いれば、光電変換板に試料を載せて形成した試料スライドを先端にセットした試料ホルダを準備し、電子加速空間の真空を破って、ハンドホールを開口し試料ホルダを試料位置調整機構に装着して、試料を電子加速空間中の適所に据え、次にターゲット位置調整機構によりターゲットをレーザ照射位置に据え、電子加速空間と試料室内を真空に引き、さらに試料位置を微調整することができ、レーザ光導入孔を介してレーザ光をターゲットに照射すれば、X線透過像を観察することができる。
【0010】
この試料室では、試料を取り外すときに電子走行領域とX線走行領域を一緒に大気圧に戻し、試料を取り付けるときに両領域を一緒に真空にするので、両領域の境界に配置される試料スライドの両面にかかる圧力に大きな差が生じないため、脆弱な試料スライドの破損を免れることができる。
なお、このX線顕微鏡は電子加速空間中に対物レンズ用の磁界を形成するため、シリンダ状に凹ませた側面に電磁コイルのポールピースを配置し、シリンダの底にアノード面を形成し、試料ホルダの先端をカソードとして、カソードとアノードを対向させた空間を電子加速空間とするため、電子加速を効果的に行うためには試料ホルダをシリンダ状凹みの奥に挿入してアノードカソード間距離を小さくする必要がある。
本発明では、試料位置調整機構により試料ホルダをアノードに適合する穴から電子加速空間を形成するシリンダ状凹み内の適当な位置まで挿入することができる。また、試料位置調整機構は試料をX線顕微鏡の光軸に位置させるように微調整することができる。
【0011】
さらに、X線ターゲットで発生するX線は広く拡散するため、強いX線を試料に照射するには、X線ターゲットはできるだけ試料に近いところに配置することが好ましい。しかし、試料を交換するときに試料を電子加速空間から引き出す必要があるため、X線ターゲットを固定する構成を用いると、試料直近に配置することができない。
本発明では、ターゲット位置調整機構によりX線ターゲットを後退させて試料の交換を可能にし、またX線ターゲットを試料ホルダに接近した適所に配置し、さらにレーザ光の照射位置に微調整することができる。
【0012】
なお、本発明のX線顕微鏡試料室は、さらにX線顕微鏡の調整を行うときには、ターゲット位置調整機構を光軸から待避させて、調整用電子線発生装置をセットすることができるように構成するようにしてもよい。
X線顕微鏡の調整や性能検査は、製造工場における出荷前調整、現場据え付け時の性能確認、装置起動時や定期の調整として行われる。
このような調整作業にはたとえば自由電子レーザ発生装置など観察時に使用するレーザ光発生装置を利用できない場合がある。このような場合は、X線顕微鏡には比較的簡便な電子銃を光軸上に設けて、電子ビームを用いて、対物レンズや投射レンズ、偏向コイルなどの調整を行うことが便利である。
【0013】
このため、電子ビームを発生する電子銃および電子ビームの整形をする電磁コイルなどの部材を試料室の対物レンズに対向する位置に設けて、電子ビームが光軸上を走行するようにすることができる。このような構成を採用したときには、ターゲット位置調整機構が電子ビーム走行の邪魔にならないように、光軸上から待避させる必要がある。光軸からの待避は、ターゲット位置調整機構あるいはターゲット保持部材を取り外して行っても良いが、光軸に垂直な方向に移動させる機構によって行っても良い。
【0014】
また、試料位置調整機構は、対物レンズの前面に固定してもよく、容器の壁に設置されたレール上を移動するようにするなど対物レンズに向かって移動できるように設備されても良い。なお、いずれも試料ホルダをセットするステージを備えて、微動装置により軸に対して垂直な方向にステージを移動させて位置調整できるようにすることが好ましい。
また、試料ホルダを電子加速空間を形成するカソードにするため高い負電圧を供給する必要があり、試料ホルダを挿入する貫通孔の壁部分を導電性材料で形成して、壁を介して外部からの高電圧を試料ホルダに供給し、壁部分を筐体アースが施されている外殻部と絶縁するため、壁の周縁部分を絶縁性材料で形成する必要がある。絶縁性材料として絶縁性や寸法安定性、加工性などに優れる芳香族ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0015】
さらに、試料室の側部に高圧導入端子を設けて試料ホルダに負電圧を供給するようにすることが好ましい。高圧電線を材料内部に配線すると絶縁性の確保が難しいが、真空空間中を引き回すようにすれば、接続配線や絶縁も容易になる利点がある。
また、本発明ではターゲット位置調整機構は、容器の壁に設けたレールに沿って移動できると共に、ターゲットを把持してターゲットのレーザ光が照射する位置を調整することができるように構成することができる。X線ターゲットはレーザ光を照射してX線を発生させる過程で浸食されやがて穴が開いてしまうが、たとえば円筒状に形成されたターゲット材料を把持して回転と平行移動ができるようにして、適当な時間ごとに照射位置をずらしていくと、いつでも新鮮な面でレーザ光を受けるようにすると、安定したX線放射をさせることができる。
なお、ターゲットは平板であっても良いことはいうまでもない。
【0016】
また、ターゲットから放出されるX線は広い波長分布を有するので、特定波長に対する試料のX線透過像を観察するときには、ターゲット表面と試料ホルダの間にX線波長を選択する光学フィルタを介装することができるように構成することが好ましい。波長選択フィルタは、ターゲット位置調整機構に搭載してターゲットと一緒に移動するようにしてもよい。
【0017】
なお、試料ホルダを交換するときに利用するハンドホールは、試料室端面に設けてもよいが、試料室側面に設けてもよい。ハンドホールの蓋に透明板を嵌め込んで試料室内部を観察して位置調整や運転中の状態を確認できるようにしても良い。またハンドホールの透明板を通してレーザ光を導入するようにしてもよく、この場合はレーザ導入孔を省略することができる。
さらに、試料室の外殻は、対物レンズ部や投射レンズ部の外殻と同様、パーマロイ(商標名)などの高透磁率性材料で形成して、外部磁界が内部に入り込まないようにすることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は本実施例のX線顕微鏡試料室を軸に垂直に切断したときの断面図、図2は試料室をX線顕微鏡に組み込んだ状態の1例を軸を含む面で切断した断面図、図3は試料位置調整機構の部分を示す拡大断面図である。ただし、試料位置調整装置は説明の都合上、図1と図3では壁に固設する形式であるのに対して、図2ではレール上を移動する形式のものを表示している。
試料室1は、対物レンズ51や投射レンズ52が収納される電子イメージ拡大装置筐体5の端面に取り付けられる。なお、電子イメージ拡大装置筐体5の下流側には、偏向コイル53と、光軸調整用素子54と、電子像を検出してX線像を可視化する電子線検出素子55とが設けられる。
【0019】
光軸調整用素子54は、光軸上に設置され電子線を検出するもので、電子ビームの走行軸を調整するときに利用されるが、直進するX線が入射するためX線像を観察する場合に使用するとノイズが重畳して鮮明な像を得ることが難しい。そこで、X線像を観察するためには、電子ビームを偏向コイル53で偏向させて軸からずれたところに置かれた電子線検出素子55に入射させてX線の影響を排除してから観察する。偏向コイル53は2個直列に設けて、電子線を十分大きく偏向させて電子線検出素子55に確実に入射するようにする。
X線像観察時には、これらの領域を通過する電子ビーム通路は高真空に維持される。なお、対物レンズ51と投射レンズ52の間に遮断弁56が設けられている。試料交換などの目的で試料室1側の真空を破るときには、遮断弁56を遮断して投射レンズ52以下の領域の真空を保持し、立ち上がり時に再度真空引きする手間と時間を省略して作業効率を向上させている。
【0020】
試料室1は、真空容器として厚い外殻壁11をもった筐体であって、その側壁に透明厚板12を介してレーザ光を導入するレーザ光導入ノズル13と、同様に透明厚板14を備え開閉可能なハンドホール15と、真空接続ノズル16と、高圧導入端子保護筐体17を備える。
試料室1の筐体11は、電子イメージ拡大装置筐体5の端面に取り付けられる端面にアノード57に向けて開口18が設けられていて、この開口18の周縁部分でアノード57のフランジ部分を押さえて止めるようになっている。
また、試料室筐体11の内部には、試料ホルダ19を把持して位置を調整する試料位置調整装置20と、レーザ光を受けてX線を放出するX線ターゲット21を把持して位置を調整するターゲット位置調整装置22を備える。
【0021】
試料位置調整装置20が図1や図3に示したような壁面に固設する形式のものであるときは、開口18の周縁部分に固定する。試料位置調整装置20には、可動ステージ23が設けられ、軸が交差するように配置された2個の微動装置24と、その中間に配置され可動ステージ23を常に引きつけるように付勢するバネ25により、軸に対して垂直な方向に位置調整ができるようになっている。微動装置24の調節つまみは筐体11の外に設けられていて、人が操作することができる。また、調節つまみに代えて電動モータを用い、遠隔で操作できるようにしてもよい。なお、試料位置調整装置20が筐体11の内壁に軸方向に敷設されたレール31の上を移動可能な形式であるときは、微動装置24やバネ25も本体と一緒に移動するように構成される。
【0022】
可動ステージ23の中心位置には、試料ホルダ19が挿入される貫通孔が設けられ、貫通孔の壁26は導電性材料で形成されている。また、壁部分26の外側はポリイミド樹脂などの絶縁性材料で形成されている。
導電性を有する壁26は高圧端子27と導線28に接続され、外部導線29から供給される負電圧を試料ホルダ19に与える。なお、負電圧が供給されると試料ホルダ19の先端面がカソードになって、アースされたアノード57と協働して電界を生成し、電子加速空間58を形成するが、カソードの位置は試料ホルダ19の長さを調整することにより調節することができる。
可動ステージ23には、複数の連通孔30が設けられていて、試料室1と電子加速空間58をいつでもほぼ同じ気圧に維持するため通気を行う。
【0023】
ターゲット位置調整装置22は、筐体11の内壁に軸方向に敷設されたレール32の上を走行するように設置され、遠隔操作により移動する。
X線ターゲット21は、ターゲット位置調整装置22の把持装置にセットされ並動および回動していつも新しい部分にX線が照射するようにすることができる。透過するX線の波長を選択するX線透過フィルタ33がX線ターゲット21と試料ホルダ19の間に位置するように把持されている。
ターゲット位置調整装置22は、必要に応じてレール32から取り外して除去することができる。
また、台車に搭載される部品を光軸位置からずらして、調整用装置を光軸位置にセットできるようにすることが好ましい。
【0024】
レーザ発生装置34から放射されたレーザ光が、いくつかの反射鏡35でX線顕微鏡装置の近辺まで導かれ、レーザ位置調整装置36に搭載される反射鏡37と収束レンズ38を通って、レーザ光導入ノズル13の透明厚板12を透過してX線ターゲット21の表面に照射する。
なお、レーザ発生装置34として、自由電子レーザ装置を利用することができる。
内部機器の取り外し、取り付け、調整などの便宜のため、ハンドホール15を筐体11の側面に備える。ハンドホール11の開閉窓に透明厚板14を嵌め込んで、筐体11の内部を観察できるようにすることが好ましい。
なお、ハンドホール15を筐体11側面に備えるときは、レーザ光導入ノズル13を省略し、レーザ光をハンドホールの透明厚板14を通して導入するようにしてもよい。
【0025】
また、筐体11の端面に設けたフランジ39をハンドホールとすることができるが、この場合にも、筐体11の側面に覗き窓を設けて内部が観察できるようにすることが好ましい。
X線顕微鏡の試料交換は試料室1を利用して行う。試料交換時には、遮断弁56により投射レンズ52以降の空間を遮断して真空を維持した状態で、試料室1のハンドホール15の蓋を開けて大気開放し試料ステージ23から試料ホルダ19を外し、観察済みの試料を取り外して新しい試料スライドを取り付けた試料ホルダ19を試料ステージ23に戻してハンドホール15の蓋を閉め、試料室1を真空に引いてからX線を照射して拡大画像を観察する。
【0026】
図4は、電子加速空間前面の壁に固設する形式の試料位置調整装置とターゲット位置調整装置の関係を示す断面図、図5はX線ターゲットの斜視図である。
電子加速空間58の前面に微動装置24により調整可能に試料位置調整装置20が固設されている。ターゲット位置調整装置22は、台車40とターゲットスタンド41とフィルタホルダ42で構成される。
ターゲットスタンド41は、円筒形のX線ターゲット21を支持し、X線ターゲット21の軸方向に並進させると共に軸周りに回転させることができる。フィルタホルダ42はX線フィルタ33をX線ターゲット21と試料ホルダ19の間に支持する。台車40は、試料室筐体11の内壁に設けられたレール32に案内されて、X線ターゲット21とX線フィルタ33をX線顕微鏡の光軸方向に移動させることができる。また、X線ターゲット21とX線フィルタ33を光軸に垂直な方向に待避させることができる。
【0027】
試料位置調整装置20を適正に配置した後、X線ターゲット21とX線フィルタ33を取り付けたターゲット位置調整装置22を試料位置調整装置20の前面に配置して、レーザ光導入ノズル13からレーザ光を照射する。
X線ターゲット21の表面に強いレーザ光を照射すると、レーザプラズマが生成しX線が発生する。このX線をX線フィルタ33で目的に応じて波長選択し、試料ホルダ19の孔の奥にセットされた試料スライドに照射する。
X線ターゲット21の表面はレーザ光により損耗するので、図5に示すように、ターゲットスタンド41によりX線ターゲット21を回転しさらに軸方向に並進移動させて、損耗スポット43を避け新しい表面にレーザ光が当たるようにする。
なお、X線ターゲット21は、円筒状に限らず平板や曲板形状であっても良いことはいうまでもない。
【0028】
図6は、試料室外殻11の内壁表面に光軸方向に敷設されたレール上を移動する形式の試料位置調整装置とターゲット位置調整装置の関係を示す断面図である。
試料位置調整装置20は、台車44とその上に固定される定盤45と、試料ホルダ19を把持する試料ステージ46で構成される。
台車44は、試料室筐体11の内壁に設けられたレール31に案内されてX線顕微鏡の光軸方向に移動し、試料ホルダ19の先端をアノード57に対して所定の距離に配設し、電子加速空間58を形づくる。
【0029】
試料ステージ46は、定盤45の表面にバネ47で押し付けられ、遠隔操作可能な微動装置48により光軸に垂直な面内で適宜に動かせるようになっている。なお、微動装置48は互いに軸の向きが一致しないように2式設けられ、図示しないバネが微動装置48の中間に配置され試料ステージ46を引っ張るように付勢して遊びを無くし、微動装置48の押し引きにより微細な位置調整を行うようになっている。
この形式の試料位置調整装置を用いるときは、電子加速空間が試料室に対して開放されているため、試料室1内の圧力の状態にかかわらず試料スライドの表裏に圧力差が生じないので、薄膜構造の光電変換膜で構成される脆弱な試料スライドの破損を防止することができる。
なお、ターゲット位置調整装置22は、図4に示したものと同じ構成であってよい。
【0030】
X線顕微鏡の光軸調整は、製造工場などで行うこともあり必ずしも強力なレーザ発生装置を利用することができないことがある。そこで、X線により発生する電子線でなく、電子銃で発生する電子ビームを利用して光軸調整をすることができるようにすると便利である。
図7は、X線顕微鏡の調整や性能試験に用いる電子銃をセットしたときの状態を示す断面図である。
X線顕微鏡の性能試験等は、試料室1の電子イメージ拡大筐体5と対向する端面にセパレートバルブ61を挟んで取り付けた電子銃62を用いて行われる。
セパレートバルブ61の下流の試料室内にコンデンサレンズ63が設けられ、さらに1対の偏向コイル64が設けられる。
【0031】
偏向コイル64の下流には、導電性材料からなる伸縮可能な入れ子型保護管65が設けられていて、延伸した先端を試料ホルダ19に挿入されたマウスピース66に係止することにより、試料室1内に発生する電界から電子ビームを保護する筒体を試料ホルダ19まで延伸できるようになっている。
なお、セパレートバルブ61は、試料室1を大気開放するときに閉じて電子銃62内の真空を維持するもので、雲底を迅速に再開する作用を有する。
電子銃62から放射された電子ビームは、セパレートバルブ61を通ってコンデンサレンズ63により細くされビームの質を向上させて、さらに偏向コイル64により電子ビームの走行方向を調整し、入れ子型保護管65の中を通って試料ホルダ19に入射する。
【0032】
X線像観察時にはX線ターゲットとX線フィルタが光軸上に配置されるが、調整時には保護管65を光軸上に配置するため、ターゲット位置調整装置はX線ターゲットとX線フィルタを光軸位置から待避される必要がある。なお、ターゲット位置調整装置自体をレールから取り外して排除してもよい。
光軸調整は、試料スライドを取り外した状態で、電子銃62から発射される電子線を対物レンズや投射レンズで構成される電子イメージ拡大機構に直接入射させるようにし、ビーム位置センサを用いて、電子銃62からの電子ビームを試料ホルダ19の孔を通って電子イメージ拡大機構の軸に合わせる。
【0033】
一方、X線像を電子線検出素子上に正しく結像させることや像の拡大倍率を確認するためには、試料位置で発生する電子線を用いる必要がある。そこで、試料ホルダ19の先端に試料スライドを設置しかつ試料ホルダ19の内部にX線ターゲットを配置して、電子銃62から放射される電子ビームでX線を発生させ、発生したX線を試料スライドに照射して電子を発生させ、この電子線を電子加速空間や電子イメージ拡大機構に通して観察することができるように構成することが好ましい。
【0034】
また、筐体外殻11は外部から磁界が漏れ込んで電子ビームの軌道を乱さないようにするため、電子イメージ拡大装置筐体5と同様に、たとえばパーマロイ(商標名)など透磁率の高い材料で形成することが好ましい。
なお、図7には壁面に固設する形式の試料位置調整装置20を表示したが、レール上を移動する形式の試料位置調整装置を用いる場合も電子銃62等の配置方法に変化はない。
【0035】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明のX線顕微鏡試料室は、電子加速空間を確保し容易に光学的位置調整ができさらに試料の交換を容易にするため、試料にX線を照射してできる陰影像を光電変換板で電子像に変換して拡大して観察する新しいX線顕微鏡に適用することにより、高性能のX線顕微鏡をより簡便に利用することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例のX線顕微鏡試料室を軸に垂直に切断した断面図である。
【図2】本実施例の試料室をX線顕微鏡に組み込んだ状態の1例を軸を含む面で切断した断面図である。
【図3】本実施例に使用される試料位置調整機構の1例を示す拡大断面図である。
【図4】図3の試料位置調整機構を使用してX線照射する場合を示す断面図である。
【図5】本実施例に使用されるX線ターゲットの1例を説明する斜視図である。
【図6】本実施例に使用される試料位置調整機構の別例を示す拡大断面図である。
【図7】本実施例の試料室に調整用電子線発生装置を組み込んだ状態を示す一部断面図である。
【図8】本発明を適用するX線顕微鏡の構成を説明する概念図である。
【符号の説明】
1 試料室
5 電子イメージ拡大装置筐体
11 外殻壁
12 透明厚板
13 レーザ光導入ノズル
14 透明厚板
15 ハンドホール
16 真空接続ノズル
17 高圧導入端子保護筐体
18 開口
19 試料ホルダ
20 試料位置調整装置
21 X線ターゲット
22 ターゲット位置調整装置
23 可動ステージ
24 微動装置
25 バネ
26 貫通孔壁部分
27 高圧端子
28 導線
29 外部導線
30 連通孔
31,32 レール
33 X線透過フィルタ
34 レーザ発生装置
35 反射鏡
36 レーザ位置調整装置
37 反射鏡
38 収束レンズ
39 フランジ
40 ターゲット位置調整装置台車
41 ターゲットスタンド
42 フィルタホルダ
43 損耗スポット
44 試料位置調整装置台車
45 定盤
46 試料ステージ
47 バネ
48 微動装置
51 対物レンズ
52 投射レンズ
53 偏向コイル
54 光軸調整用素子
55 電子線検出素子
56 遮断弁
57 アノード
58 電子加速空間
61 セパレートバルブ
62 電子銃
63 コンデンサレンズ
64 偏向コイル
65 入れ子型保護管
66 マウスピース

Claims (13)

  1. X線を照射してできる陰影を電子像に変換して拡大することにより試料を観察するようにしたX線顕微鏡において、透明厚板を介してレーザを導入するレーザ光導入孔と開閉できるハンドホールと真空接続孔を備え電子加速空間のアノードに適合する穴を有する真空容器であって、さらに内部に試料ホルダを把持して位置を調整する試料位置調整機構とレーザ光を受けてX線を放出するターゲットを把持して位置を調整するターゲット位置調整機構を備えて、X線顕微鏡の対物レンズの前面に取り付けて前記ターゲットを前記電子加速空間中の適所に配置すると共に、前記ターゲットの位置を調整して発生するX線が前記試料を的確に照射するようにすることを特徴とするX線顕微鏡試料室。
  2. 前記X線顕微鏡の調整を行うときには、前記ターゲット位置調整機構を光軸上から待避させて、調整用電子線発生装置をセットすることができるように構成することを特徴とする請求項1記載のX線顕微鏡試料室。
  3. 前記試料位置調整機構が、前記アノードの前面を塞ぐように前記穴の部分に固設され、前記試料ホルダをセットする貫通孔を有するステージを備えて該ステージに微動装置が付属して光軸に垂直な面内で位置の微調整を行えるようになっていることを特徴とする請求項1または2記載のX線顕微鏡試料室。
  4. 前記試料位置調整機構が、前記アノードに向かって移動し、前記試料ホルダをセットする貫通孔を有して付属する微動装置により光軸に垂直な面内で位置の微調整を行えるステージを備えることを特徴とする請求項1または2記載のX線顕微鏡試料室。
  5. 前記試料位置調整機構が、前記容器の壁に設けたレールに沿って移動し、前記試料ホルダをセットする貫通孔を有するステージを搭載して該ステージに微動装置が付属して光軸に垂直な面内で位置の微調整を行えるようになっていることを特徴とする請求項4記載のX線顕微鏡試料室。
  6. 前記試料ホルダをセットする貫通孔部分が芳香族ポリイミド樹脂で形成されることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のX線顕微鏡試料室。
  7. 前記試料室はさらに高圧導入端子を設けて前記ステージを介して前記試料ホルダに前記電子加速空間を形成する負電圧を供給できるように構成することを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載のX線顕微鏡試料室。
  8. 前記ターゲット位置調整機構は、前記容器の壁に設けたレールに沿って移動し、前記ターゲットを把持して該ターゲットの表面の前記レーザ光が照射する位置を調整するようになっていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のX線顕微鏡試料室。
  9. 前記ターゲットが円筒形状をしていることを特徴とする請求項8記載のX線顕微鏡試料室。
  10. 前記ターゲットと前記試料ホルダーの間にX線波長選択フィルタを装着することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のX線顕微鏡試料室。
  11. 前記ハンドホールが前記真空容器の側面に設けられ透明厚板を備えて前記レーザ光導入孔を兼ねることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のX線顕微鏡試料室。
  12. 外殻を高透磁率性材料で形成することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のX線顕微鏡試料室。
  13. 前記導入するレーザ光の光路に対して前記試料室の位置を調整する位置調整機構を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のX線顕微鏡試料室。
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