JP3926121B2 - 耐力壁の構造、及び耐力壁の組込工法 - Google Patents

耐力壁の構造、及び耐力壁の組込工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の増築工事に際して、非耐力壁を耐力壁にするための耐力壁の組込工法、及び増築工事と新築工事の双方において採用される耐力壁の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅の増築工事に際しては、住宅の構造上、既存建築部の非耐力壁を耐力壁に改造して、所定の場所に耐力壁を設けなければならない場合がある。この場合の施工法としては、既存の一般軸(軸組)を取り外して、その壁部全体を耐力壁にそっくり入れ替える工法や、既存の一般軸はそのままにして、その軸が形成する枠の四隅にブレースを溶接にて追加することにより、耐力壁を構成する工法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、既存の一般軸を取り外して、その壁部全体を耐力壁にそっくり入れ替える工法は、既存の軸組の切断や、当該壁部の壁パネルとその両隣の壁パネルの取り外しが必要であり、時間と労力を要するものであった。加えて、切断した軸組の断片や、取り替えによって生じた不要な軸組が産業廃棄物となり、この廃棄物の処理に別途費用が発生するという問題もあった。
【0004】
また、既存の一般軸はそのままにして、その軸が形成する枠の四隅にブレースを溶接にて追加する工法にあっては、溶接の有資格者でないと施工を行うことができないという問題が生じる、さらに有資格者であっても現場溶接は信頼性が低くく、施工の確実性に問題がある。さらに、住宅施工現場では、引火し易い材料や廃材等が散乱していることが多く、施工時の火花により火災を引き起こす危険性があり、さらには現場作業者に余計な気遣いをさせて作業能率を低下させるという問題も生じる。
【0005】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、軸組を切断せず、軸組を取り替えず、耐力壁にする壁部の両隣の壁パネルを取り外さず、かつ、産業廃棄物となる軸組の切断片等を発生させずに、非耐力壁を耐力壁にする耐力壁の組込工法及びその耐力壁の構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の耐力壁の構造は、枠形状に配設された軸組に外壁パネルが固定されてなる外壁部における耐力壁の構造であって、枠形状に配設された軸組の戸外側面に、該枠形状に合致する面材がその周縁部において固定具により固定され、該面材上から、周囲の外壁パネルの厚さより該面材の厚さだけ薄い取替外壁パネルが前記軸組に固定されたことを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の耐力壁の構造は、請求項1記載の耐力壁の構造において、前記面材は、パンチングメタルであることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の耐力壁の組込工法は、枠形状に配設された軸組に外壁パネルが固定されてなる外壁部を耐力壁にする耐力壁の組込工法であって、既設の外壁パネルを前記軸組から取り外し、枠形状に配設された軸組の戸外側面に、該枠形状に合致する面材をその周縁部において固定具により固定し、前記面材上から、周囲の外壁パネルの厚さより該面材の厚さだけ薄い取替外壁パネルを前記既設の外壁パネルの代わりに前記軸組に固定することを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の耐力壁の組込工法は、請求項3記載の耐力壁の組込工法において、前記面材は、パンチングメタルであることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る耐力壁の構造及び耐力壁の組込工法について図面に基づき説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係る耐力壁の構造Aは、枠形状に配設された軸組1に外壁パネル2が固定されてなる外壁部3における耐力壁の構造であって、枠形状に配設された軸組1の戸外側面に、該枠形状に合致する面材4がその周縁部において固定具5により固定され、該面材4上から、取替外壁パネル6が前記軸組1に固定されたものである。以下、更に詳細に説明する。
【0013】
前記面材4としては、前述したように軸組によって形成される枠形状に合致する形状のものが使用され、例えば、その枠形状が矩形であれば、図示するような矩形の面材4が使用される。該面材4としては、建築構造上必要な強度を有すると共に、同外形のものと比較して軽量であるパンチングメタルが使用されており、更に該パンチングメタルの周縁部には、ボルト取付孔4aが一定間隔をおいて穿設されている。なお、面材4は、前記パンチングメタルに限定されず、建築構造上必要な強度を有するものであればよい。例えば、パンチングメタルが有する多数孔のない単なる板材やメッシュ材などでもよい。
【0014】
前記固定具5としては、ボルト5a及びガイド付きナット5bが使用されている。該ガイド付きナット5bは、前記軸組1のつばに付勢力により挟み留まるように該つば形状に合わせて薄板が折曲加工されてなるガイド部5cがナットに溶接等により固定されたものである。このため、ボルト5aと該ガイド付きナット5bを締結する際に、該ガイド部5cを軸組1のつばに挟み留めながら行うことで、面材4を取り付ける際に、手でナットを押さえておく必要がなく、能率よく施工することができる。なお、本実施の形態では、固定具5として、ボルト5a及びガイド付きナット5bを使用しているが、施工能率の問題を別にすれば、他の固定具、例えばビス、釘などを用いて面材4を軸組1に固定してもよい。
【0015】
前記取替外壁パネル6は、耐力壁を追加すべき外壁部3の周囲に配置された外壁パネル2の厚さより前記面材4の厚さだけ薄いものである。従って、前記取替パネル6を使用すれば周囲の外壁パネルと段差を形成することなく同一面に配置されるので、戸外側から見た外観を損ねることがない。なお、図示した取替外壁パネル6及び周囲の外壁パネル2は、断面コの字材で矩形に形成された枠体7と、該枠体7に固定された外壁ボード8と、前記枠体7の内側に配設された断熱材9とからなるものが使用されているが、他の種類の外壁パネルであっても、取替パネル6は前記した厚さのものを使用すればよい。
【0016】
つぎに、上記耐力壁Aを非耐力壁に組み込む耐力壁の組込工法について説明する。まず、最初に、図3に示すように、耐力壁を組み込むべき外壁部3の既設の外壁パネル2を取り外して、軸組1を戸外側に露出させる。次に、取り付ける面材4のボルト取付孔4aに合致するように工作機械10を用いて軸組1にキリ孔を適宜穿設し、軸組のキリ孔に合わせて前記ガイド付きナット5bを各々挟み留める。
【0017】
そして、図4に示すように面材4を枠形状に配設された軸組1の戸外側面に重ね合わせ、その周縁部のボルト取付孔4aにボルト5aを通して前記ガイド付きナット5bに締結して、該面材4を軸組1に固定する。なお、該作業においては、面材4としてパンチングメタルが使用されているので、多数の孔が穿設されていない単なる面材を取り付ける場合と比較して、該面材4の取付作業を行う作業者の負荷は軽減される。
【0018】
最後に、図5に示すように、前記面材4上から、前記取替外壁パネル6を所定の取付金具11を用いて軸組1に固定して耐力壁の組込施工が完了する。このときの前記取替外壁パネル6の納まり状態は、図1に示したように、該取替外壁パネル6は、その厚さが、周囲の外壁パネル2より、前記面材4の厚さだけ薄いので、取付後は、周囲の外壁パネルと同一面に配置される。
【0019】
なお、上記した耐力壁の構造は、増築工事に限らず、新築工事においても採用することができる。また、本実施の形態においては、外壁部における耐力壁の組込工法及び耐力壁の構造について説明したが、枠形状に配設された軸組に壁パネルが固定されてなる界壁、間仕切壁等においても同様にかかる耐力壁を設けることができる。つまり、外壁部の場合と同様に、界壁、間仕切り壁等の内部に枠形状に配設された軸組の片面若しくは両面に、該枠形状に合致する面材をその周縁部において固定具により固定することにより、耐力壁を構成することができる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1記載の耐力壁の構造は、枠形状に配設された軸組に外壁パネルが固定されてなる外壁部における耐力壁の構造であって、枠形状に配設された軸組の戸外側面に、該枠形状に合致する面材がその周縁部において固定具により固定され、該面材上から、周囲の外壁パネルの厚さより該面材の厚さだけ薄い厚さの取替外壁パネルが前記軸組に固定されたものであるので、該耐力壁の構造を設けるに際して、軸組の切断及び取替、並びに溶接施工を必要とせず、一般の作業者が能率よく耐力壁の組込施工を行うことが可能である。加えて、軸組の切断及び取替を要しないことから、産業廃棄物として処理すべき軸組の切断片等が発生せず、産業廃棄物処理コストの低減が図られる。さらに、該耐力壁の構造によれば、戸外側からみた外観を損ねることなく耐力壁を設けることが可能である。
【0021】
請求項2記載の耐力壁の構造は、請求項1記載の耐力壁の構造において、前記面材は、パンチングメタルであるものであるので、施工に際して作業者の負担を軽減し、施工能率の向上が図られる。
【0022】
請求項3記載の耐力壁の組込工法は、枠形状に配設された軸組に外壁パネルが固定されてなる外壁部を耐力壁にする耐力壁の組込工法であって、既設の外壁パネルを前記軸組から取り外し、枠形状に配設された軸組の戸外側面に、該枠形状に合致する面材をその周縁部において固定具により固定し、前記面材上から、周囲の外壁パネルの厚さより該面材の厚さだけ薄い取替外壁パネルを前記既設の外壁パネルの代わりに前記軸組に固定する工法であるので、該工法によれば、請求項1記載の耐力壁の構造と同様の効果が得られる。
【0023】
請求項4記載の耐力壁の組込工法は、請求項3記載の耐力壁の組込工法において、前記面材は、パンチングメタルである工法であるので、施工に際して作業者の負担を軽減し、施工能率の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る耐力壁及びその周囲の壁部の構造を示した平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る耐力壁を設けた外壁を戸外側からみた場合の概略図である。
【図3】既設の外壁パネルを取り外し、面材を取り付けるための孔を穿設し、ガイド付きナットを取り付ける場合を示した説明図である。
【図4】面材を固定具により軸組に固定する場合を示した説明図である。
【図5】取替外壁パネルを軸組に固定する場合を示した説明図である。
【符号の説明】
A 耐力壁の構造
1 軸組
2 外壁パネル
3 外壁部
4 面材
5 固定具
5a ボルト
5b ガイド付きナット
6 取替外壁パネル

Claims (4)

  1. 枠形状に配設された軸組に外壁パネルが固定されてなる外壁部における耐力壁の構造であって、枠形状に配設された軸組の戸外側面に、該枠形状に合致する面材がその周縁部において固定具により固定され、該面材上から、周囲の外壁パネルの厚さより該面材の厚さだけ薄い取替外壁パネルが前記軸組に固定されたことを特徴とする耐力壁の構造。
  2. 前記面材は、パンチングメタルであることを特徴とする請求項1記載の耐力壁の構造。
  3. 枠形状に配設された軸組に外壁パネルが固定されてなる外壁部を耐力壁にする耐力壁の組込工法であって、既設の外壁パネルを前記軸組から取り外し、枠形状に配設された軸組の戸外側面に、該枠形状に合致する面材をその周縁部において固定具により固定し、前記面材上から、周囲の外壁パネルの厚さより該面材の厚さだけ薄い取替外壁パネルを前記既設の外壁パネルの代わりに前記軸組に固定することを特徴とする耐力壁の組込工法。
  4. 前記面材は、パンチングメタルであることを特徴とする請求項3記載の耐力壁の組込工法。
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