JP3925943B2 - ErbB3抗体 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は全体として、ErbB3受容体に結合する抗体に関する。特に、本発明は抗ErbB3抗体に関し、該抗体は驚くべきことに、ErbB3タンパク質に対するヒレグリドン(HRG)の結合アフィニティーを増大し、及び/またはErbB2及びErbB3の両受容体を発現する細胞においてErbB2-ErbB3タンパク質複合体のHRG誘導性形成を減少し、及び/または該細胞におけるヒレグリン誘導性ErbB2活性化を減少する。
関連分野の説明
細胞の増殖及び分化を調節するシグナルの伝達は、さまざまな細胞タンパク質のリン酸化によって一部調節される。タンパク質チロシンキナーゼは、この過程を触媒する酵素である。受容体タンパク質チロシンキナーゼは、細胞内基質のリガンド刺激性チロシンリン酸化を介して、細胞増殖に向けられると考えられる。クラスIサブファミリーの増殖因子受容体チロシンキナーゼには、erbB1遺伝子によってコードされる170kDa上皮増殖因子受容体(EGFR)が含まれる。erbB1は、ヒト悪性疾患において時おり関連している。特に、この遺伝子の増大した発現は、比較的進行性の乳ガン、膀胱ガン、肺ガン及び胃ガンで観察されている。
クラスIサブファミリーの第二のメンバーであるp185neuは、化学的に処理されたラットの神経芽細胞腫由来のトランスフォーミング遺伝子の産物として最初に同定された。neu遺伝子(erbB2及びHER2とも呼ばれる)は、185kDaの受容体タンパク質チロシンキナーゼをコードする。ヒトHER2遺伝子の増幅及び/または過剰発現は、乳ガン及び卵巣ガンにおける予後の困難性と相関している(Slamon等,Science,235:177-182(1987);及びSlamon等,Science,244:707-712(1989))。HER2の過剰発現はまた、胃ガン、子宮内膜ガン、唾液腺ガン、肺ガン、腎臓ガン、大腸ガン及び膀胱ガンを含む他のガンとも相関している。
erbB3またはHER3と呼ばれるさらなる関連遺伝子が開示されている。米国特許第5,183,884号及び5,480,968号;Ploeman等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2900-2904(1993);EP特許出願第444,961A1;及びKraus等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2900-2904(1993)参照。Kraus等(1989)は、著しく増大したレベルのerbB3mRNAが、特定のヒト乳腺腫瘍細胞系に存在し、それはerbB3がerbB1及びerbB2のようにあるヒト悪性疾患において役割を果たしているであろうことを意味すると開示した。これらの研究者は、あるヒト乳腺腫瘍細胞系が安定状態のErbB3チロシンリン酸化の有意な上昇を示しており、さらにこれはこの受容体がヒト悪性疾患において役割を果たしているであろうことを意味すると示した。したがって、ErbB3に結合する抗体を用いた診断バイオアッセイは、米国特許第5,183,884号及び第5,480,968号においてKraus等によって記載されている。
ガンにおけるerbB3の役割は、他のものによっても調査されている。乳ガン(Lemoine等,Br.J.Cancer,66:1116-1121(1992))、胃腸ガン(Poller等,J.Pathol.,168:275-280(1992),Raijkumer等,J.Pathol.,170:271-278(1993),及びSanodas等,Int.J.Cancer,54:935-940(1993))、及び膵臓ガン(Lemoine等,J.Pathol.,168:269-273(1992),及びFriess等,Clinical Cancer Research,1:1413-1420(1995))においてもerbB3が過剰発現されることが見出されている。
ErbB3はチロシンキナーゼ活性をほとんどまたは全く備えていない点で、ErbB受容体ファミリーの間でユニークである(Guy等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:8132-8136(1994)及びKim等,J.Biol.Chem.269:24747-55(1994))。ErbB3がErbB2と共発現された場合、活性シグナリング複合体を形成し、ErbB2に対して向けられた抗体はこの複合体を破壊することが可能である(sliwkowski等,J.Biol.Chem.,269(20):14661-14665(1994))。加えて、ヒレグリン(HRG)に対するErbB3のアフィニティーはErbB2と共発現された場合、より高いアフィニティー状態に増大する。ErbB2-ErbB3複合体に関しては、Levi等,Jounal of Nueroscience 15:1329-1340(1995);Morrissey等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:1431-1435(1995);及びLewis等,Cancer Res.,56:1457-1465(1996)も参照。
Rajkumar等,British Jounal Cancer,70(3):459-465(1994)は、この受容体を発現する細胞系の固定独立的増殖(the anchorage-independent growth)に対するアゴニスト効果を持つ、ErbB3に対するモノクローナル抗体を開発した。
増殖因子受容体タンパク質チロシンキナーゼのクラスIサブファミリーはさらに、HER4/p180erbB4受容体を含むために拡張されている。EP特許出願第599,274;Plowman等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:1746-1750(1993);及びPlowmen等,Nature,366:473-475(1993)参照。Plowman等は、増大したHER4発現が乳腺ガンを含む上皮起源の特定のガンと緊密に相関していることを見出した。したがって、HER4発現が上昇しているヒト腫瘍性疾患(特に乳ガン)の検出のための診断方法が、EP特許出願第599,274に記載されている。
HER2原ガン遺伝子のアクチベーターの探索は、ヒレグリンポリペプチドのファミリーの発見を導いている。これらのタンパク質は、Lee等,Genomics,16:790-791(1993);及びOrr-Urtreger等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.90 pp.1876-1871(1993)によって、ヒト第VIII染色体の短腕にマッピングされた単一の遺伝子の選択的スプライシングに由来するようである。
Holmes等は、ヒレグリン-α(HRG-α)、ヒレグリン-β1(HRG-β2)、ヒレグリン-β2(HRG-β2)、ヒレグリン-β2様(HRG-β2-like)、及びヒレグリン-β3(HRG-β3)と呼ばれる、HER2受容体に対するポリペプチドアクチベーターのファミリーを単離しクローン化した。Holmes等,Science,256:1205-1210(1992);及びWO 92/20798参照。45kDaポリペプチドであるHRG-αは、MDA-MB-231ヒト乳ガン細胞系のコンディション培地から生成された。これらの研究者は、MCF-7乳ガン細胞においてHER2受容体のチロシンリン酸化を活性化する精製ヒレグリンポリペプチドの能力を示した。さらに、SK-BR-3細胞(それは高レベルのHER2受容体を発現している)に対するヒレグリンポリペプチドのマイトジェン活性が示された。EGFファミリーに属する他の増殖因子のように、可溶性HRGポリペプチドは、45kDa可溶性形態を放出するためにタンパク質分解的にプロセッシングされる膜結合前駆体(プロHRGと呼ばれる)から由来するようである。
ヒレグリン類は最初の213アミノ酸残基が同一である一方で、それらはC末端タンパク質で相違する2の変異体EGF様ドメインに基づき、αとβという2の主要なタイプに分類される。しかしながら、これらのEGF様ドメインは、それらに含まれる6のシステイン残基の間隔において同一である。アミノ酸配列比較に基づいて、Holmes等はEGF様ドメインにおける第一と第六のシステインの間で、HRGはヘパリン結合EGF様増殖因子(HB-EGF)と45%等しく、アンフィレグリン(amphiregulin)(AR)と35%同一、TGF-αと32%同一、及びEGFと27%同一であることを見出した。
44kDa neu分化因子(NDF)は、ヒトHRGのラット同等物であるが、Peles等,Cell,69:205-216(1992);及びWen等,Cell,69:559-572(1992)に最初に記載された。HRGポリペプチドと同様に、NDFはEGF様ドメインに引き続く免疫グロブリン(Ig)ホモロジードメインを持つ。その後にWen等,Mol.Cell.Biol.,14(3):1909-1919(1994)は、NDFのファミリーを拡張するために「徹底的なクローニング(exhaustive cloning)」を実施した。この作業により、6の異なる繊維が細胞プロNDFが明らかとなった。Holoes等の命名法を適用すると、NDFはEGF様ドメインの配列に基づいて、それぞれαまたはβポリペプチドに分類される。アイソフォーム1から4は、可変近膜ストレッチ(the variable juxtamembrane stertch)(EGF様ドメインと膜貫通ドメインの間)に基づいて特徴づけられる。また、可変長細胞内ドメインを持つアイソフォームa,b及びcが記述されている。これらの研究者は、異なるNDFアイソフォームが選択的スプライシングにより生じ、別個の組織特異的機能を果たしていると結論づけている。
Falls等,Cell,72:801-815(1993)は、アセチルコリン受容体誘導活性(ARIA)ポリペプチドと呼ばれる、ヒレグリンファミリーのもう一つのメンバーを記載する。チキン由来ARIAポリペプチドは、筋肉アセチルコリン受容体の合成を刺激する。WO 94/08007も参照。ARIAはβタイプヒレグリンであり、HRGαとHRGβ1-β3のIg様ドメインとEGF様ドメインの間に存在する完全なスペーサー(グリコシル化部位に富む)を欠いている。
Marchionni等,Nature,362:312-318(1993)は、ダリア増殖因子(GGF)と呼ばれるいくつかのウシ由来タンパク質を同定した。これらのGGFは、上記記載された他のヒレグリンタンパク質と、Ig様ドメインとEGF様ドメインを共有するが、アミノ末端クリングルドメインもまた持つ。GGFは一般的に、Ig様ドメインとEGF様ドメインの間に完全な「グリコ」スペーサーを持たない。GGF IIというGGFの一つのみが、N末端シグナルペプチドを所有する。
乳ガンにおける受容体及びヒレグリンポリペプチドのErbB2ファミリーの発現は、Bacus等,Pathology Patterns,102(4)(Supp.1):S13-S24(1994)にレビューされている。
上記受容体ファミリーに関しては、Alimandi等,Oncogene,10:1813-1821(1995);Beerli等,Molecular and Cellular Biology,15:6496-6505(1995);Karunagaran等,EMBO J,15:254-264(1996);Wallasch等,EMBO J,14:4267-4275(1995);及びZhang等,Jounal of Biological Chemistry,271:3884-3890(1996)もまた参照。
発明の要約
本発明は、ErbB3タンパク質に結合する抗体で、さらに以下の性質:ErbB2及びErbB3を発現する細胞において、ErbB2−ErbB3タンパク質複合体のヒレグリン誘導性形成を減少する能力;ErbB3タンパク質に対するヒレグリンの結合能力を増大する能力;加えてErbB2及びErbB3を発現する細胞において、ヒレグリン誘導性ErbB2活性を減少する性質のいずれか一つ以上を持つ抗体を提供する。
本発明はまた、ErbB3タンパク質に結合する抗体で、ErbB3に対するヒレグリン結合を減少する抗体に関する。
好ましい抗体は、ErbB3受容体の細胞外ドメインに存在するエピトープに結合するモノクローナル抗体である。一般的に興味のある抗体は、ErbB3受容体に少なくとも約10nMのアフィニティーで、より好ましくは約1nMのアフィニティーで結合するであろう。ある実施態様においては、例えば受容体のアフィニティー精製のためまたは診断アッセイのため、固体相に該抗体を固定化する(例えば共有結合で付着させる)。
上記パラグラフの抗体は、該抗体及び製薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈液を含む組成物の形態で提供され得るであろう。
本発明は以下のものもまた提供する:さらに実施可能にリンクしたプロモーターを含む上記パラグラフの抗体をコードする単離された核酸分子;発現ベクターで、該発現ベクターを用いてトランスフォームされたホスト細胞によって認識されるコントロール配列に実施可能にリンクした核酸分子を含む発現ベクター;該核酸を含む細胞系(例えばハイブリドーマ細胞系);及び該抗体の生産に作用する該抗体をコードする核酸分子を用いる工程で、該核酸を含む細胞を培養し、場合により該細胞から、好ましくは該細胞カルチャー培地から該抗体を回収することを含む工程。
本発明はまた、哺乳動物にここで記載される抗体の治療上の有効量を投与することを含む哺乳動物の治療法を提供し、ここで該哺乳動物は該抗体を用いた治療を必要とする疾患を持つものである。
さらなる面として、本発明はin vitroまたはin vivoでErbB3を検出する方法を提供し、該方法はErbB3を含んでいる疑いがある細胞と該抗体を接触させ、結合が生じるかどうかを検出することを含む。したがって、本発明はErbB3の増幅された発現によって特徴づけられる腫瘍の検出のためのアッセイを提供し、該アッセイはここで開示される抗体に細胞をさらし、該細胞への該抗体の結合の量を測定する工程を含む。一般的に上記アッセイで用いられる抗体はラベルされているであろう。ここで該アッセイには、in vitroアッセイ(ELISAアッセイのような)またはin virtoアッセイが含まれよう。in vivo腫瘍診断のためには、該抗体は一般的に放射性活性アイソトープに接合されており、哺乳動物に投与され、そして該哺乳動物における組織への該抗体の結合の量が放射性活性のための外部的スキャンによって観察される。
【図面の簡単な説明】
図1はさまざまな抗ErbB3モノクローナル抗体の存在下での、K562 ErbB3細胞に結合するHRGを表す。精製された抗ErbB3抗体を、K562 ErbB3細胞と125I-HRGβ1(177-244)の懸濁液とインキュベーションした。氷上でおよそ18時間後、細胞結合カウントを測定した。カウントは抗体の不存在下(コントロール)での結合のパーセントとしてプロットされて示されている。非特異的結合を非ラベルHRGβ1(177-244)(HRG)の過剰量を用いて測定した。ErbB2タンパク質(2C4)及びHSV(5B6)に対する抗体を、ネガティブコントロールとして用いた。
図2はHRG結合に対する抗体濃度の効果を示す。量反応的実験を、HRG結合を促進することが見出されている3-8D6抗体で実施した。K562 ErbB3細胞を、固定した濃度の125I-HRG及び上昇する濃度の3-8D6抗体を用いてインキュベートした。この実験由来のデータが、細胞結合カウント対抗体濃度としてプロットされて示されている。
図3は3-8D6抗体またはそのFab断片の存在下及び不存在下でのねK562 ErbB3細胞に結合するHRGを説明する。競合的リガンド結合実験を、100nM 3-8D6またはFabの不存在下(コントロール)及び存在下で実施した。該データを結合/トータル(B/T)対トータルHRGβ1(177-244)としてプロットした。
好ましい実施態様の詳細な説明
I.定義
他の指示がなければ、「ErbB3」なる語はここで用いられる場合、哺乳動物ErbB3タンパク質をいい、「erbB3」は哺乳動物erbB3遺伝子をいう。好ましいErbB3タンパク質は、細胞の細胞膜に存在するヒトErbB3タンパク質である。ヒトerbB3遺伝子は、米国特許第5,480,968号及びPlowman等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:4905-4909(1990)に記載されている。
興味ある抗体は、erbB1,erbB2及び/またはerbB4遺伝子によってコードされるような他のタンパク質と有意には交差反応しないものであろう。上記実施態様においては、これは非ErbB3タンパク質に対する該抗体の結合の量(例えば、内因性受容体に対する細胞表面結合)は、蛍光活性化セルソーター(FACS)分析または放射性免疫検定法(RIA)によって測定されると10%より小さいであろう。しかしながら、時には該抗体は、例えばErbB4受容体と交差反応し、及び場合によりEGFR及び/またはErbB2受容体と交差反応しないものであろう。
「ヒレグリン」(HRG)なる語はここで用いられる場合、ErbB2-ErbB3タンパク質複合体を活性化(すなわち、ErbB2-ErbB3複合体に結合することによってそれにおけるチロシン残基のリン酸化を誘導する)するポリペプチドをいう。この語に包含されるさまざまなヒレグリンポリペプチドが上記開示されている。この語には、HRGのEGF様ドメイン断片のような、生物学的に活性な断片及びHRGポリペプチドに天然で生じる変異体が含まれる(例えばHRGβ1(177-244))。
「ErbB2-ErbB3タンパク質複合体」なる語は、ErbB2受容体及びErbB3受容体の非共有結合的に会合したオリゴマーを示す。この複合体はこれらの受容体の両者を発現する細胞をHRGにさらした場合に形成される。該複合体は以下の実施例に記載されているように、免疫沈降法によって単離され得、SDS-PAGEによって分析される。
「ErbB2及びErbB3を発現する細胞におけるErbB2-ErbB3タンパク質複合体のヒレグリン誘導性形成を減少する」なる表現は、非処理(コントロール)細胞と比較して、該抗体及びHRGにさらされている細胞において形成されるErbB2−ErbB3タンパク質複合体の数を実質的に有意に減少する該抗体の能力をいう。ErbB2及びErbB3を発現する細胞は、天然で生じている細胞または細胞系(例えばCaov3細胞)であり得、またはホスト細胞内にこれらのタンパク質のそれぞれをコードする核酸を導入することによって組換え的に生産され得る。好ましくは該抗体は、該複合体のウエスタンブロットの反射率スキャニングデンシトメトリーによって測定されると、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%までこの複合体の形成を減少するであろう(以下の実施例参照)。
「ErbB2及びErbB3を発現する細胞におけるヒレグリン誘導性ErbB2活性化を減少する」抗体は、非処理(コントロール)細胞と比較して、HRGがErbB2-ErbB3タンパク質複合体におけるErbB3(この2の受容体を発現する細胞の表面に存在する)に結合する場合に生じるErbB2のチロシンリン酸化活性を実質的に有意に減少するものである。これはHRG及び興味ある抗体に該複合体をさらすことに引き続くErbB2-ErbB3複合体におけるリン酸化レベルに基づいて測定されう得る。ErbB2及びErbB3タンパク質を発現する細胞は、天然で生じる細胞または細胞系(例えばCaov3細胞)であり得、または組み換え的に生産され得る。ErbB2活性化は、以下の実施例に記載されているように抗ホスホチロシン抗体を用いたプローブ化が引き続くウエスタンブロッティングによって測定され得る。代わりにWO 95/14930及びSadick等,Analitical Biochemistry,235:207-214(1996)に記載されたキナーゼ受容体活性化アッセイを、ErbB2活性化を定量するために用い得る。好ましくは、該抗体は、抗ホスホチロシン抗体を用いてプローブ化された該複合体のウエスタンブロットの反射率スキャニングデンシトメトリーによって測定されるように、少なくとも50%、及び好ましくは70%まで、ヒレグリン誘導性ErbB2活性化を減少するであろう(以下の実施例参照)。
該抗体は、「ErbB3タンパク質に対するヒレグリンの結合アフィニティーを増大する」ものであろう。これは、抗体の存在下で(例えば100nM抗体)、コントロール(抗体なし)と比較して、ErbB3(例えば天然で生じる細胞または細胞系に存在する、あるいは組換え法によって細胞内に導入された内因性ErbB3,以下の実施例参照)に結合するHRGの量が実質的に有意に増大されることを意味する。例えば、ここで記載されているように、erbB3を用いてトランスフェクトされたK562細胞系に結合するHRGの量は、100nM抗体の存在下で、コントロールと比較して少なくとも10%、好ましくは50%、及び最も好ましくは少なくとも約100%増大するであろう(図1参照)。
ErbB3タンパク質(例えば細胞に存在するErbB3)に結合するHRGを減少する抗体は、それがErbB3タンパク質分子のHRG結合部位に結合可能なヒレグリンの量を実質的に有意に減少するように、ErbB3タンパク質のHRG結合部位を妨害するものである。上記抗体の例として、ここの実施例に記載されている3-2F9,3-3E9及び3-6B9抗体がある。
「抗体」なる語は最広義で用いられ、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2の完全な抗体から形成されたマルチ特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び望ましい生物学的活性を示す範囲で抗体断片を特異的にカバーする。該抗体は例えば、IgM,IgG(例えば、IgG1,IgG2,IgG3またはIgG4),IgD,IgAまたはIgEである。しかしながら好ましくは、該抗体はIgM抗体ではない。
「抗体断片」には、完全な抗体の一部、一般的に完全な抗体の抗原結合領域または可変領域が含まれる。抗体断片の例として、Fab,Fab',F(ab')2及びFv断片;ディアボディー;単一鎖抗体分子;及び抗体断片から形成されたマルチ特異性抗体が含まれる。
ここにおいて使用される「モノクローナル抗体」なる語は、実質的に均質な抗体、すなわち母集団を含むそれぞれの抗体がわずかに存在してもよい天然に生じ得る変異を除いて同等であるような母集団から得られる抗体を指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原性部位を指向する。更に、典型的には異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含む慣用の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に向けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は他のイムノグロブリンで夾雑していないハイブリドーマ培養物により合成される点においても有利である。「モノクローナル」なる修飾語は、実質的に均質な抗体の母集団から得られ、いずれかの特定方法による産生を要求するものとも解されない抗体の特徴を示す。例えば、本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohler等,Nature 256:495(1975)により最初に記述されたハイブリドーマ法により調製されてよく、あるいは組換えDNA法により調製されてもよい(米国特許第4,816,567号参照)。「モノクローナル抗体」は、例えばClackson等,Nature 352:624-628 (1991)及びMarks等,J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)に記述される技術を使用してファージ抗体ライブラリーからも単離され得る。
ここにおけるモノクローナル抗体は、特定的には「キメラ」抗体(イムノグロブリン)を含み、そのH及び/またはL鎖の一部は特定の種から誘導された抗体の対応する配列に同等、若しくは相同的であるか、または特定の抗体種若しくは亜種に属するものであり、その一方で鎖の残る部分は他の種から誘導された抗体の対応する配列に同等、若しくは相同的であるか、または他の抗体種若しくは亜種に属するものであり、加えて、それらが所望の生物学的活性を示す限りこのような抗体の断片も含む(Cabilly等,前出文献;Morrison等,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。
非ヒト(例えばネズミ)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒトイムノグロブリンから誘導された最小の配列を含むキメラ性イムノグロブリン、イムノグロブリン鎖、またはその断片(Fv、Fab、Fab'F(ab')2若しくは抗体の他の抗原結合配列等)である。ほとんどの部分についてヒト化抗体はヒトイムノグロブリン(受容抗体)であり、そのレセプターの相補性決定領域(CDR)の残基は、所望の特異性、親和性、及び容量を持ったマウス、ラットまたはウサギ等の非ヒト種(提供側抗体)のCDRの残基により置換されている。ある例においては、ヒトイムノグロブリンのFvフレームワーク領域(FR)は、対応する非ヒト残基により置換されている。更に、ヒト化抗体は、受容抗体にも、あるいは導入されるCDRまたはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の性能を更に洗練させるかまたは最適化させるために行われる。一般的に、ヒト化抗体は実質的に全て、または少なくとも1つ、典型的には2つの可変領域を有し、全てまたは実質的に全てのCDR領域が非ヒトイムノグロブリンのものに対応し、また全てまたは実質的に全てのFR領域がヒトイムノグロブリンのものである。ヒト化抗体は、最適にはイムノグロブリンの定常領域(Fc)、典型的にはヒトイムノグロブリンのものの少なくとも一部をも含んでよい。更に詳細には、Jones等,Nature 321:522-525(1986); Reichmann等,Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)参照。ヒト化抗体は、抗体の抗原結合部位が、マカクザルを興味ある抗原にて免疫して生成された抗体から誘導された、PrimatizedTM抗体を含む。
「一本鎖Fv」または「sFv」抗体断片は、それらのドメインが一本鎖ポリペプチド鎖に存在する抗体のVHおよびVLドメインを含む。一般的に、FvポリペプチドはさらにVHとVLドメインの間に、sFvが抗原に結合するために望ましい構造を形成できるようにするポリリンカーを含む。sFvの総論としては、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, Vol.113, Rosenburg and Moore編,Springer-Verlag, New York, pp.269-315(1994)を参照のこと。
「ディアボディー(diabodies)」とは、その断片が同一のポリペプチド鎖(VH-VL)で軽鎖可変ドメイン(VL)と連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合性部位を持つ抗体小断片をいう。同一鎖上にある2つのドメイン間で対合するには短か過ぎるリンカーを用いることにより、該ドメインは別の鎖の相補的ドメインと対合し、次いでニ抗原部位を形成することを余儀なくされる。ディアボディー(diabodies)は例えば、EP 404,097;WO 93/11161およびHollinger等,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448(1993)にさらに十分に記載されている。
「単離された」抗体は、その天然環境の構成要素から同定され及び分離され及び/または回収されているものを示す。その天然環境の混在した構成要素は、該抗体についての診断的または治療上の使用を妨害し、それらには酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれよう。好ましい実施態様として、該抗体は(1)Lowry法で測定したところ、抗体の重量当たり95%より大きく、最も好ましくは重量あたり99%より大きく、(2)スピニングカップシークエネーターの使用によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度に、または(3)クマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いた還元または非還元状態でのSDS-PAGEにより均質な程度に精製されよう。単離された抗体には、抗体の天然環境の少なくとも一構成要素が存在しないであろうため、in situでの組換え細胞内の抗体が含まれる。しかしながら普通は、単離された抗体は少なくとも一の精製工程で調製されるであろう。
本明細書に記載されるごとき「サルベージ受容体結合性エピトープ」とは、イン・ビボにおけるIgG分子の血清半減期を増加させる役割を果たすIgG分子(例えば、IgG1,IgG2,IgG3およびIgG4)のFc領域のエピトープをいう。
「治療」とは、治療学上の治療および予防手段または防止手段の双方をいう。治療を要するものとしては、既に疾患を持っているもの並びに疾患を防止すべきものがある。
治療の対象としての「哺乳類」とは、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどのごとき家畜および飼育動物、並びに動物園動物、競技動物またはペット動物を始めとする哺乳類として分類されている動物の何れもをいう。好ましくは哺乳類とはヒトである。
「疾患」とは、抗ErbB3抗体を用いての治療から利益が得られるであろういかなる疾患をもいう。これには当該疾患に哺乳動物を罹りやすくする病理学上の状態を含む慢性及び急性の疾患または疾病が含まれる。一般的に該疾患は、ヒレグリンによるErbB2-ErbB3タンパク質複合体の過剰な活性化が生じているものであろう。ここで治療される疾患の非制限的な例として、良性及び悪性腫瘍;白血病及びリンパ悪性疾患;ニューロン、グリア、星状細胞、視床下部及び他の腺、マクロファージ、上皮、間質及び胞胚腔疾患;及び炎症性、血管由来及び免疫学的疾患が含まれる。
ここで用いられている「ガン」と「ガンの」なる語は、典型的に非制御細胞増殖によって特徴付けられる哺乳動物内の生理学的病気を示しまたは表す。ガンの例としては、ガン腫、リンパ腫、白血病、芽腫そして肉腫を含むがそれに限られない。該ガンのより好ましい例としては、扁平上皮細胞ガン腫、小細胞肺ガン、非小細胞肺ガン、神経芽腫、脾臓ガン、グリア芽腫多形、頚部ガン、胃ガン、膀胱ガン、肝腫瘍、乳ガン、大腸ガン、結腸直腸ガン、子宮内膜ガン腫、唾液腺ガン腫、腎臓ガン、腎性ガン、前立腺ガン、外陰部ガン、甲状腺ガン、肝臓ガン腫及びさまざまなタイプの頭と首のガンを含む。
ここで用いられる「細胞毒性試薬」なる語は、細胞の機能を阻害または妨げ、及び/または細胞の破壊を引き起こす物質をいう。本用語は放射性活性アイソトープ(例えばI,Y,Pr)、化学療法試薬、及び細菌、菌類、植物または動物起源の酵素学的に活性な毒素、またはその断片のような毒素を含むことを企図する。
「化学療法試薬」なる語は、ガンの治療に有用な化学的化合物をいう。化学療法試薬の例としては、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド("Ara-C")、シクロフォスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、タクソール、メトトレキサート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスファミド(Ifosfamido)、マイトマイシンC、ミトザントロン、ビンクレイスチン(Vincreistine)、ビノレルビン(Vinorelbine)、カルボプラチン、テニポシド(Teniposide)、ダウノマイシン、カルミノマイシン(Carminomysin)、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラマイシン(米国特許第4,675,187号)、メルファラン及び他の関連するナイトロジェンマスタードが含まれる。
「サイトカイン」なる用語は、細胞間媒体として他の細胞に作用するある細胞母集団から放出されるタンパク質についての一般的用語である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン類、モノカイン類、及び伝統的ポリペプチドホルモン類である。サイトカインの内に含まれるものは、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン等の成長ホルモン類;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)等の糖蛋白ホルモン類;肝細胞成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−α及び−β;ミュラー阻害物質;マウスゴナドトロピン−会合ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポイエチン(TPO);NGF-β等の神経成長因子;血小板成長因子;TGF-α及びTGF-β等のトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子−I及び−II;エリスロポイエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロンーα、−β及び−γ等のインターフェロン;マクロファージ-CSF(M-CSF)、顆粒球−マクロファージ-CSF(GM-CSF)及び顆粒球-CSF(G-CSF)等のコロニー刺激因子(CSF);IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12等のインターロイキン(IL);並びに白血病阻害因子(LIF)及びキットリガンド(KL)等を含む他のポリペプチド因子等である。ここにおいて使用されるように、サイトカインなる用語は天然供給源由来または、組換え細胞培養物由来のタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的活性同等物を含む。本出願において使用されるように「プロドラッグ」なる用語は、医薬的に活性な物質の前駆体または誘導体形態を指し、親薬剤に比較して腫瘍細胞に対する細胞毒性が低く、酵素的に活性化されるかまたはより活性な親の形態に変換されうる。例えば、Wilman, "Prodrugs in Cancer Chemotherapy" Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)及びStella et al., "Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery, "Directed Drug Delivery, Borchardt et al.,(ed.), pp. 247-267, Human Press (1985)参照。本発明のプロドラッグは、限定されるものではないが、より活性な細胞毒性遊離薬剤に変換され得るリン酸−含有プロドラッグ、チオリン酸−含有プロドラッグ、硫酸−含有プロドラッグ、ペプチド−含有プロドラッグ、D−アミノ酸−修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム−含有プロドラッグ、場合により置換されるフェノキシアセタミド−含有プロドラッグ、場合により置換されるフェニル−含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン及び5−フルオロウリジンプロドラッグを含む。本発明において使用するためにプロドラッグの形態に誘導されうる細胞毒性薬剤の例は、限定されるものではないが、上記の化学療法剤を含む。
「ラベル」なる語はここで用いられる場合、該抗体に直接または間接に接合された検出可能な化合物または組成物をいう。該ラベルはそれ自身として検出可能である(例えば放射性活性ラベルまたは蛍光ラベル)かまたは、酵素ラベルの場合には検出可能な基質化合物または組成物の化学的循環を触媒し得る。
「固相」とは、本発明の抗体が付着しうる非−水性担体を意味する。固相の例は、ガラス(調節された多孔質ガラス)、ポリサッカライド(例えば、アガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンにより部分的または全体が形成されるものを含む。ある実施態様において、内容に依存するが、固相はアッセイプレートのウエルを含むことが出来、他の態様ではそれは精製カラム(例えば、アフィニティクロマトグラフィーカラム)である。この用語は、米国特許第4,275,149号に記述されるような、分散的粒子の非連続的固相も含む。
「リポソーム」とは、さまざまなタイプの脂質、リン脂質、及び/または哺乳動物に薬剤(ここで開示されている抗ErbB3抗体及び場合により化学療法試薬のような)の輸送に有用である界面活性剤よりなる小さい小胞である。リポソームの構成要素は、二重相形成で一般的に並んでおり、生体膜の脂質配列と同様である。
「単離された」核酸分子は、同定され、かつ通常、抗体核酸の天然の供給源に伴う少なくとも1種の夾雑核酸分子から分離された核酸分子である。単離された該核酸分子は、天然に見出される形態または配置とは別のものである。従って、単離された該核酸分子は、天然細胞中に存在する核酸分子とは区別される。しかしながら、該核酸分子は、例えば核酸分子が天然細胞とは異なる染色体位置にある場合にも通常に抗体を発現する細胞中に含まれる核酸分子を含む。
「コントロール配列」なる表現は、特定の宿主中で機能的に連結されたコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。原核生物に好適な制御配列は、例えばプロモータ、場合によりオペレータ配列、リボソーム結合部位を含む。真核性細胞は、プロモータ、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを使用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的に関連して配置される場合に、「機能的に連結されている」。例えば、先行配列または分泌リーダーのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与する先行タンパク質として発現される場合にポリペプチドのDNAに機能的に連結され;またプロモータ若しくはエンハンサーは、それが配列の転写に影響する場合にコード配列に対して機能的に連結され;またリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置する場合にコード配列に機能的に連結されている。一般的に、「機能的に連結」とは、DNA配列が連続し、分泌リーダーの場合には連続かつ読み取りの位相内に連結されることを意味する。しかしながら、エンハンサーは連続する必要はない。連活は、慣用の制限部位においての連結により達成される。そのような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプタまたはリンカーが慣用の方法により使用される。
ここにおいて使用されるように、「細胞」、「細胞系」及び「細胞カルチャー」なる表現は、可換的に使用され、全てのこのような表記は子孫の細胞も含む。従って、「トランスフォーマント」及び「トランスフォームされた細胞」の用語は、最初の原因細胞及び形質転換数に関わりなくそれから誘導される培養物を含む。また全ての子孫は、計画的または不慮の変異のためにDNA含量において正確に同等である必要はないものと理解される。元の形質転換細胞についてスクリーニングしたのと同様な機能及び生物学的活性を有する変異子孫細胞が含まれる。別の指定が望まれる場合には内容から明確となるであろう。
II.本発明の実施形態
A.抗体調製
以下の記述は請求項の抗体の生産のための例示的な方法として示される。
(i).ポリクローナル抗体
一般にポリクローナル抗体は、関連する抗原及びアジュバントの複数回の経皮的(sc)または腹腔内的(ip)注射により、動物に生じさせうる。関連する抗原を、免疫されるべき種に対して免疫原性のタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンまたはダイズトリプシンインヒビタ等と、二官能性または誘導化試薬、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介しての接合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介して)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR及びR1が異なるアルキル基であるR1N=C=NRを使用して接合させることは有用であろう。
動物は、100μgまたは5μgのペプチドまたは接合体(それぞれウサギまたはマウス)を3体積のフロイント完全アジュバントと合わせ、該溶液を複数部位に皮内的に注射することにより、抗原、免疫原性接合体または誘導体に対して免疫される。1ヶ月後に動物は、フロイント完全アジュバント中のペプチドまたは接合体の基の量の1/5ないし1/10を用い、複数部位の経皮注射により追加免疫される。7〜14日後に、動物は採血され、血清が抗体力価についてアッセイされる。動物は力価がプラトーにはいるまで追加免疫される。好ましくは動物は、同じ抗原の接合体であるが、異なるタンパク質に接合するか及び/または異なった交差結合試薬を介して接合する接合体にて追加免疫される。接合体は、タンパク質融合体として組み換え細胞培養においても調製されうる。アルム等の凝集剤も、免疫応答を向上するために好適に使用される。
(ii).モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の母集団、即ち母集団に含まれる個々の抗体は、少量存在しうる自然に起こる可能性のある変異を除いて同等である母集団から得られる。従って、修飾語「モノクローナル」は、異なる抗体の混合物ではないものとしての抗体の特徴を示す。
例えばモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)によって最初に記述されたハイブリドーマ法を使用して作成されるか、または組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作成されてもよい。ハイブリドーマ法において、マウスまたはハムスター等の適当な宿主動物は、免疫に使用したタンパク質に対して特異的に結合するであろう抗体を産生するか、または産生しうるリンパ細胞を引き出すために、上述したようにして免疫される。別法として、リンパ細胞はインビトロにおいて免疫される。次いで、リンパ細胞は、ポリエチレングリコール等の適当な融合試薬を使用して、ミエローマ細胞と融合され、ハイブリドーマ細胞が形成される(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。
斯くして調製されたハイブリドーマ細胞は、非融合の親ミエローマ細胞の生育または生存を阻害する1種以上の物質を好ましくは含有する、適当な培養培地に播種され育成される。例えば親ミエローマ細胞が酵素ハイポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合には、ハイブリドーマのための培地は、典型的にはHGPRT-欠損細胞の生育を阻害する物質であるハイポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)を含むであろう。
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞により安定した高水準の抗体産生を支持し、かつHAT培地等の培地に感受性のものである。これらの内で好ましいミエローマ細胞系は、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, California USAから入手可能なMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍から誘導されるもの、及びAmerican Type Culture Collection, Rockville, Maryland USAから入手可能なSP−2細胞等のネズミミエローマ系である。ヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマも、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記述されている(Kozbor et al., J. Immunol. 133:3001(1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc. New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が生育する培養培地は、該抗原に対して向けられたモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性が、免疫沈殿または放射免疫アッセイ(RIA)若しくは酵素結合免疫吸着剤アッセイ(ELISA)等のインビトロ結合アッセイにより測定される。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson et al., Anal. Biochem. 107:220 (1980)のスキャッチャード(Scatchard)アッセイにより測定されうる。
ハイブリドーマが、所望の特異性、親和性及び/または活性の抗体を産生することが同定された後は、該クローンは限定希釈法によりサブクローン化され得、標準法により育成される(Goding,前出文献)。この目的のために適当な培地は、D−MEMまたはRPMI−1640培地を含む。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物内で腹水腫瘍としてインビボにおいて生育されうる。
サブクローンから分泌されたモノクローナル抗体は、例えばタンパク質A−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティクロマトグラフィー等の慣用のイムノグロブリン精製方法により、培養培地、腹水または血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、慣用方法により容易に単離され、配列決定される(例えばネズミ抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合しうるオリゴヌクレオチドプローブの使用により)。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として働く。一旦単離されれば、DNAは発現ベクターに入れられ、これは次いで、E. coli細胞、霊長類COS細胞、モルモット卵巣(CHO)細胞、またはイムノグロブリンタンパク質を別途産生しないミエローマ細胞にトランスフェクトさせ、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得る。抗体をコードするDNAの最近における組換え発現に関する総説は、Skerra et al., Curr. Opinion in Immunol. 5:256-262 (1993)及びPluckthun, Immunol. Revs. 130:151-188 (1992)を含む。
更なる実施態様において、抗体または抗体断片は、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)に記述される技術を使用して生成された抗体ファージライブラリーから単離されうる。Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991)及びMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)は、ファージライブラリーを使用して、ネズミ及びヒト抗体の単離をそれぞれ記述している。引き続く文献は、鎖シャフルによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992))、並びに極めて大きいファージライブラリー構築のための計画として組み合わせ感染及びインビボ組換え(Waterhouse et al. Nuc. Acids Res. 21:2265-2266 (1993))を記述している。しかしてこれらの技術は、モノクローナル抗体の単離に関する伝統的モノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対して生存可能な別の技術であり得る。
DNAも同種的ネズミ配列に代えて、ヒト重鎖及び軽鎖定常領域コード配列を置換することにより(Cabilly et al.,前出文献;Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851 (1984))、あるいはイムノグロブリンコード配列に非イムノグロブリンポリペプチドの全てまたは一部のコード配列を共有的に結合することにより修飾されうる。
典型的なこのような非イムノグロブリンポリペプチドは、抗体の定常領域を置換するか、またはそれらは抗体の一方の抗原結合部位の可変領域を置換して、抗原に対して特異性を有する一つの抗原結合部位及び異なる抗原に特異性を有する他の抗原結合部位を有するキメラ性二価抗体を創生する。
(iii).ヒト化及びヒト抗体
非ーヒト抗体をヒト化する方法はこの分野で周知である。一般に、ヒト化抗体は、非−ヒトである供給源から導入される1個以上のアミノ酸残基を有する。これらの非−ヒトアミノ酸残基は、しばしば“輸入”残基と称され、これは典型的には“輸入”可変領域から採られる。ヒト化は、基本的には齧歯類CDRまたはCDR配列を、対応するヒト抗体配列で置換することにより、Winter及び共同研究者の方法に従って行われうる(Jones et al., Nature 321:522-525(1986); Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1985);Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536(1988))。従って、このようなヒト化抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、実質的に身障の可変領域より少ない部分が非−ヒト種からの対応する配列により置換されている。実際的には、ヒト化抗体は典型的にはCDR残基のいくらか及び、たぶんFRのいくらかが、齧歯類抗体の類似部位からの残基により置換されている。
軽鎖及び重鎖の両方のヒト化抗体を作成するために使用される可変領域の選択は、抗原性を低減するために重要である。いわゆる“最適化”方法に従えば、齧歯類抗体の可変領域の配列が、既知のヒト可変領域配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。次いで齧歯類のものに最も近接したヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒト骨格(FR)として認められる(Sims et al., J Immunol. 151:2296 (1993); Chothia et al., J Mol. Biol. 196:901 (1987))。他の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグルーブの全てのヒト抗体の共通配列から誘導される特定の骨格を使用する。同じ骨格は、いくつかの異なるヒト化抗体についても使用され得る(Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 89:4285 (1992); Presta et al., J. Immunol. 151:2623 (1993))。
抗体が、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的性質を保ってヒト化されることは更に重要である。この目的を達成するために、好ましい方法に従えば、ヒト化抗体は親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び種々の概念的ヒト化生成物の分析工程により調製される。三次元イムノグロブリンモデルは、一般に利用可能であり当業者にはなじみがある。選択された候補のイムノグロブリン配列の可能な三次元配置構造を描いて映し出すコンピュータプログラムが利用可能である。これらのディスプレーを見ることは、候補のイムノグロブリン配列の機能における残基のそれらしい役割の分析、即ち候補のイムノグロブリンの抗原に対する結合能力に影響を与える残基の分析を可能とする。このようにして、FR残基が、標的抗原に対する増大した親和性等の所望の抗体特性が達成される様に、共通及び輸入配列から選択され、組み合わされる。一般的に、CDR残基は、抗体結合への影響において、直接的かつ最も実質的に関与するものである。
別法として、免疫により、内因性イムノグロブリン産生を伴わずに完全量のヒト抗体を産生しうるトランスジェニック動物(例えばマウス)の作成が可能である。例えば、キメラ及び生殖系列変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合的削除が、内因性抗体の産生を完全に阻害することが記述されている。このような生殖系列変異マウスへのヒト生殖系列イムノグロブリン遺伝子の並びの移送は、抗原の攻撃に対してヒト抗体の産生を生じるであろう。例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature 362:255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immuno. 7:33 (1993)参照。ヒト抗体は、ファージディスプレーライブラリーにおいても産生されうる(Hoogenboom et al., J. Mol. Biol. 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581 (1991))。
(iv).抗体断片
抗体断片の生産のための様々な方法が開発されている。伝統的には、これらの断片は完全な抗体のタンパク質溶解性切断を介して由来する(例えば、Morimoto等,Jounal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117(1992)及びBrennan等,Science,229:81(1985))。しかしながら、現在ではこれらの断片は、組換えホスト細胞によって直接的に生産され得る。例えば、抗体断片を上記開示されている抗体ファージライブラリーから単離し得る。代わりに、Fab'-SH断片を大腸菌から直接的に回収し得、F(ab')2断片を形成するために化学的に結合し得る(Carter等,Bio/Technology 10:163-167(1992))。さらなるアプローチにしたがって、F(ab')2断片を組換えホスト細胞カルチャーから直接的に単離し得る。抗体断片の生産のための他の方法も当業者には明白であろう。
(v).二重特異的抗体
二重特異的抗体は少なくとも2の異なるエピトープに対する結合特異性を持つ抗体である。例示的な二重特異的抗体として、ErbB3タンパク質の2の異なるエピトープに結合するものがあろう。他の上記抗体として、EGFR,ErbB2及び/またはErbB4に対する結合部位(類)とErbB3結合部位を結びつけたものがあろう。代わりに、抗ErbB3腕を、ErbB3発現細胞に対して細胞防御メカニズムを集中するために、T細胞受容体分子(例えばCD2またはCD3)の様な白血球上のトリガ分子、またはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)といったIgG(FcγR)に対するFc分子に結合する腕と結びつけ得る。二重特異的抗体はErbB3を発現する細胞に対して細胞毒性試薬を局在するためにも用いられ得る。これらの抗体は、ErbB3結合腕及び細胞毒性試薬(例えばサポリン、抗インターフェロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサートまたは放射性活性アイソトープハプテン)を結合する腕を所有する。二重特異的抗体はフルレングス抗体または抗体断片(例えばF(ab')2二重特異的抗体)のように調製され得る。
二重特異的抗体の調製方法はこの技術において知られている。全長二重特異的抗体の伝統的産生は、2種のイムノグロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づき、ここにおいて2本の鎖は異なる特異性を有する(Milstein et al., Nature 305:537-539 (1983))。イムノグロブリン重鎖及び軽鎖の無作為の寄せ集めのために、これらのハイブリドーマ(クォドローマ:Quadromas)は、1種のみが正しい二重特異性構造を有する10種の異なる異なる抗体分子の可能な混合物を生じる。通常アフィニティクロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩雑であり、また生成物の収率も低い。同様な手法は、WO 93/08829及びTraunecker et al., EMBO J. 10:3655-3659 (1991)に開示されている。
別のより好ましい方法に従うと、所望の結合特異性を持った抗体可変領域(抗体−抗原結合部位)は、イムノグロブリン定常領域配列に融合される。融合物は、好ましくは少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を有するイムノグロブリン重鎖定常領域を伴う。軽鎖結合に必要な部位を含む、融合物の少なくとも一つに存在する第一の重鎖定常領域を有することが好ましい。イムノグロブリン重鎖融合物、及び所望によりイムノグロブリン軽鎖をコードするDNAが、別個の発現ベクターに挿入され、適当な宿主生物に同時インフェクションする。これは、構築に使用される3種のポリペプチドの異なる比が至適収率を与える場合に、実施態様において3種のポリペプチド断片の相対比の調節に大きな柔軟性を与える。しかしながら、少なくとも2種のポリペプチド鎖の同じ比率での発現が高収率をもたらす場合、または比率が重要でない場合には、2種または3種全てのポリペプチド鎖のコード配列を1個の発現ベクター中に挿入することも可能である。
この方法の好ましい実施態様において、二重特異的抗体は、第一の結合特異性を一つのアームに有するハイブリッドイムノグロブリン重鎖、及び他方のアームのハイブリッドイムノグロブリン重鎖−軽鎖対(第二の結合特異性を与える)からなる。この非対称構造は、二重特異的分子の半分のみにイムノグロブリン軽鎖が存在することが分離に容易な方法を提供するため、所望の二重特異的化合物を望まれないイムノグロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にする。この方法は、WO 94/04690に開示されている。二重特異的抗体の生成の更なる詳細は、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology 121:210 (1986)参照。
もう一つのアプローチにしたがって、抗体分子のペアの間の界面を、組換え細胞カルチャーから回収されるヘテロダイマーのパーセンテージを最大化するために操作し得る。好ましい界面には、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部が含まれる。この方法においては、第一の抗体分子の界面由来の一つ以上の小さなアミノ酸側鎖が、より大きな側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)を用いて置換される。大きい側鎖(類)に対する同一のまたは同様のサイズの埋め合わせとなる「空洞」は、より小さなアミノ酸側鎖(例えばアラニンまたはトレオニン)を用いて大きいアミノ酸側鎖を置換することによって第二の抗体分子の界面に作り出される。これはホモダイマーのように他の望まれない最終産物以上にヘテロダイマーの収率を増大するためのメカニズムを提供する。
二重特異的抗体は、交差結合または“異種接合”抗体を含む。例えば、異種接合体の一方の抗体はアビジンと結合され、他方がビオチンと結合されうる。このような抗体は、例えば免疫系細胞を望ましからぬ細胞に向ける為(米国特許第4,676,980)及びHIV感染の治療のため(WO 91/00360, WO 92/200373及びEP 03089)に提案された。異種接合抗体は、都合よい交差結合方法により作成されうる。このような交差結合試薬は既知であり、種々の交差結合方法と共に米国特許第4,676,980に開示されている。
抗体断片から二重特異的抗体を生産する方法が文献に記載されている。例えば、二重特異的抗体は化学的接合を用いて調製され得る。Brennan等,Science,229:81(1985)は、完全な抗体をF(ab')2断片を生産するためにタンパク質溶解的に切断する方法を記載する。これらの断片は、ビシナルジチオール(vicinal dithiols)を安定化し、分子内ジスルフィド形成を妨げるために、ジチオール複合体化試薬亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元される。それから生産されたFab'断片を、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。Fab'-TNB誘導体の一つをそれから、メルカプトエチルアミンを用いた還元反応によってFab'-チオールに再変換し、二重特異的抗体を形成するために等モル量の他のFab'-TNB誘導体と混合する。生産された二重特異的抗体を、選択された酵素の固定化のための試薬として用い得る。
最近の進歩により、大腸菌からFab'-SH断片の直接的な回収が容易になり、該断片は二重特異的抗体を形成するために化学的に結合され得る。Shalaby等,J.Exp.Med.,175:217-225(1992)は、完全なヒト化二重特異的抗体F(ab')2分子の生産を記載する。それぞれのFab'断片は、大腸菌から別々に分泌され、二重特異的抗体を形成するためにin vitroで直接的な化学的結合を受ける。それ故形成された二重特異的抗体は、HER2受容体及び通常ヒトT細胞を過剰発現する細胞に結合し得、同様にヒト乳腫瘍ターゲットに対してヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を引き出し得る。
組換え細胞培養物から直接に二価抗体断片を製造及び単離する種々の方法も記述されている。例えば、二価異種二量体は、ロイシンジッパーを使用して調製された。Kostelny et al., J. Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2種のことなる抗体のFab'部分を連結している。該抗体同種二量体は、ヒンジ領域にて還元されて単量体が形成され、次いで再度酸化されて抗体異種二量体が形成された。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)により記述されている「ディアボディ」技術は、BsAb断片を作成するための別の機構を提供した。該断片は、リンカーにより軽鎖可変領域(VL)に連結する重鎖可変領域(VH)を有し、リンカーは同じ鎖の2つの領域の間で対形性を許容するには短すぎるものである。従って、一つの断片のVH及びVL領域は、他の断片の相補的Vl及びVH領域と対形性することを強いられ、これによって2個の抗原結合部位が形成される。単鎖Fv(sFv)二量体を使用してBsAbを作成する他の方法も報告されている。Gruber et al., J. Immunol. 152:5368 (1994)参照。
2より大きい価数を持つ抗体が計画されている。例えば三重特異的抗体が調製され得る。Tutt等,J.Immunol,147:60(1991)。
(vi).望ましい性質を持つ抗体のスクリーニング
抗体を生産するための方法が上記記載されている。ここで記載される性質を持つ抗体が選択される。
ErbB2-ErbB3タンパク質複合体のHRG誘導性形成を減少する抗体を選択するために、これら両受容体を発現する細胞(例えばCaov3細胞)をバッファー(コントロール)または抗体とともにプレインキュベーションし、それからHRGまたはコントロールバッファーで処理する。それから細胞を溶解し、未精製の溶解物から不溶性物質を除去するために遠心分離する。固相に共有結合で結合したErbB2に特異的な抗体を用いて上清をインキュベートする。洗浄に引き続き、免疫沈降物をSDS-PAGEによって分離し得る。それからゲルのウエスタンブロットを抗ErbB3抗体を用いてプローブする。明視化した後、ブロットを写し取り、抗ErbB2抗体を用いて再プローブする。ゲルの反射率スキャニングデンシトメトリーを、複合体のHRG誘導性形成に対する問題となる抗体の効果を定量するために実施し得る。コントロール(非処理細胞)と比較したErbB2-ErbB3複合体の形成を減少する抗体を選択しうる。以下の実施例参照。
ErbB2及びErbB3受容体を発現する細胞におけるHRG誘導性ErbB2活性化を減少する抗体を選択するために、該細胞をバッファー(コントロール)または抗体を用いてプレインキュベーションし、それからHRGまたはコントロールバッファーを用いて処理する。それから該細胞を溶解し、不溶性物質を除去するために未精製の溶解物を遠心分離する。以下の実施例に記載されているように抗ホスホチロシン抗体を用いたプローブ化に引き続き、ウエスタンブロッティングによってErbB2活性化を測定しうる。ErbB2活性化を例えばゲルの反射率スキャニングデンシトメトリーを介して測定しうる。代わりに、WO 95/14930及びSadick等,Analytical Biochemistry,235:207-214(1996)に記載されたキナーゼ受容体活性化アッセイを、ErbB2活性化を測定するために用い得る。
ErbB3に結合するHRGに対する抗体の効果は、例えば以下の実施例に記載されているように、この受容体を発現する細胞(例えばErbB3を発現するようにトランスフェクトされた4E9H3細胞)をラジオラベルされたHRGを用いて、抗ErbB3抗体の不存在下(コントロール)または存在下でインキュベートすることによって測定されうる。ErbB3受容体に対するHRGの結合アフィニティーを増大する抗体をさらなる改良のため選択しうる。選択された抗体がErbB3に対するHRGの結合をブロックするものである場合には、このアッセイでそのようにする抗体が同定されうる。
興味ある抗体によって結合されるErbB3上のエピトープに結合する抗体(例えばErbB3に対する3-8B8抗体の結合をブロックするもの)をスクリーニングするために、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Harlow及びDavid Lane編(1988)に記載されているような通常のクロスブロッキングアッセイを実施し得る。
(vii).エフェクター機能エンジニアリング
例えばガンを治療する抗体の機能を増大するために、エフェクター機能の観点から本発明の抗体を修飾することは望ましいであろう。例えばシステイン残基(類)をFc領域に導入し得、それによってこの領域で鎖内ジスルフィド結合形成が許容される。それ故生産されたホモダイマー抗体を、内面化能及び/または増大された相補的介在性細胞殺傷及び抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の観点から改良しうる。Caron等,J.Exp Med.176:1191-1195(1992)及びShopes,B.J.Immuno0l.148:2918-2922(1992)参照。増大された抗腫瘍活性を持つホモダイマー抗体はまた、Wolff等,Cancer Research 53:2560-2565(1993)に記載されたようなヘテロ二官能クロスリンカーを用いても調製され得る。代わりに、二重Fc領域を持つ抗体を創作し得、それによって相補的溶解能及びADCC能を増大しうる。Stevenson等,Anti-Cancer Drug Design 3:219-230(1989)参照。
(viii).イムノ接合物
本発明はまた、化学療法試薬、毒素(例えば細菌、植物または動物起源の酵素学的に活性な毒素、またはそれらの断片)、または放射性活性アイソトープ(即ち放射性接合物)のような細胞傷害性試薬に接合されたここで記載された抗体を含むイムノ接合物にも関する。
上記イムノ接合物の生産に有用な化学療法試薬は、上記記載されている。用いられ得る酵素学的に活性な毒素及びその断片には、ジフテリア毒素の非結合活性断片であるジフテリアA鎖、エキソトキシンA鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファーサルシン(sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAP I,PAP II及びPAP-S)、モモルディカキャランティアインヒビター(momordica charantia inhibitor)、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリオアオフィシナリスインヒビター(sapaonaria officinalis inhibitor)、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコテセン(the tricothecenes)が含まれる。さまざまな放射性核種が、放射性接合物化抗ErbB3抗体の生産のため入手可能である。例としては、212Bi,131I,131In,90Y及び186Reが含まれる。
抗体及び細胞傷害性試薬の接合物は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオレーン(IT)、イミドエステルの二官能誘導体(ジメチルアジピミデートHCLのような)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレートのような)、アルデヒド(グルタルアルデヒドのような)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンのような)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンのような)ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネートのような)及び二活性フルオリン化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンのような)といった様々な二官能タンパク質カップリング試薬を用いて作製される。例えばリシンイムノトキシンは、Vitetta等,Science 238:1098(1987)に記載されているように調製され得る。炭素-14-ラベル化1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、抗体に対する放射性核種の接合に対する例示的なキレート試薬である。WO 94/11026参照。
さらなる実施態様として、抗体を腫瘍プレターゲティングの使用のための「リセプター」(ストレプタビジンのような)に接合し得、そこでは抗体−リセプター接合物を患者に投与し、洗浄試薬を用いて循環からの非結合接合物の除去に引き続いて、それから細胞傷害性試薬(例えば放射性核種)に接合された「リガンド」(例えばアビジン)の投与をする。
(ix).イムノリポソーム
ここで開示される抗ErbB3抗体はイムノリポソームとしても処方されうる。該抗体を含有するリポソームは、Epstein等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688(1985);Hwang等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030(1980);及び米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号に記載されているように、本分野で周知の方法によって調整される。増大した循環期間を持つリポソームは米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG誘導化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法を用いて調製され得る。リポソームは望ましい直径を持つリポソームを生産するための限定されたポアサイズのフィルターから排出される。本発明の抗体のFab'断片を、ジスルフィドインターチェンジ反応を介して、Martin等,J.Biol.Chem.257:286-288(1982)に記載されているようにリポソームに接合しうる。化学療法試薬(Doxorubicinのような)は場合により、リポソーム内に封入される。Gabizon等,J.National Cancer Inst.81(19)1484(1989)参照。
(x).抗体依存性酵素介在性プロドラッグ治療(ADEPT)
本発明の抗体は、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法試薬、WO 81/01145)を活性な抗ガン試薬に変換するプロドラッグ活性化酵素に該抗体を接合することにより、ADEPTでも用い得る。例えばWO 88/07378及び米国特許第4,975,278号参照。
ADEPTに対して有用なイムノ接合物の酵素成分は、プロドラッグをそのより活性で細胞傷害性形態に変換するような上記方法においてプロドラッグに作用しうるいかなる酵素も含まれる。
本発明の方法に有用である酵素には、リン酸含有プロドラッグを遊離ドラッグに変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;イオウ含有プロドラッグを遊離ドラッグに変換するのに有用なアリルスルファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗ガン試薬、5-フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離ドラッグに変換するのに有用である、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン(themolysin)、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(カテプシンB及びLのような)といったプロテアーゼ;Dアミノ酸置換体を含むプロドラッグを変換するのに有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離ドラッグに変換するのに有用なβ-ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼのような酵素;β-ラクタムを用いて誘導化されたドラッグを遊離ドラッグに変換するのに有用なβ-ラクタマーゼ;及びそのアミン窒素でそれぞれフェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基を用いて誘導化されたドラッグを遊離ドラッグに変換するのに有用な、ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼのようなペニシリンアミダーゼが制限されることなく含まれる。代わりに、本分野で「アブザイム」として知られている酵素学的活性を持つ抗体を、本発明のプロドラッグを遊離活性ドラッグに変換するために用い得る(例えばMassey,Nature 328:457-458(1987)参照)。抗体−アブザイム接合物を、腫瘍細胞集団へアブザイムの輸送のためにここで記載されているように調製しうる。
本発明の酵素は、上記議論されているヘテロ二官能架橋試薬の使用のような本分野で周知の方法によって抗ErbB3抗体に共有結合で結合しうる。代わりに、本発明の酵素の少なくとも活性部分に結合された本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質を、本分野で周知の組換えDNA法を用いて構築しうる(例えばNeuberger等,Nature,312:604-608(1984)参照)。
(xi).抗体−サルベージ受容体結合エピトープ融合物
本発明の特定の実施態様において、例えば腫瘍浸透を増大するために、完全な抗体よりもむしろ、抗体断片を用いることが望ましいであろう。この場合には、その血清半減期を増大するために抗体断片を修飾することが望ましいであろう。これは例えば抗体断片内へのサルベージ受容体結合エピトープの取り込みによって成し遂げられよう(例えば抗体断片における適切な領域のミューテーションによって、または末端または中央で抗体断片に融合されるペプチドタグ内にエピトープを取り込ませること、例えばDNA合成またはペプチド合成によって)。
増大されたin vivo半減期を持つ上記抗体変異体を調製するための系統的な方法には、いくつかの工程が含まれる。第一に、配列の同定及びIgG分子のFc領域のサルベージ受容体結合エピトープの配置が含まれる。一度このエピトープが同定されると、興味ある抗体の配列は、該配列と同定された結合エピトープの配置を含むように修飾される。配列がミューテートされた後、該抗体変異体が元々の抗体のものより長いin vivo半減期を持つかどうか確認するために試験される。もし該抗体変異体が試験の結果より長いin vivo半減期を持たなかったならば、その配列は該配列と同定された結合エピトープの配置を含むようにさらに改変される。改変された抗体はより長いin vivo半減期に対して試験され、この工程はより長いin vivo半減期を示す分子が得られるまで継続される。
それ故興味ある抗体内に取り込まれるサルベージ受容体結合エピトープは、上記定義されたようにいかなる適した上記エピトープでもよく、その性質は例えば修飾される抗体のタイプに依存するであろう。導入は、興味ある抗体が未だここに記載される生物学的活性を所有するようになされる。
エピトープは一般的に、Fcドメインの一つまたは二つのループ由来の一つ以上のアミノ酸残基が、抗体断片の類似位置に導入される領域を構成する。さらにより好ましくは、Fcドメインの一つまたは二つのループ由来の3以上の残基が導入される。さらにより好ましくは、該エピトープはFc領域の(例えばIgGの)CH2ドメインから得られ、該抗体のCH1,CH3またはVH領域、あるいは上記領域の一つより多い領域に導入される。代わりに、該エピトープはFc領域のCH2ドメインから得られ、抗体断片のCL領域またはVL領域あるいは両者に導入される。
一つの好ましい実施態様として、サルベージ受容体結合エピトープは、以下の配列(5'から3'):PKNSSMISNTP(配列番号1)を含み、場合によりさらにHQSLGTQ(配列番号2)、HQNLSDGK(配列番号3)、HQNISDGK(配列番号4)またはVISSHLGQ(配列番号5)よりなる群から選択された配列をさらに含み、特にこの場合抗体断片はFabまたはF(ab')2である。さらなる最も好ましい実施態様においては、サルベージ受容体結合エピトープは、以下の配列(類)(5'から3'):HQNLSDGK(配列番号3)、HQNISDGK(配列番号4)またはVISSHLGQ(配列番号5)及び以下の配列:PKNSSMISNTP(配列番号1)を含むポリペプチドである。
B.ベクター、ホスト細胞及び組換え法
本発明はまた、ここで記載される抗体をコードする単離された核酸、ベクター及び核酸を含むホスト細胞、そして該抗体を生産するための組換え法を提供する。
該抗体の組換え生産のために、それをコードする核酸が単離され、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のため複製ベクター内に挿入される。モノクローナル抗体をコードするDNAは容易に単離され、簡便な方法を用いて(例えば該抗体のH鎖及びL鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)シークエンスされる。多くのベクターが入手可能である。該ベクター構成要素には、以下のものの一つ以上が制限されることなく含まれる:シグナル配列、複製オリジン、一つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列。
(i).シグナル配列構成要素
本発明の抗ErbB3抗体は直接だけでなく、ヘテロ構造のポリペプチドを用いた融合ポリペプチドとしても組換え的に生産でき、そのヘテロ構造のポリペプチドは天然のタンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的な切断部位を持つシグナル配列または他のポリペプチドであり得る。選択されたヘテロ構造のシグナル配列は好ましくはホスト細胞によって認識されそしてプロセッシングされるものである(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される。天然の抗ErbB3抗体シグナル配列を認識もプロセッシングもしない原核生物ホスト細胞に対しては、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppそして熱安定性エントロキシンIIリーダーの群から選択された原核生物のシグナル配列日関される。酵母の分泌のために天然のシグナル配列は、例えば酵母インベルターゼリーダー、アルファーファクターリーダー(サッカロミセスとクルイベロミセスαファクターリーダーを含む)、または酸性ホスファターゼリーダー、C.albicansグルコアミラーゼリーダー、またはWO 90/13646に記述されているシグナルで置換されうる。哺乳動物細胞発現では、例えば単純ヘルペス糖タンパク質Dシグナルのようなウイルス分泌リーダーと同様に、哺乳動物のシグナル配列が入手可能である。
該前駆体領域のためのDNAは、抗ErbB3抗体をコードするDNAに対するリーディングフレーム内にライゲーションされる。
(ii)複製オリジン構成要素
発現ベクターとクローニングベクターの両方が、一つかそれ以上の選択されたホスト細胞内でベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。一般的にクローニングベクターではこの配列は、ベクターがホスト染色体DNAと非依存的に複製できるようにするものであり、複製のオリジンまたは自律複製配列を含む。該配列は様々な細菌、酵母そしてウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322由来の複製オリジンは、ほとんどのグラムネガティブ細菌に対して適しており、2μプラスミドオリジンは酵母に適しており、そして様々なウイルスのオリジン(SV40,ポリオーマ,アデノウイルス,VSVまたはBPV)は哺乳動物細胞内でのクローニングベクターに対して有用である。一般的に複製構成物のオリジンは、哺乳動物発現ベクターに対しては必要でない(SV40オリジンは典型的にはそれが速いプロモーターを含むため用いられる)。
(iii)選択遺伝子構成物
発現ベクターおよびクローニングベクターは典型的には、選択遺伝子、選択マーカーとも呼ばれるものを含む。典型的な選択遺伝子は、(a)例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートまたはテトラサイクリンといった抗生物質または他の毒素に対して耐性を示すタンパク質、(b)栄養要求性欠乏を補足するタンパク質、または(c)例えばバチルスにとってのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子といった複雑な培地からは入手できない重大な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
選択スキームの一つの例として、ホスト細胞の成長を抑える薬剤の使用がある。ヘテロ構造遺伝子を用いてうまくトランスフォームされた細胞は、薬剤耐性を示すタンパク質を生産し、それゆえ選択摂生を生き残れる。該ドミナント選択の例として、薬剤としてネオマイシン、ミコフェノール酸またはハイグロマイシンを用いる。
哺乳動物細胞に対して適した選択マーカーのもう一つの例は、DHFRまたはチミジンキナーゼ、メタロチオネイン-I及び-II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等のような、抗ErbB3抗体核酸を取り込むのに適した細胞を同定できるものである。
例えばDHFR選択遺伝子を用いてトランスフォームされた細胞は、DHFRの競合的な拮抗剤であるメトトレキセート(Mtx)を含む培地ですべてのトランスフォーマントを培養することによって最初に同定されるであろう。野生型DHFRを用いる場合に適したホスト細胞は、DHFR活性に欠陥のあるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系である。
代わりに、抗ErbB3抗体、野生型DHFRタンパク質そしてアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のようなもう一つの選択マーカーをコードするDNA配列を用いてトランスフォームまたはコトランスフォームされたホスト細胞(特に外来性DHFRを含む野生型ホスト)は、例えばカナマイシン、ネオマイシンまたはG418などのアミノグリコシド系抗生物質のような選択マーカーに対する選択試薬を含む培地中での細胞成長によって選択できる。米国特許第4,965,199号を参照。
酵母を用いる場合に適した選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7内に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcomb等,Nature,282:39(1979))。trp1遺伝子は、例えばATCC番号44076またはPEP4-1のようなトリプトファン内で成長する能力を欠如した酵母のミュータント株のための選択マーカーを提供する。Jones, Genetics,85:12(1977)。そこで酵母ホスト細胞ゲノム内のtrp1領域の存在は、トリプトファンの非存在下での成長によってトランスフォーメーションを検出するための効果的な環境を提供する。同様に、Leu2欠失酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子をもつ既知のプラスミドによって相補される。
加えて、1.6μm環状プラスミドpKD1由来のベクターは、クルイベロミセス酵母のトランスフォーメーションに対して用いられる。代わりに、組換え仔ウシキモシンの大規模生産のための発現システムがK・ラクティスに対して報告されている。Van den Berg,Bio/Technology,8:135(1990)。クルイベロミセスの工業的な株による成熟した組換えヒト血清アルブミンの分泌のための安定なマルチコピー発現ベクターもまた開示されている。Fleer等,Bio/Technology,9:968-975(1991)。
(iv)プロモーター構成要素
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常ホスト生物によって認識され、抗ErbB3抗体核酸配列に実施可能に結合されたプロモーターを含む。原核生物ホストを用いた使用にとって適したプロモーターは、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼとラクトースプロモーターシステム、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーターシステムそしてtacプロモーターのようなハイブリッドプロモーターを含む。しかしながら、他の既知の細菌プロモーターも適している。細菌システムで用いられるプロモーターもまた、抗ErbB3抗体をコードするDNAに実施可能に結合するシャインダルガノ(S.D.)配列を含むであろう。
プロモーター配列は真核生物のためのものも知られている。事実上すべての真核生物の遺伝子が、転写開始部位からおよそ25から30塩基上流に位置するATリッチ領域を持っている。多くの遺伝子の転写の開始から70から80ベース上流に見出されるもう一つの配列は、CNCAAT領域であり、ここでNはいかなるヌクレオチドをもさす。ほとんどの真核生物遺伝子の3'末端には、AATAAA配列があり、それはコード配列の3'末端にポリAテールを付加するためのシグナルであり得る。これらの配列の全てが、真核生物発現ベクターに適するように挿入される。
酵母ホストを用いる場合の適したプロモーター配列の例として、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたはエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘクソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼそしてグルコキナーゼのような他の解糖系の酵素の各プロモーターが含まれる。
成長コンディションによってコントロールされる転写という付加的な利点を有する誘発性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼそしてマルトースおよびガラクトース利用に関わる酵素に対する各プロモーター領域がある。酵母発現に用いる適したベクターおよびプロモーターは、さらにEP 73,657に記述されている。酵母エンハンサーもまた酵母プロモーターを用いて便利に使用される。
哺乳動物ホスト細胞内のベクターからの抗ErbB3抗体は、例えばポリオーマイルス、鶏頭ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2のような)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルスそして好ましくはシミアンウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、以下のプロモーターがホスト細胞システムと両立できれば、例えばアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターなどのヘテロ構造哺乳動物プロモーター、またはヒートショックプロモーターから得られるプロモーターによってコントロールされる。
SV40の速いおよび遅いプロモーターはSV40ウイルス複製オリジンも含むSV40制限断片として便利に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの極端に速いプロモーターはHindIIIE制限断片として便利に得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを用いた哺乳動物ホスト内のDNA発現システムは、米国特許第4,419,446号に開示されている。このシステムの変形は米国特許第4,601,978号に記述されている。Reyes等,Nature,297:598-601(1982)の単純ヘルペス由来のチミジンキナーゼプロモーターのコントロールの下でのマウス細胞でのヒトβ-インターフェロンcDNAの発現も参照。代わりに、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復配列をプロモーターとして用い得る。
(v)エンハンサーエレメント構成要素
高等哺乳動物による本発明の抗ErbB3抗体をコードするDNAの転写は、ベクターにエンハンサー配列を挿入することにより増大するであろう。多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテインそしてインスリン)から現在では知られている。しかしながら典型的には、当業者は真核生物細胞ウイルス由来のエンハンサーを用いる。例としては、複製オリジンの後ろ側(100-270bp)にSV40エンハンサー、サイトメガロウイルスの速いプロモーターエンハンサー、複製オリジンの後ろ側にポリオーマエンハンサーそしてアデノウイルスエンハンサーが含まれる。真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサーエレメントについてはYaniv, Nature,297:17-18(1982)も参照。エンハンサーは抗ErbB3抗体-コード配列に対して5'または3'の位置でベクターに挿入されるが、好ましくはプロモーターから5'部位に位置される。
(vi)転写終結構成要素
真核生物ホスト細胞(酵母、菌類、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多核細胞生物由来の核のある細胞)内で用いられる発現ベクターは、また転写の終結とmRNAの安定化のために必要な配列を含むであろう。該配列は、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの非翻訳領域の5'そして時には3'から共通して入手可能である。これらの領域は抗ErbB3抗体をコードするmRNAの非翻訳領域内のポリアデニル化断片として転写される核酸部分を含む。一つの有用な転写終結構成要素は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO 94/11026及びここで開示される発現ベクター参照。
(vii).ホスト細胞の選択とトランスフォーメーション
ここでベクター内のDNAをクローン化または発現するための適したホスト細胞は、上述した原核生物、酵母、高等真核生物である。この目的のため適した原核生物は、グラムネガティブまたはグラムポジティブ生物のような真正細菌を含み、例えば大腸菌のようなエシェリキア、エンテロバクター、エルヴィニア、クレブシエラ、プロテウス、ネズミチフス菌のようなサルモネラ、霊菌のようなセラチアそしてシゲラといった腸内細菌、および枯草菌とバチルスリケニフォルミス(例えば1989年4月12日に印刷されたDD266,710に開示されているバチルスリケニフォルミス41P)のようなバチルス、緑膿菌のようなシュードモナスそしてストレプトミセスも同様に含む。一つの好ましい大腸菌クローニングホストは、大腸菌294(ATCC 31,446)であるが、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)及び大腸菌W3110(ATCC 27,325)も適している。これらの例は限定することよりもむしろ説明である。
原核性細胞に加えて、糸状菌または酵母等の真核性微生物も、抗ErbB3抗体−コードベクターの好適なクローニングまたは発現ホストである。Saccharomyces cerevisiaeまたは通常のベーカーズイーストは、下等真核性宿主微生物の内では最も通常に使用されている。しかしながら、Schizosaccharomyces pombe;例えば、K. lactis, K. Fragilis (ATCC 12,424), K. bulgaricus (ATCC 16,045), K. wickeramii (ATCC 24,178), K. waltii (ATCC 56,500), K. drosophilarum (ATCC 36,906), K. thermotolerans,及びK. marxianus; yarrowia (EP 402,226)等のKluyveromycesホスト;Pichia pastoris (EP 183,070); Candida; Trichoderma reesia (EP 244,234); Neurospora crassa;Schwanniomyces occidentalis等のSchwanniomyces;並びに、例えばNeurospora, Penicillium, Tolypocladium、及びA. nidulans及びA. niger等のAspergillusホスト等、多くの他の属、種及び株が一般的に入手可能であり、また有用である。
グリコシル化抗ErbB3抗体の発現のために好適な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例は、植物及び昆虫細胞である。多くのバキュロウイルス株及び変異体、並びに対応する許容可能な昆虫宿主細胞が、Spodoptera frugiperda(イモ虫)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)及びBombyx mori等の宿主から同定されている。例えばAutographa californixa NPVのL-1変異体及びBombyx mori NPVのBm-5株等のトランスフェクションのための多くのウイルス株が一般に入手可能であり、このようなウイルスは本発明におけるウイルスとして特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクトのために使用され得る。
綿、トウモロコシ、ポテト、ダイズ、ペチュニア、トマト及びタバコの植物細胞培養物は、宿主として使用され得る。
しかしながら、最も興味あるのは脊椎動物細胞であり、培養物(組織培養物)中での脊椎動物細胞の増殖は情報になっている。有用な哺乳動物細胞系の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系(COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎細胞系(293または懸濁培養中の生育についてサブクローンされた293細胞、Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59 (1977));仔ハムスター腎細胞(BHK, ATCC CCL 10);モルモット卵巣細胞/−DHFR(CHO, Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980));マウスセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980));サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76,ATCC CRL-1587);ヒト頸部腫瘍細胞(HELA, ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK, ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A, ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138, ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2, HB 8065);マウス乳癌(MMT 060562, ATCC CCL 51);TRI細胞(Mather et al., Annal. N. Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;並びにヒト肝癌系(Hep G2)である。
宿主細胞は、抗ErbB3抗体生産のための上述した発現またはクローニングベクターによりトランスフォームされ、プロモーターの誘発、形質転換体の選択または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に修飾された慣用の栄養媒体中で培養される。
(viii).ホスト細胞の培養
本発明の抗ErbB3抗体を産生するために使用される宿主細胞は、種々の媒体中で培養されうる。商業的に入手可能な、例えばHam's F10(Sigma)、最小必須培地((MEM), Sigma)、RPMI−1640(Sigma)及び、ダルベッコ修飾イーグル培地((DMEM)、Sigma)が、宿主細胞の培養に好適である。加えて、Hma et al., Meth. Enz. 58:44 (1979, Barns et la., Anal. Biochem. 102:255 (1980),米国特許第4,767,704; 4,657,866; 4,927,762; 4,562,655または5,122,469; WO90/03430; WO87/00195; 及び米国再審査特許30,985に記述されている何れかの培地も宿主細胞の培養培地として使用され得る。これらのいずれの培地も、必要に応じてホルモン類及び/または多の成長因子(インスリン、トランスフェリン、または表皮成長因子等)、塩類(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸等)、緩衝剤(HEPES等)、ヌクレオシド(アデノシン及びチミジン等)、抗生物質(ゲンタマイシンTM等)、微量元素(通常マイクロモルの最終濃度で存在する無機化合物として定義される)、並びにグルコースまたは他の同等なエネルギー源が補充されてもよい。その他の必要な補充物が、当業者に知られている適当な濃度をもって含まれてもよい。温度、pH等の培養条件は、発現のために選択された宿主について従来使用されているとおりで、当業者には明らかであろう。
(ix).抗ErbB3抗体の調製
組換え法を用いた場合、該抗体は細胞内、ペリプラズム空間内に生産され、または直接培地内に分泌される。もし該抗体が細胞内に生産されたならば、第一の工程として、ホスト細胞または溶解した断片などの特定の破片を、例えば遠心分離または超濾過によって除去する。Carter等,Bio/Technology 10:163-167(1992)は、大腸菌のペリプラズム空間に分泌された抗体を単離する方法を記載している。略記すると、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)の存在下で約30分以上溶かす。細胞破片を遠心分離によって除去する。抗体が培地内に分泌された場合、該発現系由来の上清を例えばAmidconまたはMillipore Pellicon超濾過ユニットといった商業的に入手可能なタンパク質濃縮フィルターを用いて、一般的に最初に濃縮する。PMSFのようなプロテアーゼインヒビターをタンパク質溶解を阻害するために以下の工程のいずれにも含ませ、外来の混入物の成長を妨げるために抗生物質を含ませ得る。
該細胞から調製された抗体組成物を、例えばヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製し、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製法である。アフィニティーリガンドとしてプロテインAの適切性は、該抗体に存在するいかなる免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1,γ2またはγ4H鎖(Lindmark等,J.Immunol.Meth.62:1-13(1983))に基づいている抗体を精製するために用い得る。プロテインGは、すべてのマウスアイソタイプ及びヒトγ3(Guss等,EMBO J.5:1567-1575(1986))に対して好ましい。アフィニティーリガンドが付着するマトリックスは、最も一般的にはアガロースであるが、他のマトリックスも入手可能である。均質化されたポアガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンのような機械的に安定なマトリックスは、アガロースを用いて成し遂げられ得る以上のより早い流速と、より短いプロセッシング時間を許容する。該抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)が精製のために有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリンSepharoseTM上でのクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂上でのクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラムのような)、等電点電気泳動、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿のような他のタンパク質精製法も、回収される抗体に依存して利用可能である。
いかなる一時的精製工程(類)に引き続き、興味ある抗体とその他の物の混合物を、約2.5-4.5のpHの溶出バッファーを用いて低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに受けさせ、好ましくは低塩濃度で実施する(例えば約0-0.25M塩)。
C.製薬学的処方
該抗体の治療上の処方は、所望により医薬上許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington's Pharmaceutical Science 16版、Osal, A.Ed(1980))を含んでもよい所望の純度を有するアンタゴニストを混合することによって、凍結乾燥した処方かまたは水溶液の形で保存用に調製される。許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用される投与量および濃度で受容者に毒性がなく、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸類のごとき緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを始めとする抗酸化剤、保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;ベンザルコニウムクロライド;ベンゼトニウムクロライド;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾールのような)、低分子量(約10残基より小さい)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのごときタンパク質、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジンのごときアミノ酸類、単糖類、二糖類およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを始めとする他の炭水化物類、EDTAのごときキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールのごとき糖アルコール類、ナトリウムのごとき塩形成カウンターイオン、金属複合体(例えばZn-タンパク質複合体)および/またはTweenTM、PluronicsTMまたはポリエチレングリコール(PEG)のごとき非イオン性界面活性剤を含む。
ここで該処方は、治療される特定の病状に対して必要な一つ以上の活性化合物を含み得、好ましくは該化合物はそれぞれ逆に作用しない相補的な活性を持つものである。例えば、一つの処方にEGFR,ErbB2,ErbB4または血管内皮増殖因子(VEGF)に結合する抗体をさらに提供することが望ましいであろう。代わりに、またはさらに加えて、該組成物は化学療法試薬またはサイトカインを含むであろう。該分子は企図される目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。
また有効成分も、例えばコアセルベーション技術または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、それぞれコロイド薬剤送達系(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンにおける、例えばヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタシレート)マイクロカプセル中にトラップされてもよい。かかる技術は、Remington's Pharmaceutical Science 16版,Osol, A.Ed(1980)に開示されている。
イン・ビボ投与のために用いられる処方は無菌でなければならない。このことは、凍結乾燥および再構成の前または後に、除菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
放出を持続させる調製法が採られてよい。放出を持続させる調製法の適切な例としては、CD18またはCD11bアンタゴニストを含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは造形品、例えば被膜、またはマイクロカプセルの形態である。放出を持続させるマトリックスの例としては、ポリエステル類、ヒドロゲル類(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド類(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびL−グルタミン酸γエチルの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、Lupron DepotTM(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドからなる注射可能な微小球)のごとき分解性乳酸−グリコール酸共重合体、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸が挙げられる。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸のごときポリマーは100日にわたって分子の放出が可能であるが、あるヒドロゲル類はより短い期間でタンパク質を放出する。カプセル化抗体が長時間体内に残っている場合には、37℃で湿気に曝された結果として変性または凝縮し、その結果生物学的活性の欠失および免疫原性に変化が起こる可能性がある。関連機構に基づく安定化のための合理的な戦略を考案できる。例えば、凝縮機構がチオ−ジスルフィド交換を介した分子間S−S結合形成であることが発見された場合には、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分含量を調節し、適当な添加物を用いて特異的なポリマーマトリックス組成物を開発することによって達成され得る。
D.該抗体の非治療上の使用
本発明の抗体はアフィニティー精製試薬として用いられ得る。この目的において、該抗体は本分野で周知の方法を用いて、Sephadex樹脂または濾紙のような固相上に固定化される。固定化された抗体は、精製されるErbB3タンパク質(またはその断片)を含むサンプルと接触させられ、その後該支持体は固定化された抗体に結合したErbB3抗体を除いてサンプル中の実質的にすべての物質を除去するであろう適切な溶媒で洗浄される。最後に該支持体を該抗体からErbB3タンパク質を放出するであろうグリシンバッファー,pH5.0のようなもう一つの適切な溶媒で洗浄される。
抗ErbB3抗体はまた、例えば特異的な細胞、組織または血清中でのその発現を検出するような、ErbB3タンパク質の診断アッセイにおいて有用であろう。それ故該抗体をヒト悪性疾患の診断において用い得る(例えば米国特許第5,183,884号参照)。
診断の応用に対して、該抗体は典型的に検出可能な部分でラベルされるであろう。以下のカテゴリーに一般的に分類可能な数多くのラベルが入手可能である:
(a) 35S,14C,125I,3H及び131Iのような放射性同位元素。該抗体を例えばCurrent Protocols in Immunology,Volumes1及び2,Coligen等,編,Wiley-Interscience,New York,Pubs.,(1991)に記載された方法を用いて放射性同位元素でラベルし得、放射性活性をシンチレーションカウンターを用いて測定しうる。
(b) 希土類キレート(ユーロピウムキレート)またはフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、Lissamine、フィコエリスリン及びテキサスレッドのような蛍光ラベルが使用可能である。蛍光ラベルを例えば、Current Protocols in Immunology,上記参照に開示されている方法を用いて該抗体に接合可能である。蛍光をフルオリメーターを用いて定量しうる。
(c) 様々な酵素−基質ラベルが利用可能であり、米国特許第4,275,149号はこれらのいくつかのレビューを提供する。該酵素は一般的に様々な方法を用いて測定されうる色素基質の化学的変化を触媒する。例えば該酵素は、基質における色素変化を触媒し得、それは分光光度計的に測定されうる。代わりに、該酵素は基質の蛍光または化学ルミネセンスを改変しうる。蛍光における変化を定量するための方法は、上記記載されている。化学ルミネセンス基質は、化学反応によって電気的に励起され、それから測定されうる(例えばケミルミノメーターを用いて)光を放出し、または蛍光アクセプターにエネルギーを伝達する。酵素的ラベルの例として、ルシフェラーゼ(例えばホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、マレートデヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)のようなペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、ヘテロサイクリックオキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼのような)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ等が含まれる。抗体に酵素を接合する方法は、O'Sullivan等,Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay,In Methods in Enzym.(J.Langone & H.Van Vunakis編) ,Academic press,New York,73:147-166(1981)に記載されている。
酵素−基質の組み合わせの例として例えば:
(i) 基質としてハイドロゲンペルオキシダーゼを用いる西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)であり、そこではハイドロゲンペルオキシダーゼは色素前駆体を酸化する(例えばオルトフェニレンジアミン(OPD)または3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンハイドロクロライド(TMB));
(ii) 色素基質としてパラ−ニトロフェニルリン酸を用いるアルカリホスファターゼ(AP);及び
(iii) 色素基質(例えばp-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)または蛍光基質4-メチルアンベリフェリル(methylumbelliferyl)-β-D-ガラクトシダーゼを用いるβ-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)
が含まれる。
数多くの他の酵素−基質の組み合わせも当業者に利用可能である。これらの一般的なレビューとして、米国特許第4,275,149号及び第4,318,980号参照。
時にはラベルは間接的に該抗体に接合される。当業者はこれを成し遂げるための様々な方法に気がつくであろう。例えば、該抗体をビオチンと接合し得、上記した3の広いカテゴリーのいずれもアビジン等と接合し得、逆もまた然りである。ビオチンは選択的にアビジンと結合し、それ故該ラベルは間接的な方法で該抗体に接合し得る。代わりに、該抗体を用いた該ラベルの間接的な接合を成し遂げるために、該抗体を小さなハプテン(例えばジゴキシン)と接合し、上記した異なるタイプのラベルの一つを抗ハプテン抗体(例えば抗ジゴキシン抗体)を用いて接合する。それ故抗体を用いて該ラベルの間接的な接合は成し遂げられ得る。
本発明のもう一つの実施態様は、抗ErbB3抗体をラベルする必要はなく、それらの存在をErbB3抗体に結合するラベル化抗体を用いて検出しうる。
本発明の抗体は、競合的結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイのような周知のアッセイ法に用い得る。Zola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147-158(CRC Press,Inc.,1987)。
競合的結合アッセイは、制限された量の抗体と結合する試験サンプル分析物と競合するラベル化スタンダードの能力に依存する。試験サンプル中のErbB3抗体の量は、抗体に結合されるようになるスタンダードの量に反比例する。結合されるスタンダードの量を測定することを容易にするために、抗体に結合されるスタンダード及び分析物が非結合のままのスタンダード及び分析物から簡便に分離されるように、抗体は一般的に競合の前後で固定化される。
サンドイッチアッセイは2の抗体の使用を含み、それぞれは検出されるタンパク質の異なる免疫原性部分またはエピトープに結合可能である。サンドイッチアッセイにおいては、試験サンプル分析物は固体支持体に固定化された第一の抗体によって結合され、その後第二の抗体が結合し、それ故不溶性の3の部分の複合体が形成される。例えば米国特許第4,376,110号参照。第二の抗体は検出可能な部分でそれ自体がラベルされている(直接サンドイッチアッセイ)または検出可能な部分でラベルされている抗免疫グロブリン抗体を用いて測定されうる(間接サンドイッチアッセイ)。例えば、サンドイッチアッセイの一つのタイプがELISAアッセイであり、その場合には検出可能な部分は酵素である。
免疫組織化学に対しては、腫瘍サンプルは新鮮であるか凍結されており、またはパラフィンに埋没され例えばホルマリンのような防腐剤で固定されているであろう。
該抗体はin vivo診断アッセイについても用いられ得る。一般的に該抗体は該腫瘍がイムノシンチオグラフィーを用いて局在され得るように、放射性核種(111In,99Tc,14C,131I,125I,3H,32Pまたは35Sのような)を用いてラベルされる。
E.診断キット
簡便な方法として、本発明の抗体はキット、即ち診断アッセイを実施するための説明書と所定量の試薬のパッケージされた組み合わせにおいて提供されうる。
抗体が酵素でラベルされる場合、キットは酵素に必要とされる基質及び補助因子を含むであろう(例えば検出可能な色素因子または蛍光因子を提供する基質前駆体)。加えて安定剤、バッファー(例えばブロックバッファーまたは溶解バッファー)等のような他の付加物が含まれる。様々な試薬の相対的な量は、アッセイの感受性を実質的に最適化する試薬の溶液における濃度を提供するために広く変化しうる。特に、該試薬は、通常凍結乾燥され乾燥パウダーとして提供され、溶解した場合適切な濃度を持つ試薬溶液を提供するであろう賦形剤を含む。
F.該抗体の治療上の使用
本発明の抗ErbB3抗体はErbB2-ErbB3複合体の過剰な活性化が生じている疾患、特に上記活性化がヒレグリンポリペプチドによって介在されている疾患を治療するために用いられ得る。ErbB3抗体を用いて治療される疾病または疾患の例として、良性または悪性腫瘍(例えば腎臓、肝臓、腎臓、膀胱、乳、胃、卵巣、大腸、前立腺、膵臓、肺、外陰部、甲状腺、肝臓ガン腫;肉腫;グリア芽細胞腫;及び様々な頭と首のガン);白血病及びリンパ悪性腫瘍;神経、グリア、星状細胞、視床下部及び他の腺、マクロファージ、上皮、ストロマ、肺胞腔の各疾患;及び炎症、血管由来及び免疫学的な各疾患が含まれる。
本発明の抗体は、ボーラスとしてまたは一定期間の継続的な点滴による静脈内への投与、または筋肉内、動脈内、脳脊髄内、皮下、間接内、骨膜内、胞膜内、経口、局所的、または吸入の各経路によって、周知の方法に従って哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。該抗体の静脈内投与が好ましい。
他の治療上の摂生を、本発明の抗ErbB3抗体の投与と結びつけうる。例えば、ここで開示される抗体を用いて治療される患者は放射線治療を受けていてもよい。代わりに、または加えて、化学療法試薬を製品の説明書にしたがって、または当業者に経験的に測定されるように用いてもよい。上記化学療法試薬の調製及び投与スケジュールは、Chemotherapy Service,M.C.Perry,編,Williams & Wilkins,Baltimore,MD(1992)にも記載されている。化学療法試薬は該抗体の投与に先行しても引き続いてもよく、それらと同時に与えられてもよい。
EGFR,ErbB2,ErbB4または血管内皮増殖因子(VEGF)に結合する抗体のような、他の腫瘍関連性抗原に対して抗体を投与することも好ましいであろう。二つ以上の抗ErbB3抗体を、患者に共投与することも可能である。代わりに、または加えて、一つ以上のサイトカインを患者に投与することも可能である。
疾患を予防又は治療するために、抗体の適当な投与量は、治療すべき上記の疾患のタイプ、疾患の重篤度及び原因、抗体が予防又は治療のいずれの目的で投与されるか、以前の治療、患者の臨床経過及び抗体に対する反応、及び担当医師の判断による。抗体は、一度にあるいは連続した治療に渡って患者に適当に投与される。
疾患のタイプ及び重篤度に応じて、約1μg/kgから15mg/kg(例えば0.1-20mg/kg)の抗体が、例えば1またはそれ以上の別々の投与あるいは連続的な吸入のいずれであっても、患者への投与の最初の候補となる投与量である。典型的な日常の投与量は、約1μg/kgから100μg/kgまたはそれ以上であり、状況に応じて、治療は、疾患の徴候に所定の抑制が生ずるまで続けられる。この治療の進行は、従来の技術及び検定法によって容易に監視される。
G.製造品
本発明の他の実施態様では、上述の状態の治療に有用な材料を含む製造品が提供される。この製造品は、容器とラベルとを含んでなる。好ましい容器は、例えば、ボトル、ガラス瓶、シリンジ、及び試験管を含む。この容器は、ガラスやプラスチックなどの種々の材料から形成してよい。この容器は、状態を治療するのに有効な組成物を保有し、無菌の出入り口を具備する(例えば、容器は、血管内溶液バッグまたは皮下用縫い針で貫通できるストッパーを有するガラス瓶であってもよい)。組成物中の活性剤は抗ErbB3抗体である。容器上の又は添付されたラベルは、組成物が選択した状態の治療に用いられることを示している。製造品は、リン酸塩緩衝塩水、リンガー溶液又は出来ストロース溶液などの生理学的に許容されるバッファーを収容した第二の容器を有してもよい。さらに、製造物は、他のバッファー、希釈液、フィルター、針、シリンジ、及び使用時に挿入されるパッケージを含む、商業的又は使用者の立場から望ましい他の材料を具備してもよい。
H.材料の寄託
以下の生物学的材料は、American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Drive, Rockville, MD, USA(ATCC)に寄託された。
この寄託は、特許手続上の微生物寄託の国際的承認に関するブタペスト条約及びその規則(ブタペスト条約)に従って行った。これは寄託日から30年の間生存可能な培地を維持することを保証する。寄託した各々の培地は、ジェネンテック社とATCCとの合意を条件として、ブタペスト条約の条件に従ってATCCから入手可能であり、前記合意は(a)培地への接近は、特許出願が係属中は、特許庁長官が37 CFR §1.14及び35 USC §122に基づいて認めたものに可能であり、(b)このように寄託された培地の公衆への入手可能性に対する制限は、特許された時点で取り除かれることを保証する。
特許出願の譲受人は、適当な条件で培養したときに、寄託に係る培地が脂肪又は喪失又は破壊された場合、通知を受けたら速やかに、同じ培地の生存可能な標品と置き換えることに同意する。寄託された細胞系の入手可能性は、あらゆる政府の権威のある機関がその特許法に従って許可した権利に反して発明を実施する許諾とは解釈されない。
上述の明細書は、当業者が本発明を実施するのに十分であると考える。本発明は、寄託した培地によってその範囲を限定されず、寄託した実施態様は、本発明の位置態様を例示したものに過ぎず、機能的に等価なあらゆる培地が本発明の範囲内にある。この材料の寄託は、ここに含まれる詳細な説明が、本発明のベストモードを含む全ての態様を実施するのに不十分であることを容認するものではなく、請求の範囲をそれが示す特定の例示に限定すると解釈すべきでもない。確かに、ここに示し述べたものに加えて、本発明の種々の変形が、これまでの説明から当業者には明らかになり、それらは添付した請求の範囲内にある。
欧州特許を求めている指定国の点では、寄託された微生物のサンプルは、欧州特許の認可を示した出版がなされるまで、または本出願が拒絶される、取り下げられる、または取り下げ擬製される日まで、該サンプルを要求する人によって指定された専門家に対してサンプルを与える限りにおいて、入手可能となるであろう。
以下の実施例は説明を目的として提供され、限定を目的としていない。本明細書における全ての引用文献の開示は参考としてここに明白に取り込まれる。
実施例
抗ErbB3抗体の生産
この実験はここに記載される性質を持つ抗ErbB3抗体の生産を記載する。
物質及び方法
細胞系:ヒト骨髄性白血病細胞系K562(ノーザンブロットで測定するとクラスIサブファミリー受容体タンパク質チロシンキナーゼを欠いている)及びヒト卵巣ガン腫細胞系Coav3を、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から得た。両者を10%ウシ血清、2mMグルタミン、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び10mM HEPESを補ったRPMI 1640培地(「増殖培地」)で培養した。
K562細胞の安定なトランスフェクション:K562細胞をトランスフェクトし、ErbB3発現クローンを選択した。略記すると、erbB3 cDNAをpcDNA-3哺乳動物細胞発現ベクター(Invitrogen)内にサブクローン化し、エレクトロポレーション(1180mF,350V)によってK562細胞内に導入した。トランスフェクトされた細胞を、0.8mg/mL G418を含有する増殖培地で培養した。抵抗性クローンを限界希釈によって得、ウエスタンブロット及びヒレグリン(HRG)結合アッセイによってErbB3発現に対して試験した。ErbB3発現クローン4E9H3を、この報告書に記載された実験において用いた。ホルボールエステル刺激が、K562トランスフェクト物においてErbB3発現を実質的に増大することが見出された。それ故、4E9H3細胞を、以下に記載する様々なアッセイで使用する前にオーバーナイトで10ng/mLホルボール-12-ミリスチテートアセテート(PMA)を含有する増殖培地においた。
抗体:ErbB3タンパク質に特異的にモノクローナル抗体を、モノクローナル抗体5B6に対する単純ヘルペスウイルスタイプI(HSV I)グリコプロテインD(gD)エピトールに対してアミノ末端で融合した細胞外ドメイン(ECD)に相当する受容体の組換え断片に向けて生産した。ErbB3のシグナル配列に対するコード配列を、gDポリペプチドのアミノ酸1-53をコードする配列を用いて置換した。アミノ酸1-25はgDのシグナル配列をコードする一方で、アミノ酸26-53はモノクローナル抗体5B6に対するエピトープを含む。WO 95/14776参照。結果として生じた構築物、gD.Erb3.ECDを、抗gD抗体アフィニティーカラムを用いて精製した。免疫化を以下のように実施した。メスのBalb/cマウス(Charles River)を、100μl RIBI'sTMアジュバント(Ribi Immunochem Research,Inc.,Hamilton,NT)における5μgのgD.Erb3.ECDを用いて肉趾を介してはじめに注射した。該動物を、二週間ごとにその肉趾に5μgのgD,ErbB3.ECDを用いて二度追加免役し、引き続き5μgのgD.ErbB3.ECDの最終の肉趾注射をした。最後の免疫化の3日後、膝窩リンパ節を取りだし、単一細胞懸濁液をPEG融合物として調製した。
モノクローナル抗体を生成し、ErbB2及びErbB4を用いて交差反応性に対して固定化した溶液相ELISAによって試験した。固定化ELISAに対しては、1μg/mlのErbB2.ECD,gD,ErbB3.ECDまたはgD.ErbB4.ECDを、オーバーナイトで96欠ミクロタイタープレートをコートするために用いた。1μg/mlで抗ErbB3Mabを加え、室温(RT)で1時間インキュベートし、洗浄後HRPOに接合したヤギ抗マウス(gam)IgGが引き続いた。ELISAを機能させ、490nmで読みとった。溶液相ELISAに対しては、1μg/mlのgam IgG(Fc特異的)を、オーバーナイトで96欠ミクロタイタープレートをコートするために用いた。1μg/mlで抗ErbB3 Mabを加え、室温で1時間インキュベートし、洗浄後ビオチン化ErbB2.ECD,gD.ErbB3.ECDまたはgD.ErbB4.ECDが引き続いた。この反応を室温で1時間インキュベートし、洗浄後HRPOストレプタビジンが引き続いた。ELISAを機能させ、490nmで読みとった。このアッセイにおいて、抗ErbB3抗体はErbB2またはErbB4と全く交差反応しなかった。
3-8D6抗体のFab断片を、パパイン切断によって生産した。非切断IgG及びFc断片を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーと引き続くゲル濾過クロマトグラフィーによって除去した。SDS-PAGEでも、Fc特異的抗体を用いたウエスタンブロットでも、FabプールにおいてIgGは検出できなかった。
HRG結合アッセイ:全てのHRG結合実験を、β1アイソフォームのEGF様ドメイン、即ちHRGβ1177-244(Sliwkowski等,J.Biol.Chem.269:14661-5(1994))を用いて実施した。ErbB3抗体パネルを、100nM抗ErbB3抗体の不存在下(コントロール)または存在下で、0℃でオーバーナイトで100pM 125I-HRGを用いて5.0×104 4E9H3細胞をインキュベートすることによるHRG結合に対する効果に対してスクリーニングした。無関係なIgGを、ネガティブコントロールとして用いた。細胞を回収し、96穴濾過装置(Millipore)において氷冷アッセイバッファー(10mM HEPES,pH=7.2を含有するRPMI培地)を用いて急速に洗浄した。それからフィルターを取りだしカウントした。
抗体量応答実験のために、増大した濃度の抗体の存在下で100pM 125I-HRGを用いて4E9H3細胞をインキュベートした。HRGアフィニティー測定をそれぞれ100nM抗体またはFab断片の不存在下(コントロール)または存在下で測定した。これらの実験を、増大する量の非ラベルHRG及び固定した濃度(35pM)の125I-HRGを用いて競合的阻害フォーマットにおいて実施した。コントロール実験(抗体なし)のために、1×105 4E9H3細胞をそれぞれのサンプルに対して用いた。アッセイの動的な幅を制限するために、該抗体またはFabのそれぞれの存在下で結合に対して持ちいられる4E9H3細胞の数を、2.5×104細胞/サンプルに減少した。
HRG刺激化リン酸化の抗体による減少:天然でErbB2及びErbB3を発現するCaov3細胞を、室温で60分250nMの抗ErbB3抗体3-8D6、この抗体のFab断片、またはバッファー(コントロール)とともにプレインキュベートした。抗ErbB2抗体、2C4(Fendly等,Cancer Res.,50:1550-1558(1990))は、ErbB2のHRG刺激化リン酸化をブロックすることが以前に示され、これをポジティブコントロールとして含んだ。それから細胞を室温で8分、10nMの最終濃度でHRGを用いて刺激し、または非刺激のままにした。上清を除去し、細胞をSDSサンプルバッファーに溶解することによって反応を止めた。それから溶解物をSDS-PAGEに乗せた。ゲルのウエスタンブロットにより、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Transduction Labs)に接合された抗ホスホチロシンを用いてプローブ化し、該プロットを化学発光基質(Amersham)を用いて明視化した。該ブロットをHolmes等,Science,256:1205-1210(1992)に記載されているように反射率スキャニングデンシトメーターを用いてスキャンした。
ErbB2-ErbB3タンパク質複合体形成の抗体による減少:Coav3細胞をバッファー(コントロール)、250nM抗ErbB3抗体3-8D6、またはこの抗体のFab断片、または抗ErbB2抗体(2C4)とともに室温で60分プレインキュベートし、それから10nM HRGまたはコントロールバッファーを用いて10分処理した。該細胞を、0.2mM PMSF,50mTU/mLアプロチニン,及び10mMロイペプチンを含有した25mM Tris,pH=7.5,150mM NaCl,1mM EDTA,1.0% Triton X-100TM,1.0% CHAPS,10%v/vグリセロール(「溶解バッファー」)において溶解し、不溶性物質を除去するために未精製の溶解物を簡単に遠心分離した。不溶性支持体(Affi Prep-10TM,Bio-Rad)に共有結合で結合したErbB3に対して特異的なモノクローナル抗体、3E8を用いて上清をインキュベートした。該インキュベーションを4℃でオーバーナイトで実施した。免疫沈降物を氷冷溶解バッファーで二度洗浄し、最小量のSDSサンプルバッファーに再懸濁し、SDS-PAGEに乗せた。それからゲルにウエスタンブロットをポリクローナル抗ErbB3(Santa Cruz Biotech)を用いてプローブ化した。該ブロットを、Holmes等,Science,256:1205-1210(1992)に記載されたように反射率スキャニングデンシトメーターを用いてスキャンした。ECL化学発光基質を用いた明視化の後、該ブロットをはぎ取り、ポリクローナル抗ErbB2(Santa Cruz Biotech)を用いて再プローブ化した。抗ErbB2を用いてプローブ化された二重のプロットは、頭領のErbB2が各サンプルから免疫沈降されたことを示した。
結果
ErbB3の細胞外ドメインに対して向けられたモノクローナル抗体の一団を、ErbB3に対して結合するHRGに影響を与える能力に対して評価した。125I-HRGの存在下で4E9H3細胞を用いて100nMの最終濃度で精製抗体のそれぞれをインキュベートすることによって、最初のスクリーニングを実施した。4E9H3細胞は、ヒト骨髄性白血病細胞系K562のErbB3トランスフェクト物である。K562細胞系は内因性ErbB受容体またはHRGを発現しない。それ故4E9H3細胞に対して結合するヒレグリンは、ErbB3を通じて極端に生じる。氷上でオーバーナイトでの該サンプルのインキュベーション後、細胞関連性カウントを測定した。図1に示されるように、抗ErbB3抗体の二つ(2F9及び3E9)は、コントロール(抗体なし)と比較して4E9H3細胞に結合した125I-HRGの量を減少した。しかしながらいくつかの他のものが、リガンド結合を有意に増大した。これらの結果は、これらの抗ErbB3抗体がHRG結合に対するアフィニティーを増大し、及び/またはHRG結合部位の許容性を増大することが可能であることを示唆する。さらにErbB3に対して結合するHRGに対するこれらの抗体の影響を特徴づけるため、HRG結合を増大する3-8D6抗体を用いて量応答性実験を実施した。4E9H3細胞を、増大する濃度の3-8D6抗体の存在下で100pMの125I-HRGを用いてインキュベートした。それから氷上でのオーバーナイトのインキュベーションの後細胞関連性カウントを測定した。その結果が、細胞関連性カウント対抗体濃度のプロットとして図2に示されている。増大するHRG結合と増大する抗体濃度の間には相関関係が存在する。ヒレグリン結合は10及び100nM IgGの間で飽和に到達する。3-8D6抗体に対するEC50値は、722pMであった。高抗体濃度での量応答性曲線はそれぞれの抗体に対していかなる減少も観察されなかった。
HRG結合のスキャッチャード分析を、これらの抗体の存在下で測定し、その結果が表1に示されている。
抗体の不存在下では、1200pMのKdがErbB3に対する結合するHRGに対して測定され、それはErbB3に対して結合するHRGの以前に測定されたアフィニティー測定値と一致する。細胞当たりの結合部位の数は、36,000であると測定された。抗体,3-8D6の存在下では、結合するHRGに対する測定された結合定数は、210pMに有意に増大する。しかしながら、HRG結合部位の数は、3-8D6の存在下で増大しない。
ErbB3リガンド結合アフィニティーの増大が二価である抗体に依存するかどうかを測定するために、3-8D6抗体のパパイン切断によって調製された100nMのFab断片の存在下で、HRG結合実験を実施した。これらの実験で用いられるFab断片は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィーによって精製された。SDS-PAGEによると完全なIgGは、この精製調製物において検出されなかった。図3に示されるように、完全な抗体または結果として生じたFabの存在下でHRGの結合はほとんど同一である。これらのデータのスキャッチャード分析により、280pMのFabの存在下でHRG結合に対する解離定数が算出され、この実験から測定された細胞当たりの受容体の数は、コントロールのものと本質的に同数であった。これらのデータは図2に提示されるものと一致し、完全な抗体を用いた量応答性曲線は、より高い抗体濃度でベル型曲線よりむしろ台形型を示し、一価抗体結合が生じているようであった。いかなる理論にも裏付けられていないが、これらのデータはこれらの抗体の存在下で観察されるHRG結合における改変が、二価抗体に必要とされないことを示唆する。
ErbB2とErbB3を共発現する卵巣腫瘍細胞系Caov3を用いて、受容体チロシンリン酸化アッセイにおける3-8D6抗体の効果を次に調べた。細胞を10nM HRGを用いて刺激し、引き続き60分3-8D6抗体(250nM)またはバッファー(コントロール)のそれぞれを用いてプレインキュベーションした。全細胞溶解物を抗ホスホチロシンを用いてプローブ化したウエスタンブロット上で分析した。HRG処理は4E9H3細胞におけるリン酸化を刺激しなかった。3-8D6抗体を用いた4E9H3細胞の処理は、それ自体はErbB3のリン酸化を誘導しないか、またはCaov3細胞におけるチロシンリン酸化に対するいかなる効果をも持たなかった。著しいチロシンリン酸化シグナルを、HRG刺激に引き続いて分子サイズ〜180kDaを持つタンパク質上に検出した。ErbB2に対して特異的な抗体である2C4を用いたCaov3細胞の処理は、HRG介在性チロシンリン酸化シグナルをブロック可能であった。細胞をHRG刺激の前に抗ErbB3抗体,3-8D6を用いて処理した場合、チロシンリン酸化もまた減少した。全細胞溶解物の抗ホスホチロシンブロットのスキャニングデンシトメトリーにより、3-8D6が約80%(76-84%の幅)まで180-185kDaでホスホチロシンシグナルを阻害することが観察された。このシグナルは、ErbB3及びErbB2の両者のチロシンリン酸残基によって帰される。3-8D6抗体から調製されたFab断片を用いたCaov2細胞の処理はまた、コントロールと比較して180kDaバンドのHRG刺激化リン酸化を減少した。しかしながらFabの阻害活性は、完全な抗体よりわずかに強かった。
ErbB3単独を発現する細胞上の受容体アフィニティーにおける3-8D6抗体介在性増大は、ErbB3を用いたErbB2の共発現と関連するアフィニティーにおける増大と類似的である。さらにこの抗体は、両受容体を発現する細胞におけるHRG刺激化キナーゼ活性をブロックする。抗ErbB3抗体がErbB3に対して結合するErbB2と直接競合するかどうかを測定するために、一連の共免疫沈降実験をCaov3細胞を用いて実施した。細胞を抗体またはバッファー(コントロール)のそれぞれを用いてプレインキュベーションし、それから10分10nM HRGを用いて処理した。それから該細胞の溶解物を、ErbB2に対するモノクローナル抗体を用いて免疫沈降した。それから免疫沈降物をErbB3の存在に対するウエスタンブロットによって分析した。これらの実験の結果は、ErbB3がHRG刺激化細胞のErbB2免疫沈降物に存在するが、非刺激化溶解物の免疫沈降物には存在しないことを示した。これらのデータは、HRGがCaov3細胞におけるErbB2-ErbB3複合体の形成に由来することを示唆する。ErbB3は、抗ErbB2モノクローナル抗体,2C4を用いて処理されたサンプルの免疫沈降物では検出されなかった。該細胞をHRG刺激の前に3-8D6抗体またはその結果として生じたFabを用いてプレインキュベーションした場合、ErbB3シグナルの有意な減少が観察された。これらのデータは、3-8D6抗体がHRG処理に引き続きErbB2-ErbB3複合体の形成を阻害することを示す。抗ErbB2免疫沈降物の抗ErbB3ウエスタンブロットのスキャニングデンシトメトリーにより、抗ErbB3シグナル(それは存在するErbB2-ErbB3複合体の数を示す)はまた約80%(71-90%の範囲)まで3-8D6によって減少されることが明らかとなった。二重のブロットを抗ErbB2を用いてプローブ化した場合、等量のErbB2が全てのレーンで存在した。
配列表
(1)一般情報
(i)出願人:Genentech,Inc.
(ii)発明の名称:ErbB3抗体
(iii)配列の数:5
(iv)相当する住所
(A)住所:Genentech,Inc.
(B)通り:460 Point San Bruno Blvd
(C)都市名:South San Francisco
(D)州:California
(E)国名:USA
(F)郵便番号:94080
(V)コンピューターが読み込むことのできる形態
(A)媒体腫:3.5インチ、1.44Mbフロッピーディスク
(B)コンピューター:IBM PC互換機
(C)オペレーティングシステム:PC-DOS/MS-DOS
(D)ソフトウェア:WinPatin(Genentech)
(vi)現出願の情報
(A)出願番号
(B)出願日
(C)分類
(viii)代理人の情報
(A)名前:Lee, Wendy M.
(B)登録番号:40,378
(C)委託/事件番号:P1003PCT
(ix)通信情報
(A)テレフォーン:415/225-1994
(B)テレファックス:415/952-9881
(C)テレックス:910/371-7168
(2)配列番号(SEQ ID NO):1の情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:11アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:SEQ ID NO:1:
(2)配列番号(SEQ ID NO):2の情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:7アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:SEQ ID NO:2:
(2)配列番号(SEQ ID NO):3の情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:8アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:SEQ ID NO:3:
(2)配列番号(SEQ ID NO):4の情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:8アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:SEQ ID NO:4:
(2)配列番号(SEQ ID NO):5の情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:8アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:SEQ ID NO:5:
Claims (14)
- ATCC HB-12070として寄託されたハイブリドーマが産生する8B8抗体によって結合されるエピトープに結合する抗体。
- ATCC HB-12070として寄託されたハイブリドーマが産生する8B8抗体の相補性決定領域を持つ請求項1記載の抗体。
- ATCC HB-12070として寄託されたハイブリドーマが産生する8B8抗体である請求項1記載の抗体。
- ヒト化されている請求項1または2記載の抗体。
- ヒトである請求項1または2記載の抗体。
- Fab、Fab’、F(ab’) 2 及びFv断片;ディアボディー;単一鎖抗体分子;及び抗体断片から形成されたマルチ特異性抗体から選択される抗体断片である請求項1または2記載の抗体。
- Fabである請求項6記載の抗体断片。
- ラベルされている請求項1から7のいずれか一項記載の抗体。
- 固相に固定化されている請求項1から8のいずれか一項記載の抗体。
- 請求項1から8のいずれか一項記載の抗体及び製薬学的に許容されるキャリアーを含む組成物。
- 請求項1または2記載の抗体を生産する細胞系。
- 8B8抗体を生産するハイブリドーマ細胞系である請求項11記載の細胞系。
- 請求項1から10いずれか一項記載の抗体にErbB3タンパク質を含む疑いのある細胞をさらし、該細胞に対する上記抗体の結合を測定することを含むErbB3タンパク質の存在の測定法であって、ただし、ヒトに対してin vivoで行うことを除外する測定法。
- 請求項1から10いずれか一項記載の抗体及びErbB3タンパク質を検出するために該抗体を用いるための説明書を含むキット。
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