JP3925380B2 - 走査プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細立体形状の計測技術として、走査プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)が知られている。これは先端のとがった探針を制御しながら、接触力を非常に小さな値に保ちながら試料を走査する技術で、原子オーダーの微細立体形状が計測できる技術として、広く用いられている。従来から、試料を物理的にスキャンするために速度が上げ難いという走査プローブ顕微鏡特有の問題に対して、いろいろな改善が行われてきた。
【0003】
例えば、特許文献1および特許文献2には、高速化と解像度を両立するために、探針のたわみの信号と試料の駆動信号の両者から形状データを補正する技術が開示されている。また、特許文献3では、探針を高速に試料に近づけるために、探針を振動させながら試料に近づけると音響的相互作用によって5マイクロメートル程度離れたところから、探針の振幅が減少するように構成できることを利用して、試料の近くまで高速に探針を近づける技術が開示されている。しかし、上記技術では、探針を振動させる構成の走査プローブ顕微鏡装置でしか使用できないという問題と、試料に数マイクロメートルまで近づかなければ近接を感知できないため、数マイクロメートルの距離まで高速に探針を近づけるためには、さらに別のセンサを必要とするという問題があった。
【0004】
一方、現在、LSIの微細パターン形成プロセスではCD-SEM(測長SEM)を用いた寸法管理を行っているが、パターンの微細化に伴い、下記の限界がきている。(1) 測定精度の問題。2003年に主流になるとされる、90nmノードLSIのゲート幅は80nmであり、許容ばらつきを10%、測定精度をその20%とすると、必要とされる測定精度は1.6nmとなる。(2) プロファイル計測の要請。線幅の高精度制御のためにAPC(Advanced Process Control)化の必要性が高まっているが、このために、パターン線幅だけでなく、電気特性に大きく影響する断面形状の計測技術が必要とされている。(3) 測定対象の問題。DUV(深紫外光)用レジスト、low-k(低誘電率)膜材料等、電子線耐性の弱い材質に対する測定ニーズが増大している。
【0005】
また、次世代の高密度光ディスクメモリのピットの計測に対しても、同様の測定精度、プロファイル計測の必要性、マスター作成のためのレジストパターンの計測といった、同様のニーズが考えられる。
【0006】
上記の課題に対しては、現状のCD-SEMでは対応できない。このために、走査プローブ顕微鏡技術が有望と思われる。この場合に必要となるのが、既述の探針アプローチの高速化のほかに、軟脆材料にたいしてダメージの少なく、また、表面の材質に関する情報が得られる走査プローブ顕微鏡技術である。
【0007】
これに対して、特許文献4では、試料または探針を一定の振幅で振動させて探針を周期的に試料にぶつけながら走査し、軟脆試料および探針のダメージ軽減をはかる方法が開示されている。
【0008】
さらに、特許文献5では、飛び飛びの測定点のみで探針のサーボをかけて高さを測り、探針を引き上げた状態で次の測定点に向かう走査方法が開示されており、この方法はさらに接触回数が小さく、軟脆試料および探針へのダメージが少ない。また、探針を引きずらないために段差部での形状を忠実に計測できるという利点がある。ただし、高速化のためには、各測定点毎に探針の退避と接近を繰り返すため、高速な測定が行えないという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−142240号公報
【特許文献2】
特開2000−162115号公報
【特許文献3】
特開平6−74754号公報
【特許文献4】
特開平11−352135号公報
【特許文献5】
特開2001−33373号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記説明したように、従来技術では試料にダメージを与えない計測と高速計測の両立に課題があった。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、試料にダメージを与えない高精度計測がおこなえる、測定点ごとに探針の退避・接近を繰り返す測定方法をもちいて、高速な測定を実現することである。
【0012】
また、本発明の別の目的は、半導体試料のパターンを計測しプロセス条件にフィードバックすることで、安定で高精度なデバイスの製造を実現することである。
【0013】
また、本発明の別の目的は、記録メディアのパターンを計測しプロセス条件にフィードバックすることで、安定で高精度な記録メディアの製造を実現することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するために、試料にダメージを与えない高精度計測がおこなえる測定点ごとに探針の退避・接近を繰り返す測定方法をもちいながら、センサの信号を解析することによって探針退避量を最低限に押さえ、探針の横移動を速やかに完了させる駆動パターンを用い、探針の接近と接触の制御方法を変えるといった手段を用いて、高速な測定を実現した。
【0015】
また、本発明では、半導体試料あるいは光記録媒体のパターンを計測しプロセス条件にフィードバックすることで、安定で高精度なパターンの形成を実現する。
さらに、本発明では、光学式の高さ検出により高感度な近接センサを具備して探針の試料へのアプローチが高速な走査プローブ顕微鏡を実現した。
【0016】
また、本発明では、傾斜の急な試料段差部に対して、探針を傾斜させて走査を行うことによって段差部の正確な形状の計測を実現した。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明を説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかわる走査プローブ顕微鏡の構成を示す図である。図2は探針周りの一実施例の拡大図である。X、Y、Zに駆動が可能な試料ステージ302上に試料501が載せられており、走査制御部201によって制御されている。この上には探針103があり、探針駆動部202からの制御により探針103を取り付けた探針移動機構252はX、Y、Zに駆動され、これによって走査プローブ顕微鏡のプローブ走査を行う。
【0019】
252は、探針ホルダー101に取り付けられていて、探針ホルダー101は探針ホルダー上下機構253によって、鏡筒102に取り付けられており、探針ホルダー駆動部203からの制御によってZ方向に粗動駆動される。探針移動機構252は微動機構であり、動作距離が大きくないために、探針の試料への接近は、探針ホルダー上下機構253によって行う。あるいは、別の実施例として、試料ステージ302側を駆動することによって、探針を試料へ接近させるようにしてもよい。また、走査プローブ顕微鏡のプローブ走査も、試料ステージ302側を駆動させることにより行ってもよい。
【0020】
近接センサ204は、探針の先端付近の高さを高感度で計測するためのセンサであり、これによって、探針の試料への接触を事前に検出して接近速度を制御することで、探針を試料にぶつけることなく高速な試料への接近を実現できる。
【0021】
近接センサ204は、後述するように、光を用いてもよいが、検出範囲が数十マイクロメートル以上あり、1マイクロメートル程度の感度で試料との距離を検出できるセンサであれば、ほかのセンサを用いてもよい。たとえば、試料ホルダー101あるいは探針103のカンチレバー部と試料501との間に交流電圧をかけることによって、静電容量を測り、距離を検出する静電容量式センサや、試料ホルダー101と試料501との間に空気を流して圧力を検出するエアマイクロセンサを用いてもよい。
【0022】
走査制御部201は、探針のたわみ検出センサ205、近接センサ204、探針ホルダー駆動部203、探針駆動部202試料ステージ302を制御して、探針の近接、試料の走査等を実現する。このとき、試料の走査時の信号をSPM像形成装置208に送ることによって、試料の表面形状像を得ることができる。
【0023】
また、信号印加装置207は、探針を高周波数で加振して応答をたわみ検出センサ205で検出することにより、試料の表面の弾性などを計測したり、探針と試料の間に交流あるいは直流電圧をかけて電流を測定し、容量あるいは抵抗を計測したりする。これを探針のスキャンと同時に行い、得られた信号をSPM像形成装置208で処理することにより、表面形状像のほかに、付加的性質の分布像を得ることが出来る。
【0024】
探針ホルダー101に対物レンズを組み込んだ場合には、光学像センサ206で試料の光学像を得ることによるSPM測定エリアの同時観察、探針103の取り付け時の調整に用いることが出来る。
【0025】
装置全体の動作は、全体制御装置250によって制御され、表示・入力装置251によって、操作者の指示を受けたり、光学像やSPM像を提示したりすることが出来る。
【0026】
図3は、光学系の一実施例を示す図である。光源111から出射した光は、レンズ112で平行光に変えられてミラー113で反射され、探針ホルダー101の内部に組み込まれた対物レンズ(図示せず)に入射し、試料501上に焦点を結ぶ。光源111に組み込む開口の形状によって、スポットあるいはスリットなど、任意の形状の像を形成できる。
【0027】
試料で反射した光は、再び対物レンズを通り、ミラー114で反射され、結像レンズ115により検出器116上に像を結ぶ。像の位置は、試料501の高さによって移動する。移動量は、試料への検出光110の入射角をθ、レンズ115による結像倍率をm、試料の高さをZとすると、2mZtanθとなるので、この移動量を計測すれば、試料の高さZを算出することができる。検出器116は、像の位置が検出できればいいので、PSD(ポジションセンシティブデバイス)・分割型ホトダイオード・リニアイメージセンサなどでもよい。
【0028】
上記説明は、検出光110が対物レンズを通るという構成での説明であったが、検出光110が対物レンズの外部を通り、もう一枚の図示されていないミラーで折り曲げられて、試料上に結像される構成も考えられる。このとき、レンズ112および115はそれぞれ光源111およびセンサ116を試料501と結像関係になるように調整される。この場合のセンサ116上の像の移動量は、2mZsinθとなる。
【0029】
以下、探針のたわみ検出系について説明する。光源131から発射された光は、レンズ132を通ってビームスプリッタ133で光路が変換されてビームスプリッタ134に入射し、このビームスプリッタ134で再度光路が変換されて探針ホルダー101の内部に配置されている対物レンズ(図示せず)に入射し、この対物レンズを通過した後に探針のカンチレバー部103に照射される。ここで反射した光は、同じ道を戻ってビームスプリッタ133を通過し、レンズ135を介してセンサ136に照射される。
【0030】
レンズ135は、対物レンズの射出瞳とセンサ136が結像関係になるように構成され、これによってカンチレバーの反射面の傾きに比例した位置変化が、センサ136上の光に生起される。これを136の位置に置いたPSD(ポジションセンシティブデバイス)・分割型ホトダイオード・リニアイメージセンサなどによって検出することによって、カンチレバーの傾き(たわみ)を検出することが可能になる。また、二次元型のPSD、イメージセンサ、4分割フォトダイオードなどの何れかを用いることにより、たわみと同時に、ねじれを検出することも可能になる。検出光130を試料観察系の光と分離するために、光源131は単色のレーザとして、この光だけを通すようにレンズ135の前後に干渉フィルターを設けるのが望ましい。
【0031】
さらに効率を上げるために、ビームスプリッタ134の代りに、ダイクロイックミラーを用いてもよい。また、ビームスプリッタ133の代りに、偏光ビームスプリッタを用い、レーザ131の偏光方向を、33によって反射されるS偏光とし、ビームスプリッタ133と134の間に1/4波長板(図示せず)を置くことによって、S偏光を円偏光に変換して探針103の反射面に当て、反射光を再び1/4波長板でP偏光に変えて偏光ビームスプリッタ133を透過させてもよい。
【0032】
試料観察系は照明光源154より出射し、コンデンサレンズ153を通り、ビームスプリッタ155で反射し、ビームスプリッタ134を透過し、101内の対物レンズを通って試料501を照明する。試料の反射光は再び対物レンズを透過し、ビームスプリッタ134と155を透過して結像レンズ152で結像され、イメージセンサ151で検出される。
【0033】
以上、図3を用いて説明したように、探針と試料観察系と試料高さセンサと探針たわみ検出光学系を同軸で構成することにより、SPM計測位置の同時観察、探針の調整の容易化、高速な探針と試料との接近が可能になる。また、探針たわみ検出光学系を同軸で構成したことによって、カンチレバー部の幅の小さい探針に対しても、検出光130を照射できるようになり、より軽くて共振周波数の高い探針を用いることによって、走査の高速化を可能とする。すべて対物レンズを通して検出するようにしたことにより、対物レンズを探針と近づけることが可能になり、高解像度の試料の光学観察が可能となる。
【0034】
また一方、作動距離の長い対物レンズを用いて、試料高さセンサと探針たわみセンサの少なくとも一方を対物レンズと試料の間の隙間を通して斜めから光を投影・検出するオフアクシス構成とする実施例ももちろん考えられる。図21を用いてこれについては後述する。
【0035】
また、別の構成として、ヘテロダイン干渉法を用いて探針103のたわみを検出する方法も考えられる。光源131の位置に周波数foの点光源と周波数fで周波数シフトした周波数fo+fの点光源を配置する。点光源の配置のためにはレーザをレンズで絞っても、ファイバーの出射端をここに置いてもいい。この像を探針103の二点に形成するように光学系を調整する。
【0036】
図9に示すように、一方は探針のカンチレバー部の先端に、もう一方は根元に像を形成させる、この反射光は136の位置で交差するので136にフォトダイオードを置くと、二本の光は干渉して周波数fのビートを発生する。このビート信号を周波数シフタに与えた周波数fの信号を基準としてロックイン検出して位相を求めると、この位相の変化がすなわちカンチレバーの傾きの変化となる。これによって、カンチレバーのたわみを検出できる。あるいは、周波数シフタに与えた信号を用いる代わりに、レンズ132を通ってからビームスプリッタ133で反射されずに透過した光を二本のビームがクロスするところで別のフォトダイオード(図示せず)で検出して、周波数fの基準信号としてよい。
【0037】
また、別の構成として、ひずみゲージのようなひずみの変化を反映する信号を得られるものを探針に組み込んで、光学式たわみセンサの替わりとして用いてもよい。
【0038】
図21は、光学系の別の実施例を示す図である。光源111から出射した光はレンズ112で平行光に変えられてミラー113で反射され、ミラーでの反射を経てレンズ182に入射し、試料上501上に焦点を結ぶ。光源111に組み込む開口の形状によって、スポットあるいはスリットなど、任意の形状の像を形成できる。試料で反射した光はミラーでの反射を経てレンズ185を通り、結像レンズ115で検出器116上に像を結ぶ。像の位置は試料501の高さによって移動する。移動量は試料への検出項110の入射角をθ、レンズ115による結像倍率をm、試料の高さをZとすると、2mZsinθとなるので、この移動量を計測すれば試料の高さZが検出できる。検出器116は像の位置が検出できればいいので、PSD(ポジションセンシティブデバイス)・分割型ホトダイオード・リニアイメージセンサなど何でもよい。
【0039】
以下、図21の実施例における探針のたわみ検出系について説明する。光源131から出た光はレンズ132を通り、ミラーでの反射を経て、探針のカンチレバー部103に照射される。ここで反射した光は、ミラーでの反射を経てセンサ136に照射する。カンチレバー103のたわみは反射光の角度変化となり、これによってカンチレバーの反射面の傾きに比例した位置変化がセンサ136上の光に生起される。これを136の位置に置いたPSD(ポジションセンシティブデバイス)・分割型ホトダイオード・リニアイメージセンサなどによって検出することによってカンチレバーの傾き(たわみ)を検出することが可能になる。
【0040】
また、二次元型のPSD、イメージセンサ、4分割フォトダイオードを用いることにより、たわみと同時にねじれを検出することも可能になる。本検出光130を試料観察系の光と分離するために光源131は単色のレーザとして、この光だけを通すように検出器136の前に干渉フィルターを設けるのが望ましい。なお、109は試料観察系の対物レンズである。
【0041】
以下、図8を用いて本発明による試料高さセンサを用いた探針と試料の高速接近制御について説明する。まず探針微動機構(探針移動機構252)は伸ばした状態(探針微動高さの低い状態)にしておく。つぎに試料高さセンサ204をモニタしながら、高速で(1〜10mm/s程度)探針粗動機構(探針ホルダー上下機構253)を駆動して探針をおろす(探針粗動高さを下げる)。試料高さセンサ204の出力が10〜数十マイクロメートルになったところで低速接近に切り替える(0.1mm/s程度)。探針のたわみ検出センサ205の出力を監視して、これが大きくなりだした所で、探針微動機構を一気に縮める(図8の探針高速退避)のと同時に探針粗動機構を止める。
【0042】
通常行われている探針をSPMサーボモードにして近づける方法では探針の制御帯域に縛られて低速接近時の速度を上げるのが難しいのに比べて、このように、サーボモードにせずに接触を感知した瞬間に一気に縮めることによって、低速接近の速度をあげられる利点がある。このあと、探針微動機構のサーボをONにすることによって、ゆっくりと探針を試料に対して接触状態に持っていく。なお、以上の説明は探針側を駆動する前提で説明したが、試料ステージ302側を駆動して探針を接近させる場合も同様であることはいうまでもない。
【0043】
つぎに、レジストパターンのようなアスペクトが高い軟脆材料サンプルの計測に適した探針スキャンモードについて図4を用いて説明する。(b)のように探針を引き上げてはおろして接触圧(すなわち探針たわみ)が一定になるようなサーボをかけるという動作(Tcの区間)を試料と探針の水平方向の相対位置を変化させながら繰り返すことによって、飛び飛びの測定点のみで試料の高さを測ってゆく。繰り返し周期はTsである。これによって探針が試料を引きずらないために試料に対するダメージが少なく、また、段差部での形状を忠実に計測できる探針走査が実現できる。これ自身は特開2001−33373などに開示されている方法であるが、レジストパターンなどの計測に適した実施例として、以下の発明を説明する。
【0044】
探針の先端はあるテーパ角を持っており、これよりも切り立った段差部の形状は走査プローブ顕微鏡では従来正確には計測できなかったが、段差を検出した場合に(a)に点線で図示したように探針を傾斜させてスキャンさせるようにする。探針を傾斜させる方法としては探針のホルダーに微小回転機構を設ける方法もあるが、「T.R.Albrecht、S.Akamine、M.J.Zdeblick、C.F.Quate、J.Vac.Sci.Technol.A8(1)、317(Jan./Feb.、1990)」に開示されているような図5に示した圧電薄膜型カンチレバーを用いる方法もある。いわゆるバイモルフ構造になっており、中間電極Gの上下に圧電体が設けられ、その反対側に電極A、B、C、Dが形成されている。ここで、A−G、D−GとB−G、C−Gに逆方向の電圧変化を与えるとねじれ変形が生起され、探針を傾けることができる。探針のねじれは、探針のたわみ検出器136に4分割フォトダイオードを用いれば簡単に検出することが可能である。
【0045】
また、近年カーボンナノチューブが細くて耐久性の高い探針材料として注目されている。これはナノメートルから10ナノメートルオーダーの円柱状のカーボン原子で構成された材料である。これを使えば、切り立った段差状の形状の走査プローブ顕微鏡による正確な計測の可能性があるが、90度以上のオーバーハングした段差は計測ができない、また、探針の角度と段差の角度が類似していると静電力によって探針が試料段差部に吸着されて曲がり正確な形状が計測できないという問題がある。
【0046】
これに対して、図24に示すように、カーボンナノチューブを静電力によって曲げて段差部を正確に計測する実施例を示す。195がカーボンナノチューブである。この左右に電極197と196を配し、この周りを絶縁体198で覆う。電極197と196の何れかに電圧を印加すると、カーボンナノチューブ198静電力によって吸着されて曲げられる。
【0047】
図の例では、196側に電圧が印加されている。これによって、切り立った段差部を正確に計測することが可能となる。
【0048】
またレジストパターンの計測に対してはレジストパターン底部にレジストが残っているかどうかを検出するニーズが高い。また、近年の半導体においては、平坦化構造が一般化してきたために、研削によって表面の凹凸を無くしたパターンに対して、その材質の境界を知るニーズも高くなっている。これらのニーズに応えるためには、立体表面形状の計測と同時に表面の容量、光学特性、弾性などの機械的性質の分布を測定する技術が必要となる。
【0049】
図4(b)で説明した走査方式では、各測定周期Tsの間に試料表面に探針が接触している期間Tcがあるので、この期間に同期して各種表面物性の計測を行うことによって、表面形状像と同時に各種物性分布計測を行うことができる。
【0050】
図4(c)は探針と試料の間に交流電圧を掛け、流れる電流を同期検波することで局所的な容量を計測する実施例である。
【0051】
また、図4(d)は探針内部を光が透過するようにしておき、試料を照明しておいて探針の先端から光をファイバー170に導いてレンズ171を介してセンサ172に導きTcの期間に光量検出することで、試料の局所光学特性の分布を求める実施例である。
【0052】
このようにすることによって、例として、図4(c)(d)に示したようなシリコンに酸化シリコンを埋め込んで研磨した平坦な試料に対しても、観察・計測が行える。
【0053】
さらに、図6はTcの期間に探針を周期Tで微小振動させている実施例である。このときのTはTsあるいはTcに比べて十分小さいものとする。このときの探針のたわみ信号を得て加振入力信号に対して同期検出して、振幅および位相を求めることにより試料表面の局所的機械的性質に対する分布を得ることができる。また、探針先端を照明しておいて、先端からの散乱光あるいは図4(d)のような光学系で集光した光を検出して、探針の振動に対して同期検出することにより、試料の局所光学特性の分布を求めることもできる。
【0054】
あるいは、図7のように常に探針を周期T(ただしT≪Tc)で加振しておき、探針の試料との接触による振幅の減少を検出することにより、試料の高さを検出することも可能である。
【0055】
次に、図10を用いて、レジストパターンを計測する例を示す。レジストパターンの計測では(a)のように垂直にパターンが切れているか、(b)のようにレジストが薄く残っているか、(c)のように溝あるいは穴の下部が狭まっているかを見分ける必要がある。本発明によれば、これらを見分けることが可能になる。
【0056】
さらに図11では、本発明を用いたデバイス製造方法について示す。ウェハ620をプロセス装置601、601‘に流してデバイスを形成していく。プロセス装置601、601’は場合によってエッチャーであったり、CMP装置であったり、露光装置であったり、現像装置であったりする。これらの工程を経た抜き取りウェハあるいはダミーウェハ621をもちいて、本発明の走査プローブ顕微鏡603によってウェハ上に形成されたパターンを観察・計測する。あるいは、スループットが大きいので全ウェハを本発明の走査プローブ顕微鏡603で観察・計測してもよい。本発明では、パターンの立体形状や表面の状態の分布を試料にダメージを与えることなく正確に観察・計測できるので、観察・計測結果をプロセス装置601、601‘のプロセス条件にフィードバックすることで、安定に高精度なデバイスを製造できる。場合によってはフィードバックの経路610に専用のデータ処理サーバ(図示せず)を介してもよい。
【0057】
次に、図20を用いて装置全体構成を示す。313が対物レンズ109と探針103とその駆動系、検出系を含んだ検出ヘッド部である。ステージ302上に試料501を搭載して計測を行う。310は基板を搭載したカセットを載せる台で、ロボットアーム311はここから基板をとりだして、プリアライナ312で基板の回転角度を検出してから、所定の方向となるように基板をステージ302に搭載し計測を行う。装置全体の動作は全体制御装置250によって制御され、表示・入力装置251によって、操作者の指示を受けたり、光学像やSPM像を提示したりすることが出来る。また、全体制御装置250はLAN装置につながり、計測データなどをやり取りしてもよい。
【0058】
図19(a)は、計測のシーケンスを示す。基板を搭載したカセットからロボットアーム311は基板をとりだして、プリアライナ312で基板のプリアライメントすなわち回転角度を検出してから、所定の方向となるように基板をステージ302に搭載する、対物レンズ109で基板上の複数の位置だしマークを観察し、基板の位置・回転を精密に計測(アライメント)する。この情報を元に、既登録の計測位置に移動して、計測を開始する。まず、探針をおろして基板に接触させる。つぎに、ここで走査プローブ顕微鏡による走査(SPMスキャン)をおこない計測データを得る。探針を退避し、全指定計測点を計測完了するまで、次の測定位置に戻っては、上記動作を繰り返す。全指定計測点の計測が完了すると、アンロード位置にステージを移動して、ロボットアーム311がこれをとりだしてカセットに格納して、1枚の基板の計測が終わる。
【0059】
あるいは、計測対象パターンが局在していてステージの位置精度、あるいは、アライメント精度が不足する場合には、SPMスキャン範囲に計測対象パターンが入らない場合があるので、このばあいは、図19(b)に示すように光顕でパターンを観察するか、SPMで大きいスキャン範囲で荒くスキャンするかして登録された測定対象パターンの位置を特定してから、精密なSPMスキャンを行う。
本発明では、探針のアプローチとSPMスキャンを高速に行えるようにしたため、全体の測定の所要時間の短縮が可能になった。
【0060】
次に、試料にダメージを与えない高精度計測がおこなえる、図4で概説した測定点ごとに探針の退避・接近を繰り返す測定方法をもちいて、高速な測定を実現するための実施例を以下に示す。
【0061】
図12は、ステージの残留振動を抑え高速駆動を実現するための方法の実施例を示すものである。上図は試料と探針の間の横方向相対位置X(試料ステージあるいは探針を取り付けたステージの横方向位置)の時間的変化を示す図であり、下の図は探針の高さZの時間変化を示す図である。
【0062】
図4で説明したような探針の移動を実現するためには、まずZ軸を引き上げてからX軸を移動させ次にZ軸を接近させることが必要である。このとき、X軸の駆動はZ軸に対して駆動対象の慣性質量が大きく、図13に示すように残留振動が残るために、探針の位置精度が悪化したり、あるいは、残留振動が収まるのを待ってからZ軸の再接近を行なうためにスキャン速度が上げられない要因の一つになっていた。
【0063】
そこで、図12上図に示されているようにX軸を駆動する。まず一次駆動量だけX軸指示位置をステップ状に変化させる、これによってX軸は曲線で示したような応答をする、このまま、一次駆動量のまま、指示位置を変えなければ、点線の曲線のように残留振動をおこし、静定までしばらく待つ必要がるが、最初の最大行き過ぎ位置で、行き過ぎ量に等しい2次駆動量を与えてやると、丁度この点でX軸の速度がゼロになっているため、現在位置と指示位置が一致することによって、この点で静定させることができる。この時点以降に探針が試料に接触するのであれば、接触する瞬間における探針のX方向位置の精度が保証でき。これによって高速な駆動と精度を両立させることができる。
【0064】
もう少し詳しく説明すると、まず、走査制御部201は探針駆動部202にたいして探針の退避指示を行い、探針退避待ち時間だけ待った後にX軸を一次駆動量だけ駆動する。この駆動指示は走査制御部201から探針駆動部202に行って探針を横方向に駆動してもよいし、試料ステージ202に行って試料を横方向に駆動してもよい。このときに一次駆動量はX軸の最大行き過ぎ量が設定移動量と一致するように設定移動量よりも小さく設定する。探針退避待ち時間は探針がほぼ試料から離れる時間とする。ここで、X軸は急には動き出さないために、探針が完全に試料から離れるよりも若干早くX軸一次駆動を行ってもよい。
【0065】
X軸一次駆動のあと、X軸移動待ち時間だけ待った後、走査制御部201は探針駆動部202に対して探針接近制御開始指示を出し、探針は接近動作を開始する。探針退避移動量は探針先端と試料表面との吸着力に打ち勝つために余分に引き上げる分、探針の先端が再度試料表面に接触するまで時間があるため、この分X軸移動完了よりも早く探針接近制御開始指示を早くだすことが可能である。探針接近制御開始指示後一定時間たった後にZ軸変位計を読み取ってその点の試料の高さを求める。
【0066】
なお、この探針接近待ち時間は探針が試料に接触して一定接触圧で接触している状態になるまでの待ち時間である。この探針接近待ち時間はタイマーで一定時間を測ってもよいし、探針たわみ信号あるいはZ軸駆動信号あるいはZ変位計信号の変化が停止して一定になった状態をモニターすることによって、接近待ちの終了を判断してもよいことは言うまでもない。
【0067】
次に、図14を用いてさらに高速な駆動の方法について説明する。前述のように探針の吸着を離脱するためにZ軸は吸着離脱高さ分以上余分に引き上げる必要がある。探針接近時に余分に引き上げた分は探針を接近させても試料に接触しないはずなので、急速接近を行うようにして、高速化を実現することができる。
【0068】
この時のたわみ信号を図14に示したが、更に、たわみ信号を解析することによって、吸着の離脱のタイミングを知り、次の動作に移るタイミングを知ることができる。すなわち、吸着時はたわみ信号の符号が引っ張り力によって反転し。これが離脱時には急に0に戻るため、図14の下のようにひげ状のバターンが現れるので、この信号パターンを検出する。
【0069】
吸着離脱時のたわみ信号のパターンを検出した後、試料の段差が小さいとわかっている場合には即座に探針の接近を開始しても良い。段差がある程度ある場合には、このあと、吸着離脱時に必要となった吸着離脱高さを最大段差から差し引いた分だけ、さらに探針を退避してから、探針の接近を始める。
【0070】
次に、図22、23を用いて、探針高速接近駆動および、低接触力での安定制御の方法を示す。図22は図4で示した走査動作時のZ軸変位計とたわみセンサの信号を2測定点分だけ示したものである。このように、退避時はZ軸変位が上昇すると同時にたわみセンサが一度吸着によってひげ状の変化をしてから探針が自由状態になる。再び、接近を始めてしばらくして探針が試料に接触すると、たわみセンサの信号が再び斥力を示す。さらに探針の押し込み量が設定接触力になるとサーボによってたわみセンサの値が一定に保足れるように制御される。このときに、以下に示す問題がある。
【0071】
まず、干渉の問題である。探針の上下がたわみ信号に干渉して、たわみ信号に変動をもたらす。一般的には、たわみセンサ信号=探針たわみ量+k×Z軸変位計信号+定数項、と表される。kは干渉係数である。これによって、接触力の設定精度が悪くなる。特にZ軸を探針側に持つ構成ではこの影響は大きい。また、たわみセンサ信号のゼロ点が経時変化によってゆっくりと変動することによっても、接触力の設定精度が悪くなる。
【0072】
試料の変形を起こさず高精度の計測を行うためには、なるべく接触力を小さく保ちたいが、上記問題によって一般的には接触力を数nN以下に安定に保つのは困難なことが多い。また、設定接触力が小さい状態では、探針接近時のサーボの偏差信号が充分大きくないために、接近速度が上がらないという問題があった。なぜなら、通常圧電素子の制御では偏差信号の時間積分値に比例した信号を圧電素子に印可するため、偏差信号が小さい状態では圧電素子印可信号の変化速度が小さい、すなわち、探針位置の変化速度が小さいことになるためである。
【0073】
これらの問題に対応するための実施例を、図23に示す。(a)は探針接近制御時の制御ブロック図である。設定接触力と整形たわみ信号の偏差が制御手段に入力される、制御手段では積分器などを通した電圧信号Vzを圧電素子に印可する。なお、別の実施例として、比例制御器を通した信号を電流増幅器で増幅して圧電素子に印可しても良い。また圧電素子の代わりにボイスコイルモータ、磁歪素子などを用いる場合も、比例制御器を通した信号を電流増幅器で増幅して、Z軸駆動手段に印可すれば良い。このように、探針移動機構252のZ軸駆動手段としてなにを選んでも、本実施例は成り立つことを注記しておく。
【0074】
この結果生じた探針のZ軸変位は試料の高さより低い場合にはたわみ信号が生じる。それ以外の場合にはたわみ信号は0である。実際には、Z軸変位に干渉係数kを掛けたものが干渉項として加わる。また、ドリフトが加えられる。最終的にはこれらを加えた信号が、たわみ信号として検出される。
【0075】
通常は、たわみ信号と設定接触力の偏差が制御手段に加えられるが、本実施例では信号整形手段を附加して、整形たわみ信号を生成してこれと設定接触力の偏差を制御手段に渡すことにより、信号整形手段中で前述したたわみ信号の干渉と経時変化の問題、探針接近速度が速くならない問題に対応する。信号整形手段中の動作ブロック図が(b)に示されている。このように、たわみ信号に加えて変位計信号を入力する、変位計信号は干渉補正係数1/kを掛けられてからたわみ信号から引かれることによって、干渉補正を実現する。さらに、干渉補正されたたわみ信号はゼロ点トラック手段に入力される。
【0076】
ゼロ点トラック手段では、探針が自由状態で、たわみ信号が一定の値である状態を検知して、この期間の信号の平均値を求める。この値がゼロ点になるので、これを干渉補正されたたわみ信号から引くことによって探針の自由状態では常に0に保たれたたわみ信号が実現する。これによって、たわみ信号の経時変化や干渉に影響されず、安定に弱い接触力で試料をスキャンすることが可能となる。
【0077】
さらに、(c)で示したように接近速度を上げるために探針が試料に接触していない自由状態では、探針高さの制御ゲインをあげて高速で接近するようにする。これは、信号整形手段をもちいて探針自由状態を検知してこれを制御手段に伝えて、探針自由状態の期間だけゲインを上げることで実現できる。
【0078】
別の実施例として、図23(b)(c)で示しているのは、たわみ信号自体を整形して制御手段に入力する方法である。すなわち、探針自由状態のときに大きい引力(斥力と反対符号のたわみ信号)となるようにたわみ信号を整形する方法である。探針自由状態の検出は例えば、単純にゼロ点にマイナス一定値のしきい値を設定してここを超えたときにたわみ信号を引力を示すある大きい値に置き換えることで実現できる。なお、本明細書では、たわみ信号はプラスが引力、マイナスが斥力として説明してある。当然、この符号のとり方が反対になった場合にも上記説明中の大小関係を適切に置き換えれば同様に適用できることは自明である。
【0079】
次に、図15を用いて、探針の退避距離を可変にして、さらに高速な計測を実現する実施例について示す。図15(a)のように、従来、試料の最大段差に対応してこれ以上の退避距離をとっては次の測定点に接近するようにすることが正確な段差の計測に必要であった。これに対して、半導体・光ディスクの記憶ピットのように、対象物の段差構造がある程度わかっている場合は、これを利用して(b)に示すように探針距離を小さくすることが可能である。このように探針が試料の高い面をスキャンしている間は、退避距離を探針と試料の吸着を離脱するのに最低限必要な距離にとどめ、探針が低い面をスキャンしている間は、退避距離を試料の段差に対して少し余裕を持ってとるようにすることで、全体のスキャン時間を短くすることが可能である。
【0080】
さらに、別の実施例として、(c)に示すように、探針の退避距離をつねに吸着を離脱するのに最低限必要な距離に保っておき、段差部を検出した場合は、退避距離を一時的に増加する方法を提案する。この図のように、段差部の検出方法の実施例としてねじれ信号を用いる方法をしめす。探針のねじれをたわみ信号と同時に検出する構成は既述してある。これを利用して段差部で右ねじれ信号を検出した場合に、段差に乗り上げていく個所をスキャンしていると判断して、退避量を大きくして再度接近を行う。精度は若干落ちるが、再測定は行わずに次の点の測定時に退避量を大きくして、再度同じ点の測定を行わない方法も考えられる。また、測定高さがある変化率以上高い方向に変化したら、段差部にさしかかったと判断して退避距離を増す方法を用いてもよい。
【0081】
さらに、別の段差検出の方法を図16、17を用いて以下に示す。
図16は近接場光を用いる方法である。探針の側面の微細な点に光を光ファイバーなどで導く。試料の段差部に近づくと探針側面から出ている近接場光(エバネッセント光)が散乱され、集光レンズを介して検出される光量が変化する。(a)では光源に変調をかけて検出された光をロックインアンプで変調周波数に同期検出し、微小な光量変化を検出する。(b)では単色光源で照明して照明光の波長のみ透過することによって、微小な光量変化を検出する。近接場光をもちいる方法は、段差に実際に接触する前に段差への近接を検出できるという利点がある。なお、近接場光の照明・検出にはこのほかにもさまざまな構成が知られており、このいずれを用いても探針の側面における近接場光を用いて段差を検出することが可能であり、これを用いた実施例は容易に考えられる。
【0082】
図17(a)は、探針と段差の接近による静電容量の変化を探針と試料の間にかけておいた交流電圧による電流の変化によって検出する方法である。図17(b)は、細孔から気体を流すことで探針と段差の接近による気体圧力の変化を検出する方法である。図17(c)は、探針退避時に探針を横振動させて、段差との近接による振幅あるいは位相の変化を歪みゲージあるいは圧電素子自体の起電力によって計測する方法である。図17(d)は、探針と段差の接近によるトンネル電流を検出する方法である。図17(e)は、探針と段差の接触による歪みを探針の側面に形成した歪みゲージによって検出する方法である。
【0083】
図18は、上記説明したように段差に接触する前に段差の接近を検出した場合の、探針の移動の模式図である。このように図15(c)とは異なり、段差部で再度探針退避動作と接近動作をやりなおすことをせず、より高速な計測が可能となる。
【0084】
なお、本実施例中では探針を駆動するように説明をしたが、ここで、重要なのは試料に対する探針の相対的な駆動であり、探針側にX、Y、Z軸をもつ構成を前提としていたわけではない。例えば、試料側にX、Y軸を持つ構成や、試料側にX、Y、Z軸を持つ構成でも、本実施例中の議論は成り立つことはいうまでもない。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、高感度な近接センサを具備することによって、試料と探針の高速な接近を実現でき、計測のスループットを向上できるという効果を奏する。また、本発明によれば、プローブを間欠的に試料に接触させて探針を試料上で引きずらないようにして、軟脆材料や段差の急なパターンに対して高精度な計測を実現しながら、高速な試料のスキャンを実現できるという効果を奏する。
【0086】
また、本発明によれば、傾斜の急な試料段差部に対して、探針を傾斜させて走査を行うことによって段差部の正確な形状の計測を実現できるという効果を奏する。
【0087】
また、本発明によれば半導体パターンを高スループットで計測出来るので、安定に高精度なデバイスを製造できるようになる。
【0088】
また、本発明によれば光記録メディアパターンを高スループットで計測出来るので、安定に高精度な記録メディアを製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査プローブ顕微鏡の全体の構成を示す図である。
【図2】探針周りの一実施例の拡大図である。
【図3】光学系の一実施例を示す図である。
【図4】探針の制御方法を示す図である。
【図5】探針の傾きを制御可能なカンチレバーの構造を示す図である。
【図6】試料と探針の接触期間中に探針を加振した状態を示す図である。
【図7】常に高周波数で微小振動させながら微小振動の周波数より十分遅い周期Tcで試料高さの計測を行うようすを示す図である。
【図8】探針―試料間距離の高速接近制御の方法を示す図である。
【図9】ヘテロダイン干渉によって、探針のたわみを計測する原理を示す図である。
【図10】本発明によって判別できるレジストパターンの例を示す図である。
【図11】本発明によって、半導体のプロセスの条件制御を行う実施例を示す図である。
【図12】高速X軸駆動を実現する制御を示す図である。
【図13】従来のX軸駆動を示す図である。
【図14】高速X軸駆動と探針の近接・退避のタイミングを示す図である。
【図15】退避距離の最適制御を行う方法を示す図である。
【図16】段差への接近を近接場光を用いて検出する方法を示す図である。
【図17】段差への接近を検出する別の方法を示す図である。
【図18】段差への接近を検出することによって探針の退避距離を制御した場合の探針軌跡を示す図である。
【図19】本発明によって、半導体ウェハの計測を行う場合の実施例を示すフローチャートである。
【図20】本発明によって、半導体ウェハの計測を行う場合の装置構成の実施例を示す図である。
【図21】本発明の光学系の別の実施例を示す図である。
【図22】低接触力で測定を行うときの課題を示す図である。
【図23】たわみ信号の整形によって低接触力で安定して高速に計測を行う方法の実施例を示す図である。
【図24】探針の傾きを制御可能なカンチレバーの別の構造を示す図である。
【符号の説明】
101…探針ホルダー、102…鏡筒、103…探針、109…対物レンズ、111…光源、112…レンズ、113…ミラー、114…ミラー、115…レンズ、116…検出器、131…光源、132…レンズ、133…ビームスプリッタ、134…ビームスプリッタ、135…レンズ、136…検出器、154…照明光源、153…コンデンサレンズ、155…ビームスプリッタ、152…結像レンズ、151…イメージセンサ、170…光ファイバー、171…レンズ、172…検出器、182…レンズ、185…レンズ、195…カーボンナノチューブ、196…右側電極、197…左側電極、198…絶縁体、201…走査制御部、202…探針駆動部、203…探針ホルダー駆動部、204…近接センサ、205…たわみ検出センサ、206…光学像センサ、207…信号印加装置、208…SPM像形成装置、250…全体制御装置、251…入力・表示装置、252…探針移動機構、253…探針ホルダー上下機構、302…試料ステージ、311…ロボットアーム、312…プリアライメント手段、313…検出ヘッド部、314…LAN装置、501…試料、601…プロセス装置、603…走査プローブ顕微鏡、610…フィードバック情報、620…ウェハ、621…抜き取りあるいはダミーウェハ

Claims (6)

  1. 試料の表面形状を観察する走査プローブ顕微鏡であって、試料を載置する試料台と、探針と、前記探針のたわみ量を検出するたわみ量検出手段と、前記探針を前記試料に対してXYZ方向に駆動させる駆動手段と、前記探針が所定の測定場所毎に接近、退避または移動の各動作を繰り返すように前記駆動手段を制御するための制御手段と、前記たわみ量検出手段で検出された前記探針のたわみ量の信号情報を用いて前記試料の表面形状像を得る処理手段とを備え、前記たわみ量検出手段が検出する前記試料に対して前記探針が吸着されている状態からゼロに変化した信号を用いて前記探針を所定量退避させるように、前記制御手段が前記駆動手段を制御することを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  2. 前記たわみ量検出手段は更に対物レンズ部を備え、前記探針のたわみ量の信号情報が前記レンズ部を介して検出されることを特徴とする請求項1に記載の走査プローブ顕微鏡。
  3. 前記たわみ量検出手段は更に前記探針のねじれ量を検出するねじれ量検出手段を備え、該ねじれ量検出手段から検出した信号を用いて前記試料の段差を上回る高さに前記探針を退避させるように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の走査プローブ顕微鏡。
  4. 前記探針が試料表面の段差上部領域に位置している場合、前記探針の退避量を前記探針が前記試料表面に対する吸着状態から開放されるまでの高さになるように、前記探針が試料表面の段差下部領域に位置している場合、前記探針の退避量が前記段差を上回る高さになるように、前記制御手段が前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の走査プローブ顕微鏡。
  5. 前記たわみ量検出手段は前記試料と前記探針との間に作用する静電容量変化、空気圧変化、近接場光による光量変化、またはトンネル電流変化の何れかを検出する手段を更に備え、前記静電容量変化、空気圧変化、近接場光による光量変化、またはトンネル電流変化の何れかの検出手段から検出した信号を用いて、前記探針が前記試料の段差の側壁に接触する前に前記探針を前記段差を上回る高さに引き上げるように前記制御手段が前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の走査プローブ顕微鏡。
  6. 前記制御手段は、前記たわみ量検出手段が検出した前記探針のたわみ量信号を整形する信号整形手段を更に備え、前記探針の高さ位置とたわみ量信号との間の干渉補正処理、検出された探針のたわみ量信号の中立点の経時変動に対する補正処理、前記探針を駆動させる際の探針高さの制御ゲインの拡大補正処理のうち、少なくともひとつの補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の走査プローブ顕微鏡。
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