JP3925179B2 - 防曇防汚物品とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防曇防汚物品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、チタニア(TiO2 )等の金属酸化物半導体の光触媒性を利用し、有機物の汚れを分解する、または、かびの発生を防ぐという研究が注目を浴びてきている。例えば、特開平6−198196、特開平6−278241にはTiO2 と光触媒活性を向上させる貴金属等を混合した例が述べられている。また、特開平8−267646には基材に光触媒活性層を形成して、親水化し、防汚性を付与する例が述べられている。
【0003】
また、TiO膜は屈折率が大きいため、単層で形成した場合には反射率が高く、住宅、ビル、または自動車の窓ガラスとしては外観上好ましくない。このため、低屈折率材料であるSiOとの組み合わせによって低反射化を図ることが考えられるが、この場合、SiOが表面を覆うことにより表面での光触媒活性が大きく低下する。このため、蒸着法などでは多孔質の(ポーラスな)SiO膜を形成することで触媒活性の低下を抑制する試みがなされているが、このような膜は一般的に機械的強度が充分でない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、充分な機械的耐久性と、光触媒活性とを具備する防曇防汚物品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、低反射性にも優れた前記防曇防汚物品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明はまた、充分な機械的耐久性と、光触媒活性とを具備し、外観品質に優れ、建築用や自動車用の大面積の窓ガラスに適用可能な防曇防汚物品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、低反射性にも優れた前記防曇防汚物品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基板上に、光触媒活性を有する金属酸化物半導体を主成分とする膜(以下単に半導体膜という)と、その上に、成膜時の圧力が0.8Pa以上の条件で反応性スパッタ法により形成された二酸化シリコンを主成分とする膜(以下単にSi酸化物膜という)とが形成されたことを特徴とする防曇防汚物品を提供する。
【0007】
特開平10−36144には多孔質のSiOを上層に用いた例が示されており、下層にTiO膜を形成することが記載されている。該公報では、SiO膜は内部での電子正孔対の拡散距離を短くするため、できるだけポーラスに、かつ薄くして、TiOと空気界面の距離をできるだけ短くする方が好ましいとしている。そして好ましい成膜法として真空蒸着法を挙げている。
しかし、真空蒸着法では、ポーラスなSiO膜を最外層とする構成では耐久性が充分ではなく、また、建築用、自動車用の窓ガラスの用途で要求される非常に高い外観品質を得ることが難しかった。
【0008】
本発明においては、Si酸化物膜を成膜時の圧力が0.8Pa以上の条件で反応性スパッタ法により形成することにより前記問題を解消した。本発明におけるSi酸化物膜は従来の蒸着法におけるような多孔質の膜ではなくリジッドな構造をしているため、耐久性に優れている。本発明によれば、低反射性を実現するのに充分厚い膜厚を有するSi酸化物膜を最外層に有しながら、充分な光触媒活性と充分な機械的耐久性を発現する防曇防汚物品が得られる。
【0009】
0.8Pa以上という圧力は、スパッタ法で建築用や自動車用の熱線反射ガラスを生産する場合などに用いる圧力に比べるとかなり大きな圧力である。本発明においては、前記圧力は0.8Pa以上8Pa以下であることが好ましい。0.8Pa未満の圧力ではSi酸化物膜の微細構造が変化し、正孔を有効に表面まで輸送することができない。また、8Pa超の圧力ではSi酸化物膜の機械的な強度が劣化するため実用的でなく、また、安定なスパッタ条件を維持することが難しくなる。特に0.8Pa以上8Pa以下、さらには1.0Pa以上6Pa以下、さらには、2Pa以上6Pa以下であることが好ましい。
【0010】
また、成膜時の酸素比率は30%以上であることが好ましい。30%未満では圧力が低い場合と同じように正孔を有効に表面まで輸送できない結果、充分な防曇防汚特性を示さなくなる。特に100%酸素雰囲気であることが好ましい。
【0011】
半導体膜については、湿式法で成膜した場合、大きな光触媒活性を引き出すことができるが、窓ガラスのような大面積へのコートに対しては、均一な膜厚で成膜することが難しく、また膜の耐擦傷性が不充分であった。また、原料であるコート液を一定の状態に保管するのに注意を必要とした。
【0012】
また、特開平9−57912、特開平2000−53449には光触媒活性を有するTiO膜を真空蒸着法で形成する手段が開示されており、TiOの上に更にSiO膜を積層することにより、暗所での親水性保持時間が大幅に改善されることが示されている。しかし、真空蒸着法では、例えば1m以上の大きさを持つガラス基板への成膜を考えると、均一な膜厚で成膜することが難しいという問題があった。特に建築用、自動車用の窓ガラスの用途では非常に高い外観品質が要求されるため、膜厚の精度も数%以内に抑える必要があり、真空蒸着法では困難であった。
【0013】
本発明においては、得られる膜の膜厚の均一性に優れ、結果として得られる防曇防汚物品の外観品質に優れることから、前記金属酸化物半導体を主成分とする膜は、成膜時の圧力が1.0Pa以上の条件で反応性スパッタにより形成された膜であることが好ましい。建築用や自動車用の大面積のガラス基板への適用を考えるとき、反応性スパッタ以外の方法では高いレベルの外観品質を満足することが難しい。
【0014】
本発明における半導体膜としては、二酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、二酸化ビスマスおよび三酸化タングステンからなる群から選ばれる1種以上の酸化物を主成分とする膜が挙げられる。特に光触媒活性の点で二酸化チタンを主成分とする膜が好ましい。
【0015】
二酸化チタンを主成分とする酸化物膜(以下、単にTi酸化物膜という)をチタンを主成分とする金属ターゲットから基板無加熱で酸化性雰囲気で反応性スパッタ法で形成する技術は現在非常にポピュラーであり、熱線反射ガラス等の製造に広く用いられている。しかし、この方法によるTiO2 膜はX線的にはアモルファスであり、ほとんど光触媒活性を示さない。光触媒活性を得るためには、まず膜に光触媒活性の大きいアナターゼ型の結晶粒を成長させなければならない。また、Ti酸化物膜の酸化度も重要な因子である。Ti酸化物膜が還元気味であると、バンド中に金属Ti等の準位ができてバンドギャップが不鮮明になり、光触媒性能が低下する傾向にある。
【0016】
本発明においては、前記したように、成膜時の圧力が1.0Pa以上の条件で反応性スパッタにより形成することにより光触媒活性の大きいTi酸化物膜を成膜する。
【0017】
特に、1.0Pa以上8Pa以下であることが好ましい。1.0Pa未満ではTi酸化物膜の微細構造が変化し、光吸収により有効な正孔や電子を発生させることが難しくなる。また、8Pa超これ以上高い圧力ではTi酸化物膜の機械的な強度が劣化するため実用的でなく、また、安定なスパッタ条件を維持することが難しくなる。さらには、2.0Pa以上6Pa以下であることが好ましい。
【0018】
本発明におけるSi酸化物膜や半導体膜を成膜する方法としては、反応性DC(直流)マグネトロンスパッタ法や反応性AC(交流)マグネトロンスパッタ法が挙げられる。なお、反応性DCマグネトロンスパッタ法には、直流電圧をパルス波状にして印加する反応性パルス化DCマグネトロンスパッタ法をも含む。
【0019】
本発明においては、最外層にSi酸化物膜が形成されており、暗所に保管された場合の親水性の保持特性の向上が図られ、また、低反射化も可能となる。本発明におけるSi酸化物膜の膜厚は70nm以上であることが好ましい。70nm以上であれば、下層のTi酸化物膜との組み合わせにより優れた低反射性能を実現できる。また、実用上充分な耐擦傷性を実現できる。
【0020】
本発明においては、70nmという厚い膜厚のSi酸化物膜でも、光励起により半導体膜(例えばTi酸化物膜)内部で発生した電子正孔対のうち、特に正孔を表面まで透過させることができる。70nmという厚い膜厚のSi酸化物膜を有することで優れた防曇防汚特性を長期にわたって発現できる。
また、Si酸化物の膜厚は200nm以下であることが好ましい。200nm超では、膜表面で充分な光触媒活性を得ることが難しくなり、また、コストの点でも不利である。
【0021】
本発明におけるTi酸化物膜の膜厚は100nm以下であることが好ましい。これは、上層のSi酸化物膜との組み合わせにより優れた低反射性を実現するために必要である。
本発明は、低反射性、耐久性、ニュートラルな反射色調の実現の観点から、Ti酸化物膜の膜厚が15〜35nmであり、Si酸化物膜の膜厚が70〜120nmである防曇防汚物品を提供する。
【0022】
本発明は、別の膜構成として、前記透明基板と半導体膜との間に、屈折率が1.8〜2.2の透明な遷移金属酸化物膜(前記半導体膜とは異なる組成の膜)が形成されている防曇防汚物品を提供する。半導体膜としてはTi酸化物膜であることが好ましく、低反射性、耐久性、ニュートラルな反射色調の実現の観点から、前記遷移金属酸化物膜の膜厚が10〜70nmであり、Ti酸化物膜の膜厚が50〜140nmであり、Si酸化物膜の膜厚が90〜140nmであることが好ましい。
【0023】
本発明は、別の膜構成として、前記遷移金属酸化物膜と半導体膜との間に屈折率が1.4〜1.7の低屈折率膜が形成されている防曇防汚物品を提供する。すなわち、基板側から順に、遷移金属酸化物膜、低屈折率膜、半導体膜、Si酸化物膜が形成される。
【0024】
低屈折率膜としてはSi酸化物膜などが挙げられる。半導体膜としてはTi酸化物膜であることが好ましく、低反射性、耐久性、ニュートラルな反射色調の実現の観点から、遷移金属酸化物膜の膜厚が5〜35nmであり、低屈折率膜の膜厚が30〜70nmであり、Ti酸化物膜の膜厚が10〜40nmであり、かつ、Si酸化物膜の膜厚が70〜100nmであることが好ましい。
【0025】
また、別の4層系の膜構成として、遷移金属酸化物膜の膜厚が5〜35nmであり、低屈折率膜の膜厚が10〜50nmであり、Ti酸化物膜の膜厚が70〜120nmであり、かつ、Si酸化物膜の膜厚が70〜100nmである膜構成も好ましい。
【0026】
本発明における前記遷移金属酸化物膜としては、上層のTi酸化物膜の下地層として機能し、Ti酸化物膜のアナターゼ化を促進させ、Ti酸化物膜の光触媒活性を向上させることから、酸化亜鉛または酸化クロムを主成分とする膜であることが好ましい。
【0027】
本発明における透明基板としては、プラスチック基板やガラス基板などが挙げられる。後述する成膜後の熱処理が可能なことから特にガラス基板を用いることが好ましい。
【0028】
低反射性の観点から、膜形成面側からの入射光に対する膜面の視感反射率(JIS R3106における可視光反射率と同義)は20%以下であることが好ましい。特に、建築用ガラスや自動車用ガラスの用途を考えると、透過率を高め透視性を確保する観点および外観品質の(審美的)観点から、前記視感反射率は、成膜前のガラス表面からの反射率よりも小さいこと、特に4%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明の防曇防汚物品は、充分にニュートラルであり、建築用や自動車用の窓ガラスとして要求される外観品質を実現できることから、JIS R3106およびZ8701による膜形成面側から測定した反射色が色度座標表示で0.26<x<0.33、かつ0.25<y<0.35であることが好ましい。
【0030】
本発明は、また、透明基板上に、成膜時の圧力が0.8Pa以上の条件で反応性スパッタ法によりSi酸化物膜を形成する工程と、成膜時の圧力が1.0Pa以上の条件で反応性スパッタ法により半導体膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする防曇防汚物品の製造方法を提供する。
反応性スパッタ法としては生産性の観点から先に挙げたスパッタ法が好ましい。
【0031】
本発明においては、透明基板としてガラス基板を用い、多層膜を成膜した後に300〜650℃の熱処理を施すことが好ましい。熱処理により半導体膜の光触媒活性を改善する(例えばTi酸化物膜ではアナターゼ相を成長させる)ことで防曇防汚特性を改善することができる。300℃未満では熱処理の効果がほとんど見られず、650℃超ではガラス基板が軟化し商品性を損なう。
【0032】
【実施例】
(例1)
真空チャンバー内に、金属Tiターゲット、金属Siターゲット、ガラス基板(コーニング社製#7059、1mm厚)をセットし、1×10−3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで3Paまでアルゴンと酸素(40%)の混合ガスを導入した後、反応性RFマグネトロンスパッタによりTiO膜を610nmの厚みに形成した。
【0033】
次いで、この上に同じガス条件で反応性RFマグネトロンスパッタによりSiO膜を180nmの厚みに形成し、図1に示すように、ガラス基板上にTiO/SiOを積層し、防曇防汚物品を得た。図1において、10は透明基板(本例ではガラス基板)、11は半導体膜(本例ではTiO膜)、12はSi酸化物膜(本例ではSiO膜)である。成膜時の基板温度は200℃に設定した。
【0034】
(例2)
例1におけるSiO膜の膜厚を5nmとした以外は全く同様にして防曇防汚物品を得た。
【0035】
(例3)
例1におけるTiO膜の膜厚を350nm、SiO膜の膜厚を90nmとした以外は全く同様にして防曇防汚物品を得た。
【0036】
(例4)
真空チャンバー内、金属Tiターゲット、金属Siターゲット、ガラス基板(コーニング社製#7059、1mm厚)をセットし、1×10−3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで6Paまで酸素ガスを導入した後、反応性DCマグネトロンスパッタによりTiO膜を25nmの厚みに形成した。
次いで、この上に3Paの酸素ガス雰囲気下で反応性パルス化DCマグネトロンスパッタによりSiO膜を110nmの厚みに形成し、ガラス基板上にTiO/SiOを積層し、防曇防汚物品を得た。成膜時に基板加熱は行わなかった。
【0037】
(例5)
例4で得られた防曇防汚物品に対して、大気雰囲気中、650℃、12分の熱処理を施した。
【0038】
(例6)
真空チャンバー内に、金属Tiターゲット、金属Siターゲット、GZO(Znとの総量に対して3原子%のGaを含むZnO)ターゲット、ガラス基板(コーニング社製#7059、1mm厚)をセットし、1×10−3Pa以下になるまで真空に排気した。
【0039】
次いで0.3Paまでアルゴンガスを導入した後、DCマグネトロンスパッタによりGZO(ターゲットを同じ組成の酸化物)膜を43nmの厚みに形成した。次いでガスを酸素ガスに切り替え、6Paの圧力で反応性DCマグネトロンスパッタによりTiO膜を73nmの厚みに形成した。次いで、この上に3Paの酸素ガス雰囲気下で反応性パルス化DCマグネトロンスパッタによりSiO膜を110nmの厚みに形成し、図5に示すように、ガラス基板上にGZO/TiO/SiOを積層し、防曇防汚物品を得た。図5において、10は透明基板(本例ではガラス基板)、11は半導体膜(本例ではTiO膜)、12はSi酸化物膜(本例ではSiO膜)、13は遷移金属酸化物膜(本例ではGZO膜)である。成膜時に基板加熱は行わなかった。
【0040】
(例7)
真空チャンバー内に、金属Tiターゲット、金属Siターゲット、GZOターゲット、ガラス基板(コーニング社製#7059、1mm厚)をセットし、1×10−3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで0.3Paまでアルゴンガスを導入した後、DCマグネトロンスパッタによりGZOの薄膜を22nmの厚みに形成した。
【0041】
次いでガスを酸素ガスに切り替え、0.3Paの圧力下で反応性パルス化DCマグネトロンスパッタによりSiO膜を56nmの厚みに形成した。次いで6Paの酸素ガス雰囲気下で反応性DCマグネトロンスパッタによりTiO膜を25nmの厚みに形成した。次いで、この上に3Paの酸素ガス雰囲気下で反応性パルス化DCマグネトロンスパッタによりSiO膜を85nmの厚みに形成し、図6に示すように、ガラス基板上にGZO/SiO/TiO/SiOを積層し、防曇防汚物品を得た。
【0042】
図6において、10は透明基板(本例ではガラス基板)、11は半導体膜(本例ではTiO膜)、12はSi酸化物膜(本例ではSiO膜)、13は遷移金属酸化物膜(本例ではGZO膜)、14は低屈折率膜(本例ではSiO膜)である。成膜時に基板加熱は行わなかった。
【0043】
(例8)
真空チャンバー内に、金属Tiターゲット、金属Siターゲット、ガラス基板(コーニング社製#7059、1mm厚)をセットし、1×10−3Pa以下になるまで真空に排気した。次いで0.3Paまで酸素ガスを導入した後、反応性DCマグネトロンスパタリングによりTiO膜を14nmの厚みに形成した。
【0044】
次いで0.3Paの圧力下で反応性パルス化DCマグネトロンスパッタによりSiO膜を27nmの厚みに形成した。次いで6Paの酸素ガス雰囲気下で反応性DCマグネトロンスパッタによりTiO膜を97nmの厚みに形成した。次いで、この上に3Paの酸素ガス雰囲気下で反応性パルス化DCマグネトロンスパッタによりSiO膜を86nmの厚みに形成し、ガラス基板上にTiO/SiO/TiO/SiOを積層し、防曇防汚物品を得た。成膜時に基板加熱は行わなかった。
【0045】
(例9(比較例))
例1においてSiO膜成膜時の圧力を0.7Paとした以外は全く同様にして、ガラス基板上にTiO/SiOを積層した。
【0046】
(例10(比較例))
例1において、TiO膜成膜後にSiO膜の成膜を行わず基板を取り出し、ガラス基板上にTiO膜の単層膜を形成した。
【0047】
(例11(比較例))
例4におけるSiO膜成膜時の圧力を0.3Paとした以外は全く同様にして、ガラス基板上にTiO/SiOを積層した。
【0048】
例1と例9(比較例)で得られたサンプルをアセトアルデヒドと共にセル中に封止した後、ブラックライトで1mW/cmの紫外線を照射した。紫外線照射時間とガスクロマトグラフィにより測定したアセトアルデヒド濃度との関係を測定した結果を図2に示す。図2から明らかなように、SiO膜を0.7Paの圧力下で成膜した例9では、紫外線を照射してもアセトアルデヒド濃度にほとんど変化がないのに対し、3Paで成膜した例1では照射と共にアセトアルデヒド濃度が減少しており、例1で得られた防曇防汚物品が光触媒活性を有していることが分かる。
【0049】
次に、例1、例2および例10(比較例)のサンプルをアセトアルデヒドと共にセル中に封止した後、ブラックライトで1mW/cmの紫外線を照射した。紫外線照射時間とガスクロマトグラフィにより測定したアセトアルデヒド濃度の関係を測定した結果を図3に示す。図3から明らかなように、3Paで成膜されたSiO膜であれば、180nmという厚さであっても、剥き出しのTiO膜(単層膜)とほぼ同じ優れた光触媒活性を示すことが分かる。
【0050】
次に、例1、例2および例10(比較例)のサンプルに紫外線を照射して、水の接触角がほぼ0度になることを確認した後、暗所中に保存して水の接触角の経時変化を測定した。その結果を図4に示す。図4から明らかなように、最表面にSiO膜のない例10では時間の経過と共に接触角が上昇していくのに対し、最表面にSiO膜のある例1、例2では20日間にわたり低い接触角が保持されていることが分かる。
【0051】
次に、例4、例5と例11(比較例)のサンプルに紫外線を照射して、水の接触角が5度以下になるのを確認した後、表面にオレイン酸を塗布し汚染させた。表面汚染後に接触角を測定した後、再度紫外線を24時間照射して、接触角を測定した。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、SiO膜を0.3Paの圧力下で成膜した例11では24時間後も接触角の変化がほとんどないのに対し、3Paで成膜した例4では接触角が減少し、例4で得られた防曇防汚物品が光触媒活性を有していることが分かる。例5では熱処理の効果により接触角が更に減少しており、更に優れた光触媒活性を有していることが分かる。
【0052】
次に、例1〜8と例9〜11(比較例)の全てのサンプルの光学的特性を測定した。視感反射率と反射色を表2に示す。なお、表中の視感反射率は、ガラス基板の裏面からの反射率約4%を含んで測定しているためで、膜面の視感反射率(ガラス基板裏面の反射を含まない)の値は、表中の値から約4%を減じた値となる。表2から明らかなように、全ての実施例(例1〜8)において、膜側からの入射光に対する視感反射率が20%以下であることが分かる。また、例3〜8においては、成膜前のガラス基板からの視感反射率(約8%)よりも低い視感反射率とニュートラルな反射色調を示すことが分かる。
【0053】
次に、例1〜8と例9〜11(比較例)の全てのサンプルをテーバー磨耗試験で評価した。その結果、全ての実施例(例1〜8)と、例9および11においては実用上問題のない耐擦傷性を示したが、SiO膜の施されていない例10では、表面にはっきりとしたキズが観察され、耐擦傷性が十分でなかった。
【0054】
また、例10(比較例)と例1の表面のAFM(原子間力顕微鏡)像を観測した。2つの表面AFM像の結果から、SiO膜の積層により表面凹凸が減少していることが分かる。この形状効果と、SiO膜がアモルファス構造であることに起因して耐擦傷性が向上したものと考えられる。
【0055】
【表1】
Figure 0003925179
【0056】
【表2】
Figure 0003925179
【0057】
【発明の効果】
本発明の防曇防汚物品は、充分な機械的耐久性と、光触媒活性とを有しており、Si酸化物膜を厚い膜厚で用いることができるので、低反射化が実現できる。特に、各層の屈折率と膜厚を適正な範囲に設定することにより、成膜前のガラス基板よりも低い反射率と、ニュートラルな外観を持ちながら、実用的な光触媒活性と、耐久性能を併せ持ち、建築用窓ガラスや自動車用窓ガラスとして好適な防曇防汚物品を提供できる。
【0058】
また、本発明の製造方法によれば、前記防曇防汚物品を生産性よく製造することができる。特に、前記ガラス基板に成膜後、熱処理による曲げ工程(および/または強化工程)を経ることで、熱処理により光触媒活性が向上し、かつ、曲げ加工(および/または強化処理)された建築用窓ガラスや自動車用窓ガラスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の模式的断面図。
【図2】例1と例9(比較例)のサンプルをアセトアルデヒドと共にセル中に封止した後、ブラックライトで1mW/cmの紫外線を照射したときの、照射時間とガスクロマトグラフィにより測定したアセトアルデヒド濃度の関係を示す図。
【図3】例1、例2と例10(比較例)のサンプルをアセトアルデヒドと共にセル中に封止した後、ブラックライトで1mW/cmの紫外線を照射したときの、照射時間とガスクロマトグラフィにより測定したアセトアルデヒド濃度の関係を示す図。
【図4】例1、例2と例10(比較例)のサンプルに紫外線を照射して、水の接触角がほぼ0度になるのを確認した後、暗所中に保存して測定した水の接触角の経時変化を示す図。
【図5】本発明の他の実施例の模式的断面図。
【図6】本発明の他の実施例の模式的断面図。
【符号の説明】
10:透明基板
11:半導体膜
12:Si酸化物膜
13:遷移金属酸化物膜
14:低屈折率膜

Claims (14)

  1. 透明基板上に、光触媒活性を有する金属酸化物半導体を主成分とする膜と、その上に、成膜時の圧力が0.8Pa以上の条件で反応性スパッタ法により形成された二酸化シリコンを主成分とする膜とが形成されたことを特徴とする防曇防汚物品。
  2. 前記金属酸化物半導体を主成分とする膜が、成膜時の圧力が1.0Pa以上の条件で反応性スパッタ法により形成された膜であることを特徴とする請求項1に記載の防曇防汚物品。
  3. 前記金属酸化物半導体を主成分とする膜が二酸化チタンを主成分とする膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の防曇防汚物品。
  4. 前記二酸化シリコンを主成分とする膜の膜厚が70〜200nmであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の防曇防汚物品。
  5. 前記二酸化チタンを主成分とする膜の膜厚が15〜35nmであり、前記二酸化シリコンを主成分とする膜の膜厚が70〜120nmであることを特徴とする請求項3または4に記載の防曇防汚物品。
  6. 前記透明基板と前記二酸化チタンを主成分とする膜との間に、屈折率が1.8〜2.2の透明な遷移金属酸化物膜が形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の防曇防汚物品。
  7. 前記遷移金属酸化物膜の膜厚が10〜70nmであり、前記二酸化チタンを主成分とする膜の膜厚が50〜140nmであり、前記二酸化シリコンを主成分とする膜の膜厚が90〜140nmであることを特徴とする請求項に記載の防曇防汚物品。
  8. 前記遷移金属酸化物膜と前記二酸化チタンを主成分とする膜との間に屈折率が1.4〜1.7の低屈折率膜が形成されていることを特徴とする請求項に記載の防曇防汚物品。
  9. 前記遷移金属酸化物膜の膜厚が5〜35nmであり、前記低屈折率膜の膜厚が30〜70nmであり、前記二酸化チタンを主成分とする膜の膜厚が10〜40nmであり、かつ、前記二酸化シリコンを主成分とする膜の膜厚が70〜100nmであることを特徴とする請求項に記載の防曇防汚物品。
  10. 前記遷移金属酸化物膜が酸化亜鉛または酸化クロムを主成分とする膜であることを特徴とする請求項のいずれかに記載の防曇防汚物品。
  11. 膜形成面側からの入射光に対する膜面の視感反射率が20%以下である請求項1〜1のいずれかに記載の防曇防汚物品。
  12. JIS R3106およびZ8701による膜形成面側から測定した反射色が色度座標表示で0.26<x<0.33、かつ0.25<y<0.35である請求項1〜1のいずれかに記載の防曇防汚物品。
  13. 透明基板上に、成膜時の圧力が1.0Pa以上の条件で反応性スパッタ法により光触媒活性を有する金属酸化物半導体を主成分とする膜を形成する工程と、成膜時の圧力が0.8Pa以上の条件で反応性スパッタ法により二酸化シリコンを主成分とする膜を前記金属酸化物半導体を主成分とする膜の上に形成する工程と、を含むことを特徴とする防曇防汚物品の製造方法。
  14. 透明基板としてガラス基板を用い、多層膜を成膜した後に300〜650℃の熱処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の防曇防汚物品の製造方法。
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