JP3925013B2 - 排ガス浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排ガス浄化装置に関し、詳しくは三元触媒とNOx 吸蔵還元型触媒とを用いた排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CO2 による地球温暖化現象が問題となり、CO2 の排出量を低減することが課題となっている。自動車においても排ガス中のCO2 量の低減が課題となり、燃料を酸素過剰雰囲気で希薄燃焼させるリーンバーンエンジンが開発されている。このリーンバーンエンジンによれば、燃費が向上するためCO2 の排出量を抑制することができる。
【0003】
リーンバーンエンジンからの排ガス中の有害成分を浄化する場合、酸素過剰雰囲気であるがゆえにNOx の還元浄化が困難となる。そこで特開平5-317652号公報には、貴金属とともにアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれるNOx 吸蔵材を担持したNOx 吸蔵還元型の排ガス浄化用触媒が開示されている。このNOx 吸蔵還元型触媒を用い、リーン雰囲気の途中にパルス状にストイキ〜リッチ雰囲気となるように混合気組成を制御すれば、HC及びCOの酸化とNOx の還元とを効率よく進行させることができ、高い浄化性能が得られる。
【0004】
つまりリーン雰囲気では排ガス中のNOが酸化されてNOx となり、NOx 吸蔵材に吸蔵されるためNOx の排出が抑制される。そしてパルス状にストイキ〜リッチ雰囲気に制御されると、NOx 吸蔵材からNOx が放出され、それが排ガス中に存在するHCなどの還元成分と反応して還元されるため、NOx の排出が抑制される。したがってリーン〜リッチの全雰囲気でNOx の排出を抑制することができる。
【0005】
パルス状にストイキ〜リッチ雰囲気となるように混合気組成を制御することはリッチスパイクと称され、リッチスパイクによってリッチ雰囲気とされる程度は深い・浅いと表現されている。つまりリッチスパイクによって重度のリッチ雰囲気とすることは「リッチスパイクを深く投入する」と称され、軽度のストイキ〜リッチ雰囲気とすることは「リッチスパイクを浅く投入する」と称されている。
【0006】
ところで始動時などの低温域においては、NOx 吸蔵還元型触媒に担持されている貴金属は活性温度以下であるために酸化還元反応が生じず、NOx ばかりかHCも排出されてしまうという問題がある。そこで特開平5-195755号公報には、NOx 吸蔵還元型触媒の上流側でエンジン直下に三元触媒を配置し、リーン雰囲気の途中にリッチスパイクを投入するシステムの中で用いられる排ガス浄化装置が開示されている。このような排ガス浄化装置によれば、三元触媒はエンジン直下に配置されるため早期に昇温されて活性温度となるため、HCを酸化するとともにNOを酸化してNO2 とする。したがって低温域におけるHCの排出を抑制でき、NO2 は下流側のNOx 吸蔵還元型触媒に吸蔵されるため排出が抑制される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
三元触媒は、理論空燃比(ストイキ)近傍で燃焼された排ガス雰囲気において最も高い活性を示す。そこで排ガス雰囲気をストイキ近傍に維持するために、三元触媒にはセリアなどの酸素吸蔵放出能をもつ物質が含まれているのが通常である。また三元触媒に担持されている貴金属としては、リーン雰囲気における耐久性に優れたPdが用いられる場合が多い。
【0008】
ところが上記した排ガス浄化装置においてこのような三元触媒を用いると、リッチスパイクの投入時に排ガス中に存在する多量のHCがセリアなどから放出された酸素によって酸化され、HC量の低下によりNOx 吸蔵還元型触媒上におけるNOx 還元能が低下するという問題があった。また低温域における酸化活性を向上させるために、Pdの担持量を多くすると、HCがますます酸化されてしまいNOx 還元効率が一層低下してしまう。
【0009】
また、リッチスパイクを深く投入すれば、HC量の増大によりNOx 還元能が増大するが、燃費が悪化するという問題がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低温域における浄化率を従来と同様に高く維持するとともに、リッチスパイクを浅く投入した場合であってもHCを有効にNOx の還元に利用できる排ガス浄化装置とすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の排ガス浄化装置の特徴は、上層にRh又はPtの一方を担持しその下層にRh又はPtの他方を担持した二層構造の三元触媒を排ガス流の上流側に配置し、三元触媒の下流側にNOx 吸蔵還元型触媒を配置してなる排ガス浄化装置において、三元触媒のストイキ保持時間を 0.2 秒以上かつ1秒以下としたことを特徴とする。
【0012】
ここにストイキ保持時間とは、排ガス中の還元成分に対する酸化成分のモル比が14.6を超えるリーン雰囲気と該モル比が14.6以下のリッチ雰囲気がそれぞれ交互に繰り返される条件の排ガスが前記三元触媒に流入した場合に、前記三元触媒を通過した後の排ガスの雰囲気が、リッチ雰囲気からストイキ雰囲気となった時点から最大リーン雰囲気の50%のリーン雰囲気となるまでの時間をいう。
【0013】
上記三元触媒には、酸素吸蔵放出材を含まないことが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
例えば還元成分に対する酸化成分のモル比が15.5のリーン雰囲気と、該モル比が13.5のリッチ雰囲気とがそれぞれ5分間ずつ交互に繰り返される条件の排ガスは、図3(a)に示すような矩形波として表される。このような条件の排ガスを三元触媒に供給した場合、三元触媒から出る排ガスの雰囲気は図3(b)のようになる。
【0015】
つまり、先ずリーン雰囲気の排ガスが三元触媒に流入すると、酸素が酸素吸蔵放出材などに吸蔵されるため三元触媒から出る排ガスの雰囲気はストイキとなり、酸素吸蔵放出材などの酸素吸蔵能が飽和に近付くにつれて排ガスの雰囲気はストイキから徐々にリーン最高値に漸近する。次にリッチ雰囲気の排ガスが三元触媒に流入すると、酸素吸蔵放出材などに吸蔵されていた酸素が放出されるため三元触媒から出る排ガスの雰囲気はストイキとなり、吸蔵されていた酸素の減少により徐々にリッチ最高値に漸近する。そして再びリーン雰囲気の排ガスが三元触媒に流入すると、再び酸素吸蔵放出材などに酸素が吸蔵されるため、三元触媒から出る排ガスの雰囲気はストイキから徐々にリーン最高値に漸近する。
【0016】
すなわちリッチ雰囲気からリーン雰囲気に切り替えられてから、しばらくの時間ストイキ雰囲気の排ガスが三元触媒から排出され、その間は三元触媒上でHCやCOの酸化反応が生じていると考えられ、この時間が長くなるほどNOx 吸蔵還元型触媒へ流入するHCが少なくなることとなる。
【0017】
そこで本発明者らは、三元触媒の下流側にNOx 吸蔵還元型触媒を配置した排ガス浄化装置において、上記したストイキ雰囲気にある時間とNOx 浄化率との関係を研究した。その結果、排ガス中の還元成分に対する酸化成分のモル比が14.6を超えるリーン雰囲気と該モル比が14.6以下のリッチ雰囲気がそれぞれ交互に繰り返される条件の排ガスが三元触媒に流入した場合において、三元触媒を通過した後の排ガスの雰囲気が、リッチ雰囲気からストイキ雰囲気となった時点から最大リーン雰囲気の50%のリーン雰囲気となるまでの時間(ストイキ保持時間)が1秒以下のときに、NOx 浄化率がきわめて高くなることを見出し、本発明を完成したものである。
【0018】
すなわち本発明の排ガス浄化装置では、三元触媒のストイキ保持時間が1秒以下とされ、酸素吸蔵放出能をほとんど若しくは全くもたない構成とされている。したがってリッチスパイク時に酸素がほとんど放出されないので、リッチスパイク時に発生した多くのHCは、三元触媒を通過してもかなりの量が残存し、そのHCが下流側のNOx 吸蔵還元型触媒に流入する。そしてNOx 吸蔵還元型触媒に流入したHCは、NOx 吸蔵材から放出されたNOx の還元に消費される。これによりリッチスパイクを浅くしても、NOx 浄化能が向上する。三元触媒のストイキ保持時間が1秒を超えると、NOx 浄化率が急激に低下してしまう。
【0019】
ストイキ保持時間を1秒以下とするには、三元触媒に含まれる酸素吸蔵放出材の量を低減すること、あるいは酸素吸蔵放出材を含まないことで達成することができる。つまりストイキ保持時間は、三元触媒の酸素吸蔵放出能の指標ということができる。酸素吸蔵放出材としては、セリア(CeO2)が代表的なものであるが、PrO4などの希土類金属酸化物、NiO 、Fe2O3 、CuO 、Mn2O5 などの遷移金属酸化物なども例示され、これらを含まないあるいは僅かに含む三元触媒とすることで、ストイキ保持時間を1秒以下とすることができる。
【0020】
また本発明の排ガス浄化装置において、三元触媒にはPdを含まずRh及びPtを含むことが望ましい。Pdは酸素吸着能を有するため、リッチ雰囲気においてHCを酸化する活性が高い。そのためPdを含む三元触媒を用いると、酸素吸蔵放出材を含む場合と同様にNOx 浄化率が低くなってしまう場合がある。一方Pt及びRhは、リッチ雰囲気における酸化活性がPdより低いので、リッチ雰囲気におけるHCの酸化が抑制され、Pdに比べてNOx の還元効率が向上する。またPt及びRhはリーン雰囲気における酸化活性がPdより高く、その活性温度も低い。したがって低温域のリーン雰囲気においてHC及びCOを効率よく酸化浄化することができ、またNOの酸化によりNOx の吸蔵効率も向上する。
【0021】
本発明の排ガス浄化装置における三元触媒は、担体とその担体に担持された貴金属とから構成されたものを用いることができる。担体としては、アルミナ( Al2O3)、シリカ(SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)などの多孔質酸化物を用いることができる。また貴金属としては、上記したようにPt及びRhの少なくとも一方を用いることが好ましいが、PtとRhの両方を用いることが特に望ましい。Rhの存在により高温のリーン雰囲気におけるPtの粒成長を抑制することができ、耐熱性が向上する。
【0022】
しかしながら、PtとRhとを共存担持するとRhによってPtの酸化活性が阻害されるという不具合がある。そこで、上層にRh又はPtの一方を担持し、その下層にRh又はPtの他方を担持した二層構造の三元触媒とする。これによりPtとRhとが分離された状態で近接して担持された状態となるため、Ptの粒成長を抑制しつつ酸化活性の低下が防止され、酸化活性が向上する。なお二層構造とする場合には、下層にPtを担持し上層にRhを担持した構成とすることが好ましい。
【0023】
貴金属の担持量は、上記担体に対して 0.1〜10重量%の範囲が好ましい。担持量がこれより少ないと十分な浄化活性が得られず、これより多く担持しても浄化活性が飽和し過剰の貴金属が無駄となる。
【0024】
本発明の排ガス浄化装置におけるNOx 吸蔵還元型触媒は、多孔質酸化物担体と、多孔質酸化物担体に担持された貴金属と、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれ多孔質酸化物担体に担持されたNOx 吸蔵材と、から構成された従来と同様のものを用いることができる。
【0025】
NOx 吸蔵還元型触媒に用いられる多孔質酸化物担体としては、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、ゼオライトなどを用いることができる。このうちの一種でもよいし複数種類を混合あるいは複合化して用いることもできる。中でも活性の高いγ−アルミナを用いるのが好ましい。なおNOx 吸蔵還元型触媒に用いられる多孔質酸化物担体は、三元触媒の多孔質酸化物担体と同一種類であってもよいし、異なるものを用いてもよい。
【0026】
NOx 吸蔵還元型触媒に用いられる貴金属としては、Pt、Rh、Pd、Irなどが例示される。中でも活性の高いPtが特に好ましい。また貴金属の担持量は、多孔質酸化物担体1リットル当たり 0.1〜10gとすることが好ましい。これより少ないと浄化活性が不足し、これより多く担持しても効果が飽和するとともに高価となる。
【0027】
NOx 吸蔵還元型触媒に用いられるNOx 吸蔵材としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれる少なくとも一種である。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムが例示される。アルカリ土類金属とは周期表2A族元素をいい、バリウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムなどが例示される。また希土類元素としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ジスプロシウム、イッテルビウムなどが例示される。
【0028】
NOx 吸蔵還元型触媒におけるNOx 吸蔵材の担持量は、多孔質酸化物担体1リットル当たり0.01〜1モルの範囲とすることが望ましい。担持量がこの範囲より少ないとNOx 吸着量が低下するためNOx 浄化能が低下し、この範囲より多くなると貴金属がNOx 吸蔵材に覆われて活性が低下するようになる。
【0029】
三元触媒は、排ガス流路においてNOx 吸蔵還元型触媒より上流側に配置され、エンジン直下に配置することが望ましい。また三元触媒とNOx 吸蔵還元型触媒との配置間隔は特に制限されず、隣接して配置してもよいし、所定の距離を隔てて配置することもできる。また一つの担体基材の一端面から所定長さの部分に三元触媒を形成し、残りの部分にNOx 吸蔵還元型触媒を形成して、三元触媒を排ガス流に対向するように向けて配置してもよい。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0031】
(実施例1)
図1に本発明の一実施例の排ガス浄化装置を模式的に示す。この排ガス浄化装置は、エンジン1から延びる排ガス流路の上流側に配置された三元触媒2と、三元触媒2より下流側で排ガス流路に配置されたNOx 吸蔵還元型触媒3とから構成されている。
【0032】
三元触媒2は、図2に示すように、コーディエライト製のハニカム基材20と、ハニカム基材20表面に形成されPtが担持されたγ-Al2O3よりなる下層21と、下層21の表面に形成されRhが担持されたθ-Al2O3よりなる上層22とから構成されている。
【0033】
ハニカム基材20は容量 1.3リットルであり、下層21はハニカム基材20の1リットル当たり 160g形成され、Ptはハニカム基材20の1リットル当たり 1.5g担持されている。また上層22はハニカム基材20の1リットル当たり40g形成され、Rhはハニカム基材20の1リットル当たり 0.3g担持されている。
【0034】
またNOx 吸蔵還元型触媒3は、コーディエライト製のハニカム基材と、ハニカム基材表面に形成されたγ-Al2O3,TiO2及びZrO2からなるコート層とからなり、コート層にはPt及びRhからなる貴金属と、Ba,K及びLiよりなるNOx 吸蔵材とが担持されている。
【0035】
ハニカム基材は容量 2.0リットルであり、コート層はハニカム基材の1リットル当たり 250g形成されている。コート層の内訳は、ハニカム基材の1リットル当たりγ-Al2O3が 100g、TiO2が 100g、ZrO2が50gである。またPtはハニカム基材の1リットル当たり 2.0g担持され、Rhはハニカム基材の1リットル当たり 0.5g担持されている。そしてハニカム基材の1リットル当たり、Baが 0.2モル、Kが 0.1モル、Liが 0.1モル担持されている。
【0036】
エンジン1として、排気量2Lのガソリン直噴エンジンを用い、先ず三元触媒2のみを配置して入りガス温度 800℃で5時間運転する耐久試験を行った。次にNOx 吸蔵還元型触媒3のみを配置し、入りガス温度 700℃で50時間運転する耐久試験を行った。
【0037】
耐久試験後の各触媒を図1のように配置し、ECモードにて運転して、HC,CO及びNOx の浄化率をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0038】
(試験例)
上記実施例1における三元触媒2の下層21をγ-Al2O3とCeO2との混合物から構成し、CeO2の添加量を種々異ならせた6種類の三元触媒を調製した。そして排気量3Lのガソリン直噴エンジンの排ガス流路にそれぞれの三元触媒を装着し、三元触媒の入りガス雰囲気が図3(a)のように還元成分に対する酸化成分のモル比( A/F)が15.5のリーン雰囲気と、 A/Fが13.5のリッチ雰囲気とが交互に5秒間ずつ繰り返される条件下で、それぞれの三元触媒からの出ガスを分析した。この分析結果を図3(b)のようにグラフ化し、リッチ雰囲気からストイキ雰囲気となった時点から最大リーン雰囲気の50%のリーン雰囲気となるまでの時間を求めてストイキ保持時間とした。
【0039】
さらに三元触媒の下流側に実施例1と同様のNOx 吸蔵還元型触媒を配置して、エンジンを回転数 2000rpmで運転しながら、それぞれの三元触媒についてNOx 吸蔵還元型触媒を通過させたときのNOx 浄化率をそれぞれ測定した。それぞれの三元触媒のストイキ保持時間と、測定されたNOx 浄化率との関係を図4に示す。
【0040】
図4より、ストイキ保持時間が1秒を超えるとNOx 浄化率が急激に低下していることがわかり、ストイキ保持時間は1秒以下とすることが好ましいことが明らかである。
【0041】
なお実施例1で用いた三元触媒2のストイキ保持時間は 0.2秒であった。
【0042】
(実施例2)
実施例1と同様の三元触媒の上流側端面から20mmの範囲に、ハニカム基材の1リットル当たり5gのPtをさらに担持した。これを三元触媒として用いたこと以外は実施例1と同様にして排ガス浄化装置を構成し、同様に耐久試験後の浄化率を測定した。結果を表1に示す。この三元触媒2の試験例と同様に測定されたストイキ保持時間は 0.2秒であった。
【0044】
(実施例3)
実施例1と同様の三元触媒の上流側端面から20mmの範囲に、ハニカム基材の1リットル当たり10gのPdをさらに担持した。これを三元触媒として用いたこと以外は実施例1と同様にして排ガス浄化装置を構成し、同様に耐久試験後の浄化率を測定した。結果を表1に示す。この三元触媒2の試験例と同様に測定されたストイキ保持時間は 0.7秒であった。
【0045】
(実施例4)
下層21にハニカム基材の1リットル当たり 5.0gのPdを担持し、上層22にハニカム基材の1リットル当たり 0.5gのRhを担持してなる三元触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして排ガス浄化装置を構成し、同様に耐久試験後の浄化率を測定した。結果を表1に示す。この三元触媒2の試験例と同様に測定されたストイキ保持時間は 0.9秒であった。
【0046】
(実施例5)
下層21をハニカム基材の1リットル当たり 120g形成し、この下層21にハニカム基材の1リットル当たり 3.0gのPdを担持してなる三元触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして排ガス浄化装置を構成し、同様に耐久試験後の浄化率を測定した。結果を表1に示す。この三元触媒2の試験例と同様に測定されたストイキ保持時間は 0.9秒であった。
【0047】
(比較例1)
下層21をγ-Al2O3とCeO2とから構成し、ハニカム基材の1リットル当たりγ-Al2O3及びCeO2がそれぞれ80gとなるように形成した。そしてこの下層21にPdをハニカム基材の1リットル当たり 5.0g担持し、実施例1と同様の上層22のRhをハニカム基材の1リットル当たり 0.5g担持してなる三元触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして排ガス浄化装置を構成し、同様に耐久試験後の浄化率を測定した。結果を表1に示す。この三元触媒2の試験例と同様に測定されたストイキ保持時間は 1.1秒であった。
【0048】
(比較例2)
ハニカム基材の1リットル当たりγ-Al2O3が40g、CeO2が 120gとなるように下層21を形成したこと以外は比較例1と同様にして排ガス浄化装置を構成し、実施例1と同様に耐久試験後の浄化率を測定した。結果を表1に示す。この三元触媒2の試験例と同様に測定されたストイキ保持時間は 2.0秒であった。
【0049】
(比較例3)
実施例1と同様のハニカム基材 20 に、γ -Al 2 O 3 よりなるコート層をハニカム基材の1リットル当たり 200 g形成し、そのコート層に Pt 及び Rh をハニカム基材の1リットル当たりそれぞれ 1.5 gと 0.3 g担持してなる三元触媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして排ガス浄化装置を構成し、同様に耐久試験後の浄化率を測定した。結果を表1に示す。この三元触媒2の試験例と同様に測定されたストイキ保持時間は 0.2 秒であった。
(評価)
【0050】
【表1】
【0051】
表1より、各実施例の排ガス浄化装置によれば、HC,CO及びNOx をそれぞれ高い浄化率でバランスよく浄化することができることがわかる。これは、用いた三元触媒のストイキ保持時間を1秒以下としたことによる効果であることが明らかである。
【0052】
【発明の効果】
すなわち本発明の排ガス浄化装置によれば、リッチスパイクを浅く投入した場合であってもHCを有効にNOx の還元に利用することができ、燃費を悪化させることなくNOx を効率よく浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス浄化装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施例に用いた三元触媒の構成を示す説明断面図である。
【図3】ストイキ保持時間の測定方法の説明図である。
【図4】ストイキ保持時間とNOx 浄化率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:エンジン 2:三元触媒 3:NOx 吸蔵還元型触媒
20:ハニカム基材 21:下層 22:上層
Claims (1)
- 上層にRh又はPtの一方を担持しその下層にRh又はPtの他方を担持した二層構造の三元触媒を排ガス流の上流側に配置し、該三元触媒の下流側にNOx 吸蔵還元型触媒を配置してなる排ガス浄化装置において、該三元触媒のストイキ保持時間を 0.2 秒以上かつ1秒以下としたことを特徴とする排ガス浄化装置。
ここにストイキ保持時間とは、排ガス中の還元成分に対する酸化成分のモル比が14.6を超えるリーン雰囲気と該モル比が14.6以下のリッチ雰囲気がそれぞれ交互に繰り返される条件の排ガスが前記三元触媒に流入した場合に、前記三元触媒を通過した後の排ガスの雰囲気が、リッチ雰囲気からストイキ雰囲気となった時点から最大リーン雰囲気の50%のリーン雰囲気となるまでの時間をいう。
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